復越一劫
復
越
一劫
1
智
山
勧
学
会
奨
励
研
究
助
成
の
報
告
−
新
義
真
言 教学
研究
会 ( 報 告 者 )一
渡
辺
新
治
こ の
論
文
は、 平 成 六 ・ 七年
度
に お け る智
山勧
学
会奨
励 研 究 助 成 の 共同
研 究 部 門 に 対す
る 報告
で あ る 。新
義
真
言
教
学 研 究 会 は 、本
多 隆 仁 氏 を中
心 に榊
義
孝 ・ 藤 田 隆乗
・大
塚 秀 見 ・ 元 山 公 寿 ・ 小 林 靖 典 ・ 田中
悠
文 ・巖
環
の 各氏
そ れ に 私 を 加 え て 九 人 で、 智 山 ・豊
山 の 論義
す
な わ ち新
義
真
言 の 論 義 の 研 究 を し て い る 。新
義
教
学
は、 興教
大師
・頼
瑜僧
正 の流
れ を 汲 み 、 聖 憲 に 至 り 、完
成 し た と 思 わ れ る 。 そ の 新 義教
学
は、 現 在、 竪義
・報
恩 講 の 論義
に伝
わ っ て い る。 し か し、 そ の 思 想 研 究、特
に 『 釈 摩 訶 衍 論 』 に お け る 論 義 研 究 は、未
開 拓 と い っ ても
同 然 で あ る 。 そ こ で 、本
研 究 で は、 そ の 点 を 明 ら か にす
る た め に、 竪 義 に お け る 論 義 を中
心 と し て、 『 釈論
第
三 重 』 と 『 大疏
第
三 重 』 の漢
文 を校
訂
し 、書
き 下 し を し 、 そ れ に 訳 を 付 し て、 新 義教
学 の 思 想 に 迫 ろ う とす
る の が 目 的 で あ る 。こ こ で は、
智
山勧
学
会奨
励
研 究 の 助 成 に 対す
る 研 究 成 果 と し て 、 『 大疏
第
三 重 』 の 「 復 越 一劫
」 を 取 り あ げ 研 究 し た 。さ て 、 こ の 論 義 に お け る
算
題
「復
越 一劫
」 は、 『 大 日 経疏
』 の 「 復 越 一劫
昇 住 此 地 」 の 文 を も と に、 種 々 の 観 点 か ら 、 質問
者 と答
者 に 分 け て論
義
さ れ て い る 。 『大
疏
第
三 重 』 に お け る 算 題 の 多 く は、高
野 山 に お け る 宝 門 派 の 『 宗義
決
択
集
』 あ る い は 寿門
派 の 『 大疏
指
南 鈔 』 『大
疏
愚案
鈔
』 『杣
保
隠
遁鈔
』 あ る い は 東 寺 に お け る 『 真 言本
母集
』智豊合同教学大会紀要
等
に お い て 論 義 さ れ て い る 。 し か し こ の 「復
越 一 劫 」 の算
題 は 根 来 ち な み に こ の算
題 を 取 り あ げ て い る論
義
書
は次
の 如 く で あ る 。 ( 新義
) に お い て だ け 論義
さ れ た よ う で あ る 。 根学
来
派 大 大 大 大 量疏
疏
疏疏
日第
啓 談 三 愚名
蒙 義 重 草 五 巻 十 十 十 八 十 一 八 数 運 運 聖頼
作 敞 敞憲
瑜 ( ( ( (1514161413071226
〜 〜 〜5
者
1693169313921304
) ) ) ) 智 大 大 刊 全 正 正27979
● ● ■635801749
aCC ●713a
第 第 第 第 五 十 十 二 十 四 ,第
五 十 七 ・ 大 正−
大 正蔵
経、 ・ 刊−
刊 本、 ・ 智 全−
智 山 全書
「復
越 一劫
昇
住
此
地 」 の 文 は 『 大 日 経 疏 』 の 十 地 が 説 れ た 後 に あ る 。 「 一 劫 を 越 え る 」 と い う こ と と 「 此 の 地 」 に関
す
る問
題 で あ る 。 ま た 『大
日 経疏
』 の 「復
越 一 劫 昇 住此
地 」 の 文 は、 『 大 日 経 』 の 「挙
益勧
修
」 の 文 の 解 釈 で あ る 。 つ ま り 「復
越 一 劫 昇住
此 地 」 の 文 は 、 「 挙 益 勧 修 」 に つ い て 述 べ て い る 。 こ の 「挙
益 勧 修 」 に お け る 問 題 であ
る 。 こ れ ら の 三点
の 問 題 を か ら め て 論 じ て い る 。 ま ず 「 一 劫 を 越 え る 」 と いう
こ と は、 『 大 日 経疏
』 に お い て 「 劫 」 を 妄 執 と考
え、 麁 ・ 細 ・極
細 の 三 妄執
を 越 え る こ と が、 三 劫 を 越 え る こ と で あ る と さ れ る 。 し か し、 『 大 日 経 疏 』 に こ の 三 妄 執 の 他 に微
細妄
執
が 説 か れ 、 こ の 中 の 極 細 妄 執 を 越 え る の か 、 そ れ と も微
細 妄 執を
越 え る の か 、 と いう
問
題 で あ る 。 つ ぎ に 「 此 の 地 」 と は、 地 上 の こ と で あ る の か、 ま た 仏 地 の こ と で あ る の か と い う こ と で あ る 。 「 地前
の 三妄
執
を 越 え て 」 と考
え る と 極無
自性
心 が 果 で あ り 初 地 の 心 で あ る 。 「 地 上 の 三 妄執
を 越 え て 」 と 考 え る と 仏 果 が あ る 。 一286
一ま た
信
解
地 の問
題 が あ り、 信解
地 は 『 大 日 経疏
』 に 「 此 の 四 分 の 一 に 信解
を度
す
」 と あ り、 「 四 分 」 と は 三句
の中
の 「方
便
為
究竟
」 す な わ ち 仏 地 を 開 い て 上 上 方便
心 と し、 四 と す る 。答
者
は極
無 自 性 心 を 初 地 に考
え 、信
解
地 を 十 地 に考
え て い る 。 つ ま り 地前
の 三妄
執 の 最後
の 一劫
を 越 え て 信解
地 ( 初 地 − 十 地 ) に 入 る と いう
の が 「復
越 一劫
昇
住
此
地 」 と考
え て い る 。難
者
は極
無 自 性 心 を 地 上 の 二 劫 を 越 え た 心 と考
え、 第 八 地 の 心 と す る 。 こ の 上 に 上 上方
便
心 に よ っ て 断 じ ら れ る微
細 妄執
が あ り、 こ れ を 断ず
る こ と に よ っ て 仏 果 を 得 る と考
え て い る 。 つ ぎ に挙
益勧
修
に つ い て で あ る 。 二 重 の 果 が あ る と す れ ば、 二 重 の挙
益勧
修 が あ る 。答
者
は 初 地 ( 十 地 ) の、難
者 は 仏果
の挙
益勧
修
で あ る こ と を 述 べ る 。 こ の よう
に 三 つ の 視点
か ら 「復
越 一 劫 」 の 算 題 を 論義
し て い る 。 以 上 、 「 復 越 一劫
」 の算
題 の 内 容 に つ い て要
点 の み を 見 た 。 し か し こ の算
題 の中
心 点 は、 実 は 『大
日経
』 『 大 日 経 疏 』 ま た 弘 法 大 師 空海
が 「 成仏
」を
ど の よう
に考
え て い た の か と いう
問 題 で あ る 。 つ ま り コ 生 成 仏 」 を ど の よ う に考
え る の か と いう
こ と で あ る 。 答 者 は 初 地 の 心 を、 難者
は仏
果 を 得 す る こ と が 「成
仏
」 と考
え た 。 し か し 現代
の 研 究 か ち み れ ば 、資
料
の 扱 え方
に 問 題 が あ る 。 例え
ば 『 秘 蔵 記 』 を 弘法
大
師 の 著作
に し て い る こ と な ど で あ る 。 あ る い は 内 容 に関
し て 気 が 付 い た と こ ろ で は、第
三 重 の答
者 が 「 没 心実
際
」を
第
八 住 心 と し て い る が、 「 没 心 実 際 」 の算
題 で は、答
者
は 「 没 心 実 際 」 は 第 七住
心 であ
る と し て い る。 こ れ ら の問
題 点 は 弘 法大
師 の 思 想 や、 あ る い は 『大
疏
第 三 重 』 の研
究 が 進 む に つ れ て解
決
す
る で あ ろう
。 復越一劫 『 大疏
第
三 重 』 は 既 に 『国
訳
密教
』 及 び 『真
言 の教
学
』 に お い て書
き 下 し が 行 わ れ て い る が、 踏 ま え、 目的
達
成 の た め に次
の 二 つ の 方 針 の 下 に 敢 え て書
き 下 しを
試
み た 。 一終
助
詞 「 乎 」 と 「 歟 」 は書
き 下 し た が 、漢
字 を ( )内
に 示 し た 。 こ れ ら の 成果
を
智豊合同教 学大会紀要 二
初 重、 二 重 、 三 重 の 問 答 に お け る 対 応 付 け が 明 ら か に な る よ う に
段
落
に 分 け た 。 一番
目 は、 終 助 詞 に 依 り、 文 章 の 意 味 合 い が 一 八 〇度
変
わ っ て し まう
こ と が あ る の で、漢
字
を 示 す こ と に依
り 、 そ れ ら が 反 語 であ
る の か、 強 め で あ る の か、 疑 問 で あ る の か等
を 判 ず る た め で あ る 。 二番
目 は 、 『 愚草
』 や本
書
は難
解 で あ る と 言 わ れ て い る が、 そ れ は 多 分 に そ の構
造 に問
題 が あ る と 思 わ れ る の で 、構
造 が 分 か る よ う に段
落 に 分 け た 。 底 本 は 大 正蔵
七 九 巻Zgb
。 器 。。 。 対 校 本 は 陸奥
国
分 寺 所蔵
本
(寛
永
十年
版 )復
越
一劫
、1
執 也 乎 経 復 越 一 劫 昇 住 此 地 文 所 言 一
劫
者 可 云 第 三 極 細 妄2
、答
。 依 一義
者
可爾
也43
両 方 也 若 云 第 三 之 一劫
也 者 。 三劫
之 説段
既 畢 有 十 地 文 。 其 上 云 復 越 一劫
。 以第
四微
細 妄執
非 云 一 劫 乎 。 復復
越
一劫
初
重1
、 (問
う ) 『経
』 に 「復
た 一 劫 を越
え て 此 の 地 に 昇住
タ ユ
す 」 と 文 り 。
言 う と こ ろ の 一
劫
と は、 第 三 の極
細 妄執
な り と 云う 可 き や (
乎
) 。2
、答
う 。 一義
に依
ら ば爾
か る 可 き な り 。 二 重3
、 (問
う ) 両 方 な り 。4
、 若 し、第
三 の 一劫
な り と 云 わ ば、 三 劫 の 説段
、 既に 畢 て 十 地 の
文
有
り 。 其 の 上 に 「 復 越 一 劫 」 と 云 一288
一復 越一劫 字 起
盡
専 顕 此 意 也 。5
、 若 又依
之 云爾
者 。 疏 解 此 文 。復
越 百 六 十 心 一 重細
惑名
度 三大
阿僧
祗劫
也 文 既 云 三 劫 。何
云 三劫
外別
妄
執
乎
。6
、 答 。 可第
三劫
也 。 経 文 。 昇 住此
地 之 益 。 既 云 信 解 地 。信
解
地 即 十 地 也 。 此 豈 非斷
三 妄 得 十 地 義 乎 。 加 之疏
以 此位
為極
無 自 性 心 。 極 無 所度
之 妄 執 非 第 三劫
何
乎 。7
、 且 一邊
令
出
釋 文 分 明 也 。8
、 但 至 一邊
者
。 上 雖 明 十 地 。 今挙
益勧
修
文 故 。 其 意頗
異 歟 。 凡 越第
三劫
。 得 十 地 。 越 微 細 妄 執 得 佛 果 。明 二 重 益 也 。
9
、 依 之 宗 家 釋此
文
。 越 三 妄 執 越 三 阿僧
祗
劫
是
則
十 地う 。
第
四 の微
細 妄 執 を 以 て 一劫
と 云う
に 非ず
や( 乎 ) 。 「
復
」 の 字 の 起 尽、 専 ら 此 の 意 を 題す
な り 。5
、 若 し ま た こ れ に 依 て 爾 な り と 云 わ ば、 『疏
』 に 此 の文 を 解 し て、 「
復
た、 百 六 十 心 の 一 重 の 細 惑 を 越 ゆこ
る を 三
大
阿僧
祗
劫 を 度す
と 名 つ く る な り 」 と 文 り 。既 に、 三
劫
と 云 え り 。 何 ぞ 三劫
の外
な る 別 の 妄執
と 云 わ ん や (
乎
V 。タ ヨ ね
6
、答
う 。第
三劫
な
る 可 き な り 。経
文 に 「 昇 住 此 地 」の 益 を 既 に 信 解 地 と 云 う 。
信
解
地 は 即 ち 十 地 な り 。此 れ 豈 に 三 妄 を
断
じ て 十 地を
得 る 義 に 非 ざ ら ん や(
乎
) 。 し か の み な らず
、 『 疏 』 に 此 の 位 を 以 て 極ハ る レ
無
自性
心 と為
す
。極
無所
度 の 妄執
、第
三 劫 に 非 ずば 何 れ そ や (
乎
) 。7
、 且 は、 一 辺 に出
さ し め た もう
釈 文 分 明 な り 。8
、 但 し、 一 辺 に 至 て は、 上 に 十 地 を 明 かす
と 雖 も 、今
は 挙 益 勧修
の 文 な る が 故 に、 其 の意
は、 頗 る 異な る か ( 歟 ) 。 凡 そ 第 三
劫
を 越 し て 十 地 を 得 。 微 細妄
執
を 越 し て佛
果 を得
。 二 重 の 益 を 明 か す な り 。9
、 こ れ に依
て 宗 家 の 釈 に 此 の 文 を 解 し て、 「 三 妄 執 を智豊 合同教学大会紀 要
10
、11
、 究 竟 也飃
驫
過此
修 上 上方
便
心断
微
細妄
執
至 佛果
故経
日 此 四 分 之 一 度 於 信 解 文此
釋 無 異 論 者 乎 。 重難
云 。 三 妄 外 立 微 細 妄 執 。 宗家
釋 分 明 也 。 上 云 越 三 妄 執 下 云 過 此 修 上 上方
便
心 斷微
細 妄執
故 。若
今
復
越 一 劫 非 第 四 微 細 妄 執 之 説 文 。依
何 経 文設
斷
微
細 妄 執 釋 乎 。 且 故 経 日 此 四 分 之 一 度於
信 解合
経
微
細 妄執
繹 去 依 今 経文
事
分 明 者歟
。 又於
第
三 劫第
三 重 微細
百 六 十 心 煩 悩 業壽
種 除釋
既畢
。今
又挙
第
三劫
非 重言
無
用乎
。 三 重10
、11
、 越 え 三 阿僧
祗
劫
を 越 え れ ば 、燈
れ 則 ち、 十 地 を究
ハ ら ソ
竟
す
る な り 。 復 た 一 劫 を彎
て 此 の 地 に 昇 住 す 此 れ を 過 ぎ て 上 上方
便
心 を修
し、微
細 妄 執 を断
じ、 佛 果 に 至 る故
、 な ヱ経
に 日く
、此
の 鵬 分 の 一 に儒
解
地 を度
す
」 と斉
。 此 の 釈 に異
論
無
き者
を や (乎
) 。 重 ね て難
じ て 云 く 。 三 妄 の外
に 微 細 妄 執 を 立 つ る こ と は 、宗
家
の 釈 に 分 明 な り 。 上 に コ ニ 妄 執 を 越 え 」 と 云 い 、 下 に 「此
れ を過
ぎ
て 上 上 方 便 心 を修
し 、微
細
妄
執
を
断
ず
」 と 云う
。 故 に、 若 し 今 の復
越 一劫
、第
四 の微
細 妄執
の説
文
に あ らず
ん ば、何
れ の経
文
に依
て 「微
細 妄 執 を断
ず
」 の 釈 を 設 け ん や (乎
) 。 且 は、 〈 故 に 『 経 臨 に 「 此 の 四 分 の 一 に信
解
を度
す
」 と いう
〉 の合
経
、微
細 妄 執 の 釈 は、今
の 経 文 に 依 る と いう
こ と分
明 な るも
の か ( 歟 ) 。 況 や ま た 第 三劫
に お い て、 「第
三 重 の微
細 の 百 六 十 ハ き レ 心 の煩
悩
業
寿
の 種 を 除 い て 」 の 釈 既 に畢
ん ぬ 。 今 ま た第
三 劫 を挙
ぐ
は 、 重言
無
用 にあ
ら ず や ( 非 一290
一復越一劫
12
、13
、 但 以今
文為
二 重挙
益
勧
修
事 難 思 。 三劫
挙
益勧
修
義
第 三劫
初 復次
真 言 門修
行
菩薩
行
乃 至 皆悉
成就
文 明 之畢
。 疏 釋 彼 文 。 既是
欲
明 超第
三 劫之
心 欲令
見 聞 者 信 楽尊
重 故 先 歎 其功
徳
耳 文 信 楽尊
重 言 尤挙
三 劫 能 越 益 見何
再
挙
之乎
。 十 地段
畢 其 上 云挙
益勧
修
。 無 争局
佛
果 云事
。 但 初 入 此 信 解 地 者 。信
解
言
通 因 果 中 。 佛果
信解
初 入 故 云初
入信
解
何
過乎
。故
経 。 一 切智
信 解 地 文 此 豈今
信
解
非 顕 一 切智
也乎
。14
、 若 如答
成 二 重挙
益 勧 修 。 可 云信
解
地 與 一 切 智 。 而12
、13
、14
、… 乎 、 … … … で は な か ろ う か ) 。
ハ ヨ ソ
但
し 、今
の 文 を 以 て、 二 重 の挙
益勧
修
と なす
こ と 思 い 難 し 。 三 劫 の挙
益 勧修
の義
は 、第
三 劫 の 初 の 「 ま た次
に真
言 門 に菩
薩 の 行を
修
行す
る 乃 至 み なり
悉
く 成就
す 」 の 文 に 、 こ れ を 明 し 畢 る 。 『疏
』 の 彼 の 文 を 釈 し て、 「 即 ち是
れ第
三劫
を 越 え る の 心 を 明 さ ん と 欲 し て、 見 聞 者 を し て 信 楽尊
重 せ し め ん とハ け 欲 う が 故 に、 先
ず
そ の 功 徳 を 歎 ず る の み 」 と 文 り 。 「信
楽尊
重 」 の 言、 も っ と も 三 劫 能 越 の 益 を挙
ぐセ と 見 え た り 。
何
ぞ再
び こ れ を 挙 げ ん や ( 乎 ) 。 十 地段
畢
っ て 、 そ の 上 に挙
益 勧 修 と 云 う 。 争 い無
し 、佛
果
に 局 る と 云う
事 を 。ほ り 但 し、 「 初 め て 此 の 信 解 地 に 入 る 」 と は、 信 解 の 言、 因 果 に 通 ず る 中 に 、
佛
果
の 信解
に 初 め て 入 る が 故 に、 初 入 信 解 と いう
に何
の 過 そ や (乎
) 。故
にハ は り 『 経 』 に 「 一 切 智 の 信 解 地 」 と 文 リ 。 此 れ 豈 に 今 の
信
解
は 一 切智
な り と 顕 わす
に あ らず
や ( 非 … … …乎
、 … … … で は な か ろう
か ) 。 若 し答
し 成ず
る が 如 く に、 二 重 の挙
益勧
修
な ら ば、智豊合同教学 大 会紀要
IQ
16
、17
、 云 標 果 因次
第
釋 因 果次
第
也者
。 非標
釋 文 句雑
亂
乎 。 次 挙極
無
自 性 心 事 。 一 段 大 旨 為 明 佛 果 益 也 。故
欲 明 行十
地 至 佛 果 先 挙 因 満 之極
無
也 。 故 此義
以 地 上 二劫
義
可 成 也 。今
一段
釋 全 同 第 六 巻 入 地 三昧
道 之 文 。 故 知 行者
初観
空性
時
等
者 第 八 地極
無
自 性 心 因 満 也 。此
上 以 上 上方
便
心斷
微
細 妄 執 至 佛 果 云復
越 一 劫 昇住
此 地 也 。 昇住
此 地 若 非 佛 果 。 此 四 分 之 一 者 指何
乎 。此
目 近 詞 也 。 四 分 之 一 佛 果 隣 次 不 挙 之 者 。 此 四 分 之 一 故 。 不 可 云15
、16
、17
、 「 信解
地 と 一 切智
と 」 と 云う
べ し 。 し か る に 標 は果
因 の 次 第、釈
は 因果
の 次第
な り と 云 わ ば、 標釈
の 文 句 雑 乱す
る に あ らず
や ( 非 … … … 乎、 … … … で は な か ろう
か ) 。 次 に 極無
自
性
心を
挙
ぐ る 事、 一段
の 大 旨 は、 仏 果 の 益 を 明 かす
が た め な り 。 故 に 十 地 を 行 じ て 仏 果 に 至 る こ と を 明 か さ ん と 欲 し て、 先 ず 因満
の 極無
を挙
ぐ る な り 。 故 に此
の 義 は 地 上 二 劫 の義
を 以 て 成ず
べ き な り 。ハ お り
今
の 一 段 の 釈 、 第 六 巻 の 八 地 三昧
道 の 文 に 全 同 なま り 。 故 に 知 ん ぬ 。 「 行 者 初 め て 空
性
を 観 ず る時
等
」 と は、第
八 地極
無
自 性 心 は 因満
な り 。 此 の 上 に 上 上方
便
心を
も っ て、 微 細 妄 執 を断
じ て 仏 果 に 至 る を 「復
た 一劫
を 越 え て 此 の 地 に昇
住
す 」 と 云う
な り 。 「 昇 住此
地 」 が、 若 し 仏 果 に あ らず
ん ば、 「 此 の 四 分 の 一 」 と は 何 を指
す
や ( 乎 ) 。 「此
」 は 目 近 の 詞 な り 。 四 分 の 一 の 仏 果 隣次
に こ れ を挙
げ ず ん ば、 此 れ 四 分 の 一 と 云 う べ か ら ざ る が故
に 。 一292
一復 越一劫
18
、19
、宗
家
釋今
一段
釋也
事
所 不 共 許 也 。 彼 釋 標 越 世 間 三 妄執
出
世
間 心 生 至是
則
十 地 究 竟 也 。経
越
世 間 三 妄執
出 世間
心 生釋
也 。 過 此修
上 上方
便
心 以 下當
處
此 四 分 之 一度
於 信 解 釋 也牒
文合
経 分 明 也 。 不 可 云 彼 釋 一 向此
一段
釋 。若
爾
者 過 此修
上 上方
便
心 已 下 釋 當 此 一段
釋 。 故 全非
二 重挙
益 也 。 次 至 名 度 大 阿僧
祗 也 釋 者 。 自本
三 妄 四 妄 開 合 不 同 也 。 開佛
果 一障
贐
為
四 妄 細論
門也
。 若總
相麁
論 日 三 妄盡
諸 惑故
云 名度
三 大等
也 。 退考
微
細 妄 執 説 文 。 非無
疏
釋 起盡
。疏
釋 一 二 三 四 五再
數 経文
。 由有
無
明 故 生 五 根本
煩
悩
心等
文 五 根本
五 重再
數 成 百 六 十 心 。 彼 百 六十
心 開 麁 細極
細 三 重為
三 妄執
。 故 知 三 妄外
有
能
生根
本
無 明 。麁
論
時
此
無
明 種 子屬
五 根本
別 不 開故
。 以 三 妄 盡 諸 惑 也 。 是 即 順 常 途 之義
也 。18
、19
、 ま た宗
家
の 釈 、 今 一段
の 釈 な り と 云う
事
、 共 に 許 さ ざ る と こ ろな
り 。 彼 の 釈 、 「 世 間 の 三妄
執
を 越 え て、 出 世 間 心 生ず
」 と 標 し て、 「 是 れ則
ち 十 地 究 竟 レ リ な り 」 に 至 る ま で は、 『 経 』 の 「 世間
の 三 妄 執 を 越 ね え て 出 世 間 心 生ず
」 の 釈 な り 。 「 此 を 過 ぎ て 上 上 方 ハ ソ便
心 を 修 す 」 以 下 は 、当
処
の 「 此 の 四 分 の 一 に 信 の 解 を 度 す 」 の釈
な り 。牒
文 合 経 分 明 な り 。 彼 の 釈、 一 向 に 此 の 一段
の 釈 と は 云 う べ か ら ず 。 若 し 爾 ら ば、 「 此 を 過 ぎ て 上 上方
便
心 を 修 す 」 巳 下 の 釈、 ま さ に 此 の 一段
の釈
た る べ し 。 故 に 、 全 く 二 重 の 挙 益 に は あ ち ざ る な り 。れ 次 に 「 三
大
阿 僧祗
劫
を 度 す と名
ず
く
る な り 」 の 釈 に 至 っ て は 、 も と よ り 三 妄 四妄
は 開 合 の 不 同 な り 。 仏 果 の 一障
或 い は + 地 に 通 ず を 開 い て 、 四 妄 と な す 細 論 門 な り 。 若 し 総相
麁
論 の 日 は、 三 妄 に 諸 惑 を 尽 くす
が 故 に、 「 三 大等
を 度 す と 名 つ く 」 と 云う
な
り 。 退 い て微
細
妄
執
の 説 文 を考
う る に、 『疏
』 の 釈 の 起 尽 無 き に あ らず
。 『 疏 』 に 一 二 三 四 五 再 数 の 経 文 を 釈 す と し て、 「 無 明有
る に由
る が 故 に、 五 根 本煩
悩
智豊合同教学大会紀要
20
、21
、 細 論 日無
明 能 生 種 子 故別
開 之 。 名 微 細 妄 執也
。 故 知由
有
無
明 故 生 五 根 本煩
悩
釋 専 顕 四 妄 之義
云事
。 若 一 生度
此 三妄
執 即 一 生 成佛
者
合
門 釋 即 順 常 途 談 也 。 抑挙
益勧
修
初
是
故 智 者當
思 惟者
勧
何 思 惟 乎 。 上 文 我 一 切 諸有
所 説依
此
而 得 文 可令
思 惟 彼 文 意 也 。 而 彼 文 皆依
此
者
因 根 二 句 也 。疏
釋 種 子 及 生 育 因 縁是
也 而 得者
當
究
竟
句 。 故 知 指 彼 所 得 之 果 云是
故智
者
當
思 陲 也 云事
。 若 爾 者 非勧
所 地 益 思 惟 之 文 見バ カ
の 心
等
を 生ず
」 と 文 り 。 五根
本
を 五 重 に 再 数 し て 百六 十 心 を 成 ず 。 百 六 十 心 に
麁
細極
細 の 三 重 を 開 いて、 三 妄 執 と な
す
。 故 に 三妄
の外
に 能 生 の 根本
無明 有 り 。 麁 論 の 時 は、
此
の無
明 の 種 子 を 五 根本
に属 し て、 別 に 開 か ざ る が
故
に、 三 妄 を 以 て 諸 惑 を尽 く す な り 。 是 れ 即 ち 常 途 に 順 ず る の 義 な り 。 細
論 の 日 は 、 無 明 は 能 生 の 種 子 な る 故 に、 別 に こ れ
を 開 い て
微
細妄
執
と 名 つ く る な り 。 故 に 知 ん ぬ 。「 無 明
有
る に由
る が 故 に 五 根 本煩
悩
生 ず 」 の 釈、専 ら 四 妄 の
義
を顕
す
と 云 う 事 を 。ハ おロ
20
、 「 若 し 一 生 に此
の 三 妄執
を度
せ ば 、 即 ち 一 生 成 仏 す 」と は、 合 門 の 釈 、 即 ち
常
途 に順
ず
る の談
な り 。21
、 そも
そ も挙
益勧
修
の 初 め に、 「是
の 故 に智
者
は ま さの
に 思 惟
す
べ し 」 と は、 何 の 思惟
を勧
む る を や( 乎 ) 。 上 の 文 に 「 我 が 一 切 の 諸
有
の 所 説 は み な 此ゐソ
れ に 依 っ て 而 も 得 」 と 文 り 。 彼 の 文 は、 「 み な 此 れ に
依 っ て 」 と は、 因 根 の 二
句
な
り 。 『疏
』 に 「 種 子 おロ め
よ び 生 育 の 因 縁 な り 」 と 釈
す
る は是
れ な り 。 「 而得 」 と は 究
竟
の 句 に 当 た る 。 故 に 知 ん ぬ 。 彼 の 所 一294
一復
tW
−一一劫22
、 答 。 可 第 三劫
答
申 意 。 專 依 地前
三劫
起 盡 兼 依 初 入 此信
解
地 文也
。 先依
地前
三劫
起蠱
者 。疏
家 宗 家 處 處 釋并
極 無自
性
心 初 地 見 釋 文等
如 常 。 若 爾 者 行 者 初観
空
性時
等
者
。 第 八 住 心 没 心實
際 位 也 。轉
生 極 無 自性
心 初 地位
也
。 故 至 此 不 思議
地 文 不 思議
地燈
十 地 通 名 也 。 不 可 局 因満
故 。 又 乃 名 真 離 二乗
地 文 上 経 説初
地 浄菩
提
心 。出
過 一 切声
聞
辟 支 梯 地 文何
彼 文 因満
乎 。 此諸
文
既 初 地 見 一 段 若 明 佛 果 益 者 。 往 往 挙 初 地 何 用乎
。 故 知 明 二 重 益 條 無 異 論者
也 。22
、得
の 果 を 指 し て 、 「是
の 故 に智
者 は ま さ に 思 惟す
べ し 」 と 云 う な り と 云う
事
を
。 若 し爾
ら ば 、 初 地 の 益 の 思惟
を勧
む る の文
にあ
らず
と 簒盞
り 。答
う 。 第 三劫
な る べ し と答
え申
す
意
、専
ら 地 亠 麟 三劫
の 起 尽 に ょ り、兼
ね て 「 初 め て此
の信
解
地 に 入 ハ れ レ る 」 の 文 に依
る な り 。 まず
地前
三劫
の 起尽
に依
る と は 、 疏 家 宗 家 処 処 の 釈并
に極
無
自
性
心、 初 地 と 見 え た る等
常
の 如 し 。 若 し爾
ら ば、 「行
肴
初 め て 空 ま 性 を 観 ず る時
等
」 と は、第
八 の住
心 、没
心 実 際 のお レ
位
な り 。 「 転 じ て極
無 自 性 心 を 生ず
」 と は 初 地 の位
れ け な り 。 故 に 「 此 の 不 思 議 地 に 至 る 」 と 文 り 。 不 思 議 地 は 是 れ 十 地 の 通 名 な り 。 因 満 に
局
る べ か ら ず .お り 故 に ま た 「 乃 ち
輿
に 二乗
地を
離 る と名
つ く 」 と 叉 り 。 上 の 経 に 「 初 地 浄菩
提 心 」 を説
い て 、 』 切 声 聞 辟 ハ お ロ 支 佛 地 を 出 過 す 」 と 文 り 。 何 ぞ 彼 の 文 を 因 満 と 云 う や (乎
) 。 此 の 諸 文 に 初 地 と旻
た り 。 一 段 若 し 仏 果 の 益 を 明 か さ ば 、 往 往 に 初 地 を挙
げ て 何 の 用 そ や ( 率 〉 。 故 に 知 ん ぬ 。 二 重 の 益 を 明 か す の 条 、 異 論 無 き も の な り 。智豊合伺教 学 大会紀要
23
24
、次
初 入 此信
解
地 文 信 解 地稱
通佛
果
歟事
一箇
尋
也 。何
以未
定義
為
下 地 立 其義
乎
。 設 又 許 通 佛 果 。 信解
終 也 。何
云 初 入 乎 。 旁 以 不應
道 理 乎 。 但 秘 蔵 記 事釋
二 重挙
益 事 專依
當
處
文 也 。 其中
初 重 越 三劫
得
十 地 故同
越 世 間 三 妄 執 出 世 間 心 生 之 経 文 。標
彼 経 詞作
釋也
。 非牒
詞 故 不 可 云 上 下 別 段 釋 。 若牒
詞 尤 可 置者
字 也 。 但 十 地 究 竟 者 。 密 教 横義
故 初 地 究 竟 云 十 地 究竟
也 。 既 云 越 三 妄 執 。 重 云斷
微
細 妄 執 。 三 妄 外 立微
細 妄執
分 明 也 。 承名
度
三大
阿僧
祗
劫
釋 何 設 此 釋乎
。23
、24
、 次 に 「 初 め て此
の信
解
地 に 入 る 」 の 文 は、 信 解 地 の称
、 仏果
に 通ず
る か ( 歟 ) の事
、 一箇
の尋
ね な り 。 何 ぞ未
定
の義
を 以 て 下 地 とな
し て、 其 の義
を 立 て ん や ( 乎 ) 。 設 い ま た 仏 果 に 通ず
と 許 す とも
、 信 解 の 終 な り 。 何 ぞ 初 入 と 云 わ ん や (乎
) 。 か た が た 以 て 道 理 に 応 ぜ ざ る や ( 乎 ) 。 お ロ 但 し 『 秘 蔵 記 』 の事
、 二 重 の挙
益 を釈
す
る こ と は 、専
ら 当 処 の 文 に依
るな
り 。 其 の中
に初
重 は 三劫
を 越 し て 十 地 を得
る が故
に 、 「 世 間 の 三 妄 執 を 越 え 、 ハ ぬ 出 世 間 の 心 生ず
」 の 経 文 に同
な れ ば、 彼 の 経 の 詞 を 標 し て 釈 を作
す な り 。 牒 詞 に あ ら ざ る が 故 に 上 下 を 別 段 の 釈 と は 云う
べ か ら ず 。 若 し牒
の 詞 な ち ば 、 も っ と も 「 者 」 の字
を 置 く べ き な り 。 但 し 十 地究
竟
と は 、 密教
は横
の義
の 故 に、 初 地究
竟
を
十 地究
竟
と 云う
な り 。 既 に 「 三妄
執 を 越う
」 と 云 い て 、 重 ね て 「 微 細 妄 執 を 断 つ 」 と 云 う 。 三 妄 の外
に 微 細 妄 執 を 立 つ る こ と 分 明 な り 。 「 三 大 阿僧
祗
劫
あ を 度 す と 名 つ く 」 の 釈 を 承 け て、 何 ぞ此
の釈
を 設 け た ま わ ん や ( 乎 ) 。 一296
一復越一劫
25
、26
、27
、 次 至 云 三 妄 斷義
第
三劫
釋 既畢
者
。 如 先 成 。 故 今 挙 益 勧 修 文 故 。経
意
別
也
。 然第
三 劫 経 文性
正 無 三 妄斷
説 。 令 出疏
釋
也
。今
至挙
勧
益修
文 云復
越 一 劫 。 正 説 越 第 三劫
義
偸
顕
先 第 三劫
経
文 可 有 此 説 也 。 是 即 経 文 巧 妙 也 。 次 第 三 劫 初 経 文 明得
益 云 事 。 彼 為 令 見聞
者 信 楽 尊 重 也 。 未 必 得 益 故 。 経 初 安 彼 文 。 得 益 尤 可 在 三 劫 説 後 也 。 次 四 妄 起 盡 事 。答
者 殊 存 四 妄義
。 由有
無 明 文 非 合 四 妄 説 之故
。 全 非 難 者 起 盡 。 至 一 生 度 此 三 妄 執 之 文 者 。 得 至 佛 惠 初 信 既 初 地 浄菩
提 心 也 。 宗 家 釋 分 明 故 。 若爾
指 彼 位 云 一 生 成佛
故 。 云 一 生 成 佛 可 初 地 位 也 。何
為 合 四 妄 證 乎 。25
、26
、27
、 次 に、 三 妄 断 の義
は、 第 三劫
の 釈 既 に 畢 ん ぬ、 と 云 う に 至 っ て は、先
に 成ず
る が 如 し 。 故 に今
は 「挙
益 勧 修 」 の 文 な る 故 に 経 意 は 別 な り 。 然 れ ども
第
三劫
の 経 文 に は 、 正 し く 三 妄断
の説
無
し 。 出 さ し む る は、 『疏
』 の 釈 な り 。 今 「挙
益勧
修
」 の 文 に 至 っ て 「 復 越 一 劫 」 と 云 う 。 正 し く第
三劫
を 越す
る ひ そ か 義 を 説 い て、 偸 に 先 の 第 三 劫 の 経文
に此
の 説有
る 可 き こ と を 顕す
な り 。 是 れ 即 ち 経文
の 巧 妙 な り 。 次 に 第 三 劫 の 初 め の 経 文 に 得 益 を 明 かす
と 云 う 事、 彼 は 見 聞 者を
し て 信 楽 尊 重 せ し め ん が為
な り 。 い ま だ 必 ず しも
得 益 に 非 ざ る が 故 に、経
の 初 め に 彼 の 文 を 安 んず
。 得 益 は 尤 も 三 劫 の説
の後
に 在 る 可 き な り 。 次 に 四 妄 の 起 尽 の 事、 答 者 は 殊 に 四妄
の 義 を 存 す 。 「由
有 無 明 」 の 文 は 四 妄 を合
し て 説く
に 非 ず 。 之 の 故 に 全 く 難者
の 起 尽 に 非ず
。 「 一 生 に 此 の 三 妄 執 を 度 せ ば 」 の 文 に 至 っ て は 、 「 仏 恵 の 初 心 に 至 る こ お ヨ と を 得 」 と 、 既 に 初 地 浄 菩提
心 な り 。宗
家 の 釈 分 明 な る が 故 に 。 若 し 爾 ら ば 、 彼 の位
を指
し て 一 生智豊合同教 学大 会紀要
28
29
、30
、 次 是 故 智 者當
思
惟
等
文 事 得 益 存 二 重 上 。 種 子 及 生 育 因 縁 可 通 地前
地 上 也 。於
地前
地 上 各 存 三 句 事 。是
又 一 段 所 存也
。 次 復 越 一劫
復字
事
對前
二 劫 也 。 得 初 地 益事
近 雖 在第
三 劫 。兼
通 初 二 劫 故 。 以 復 字 顯 三 妄齊
越 得 初 地 益 也 。 故宗
家
釋 。 越 三 妄 執 十 地 究竟
文況
又 如前
成 偸 顯 第 三劫
妄
執
斷
義 故 置復
字 也 。意
可説
越 諸戯
論 復 越 一劫
等
虚
空等
。 経 文讓
今 文 略 彼句
故 。今
置 復 字 也 。 次 四 分 之 一 此字
事
可 指 昇住
此 地 也 。 疏 釋 就 前 三 句 義 中者
當
此 字釋
。 三 句 者 指 信 解 行 地 観 察 三 心 之 文28
、29
、30
、 成 仏 と 云 う が故
に 一 生 成 仏 と 云う
も 初 地 の位
な る べ き な り 。何
ぞ 四 妄 を 合 す る 証 と せ ん や (乎
) 。ハ
次
に 「是
の故
に智
者
は ま さ に 思 惟す
べ し 」等
の 文 の 事、 得 益 に 二 重を
存
す る 上 は、 種 子 及 び 生育
の 因 縁 も 地前
地 上 に 通 ず べ き な り 。 地前
地 上 に 於 い て、 各 三句
を存
す
る こ と、是
れ ま た 一段
の所
存
な り 。 次 に 「復
越 一劫
」 の 「復
」 の 字 の事
、前
の 二 劫 に 対 す る な り 。 初 地 の 益 を 得 る 事 は近
く
は 第 三 劫 に 在 る と 雖 も、兼
ね て 初 め の 二劫
に 通 ず る 故 に、 「復
」 の 字 を 以 て 三 妄 斉 しく
越 し て 初 地 の 益を
得 る事
を 顕す
な り 。 故 に宗
家
の 釈 に 「 三妄
執
を
越 え て 十 地 ハ レ 究竟
す
」 と 文 り 。 况 や ま た 前 に 成 ず る が 如く
、 偸 に第
三劫
の 妄 執断
の義
を顕
す
が 故 に 「復
」 の字
を
置 く な り 。 意 は 「 諸 の 戯論
を 越 え て復
一劫
を 越 え虚
空 に 等 し 」等
と 説 く べ き 経 文 を 、今
の文
に譲
っ て 彼 の 句 を 略す
る が 故 に今
「 復 」 の字
を置
く な り 。 次 に 「 此 四 分 之 一 」 の 「 此 」 の字
の事
、 「 昇住
此 地 」へ れ ね を 指 す べ き な り 。 『
疏
』 の 釈 に、 「 就前
三 句義
中
」 一298
一31
、32
、故
。於
十
地 三句
開 佛 地 故 。 云 此 四 分 之 一 也 。次
八 地 三昧
道 事 。 疏 自 設會
釋
云 。 付今
此 経 宗從
初 地得
大
空 三 昧 。 如 上 八 地 三 昧 道 者 約教
道 法 門説
云 云疏
本
意
可 初 地 故 。 還 答 者潤
色 也 。 次 至 云 總 説 別 説 釋文
逆
次
也 者 。 總 別 二段
釋 順 逆 随 宜 不 定也
。 如 彼 釋論
妄
染
薫
習 門 釋 者 。總
説段
無
明 妄 心境
界
次
第
也 。別
説
段
境
界
妄 心無
明次
第
也 。 是 其 的據
也 矣31
、32
、 と は 「 此 」 の 字 の 釈 に 当 た る 。 三 旬 と は 「 信 解 行む ソ 地 に 三 心 を 観 察 す 」 の 文 を 指 す が 故 に、 十 地 の 三 う え 句 の 於 に 仏 地 を 開 く が
故
に 「 此 四 分 之 一 」 と 云う
な
り 。次
に 八 地 三 昧 道 の事
、 『 疏 』 に 自 ら 会 釈 を 設 け て 云 わく
、 「 今 此 の 経宗
に 付 い て は 初 地 よ り 大 空 三昧
を
得
。 如 上 の 入 地 三昧
道 と は 、 教 道 の 法 門 に 約 し ての り 説
く
云 々 」 と 。 『疏
』 の本
意
は 初 地 な る べ き が 故 に 、 還 っ て答
者
の潤
色 な り 。次
に総
説 別 説 の 釈 文 逆 次 な り、 と 云う
に い た っ て は 、総
別 二段
の 釈、 順 逆 宜 し き に 随 っ て 不 定 な り 。き 彼 の 『
釈
論 』 の 妄染
薫 習 門 の 釈 の 如く
は 総 説 段 は 無 明 ・ 妄 心 ・ 境 界 の 次第
な り 。 別 説段
は境
界 ・ 妄 心 ・ 無 明 の 次 第 な り 。是
れ其
の的
拠 な り (矣
) 。現
代
語
訳
復越一劫 初 重1
、 (質
問
す
る ) 。 『 大 日 経 』 に 「復
た 一劫
を 越 え て、 此 の 地 に昇
住
す
」 と 説 か れ て い る 。 そ こ に 言 わ れ る 一 劫 と智豊合 同教学大 会紀要 は、 麁 ・ 細 ・ 極 細 の
中
の極
細 妄 執 で あ る と いう
べ き で あ ろう
か 。2
、答
え よ う 。 一 つ の 解釈
で は、 一 劫 と は 極 細 妄 執 で あ る 。 二 重i
質
問
者3
、 ( 質 問す
る V 。 「 一 劫 」 の 解 釈 は 、極
細 妄 執 で あ る と いう
意 見 と、 そ う で な い と の 二 つ の意
見 が あ る 。4
、 若 し 、 「 一劫
」 が極
細 妄執
で あ る と いう
解
釈
な ら ば、 こ の 「 復 越 一劫
… … … 」 の 文 は、 三劫
段
が 説 か れ 、 そ の後
に 十 地 を 説 く 文 が あ り 、 そ の 十 地 を 説 く 文 の 最 後 に あ る 。 とす
れ ば こ の 「 一劫
」 と は第
四 の微
細妄
執
を 言う
の で は な い か 。 「 復 越 一 劫 … … … 」 の 「 復 」 の 字 は、 三 劫 を 越 え て さ ら に ま た第
四 の微
細
妄
執 の あ る こ と を 意 味 し て い る 。5
、 若 し 、 「 一劫
」 が微
細 妄 執 で あ る な ら ば、 こ の 「復
越
一劫
・ ・ 」 は 『 大 日 経疏
』 に 「復
た、 百 六 十 心 の 一 重 の細
惑 を 越 ゆ る を 三 大 阿僧
祗 劫 を度
す と 名 つ く る な り 」 と 解 釈 さ れ て い る 。 「 三 劫 を 度 す 」 と い っ て い る の で あ る か ら、 当 然 三劫
即 ち 三 妄 執 の 極 細 妄 執 を 指 し て い る 。質
問
者
は、 こ の 二 重 に お い て答
者 に 反 対 す る 意 見 (4
) と 結 論 的 に 答 者 に 一 致す
る意
見 (5
) の 二 つ を 出 し、 以後
答
者 に 反 対す
る 立場
か ら 意 見 を 述 べ て 論 を 展 開 す る 。 一300
一 ( 二 重 )1
答
者6
、答
え よ う 。 こ こ の 「 一劫
」 と は、 第 三 劫 の こ と で あ る 。 『 大 日 経 』 に 「昇
住
此 地 ( 此 の 地 に昇
住
す
) 」 と あ り、此
の 地 と は 信 解 地 で あ る こ と を 述 べ て い る 。信
解 地 と は 十 地 の こ と で あ る 。 「 一劫
を 越 え て 」 信 解 地 即 ち 十 地 を得
る と い う 意 味 で あ ろう
。 そ れ ば か り で は なく
、 『 大 日経
疏
』 で は 「転
じ て極
無 自 性 心 生 ず 」 と言
っ て お
り、
極
無 自 性 心 の位
で あ る 。極
無 所度
の 妄執
が、 第 三劫
の 妄執
で な い の で あ れ ば 、 ど の よ う な 妄 執 を 度す
ると い
う
の で あ ろ う か 。7
私
の 主 張 の 根 拠 は、質
問
者
が 述 べ て い る 一方
(5
) に 現 れ て い る 。8
、 し か し、質
問 者 が もう
一方
で 述 べ て い る こ と (4
) に つ い て 、 即 ち 『 大 日 経疏
』 で 三劫
段
↓ 十 地段
と 説 か れ 、そ の 十 地 が 説 か れ た
後
に 、 こ の 二劫
」 が言
わ れ る と いう
こ と に つ い て は、 意 見 が異
な る 。 つ ま り第
三劫
であ る 極 細 妄 執 を 越 え て 十 地 を 得 し、 第 四 の
微
細
妄執
を 越 え て仏
果
を 得 す る の で あ る 。 「 一 劫 を 越 え て 」 に は、こ の よ う に 二 重 の 益 が 明 ら か に さ れ て い る の で あ る 。
9
、 こ の 二 重 の 益 に 関 し て は 、 宗家
( 弘 法大
師
空海
) も 述 べ て い る 。 即 ち 「 復 越 一劫
昇
住
此 地 」 の 文 を 解 釈 し て、〈 三 妄 執 ・ 三 阿 僧
祗
劫 を 越 え れ ば、 十 地 を 究 め つく
す
の で あ る 。 ( ま た 一劫
を 越 え て 、此
の 地 に 昇 住す
る ) とい
う
の は、 こ の 十 地を
過 ぎ て 上 上 方便
心 を修
行
し、微
細 妄執
を
断
じ て 仏 果 に 至 る 。 こ の こ と を 『 大 日 経 』 では 、 「 こ の 四 分 の 一 に 信 解 を
度
す 」 と いう
〉 と あ る 。 つ ま り 、 三妄
執
を 越 え て 十 地 に 入 る こ と も、 微 細 妄執
を
断
じ て 仏 果 に 至 る こ とも
、 同 じ く 「信
解
を度
す
」 こ と で あ る 。 こ の 解 釈 に 異論
は無
い で あ ろ う 。 復越一劫 三 重1
質
問 者10
、質
問
者 が さ ら に 疑問
を
提
示す
る 。 三 妄執
の外
に微
細妄
執
を
挙
げ る こ と は、宗
家
の解
釈 に よ っ て 明 ら か で あ る 。 先 の 『 秘蔵
記 』 の 文 章 の 上 の文
に 「 三 妄執
を 越 え 」 とあ
り、 下 の 文 に 「此
を
過 ぎ て 上 上 方便
心を
修
し 、微
細妄
執
を
断
ず
」 と あ る 。 こ の こ と か ら 、 も し 「 復 越 一 劫 」 が 、第
四 の微
細妄
執
を
越 え る こ と を 説く
文 章 で な い とす
るな
ら ば 、 「 微 細 妄執
を 断 ず 」 と い う の は 、 ど の経
文
に よ っ て 解 釈 さ れ る の か 。 だ か ち 『 秘蔵
記 』 の く 故 に、 『経
』 に 「 此 の 四 分 の 一 に信
解
智豊合同教学大会紀 要
11
、12
、13
、14
、15
、 を 度 す 」 と い う 〉 の 文 は 、 『 大 日 経 』 に 一 致 し て い る し、 「微
細 妄 執 を断
ず 」 の 解 釈 が こ の 『大
日 経 』 の 文 に 依 っ て い る と い う こ と は 明 ら か で あ る 。 さ ら に ま た、第
三 劫 で 「 第 三 重 の微
細
の 百 六 十 心 の煩
悩
業 寿 の 種 を 除 い て 」 の 解 釈 が あ り 、第
三劫
に つ い て の 解 釈 は 終 わ っ て い る 。今
ま た第
三劫
を
挙
げ る こ と は、 無 用 な 重 言 で は な か ろ う か 。 た だ し、 こ の 『 秘蔵
記 』 の 文 に よ っ て 二 重 の挙
益 勧 修 を の べ て い る、 と い う こ と に 関 し て は同
意 で き な い 。 三劫
の挙
益勧
修
は、 『大
日 経 』 の第
三劫
の 初 め に 「 ま た 次 に 真 言 門 に 菩 薩 の 行 を修
行す
る 乃 至み な
悉
く 成 就 す 」 と あ り 、す
で に 明 ら か に さ れ て い る 。 こ の 文 を 『 大 日 経 疏 』 で は 「 即 ち 是 れ 第 三劫
を
越 え る の 心 を 明 か さ ん と 欲 し て 、 見 聞 者 を し て 信 楽 尊 重 せ し め ん と 欲 う が 故 に、 先 ず そ の 功 徳 を 歎 ず る の み 」 と 解 釈 し て い る 。 こ の中
の 「信
楽尊
重 」 の 語 は、 三 劫 能 越 の 益 と考
え ち れ る 。 ど う し て 再 度 こ の 三 劫 能 越 の 益を
の べ る の で あ ろ う か 。 十 地段
が畢
っ て、 さ ら に 挙 益勧
修 と い う の で あ る か ら、 仏 果 の益
を 言 っ て い る こ と は、 間違
い な い 。 た だ し、 「 初 め て 此 の信
解
地 に 入 る ( 初 入 此 信 解 地 ) 」 と いう
こ と は、 信 解 の 語 の 内 容 は 因位
と 果位
の 両 方 に 通 ず る が、 こ こ で は 果 位 の意
味
で あ る 。 だ か ら 仏 果 に 初 め て 入 る こ と を 初 入 信 解 と 言 う の であ
る 。 こ の こ と に 間 違 い は な い で あ ろう
。 『 大 日 経 』 に 「 一 切 智 の 信 解 地 」 と 説 い て い る の は こ の こ と で あ る 。 こ こ に 述 べ ち れ て い る 信 解 が 一 切 智 で あ る こ と は、 明 ら か で あ ろう
。 も し、あ
な た ( 答者
) が 言 う よう
に 、 二 重 の挙
益勧
修
を 述 べ て い る な ら ば 、 「信
解 地 と 一 切 智 と 」 と言
う べ き で あ る 。 『 大 日 経 』 で は、 「 是 故智
者
。 当 思 惟 此 一 切智
信
解 地 」 と あ り 、果
( 一 切 智 ) ↓ 因 (信
解
地 ) の 次 第 で あ る 。 そ れ に 対 す る 『 大 日 経 疏 』 の 解 釈 が 因 ↓ 果 の次
第
で あ る と い う な ら ば 、 『 大 日 経 』 と 『 大 日 経 疏 』 と の 文 が 混 乱 し て し ま う の で は な い か 。 次 に 極 無 自性
心 を 挙 げ て い る ( ロp9
が、 こ の こ と に つ い て で あ る 。 『 大 日 経疏
』 で こ の 「 転 生極
無 自性
心 」 一302
一復越一劫
16
、17
、18
、 を挙
げ て い る と こ ろ の 一段
の 要 旨 は、 仏果
の 益を
明 ら か に す る た め で あ る 。 十 地を
行 ず る こ と に よ っ て 仏 果 に 至 る、 と い う こ とを
明 かす
た め に、 因満
で あ る極
無
自 性 心を
あ げ た の で あ る 。 こ の 極 無 自 性 心 は、 因満
即 ち 地 上 の 二 劫 に 当 た る 。 「 転 生極
無 自性
心 」 を 挙 げ て い る と こ ろ の 一段
の 解 釈 ( 昌P
霸 ) は、 『 大 日経
疏
』 の巻
第
六 の 八 地 三昧
道 の文
と 全 同 で あ る 。 つ ま り 「 行者
初 め て 空 性 を 観 ず る時
等
」 と は 、第
八 地 で あ り、 極 無自
性
心 で あ り、 因 満 の位
で あ る 。 さ ら に 上 上方
便
心 に よ っ て 微 細 妄 執 を断
じ、 仏果
に 至 る こ と を 「 復 た 一劫
を
越
え て 此 の 地 に 昇住
す
」 と いう
。 も し、 こ の 「 昇住
此 地 」 が 仏 果 で な い な ら ば、 「 此 の 四 分 の 一 」 と は何
を さ す の で あ ろう
か 。 『大
日 経疏
』 で は、 十 地 に 三 句 を 配 当 し 、 初 地11
菩提
心 為 因、 二 地 〜 七 地1
ー大
悲為
根
、 八 地 〜 十 地11
方便
為
究
竟
とす
る 。 八 ・ 九 ・ 十 地 の 中、 九 ・ 十 地を
上 上 方便
心 と し、 十 地 を 四 分 割す
る 。今
、 こ こ で 「 此 の 四 分 の 一 に信
解
地 を度
す
」 の 文 を 、 質 問 者 は 九 ・ 十 地 に 当 た る と い い 、 こ の 九 ・ 十 地 に あ る微
細 妄 執 を 断 じ て 仏果
に 至 る と いう
。 「 此 」 の 語 は、 近 く の語
を
指
し 示す
代 名 詞 で あ り、 「 四 分 の 一 」 は、 仏 果 の 隣次
に説
か れ て お り、 「 此 」 を 仏 果 に当
て な け れ ば 、 「 四 分 の 一 」 と いう
こ と は で き な い 。 ま た、 宗 家 の 『秘
蔵
記 』 の 文 に つ い て は 、私
(質
問 者 ) も あ な た (答
者 ) も 、 三 妄執
を 越 え て 十 地 に 入 る こ と と、微
細 妄執
を断
じ て 仏 果 に 至 る こ と の 二 重 の 解 釈 が あ り、 一段
の 解 釈 と考
え て い な い ( 口 ρ ) 。 『 秘 蔵 記 』 に お い て、 「 世 間 の 三 妄執
を 越 え て、 出 世 間 心 生ず
」 と 標 を 立 て、 「 是 れ 則 ち十
地 究竟
な り 」 ( 弘 大 全2
・33
) ま で は、 『大
日 経 』 の 「 世 間 の 三 妄 執 を 越 え て 出 世間
生ず
」 (大
正18
・3a
) の 解 釈 で あ る 。 「 此 れ を 過 ぎ て 上 上 方 便 心 を修
す
」 以 下 は 、 こ こ で の 「 此 の 四 分 の 一 に信
解 を 度 す 」 の 解 釈 であ
る 。 解釈
の 文 は 、 『 大 日 経 』 の 本 文 の 牒 を と っ て い る の で、 『大
日 経 』 に符
合
し て い る こ と は 明 ら か で あ る 。 こ の こ と か ら考
え る と 『 秘 蔵 記 』智豊合同教学大会紀要