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A Bacteriological Assessment of the Nursing Protocol for Clean Room

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Academic year: 2021

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(1)

40 函医誌 第27巻 第1号(2003)

 骨髄移植では,大量化学療法や全身骨髄照射などの移 植前処置により,強い骨髄抑制と免疫抑制が起こる。ま た,移植後も急性移植片対宿主病(GVHD)や免疫抑制 剤による免疫不全の遷延により易感染状態に陥る1,2) 1970年代より無菌環境下で移植を実施することにより感 3)や重症GVHDを予防することが示され4,5),完全無 菌環境下での治療が行われてきた。しかし,1980年代に 入り,完全無菌処置の有効性についての再評価がなされ 簡易化が進められてきている6,7)。当病棟でも,平成13 年7月より同種骨髄移植医療を開始したが,一般病棟に 併設された無菌室であり,構造上オゾンやホルマリンの 使用もできず完全無菌化プロトコールの実施が不可能で ある8)。そこで,無菌室の準備などは消毒液での清掃の

みとするなどの独自の簡易無菌化プロトコールを作成実 施した。今回,当病棟のプロトコールに従い,3例の同 胞間同種移植が終了した時点における,移植患者検体,

及び環境検体につき,汚染状況の調査を行ったのでここ に報告する。

対 象 と 方 法

 対象は2001年7月から2002年4月までに,当病棟で行 われた幹細胞移植患者3例(表1)である。3例の移植 における無菌化は,当病棟で検討し決定した簡易無菌化 プロトコール(表3,4)に従って行われた。培養に使用 した検体は無菌病室入室時と退室時に滅菌スワブで拭い 採取した。患者検体として咽頭,右腋下,右鼠径,尿,

便を検討した。環境検体として無菌室内壁面,ヘパフィ ルター吹き出し口,アクセスカーテン(無菌室側),オー バーテーブル上部,ウオシュレット用洗浄液タンク内を 検討した。

無菌看護プロトコールの細菌学的評価  

雨瀧 麻子 稲船 美里 平田あゆみ 木村 陽子 片井 麻美 松丸 亜紀 柴田美菜子 佐藤ちえみ 山田 雅大**

斉藤  新** 川村 孝仁** 堤   豊**

小原 慎司** 政氏 伸夫** 松嶋  喬**

造血細胞移植チーム

A Bacteriological Assessment of the Nursing Protocol for Clean Room

Asako AMATAKI,Misato INAFUNE,Ayumi HIRATA Youko KIMURA,Mami KATAI,Aki MATSUMARU Minako SHIBATA,Chiemi SATOH,Masahiro YAMADA Shin SAITO,Takahito KAWAMURA,Yutaka TSUTSUMI Shinji OBARA,Nobuo MASAUZI,Takashi MATSUSHIMA and Hematopoietic Cell Transplantation Team

Key  words:Hematopoietic cell transplantation ――

       Bacterialogical assessment ―― Clean room ――

       Nursing protocol  看  護 

 *市立函館病院 看護局 6階東病棟 **市立函館病院 内科

(2)

41 函医誌 第27巻 第1号(2003)

表1

無菌室入室期間 急性GVHD予防

前処置 移植方法

診断名 性別

年齢 無菌室入室日 症例

day 0〜18 短期MTX+CyA

BU+CY+SI 同胞間骨髄移植

慢性骨髄性白血病 45歳 男性

03-Aug-01 1

day 0〜18 短期MTX+CyA

BU+CY 同胞間骨髄移植

骨髄異形成症候群 男性

53歳 29-Nov-01 2

day 0〜14 短期MTX+CyA

VP+CY+TBI 同胞間末梢血幹細胞移植

急性骨髄性白血病 27歳 男性

06-Mar-02 3

表2

体    温

Plt≧5万 顆粒球≧500

WBC≧1000 有熱期間

最高値 退室時

入室時 症例

Day 20 Day 17

Day 16 5日間

38. 6℃

37. 9℃

36. 1℃

Day 25 Day 16

Day 15 37. 1℃ (―)

36. 6℃

36. 6℃

Day 35 Day 13

Day 13

(―)

37. 4℃

36. 8℃

37. 0℃

略語:BU:ブスルファン,CY:エンドキサン,VP:エトポシド,SI:脾臓照射,

   TBI:全身照射,MTX:メソトレキセート,CyA:シクロスポリン

表3 内因環境

無菌食(準備室で電子レンジ800Wにて2分間加熱)、缶詰、缶ジュース、

ペットボトル、レトルト食品、カップラーメンは可。その他、レンジで 加熱できるものは可。

食 事

ファンギゾンシロップ、トブラシン、バンコシン、ナイスタチン、ジフ ルカン、ゾビラックス

内 服

ファンギゾン吸入、トブラシン バンコマイシン吸入 気 道

イソジン、ファンギゾン含嗽 口 腔

表4 外因環境 クラス100(無菌室)、クラス10000(前室)

滅菌可の物は全て二重滅菌。滅菌できない物(体温計、体重計、紙など)は70%イソプロピルアルコールに て清拭し、UVロッカー内に1日保管し、搬入する。ジュース(缶、ペットボトル)や内服、吸入しかん(1 日1回二重滅菌の物と交換)ファンギゾン イソジンの含嗽等は滅菌水と0. 5%ヒビテンにて作った薬液に 5分間つけ 滅菌ガーゼで拭いて搬入する。

搬 入 物 品

無滅菌の洗いたての白衣に交換(無菌室以外の部屋は予防衣を着用して入室)前室にてUVロッカー内の外 被 サンダル 無滅菌のディスポキャップ マスクを着用。滅菌水とマイクロシールド4(グリコン酸クロ ルヘキシジン4%含有)にて手洗い 無滅菌のディスポ手袋を着用する。

医療者入室方法

シャワー後0. 02%ヒビテングリコネートにて薬浴。

患者入室方法

クリーンライザーをかけた後50%ミルトンで清掃し(2回)さらに結晶を消すため70%イソプロピルアルコー ルで清掃。その後24時間ヘパフィルターを高速で作動。

入室前の清掃

無菌室内は患者自身が毎日行う。すべての動作において二重手袋を使用し、一動作につき手袋を交換する。

上拭きは、0. 5%エタノール液で 二重滅菌した雑巾で拭く。床は、無滅菌のウェットクイックルシートを使 用し拭く。毎週水曜日は、看護婦が完全無菌スタイルとなり入室、全ての清掃を行う。

毎 日 の 清 掃

毎日清拭と陰部洗浄を実施。

清拭…1600Wのレンジで2分加熱したタオルにて行う。清拭後、全身にヒビテンクリームを塗布。

陰洗…無滅菌の石鹸を使用し、陰洗ボトルにて洗浄する。殿部は、ウォシュレットにて洗浄し、ヒビテンク リームを塗布。

保    清

全ての動作において無滅菌のディスポ手袋を二重に着用。排尿時…排尿後滅菌ガーゼにて拭く。

排便時…ポータブル便器を使用、排便後、ウォシュレットにて洗浄し、滅菌ガーゼで拭いてヒビテンクリー ムを肛門に塗布。

排    泄

週1回看護師が入室しておこなう(すべて二重滅菌)

シ ー ツ 交 換

(3)

42 函医誌 第27巻 第1号(2003)

結     果

 3例中,最初の2例は骨髄移植にて,3例目は末梢血 幹細胞移植が採用された。移植前処置は,3例,各々の 疾患と状態に併せて異なっていたが,GVHD予防は,全 て短期メソトレキセート+シクロスポリンにて行われ た。全例移植造血細胞の生着が確認された。無菌室入室 期間は,最初の2例の骨髄移植症例は19日間(Day 0〜

18,3例目の末梢血幹細胞移植症例は15日間(Day

14)であった(表1)

 無菌室入室中の体温は,症例1では38.6℃まで上昇し,

38℃以上の有熱期間は5日間であったが,他の2例では 38℃以上の発熱は,見られなかった(表2)。白血球・顆

粒球の回復は,末梢血幹細胞移植症例でday 13と骨髄 移植症例と比して,迅速であったが,血小板の回復は逆 に末梢血幹細胞移植症例の方が遅い傾向を示した(表2)  培養結果を(表5)に示す。環境検体では3症例の全 ての検体で陰性であった。患者検体では,3症例ともに 咽頭培養は入室時陽性であったが退室時は陰性であっ た。検出菌種はカンジタ一例,グラム陽性球菌2例であ り,一定していなかった。無菌室内にて38℃以上の発熱 を見なかった症例2,3は,入室時の検体の培養陽性が /5,4/5と高率であった。無菌室内で38℃ 以上の発 熱をみた症例1は入室時の検体の培養陽性は2/5とむ しろ少なかった。

表5

患     者     検     体

便 尿

右鼠径 右腋窩

咽頭 入室/退室時

患 者

(3+)q

( − )

( − )

( − )

(1+)q 入室時

症例1

( − )

( − )

( − )

(1+)w

( − ) 退室時

(3+)q

(1+)w

(1+)w

(1+)w

(1+)w 入室時

症例2

(3+)q

(2+)e

( − )

( − )

( − ) 退室時

(3+)q

( − )

(1+)w

(3+)w

(1+)w 入室時

症例3

(3+)w

(1+)w

(3+)w

(2+)w

( − ) 退室時

①カンジダ  ②グラム陽性球菌  ③グラム陰性杆菌 環     境     検     体

ウォッシュレットタンク オーバーテーブル

アクセスカーテン へパフィルター

無菌室壁 入室/退室時

患 者

(−)

(−)

(−)

ND (−)

入室時 症例1

ND

(−)

(−)

(−)

(−)

退室時

(−)

(−)

(−)

(−)

(−)

入室時 症例2

(−)

(−)

(−)

(−)

(−)

退室時

(−)

(−)

(−)

(−)

(−)

入室時 症例3

(−)

(−)

(−)

(−)

(−)

退室時

考     察

 今回,当病棟独自のプロトコールのもとで,移植患者 検体,環境検体について調査を行った。環境検体につい ては,3症例ともに細菌の検出はなかった。これは,オ ゾン等による病室の床や壁等の完全無菌は必ずしも必要 ではなく,清掃のみで十分な無菌環境が得られることを 示唆したが,今回の検討では,無菌スワブは乾燥したま まで使用されており,今後は滅菌水,あるいは清潔な生 理食塩水等で湿らせたスワブによる検体採取が必要と考 えられた。

 症例1では入室中に発熱,CRPの上昇があり,入室直 後より疼痛を伴う潰瘍形成性の口内炎が出現していた。

CRP17.3まで上昇した。体温も38℃以上の高熱が続き,

主治医の見解としては,口内炎だけによるものとは考え

にくく敗血症様の感染を起こしたとも考えられた。しか し,移植後の白血球低値期間における感染に多く見られ るように,口内炎以外の感染源は特定できなかった。そ の後の白血球回復に伴い,CRPは下降し発熱もおさま り,重症感染症までには至らなかった。他の2症例につ いては,患者検体の培養より細菌が検出されたが,発熱,

CRPの上昇はなく,明らかな感染はなかったと考えられ た。これらのことから,現在の当病棟のプロトコールで 重篤な感染症は予防可能であることが示唆された。しか し,3例ともに入室直前の患者検体から,(表−5)に示 すように細菌の検出が見られた。入室時の細菌の検出と 発熱の間の相関については,今回の検討ではむしろ逆説 的ではあったが,入室前に徹底した除菌を行うために は,今後はさらに患者教育の強化の必要性が考えられた。

(4)

43 函医誌 第27巻 第1号(2003)

 今後,現在の当病棟のプロトコールが無菌室入室中の 患者にどの程度の精神的,肉体的苦痛を与えているかに ついてのアンケート調査等を行いたいと考えている。無 菌室独特の環境は患者の孤独感,不安感を強くすると考 えられる。患者・患者の個別性を考慮し,的確な患者ニー ズの把握と,そのニーズに少しでも添える看護を提供し うる方法の実現化に努力したい。

謝     辞

 当院における同種造血幹細胞移植医療の開始にあた り,必要機器購入につき日本馬主協会連合会よりの寄付 を戴いたことを,深謝します。また,3例の移植は全身 放射線照射レジメンの開発を担当していただいた放射線 科 清水伸一先生以下放射線スタッフ,骨髄採取術,

ヒックマン・カテーテル挿入術等の新しい術式を導入し て戴いた手術部スタッフ,末梢血幹細胞採取に協力いた だいたME,採血室および輸血管理センタースタッフ,

無菌化製剤に協力戴いた薬局スタッフ,コロニーアッセ イや薬物血中濃度,頻回の培養検査に協力いただいた臨 床検査科スタッフ,無菌食の開発・調整に協力戴いた栄 養科スタッフ,多数の物品の滅菌等に協力戴いた中央材 料部およびリネン・ベットセンタースタッフの他,医事 課,庶務課の事務職員の方々のご協力の成果でありま す。ここに深謝します。

文     献

1)矢野邦夫訳:造血幹細胞移植患者の日和見感染予防 のためのCDCガイドライン,メディカ出版,大阪府,

2001

2)加藤俊一:骨髄移植,中外医学社,東京都,1992 3)Ueda TMasaoka TShibata Het alEfficacy

of laminar air flow room with or without clean nursing for preventing infection in patients with acute leukemia. Jpn J Clin Oncol, 198313suppl 1)151-157.

4)Pollard MChang CFSrivastava KKThe role of microflora in the development graft-vs- host disease. Transplant Proc, 1976;8:533-536.

5)Storb RPrentice RLBuckner CDet al Graft-vursus-host desease and survival in patients with aplastic anemia treated by marrow grafts from HLA-identical siblings. Beneficial effect of protective environment. N Engl J Med, 1983308302-307.

6)伊藤朱美,吉野由美:簡易無菌レベルでの骨髄移植 の看護,薬理と臨,1996;6:1502-1505

7) 歌恵美子,平岡 諦,正岡 徹:簡易無菌レベル骨 髄移植の看護,無菌生物,1996;1:19-21 8)政氏伸夫,山田雅大,斎藤 新,ほか:一般内科病

棟の基本的構造内に構築した無菌室の設計と血縁者間 同種幹細胞移植3例の経験,道南医会誌

参照

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