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Lewis酸触媒を利用した新規分子内Alder-Rickert反応によるフェノール類合成法の開発とその応用

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Academic year: 2021

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論文 内 容の 要旨

Alder-Rickert 反応は一般に 1,3-シクロヘキサジエン及びアルキンから Diels-Alder 反応により生 じるビシクロ[2.2.2]オクタジエン中間体を経由して、オレフィンの脱離を伴った retro-Diels-Alder 反応が進行し、一挙にベンゼン誘導体を生成する反応であり、様々なベンゼン誘導体の合成に応 用されている。例えばフェノール誘導体を合成する場合、3-シクロヘキセノン誘導体 1 からジエ ノールエーテル 2 へ変換し、アルキンとのビシクロ[2.2.2]オクタジエン中間体 3 を経由した Alder-Rickert 反応により、フェノールエーテル 4 を得た後、フェノール誘導体 5 を得る方法が一 般的である (Scheme 1)。 H2C CH2 HC CH -O OR OR OH RO Scheme 1 1 2 4 5 Alder-Rickert reaction 3 R R R R R 1. エノール化を経由した分子内Alder-Rickert反応によるフェノール誘導体の合成反応の開発1) 申請者は、分子内Pauson-Khand反応を用いた三環式化合物 7 の合成を目指して検討を行ってい た (Table 1)。すなわち、2-シクロへキセノン誘導体 6aに対し一酸化炭素雰囲気下、[RhCl(CO)2]2、 AgOTf及びP(C6F5)3存在下、トルエン中 100 ℃にて反応を行ったところ、予期していなかったフ ェノール誘導体 8aが 56%の収率で得られた (entry 1)。この様なフェノール誘導体の合成反応はこ れまで報告されておらず、8aの収率を向上させるため、反応条件の検討を行なった。2-シクロヘ キセノン誘導体 6aに対しトルエン中 100 ℃にて[RhCl(CO)2]2 、AgOTf及び配位子として

P(2-furyl)3を用いた場合に最も良い収率 (81%) で 8aを与えることが分かった (entry 2)。さらに反

(2)

応温度を 80 ℃にして反応を行なったところフェノール誘導体 8aが 37%の収率で得られると共に、 ビシクロ[2.2.2]オクタジエン誘導体 9 が 11%の収率で得られた (entry 3)。このビシクロ化合物 9 に対してトルエン中 100 ℃にて反応させたところ、フェノール誘導体 8aが 90%の収率で得られた。 また本反応においてロジウム錯体はルイス酸として作用していると考え、種々のルイス酸を用い て反応を行なったところ、In(OTf)3を用いた場合においては 61%の収率で 8aが得られた(entry 4)。 従って、本反応に有効な触媒はRh(I)錯体及びIn(OTf)3であることが明らかになった。 O E E E O O E E E 7 6a (E = CO2Et) conditions + + entry conditionsb 8a 9 3a method C 37 4a method D 61 0 7 0 11 2a method B 0 81 0 1 method A trace 56 0 0 toluene 12 h yields Table 1

a All reactions were carried out under an Ar atmosphere.

b method A : [RhCl(CO)

2]2 (5 mol %), P(C6F5)3 (20 mol %), AgOTf (40 mol %), CO (balloon), 100 °C

method B : [RhCl(CO)2]2 (5 mol %), P(2-furyl)3 (20 mol %), AgOTf (40 mol %), 100 °C

method C : [RhCl(CO)2]2 (5 mol %), P(2-furyl)3 (20 mol %), AgOTf (40 mol %), 80 °C

method D : In(OTf)3 (10 mol %), 100 °C

(3)

2. 3 位にアリール基を有する 2-シクロへキセノン誘導体を用いた 4-フェニルインダン誘導体の 合成2) 次に、本反応の有用性を向上させるため、次に 3 位にアリール基を有する 2-シクロへキセノン 誘導体 12 を反応基質として、様々な生物活性化合物に含まれる 4-フェニルインダン誘導体 15 の 効率的な合成を行うことを考えた (Scheme 3)。 O CO2Et OH CO2Et OH CO2Et LA 12 13 14 15 O R R R R - H2C CH2 - LA Scheme 3 Lewis acid (LA) LA 4-phenylindane unit CO2Et まず、アリール基の効果を考察するため 3 位に置換基を持たない 2-シクロへキセノン誘導体 6b に対してIn(OTf)3 (20 mol%) 存在下、トルエン中 100 ℃にて反応を行なったが、得られたフェノ ール誘導体 8bは低収率 (15%) であった。3 位にフェニル基、3-メトキシフェニル基を有する 2-シクロへキセノン誘導体 6e、6fを用いた場合、4-フェニルインダン誘導体 8e、8fの収率は 40%、 39%に向上した。さらに、3 位に 4-メトキシフェニル基、4-フルオロフェニル基を有する 6g、6h を用いた場合、フェノール誘導体 8f、8gの収率は 8%、24%に低下した。3 位に 4-エトキシカルボ ニルフェニル基、1-ナフチル基を有する 6i、6jを用いた場合、フェノール誘導体 8i、8jの収率は 55%、74%へ向上した。以上の結果から、反応基質である 2-シクロへキセノン誘導体の3 位に、 より長い共役系を持つアリール基を有する場合、

4-フェニルインダン

誘導体の収率が向上する ことを見出した。また、6g、6hを用いた場合、メトキシ基やフッ素の正の共鳴効果により、6g、 6hのα,β-不飽和カルボニルを安定化するため、ジエノール中間体 16 の形成が困難となり

4-フェ

ニルインダン誘導体 8g、8hの収率が低下するものと考えている。

O OH CO2Et R R CO2Et 6b, 6e-j 8b, 8e-j OH CO2Et H 8b OH CO2Et 8e OH CO2Et OMe OH CO2Et CO2Et 8g 8i OH CO2Et 8j 12 h, 15% 63 h, 40% 40 h, 8% 40 h, 55% 40 h, 74% Scheme 4 toluene, 100 °C In(OTf)3 (20 mol %) OH CO2Et 8f 40 h, 39% OMe OH CO2Et F 8h 40 h, 24% Products, Reaction times, Yields

OH

R

CO2Et In(III)

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3. Incargutine A及びBの全合成と構造の訂正3)

Incargutine A (17) 及びincargutine B (18) は 2009 年Zhangらにより、 中華人民共和国西南部の標高 1400-2700 mの高地に生息する多年 草Incarvillea argutaの根から単離された抗腫瘍活性を有する 4-フェ ニルインダン構造を持つ天然物である (Figure 1)。それらの構造は スペクトルデータよりFigure 1 に示すように提唱されている。申請 者は、前述の 4-フェニルインダン誘導体の合成反応を利用した 17 及び 18 の合成研究を行なった。 エノン 19 とヨウ素化合物 20 とのアルキル化によりシクロへキセノン 21 を得た後、4 工程でエノ ン 22 を合成した(Scheme 5)。エノン 22 に対して 20 mol %のIn(OTf)3存在下、キシレン中 130 ℃

(5)

らかにすることに成功した。

【研究結果の掲載誌】

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(7)

参照

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