共同問題解決過程 と単独問題解決過程 の
比較研究
教育心理学教室
取
憲 一 郎
Kenichiro Takatori*:A comparative study ofioint problem sol ng pFOCeSSes and indvidual problem solving processes。 (Journa1 0f the Faculty of
Educttion,Tottori University,〈 Educational Science〉 ,1983,あ
:357-366.)
認識過程 をコミュニケーション平面上 で考察す ることの必要性 については
,筆
者 はすでに しばし ばふれてい る(高取,1978,1979,1980a,1980b)。
それは,従
来の心理学で伝統的に行 なわれて き た し現在 も行 なわれているところの主体 一客体 の関係軸 においてのみ人間の心理過程 を とらえるこ ころみに加 えて,主
体 ―主体の関係軸上 において も心理過程 を とらえる必要性の提唱である。 もと もと,こ
の見解 は れMoB(Lomovlに
よ り提起 されたが(たとえば,LomOv,1979,1980:」
IoMoB,1980:1981),彼の問題提起 は日常生活 のなか にある個人の心理過程 を自然の ままに とらえようとい
う
,い
わば従 来の実験室的枠組 と制約の限界 を超 えようとする ところに重要な意義があった。 日常 性 にお ける個人の心理過程 は孤立 した個人 において営 まれるのではな く,集
団において営 まれ るこ とが 自然だか らである。 この点で,
ЛoMoBの
見解 は,Cole et al.(1978)の `生態学的妥 当性〃 の主張 と共通 頂 をもっている。ただ,
ЛoMoBの
見解 についてはソビエ ト国内において理論 的論争が 存在することもつけ力日えてお きたい (詳細 については,高
取,1981
参照の こと)。 コミュニケーシ ョン平面か らの考察 を必要 とす るもう一つの理由は,Wertsch(1980)が
指摘す る ところの個人的心理機能の社会的起源の問題 である。 この考 えは,ヴ
ィゴツキーの見解,す
なわち 発達 した個人 の精神内機能 は精神間機能 (発達初期 における子 どもと大人の関係)に
起源 を もつ と いう見解に基礎づけられている。人間の心理機能 は,そ
の起源 をた どれば,人
間 と人間 との間 (す なわ ち社会的関係)に
もともと分割 されて存在 したものが,相
互交渉 を経 ることによ り個人 の内に 内面化 され形成 された ものである。 よってヴィゴツキーによれ ば,人
間の心理 は社会的・ 歴史的で あ り,心
理活動の発生 と成立 においてコミュニケー ションは重要な役割 を果す ことになる。 さて,認
識活動 とコミュニケーシ ョンの関係 についての実験的データは,LoMoB(1979,1980),
高取 (1979,1980a,1980b),Nosulenko(1979),3a6poД И
H&HOcyЛ
eHКo(1979),HOcytteHК o(1980),Hahio穂
&POtasova(1982)な
どがみ られ る。 それ らの研究で は,認
識活動(と くに記憶,注
意,判断な ど
)が
,コ
ミュニケーション条件 (すなわち共同認識活動条件)に
おいては促進 され る という結果が得 られている。 これは
,
ЛOMoB(1975)の
指摘す るように,コ
ミュニケー ションは個人的 経験の限界 を克服する働 きをもつ ことによるのである。以上の諸研究が発展す るなかで,認
識活動にお ける コミュニ ケー シ ョンを よ り深 く分析 しよ うとい う こころみ も現 れ た。 た とえば,HocyЛ eHK0 (1980)は
,コ
ミュニ ケー シ ョンを行 な う2人
のパ ー トナー間 に4種
の リーダーシ ップ類 型 (リ ー ダー追 随型,
リー ダー不安 定型,リ ー ダー不在型,協
力 型)を
区別 し,音
の大 きさの知 覚判 断 にお いては協力型 の人 間関係 が有意義 な ことを見 出 した。 また,BOЙcKyHcKИЙたち (1981)は,共
同 問題 解 決過程 において2人
のパ ー トナー間 に と り交 わ され るコ ミュニ ケー シ ョン内容 を12種 の カテゴ リ ー に分類 すべ きこ とを提 案 して いる。 本 稿 で は,コ
ミュニ ケー シ ョン平面上 にお け る認 識活動 を分析 す る一 つの こころみ として,共
同 問題 解決過程 と単独問題解決過程 を仮説 の発生 とその展開過程 ととらえて,両
者 を比 較分析 してみ る ことにする。 方 法 解決すべ き問題 としては, MaКcИMeHKO(1979)の使用 した主観的二等分問題 を一部変更 した もの を用いる。つ まり,「3人
の男が 1つ のケーキを分 けようとしている。1人 1人の男はケーキを均等 分 にしようと思 っているが,互
いに他人 は信用 していない。 ケーキを測定 して分配するという客観 的方法 は存在 しないことにする。 自分の とり分が全体 の%以
下ではない と1人
1人が確信 で きるた めには, 3人
は どの ような方法で分配 した らよいか,を
考 えよ」 とい う問題 である。問題解決 を始 める前にヒン トとして主観的二等分の場合の解決法 を教 える。すなわち,「2人
の男が1つのケーキ を各人が 自分 の とり分 は全体の%以
下ではない と確信 で きるように分配する方法は,ま
ず どちらか 一方の男が%だ
と思 うように分 け,残
りの1人が好 きなほうを初 めに選 び,分
けた男 は残 りの%を
とる」 という方法である。被験者 には,こ
の主観的二等分の原理 を参考 にして問題解決にあたるよ うに と教示する。 実験 は実験室で行なわれ,机
の上 にテープレコーダー とス トップゥォッチを置 き,被
験者 をすわ らせる。教示 を与 えた後,実
験者 は室外 に退去 し,被
験者がテープレコーダー とス トップゥォッチ を始動 させて,対
話 (共同問題解決群)あ
るいは独話 (単独問題解決群)の
かたちで問題解決 を行 な う。制限時間 は10分間であるが,解
決できた と思 えば途中でやめて もよい。 被験者 は大学生18人で,各
条件 それぞれ6組
ずつ とす る。 結 果МakcИ Me■
KO(1979)に
よれば,こ
の問題の解決法 は,第
1の 人間が分 け,第
2,第
3の人間が選択 し
,そ
の ときもし第2・ 第3の人間の選択が異 なれ ばそ こで完了す るし,選
択が同 じであれば, 2人の場合の原理 を適用 して分配するというものである。すなわち,次
の6要素の反復過程 とみな され る。C全
体 を3等
分する,②
全体の%を
さらに2等
分する,③
全体の%を 2人
のパー トナーが 選択する,④
全体の%の
さらに%を
パー トナーが選択する(つまり全体のソ6),⑤
初めに分けた者が 残 りの%を
とる,⑥
2番
目に分 けた者が残 リソ6をとる。 問題解決の展開過程を分析すれば,
これ らの6要
素あるいはそれ らの組合せが仮説のかたちをと つて現われて くることが予想 される。FIG。 1に共同問題解決群 と単独問題解決群の仮説の展開およ び否定の推移 と転換の過程を図示 した。同一の仮説は同一のアルファベ ット文字で表わし,文
字の 右下の数字は仮説の発展 を示 し,文
字の上の横線 は仮説の否定を,文
字の右上のダッシュは同一内鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第25巻 容の くり返 しを示 している。特徴的なのは
,共
同条件群 ではすべての組 において仮説の否定 という 段階が認 め られ るのに対 して,単
独条件群では半数の被験者 において しか認 め られない ということ である。単独条件群ではむ しろ否定 を媒介 としない仮説の羅列か(被験者1, 2), 1つ
の仮説 を若 干展開 しただけ (被験者3)と
い うような場合がみ られ る。 以上述べた ことをさらに具体 的内容 にそ くして記述 してお く(TABLE l,2)。 なお,以
上の仮説展 開過程の分析 は,筆
者 を含 めた2人
の合議の結果である (評定の一致率 は90.8%)。 次 に,両
群の各被験者の発言時間 と沈黙時間 をTABLE 3と TABLE 4に
示す。共同問題解決群 に おいては,2人
の被験者 の発言時間の割合か ら,一方の被験者のほうが よ り多 く発言す るタイプ(1,2, 4, 5, 6の
組)と
両者が同 じくらいに発言するタイプ(3の
組 )ガ ゞ見 られ る。単独問題解決 群では,共
同群 よりも沈黙時間がやや長 い程度で,両
群 の間 に大 きな特徴的差違 はみ られない。 考 察 実験結果 よ り明 らかになったことは,共
同群 と単独群 の差違 は,仮
説展開過程 において共同群の 場合 は必ず否定 を媒介 として展開するのに単独群ではそれが半数 しか見出せ なかった という点にあ る。 この事実か らいろいろな ことが考 えられ る。 まず第一に,両
群の この差違 は,佐
伯 (1982),三宅 (1982a),上野 (1982)な どの指摘する視点 という問題 と関係があるので はなか ろうか。た とえばMiyake(1981)に
よれば,`ミシンの縫 い目 は どうや ってできるか″という課題 を2人
の被験者 に一緒 に話 し合 いなが ら解いて もらった ときに, 分かっているときには視点が変動 しないのに分か らな くなった ときには視点が頻繁に移動す る。 し か も理解水準が深 まるにつれて,視
点の変動 も増加する。 この ことと本実験結果 を関連 させて考 え てみると,共
同群のすべての組 において観察 された仮説展開過程 における否定 を媒介 とした発展 と いうのは,困
難 な段階に遭遇 した場合 にそれ までの視点 とは異 なる視点か らながめるとい うことで ある。A仮
説 を否定 してB仮
説の提案へ,あるいは Alを 否定 してA2へとい う展開が連鎖的に続 くこ とによ り理解が深 まってい くといえそ うである。 これは, 2人
の人間が共同思考す るか ら容易に視 点の変換がで きた とも言 えるのである。 この解釈 は,三
宅 (1982b)の 他人の異 なる経験的知識 は各 自の構築 した新 しい知識構造 に対 して妥当性 のチェック として働 くとい うことと同義である。 さら に,三
宅 (1982b)が紹介 してい るBru ll弱ky(1981)と POnomaryev〔
LoMov,1981)の
解釈 とも同 じ内容 をさしていると思われる。すなわち,Brushlinskyは 物理の問題 を解 くときの個人 と
2人
1組
の過程 を比較 して(1)問題 を解 く過程で観察 される困難点 は両条件 に差 はな く,基
本的認知 プロ セスに差 はない,鬱)共同群 では,問
題の事象 をいろいろな観点か ら見 るチャンスが多 くなる,
と考 えている。 またPonOmaryevは
`9っの点 を一筆で書 ける4本
の直線 でつなげ″とい う図形パズル 課題解決 において共同群 のほ うに正解 に達 した組が多かった理由 として次の ように考 えている。解 決過程 には,(1)課題 その ものを解 こうとす るプロセスの レベル と(2)解決 プロセスその ものに対 して 働 きか けるモニタ リングのプロセスの2つがあ り,共
同群で は第2の レベルのプロセスが よ り多 く 観察 された。 また,以
上の ことは本実験終了後の内観報告 によって も証明 されてい る。た とえば,「自分 自身の 考 えがいきづ まった ところで,相
手が新 しい解決法 を見 い出 して くれた」(第2組 )と
か,「本目手が 反論 を言 って くれたので思考 を発展 させ るのに役立 った」(第4組 )と
かである。被 験 者 番 号
仮 醜 展 開 過 程 Al ん → BI 訓 智 報 ︱ 雲 一 澪 副 副 闘 職 ※ 艤 甜 卜 様 麟 諷 曲 鞘 済 苗 誠 e 辞 韓 翼 淋 Bi 一 ん DI 〃 一島 〃 Cl 〃 CI 〃 一 h ん → _A3
AI→ BI→ Ci→ Dl→ ん → 角 → D2`
h→
BI→ CI→ DI→
D2Al→
A2 AI ヽ Al 〃 Al→ BI→ B2 助Al→ BI→
馬 → ん → 妊 AlAl→ BI→
Ci A ―→ B! BIA→
BI→
B2Ct→ C2→
げB2→
B3 ノA BI Ci (:,4
ヽ ′ \ ノ ヽ ノ \ 尾FIG.1
共同問題解決群と単独問題解決群における仮設展開過程:アルファベット文字は仮説を表わし,同一内容の仮説は同一文字で表わす心文字の 右下の数字は同一仮説の発展を,文
字上部の横線は仮設の否定を,文字の右上部のダッシュは同一の仮説のくり返しを表わす。No.1
1.AI
2.AI
3. A2 4. BI No.21.AI
2.Al
3. A2 4. A3 No.31.Al
2.Bl
3,Cl
4. Ci 5,C′l 6. C2 7,C″1 No.4 1. Al 2. BI3.BI
4。 CI 5. Ci ABLE l.共同問題解決群の仮説展開過程 甲が 4等分 し,残 りの 2人 が初めに好 きな%
ずつをとり,最後 に甲が%をとる。残 った%
を3等分する。 残 りの 2人 (乙と丙)がとるときにケンカが 起 る。 2人 の場合の原理 を応用 して%を分 け, さら に残 りの%も 分 ける。 それだったら初めに甲が 3等 分 して乙 と丙に 選ばせれ ばよい。 甲+乙 と丙 と分けて考えて,丙が2/3と%に分 け,甲と乙の意見を聞 き,どちらも%のほう を望 まないときは丙がそれをとり,2/3を甲 と 乙が分 ける。 %のほうを甲と乙の両者が望んだ場合に困る。 しか しその ときは甲と乙とで 2人 の場合の原 理を適用 してソ6にすればよい。 残 りの%を丙が切 り,甲 ,乙が選択 して残 り を丙が とる。1/6ずつで%に なる。 %を丙が 2等 分 して甲,丙が選ぶ とき,甲, 乙の意見が分れた場合は%を甲,乙がそれぞ れ 2等 分 して丙に選ばせる。 甲が 2等 分,乙が さらに 2等 分 して 4等 分 6等 分 して 2切 れずつとったらええ 甲,乙に両端か ら%ずつ切 りとらせて丙に選 ばせる。 そした ら甲と乙が もめる。 3の 反復 甲が 3等分 して,乙が%の %を 切 り,丙
が%
の%を 2等 分 して,そ れぞれ自分の切ってい ないところをとる。 3の 反復 正三角形をつ くって分 けられないか。 甲が 3等 分 し,乙がそれぞれを2等 分 し,丙 が1/6のを 2つ とる。 自分で分けない人が文旬を言 う。別に 3等 分 にこだわる必要はない。 じゃんけん 負けたほうが納得がいかない。 鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第25巻 6。 B2 7. B3 8. B3 9. Dl No.5 1. Al2.BI
3. B2 4. B2 5. Ci 6, CI7.Dl
No.6 1. Al 2. Al3.BI
4. BI 5. CI 6. Cl 7.C′1 8.C′1 No.ユ1.Al
2. B! 3. CI 4. Dl 甲が3等分 し,乙がそこか ら2つとり,丙
が 2つのなかか ら1つとる。 甲が3等分 し,乙,丙に とらせ る。希望が重 な らない ときにはそれで よい。 乙 と丙 の希望が重 なった ときに困 る。 4つぐらいに分 ける。 甲が3等分 する。 甲が6等分 して,乙→丙→丙→乙の順でソ6ず つ とり,残 りを甲が とる。 で きるだけ細 く切 って順 に とってい く。 しか し,そ うす ると誤差 が大 きい。 甲が3等分 し,乙,丙もさ らに3等分 して, 計1/"ずつに分 け,それ を3人が好 きなように とってい く。 とる順 序に問題 が出て くる。 最初 に切 った者 (甲)から初 めに とる。 だれか1人が2等分 し,次
の人 がそれぞれ を 3等分 して,そこか ら1/6を2つずつ とる。 だれが3つに分 けるのかがわか らない。 全員が切 る。ひ ときれずつ切 る。 で も最初の人が大 きく切 った らダメだ。 甲が2つに切 る。乙に好 きなほ うを選 ばせ る。 甲の もっている%のほ うを丙が3等分 して, 甲 と乙に選 ばせ る。 乙の もってい る%のほ う は,甲が3等分 して乙 と丙が選 ぶ。 乙の もってい る%を甲が切 った らダメだ。丙 が切 って もダメだ。 乙は選 んだんだか ら切 っ てはダメだ。 や っば り前の とお り(5)にす る。 2人の人が選ぶ ときにケ ンカす る可能性 があ る。 しか し,切る人 は最後 に選 ぶのだか ら均 等 になるように切 るはずだ。 TALE 2.単独 問題解決群の仮説展開過程 甲が 2等 分 して,乙がそれぞれを 2等 分 して, 丙が さらにそれぞれを2等 分する。 甲が%を 切 りとり,乙が%のほうを半分 にし て,丙→甲→乙の順にとる。 甲が%に して,乙が好 きなほうを とり,丙が それぞれを 3等 分する。 甲が 2等 分 し,乙がその一方 を 3等 分 し,丙No.3 1。 Al:細か くきざんで断片の数 を均等 に分 ける。
2.A2:甲
が多数に均等 に分 け,乙→丙→甲の順で く り返 しとってい く。 ただ し,甲が均等割 りに す る数 は3の倍数 とす る。 が残 りの一方を3等 分 して,甲→乙→丙の順 でソ6を2つ ずつとっていく。 %, %, 1/8, 1/お, 1/32,・………%,%と
して,%の
2つ を2等 分 して計 6切 れにする。 甲が 2等 分 し,一
方の%の%を 乙が切 り,残 りを丙が 2等分 する。全体の残 りの%を甲が %切りとり,その残 りを乙が 2等 分する。つ まリツ6が6つ できた。丙→甲→乙→乙→甲→ 丙の順 にソ6ずつとつてい く。 甲が 3等 分 して,乙 ,丙が同意すれば解決す る。 甲が 3等 分 し,それぞれを乙が3等 分 して, 丙が 1つ ずつ選ぶ。 甲,乙 ,丙がそれぞれ 1ナ イフずつ入れる。 甲が 2等 分 し,次にさらに乙が2等 分 し, さ らに丙が 2等 分する。ダメだ。 甲が 2等分 し,乙がさらに 2等 分 して%を 4 個つ くり,丙→ 甲→乙の順で選ぶ。残った%
を甲が 3等 分 し,乙→丙→甲の '瞑 で選ぶ。 甲が切れ 目を入れ,乙が次の切れ日,丙が最 後の切 れ目を入れて3等分する。 乙の切 れ目を どこに入れ るかがポイン トにな るし,丙が損 す る。 切れ 目を入れ る順 番 をじゃんけんで決 め る。 とる順番 もじゃん けんで決め る。 で も3つに分 けるのがむずか しい。 中心 を決めて6つに分 けて, じゃん けんを し て勝 った ものか ら甲→乙→丙,丙→ 乙→ 甲の 順 に とる。 甲が3等分 して,乙→丙→甲の順 にとる。ダ メだ。 全員の合意 で半分に して,%を
甲が3等分 し て,乙→丙→甲の順 で とる。 甲が2等分 し,%を
乙が3等分 して,丙
→ 甲 →乙の順で とる。他の%を丙が3等分 して, 甲→乙→丙の順 に とる。 甲が均等 に2等分 できなか った ら困 る。 この 問題 はおいてお く。 3の くり返 し 丙が3等分 して もし乙が最初 に とった ら?こ の ときは乙→ 甲→丙 になるのでは?あるいは 甲→乙→丙か,わか らない。 甲が3等分 し,乙がそれぞれ を2等分 して, 計6等分 にして,丙が初 めに とる。 3人が それぞれ切 ってい く。 1の くり返 し 甲が3等分 にし,乙が さらに6等分 して,丙 が さらに12等分 にして,順番 に とってい く。 4のくり返 し しか し, 甲 と乙が どうい う順番 で とる力が問 題だ。5.A2
6. A3 7. D22.BI
3, C, 4. Dl 5. D2 No.41.AI:
2 Al: No.51.Al
2. Bl 3. B2 4. B2 5.Bち 6. Bち 3. A2 2. BI3.Al
4. A2 一 A B 4 5 NO・2 一 ・ ・A.No・6一甲
A 一 A 5. 6. しか し,単
独群 において も半数の被験者が否定 を媒介 にして,つ
ま り視点変換 を行 ないなが ら仮 説 を展開 させている。 これ はどう解釈すべ きであろ うか。 КyЧИHcKИЙ(1981)は,思
考 とは認識活 動 と認識操作 を ともな うところの認識主体 の内面的対話の総合であ り,
この総合のメカニズムは思 考過程の言語形式 におけるダイアローグ とモ ノローグ として現われ る,
と述べてい る。共同群 にお いては,現
実の2人
の人間の間に対話機能が分 たれているのであるが,単
独群 ではこの機能 は1人 の人間の内部 にもう1人
の我 として,す
なわち内面的対話 として存在するのである。ただその とき に,単独群の被験者No.4,5,6の
ように内面的対話が他人 に観察 しうる表現 された もの として現わ れる こともあるし,No。1,2,3の
ように外部 には表現 されて こない場合があるように思われ る。以 上述べた ことが第2の考察点である。すなわち,思
考過程 は基本的には対話 (それが現実の複数の鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第25巻 Tabに 。3共同問題解決群の発言時間 と沈黙時間
組番号
露
験者
時
召
羹確
者
毒
2亀
逸
毯
計 秒08秒
(20.o%)27 (53.8)
61 (43.5)
87 (31.3)
47 (25.5)
88 (56。
9)221秒
(40.9%)131 (31.0)
281 (46.8)
94 (15.7)
226 (39.2)
120 (23.7)
211秒
(39.1%)64(15.2)
5 8 ((9,7) 3 1 7 (53.0) 2 0 3 (35.2)98 (19.4)
540
422
600
598
576
506
Tab腱 。4単独問題解 決群の発言時間 と沈黙時間 被験者番号 発 言 時 間 沈 時 間 計 秒 (90.0%) (31.2) (26.2) (63.4) (73.3) (30.7) 秒 (10.0%) (68.8) (73.8) (36.6) (26.7) (69,3)560秒
600
542
558
600
600
56
413
400
204
160
416
人間の間 に分たれるにせ よ内面的な対話 にせよ)過
程 とみなされ る。 第3の考察点は,上
の第2の点 とも関連 をもつ。すなわち,単
独群の場合,な
ぜ否定の側面が現 われるのが少 なかったのか ということに関係 する。ル リヤ (1982)によれば,思
想 か ら言語行為への移行は多 くの段階を含んでいる。すなわち
,①
発話の動機―→②発話の内的意図
(思想
,あ
るい
は第一次意味登録
)一
→③内言―→
C展
開した言語発話の 4段 階である。そのとき
,ヴ
ィゴツキー
が述べたように
,思
想は言語行為に具体化されるのではなく
,言
語行為の中で完成され形成される
という見解がきわめて重要である。本実験の単独群の場合に仮説を否定する言語行為が現われなか
つた ということは,仮
説 が どこかまちが っているということはぱ く然 と考 えているのだけれ ども, 言語行為 のなかで思想 として形成 されない,あ
るいは形成 されに くか った といえるであろう。 そこ が内面的対話 としての単独思考の限界であろうし,逆
に共同思考の場合 には, 2人
の人間の間のコ ミュニケーシ ョンに媒介 されて,言
語行為 のなかで思想が完成 され るとい うことが容易 に行なわれ るのではなかろうか。ル リヤの思想・ 言語行為形成論 をロモフのコ ミュニケー シ ョン論 と重ね合わ せてみる とき,コ
ミュニケー シ ョンによる個人の限界の克服 とい う点 を,よ
り深 く理解で きると思 われる。 第4の考察 として稲垣 (1982)の指摘するコミュニケーションによる知的好奇心の増幅 と持続 という動機づけの側面の重要性 を考 えねばならない。本実験の結果 としては
,た
とえば単独群では制 限時間の10分にほど速い時点 で解決 を放棄する場合が多い とか,あ
るいは沈黙時間が きわめて長い 場合が単独群 によ り多 く見 られ るということもなかったので(TABLE 3,4参
照),知
的好奇心の増 幅 と持続 ということを直接的に示す資料 は見当 らない。 しか し,
この点 は非常 に重要になると思わ れるので,今
後の課題であろ う。 最後 に,上
述 して きたような実験的研究 な らびに理論的考察 を もう少 し大 きな視点か ら位置づけ てみよう。すなわ ち,認
識過程 の一環である問題解決過程 をコ ミュニケーシ ョン平面上 においてな らびに思想の言語行為への形成 とい う側面か ら考察することはどのような意味 をもつか ということ である。 この問題 を考 えるのには,ヴ
ィゴツキーおよび彼の同時代人バ フチーンの心理 を記号 とし て とらえるという見解が重要な示唆 を与 えて くれる。桑野 (1977)に よれば,ヴ
ィゴッキーはむし ろバ フチーンのほうか らよ り多 くを学んでいた と思われるとして,両
者 の立場 を「記号の もつ社会 的性格 に力点 をおいた記号学の立場」(p.13)と規定する。さらに両者 に共通 した主張点 として次の 三つをあげる。第一に,対
話 をことばの基本形式 とみな した こと。第二 に,内
言の重要性 を強調 し ているが,内
言の起源 は社会的交通 プロセスにあ り,内
言の特性 を解明す るためには対話の研究が 必要不可欠だ と考 えた こと。第二 に,心
理 を記号 として解釈す ることにより,心
理への客観的アプ ローチが可能であるとしたこと。第一の点 についてはSiama‐Cazacu(1977)も言語 をコミュニケー ションの道具 として研究す ることが言語研究 に とって必要であ ると主張 しているということもつけ 加 えておこうp 以上 のような立場か ら本研究 の位置づけを考 える とき,共
同群 (対話)と
単独群 (内面的対話) の問題解決過程 における仮説の展開過程 を分析することは大 きな意味が あった。 というのは,単
独 群では不十分な形でしか展開 されえなかった と思われ る思想一→言語行為の過程が,共
同群では目 に見 える形で展開 されていた と思われ るか らである。心理過程 を社会的記号 (言語)と
して解釈す ることにより,従
来の研究 においてはあま りぶれ られて こなかった思考 の展開過程 を理解す るため の端緒 は開 けた と思われ る。本論文の冒頭 に述べたように,コ
ミュニケー シ ョン平面 において心理 機能 を研究す ることの2つの必要性,す
なわ ち生態学的妥当性 と社会的起源の問題 に力日えて,ヴ
ィ ゴツキー とバ フチー ンの主張す る心理 を記号 としてとらえるという視点 も,本
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ALtract
The am of his study ls he cOmparat e analysis of joint proЫ em sol ng pro(翠s§鶴and ind idual problem sol▼ illg processeS,The task tO be so ed is he problem of subiect e trisection.
The results showed that in joェ IIt cOndition the series of hypotheses developed through sonte negation岳
whle in individual condition rarely occred negations lin 3/6 subjectsl.Raherす ih indvidual cOndition vanous hypothetts were entmeFated one after anOther,or only one hypoth岱 通was developed a httle(Se9
Fig工 and Table l,2).
The followings veFe discussed.1)The development Of hypothes“thFOugh negatioぃ are silttilar to he
idea of【lpoint Of view''theoFy.り The pЮ Ыeln帥 ing pFOceSS∝ are cOllsidered to be dialogue pF∝ eSSes.
In iOint cOnditiOn the dia10gue tt external and divided intO twO perksons. In indi dual condition, it is
intemal.9 Vygotsky argued that thought is completed,rather han embOdied inispeedi and that the
tFansitiOn from‐thOught into speech invOives sevemi stags,h joint cOllditわn,mough is easily cOmpleted
h Gpeech darough commu cation betveen two perNeons.4)The significance Of this.study was colasideFed in relatiOta to VygOtskプ s and Bakhtin's social seniOtic theOry of mind.