行政過程情報の公 開問題
池村 好遺書
Disclosureoflnfbrmationinthe AdministrativeDecisionMakingProcess
Yoshimichilkemura
(平成8年1月22日受理)
Ⅰ 問題 の所在
1982年 に山形県金 山町 が全 国 に先駆 けて情報公 開 を制度化 して以 来、数年 間 の うちに情報公 開制度 は急速 に他 の 自治体へ と拡が って い った。 その後 は、確 か に 当初 の様 な僚原 の火の如 き勢 い は窺 えない ものの、それ で もこの制度 の拡散 には着 実 な もの を認 め るこ とがで きる。 そ して周知 の通 り、 目下の ところ 、条例 又 は要綱 に よって情報公 開 を制度化 してい る自治体 の数 は、都道 府県 レヴェルで は46に達
し、市 区町村 レヴェルで も200を超 えてい る。
さて、斯様 に して我 国地方 自治 におけ る地歩 を益 々強 固 な もの に しつつあ る情報 公 開制度 にあ って、原則公 開 の理念の下 に如何 なる情 報 を例外 的 に非公 開 とすべ き かの問題 は、最重要の課題 の 一つ といい うる。 この課題 につ き各条例 は、 「適用除 外事項」 の定 め等 を通 じて解 決策 を提 示 してい る ところ であ るが 、それ をみ る と、
公 安情 報、機 関委任事務情報 、個 人情報 、法 人情報、行 政運営情報 、行 政過程情報 な どが 、具体 的争点 と して浮 かび上が って くる。
本稿 は、 これ らの うち、行 政過程情 報の公 開 ・非公 開問題 を主題 的 に取 り扱 うも のであ る。即 ち、 ここで は、行政決定到達前 に決定過程 情 報の公 開請求が な された 場 合の対応如何が問題 とされ る訳 であ るが、 この問題 を巡 っては、一方 には、住民
●秋田大学教育学部 法律学研究室
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秋凹大学 情報科学研究紀要 第5号
の行政参加の充実のためには この種の情報の公 開が不可 欠である、といった公開を 促す主張があ り、他方 には、 この種の情報の公 開は住民 を無用の誤解 と混乱 に陥れ るものであ る、などの秘匿 を促す主張がみ られ、両主張 の対立が問題解決 を困難 な らしめてい る、 とい う事情が あるのである。尚、行政過程情報 という場合、そ こに は、二種の似 て非 なる情報が含 まれてい よう。一つは、 決裁前の内部手続段階の情 報であ り、いま一つは、決裁後の情報ではあって も事案 の最終決定 との関係では手 続の途上 にあると位置づけ られる情報である。そこで以 下では、便宜上前者 を 「決 裁途上情報」、後者 を 「手続 途上情報」 と呼び、両者の公開問題 を一応区別 して論 ず ることとする。因に、行政過程情報 も、行政決定到達後 は原則的に公 開されるべ きであ り、秘匿が正当化 され るのは、行政過程情報であ った とい う事実以外の何 ら かの正当な理由によって可能 となる。 この点は勿論本稿の射程外である。
ところで、行政過程情報に対す る態度 は、各条例上必 ず しも一様ではない。従 っ て、論議 は解釈論 を踏 まえつ つ も、法政策論的色彩 をも帯びざるをえないことを予 め断わってお く。 また、 この ことは、国の行政改革委員 会の行政情報公 開部会にお いて現在法案化 に向けた審議 が進行中である点に鑑みて も、国における法制定が 自 治体 における制度の見直 しに影響 を与えることが予想 されることか らして も、決 し て無意味 なことではなかろう。
ll 決裁途上情報の公開問題
公開の対象 とされた行政情報は何時の時点か ら公 開 されて然 るべ きか、即 ち決 裁終了時点以降なのか、それ ともそれ以前で もよいのか 、が ここでの検討課題であ る (無論、抑 々如何 なる記録媒体 による情報が公開の対 象 とされるべ きか も、制度 の 目的、実際の公 開の方法等 との関係で大 きな課題ではあるが、ここでは取 り上げ ない)。即 ち、意思決定方法 として我国では伝統的に棄議制、つ まり 「行政 ‑‑・に おける計画 や決定が、末端の職員 によって起案 された棄議書 を関係官 ‑‑に順次回 議 して、その印判 を求め、さ らに上位者 に回送 して、最後 に法令で定め られた決裁 者 に至 る方式」(1)が採用 されて きていると指摘 されるところ、起案時点か ら既 に
(更には一歩進め、前段階た る資料収集時点か ら既 に)対象情報は公開 を認め られ
行政過程情報の公開間超
るべ きなのか、それ とも、決裁終了時点に至 っては じめ て公 開が許 されるのか、が 問われるのである。
この問題への対応 を巡 っては、各条例の立場 は二つに分かれている0
第‑は、決裁が終了 した時点以降に対象情報 を公 開すべ Lとす る立場である。 こ の立場では、供覧文書 につい ては一般 に、公 開は供覧手続終了後 に許 されることと されている。若干の例 を挙げる。
① 東京都条例2粂 2項 「この条例 において 『公文書』 とは、実施機関の職員が 職務上作成 し、又は取得 した文書、図画、‑‑であって、実施機 関において定 めている事案決定手続又 はこれに準ず る手続 (以下 『事案決定手続等』 とい う。)が終了 し、実施機関が管理 しているものをい う。」
(参 埼玉県条例2粂 「この条例 において 『行政情報』 とは、次 に掲 げる文書 (‑
‑)で、県の機関が保管 している もの (・・‑)に記録 された情報 をい う。
1 県の機関が作成 した文書で、決裁が終了 した もの
2 県の機関が入手 した文書で、受理等の手続が終了 した もの」
(勤 長野市条例2条は、公文書 を 「実施機関が作成 し、又は取得 した文書及び図 画 (‑‑)で、決裁又は回覧等の手続が終了 し、実施機関において管理 してい るもの をい う」 と規定す る。
これ らの外、同様の方針 を採用 している自治体 として は、大阪府、福 岡県、長野 県、愛知県、京都市、宇都宮市、盛岡市、村山市、新庄市、武蔵野市 、板橋 区、豊 島区、渋谷区 などがある。
これに対 して、第二 には、起案時点、即 ち起案文書が棄議手続 に付 された時点以 降か ら公 開を認め ようとす る立場がある。 この場合、供 覧文書 については一般 に、
文書の収受の時点が分水嶺 とされている。次の様 な例がある。
① 神奈川県条例3粂1項 「この条例 において 『公文書』 とは、実施機 関の職員 がその分掌す る事務 に関 して職務上作成 し、又 は取得 した文書及び回画 (‑‑\
であって、当該実施機関において管理 しているもの をいう。」 (2)
② )冊を市条例2条1号 は、公文書の定義 として、 「実施機関の職員が職務上作 成 し,又は取得 した文書及び図画 (・‑・)で当該実施機関が管理 しているもの
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をい う」 と規定する(3)0
(参 三鷹市条例2粂 2号 によれば、市政情報は、 「実施機関の職員が職務上作成 し、 または取得 した文書、図画、写真、‑‑であって、当該実施機関において 管理 している もの」 をい うと規定 される(4)0
この外 、起案段 階での情報公 開を認める自治体 として は水戸市 などがあるが、全 体 としては、第‑の立場 を採 る自治体が多い ようである(5)0
斯様 な二つの立場の夫々について、ある論者 によれば、利害得失が次の様 に指摘 されている(6)0
第‑の立場は、未成熟文書 の漏出を防 ぎ、実施機関が外部的責任 を負い うる文書 のみ を公 開の対象 とす るとい うメ リッ トを持つ。 しか し、デメリッ トとしては、① 事案決定 に至 る行政内部の検 討の内容 と決定の理由が、結論がでてか ら知 らされる のでは、遅 きに失 し、住民参加 は名 目のみ となる、②決裁文書 にす るか内部資料 に す るかは、 しば しば主任者の一存で決め られるか ら、公 開が不適当 と判断 される文 書 は決裁 を回避 されて しまう、③審議会等に提出 される資料 には、決裁前の生デー タもあるが、決裁文書のみ を公 開することとすれば、会議 に提出 される文書は激減 し、充分 な審議 に支障が生ず る、 といった点が認め られる。
他方で第二の立場 は、住民参加の要請に応 えることが で きるというメ リッ トを有 す る反面、①決裁 中の文書 は流動的な案の段 階にあ り、公 開は住民 に無用の誤解 を 与 え、混乱 を招 く、②行政の責任者が了知 しない情報 も公開 され、対外的責任が と れない、③事案決定中途での公 開は外部の圧力 を招 き、行政内部の 自由な意見交換 が阻害 され、行政の 自主性の低下につなが る、等のデメ リッ トを含む。
そこで接ず るに、先ず、決裁途上での情報公開が住民 に誤解 を与え、混乱 を生ず る、 との第二の立場 に村する批判 は、当たらない もの と見倣 される。即 ち、公開情 報は飽 く迄決裁過程 にあるものであ り、従 って事後 に修正 ・変更 を受ける可能性 を 学 んでい ることを、公開に際 して告げれば、指摘 される様 な不都合は回避 されるこ とがで きよう。 また、そ うす ることによって、対外的責任が生ずる余地 もな くなろ
う。「信頼保護」の法理はここに妥当 しまい。他方で、決裁文書 にす るか内部資料 にす るかは しば しば主任者の一存で決め られる、 とい う第二の立場の主張は、若 し
行政過程情報の公uuJ,",l題
それが、管理又 は廃棄 ・私物化 につ き窓意 ・独断 を容れ るとい う趣 旨であれば、文 書管理剛度 (規程) と矛盾す る主張 となろう。 また、決裁済文書以外 の文書 を非公 開 とすれば、審議会等の会議 に支障があ らわれる、 とい うの も説得力 に欠けるとこ ろがある。即 ち、決裁文書以外の情報が会議 に提出 されて も、会議の (例外的)罪 公 開、守秘義務等 により、不都合 は基本的に生 じないであろう。
これ らに対 して、決裁終了後の情報公 開のみでは、事 案決定前の住民参加 は封ぜ られるか名 目的なものに終わ る、 とい う指摘 、及び決裁過程での情報公 開は外部の 圧力 を招 き、延いては行政の 質的低下につながる、 とい う指摘 については、多少立
ち入 った検討が必要である。
先ず、前者の指摘 についてみれば、内容 自体 は正当 といい うるが、併せて、情報 公 開制度の導 入が抑 々事案決定 (決裁)前過程への住民参加 を保障す る趣 旨である のか、が問われるべ きであろ う。 この点確かに、情報公 開の目的の一つに 「民主主 義の活性化」 (大阪府条例) を掲 げた り、 「県民の県政参加 を一層推進」(埼玉県 条例)す ることを掲げるなど、住民参加 を意識 した条例 は少 な くない。 しか し、そ れ らの場合で も、長、議員の選挙、住民監査請求などの憲法上及び法律上認め られ た住民参加制度 を実質化 させ るために情報公 開請求権 を保障する、 とい う範囲 を超 えて、決裁前の過程への参加 を認め、そのためにも公 開請求権 を保障す る、 という 趣 旨であるかは、大いに疑問 である。昨今の住民投票条例 の棟 に、条例の形式で新
たな参加権 を創設することが 、決 して 「地方 自治の本 旨」(憲法92条)に惇 る も のでな く、寧 ろ地方 自治活性化のために積極的に取 り組 まれるべ き課題であること は、言 うを侯 たないが、これ また住民投票条例 にみ られ る様 に、新たな参加権の保 障は、情報公 開条例 とは別立 ての条例 によるべ し、 とみ る方が 自然であろう。その 意味で、情報公 開剛度が決裁前過程への参加権 を保障す るものでない以上 は、決裁 途上での情報公 開の拒否 によ り、決裁過程への住民参加 が封ぜ られて も、不合理は 生 じない とい うべ きである。
それに対 し、後者の指摘 についてみれば、抑 々、起案‑ 回議‑決裁 という棄議別 と称 される意思決定方式が何 故 に広範 な採用 をみているか といえば、明治以来の伝 統 、 「タテ社会」 といったこ ともあろ うが、職員全員に よる決定過程への参加 を通
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じた参画意識の喚起、 ラインがスタッフ機能を果た しうること、回議が調整 を可能 とす ること、などが重視 されてきたか らであろう。勿論 、今 日真読別 という 「ハ ン コ行政」 に批判が強いことも事実であ り、一般 には、能率の低下、責任の分散、指 導力の不足 などが批判の的 とされている(7)。その意味で、棄議別は改革 を迫 られて いるとはいえるが、ここでは寧ろ、それが現下で もなお頻繁に用い られていること に着 日する必要があるのであ り、棄諌制の下では勢い、 「菓議書 を承認する法的権 限は、組織の長官 (‑‑)だけであるが、普通は、この長い過程 を経た意思決定 を 原則 として認める慣行である」(8)ということにならざるをえない、 という点 を看過 す ることはで きない。即 ち、意思決定の質の確保 という観点か らするなら、決裁権 者や上級職貞 よりは下級職員 、就中起案 を担当する末端職員の判断に自主性、良質 性 を期待すべ し、 とい うことになる。従 って、若 し決裁途上での情報公開を認める ことになれば、行政決定の質の向上 よりは寧ろ、外部か らの圧力、自由 ・自主的な 意見交換の阻害が もたらす行 政決定の質の低下の方が、 より確実 なもの として予測 されるところであるし、公開が起案段階に近ければ近いほど、質の低下は深刻 となっ てこよう。決定の遅延 も問題 である。以上に鑑み、情報公開は決裁終了時点以降に 認めるという第一の立場 をもって正当としよう。
ただこの点、あ る論者(9)によれば、斯 くの如 き菓議制は我 国行政の意思決定方式 として強調 されす ぎた嫌いが あ り、実際には 「持回 り決裁型」 というもう一つの棄 議書型があ り、且 つ重要な事項 (便宜裁量 的事項 )ほ どこの方式 によっているし
(この論者によれば、先の菓議制は 「順次回覧決裁型」 として捉 えられる)、更に は非棄議書型の決定方式 も存在 している、 と指摘 されている。
この様 な指摘の当否の判断 は行政学に譲 らなければな らないが、ここでこの指摘 に従 ったとして も、菓議別の多用 自体は否定 されえない以上、その範囲で決裁前の 情報公開を否認することは正当であろうし、指摘の如 く、菓議別 (順次回覧決裁型) の利用が主に法規裁量型事項 において行われているとす ると、決裁途上情報の公開 を求める住民の要望 自体、相対的に低い もの ともみ られ る。 また、持回 り決裁型の 場合 も、 「持回 り」以前の垂直的水平的意見調整過程での情報公 開は、行政決定の 質の確保 にとっては阻害要因 として働 く可能性の方が強 い し、非棄議書型の意思決
行政過程情報の公開間遊
走方式 にあって も、決定前の過程での情報公 開は、行政決定の質に寧 ろ悪影響 を及 ぼすのが通例 と見倣 され よう。
尚、第二の立場 において も、実は、決裁前の段階での情報公 開を全面的に許容 し ようとの趣 旨ではない、 とい うことには、 ここで一言 を要す る。即 ち、決裁途上情 報の公 開を認めて も、多 くの情報は条例上の適用除外事 項、就 中続いて狙上 に載せ る 「手続途上情報」 に該当 し、制度運営上は支障 を生 じない、 との考慮が背後 に存 在するのである。条例上 は実 施機関が管理 している情報 を公 開す ることとしつつ、
「ここでい う 『管理』 とは、実施機関が公的な支配権 を有 していれば足 り、完結 し ている文書 は もちろん、未決裁の文書 をも含む ものであ る。未決裁の文書 をも含む ことについては、第6条第4号 アに規定する意思決定過程情報 として非公開 とす る ことがで きる余地 を残 してお り、本号の規定のねらいは、未決裁 という名分の もと に、軽易 な文書等 まで も公開の対象 に しないことのない よう配慮 した ものである」 との解説 を加 える(10)が如 し。
この意味で、第‑の立場 と第二の立場 との実務上の開 きは、そ う大 きくはない.
しか し、同時に、開 きの存在 自体 も否めない ところであ る。 この点筆者は、決裁前 に公開 した として も先 に述べ た様 な行政運営上の不都合 を惹起 しない様 な情報、即 ち 「軽易 な文書等」が果た して存在す るのか、を問 うものであ り、 これについては 否定的見方が妥 当 と考 える。 そ して、行政運営上の不都 合 を回避 しつつ私人の意見 聴取 を行 う方途 としては、 「情報提供」が有用 と思料 されるのである。
註 (1) 辻清明 ・行政学概論上巻116頁。
(2) 八木敏行 ・情報公開91頁 を併せ参照。
(3) 作成 した文書及び図画については、内部事務手続 を開始 した時点以後の もの、取得 した文書及び図画については、文書管理規程等の定めるところ に従い収受の手続 を終了 した時点以後の もの を公開す る趣 旨である。川崎 市総務局 ・情報公 開ハ ン ドブ ック48頁。
(4) 三鷹市総務部 ・情報公 開剛度の手引11頁 によれば、 「対象情報の範囲 では、 『職員が職務上作成 し、または取得 した もの』 に 『事案決定手続等 の終了』 とい う限定 を付けず」、広 く捉 えることとしたとされる。
(5) 本田弘 ・情報公開制度論68頁。
(6) 八木敏行 ・前掲書91頁以下。
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(7) 辻 ・前掲書117頁以下。
(8) 同上117頁。
(9) 西尾勝 ・行政学 105頁以下。
(10) 水戸市 ・情報公 開ハ ン ドブック 7‑ 8頁。
川 手続途上情報の公開問題
(1) 決裁終了情報 (又 は供覧終了情報)の中には、決裁手続終了 に伴 い事案決定が 終結す る とい う意味で、それ 自体完結的、孤立的 といい うるもの もあ るが (例 えば 出張命令書)、決裁情報 を踏 まえて更 に一連の手続が進 め られた結果、漸 く事案決 定が終結 を迎 える とい う意味 で、一連の手続の途上 に位 置づけ られる もの もあ る。
背景 には、行政の意思決定 までには、審議会等 による審議 、 「国や他 の地方公共団 体 との協議 ・審議、行政機関 や試験研究機関の調査研究 、職能団体 ・住民 団体 ・労 働組合 との折衝 、議 会の意見 書 や陳情 ・請願の採択 な どさまざまな要素が介入 し、
これ らの要素が組み合わ され て再 び真読手続 に還流 してい く。 そのたびに案件 ごと の菓講書が作成 され、それ らが重畳的 に集 って一つの施策が形成 される」 (ll)とい う 事情が存す る。
ここでは、決裁終了情報の うち、 これ を背景 として一連の手続の途上 に位置づけ られ る もの を 「手続途上情報」 と呼 び (尤 も、斯 かる情 報 は、意思決定 (形成)過 程情報 と称 され ることが多い)、その公 開 ・非公 開の問題 を論ず る。
この点、手続途上情報の非 公 開 を促す要因 としては、① 最終的 な意思決定が得 ら れていない未成熟 な情報の公開は、外部の誤解や混乱 を招 く、②中途 での公 開に よっ て行政内部 での 自由な意見交換が妨げ られ、公正 ・適正 な意思形成が妨 げ られ る、
③ 特定の著への公 開は一部の者のみ を利す る、な どが指摘 される(12).他方で斯か る 情報の公 開 を促す要因 と して は、住民生活 に多大の影響 を及ぼす行 政決定が住民が 与 り知 らないままに秘密裡 に行 われ、決定後 に内容が突如 として知 らされるのでは、
民主行政 とは言い難 く、決定 過程への住民参加 を活性化 させ る もの と して公 開が強 く要請 され る、 とい う点が考 え られ よう。
以上の公 開又 は秘匿 を促す 諸要因については後 に仔細 な検討が必要であるが、こ
行政過程情報の公開関越
こでは差 し当 り、次の点が確認 されてよいであろう。決裁情報 という関係行政機関 が責任 を負い うる性格の情報 については、決裁途上情報 の場合 とは異 な り、 これを 公 開す ることによって決定過程の民主化の要請 に応 える ことが、消極 に捉 えられる べ き理由はない。公益判断は行政権の専権 に属するとい った古色蒼然 と した行政観 は、今 日では排 されるべ きで ある。 また、消極的理解 は、行政手続法18条の文書 等 閲覧権の保障 を狭める結果 ともな りかねない し、同法 の今後の課題 とされる計画 画定手続 (planfeststellungsve血hren)一例 えば ドイツ行政手続法 72粂以下の様 な‑
とい う総合的アセスメン ト制度の導入 に も、悪影響 を及 ぼ しかねない。 しか しなが ら他方で、公 開を通 じた住民参加が常軌 を逸 し、例 えば無言電話が頻繁 にかけ られ て公務員が極度の心理的圧迫 を被 るなど、公開後の意思 決定 (過程)が歪め られて
しまう、 といった事態 も場合 によっては想定 される。
手続途上情報の公 開問題 につ き、多 くの条例 は、該情 報 を適用除外事項 に含めつ つ、非公 開を絶対的な もの とは しない、 とい う立場 を採 っている。若干の例 を挙げ
よう。
① 神奈川県条例5粂 (非公開 とすることがで きる公文書)4号 「県の機関内部 若 しくは機関相互又は県の機関 と国等の機関 との間における審議 、検討、調査 研究等 に関す る情報であって、公開す ることにより、当該審議、検討、調査研 究等 に著 しい支障が生ず るおそれのあるもの」(13)
② 東京都条例9粂 (開示 しないことがで きる公文書)7号 「都又は国等の事務 事業 に係 る意思形成過程 において、都の機 関内部若 しくは機関相互間又は都 と 国等 との間における審議、協議、調査、試験研究等 に関 し、実施機関が作成 し、
又 は取得 した情報であって、開示す ることにより、当該事務事業又 は将来の同 種の事務事業に係 る意思形成 に支障が生ず ると認め られるもの」
③ 渋谷区条例6条 (公 開 しないことがで きる情報)4号 り 「区の内部又 は区 と 国等 との間における審議、検討等の意思形成過程 における情報で、公 開するこ
とにより公正又 は適正 な意思形成に著 しい支障を生ず るおそれがあるもの」
既 に述べ たところか らす るなら、斯かる条例の態度 を論難す る必要 は、基本的に はなかろう。ただ、 これら規定の運用が懇意 に流 される ときには不必要に密室行政
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が行 われることになるのであ り、そこで問題 は、公 開 ・非公 開を分かつ基準 をどこ に求めるかの点 に絞 られてこよう。 この点、各条例上 には確かに、微妙 な文言の差 異が存す る。 「支障」 と規定す るか 「著 しい支障」 と規定するか、或いは 「支障の おそれ」 とす るか 「支障が認 め られる」 とす るか、の如 し。 しか し、これ らは、統 一的解釈 を不可能 ならしめるほ どの差異 とはいえぬであ ろう。基準の究明に向けて 我国裁判例 を検討するに先立 ち、アメ リカでは手続途上情報 (内部情報)について 如何 に考 えられているかを一瞥 してお こう。
(2) アメ リカの情報 自由法 (FreedomoHnformationAct=FOIA,1967,5U.S.C.§ 552)にあって我 国条例の適用除外 規定 に相 当するの はb項で あ り、そ こには9種 の適用除外事項 (exemption)が定め られているのであるが、その中に、 「政府機関 相互間又 は政府機関内部の覚書又は書簡に して、当該政府機関 との訴訟において政 府機関以外の当事者 には法 によ り利用が認め られない もの (inter‑agencyorintra‑
agencymemorandumsorletterswhichwouldnotbeavailablebylawtoapartyother山an anagencyilllitigationwiththeagency)」(第5適用除外事項 ‑同項5号)が含 まれ ている。
これによれば、行政の内部情報は原則 として非公開 とされるべ きであるが、連邦 民事訴訟規則 (FederalRulesofCivilProcedure)による開示手続 (discovery)におい て開示 を認め られるべ きもの (覚書又は書簡)は公 開 されるべ きである、 との趣 旨 が窺える。ここに、公開 さるべ き内部情報の範囲 も問題であ り、これにつき議会は、
民事訴訟 にお いて当事者 に常規的に (routinely)開示 されるべ きものが公衆 に も公 開 されるべ きである、 との総論的立場 を採 っているのであるが(14)、 この問題の一斑 に触れることは暫 く措 き、こ こでは、抑 々内部情報が何 故秘匿 されるべ きもの とさ れているのかを、b項5号(15)をめ ぐって争われた ものに して有名なNLRBv,Sears, Roebuck&Co.の最高裁判所判決(16)の中に探 ってみ よう。
最高裁判所 は、我々の経験 が教えるところによれば、 自己の発言が公衆 に知 られ ることを予想す る者は、見か けに気 をとられ、率直な ものいいを控 えて しまうもの であ り、結果的に決定過程 に打撃 を与えて しまうのである、 とい う過去の判決(17)の 言 を引用 した上で、次の様 に言 う。 「明 白なのは、 [内部情報の秘匿 という]長い
行政過程情報の公開問題
間認め られて きた特権の究極 的目的は、政府機関の決定 の質に被害が及ぶ ことを防 止することにある、 とい う点 である。特定の政府機関の決定の質が、決定 を行 うに 先立 って決定の問題点 につい て決定権者が受領す る文書 によって影響 される、 とい うのは明 らかである。が、 しか し、最終的に決定に到達 した後 に決定 に関 して作成 される文書が決定の質にどの様 な影響 を及ぼすかを見極 めることは困難であ り、 ‑
‑従 って、その種の文書の公 開を強いることによって決定の質にどの様 な影響が出 るかを判定す ることも、同程 度 に難 しい。斯かる事情か ら、下級審は一様 に、決定 前文書 と決定後 に作成 され且 つ決定 を説明す る役割 を担 わ された文書 との間に一線 を引 き、前者 に特権 を与 える も、後者には特権 を与 えて こなか ったのである。 この 区別は、決定後文書の公 開がもた らす決定過程への吾がより小 さい とい うことによっ て支持 されるだけではな く、決定 を説明す る文書の場合 に公衆が 焼 く、既 に採用 さ れた政府機関の政策の基礎 を知 ることに対す る関心の方 が、関心の度合い としては よ り大 きい、 とい うことによって も支持 される。公衆 は、政府機関が拒否 した政策 を支 える理 由や、現実に採用 された政策の基礎 とは され なかったが、見方 を変えれ ば基礎 とな りえたであろう理 由に村 しては、僅かの関心 しか示 さない。対照的に、
公衆 は、現実 に採用 された政府機関の政策の基礎 をな した理由には、重大 な関心 を 示すのである」 と。
以上要す るに、最高裁判所 は、内部情報 を秘匿すべ き理由 として、①決定の質の 確保、及び(参公衆の関心の薄 さを挙げているのである(18)。 この点、前者 は、既 にみ た通 り我 国で も指摘 されてい る ものであ り、内部情報秘 匿の理由 として格別異論 は ない。 しか し、内部情報の獲得 によって行政参加 を実質化せ しめん とす る要望が公 衆 に弱い との認識には、大い に疑問が残 り、その意味で後者 に説得力 は乏 しかろう
(少な くとも日本においては、後者 を非公 開の論拠 とすべ きではない)0
この点 もさることなが ら、寧 ろ注意すべ きは、外部の誤解 ・混乱、特定人に対す る利益の供与 といった我国流 の指摘が、米国最高裁判所 によってはなされていない 点である。そ こで、 これ らの指摘 を検討 してみ よう。
(3) ところで、手続途上情報の公開請求事件が未だ数少 ない とはいえ、我国裁判例 は一棟 に、外部の誤解 ・混乱 を該情報秘匿の理由に挙げている。
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秋田大学 情報科学研究紀要 第5号
例 えば、第5回鴨川改修協議会に提出 された京都府土 木建築部河川課作成 の ダム サ イ ト候補地点選定位置図の非公 開決定 に対する取消請 求について、請求 を認容 し た京都地裁判決(19)です ら、問題の文書は2万5000分の 1の 「地形図を基 に、等 高線か ら読み取 る谷や谷地か ら、机上で貯水が可能 な地 形 をダムサ イ ト候補地点 と して、20か所 を選定 し、これを鴨川の流域の範囲及 び鴨川、高野川などの主な河 川が記載 された概要図に整理 番号 を付 して記載 した もの であってダムサ イ ト候補地 点 として重要 な地質、環境等 の 自然的条件や、用地確保 の可能性等の社会的条件の 考慮 はなされていない もの」 であって、公開により府民 に無用の誤解や混乱 を招 く 蓋然性 は乏 しい と判示 してはいるが、 この様 な蓋然性が高度の もの として認 め られ る場合 については、手続途上情報が公 開 されるべ きでない とい うこと自体 を否定す る ものではない. この‑審判決 を取消 した大阪高裁判決(20)も、本件文書は 「公開す ることにより、府民 に無用の誤解や混乱 を招 き、協議会 の意思形成 を公正かつ適切 に行 うことに著 しい支障が生 じるおそれのあるもの」で あるとい うことを、その理 由 としてお り、最高裁判所(21)も原審の判断 を是認 しているところである。
更 に、建設計画中の安威川 ダムのダムサ イ ト調査資料 の非公 開決定の違法性が問 われた事件 における大阪地裁判決(22)、業者 によるゴルフ場 を中心 とした リゾー ト開 発計画に係 る事前協議書、計 画概要書等の公文書の公開請求に対す る非公開処分の 適否が争われた事件 における徳 島地裁判 決(23)及び高松高裁判決(24)において も、外 部の誤解 ・混乱が手続途上情報の非公開 を正当化す るもの とされている。
しか しなが ら、第一に、既 に決裁途上情報の公開に関 し述べたの と同様 に、住民 に誤解 を与 え、混乱 を招 くの は、手続途上情報が恰 も最 終決定であるかの様 な誤解 を与 えるか らであって、公 開時点で、情報が一連の手続 の どの段階にあるのかを住 民 に教示すれば、住民の誤解 、混乱は防げる筈である。 第二に、前掲徳島地判の様 に、未成熟情報の公 開が誤解 ・混乱 を招 くとい うのであれば、手続途上情報の総 て が未成熟情報である以上 は、手続途上情報の公開は一切否定 されざるをえな くな り、
住民の事前参加 は実質面での保障 を完全 に失 う。第三に、行政の施策 ・決定形成 に ついて住民 に既 に不安 ・混乱があるという場合 に公開請 求がなされるというのが通 常であろ うが、公 開の拒否は この不安 ・混乱 を解消す る ことにはならず、却 って不
行政過程情報の公I3uJEf,J越
安 ・混乱 を増幅 し、行政不信 を助長す ることす らあ りうる。第四に、場合 によって は情報提供等 により公 開請求情報 に類似 した情報 を住民 が既に入手 していることも あるが(25)、その際は、公開こそが住民の誤解 を解 くことになる。以上、住民の誤解 ・ 混乱 をもっては、手続途上情報の公 開を妨 げる正当な理由とはな し難い。
次いで、請求者等特定人に対す る利益の供与について指摘 しているのは、裁判例 では前掲京都地判のみである。 この点、確かに最終決定前 に情報 を入手することに よって特定人のみが利益 を得 ることはあ りうる。更 に言 えば、それによって特定人 が不利益 を被 ることも同 じくあ りうるであろう。だが、斯様 な利益 ・不利益 につい て行政が責めに任ぜ られるべ きは、専 ら手続途上情報 を最終決定情報 と誤認 させて 公開 した場合だけである。即ち、公 開に際 し、当該情報は最終決定前の ものであ り、
最終決定 は内容的に未だ固まってはいないことを請求者 に教示すれば、被 った不利 益 は特定人の責めに帰すべ き もの となる し、利益 は特定 人の予測の成果であ り、 自 己の利益 を求めて情報公 開制度 を利用す ることは、基本 的に禁ぜち れるものではな い。 この様 に して、手続途上 の情報であることの教示 を伴 う限 り、利益 ・不利益は 手続途上情報の開示 を阻む理由とはならない。
以上の意味で、米国最高裁判所が誤解 ・混乱の発生及 び特定人に対す る利益 を内 部情報秘匿の理 由に挙げてい ないのは、正当 と見徹 され る し、手続途上情報の非公 開の論拠 とな りうるもの としては、 ここまでのところ、自由な意見交換の阻害によっ て公正 ・適正 な意思形成が妨げられる、 とい うことのみが残 ろう。
しか しなが ら、公正 ・適正 な意思形成が妨げ られ、決定の質的低下が もた らされ るとい う範囲が安易 に拡大 されることにも問題がある。即 ち、決裁前過程の情報公 開ではな く、決裁済文書 とい う、行政庁 としては責任 を負 うべ きであるが一連の手 続の中では未成熟 とい う文書 が ここでの議論の村象 なのであ り、且つ最終決定 に至 るまでの過程への住民の実質的参加は、公益 は私益の総和 とい う観点か らも極力広 く保障すべ きであるか らであ る。従って例 えば、行政庁 や審議会に対 して圧力が加 え られる虞があるといった抽 象的主張は、非公 開を正当化 Lは しないであろう。秘 密 ほど民主主義 を滅却す るものはないのである。
この点、前掲京都地判 は、行政 内部 の 自由な意 見又 は情 報の交換が妨げ られる
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「客観的且つ高度の蓋然性」 をもって、条例が定める意思形成上の 「著 しい支障」
と解 している。 しか し、前提 として、 「情報 アクセス権 は抽象的権利 に過 ぎないか ら、法令 による開示基準 と開示請求権の具体的内容、方法、手続の制定 を待 って初 めて具体的な情報の開示 を請 求す ることがで きる権利 となる」 と判示 しなが ら、そ の様 な解釈 に行 き着かん とす るのには、論理の飛躍が感ぜ られる。 「知 ることを妨 げ られない 自由権」 とい う精 神的 自由権の一種たる 「知 る権利」ではな く、 「情報 公開請求権」 とい う国務請求権的 「知 る権利」 を問題 とす る限 りは、その性格 を京 都地裁判示(26)の様 に捉 えた上で、具体的な請求権の内容 については本来立法政策の 問題であるとみるのが安当で あろう。その意味では、当該事案 につ き違憲無効 の問 題が生ず る余地はない とした前掲大阪高判の立場が支持 される。 しか し同時に制度 (条例)の趣 旨か らす るなら、非公開の場合 を限定的に解すべ きことは要請 される 訳で、前掲大阪地判が、 「『著 しい支障 を及ぼすおそれ』 は、単 に右実施機関が 自 らの立場で主観的に判断 した ところに従 うべ きではな く、客観的、具体的に存在 し ていることが必要である」 としているのは、正当であろう(27)(但 し、埼玉県条例の 様 に 「明 らか」 な支障 を非公 開の要件 としている場合 は、明白性 も必要 とされ よう か)。尚、立法論 としては、 この様 に一応 は非公開が相 当とみ られる場合であって も、非公開による弊害 との比 較衡量 に基づ き公 開す るとい う措置 (例外の例外)が 考慮 されてよいであろ う。
ところで、米国では、一口に内部文書 といって も、デイスカヴァリー との関連で、
事実 を内容 とす る (factual)文書 と事実 を含 まない (non‑factual)文書 とを区別 し、
後者のみ を秘匿の対象 とす る、 とい うのが判例 となってお り(28)、理由は、前者の公 開は決定過程 に悪影響 を及ぼす ものではない、 とい う点 に求め られている(29)。 この 点、公 開 されて最終決定の質の低下 を招 く虞のあるのは、法や政策に係わる文書で あ り、法や政策形成の過程で利用 される事実 に関す る文書、専門科学的文書の公開 にその様 な虞 はないとい う考 え方は、我国に も通用す る もの と見倣 され よう。そ し て実は、前掲大阪地判で問題 とされた情報 とい うのは、業者に対 して委託 した ダム サ イ ト候補地 ・予定地の地質調査の報告書に して、公 開 されて も最終決定の質 を歪 めるもの とは考 え難い もの と認め られるのである。ただ 、この報告書がそ うであっ
行政過程情報の公開問題
た様 に、科学的資料、事実 に関す る資料 は外部 か ら入手 す るとい うのが通例 であろ う。そ うであれば、資料公 開 に よ り以後 内部的検討 に必 要 な資料が充分 に得 られな くな り、 「同種の」意思決定 過程の質が低下す るとい う事態 も想定 され うる。 この 意味で、手続途上情報秘匿の理 由 として、公 開 によ り以 後充分 な検討資料が得 られ な くなる、 とい うことを付加す るのは(30)、 もっ ともなことであろう。従 って、公 開 に よ り以後充分 な専 門家の協 力 ・資料が得 られ な くなる、 とい う危険性 が客観的且 つ具体 的 に存す るときは、非公 開決定が妥 当 と解 され よう。
註 (ll)八木 ・前掲書175頁。
(12)伺上l76頁 、各 自治体 の情報公 開の 「手引」参照。
(13)神奈川県情報公 開推進懇話会の 「提言」 によれば、具体例 と しては、
[担 当公務員が部内での審議 、検討又 は調査研究等 に資す るため作成 し た試案、素案等]
庁 内事務担当者会議検討案
[部内における担 当公務員相互の会議 における意見交換 の記録]
庁内事務担 当者会議記録
[附属機関その他 の機関に類す る合議機関の会議 における意見交換 の記 録]
保母試験委員会記録
神奈川文化賞 ・スポーツ賞審査委員会記録 [その他]
全 国知事会地方行財政基本問題研 究会検討案 県 ・市町村事務担 当者会議記録
が挙 げ られている。尚、提言では、 「機関内部又 は機関相互 における審 議、検討 、調査研究等 に資す るため、職員が作成 し、又 は取得 した資料 、 記録、その他の情報であって、公 開す ることによ り当該審議、検討、調 査研究等 に著 しい支障が生ず るおそれのある もの」 を適用 除外事項の一 種 としている。神奈川県県政情報室編 ・か ながわの情報公 開315頁以 下。
(14) H.R.Rep.No.1497,p.10.
(15)この規定 は、FOIAの中で も最 も論争の多い規定 といわれ る。石村 善治編 ・情報公 開139頁。尚、類似の規定 は各州の情報公 開法の約3 分の 1に兄いだ されるが、多 くの場合、連邦 に比べ て非公 開の範囲は狭 い といわれる。Bonfield/Asimow,StateandFederalAdministrativeLaw, P.545.
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秋 山入学 情報科学Li)f究礼変 節5号
(16)421U.5.132(1975).
(17) UnitedStalesv.Nixon,418U.S.683(1974). (18)ここに、 この事件 のあ らま しを記 してお く。
シアーズ ・ローバ ック社 は、連邦労働 関係局 (NationalLaborRelations Board=NLRB)の地 方局長 に、労働組合 に対 して不 当労働行為 の告発 を 行 うよう求めたが、地方局長 に拒否 された。 この拒否 に対 してはNLRB の総務局 (GeneralCounsel)へ の不服 申立 てが認 め られ てい たため、そ の準備 にあたる傍 ら同社 は、総務局 の事務局が不 当労働行為 の告発 を行
うべ きか否 かの決定のため に作成 し、且つ地方局長 の参考 に供 した覚書 (AppealsandAdviceMemoranda)の公 開 を請求 したが 、総務局 はこれ を 拒 んだ。 この覚書 はb頁5号 に該 当す るとい うのが主 たる理 由であ った。
そ こで同社 は、 この覚書 は 「最終的見解 (finalopinions)」 又 は 「公衆 の成員 に影響 を及 ぼす職 員へ の指示」 (FOIAa頁2号) にあ た り、公 開 され るべ きものであ る と主張 して、 コロム ビア地区合衆 国地 方裁判所 に 出訴 した。 同裁判所 は原告の請求 を認容 し、控訴審 もこれ を支持 した。
そ こで連邦労働 関係局側 か ら上告が な され たのであ る。
1975年、最高裁判所 は、下級審 の判断 を一部破棄 し、事件 を差 し 戻 した。 これは、 シアーズ ・ローバ ック社が公 開請求 を行 った過去5年 間分 の覚書 の うち、告発 が な され るべ きで はない との結論 を含み、告発 請求人 に対 して最終的 に救 済 を拒 む効 果 を持 つ覚書 には、b項5号 は適 用 され ないが、告発 を指 示 し、連邦 労働 関係局 での審判 の開始 を命ず る 覚書 には同号が適用 され、従 って非公 開措置 が妥 当であ る、 との判 断 に 基づ いての ことである。
この点 、 この様 な判断 に先立 ち、確 か に最高裁判所 は、覚書の性格 に つ いて、 「総務局 と して ‑‑告発状 を発すべ きか否 か を決定 した後、地 方局長 に伝 達 され る ものであ り、地方局長 に対す る総務局 が既 に採用 し た法 的又 は政策的決定 の説明 を内容 とす る ものであ る」 とい う認 識 を示
してい る。 しか し、その上 で最高裁判所 は、先ず 、告発状 を提 出 しない とい う決定 については、最終的処分 (finaldispositiorl)の性格 が備 わ っ てお り、従 って 「この種 の覚書 を公 開 して も決定前 の (predecisional)過 程 に割 り込 む こ とには な らず、それ を秘匿 して も政府機 関の決定の質 を 高 め るこ とにはな らない」 と判示 し、更 には、告発状 を提 出 しない 旨の 決定 は、覚書 とと もに、公衆 が重大 な関心 を示す政府機 関採用 の法
(agencylaw)に外 な らぬ、 と指摘 したのであ る。 これに対 して、告発 状 の提 出 を指示す る覚書 の方 につ いては、告発状 の提 出は事 案 を最終 的
に決着 させ る ものではな く、総務局 は、連邦労働 関係局 での審判 にお い て告発 申請者の立場 を擁護す ることになるのであ るか ら、覚書 は、 「地 方局長 に対 して審判での戦術又 は解決のための助 言 を一定程度伝達す る」
1)‑・政過程・l離 陸の公r)'HJtlり題
とい う性格 を帯び、従 って、b項5号が公 開か ら保護す る弁護人の職務 活動成果 (attorney'sworkproduct)に相当す る、 と判示 し、更 に、総務 局の法的決定は審判において明 らか となる し、事案 に関す る 「法」 は審 判や裁判 において形成 されることか ら、公衆の公 開に対す る関心 も低い
もの となる、 と付け加 えている。
以上の様 に、この事件 をめ ぐっては、注 目すべ き争点 として、本文 に 掲げた内部情報秘匿の論拠の外、(∋下級審の様 に法的又は政策的決定 を もって 「最終的見解」 とみるべ きか、それ とも最高裁の様 にその様 な決 定の うちで最終的処分のみ を 「最終的見解」 と見倣すべ きか、①告発指 示の覚書が内部文書 に当たるとして も、果た して秘匿 されるべ きか、秘 匿 されるべ きとしたならその理 由は何処 に求め られるべ きか、 を挙げ う る。 この点、① について言 えば、問題 とされたのは審判手続上の文書で あ り、② について略言すれば、FOIAでは内部文書の公開 ・非公 開が デ イスカヴァリー制度 との連関で仕組 まれている。斯かる争点 を敢 えて 本文 に取 り上げなかった所以である。
(19)京都地判平 3 ・3 ・27判 夕 775号 85頁。京都府条例 5条 6号前 段 は、 「府若 しくは国等が行 う審議 、検討、調査研究その他の意思形成 の過程 における情報であって、公 開す ることにより、当該若 しくは同種 の意思形成 を公正かつ適切 に行 うことに著 しい支障が生 じるおそれのあ る もの」 につ き非公開を決定 しうる旨を定めている。
(20)大阪高判平5・3・23判夕828号179頁。
(21) 最判平6・3・25判時1512号22頁。
(22)大阪地判平4・6・25判夕811号97頁。 この判決は、府知事の 非公 開処分 を維持すべ き理由として、 「実施済みの地質調査 は、十分 な
ものではな く、情報その ものが限定 されているため、同時点で、本件予 定地全体の地質状況について、一応の判断 を下す ことは格別、最終的判 断 を下す には、い まだ必ず しも十分ではない段階にあった もの と認め ら れ、この ような時点で、本件非公開部分が公 開されれば、右の ような最 終判断 を下すにはいまだ十分な もの とはいえない情報 に基づ き、判断者 各 自の推測 により、本件 ダムサ イ ト予定地の地質についての結論が出 さ れ、それが必ず しも最終的判断 とみなす ことがで きるものではないに も かかわ らず、一人歩 きし、地元住民等の関係者の間に不安 を引 き起 こ し、
今後の地質調査や各種協議等への非協力につなが るおそれがあった」 と 判示 している。
尚、 この事件 をめ ぐっては、既に一審判決 を取消す控訴審判決及び二 審判決 を支持す る最高裁判決 (平7・4・27)が出 されている旨が報 ぜ られているが (法律のひろば1995年9月号48頁)、判例集への 登載は確認で きず、従 って詳細 は把握 していない。
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