• 検索結果がありません。

肝切除術 における術後せん妄の検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "肝切除術 における術後せん妄の検討"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

(47)

原著 :秋田大学医短紀要1

0(2):149‑155,2002

肝切除術 における術後せん妄の検討

十 ∵

祥 知

股 木 々 猪 佐 * * * * * * 博 子 勤

義 典

沼 木 藤 々 浅 佐 佐

* * * * * 子 子 紀 紀 由 晶 磨

藤 山 井

工 煙 安

要 旨

肝細胞癌症例 に対 して施行 された肝切除後のせ ん妄の発生要因 と看護する上での留意点 を検討 した。

対象 は,2

000

年か ら

2001

年 に手術 を受けた1 0例の肝細胞癌で肝切除術が施行 された症例 とした。その うち,術後せ ん妄 を里 した症例 をせ ん妄 出現群

(n‑5)

,呈 きなかった症例 をせん妄非出現群 (

n

‑5)

とし,年齢,既往症,併存疾患,術前肝障害度,術 中出血量,手術時間

, IC

U入室期 間,血 中アンモニア値,術後薬剤使用回数,入院時お よび退院時における日常生活動作 の変化,入院期 間の 項 目を検討 した。その結果,せん妄出現群 はせ ん妄非出現群 と比較 して年齢が高い傾向にあること, 術前入院期間が長い こと

, IC

U入室の割合が高い ことなどの特徴が認め られた。一方,使用薬剤 ・ 血 中アンモニア値 と術後せ ん妄 との間に関連は認め られなかった。以上 よ り,術後せん妄 を予測 し, 早期 に発見 して治療 してい くためには,年齢や入 院期 間な どについて術前 に適切 なアセスメ ン トを 行 ってい く必要がある。

は じめに

肝細胞癌 に対す る肝切除術 は,併存する肝機能 障害のために,胃切除術 など他の術式 と比較 し て術後合併症が多い とされる。肝切除術後せん 妄の発生要因について検討 し, さらに看護す る 上での留意点に関 して若干の文献的考察 を加 え て報告する。

対象 と方法

秋 田大学医学部 にて2

000

1

月か ら

200

1 年

3

月 までの間に,肝細胞癌 に対 して施行 された肝

切除症例1 0例 を対象 とした ( 表

1 )。

これ ら1 0症例の入院中の診療記録お よび看護記 録か ら,術後合併症の有無 と種類 について検討 した。 この術後合併症の うち,術後せん妄 を認 めた症例 をせん妄出現群,認めなかった症例 を せん妄非出現群 として,年齢 ,既往症,併存疾 忠,術前肝障害皮,手術術式,術 中出血量,辛 術時間,血中アンモニア値,術後薬剤使用回数, 入院時お よび退院時 における日常生活動作の変 化,入院期間の項 目を検討 した。術後せん妄の

*秋 田大学医療技術短期大学部看護学科

**秋 田大学医学部附属病院看護部

***秋田大学医学部第‑外科

秋 田大学医短紀要 第10巻 2

KeyWords:

肝細胞癌 肝切除術 術後せ ん妄

149

(2)

(48)

工藤由紀子/肝切除禰二 における術後せん妄の検討

各項 目に関す る両群の比較 は

,MamWhitney

の U検定 を用 いて検討 し,同順位補正後の p値が

0.05

未満 を有意差 あ りと した。 また

, IC

U入 室 の有無 に関す る両群の比較 は

,Fisher

の直接 法 を用いた。

結 果

1.術後合併症 の有無 と種類 ( 表

2)

術後合併症 としては,高 ビリル ビン血症 ( 血 清総 ビリル ビン

5.0mg/dl

以上)

3

例 ,術後せ ん 妄

5

例 を認めた。 この うち,高 ビリル ビン血症 はすべ て退 院 までに改善 した。

2.

術後せ ん妄 について

術後せ ん妄 は,症例 2, 3, 5, 6, 1 0の 5 例 に認め られた。 これ をせ ん妄 出現群 とし,他

1

肝細胞癌症例 の概要

症例 年齢 性 ウイルスの型 術式 室期間 (日)術後ⅠCU1 60HBsAg 肝部分切除術 0

2 59HBsAg 肝右葉切除術 1 3 72HCVAb拡大肝右葉切除術 2 4 58HBsAg肝左 三 区域切除術 7 5 72HBsAg 拡大肝左葉切 除術 1 6 71HCVAb肝右葉切 除術 1

7 69HCVAb肝部分切除術 0

8 72HCVAb肝外側 区域切 除術 0

9 55HBsAg 肝 中央 二区域 切除術 2

150

5

例 をせ ん妄非 出現群 とした。 また,出現 し たせ ん妄症状 の例 として,経鼻 胃管や勝耽留置 カテーテル を自己抜去 す る

,

「 虫が い る」 と大 声 で暴 れる, まった く眠 らず天井が落 ちて くる と言 い不穏 になる,意味不明 なことを話 し会話 にな らない,な どがあった。

1

)年齢,既往歴,併存疾患 ( 表

3)

せ ん妄 出現群

5

例 の男女比 は

5:0

,せ ん妄 非出現群

5

例 の男女比 は

3:2

であった。 また, 年齢 はせ ん妄 出現 群 で は

70.4±7.0

歳 ,せ ん妄 非 出現 群 で は

62.8±7.3

歳 で あ り,せ ん妄 出現 群で高い傾 向 にあったが,統計学的 に有意差 は 認め られなか った

(p‑0.066)

手術歴既往 は,せ ん妄 出現群

5

例 中

4

例 での

ベ 5

疾患 ,せ ん妄非出現群

5

例 中

3

例 での

ベ 8

2

術後合併症 の有無 と種類

症例 術後合併症

1

なし

@

術後せん妄

③ 術後せん妄

4

高ビリルビン血症

術後せん妄

術後せん妄 痴呆の疑い

7

なし

8

なし

9

高ビリルビン血症

○は術後せん妄症例

3

年齢 ,既往症 ,併存疾患 と肝障害度

せん妄群5例 無せん妄群5

男 :女 5:0 3:2

年齢 (義 ) 70.4±7.0 62.8±7.3

手術歴既 往 5例 中45例 中3

肺 切 除 1 虫垂炎 2 白内障 1

前 立腺 肥大 2 胆嚢結石 1 右膝 半月板 手術 1

腰椎椎 間板ヘルニア 1 食道静脈癌 1 急性 心筋梗塞 1

肋骨骨折 1 胃潰蕩 1

既 往歴 と併 存疾 患 高血圧 5例 中22例 高血圧 1 5例 中3

心原性脳 塞栓 1 噂息糖尿病 11

CG‑R15(%) 13.1±6.2 ll.3j=6.4 術 前処置 門脈塞栓術 2 腹腔鏡 下肝 生検 (門脈塞栓 できず )I

秋田大学医短紀要 第10巻 2

(3)

工藤由紀子/肝切除術における術後せん妄の検討

疾患が認め られた。遠肝性側副血行路 としての 食道静脈痛 に対 しては,せん妄非出現群 の 1例 で

3

回の硬化療法 を受けていた。 また,既往歴 お よび併存疾患では,せん妄 出現群

5

例 中

2

例 のベ

3

疾患,せ ん妄非出現群

5

例 中

3

例 の

ベ 3

疾患が認め られた。術前 に薬剤 によるせ ん妄症 状が見 られた症例 はなかった。

2)術前肝障害度 ( 表 3)

術前肝障害度 をイン ドシアニ ングリー ン ( I

CG)15

分停滞率で見ると,せん妄出現群

13.1

±6.2%

,せん妄非出現群

11.3±6.4%

であ り, 統計学的に有意 な差 は認め られなかった

(p

0.548)

肝切除術 に先行 して行 われた術前処置 として は,せん妄 出現群で門脈塞栓術 を2 例 に,せ ん 妄非出現群で腹腔鏡下肝生検 と肝動脈右枝塞栓 術

(TAE)

が各 1例行われた。

3)手術術式 ( 表 1)

せん妄出現群では,肝右葉切除

3

例,拡大肝 右葉切除 と拡大左葉切除が各

1

例であった 。一 方,せん妄非出現群では,肝部分切除

2

例,肝

● せん妄症例

○ 無せん妄症例 (g)

15,000 14,000

せん妄群 無せん妄群

図1

a

術 中出血量 秋田大学医短紀要 第1 0巻 第

2

(49)

外側 区域切除 1例であ り,残 る

2

例が

2

区域以 上の切除を受 けていた。

4

)術 中出血量の比較 ( 図

1

a)

せ ん妄出現群の出血量 は

2600±2066m

1 ,せ ん 妄非出現群の出血量 は

4036±5594ml

であ り,両 群間に統計学的 に有意 な差 は認めなかった (p

‑0.69

1 )。

5

)手術時間の比較 ( 図

1b)

せ ん妄 出現群 の手術 時 間は

459±83

分,せ ん 妄非出現群の手術時間は

462±303

分であ り,両 群間に差 は認めなかった

(p‑0.

8 41 )0

6) ICU

入室期 間 ( 表

1)

術直後 に

IC

Uに入室 したのは,せん妄出現 群で全例であ り,その入院期 間は各

1,2, 1

,

1,2

日であった。 またせ ん妄非出現群では

2

例であ り,その入室期 間は各

7,2

日であった。

IC

Uへ入室 した割合 を比較 した ところ,せ ん 妄出現群の方で高い傾向にあった

(p‑0.083)

また,症例 3, 6は,術後 に軽度の記銘力障害 を中心 とする痴呆が認め られた。全例が術後

14

‑77

病 日に退院 した。

000054

せん妄群 無せん妄群

図1

b

手術時間

151

(4)

(50)

工藤由紀子/肝切除術における術後せん妄の検討

7)術後血 中アンモニア値

せ ん妄 出現群

5

例すべ てにおいて術後 に血 中 ア ンモ ニ ア値 を測 定 してお り

, 5

例 と も高値

(70/g/dl

以上) を示 した。一方,せ ん妄非 出 現群

5

例 中,術後 に血 中アンモニア値 を測定 し たの は

3

例であ り

,3

例 とも高値 を示 した。 こ れ らの異常値が正常 になるまでの病 日は,せ ん 妄 出現 群

11.2±4.7

日,せ ん妄 非 出現 群

7.

7.3

日であ り,統計学 的 に有 意差 は認 め られ な か った

(p‑0.15

1 )。

8) 術後薬剤使用回数 ( 表 4)

鎮痛剤坐薬,鎮痛用筋 肉注射,術後抗精神病薬 の使用 回数 は,両群 間に差 はなか った。一方, 睡眠薬使用 回数 は,せ ん妄 出現群が1 0. 4±

10.4

回,せ ん妄非出現群が 0回であ り,せ ん妄 出現 群 の使用 回数が有意 に多か った

(p‑0.019)

。 また,各薬剤 は,疫病や不 眠 な どの症状が現 れ た後 に使用 されていた。

9

)入院時お よび退院時 における日常生活動 作 の変化

せ ん妄 出現群

5

例 の入 院時‑退院時の 日常生 活動作 は, 自立‑ 自立

4

例, 自立‑非 自立

1

例 であ った。非 自立の

1

例 は,他 院へ転 院 したが, その後社会復帰 した。一方,せ ん妄非出現群で は

5

例すべ てが 自立‑ 自立であった。

152

10)

入 院期 間 ( 表

5)

術前入院期 間は, せ ん妄 出現群では

23.0±7.4

日, せ ん妄非 出現群では

13.5±6.5

日であ り, せ ん妄 群で有意 に長か った

(p‑0.032)

。 しか し,術 後 入 院期 間

(p‑0.222)

,全 入 院期 間

(p‑

0.222)

においては両群間 に統計学的 に差 を認 め なか った。

考 察

近年,手術手技 の向上や呼吸 ・循環 ・代謝の 管理が進歩 した結果, よ り侵襲 の大 きな手術 や 高齢者 の手術が増加 して きた。その結果,術後 せ ん妄 の出現が治療上 お よび看護上 ,重要 な問 題 となっている

2..

術 後 せ ん妄 の頻 度 は,一般外科 病棟 で は

5‑

15%

と報告 されてい る

3‥

。稲本

3

.らは, この術 後せ ん妄が起 こ りやすい要 因 として,脳血管障 害の既往 ,手術 時間,高齢者,開胸手術 ,男性 な どをあげている。 自験例 では,年齢 ,手術 時 間,出血量 についてみ る と,せ ん妄 出現群のほ うが高齢 である傾 向 にあったが,手術時間や出 血量 には差が なか っ

た 。

術後せ ん妄が起 こ りやすい要 因 と して,術後

IC

Uへ の入室す ることも報告 されている

3

. 0 今 回の1 0例 中で も

7

例が

IC

U管理 とな り, ま た,せ ん妄 出現群で

IC

Uに入室 した割合が高

4

術後薬剤使用 回数

項 目名

せん妄群

(n‑5)

無せん妄群

(∩‑5) U

検定

p

値 鎮痛用座薬使用回数

6.5±9.1 2.3±2.6 ∩.D

鎮痛用筋肉注射使用回数

1.1.7 0±0 ∩.D

術後睡眠薬使用回数

10

. 4±

10

. 4

0±0 * p=0.019

(*:p<0.05)

5

入院期間

項 目名

せん妄群

(n‑5)

無せん妄群

(n‑5) U

検定

p値

術前入院期間

23.0±7

. 4

13.5±6.5 * p=0.036

術後入院期間

37.0±7.0 33.2±25.5 n.p

(単位 :日 *:p<0.05)

秋 田大学医短紀要 第10巻 2

(5)

工藤由紀子/肝切除術における術後せん妄の検討

い傾向にあった。一般 に

,IC

U入室中には, 頻回のバイタルサインのチェックや包帯交換, モニ ターや人工呼吸器の警報音,昼夜 を問わず 点灯 されていることや,他の患者や看護師 ・医 師の声 などのため,静かな睡眠や精神的安寧 を 得 ることは難 しい。 これ らが要因 となって生ず る術後せ ん妄 は

IC

U症候群 と呼ばれている。

これ らの弊害 を最小限にするためには, まず

I

C

U入室期 間をで きるだけ少 な くす ることが必 要であろう。 また一般 に,意味のある感覚刺激 を行 うこと

4

J が術後せん妄 に対 して効果的であ るであると言われている

。IC

Uに入室 した患 者 に対 しては, 日時や手術終了か らの経過時間 などの認識 を促す ようなコミュニケーシ ョンが 必要であ り, さらに,患者の環境 を現実感のあ るものに配慮 してい く必要があると考える。 ま た,術後せ ん妄の予防のためには家族 など親 し い人の面会 も有効である

5

と言 われているが, この場合,家族 に対 しては,術後せん妄発生の 可能性 と精神的サポー トの重要性 を説明するこ とが必要である。 また,実際 に術後せん妄が起 こった ときに,家族がパニ ック状態 とならない よう,家族‑のサポー トも必要である

6

'と言わ れていることか ら,家族 に対 して も,術前,柿 後 を通 して綿密 に関わってい く必要があろう。

退院時のADLに関 しては,せん妄非出現群 では

5

例 とも自立 していた。せ ん妄出現群では

5

例 中

4

例 が 自立,1 例が非 自立であった。 こ の非 自立の症例 は痴呆が疑われたが,転院後 に 社会復帰 した。 このことか ら,肝切除術 の よう に侵襲が大 きく,術後のベ ッ ド上での安静が余 儀 な くされて術後せん妄 を発症 した場合であっ て も,適切 な治療 ・看護が行 われることによっ て,ADL が低下せず退院で きることが明 らか

となった。

術後せん妄の要因の一つに使用薬剤の副作用 も考 えられる。 自験例では,鎮痛剤坐薬,鎮痛 用筋 肉注射,術後抗精神病薬の使用回数は,両 群間に差はなかった。一方,睡眠薬使用回数は, せ ん妄出現群で有意 に多かった。 しか し, これ

らはいずれ もせ ん妄 に伴 う不眠があった後 に使 用 された ものであ り,使用薬剤が今 回の術後せ

秋 田大学医短紀要 第10巻 2

(51)

ん妄の原因 とは考 えられなか った。ただ し,せ ん妄発症のメカニズム として,睡眠覚醒周期障 害が数多 く報告 されている

7, 8.

ことか ら,痔痛 時や不眠時などの薬剤使用 に関するアセスメン

トを適切 に行 ってい くこと, また,患者の心身 の安静 を確保 して睡眠覚醒周期障害 を予防す る ことが大切であると言 える。 とりわけ,高齢者 では薬剤 の効果が遷延 し,翌 日の覚醒が遅れる こともある

9

ので,翌 日の覚醒状況や意識状態 に関するアセスメン トをしっか り行 ってい くこ とが必要 と思われる。

今 回検討 した肝切除症例では,術後せ ん妄の 頻度は 50% と高頻度であった。 また,肝切除術 式 をみると,せ ん妄出現群ではすべて肝葉切除 以上の手術が施行 されていたが,せ ん妄非出現 群 で は

5

例 中

3

例 が 1区域 以下 の切 除 に とど まっていた。術後の残肝容量 はせん妄出現群の 方が少 なかった と考え られた。 このことか ら, 術後せん妄 をもた らす要因 と して,アンモニア

などに対す る肝細胞の代償能の低下 も考 えたが, 自験例では,血中アンモニア値 に関 して両群間 に有意差がなかった。以上か ら,血中アンモニ ア値 と術後せん妄 に関連 は見 られなかった。

術後せん妄 を発症 した症例 は,術後の回復が 遅延す る原 因 になる こ とがあ る と言 われてい る

1

0 l rが,術後入院期間に関 しては,両群間で差 はなかった。一方,術前入院期 間では,せん妄 出現群のほうがせ ん妄非出現群 よりも長かった。

これは, 自験例での術式か ら,せ ん妄出現群 に おいて肝切除範囲が大 きいために,術前の検査 や門脈塞栓術 などの術前処置が より多 く必要 と されたため,術前入院期 間を長 く要 したのだ と 考 えられた。術前入院期間が長い とい うことは, 患者が より長い期 間,不安 を感 じることにつな がる場合 もある。 また,術前 の不安の訴 えの程 度 と,術後せん妄 との間には強い関連が見 られ た

1

1 、とい う報告 もある。 これ らの ことか ら,香 護者 は術前の不安言動 について注意深 く観察す る必要があると考えられる。現在,患者の

IC

Uへの術前訪問 を行 う施設が増 えている。 これ は,手術後 に患者が過 ごす環境 を前 もって見学 することで,術前の不安の軽減 を図ろ うとする

153

(6)

(52)

工藤由紀子/肝切除術における術後せん妄の検討

ものである。今後,看護者が, この ような術前 指導や術前

IC

U訪問などの,術前の不安 を和 らげる援助 を行 ってい くことが,術後せん妄の 発生 を予防するためにます ます重要 となってい

くもの と思われる。

結 論

肝細胞癌 に対する肝切除術 の術後合併症 につ いて, とくに術後せ ん妄 を中心 に,その発生要 因 と看護する上での留意点 を検討 した。肝切除 後 には

,

1 0例中

5

例 と高頻度 に術後せ ん妄 を認 めた。せん妄出現群 はせ ん妄非出現群 と比較 し て年齢が高い傾向にあること,術前入院期間が 長い こと

,IC

U入室の割合が高い ことなどの 特徴が認め られた。一方,使用薬剤や血中アン モニア値 と術後せ ん妄の関係 は明 らかでなかっ た。術後せん妄 を予測 し,早期 に発見 して治療 してい くためには,年齢や入院期間

,IC

U入 室 の有無 な どについて適切 なアセス メ ン トを 行 ってい く必要がある。 また,術前の患者の不 安 をアセスメン トし,で きるだけ不安 を取 り除

くようにす ることが必要である。

引用文献

1)高橋三郎,大野裕,染矢俊幸訳

(2002)

D

SM‑Ⅳ‑TR

精神疾患 の診 断 ・統計 マ ニュアル.医学書院 :

141‑180

2)

山城 守 也

(1992)

術 後 せ ん妄.臨床 外 科

47:132‑133

3

)稲本俊,小谷 なつ江,荻原敦子他

(2001)

154

術後せ ん妄の発症状況 とそれに対する看護 ケアについての臨床的研究.京都大学医療 技術短期大学部紀要

21:ll‑23

4

)旭松裕子

(200

1 )基本か ら学ぶ クリテ ィカ ルケア看護

14

‑食道痛根治術 を受けた患者 の看護‑.看護教育

42(12):1126‑1131 5)

長谷川峰子

(200

1 )術後 に見 られやすいせ

ん妄.Ex

pertNurse17(15):49‑51 6)

高済峯,前川和世,大 畠三穂子他

(2002)

肝切除周術期のメンタルケア.消化器外科

NURSING7 (6):35‑39

7)森美智子,金井悦子,堀川直史他

(1998)

精神不穏発症 に関する看護視点か らの基礎 的研 究 ( その 1). 日本赤十字武蔵野女子 短期大学紀要

11:37

‑5 0

8)

井上雄一

(1997)

睡眠 を科学す る 術後せ ん妄 の 病 態 と睡 眠 覚 醒 リズ ム.

BRAIN NURSING13(ll):76‑81

9

)辻美隆,大久保雄彦,竹内浩紀他

(1999)

せん妄 ( 錯乱), 興奮, 不眠.臨床外科

54(ll):

264‑265

10)

盛 田麻己子,柴山健三,石井潤一他

(2000)

人工心肺 を使用 した手術患者の術前 ・術後 のス トレス変動. 藤田学園医学会誌

24(2):

245‑247

ll)

児島敦子,武田則昭,石川元他

(1999)

心 臓手術患者 における術後せん妄発現の危険 因子 に関する研究 多変量解析 による心理 要 因の重要性 について.臨床精神 医学

28

(5):575‑583

秋 田大学医短紀要 第10巻 2

(7)

工藤由紀子/肝切除術 における術後せん妄の検討

Study ofPostoperative Delirium afterHepatectomy

Yukiko KUDOH*Yoshihiro AsANUMA

*

shoko INOMATA

*

Shoko KEMUYAMA

*

Noriko SASAKI

* *

Tomoko SASAKI* *

OukiYAS

UI * * *

Tsutomu SATO***

*DepartmentofNursing,College ofAllied MedicalScience,Akita University

**DepartmentofNursing,Akita University Hospital

***FirstDepartmentofSurge

r y

,Akita University SchoolofMedicine

(53)

Tenhepatocellularcarcinomapatientsoperated in 2000and 2001weresmdiedinten sofage,

anamnesis,concomitantaffection,preoperative hepatic function,intraoperative blood loss,surgical procedures,bloodamm omialevel,postoperativemedication,postoperativelengthofstayintheICU,activity ofdailyliving(ADL),lengthofstayinthehospital,andpostoperativedelirium .As aresult,therewasatrend thattheyareolderandpreoperativelengthofstayinthehospitalislongerindelirium‑group.Therelationship betweenpostoperativedeliriumandmedicationorbloodammonialevelwasnotapparen

t .

Itisconcludedthat age,preoperativelengthofstayinthehospitalandpostoperativecareintheICUshouldbeassessedproperly topredictandtreatpostoperativedelirium.

秋 田大学医短紀要 第10巻 2 155

参照

関連したドキュメント

しい昨今ではある。オコゼの美味には 心ひかれるところであるが,その猛毒には要 注意である。仄聞 そくぶん

を軌道にのせることができた。最後の2年間 では,本学が他大学に比して遅々としていた

従って、こ こでは「嬉 しい」と「 楽しい」の 間にも差が あると考え られる。こ のような差 は語を区別 するために 決しておざ

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

   遠くに住んでいる、家に入られることに抵抗感があるなどの 療養中の子どもへの直接支援の難しさを、 IT という手段を使えば

彼らの九十パーセントが日本で生まれ育った二世三世であるということである︒このように長期間にわたって外国に

に至ったことである︒

討することに意義があると思われる︒ 具体的措置を考えておく必要があると思う︒