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平均課税の一考察

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(1)

平 均 課 税 の 一 考 察

目   次

一︑一般 的 背 景

︵ I ︶ 年 次 課 税 の 長 所

︵ Ⅱ ︶ 年 次 課 税 の 短 所

︵Ⅱ︶期間単位の問題点

二︑所得平均化の方法

︵ I ︶ 平 均 課 税 の 定 義

︵ Ⅱ ︶ サ イ モ ン ズの提案

︵ Ⅱ ︶ 平 均 法 の 種 類

︵Ⅳ︶各種平均法の統計的吟味

紺 税  収  面

回 納税入口への影響

用 所得の再分配効果

呂 所得と納税額の関係

平均課税の一考察

一 五

(2)

経 営 と 経 済

一 五

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(I

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(E

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納税額の計算法

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(町)累積平均法の特質

付)

所得と納税額の関係

( ロ )

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課税の終結時

課税継続期間

五︑累積平均法の問題点

(I

)

年次法︑累積平均法︑加霊平均法の吟味

(E

)

累積平均法の長所

(3)

(班)累積平均法の短所 ( 町 ) 加 重 平 均 法

(V

)

加重平均所得

(日)課税額の決定

(刊)加霊平均法の特色

(咽)加霊平均法の問題点

六︑結

吉 川 ⁝

一 、

般 的 背 景

近年︑国税収入のうちで個人所得税(所得税)の占める比率が︑非常に大きくなっている︒乙﹀でわが国を例にと ると︑昭和三十五年皮の国税収入のうち︑二二パーセントを所得税が占めている︒

最近の各国租税収入中所得税の占める比率は大要次の如くなっている︒西ドイツ二六パーセント︑フランス一七・七

アメリカ四八・七パーセント︒以上のように︑各国ともかなり大きな数字を

一万欧米諸国ではどうかと云えば

ノ f

/

イギリス四二パーセント︑

示しているが︑特にアメリカの如く実に五割近くを占めていることは注目に値いする︒

アメリカで述邦税収のうち︑個人所得税が大きな比率を占めるに至ったのは︑最近二十年間のことである︒即ち︑

一九一五年には八・九パーセントであったが︑その後逐次増加し︑

O年には二七・五パーセントとなった︒

九三五年には商品税の比重が大きくなったため一三・一パーセントへ下がったが︑

り 臼

一九四五年四0

・二パーセントと急増し︑先にみたような結果となっている︒アメリカでの所得税中心主義は︑今後

O年二七・八パーセント︑

平均課税の一考察

(4)

経 営 と 経 済

一 六

O

も強まる傾向があり︑例えばピユキヤナンは︑

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推計している﹁所得税中心主義への移行は︑アメリカに限らず︑他の諸国においてもその傾向が強いようである︒

ほとんどすべての国において︑所得税には累進税率が適用されている︒また︑徴税方法は︑ 一九六一年度の連邦税牧のうち所得税牧入が五二パーセントになると

一年間の所得を

基準として課税する年次課税(以下年次課税法︑年次法とも記す)である︒所得に対して年次課税を行い累進税率を

適用することは︑従来からの慣習となっている︒しかし︑そこには幾つかの間題が生じる︒

この小論は︑所得税の徴収方法に関して︑若干の考察をめぐらし︑平均課税(以下平均課税法︑平均法とも記す)

に言及する︒平均課税法は所得の平均化期間を設定し︑期間内の所得の変動を調整して課税する方法である︒課税目

的として所得の平均化が要請される理由は︑以下本節の取扱う題目である︒

( I )

年次課税の長所

現行の所得税制度のもとにおいては︑課税は一年間の所得を基準にして決定される︒経営純損失の繰越︑繰戻を除

それに先行する年︑或いは後続する年の所得と無関係に取扱われる︒乙の年次課税法による利点は︑次の二点に要約されるであろう口

税額計算が単純で︑かつ容易である︒またある年の所得に対す税金は︑ いては︑如何なる所得もその年度の所得のみが課税対象となり︑

()

一定期日までに納付され雨後に勘定が

繰越されない︒このため︑課税事務上の煩雑が避けられる口

j

ラツゲ

(時期的不一致)なしに︑所得が生じた年度のものを客体として決定される

D

このように年次課税法は︑税務行政当局︑納税者双方にとり確かに便宜な万法である︒またフイスカル・ポリシー

適用しておるので︑ の立場からみても︑重要な役割を演じている口即ち︑現在所得課税についてほとんど総ての国において︑累進税率を

に U

ある程度の景気対抗的効果を挙げている︒その牧入に自動伸縮性の作用がともない︑

(5)

( E )

年次課税の短所

以上の長所を有する反面︑年次課税法では︑課税計算期間が一年間という短期間であり︑また累進税率が適用され

るという事情に起因して︑制度上︑欠陥もある︒これには︑大体︑次の三点がある︒

円 ︒

第一に変動所得のある人︑殊に比較的短期間に所得が激しく変動する人は︑安定所得を有する人と比較して著しく

t

不利に取扱われる︒即ち︑変動所得者は不当重課(ロg

5ロ)を強制されている︒

一年の計算期間が厳守されているために︑納税者にとって

)

負の所得(損失)は正の所得(政入)によって相殺されない︒

所得控除が制度上認められていても所得がなく︑

口 ︒

準以下の年にはこの利益を亨受しえない︒ むしろ損失のあらわれた年︑或いは所得額が少くて︑控除水

第三に︑税率変更というファクタァを導入すれば︑高率課税の年に高額所得のあった人は︑低率課税の年にそれと

同額の所得のあった人と比較して︑前者は不当に重課される口

第三に上げた年次課税法の欠陥を意識的に悪用すれば︑容易に租税を回避することができる︒即ち︑

税率変更の相互作用に起因する不公平ωため:::所得の実現時期を移転できる納税者は︑租税回避を行うことが可能

o d  

である

c

もし体系的な景気対抗的課税政策が企図されるならば︑この不公平は重大さが増すであろう4現在︑所得の

実現が非常に怒志的に納税者に委されていること﹀結びついて︑年次課税法が租税回避を容易ならしめていることは

既にヴイクリイ等の鋭く指摘しているところである︒

( E )  

期間単位の問題点

次に課税の対象となる所得が元来︑間断なく生成しているフロウであるのに対し︑課税をする場合には一年という

平均訣税の一培察

一 六

(6)

経 告 と 経 済

J.... 

/

時点で区切って計算が行われているが︑このことの当否が問題となる︒一年間をもって課税計算の期間単位とするこ

この期閥単位を変更して所得の平均化を企とは︑従来慣習的に踏襲され︑余り異議がとなえられていない︒むしろ︑てる万が奇異に感ぜられるかも知れない︒

併し実質的には︑現在一般に課税計算の基準となっている一年というのも︑一つの平均犯の期間であるということ

ができよう︒即ち︑ご税年間の個人所得のフロウの変動は︑税額決定に際し調整が行われる︒季節的な所得変動が

乙の平均化は望ましい︒さもなければ累進積率は︑納税者が︑前の半年は金持ちに︑後の半年は貧乏

人であるかのように︑これを取扱うかも知れない﹂

ホウルトは︑季節変動の観点から︑現行の年次課税法においても所得の平均化が︑ある程度まで行われている事実 多くあるから︑

を指摘しているが︑しかし一年の期間単位では所得の平均化の目的を十分には達成されないと述べている︒即ち﹁一

年は所得稼得活動の期間を十分に包括し得ない期間である・:・:吋公正な﹂税額を決定するのにふさわしい支払能力の

信頼できる数字を得るには︑平均化期間は生産活動と関係ある高所得年と︑低所得年との両者にまたがらなければな

らない﹂と説く︒彼はその典型的な例として︑牧場の新規経営をあげて︑この新しい職業に習熟する場合に︑数年を

必要とするとしている︒乙れは単に牧場経営にのり出すことに限らず︑景気伯環の一つの波を平均化するにしても︑

i六年の平均化期間が必要とされよう︒

税法上で﹁怒意的に割りふられた期間﹂である﹁一年﹂を単位とする年次課税法の﹁その唯一の長所は︑

(

に他の人より過当な課税を行なう℃とにより)税収を増大すること︑並びに税牧見積という名の組雑な統計的推測遊

4

斗工ιや﹀簡単にすることである﹂とさえ極言するものすらある︒

( 1 )  

大蔵省︑税制基礎資料集(昭和三五年版)より口

(7)

( 2 )  

阿 川

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( 5 )  

税収における自動伸縮性に関しては︑

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岡 山

同簡単に云えば給与所得者は安定所得を有し︑商・ヱ・農業を蛍む者及び文筆家︑芸術家︑芸人︑山林所有者等は変動所

得を有すると一広い得ょう︒併し個人所得の構成要素の中に帰属所得(心理所得とも云う︒例えば自宅所有者は家賃を払

う必要がないが︑この場合︑家賃に当る額が所得としてその人に帰属したとみなす︒乙の工うに︑実際に貨幣の形によ

る所得としては現われなくとも︑実質的な所得を帰属所得

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︺という︒)現物給与︑利子︑波価償却︑

( 7 )  

資産設波利得︑資産譲渡損失︑法人尚保︑遺贈等を含めて考える論者(サイモンズ︑グローグス︑グイグリイ︑マスグ

レ イ グ 世 一 一 日 ) の 見 俳 を と れ ば ︑ 給 与 所 得 者 も 大 き な 変 問 所 得 を 有 す る と 云 与 え よ う ︒

ある納税者の五年間の所得一品に非常な程度の変劃が生じ︑例えば控除後の純所得が︑第一年目は二 O 万円︑第二年目は

一 O 万円︑第三年目は一二 O 万円︑第四年目は皆無︑第五年目は二 O 五万円だと仮定する口乙の人の五年間の納税総額

は︑昭和三十五年度の 1 わが国所得税法に土り計算すれば一 O 一万五千円となる︒ただし第三節(町)で述べる変動所得の

氾用を受けない時である︒一方︑五年間に豆り控除後の純所得が毎年入 O 万円あったものの場合には︑所得総額は前者

と同額であるにもか L わらず︑納税総額は八 O 万 円 と な る ︒

このように変動所得者は︑五年間に︑安定所得者と比較して一一一万五千円を余計に納税することになる︒乙の不必平

は︑単に課税計算期間を五年間とするだけで消滅する︒

平均訣税の一考察

一 ‑'‑

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(8)

( 10 )   ( 9 )   ( 8 ) 経 営 と 経 済

一 六

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特 に

第 六

章 ︒

彼は乙の点を指摘した後で︑大要次のように述べている︒

租税回避の対応紫として複雑な税制がつくられ︑またそれを阻止する意図のもとに不当霊課が行われるよラになった D

即ち︑例現在では廃止されたが未分配利潤税︑ ω 減価償却と陳腐化に対す厳格な規制︑不当に多くの剰余を害積ず

る会社への室謀︑景気づけのための空売り︑或いは家族問での販売損失に対する非控除︑一般的な損失控除の規制︑等

である口これらの規制は︑概して租税回避を防止し得なかったのみならず︑多くの場合には︑租税回避の意図がなくし

て偶々法律に抵触した人について非常に苛酷な取扱いをしてきた口 グィグリイ︑前掲書一六五頁)

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二︑所得平均化の方法

( I )  

平均課税の定義

平均法というものは︑変動所得と税率変更の相互作用に起因する年次課税法のもとでの不公平な取扱いを避ける日

的をもって考えられた課税制度である口平均課税肢は﹁ある年の所得への課税が︑他の年度の所得或いは損失と関連

をもつような方法により︑年次境界線を通過する﹂課税法であると定義できよう︒

(9)

( E )  

サイモンズの提案

文献的に探ねれば︑平均課税の必要を早くから唱えたのはサイモンズである︒彼の提案は資産譲渡利得に関連して

行われた︒サイモンズ案によれば九過去五年間の年次課税法による納税額と平均化所得に対する課税額の差が︑

LHパーセントを超過した場合には︑その差額が還付される︒彼は後に︑個人所得税にもこの平均法が適用されるべきで

Qd 

そこでは五年間にこの差が五%以上の場合に還付すべきであると述べている︒彼の論説の骨子は次のよう

所得を数年間に分配することがどれほど困難であろうとも︑これを実行するのは︑納税者及び大蔵省当局にとっ

て非常に主要なことである︒所得を短期間に副当てる所得課税法は︑如何なるものであれ︑十分なものたり得な

バ 吐

ぃ︒平均法は︑精鍛にして機能的な租税構成を建てるに当り︑不可欠な手段であ札叫

( E )  

平均法の種類

サイモンズのこの捉案は︑所得平均化の一万法である単純平均法である︒ところが平均化の技術には︑

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ジャに従い主要な方法を紹介しておく︒ この他に種

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未使用控除の繰越及び繰一民法

法律で認められている控除であって︑その年度で控除し己れない部分︑即ち未使用控除を許可されている期

聞だけ繰一民し︑次いで許溶期間が終了するまで繰越す方法である︒これの変形としての損失の繰越︑繰一民は法

円 ︒

人所得税で行われている吋

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別名︑期間平均法とも呼ばれる︒既述の如く︑この万法は︑たとえば五年間といったように期間を限定し︑

平均諒税の一考察

一 六

(10)

経 営 と 経 済

一 六

その期間内の年次課税による納税額と平均化所得に対す課税額との差を還付または明徴するものである︒

この万法では︑まず一定期間に百一り移動平均期間を設定する︒例えば平均化期間を五年と仮定する時︑平均

化所得は今年度の所得に過去四年間の所得が加算され︑その総額を五で除して計算する︒そして課税額は平均

担)

化所得に対して決定される︒移動平均法は次節で述べるように︑過去において実施の経験がある︒

平均期間内のすべての年の所得が累積され︑この累積総所得が当年の課税標準となる︒累進平均法によれば

当年の納税額は次のように決定される

D

まず︑累積総所得に対して税額が算定される︒次にこの算定された税

額から累積納税総額(前年度までに既約の納税総額)が差引かれ︑残余の額が当年の納税額となる白この制度

のもとにおいては︑当年の所得が激減した場合には租税の還付が行われる︒なお︑ヴイクリイは累積総所得︑

累積納税総額の双方に金利を加算した累積平均法を提唱している︒

(

税率移動平均法

この方法は︑まず実効税率を次の万法によって算定する︒平均期間内のすべての所得が加算され︑この総所

得を平均期間年数で除して︑移動平均所得が計算される︒次に︑移動平均所得に対す課税額(移動平均課税額

)が決定される︒最後に︑移動平均課税額を移動平均所得で除した数が実効税率となる︒この実効税率を各年

の所得に乗じたものが︑各年の納税額となる︒

以上のように︑税率移動平均法は移動平均法の一変型であるが︑計算が複雑なため︑実施に当ってや︑難点

(11)

( 町 )

各種平均法の統計的吟味

スティ!?ャはウイスコンシン州で実胞された移動平均法による課税デイタを利用し︑上述の各種平均法を適用し

て平均課税の効果につき研究を企てた︒彼の方法は︑

一九二九三五年のウイスコンシン州の住民の個人所得を各年

その額に一九五四年度の累進税率と控除水準を適用した︒彼が統計的操作に当って︑上述期間の所得を二倍

一九二九三五年と一九五四年の間にインフレイシヨンが生じ︑物価水準が約二倍に騰貴したからであ

i

ると述べられている︒このように︑

i

ジャは各屈の平均法の吟味に当り︑課税デイタを一九五四年の実状に近

くなるように修正した︒そこには単なる統計的興味だけではなく︑実践的態一反をもってこの問題と取組んだ意欲がう

かゾえる︒しかし︑研究の対象となった期間と一九五四年の問に所得規模︑所得構成に変動が生じていることが考え

られるから︑必ずしも彼の万法が最適であったとは︑にわかに断定し難いであろう︒

彼は修正所得デイタについて次の六万法を泊用して税額の算定を試みた︒

(

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未使用控除の無制限糾越

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五年単純平均法

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五年移動平均法

七年移動平均法

休)

税率移動平均法(実効税率計算期間は七年)

その結果は︑大体以下の辺りである︒

付)

平 均

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一 六

(12)

経 営 と 経 済

一 六

税収面への影響に関しては次のように説明されている︒

﹁多年の長期間において単純平均法︑累進平均法︑税率移動平均法による平均課税制度の下における税政総額は︑

年次課税による税収総額と比較して大体四パーセント以上の差は生じないであろう︒税率移動平均法では約一パ

l

ント以下で逸脱(年次課税での税牧と平均課税での税牧との差額の比率)が最小である︒これらの平均課税制度と年

次課税制度との間に存在する約四パーセントの数字は︑国民所得が安定している期間及び変動の生じている期間の両

者に適用できよう︒未使用控除の五年間繰越は:::五パーセント以上の逸脱を生じないであろう︒五年或いは七年の

移動平均法制度の下にあっては︑多年に百一り国民所得が激しくインフレイ卜したりディフレイ卜した場合には︑同制

皮下での徴税額と︑年次課税制度下で得られたであろう徴税額との問に︑二Oパーセントの差が生じるであろう︒か

ようなインフレイションとデイフレイションが存在しない場合には︑移動平均法での税収額と現行制度による税収額

口 ︒

との差は︑概して殆ど生じなくなるだろう﹂と︒こういう風に税牧額には余り変化が起らないとされている︒

( ロ )

納税人口への影持

納税人口に及ぼす彩響は︑適用される平均課税の種類によって著しい違いがある︒第一表は税差を受けた納税人口

の比率を示したものである︒こ﹀にいう税差とは︑年次法による納税額と︑各種平均法の下での納税額との差額のこ

とである︒なお︑同表の税差額は一九二九

l

三五年の七年間の累積額である︒

第一表に示されているように︑平均課税は多数の納税者に影響を与えるが︑移動平均法の場合を除いては甚だしい

税差を受ける納税人口は少い︒即ち︑それ以外の四障の平均法のもとでは︑0ドル以下の税差を受けた納税人口が

Oパーセント余を占めており︑税差額が余り大きくないことがわかる︒なお︑0ドル以上の税差を受けた約税人

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モデル期間のように所得の激しい変動がない場合には︑第一表より透かに少くなったであろう︒乙﹀でも︑税

(13)

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一左の一度合が最小であるのは税率移動平均法である︒移動平均法のもとでは大きな税差額を受ける納税者数は相当多い

が︑これは所得変動の影響である︒

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所得の再分配効果もまた︑適用される平均法により異なる口スティ

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ジャは︑前述の七種の平均法による課税後の

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ロレンツ曲︐如献を描いて︑各々の再分配効果を調べた︒比較の対象は年次課税の再分配効果である︒その結果はつぎの

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所得の再分配効果

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未使用控除の無制限繰越は約六パーセントの増加

平均課税の一考察

(14)

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単純平均法と累進平均法は約五パーセントの減少

税率移動平均法は約一パーセントの減少

Oパーセントの減少

右じみるように︑再分配効果においても︑移動平均法は最悪の成績であるが︑もし一九二九

l

三五年のように激し

これほどひどい結果にはならなかったであろう︒しかし他の平均法は︑この期間の所い所得変動がなかったならば︑

得が安定していたとしても︑この数字にさしたる変動が生じないであろうとされている口そこで景気対抗的伸縮性の

﹁未使用控除の繰越が最良である︒次いで累進平均法︑単純平均法︑税率移動平均法︑移動平均法の順序

となる口未使用控除の繰越を認める年次課税制度は他の如何なる平均法制度の組合わせよりも所得開力性がある﹂と

の結論を引き出すことができよう︒

件)

所得と納税額の関係

所得と納税額との関係は納税者にとって主大である︒云うまでもなく納税者に便宜な課税制度は︑所得に応じて納

税額が変化する課税法である

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乙の間の関係を示している

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納税の苦痛が最もほしく意識される所得の急激に減少した年︑即ち一九三二︑三三年を基準にして考えれば︑累進平 均法が最も便宜な課税法であると云えよう︒

一九三三年に単純平均法の納税額が急に減少するのは︑五年聞を基準と

する平均効果が︑

この年から現われるためである︒また︑未使用控除の繰越も相当な効果を与えるが︑税率移動平均 法は年次課税と殆ど変らない︒例によって︑移動平均法は惨浩たる結果を示している︒

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以上の結果を要約すれば︑何れの平均法も一長一短があって︑優劣順位を決めるのは仲々容易ではないことがわか る︒研究の対象となった期間のように所得が激しく変動し︑特に一九三二︑三三年の如く三年以前の所得の半分以下

その後の恢復が緩慢な状態にあっては︑移動平均法は最も芳しからぬ成績を示している︒ところで︑年次

課税による税政並びに納税額に最も近い結果をもたらすものは税率移動平均法である︒しかし︑年次課税による徴税 額が妥当であると証明されない限り︑税率移動平均法の序列を上にすることはできない︒更に同法は︑計算が複雑な

平均訟税の一考察

(16)

点から労多くして功少しと云い得るであろう︒但し︑単純よりは複雑を好み︑しかも年次課税とほ

Y似た結果を得た

い人には好適な方法である︒単純平均法は︑計算が簡単で事務上の煩雑さが少いが︑平均化の行われる以前において は年次課税と等しい納税額のため︑平均効果の出現が遅くなる︒未使用控除の繰越は︑ウイスコンシン州の設例にお

いてはかなりの効果を示している︒た三我が国のように︑控除水準が非常に少額の範囲に留まっている情況に移植す

るとき︑その効果は相当に減少するとみてい﹀のではなかろうか︒累進平均法は︑所得が急激に減少する時︑納税者 には好調官であるが︑税収面からは批判が生じてこよう︒また景気が最悪時期を脱して上昇過程にある時は余り有効

ではない︒

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国により差異があるが五││七年である︒

事業所得の損失を利益に位入れる乙とは︑ある部門での損失を他部門で相殺するととができる大企業が小企業より有

利な立場にあるのと同様な効果をもたらすため︑企業家から大いに勧迎されてきた

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(17)

は︑事業の安定した産業と不安定な産業に投資する場合に︑後者への投資者の税痛を軽減させる D また︑平均化は資本

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訟を含めて未使用控除の繰越には消極的︑積極的︑程度の差はあれど賛成するほうが多いようである︒

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平均訣税への反対論は

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所相同容査並びに高務的日制作が簡単だから︑所得税は年次課税のほうが便利である︒

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しかし箆宕は︑乙れら財政的立場︑行政的立匂からなされる反対意見よりも︑むしろサイモンズやグイグリイ等の意

見(本稿一師︑二節︑四節参照)に賛誌を表すものである︒

平均弘税の一法察

一 七

(18)

経 営 と 経 済

前節で平均課税の技術に関して一応の概観をしてきた︒しかし平均課税は︑単なる理論上の構築物ではない︒それ

は既に二︑三実施の経験がある︒そこで本節においては︑平均課税の歴史について簡単に述べてみたい︒

( 工 )

歴史上における平均課税制度の最も古い実例はイギリスに求められる︒同国では一七九九年の所得税創設の際︑移

動平均期聞を三年と規定して︑乙の期間で平均化された事業所得に対し課税を行なった︒しかし︑この方法は平均化

により変動所得を軽減するためではなく︑むしろ当年の所得を評価しやすくするために考案され︑脱税を防止する一

方便であったと考えられる︒

乙の制度の欠陥は︑所得と課税のラッグのために︑高額な税金が所得の減少した後でも徴収されることにより︑納

税が困難となる点だった︒そこで種々の反対論が唱えられ︑その対策が講じられたが︑何れも抜本的な良策がなく︑

一九二六年施行の法律で︑事業所得に対しては損失は前年の所得に繰一民すが︑

残額のある場合には向後五年間の繰越が認められるとなし︑前後七年間の相殺期間が損失に対し許容されたりそれで 一九二六年に至り廃止された︒なお︑

もまだ残額のある場合には︑更に考慮されることになった︒

かくの如く事業所得の課税に際して三年移動平均法が百二十余年の長期に亘り実施されたが︑

遂に総年数七年聞に及ぶ繰越︑繰一民制度で損失を平均化して相殺するという方法に変った︒ イギリスの経験は︑

( E )  

オーストラリア

オーストラリアでは一九二三年に︑その年を含めて五年間の所得が平均化され︑この平均額を課税標準となす五年

(19)

移動平均法が採用された︒オーストラリアでは低所得の年に高額課税が行われないように︑所得が毎年減少して平均

所得の三分の二以下に下った場合には︑課税標準は減少した所得額を新たな基準とする制度を布いた︒この五年移動

平均法の下では︑課税は当年の所得に対応して決定されたが︑納税額は税表で要求される額からは遠く離れてしまう

ワ 臼

という結果になった︒その理由は︑納税者の所得が急激に増加しても︑課税額が当期所得に対して累進税表で要求さ

れる額よりも小さい︒これとは反対に︑所得が急激に減小した場合︑累進税表が要求する額よりも大きな税額が徴収

された︒後者に対しては前述の如くに︑課税標準が引き下げられ救済の道が開かれていたが︑ラッグが大きすぎた︒

オーストラリアでは︑かくの如く歴史上始めて個人所得税の平均課税が行なわれた︒併し以上の欠陥からこの制一度

に対す反対論は︑次の二点に集中された︒即ち第一に︑この課税法は裕福な納税者を利するが︑所得の減少していく

人に不利な取扱いをするっ第二に︑平均課税から得られる利益と比較して︑制度が複雑すぎて納税者に余り便利では

ない︒この反対論はその後次第に勢力を増し︑オーストラリアの平均課税は︑一九三八年に廃止された︒

(

)

ウイスコンシン州

平均法による平均課税が創設されたが︑ アメリカのウイスコンシン州では︑従来所得税の徴収に二年間の一フッグがあった︒そこで︑

この創設時には事務上に何等不都合が生じなかった︒新課税法は次のように 一九二七年に三年移動

一九二八年の課税額は︑一九二六年の所得の三分の二に一九二七年の所得の三分の一が加算して決定さ

一九二九年の課税額は︑一九二六︑二七︑二八年の所得の各三分の一を加算して決定された︒

平均課税の万法臼体には問題が起らなかったけれども︑納税者に対す広報活動が足りなかった﹀め︑平均効果は免

税を税額控除に変えるものだ︑と一般に誤解されたロこの誤解のみならず︑同州での平均課税を実施した結果は惨鼻

を極めた︒ウイスコンシン州の平均課税がはかばかしくなかった理由として特に挙げねばならない点は︑実施時期︑が

平均課税の一考察

参照

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平成 25

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しかし、かねてより連結納税制度以外には、企業グループの一体性に着目した税制がないという

バブル崩壊前後において,国の税収 1) は増収基調から低迷へと大きくそ の姿を変える.1970 年度決算においては国の税収は 7.3 兆円程度であった が

応じた対応策を勧告した (表1)

 本論文の目的は、所得税法第56条(以下、「法

19 (ドイツの共同税との比較)