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文法規則の組織化と学習(?) ― ゼロの補文化辞 と syntax ―

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

文法規則の組織化と学習(?) ― ゼロの補文化辞 と syntax ―

著者 高橋 孝二

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

巻 15

ページ 1‑12

発行年 1979‑03‑23

その他のタイトル On Learnability of Grammatical Rules (II) ―  φ ‑ Complementizers and syntax ―

URL http://hdl.handle.net/10105/6410

(2)

文法規則の組織化と学習(II)*

一ゼロの補文化辞とSyntaX一

    高  橋  孝  二洲

       (英語学教室)

 α 可能な構造の変化(変形)に課せられる制約ないし条件は、これを二つの方向から考察す ることができる。一つは、各レベルにおける妥当性(adequacy)を満足する、文法の決定にかかわ る形式体系の特徴や構造分析の変換可能な体系と適正分析に課せられた条件であり、もう一つは どのような成分配置図(configuration)の中でどのような有限項による因子化(factorization)

に基づいて変形が適用され得るかという、適用司能性への条件である。文法理論から言えば「い かなる文法規貝1」も」という規貝1」の抽象化から、前者の成分句構造上の特質の解明が個々の具体的 規則を統一しつつ超える自律的な「変換領域論」となることが望ましい方向であるが、言語学習 の面から言えば、学習の対象となる具体的文法規則が、組織化された原理の体系(UG)から引 き出された言語資料となっていなければならない。U Gを志向し、またU Gの体系内で妥当な経 験によって検証され修正される変形生成文法(TG)が学習者自ら選択し構築して行く文法に合 致するという意味をこの視点から理解しなければならない。構造記述(SD)の形式(form)と、

英語文法の根幹となるWH移動とNP移動のルールの形式(form)とが一致するとき、可能な英 文法の類(class)の機能(fmcdon)が明確にとらえられることになる。このような路線上にあ る文法規則の適正な組織化から、「評価の尺度」としての「表層フィルター」が、一つの体系を志 向しながら、自律的に案出されて来るという経験的事実は、従来の直観的推測による「診断」や、

統計的手段による学習到達度の測定とは質的に異なる妥当性を持つ「評価の尺度体系」の存在を 示唆している。ここのところを理解しない「教育的実験」が「変形文法」の名を借りて国立S大 学等で長期計画として実施されていることを実際に知り、筆者は本シリーズの責任の重大さを自 覚しはじめている。(しかしここではS大学の具体的データそのものは検討しない。)

 本稿は、なぜ「表層フィルター」が移動変形規則の適用によって生じるトレースの独立した論 理機能として「評価の尺度」に釦疾し置きれるかの問題を、ゼロの補文化辞とNP移動の現象か

ら考察し、より具体的には、何を学生・生徒に意識させることが誤生成(miSgeneratiOn)を未然 に防ぐかを報告しようとするものである。後に明らかとなって来るように、文法規貝1」の評価尺度

(eValuatiOn meaSure)は「絶対的禁止」という性質とは異なるものなのである。

1・ゼロの補文化辞[COMPφコを仮定することによってどのような統語現象が解明されるであ

‡  On Leamability of Grammatical Rules OIl        φ一Complementizers and syntax

榊  Koji Takahashi (Department of Eng1ish Linguistics,Nara University       of Education,Nara,Japan)

      一 1一

(3)

ろうか。Chomsky&Lasnik(1977)に提出されたN P位置への. の挿入規則は、Rosenbaum

(1967)以来の Iを変形によって他のNPと置き換えるというモデルと大きく性質を異にする。

Rosenbaum(1967)では次のように定式化されている。

     ω 代名詞交替変形(Pron㎝n Replacem㎝t)

       X㍍…1納舳))…PY

       12  3 4 5  678一■

       1,7,3,4,5,6,φ,8 (ここで[十D]は不定詞楠文を導く補文化辞)

 この交替規則は次例で示され、は〕の[十PR]は形容詞が叙述的に用いられることを表わす。

     {2}a・‡It is likely for us to be ready.(  [li kely for +Sコ)

      b・‡For us to be ready is likely.

      c−We are likely to be ready(on time).

      d.It is likely that we will be ready(on time).

 今ここで考察している統語現象は補文の主語N Pの移動に関与するものであり・本質的には、

Wh移動の判別構造を持つ目的語N Pの移動ないし消去と区別しなければならない(後述)。

     {3〕a・ It is easy for Bill to please Bertha.

      b. Beれha is easy for Bi11to pIease.

     {4〕a・ It is tough to pl ay sonatas on this fiddle.

      b,This fiddle is b㎎h to playsonatas on.

      c・ Sonatas are tough to play on this fiddle.

 いかなる分析法を採るにしても13〕、14〕の目的語の引き上げ(ObjectRaising)が. を現出さ せるために外置(ビxtrapositi㎝)を経由して適用されるというモデルである以上ωと異なるとこ

ろはないと言わなければならない。既に知られているように(cf Lasnik&Fiengo(1974))、

「Tough移動」にせよ「Obj㏄t消去」にせよ、W の外置による現出そgものがまず問題と

なる。

     15〕a.‡It is pretty for me to look at Mary.

      b。‡It is fragrant for me to smell that flower−

      c.‡It is melodious for me to listen to this music.

 逆に、!〃 が外置によって現出されても補文の主語NPが㍉ガの位置に移動できない構造 環境も存在する。これが代名詞交替変形の弱点でもあ孔(更に疑わしいEquiもからんで来る。)

     ㈲a.For]bhn to go is important.《Extraposition>

      b.It is important for John to go.《Subject Raising>

      c一 Jo㎞is impoI11ant to go.

 1important のような形容詞クラスは強い意味的特徴としての法性(mωality)を持ち、この

特質が力7補文化辞や仮定法(subjunctive)環境を形成する物オ構文化辞を許すのであるが、

(4)

      d.It is important that John eo一

法構造(modal structure)とは独立した統語構造が究明されなければならない。

     17〕a.For you to see a doctor would be worthwhile.《外置>

      b1It would be woれhwhile for you to see a doctor.《主語引き上げ>

      c.‡You would be worthwhile to see a d㏄tor.

 本シリー列I〕(Takahashi(1977))の「埋め込まれた主語への制約」で筆者は文主語制約を次 のフィルター方式で把えることを試みたが、そこではゼロの補文化辞の検討はしていない。

     18〕  N P COMP   (COMP→±WH)

 許容されるU一条件としてのフィルター8〕は、㈲、17〕のデータを説明できるが、121の㍉ikely クラスの形容詞構文は説明できない。ゼロの補文化辞㌧OMPφ]のsyntaxは「連鎖助動詞」と 仮称する Catenatives の生成に関与するNP移動の文法であり、18〕のフィルターはWh移動の 文法に属するものであるから、⑧は依然として有効である。更に、補文のNPが主文のNP位置に 移動させられる13〕、14〕の統語現象は、既に述べたように、本質的にはWh移動規則の判別構造式に 従う目的語NPの移動変形であるのだから、本章の直接の対象とはならないので整理にとどめる。

     19〕a. X is easy (for us)㌧for PRO to please Y]

      b. John is easy (for us) [to please]

      c・John is easy (for us)ら[who for]PRO to Please ]       d. John is easy (for us)to convince BiH to tell M白ry that         Tom should meet広、

      e.*John is easy (for us〕to convince Bi11of the necssity that         he should m舵t .

  (9c)は内サイクルで適用されるWh移動によってCOMP位置に達したWh句がここで義務的  に消去されることを示している。(Chomsky(1976):尚、4.で改めて検討する。)

 この段階で、NP移動に伴う誤生成の具体例に学生がどのような判断を下すか見ておくことにする。

     llOa.‡It may this coat appear to be waterproof.

      b.*The fact that it wi11 John be like1y to be away disturbs me.

      c.‡The man who it is Bill believed to dis1ike is here.

      d.‡It has this task been easy to finish.

OOのpredicaセsは本稿の対象となる代表的なものを含んでいるが、(1Oab)の.may や.wHド のM(=Modal Aux)に注目した学生達は次のように修正を加えた。

伍}讐幾二幾線

       (丁教室女子学生)

/続11:l11営:lll:1:1続1二;二1:

       (O教室女子学生)

3一

(5)

 この修正作業で注目されるのは、いずれも が不要な要素であると判断し、更に、Mを主 語NPの右位置へと位置交替を加えていることである。このことは彼女達が次のフィルターを所 有していることを意味する。

     ω‡[NPκ]MNPVP (サイクルは問わない)

 筆者はここで、O⑪の修正は、主語NPと} を交換するのと同じ効果をもたらすことになる と指摘し、Emonds(1970)以来の「構造保持」の原理の一つを次のように与えた。

     ωa− NPの移動は[Np e]のノードに帰着すること。

      b.文中のNP位置が経験的に支持される成分配置図によって与えられること。

(10c)の修正は、両教室ともに問題なく行なわれた。

     盤劃   (=1O c)

/:練二11二111i㌃、liし1:線ニニ:線ご二

(13c )の受動化された形式は「APの形成規則」の具体化であり、筆者は be−passive を「連 鎖助動詞」のクラスに組み入れようとするが、ここで興味を引くのは(13c)の1believ記 と、

.dislike の右位置に主語NP(=Bill)を入れようとは、彼女達がしないという事実である。我々 の「トレース理論」は言うまでもなく(13)には受動化に伴うNP移動のトレースと、関係節化に伴

うWh移動のトレースが夫々のNP位置を占めていることを予測するのであるから、学生の判断 と完全に一致するわけである。

     岨④   (=13cつ

        The man who Bill is固ieved [Np々コto dis1ike [Npりコis here・

      (ここで[Np々]はBillの、[Npり]はthemanの各トレース)

(10d)の修正として、l13〕の他に[Npthistask]を finish の目的語位置に入れる学生もいた。

 Z ゼロの補文化辞[COMPφ1は文主語制約に従わないNPの移動に関与することを前節で 吟味したが、COMPの展開規則を次のように拡大することになる。

     ㌧一げ/

 φの形容詞補文における機能を検討する前に、Rosenbaum方式とは異なる.Iゼの挿入規則 を見ておかなければならない。

     l1⑤次のNP位置に を挿入すること。(Ch㎝sky&Lasnik(1977))

㎜川)冊)

、・1(ここ一・一㎏・一・一)

 規則O⑤は の持つ選択上の特質を表わす語い挿入規則(lexical insertion rde)であるが、

その義務的性質は「表層フィルター」として解釈し直すことも可能である。

(6)

     1珊a. It is illegal [fol=John to take pa耐]

      b.It is likely [that John will take part]

      c.}It is㏄rtain [John to take part]

      d. John is certain [totake part]

      e.‡Jo㎞is i11egaI[to take part](for消去の後)

      f.It is unclear [what to doコ

 一般に形容詞句が通常の述語位置(predicate positi㎝)に生起する句構造は次刎8〕で与えられ

るが、

     u8〕    NP is AP

このAPが十WHや明白な表層補文化辞を有する補文をとる時にNPが を挿入されることにな るというモデルに立つならば、ωの修正は当然行なわれることになる。(17a)は「It挿入」の他 には一切の変形が関与していない場合であるが、既に前論文で考察した「総合文主語制約」によっ て次の文は誤生成(miSgeneratiOn)となる。

     (19〕a.まJohnisillega1サtotakepa戊.(=(17e)まはJohnのトレース)

      b.‡Who is it illegal(for)サto leave?( はWhoのトレース)

⑲は共に。⑭のフィルタ によって排除されることになるが、

     ②⑪ ヰ[ NP to VP]:旺条件はαが[一N]と下接(subjacency)

         α

筆者がこのシリーズ前論文で示唆した. の不可侵性(sanctuary)から、(17c,d)の主語位 置には本来、何等の語い挿入もなされずに空結節[NP eコを保ち・この空結節を補充するNP移 動規則が義務的に適用されることになると考えられる。ここまでを整理すると次のようになる。

     口1〕明白(overt)な補文化辞が表層に生起しないとき、 〃 は挿入されず、主語NP       が空のまま残り、「構造保持」の原理によって補文の主語NPがその中味(content)

      と共にこの空結節を補充し、許容される拘束照応形式をとるに至る。

N竺hntotake・aれ]

規約e1ゆら次のデータの文法性は容易に判別されることになる。

    ・⑳a.ヰItiscertain [φJohnto1eave]

      b、‡Who is it certain [φC to leave](CはWhoのトレース)

ここで注意しなければならないのは、e11によって生成される文が(23b)の一般フィルターから自 由であるという点と、(22b)の非文がゼロの補文化辞と一 との共起に原因しているという点

である。

     ⑳a. Johniscertain [φ totakepartコ(二17d)

      b.‡ [一N]COMPサ

      c・.[十Nコ[COMPφ]  (形容詞のカテゴリー素性は十Nと十V)

問題は従ってフィルター⑫Oとの統一を[COMPφ][[NPサ]to VP1の領域でどのように解決す

るかに絞られることになる。義務的に適用されるNP移動が規約酬によって行なわれた後の成分

(7)

配置図が許容される成分図であるかどうかの問題であるが、チョムスキー・ラズニクの解決方法 はゼロの補文化辞にカテゴリー素性を認めるというものである。[十V]の素性を持つ動詞と形容 詞に下接する文脈で、ゼロの補文化辞がトNコという動詞と前置詞に特徴的なカテゴリー素性 を獲得するという提案である。

     ②Oa φ一一→[一N]/[十V]      (P473)

      b・φ一→トN]/[COMPφ]サ (これは(24a)の別解釈)

 フィルター⑫⑪については独立した筆者の考察(1978)があるが、②ωの素性獲得規貝■」がどこまで 説明力を発揮できるかが問題である。

     固一a・It is likeIy that John will take part. (=17b)

      b. It is1ikely[φJo㎞will take part]

      c・ヅlnwilltakepaれ](時制文制約(TSC))

      d竺㎞tot荻e・a廿]

     /:1,t篶::幾練熟、.

     lll;に徹幾練㍑llllll二1㌘.

        (ぴJohn w111 m al111ke11hoαi take part m the project)

 .probable は likely と同様に文修飾語(sentence modifiers)としての性質を備えている が、(25f)に至ってこの系列がくずれるのは何故であろうか。

 移動規則適用の領域(domain)が(有界)下接の条件(Subjacency)に従うとき、次の配置図 における標的項(target)のNPは、移動先の文脈項(context)のNP位置に移動することが不

能となる。

     吼[C .岬}」X 1ご二1∴、よ環ノ.ト)

 「連鎖助動詞(Catenative−Aux)」の生成にもこの条件が当然生かされるとなると、(25f)の 原因は一つにはこの点に求められる筈であ孔

     ⑫司a・NP seems ら[COMP φ]Jo㎞to be an exce11ent student]

      b.John seems to be an excell㎝t student.

     ⑫動1a・NP.seems[言[c0MPφ]NPI to be certain匡[c0MPφ]John to win]]

      b・NP.seems[…[cOMPφコJo㎞to be certain[…[c0MPφコ to win]]

c・Jo㎞s㏄ms [§[COMPφ] ・to be c航ain[§[COMPφ]c,to win]]

        (ここで〔NpJo㎞]がちを拘束するとき、CIをも拘束する)

     ⑫9 ‡如hn seems to be probable to win l (〆25f)

(25f)が生成されなければ鋤での複トレースの正常拘東関係が途中で切れることになり、㈱の・B

循環樟節が(im)probable一,(im)possible等のNP前置を許さない、と考えられる。この阻止ノー

(8)

ドBの構造が複雑名詞句(Complex NP)であると仮定するとどうであろうか。

    制一a. NP is probable NPS

      b・N竺ntowm]]

       (   (

 しかし㎝が支持されるためには、(30a)のAP NP Sの構造が独立して英語に認められるこ とが言えなければならない。「文法規則の組織化」の作業のこれは基本的論理である。

 Chomsky(1978:筆者への直挙論文)は核文法(Core grammar)の構成に新しく「拘束条件

(conditions on bindi㎎)」を加えるものであるが、本稿との関連で重要な示唆を与えるものである。

    制〕可能な形容詞補文のクラス       ①制御(COntrOl)形容詞          John★as lucky[PRO to winコ       ② 引き上げ(r射Si㎎)形容詞          John is certain[c to win]

      ③for,that補文化辞つき形容詞

       a. 畑hn is eager[for Tom to win]

       b. Jo㎞is sorry「that Tom won]

     働一不可能な形容詞補文のクラス(ADJの種類は問わない)

      a.‡Jdm is ADJ[Tom to VPコ(cf.(3エ①))

      b.㍉t is ADJ(for NP)[Tom to VP]

      c.}John is ADJ of NP[Tom to VP]

      d.‡it is ADJ of NP[Tom to VP]

 (32b,d)は規則1⑤から導かれるフィルターによって阻止され、(32a,c)はゼロの補文化辞であ りながらNPの前置移動が働かない構造環境、即ち、主文と補文にいずれも語い項目主語(lexi−

cal subjects)が生起した環境になっていて、規約伽〕に違反する。⑫を統一する説明は⑬によって 与えられる。

     ㈹ 基底レベルでADJはNP+S形式の補文を生成しない。

 ここで㎝の仮説は否定されることになる。(25f)、四1の原因の統語形式上からの説明は、再び、

規則㈹に求められると思う。

     制 主文のNPが空であるとき、主文の形容詞の循環補文の補文化辞も空である。

        [NPe]ADJ[S[C0MPe]NPtoVP(ここで[cOMPφコ=[C0MPeコ)

(im)probable 等の形容詞はゼロ以外の補文化辞をとり、「総合文主語制約」によって補文の主 語NPは移動できない。(25g.h)はこの方向の正しさを示している(後述)。

 3.受動化の二段階NP移動説に残されている問題はA煕nt NP後置にかかわるものである。

受動化はAP形成規則、として次のように定式化されている。(Chomsky(1977))

      一 7一

(9)

鯛a.

 b.

 C.

d.

Bill was hit byわ止m.

[SCOMP[S[岬Joh・][・・b・[・・㎝[・・hit[喝Bill][・・b・[喝・]コ]]]ココ らCOM・[・[・R・][・・㎡[・…[…it[・弓・il11[・…[岬1・㎞11111〕1   (ここで許容されない空の(unfi11記)名詞句ノードが残される)

宅COMP[s[喝Bill][vpbe[Apen[vphit[N弓e][ppby[NR Jo㎞]]]]]]]

      (ここでトレース[喝e]は先行詞[喝Bi11]によって適正拘東を受ける)・

 ゼロの補文化辞をとる.seem .ceれain と通例受動構文をとる動詞、た・とえば believe とは パラレルな成分配置図を持つ。母体文主語(matrix subject)のNPカ子コリーが語い項目によっ て充足される次の二つの操作が共通に認められるからである。

a.

b.

C.

d1

[NP is A,jective k COMP Sココ It is ceれain that Jo㎞wi11come.

It is believed that]bhn will come.

John is certain to come.(cf.211)

John is believ刮to come.

}(1t一挿入)

}(・・前置移動)

 ゼロ(空)の楠文化辞を仮設するNP移動が受動化に拡大されるためには、 ㈲から疑わしい Ag㎝tNP後置を除き、次の一般成分図を両者に与えればよい。(卯ブレーズには「行為者」以 外の意味解釈がいくつも出てくるからである。)

     例a. [Np e]seems[Sφ[s Jo㎞to be a nice免11ow]コ

      b・ [NP e]is[AP believed[Sφ[S John to be a ni㏄fe11ow]]]

      c 畑hns㏄ms[・川。比anicefellow]/(。f.(泌・))

      d. Tohn is be1ievedら φサto be a nice fe11ow]

 先に受動化(Passivizati㎝)は形容詞句(AP)形成規則であると述べたが、変形規貝11には句 構造規則からは出て来ない新しく構造を建てる(stmctme−building)操作が原理上認められない のであるから、(37b)が基底で与えられることになる。他の構造面の学習が複雑化するときにも、

この点を指導者は心得ていなければならない。(37c,d)をパラレルに学習者に提示すれば、学生 の「卒業論文」にしばしば見られる次のような誤生成は防ぐことが出来る。

     ⑰⑭ ‡This thesis is seemed to be on the right track.

 ここでも「評価の尺度(eValuation meaSure)」が文法規則の適正な組織化にあらかじめ備わっ ているのである。

 本稿が受動構文をもCatenative−A岨に組み入れようとする目的で進められている乙とは既に 明らかであるが、受動化を許さない動詞群の性質を(31③)とめ関連で検討して行㍍

     個9a、事John is Preferred to take parユ.

      b. John is wanted to take pa111.

      c、‡John is desired to do it,

      d.‡Johnis hated todoit.

制に見られる願望動詞(Desiderativeverbs)がAP形成規則(=Passive)を拒否するのはこ

(10)

れらのクラスが∫07補文化辞を持っているからであり、この は派生の過程で顕現する。

      Ol a.I would Prefer(for)Jqhn to do it.

      b.I would hate(for)John to do it.

      c.I want vew much for John to cOme−

      c{‡I want very much John to come−

      d.^Itis1 ㎞lyわ「himt.suc説d.}(・f.・・)

      e.*It is probable for him to succ胱d.

一方、「連鎖助動詞」を構成する認識動詞(Epistemic verbs)は逆に∫〃補文化辞を派生のいか なる段階においても欠いている。(Lightfoot(1976))

     ㌧榊…/瀞卜商・

      b.*I be工ieve(very much/sincere1y)for John to be poPular.

 従って(39a)の基底構造は次のように規定される。

     幽 〔NP・]i・[APp・・f・…d[Sf・・[sJ・h・t・t・k・p・れ]]]

prefer クラスの動詞は!believe クラスの動詞と異なり補文化辞力7をとり、これがNP前 置を阻止するものと考えられる。ωの基底成分図は皿6〕を満足するから iポが挿入される。

     {⑬  It is preferred for J⊃hn to take part.

 ある動詞群が補文化辞∫〃をとるというとき、その動詞の派生名詞(dedved nomimls)もパ ラレルに前置詞∫ をとることが言われなければならない。鯛の受動化不能の動詞群の名詞形は ωに加えてこの性質を持っている。

     ωlll:;1:1:;:練、。_い/(…)

      b ㎞「p「e危「en㏄fo「wi㏄  /(・f.(舳

      b− her preference for wine to be available       c. have a hatred for NP (cf.(39d))

逆にωの受動化による「連鎖助動詞」を生成する動詞クラスにはこの性質がない。

     145〕a.‡her belief for Gαヨ

      }(・f.(・1b)

      a二‡her bel ief for John to be Popular

      l;:1二11二::二:l1貫;幾、㎞㎞舳、/化f・(ω)

しかし固のクラスはthat Sを文名詞の一部として連続させることが可能であるから、㈲の系列 の問題は、補文化辞がゼロか力7かの選択に帰着することになる。

 4.Catenative−Auxをめぐる以上のようなメタ・レベルにおける生成文法の説明力は学生の 実際の記述能力とどのように関係づけられるであろうか。

      一 9一

(11)

     ㈹ 次を英訳せよ。

        彼の受けた印象はとても新鮮だなどと言えるものではなかった。

     ㈹ 学生解答実例

      ①Theimpressionwhichhehadreceivedfromthesc㎝ewas

        far from fresh.

      ②‡Itwasfar丘。mfreshthathehadr㏄elved此mp説slon        (N教室男子学生)

(47②)を提出した学生に、1fresh を一1ikely に置き換えさせたところ、この構造(②)がll⑤の 適用を受けない(‡fresh that S)構造であることをすぐに納得した。

      ③Itwasfarfromhkdythathehadr㏄eiv刮theirnpression.

㈹の 挿入規則が適用される構造環境はsが「コト型」になっていて、「モノ型」構文の主 文の主語位置は基底で具体的語い項目がこれを充たしていなければならないことを意識し直した

ことになる。従って㈹の定式化そのものに弱点はない。

 「連鎖助動詞」が文字通り複数箇に生成される場合せどうであろうか。

     幽〕a.People were supposed to have been㎝r刮.(cf.㈱〕、鵬〕)

       d蘭ired

・・1・…1・・…{…虹・刮}t・・…㎏・・㎝・…

decidαi

 (犯b)の異常性についてクラスの全体に近い学生が同じ判断を示していることは、これらの動 詞群が何らかの原因でNP移動の「橋渡し(bridge)VP」にならないことを彼等は「知っている」

のである。

 19〕の.easy タイプの補文の目的語NPの移動も究極的にNP移動に関与していることが証明 されれば、これは望ましい一般化に貢献する。Catenative−Auxを形成していると直観的に認め られる次の㈹は従来6①の生成過程を与えられていた。(cf.ω、制、14〕)

     一側  H…tried to be easy tO Please.

     側1a・ He tried[Sit to be easy[S [NP eコto Please he ]]→Objec卜Shift       b−Hej tried[S he1to be easy[S[Npe]to please]→Equi(同一名詞句消去)

      c・ He tried[NP ]to be easy to please・

この構造をWh一移動に由来するとするChomsky(1976)の分析で、本稿にとって重要な論点は

I

?≠塔W補文の補文化辞の領域内でWh一句が義務的に消去されるというところにある。

     61}a. John is easy (for us) [to pleaseコ

      b・John is easy(for us)[S[C0MP who for]PRO to Please f]

       φ!

      c.  ‡ [for−toコ

(51a)の補文サイクルは一切の変形適用が終了しているが、この補文が主語Johnについての命題

であるという解釈を受けるのは、これまでの考察の路線上で説明可能なことを示唆している。

(12)

即ち、(51b)でのWh一旬消去はこの補文化辞にゼロの機能を許し、(51c)のフィルターと共にNP の通過移動を空の主語位置まで許すと筆者には考えられる。(cf.刎)

      d・[NP・1i・…y(f。…)k[c0MPφ]t・pl・…J・㎞]

このような移動回路の可能性は㈹に拡大できる。記述レベルでは.try を ツVPと下位区分 できるが、メタ・レベルでは. try が深層で語い項目を付与された主語を持っている必要はない。

.一

ヲ のように主文と補文の二つの主語が同一主語でなければならないという制約(like−subject ConStraint)を受けながら、なおも受動形式や.bappen 構文の埋め込みを自由に許容するフレディ

ケットが存在するからである。

     {鋤a, John tried to be easy to pl ease.  (=與9)

      b.John was Iucky to be easy to please.

      c.Jo㎞was lucky to be se1ected by the committee−

      d.‡John was lucky for the commit幟to select him.(cf.(31②)

      e.John was lucky to happen to be selected by the commit睨。

以上の考察から(52a)の基底構造を制と決定することになる。

     ㈹[NP・lt・…t・yk[c㎝〜φ]f・・㎜t・b・…yES[㏄MPφコf・・㎜t・pl・…J・h司]

醜に設定したPROの性質と、Johnの移動によって残されるトレースの性質とは同一サイクル内 で衝突(COn舳Ct)することはないのだから制から生成される表層構造は適正な拘束照応形式をと ることになり(cf.(28c))、131〕の可能な形容詞補文のクラスの①、②は本稿での「連鎖助動詞」

に受動構造と共に組織化され総合されることになる。

 ゼロの補文化辞のSyntaXは、より抽象化を進めるならば人間の認識能力にかかわる構造の内 心性(endocentricity)と外心性(ex㏄entricity)の問題にまで及び未開拓の分野が多く残されて

いる。本考察を統一する「表層フィルター」は04のU一条件であり、文法原理の自律性と共に本 来的に「評価の尺度」を具備しているのであって、S大学方式の「実験」データがこの点に全く 考慮を払っていないことに改めて反省を求めたいと思う。

       (25November1978)

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参照

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