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智山學報 第46 - 016渡辺 新治「復越一劫 : 智山勧学会奨励研究助成の報告」

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全文

(1)

復越一劫

1

言 教

会 ( 報 告 者 )

 

 

 

 

 

 

 

 

こ の

平 成 六 ・ 七

に お け る

励 研 究 助 成 の 共

研 究 部 門 に 対

る 報

で あ る 。

 

学 研 究 会 は 、

多 隆 仁 氏 を

心 に

孝 ・ 藤 田 隆

塚 秀 見 ・ 元 山 公 寿 ・ 小 林 靖 典 ・ 田

文 ・

の 各

そ れ に 私 を 加 え て 九 人 で 智 山 ・

山 の 論

な わ ち

言 の 論 義 の 研 究 を し て い る 。

 

正 の

れ を 汲 み 、 聖 憲 に 至 り 、

成 し た と 思 わ れ る 。 そ の 新 義

は、 現 在

恩 講 の 論

わ っ て い る し か し そ の 思 想 研 究

に 『 釈 摩 訶 衍 論 』 に お け る 論 義 研 究 は、

開 拓 と い っ て

同 然 で あ る 。 そ こ で 、

研 究 で は、 そ の 点 を 明 ら か に

る た め に 竪 義 に お け る 論 義 を

心 と し て 『 釈

三 重 』 と 『 大

三 重 』 の

文 を

し 、

き 下 し を し 、 そ れ に 訳 を 付 し て 新 義

学 の 思 想 に 迫 ろ う と

る の が 目 的 で あ る 。

 

こ こ で は

研 究 の 助 成 に 対

る 研 究 成 果 と し て 、 『 大

三 重 』 の 「 復 越 一

」 を 取 り あ げ 研 究 し た 。

 

さ て 、 こ の 論 義 に お け る

越 一

」 は 『 大 日 経

』 の 「 復 越 一

昇 住 此 地 」 の 文 を も と に 種 々 の 観 点 か ら 、 質

者 と

者 に 分 け て

さ れ て い る 。 『

三 重 』 に お け る 算 題 の 多 く は

野 山 に お け る 宝 門 派 の 『 宗

』 あ る い は 寿

派 の 『 大

南 鈔 』 『

』 『

』 あ る い は 東 寺 に お け る 『 真 言

(2)

智豊合同教学大会紀要

に お い て 論 義 さ れ て い る 。 し か し こ の 「

越 一 劫 」 の

題 は 根 来   ち な み に こ の

題 を 取 り あ げ て い る

の 如 く で あ る 。 ( 新

) に お い て だ け 論

さ れ た よ う で あ る 。 根

派 大 大 大 大 量

啓 談 三 愚

蒙 義 重 草 五 巻 十 十 十 八 十 一 八 数 運 運 聖

作 敞 敞

瑜 ( ( ( (

1514161413071226

〜 〜 〜

5

1693169313921304

) 智 大 大 刊 全 正 正

27979

● ● ■

635801749

aCC ●

713a

第 第 第 第 五 十 十 二 十 四 ,

五 十 七 ・ 大 正

大 正

・ 刊

刊 本 ・ 智 全

智 山 全

  「

越 一

地 」 の 文 は 『 大 日 経 疏 』 の 十 地 が 説 れ た 後 に あ る 。 「 一 劫 を 越 え る 」 と い う こ と と 「 此 の 地 」 に

題 で あ る 。   ま た 『

日 経

』 の 「

越 一 劫 昇 住

地 」 の 文 は 『 大 日 経 』 の 「

」 の 文 の 解 釈 で あ る 。 つ ま り 「

越 一 劫 昇

此 地 」 の 文 は 、 「 挙 益 勧 修 」 に つ い て 述 べ て い る 。 こ の 「

益 勧 修 」 に お け る 問 題 で

る 。 こ れ ら の 三

の 問 題 を か ら め て 論 じ て い る 。   ま ず 「 一 劫 を 越 え る 」 と い

こ と は 『 大 日 経

』 に お い て 「 劫 」 を 妄 執 と

麁 ・ 細 ・

細 の 三 妄

を 越 え る こ と が 三 劫 を 越 え る こ と で あ る と さ れ る 。 し か し 『 大 日 経 疏 』 に こ の 三 妄 執 の 他 に

が 説 か れ 、 こ の 中 の 極 細 妄 執 を 越 え る の か 、 そ れ と も

細 妄 執

越 え る の か 、 と い

題 で あ る 。   つ ぎ に 「 此 の 地 」 と は、 地 上 の こ と で あ る の か ま た 仏 地 の こ と で あ る の か と い う こ と で あ る 。 「 地

の 三

を 越 え て 」 と

え る と 極

心 が 果 で あ り 初 地 の 心 で あ る 。 「 地 上 の 三 妄

を 越 え て 」 と 考 え る と 仏 果 が あ る 。 一

286

(3)

ま た

地 の

題 が あ り、 信

地 は 『 大 日 経

』 に 「 此 の 四 分 の 一 に 信

」 と あ り 「 四 分 」 と は 三

の 「

便

」 す な わ ち 仏 地 を 開 い て 上 上 方

便

心 と し 四 と す る 。

無 自 性 心 を 初 地 に

え 、

地 を 十 地 に

え て い る 。 つ ま り 地

の 三

執 の 最

の 一

を 越 え て 信

地 ( 初 地 − 十 地 ) に 入 る と い

の が 「

越 一

地 」 と

え て い る 。

無 自 性 心 を 地 上 の 二 劫 を 越 え た 心 と

第 八 地 の 心 と す る 。 こ の 上 に 上 上

便

心 に よ っ て 断 じ ら れ る

細 妄

が あ り、 こ れ を 断

る こ と に よ っ て 仏 果 を 得 る と

え て い る 。   つ ぎ に

に つ い て で あ る 。 二 重 の 果 が あ る と す れ ば 二 重 の

修 が あ る 。

は 初 地 ( 十 地 ) の

者 は 仏

で あ る こ と を 述 べ る 。   こ の よ

に 三 つ の 視

か ら 「

越 一 劫 」 の 算 題 を 論

し て い る 。   以 上 、 「 復 越 一

」 の

題 の 内 容 に つ い て

点 の み を 見 た 。 し か し こ の

題 の

心 点 は 実 は 『

』 『 大 日 経 疏 』 ま た 弘 法 大 師 空

が 「 成

ど の よ

え て い た の か と い

問 題 で あ る 。 つ ま り コ 生 成 仏 」 を ど の よ う に

え る の か と い

こ と で あ る 。 答 者 は 初 地 の 心 を、 難

果 を 得 す る こ と が 「

」 と

え た 。   し か し 現

の 研 究 か ち み れ ば 、

の 扱 え

に 問 題 が あ る 。 例

ば 『 秘 蔵 記 』 を 弘

師 の 著

に し て い る こ と な ど で あ る 。 あ る い は 内 容 に

し て 気 が 付 い た と こ ろ で は、

三 重 の

者 が 「 没 心

八 住 心 と し て い る が 「 没 心 実 際 」 の

題 で は

は 「 没 心 実 際 」 は 第 七

心 で

る と し て い る こ れ ら の

題 点 は 弘 法

師 の 思 想 や あ る い は 『

第 三 重 』 の

究 が 進 む に つ れ て

る で あ ろ

。 復越一劫   『 大

三 重 』 は 既 に 『

』 及 び 『

言 の

』 に お い て

き 下 し が 行 わ れ て い る が、 踏 ま え

成 の た め に

の 二 つ の 方 針 の 下 に 敢 え て

き 下 し

み た 。   一

 

詞 「 乎 」 と 「 歟 」 は

き 下 し た が 、

字 を ( )

に 示 し た 。 こ れ ら の 成

(4)

智豊合同教 学大会紀要   二

 

初 重 二 重 、 三 重 の 問 答 に お け る 対 応 付 け が 明 ら か に な る よ う に

に 分 け た 。   一

目 は 終 助 詞 に 依 り 文 章 の 意 味 合 い が 一 八 〇

わ っ て し ま

こ と が あ る の で

を 示 す こ と に

り 、 そ れ ら が 反 語 で

る の か 強 め で あ る の か 疑 問 で あ る の か

を 判 ず る た め で あ る 。 二

目 は 、 『 愚

』 や

解 で あ る と 言 わ れ て い る が そ れ は 多 分 に そ の

造 に

題 が あ る と 思 わ れ る の で 、

造 が 分 か る よ う に

落 に 分 け た 。   底 本 は 大 正

七 九 巻

Zgb

。 器 。。 。 対 校 本 は 陸

分 寺 所

版 )

  、

1

 

 

執 也 乎 経 復 越 一 劫 昇 住 此 地 文 所 言 一

者 可 云 第 三 極 細 妄

2

。 依 一

43

両 方 也 若 云 第 三 之 一

也 者 。 三

之 説

既 畢 有 十 地 文 。 其 上 云 復 越 一

。 以

細 妄

非 云 一 劫 乎 。 復

1

う ) 『

』 に 「

た 一 劫 を

え て 此 の 地 に 昇

 

    タ ユ  

 

  す 」 と 文 り 。

 

  言 う と こ ろ の 一

と は 第 三 の

細 妄

な り と 云

 

  う 可 き や (

) 。

2

う 。 一

ら ば

か る 可 き な り 。 二 重

3

う ) 両 方 な り 。

4

若 し

三 の 一

な り と 云 わ ば 三 劫 の 説

、 既

 

  に 畢 て 十 地 の

り 。 其 の 上 に 「 復 越 一 劫 」 と 云 一

288

(5)

復 越一劫 字 起

専 顕 此 意 也 。

5

若 又

之 云

者 。 疏 解 此 文 。

越 百 六 十 心 一 重

    惑

度 三

也 文 既 云 三 劫 。

云 三

   

6

答 。 可

也 。 経 文 。 昇 住

地 之 益 。 既 云 信 解     地 。

地 即 十 地 也 。 此 豈 非

三 妄 得 十 地 義 乎 。     加 之

以 此

無 自 性 心 。 極 無 所

之 妄 執 非 第     三

乎 。

7

且 一

釋 文 分 明 也 。

8

但 至 一

。 上 雖 明 十 地 。 今

文 故 。 其 意  

 

異 歟 。 凡 越

。 得 十 地 。 越 微 細 妄 執 得 佛 果 。  

 

明 二 重 益 也 。

9

依 之 宗 家 釋

。 越 三 妄 執 越 三 阿

十 地  

 

う 。

四 の

細 妄 執 を 以 て 一

と 云

に 非

や  

 

( 乎 ) 。 「

」 の 字 の 起 尽 専 ら 此 の 意 を 題

な り 。

5

若 し ま た こ れ に 依 て 爾 な り と 云 わ ば

』 に 此 の  

 

文 を 解 し て

た、 百 六 十 心 の 一 重 の 細 惑 を 越 ゆ  

 

                             

 

    こ  

 

る を 三

劫 を 度

と 名 つ く る な り 」 と 文 り 。  

 

既 に

と 云 え り 。 何 ぞ 三

な る 別 の 妄

 

 

と 云 わ ん や (

V 。  

 

                             

 

   

 

  タ ヨ ね

6

う 。

る 可 き な り 。

文 に 「 昇 住 此 地 」  

 

の 益 を 既 に 信 解 地 と 云 う 。

地 は 即 ち 十 地 な り 。  

 

此 れ 豈 に 三 妄 を

じ て 十 地

得 る 義 に 非 ざ ら ん や  

 

) 。 し か の み な ら

、 『 疏 』 に 此 の 位 を 以 て 極  

 

      ハ る レ  

 

心 と

度 の 妄

三 劫 に 非 ず  

 

ば 何 れ そ や (

) 。

7

且 は 一 辺 に

さ し め た も

釈 文 分 明 な り 。

8

但 し 一 辺 に 至 て は 上 に 十 地 を 明 か

と 雖 も 、  

 

は 挙 益 勧

の 文 な る が 故 に 其 の

頗 る 異  

 

な る か ( 歟 ) 。 凡 そ 第 三

を 越 し て 十 地 を 得 。 微 細  

 

を 越 し て

果 を

。 二 重 の 益 を 明 か す な り 。

9

、 こ れ に

て 宗 家 の 釈 に 此 の 文 を 解 し て 「 三 妄 執 を

(6)

智豊 合同教学大会紀 要

10

11

究 竟 也

修 上 上

便

至 佛

日 此 四 分 之 一 度 於 信 解 文

釋 無 異 論 者 乎 。 重

云 。 三 妄 外 立 微 細 妄 執 。 宗

釋 分 明 也 。 上 云 越 三 妄 執 下 云 過 此 修 上 上

便

心 斷

細 妄

故 。

越 一 劫 非 第 四 微 細 妄 執 之 説 文 。

何 経 文

細 妄 執 釋 乎 。 且 故 経 日 此 四 分 之 一 度

信 解

細 妄

繹 去 依 今 経

分 明 者

。 又

三 劫

三 重 微

百 六 十 心 煩 悩 業

種 除

非 重

。 三 重

10

11

越 え 三 阿

を 越 え れ ば 、

れ 則 ち 十 地 を

         

 

   

 

   

 

  ハ ら ソ

る な り 。 復 た 一 劫 を

て 此 の 地 に 昇 住 す 此 れ を 過 ぎ て 上 上

便

心 を

細 妄 執 を

佛 果 に 至 る

、       な                                               ヱ

に 日

の 鵬 分 の 一 に

地 を

」 と

。 此 の 釈 に

を や (

) 。 重 ね て

じ て 云 く 。 三 妄 の

に 微 細 妄 執 を 立 つ る こ と は 、

の 釈 に 分 明 な り 。 上 に コ ニ 妄 執 を 越 え 」 と 云 い 、 下 に 「

れ を

て 上 上 方 便 心 を

し 、

」 と 云

。 故 に 若 し 今 の

越 一

四 の

細 妄

に あ ら

ん ば

れ の

て 「

細 妄 執 を

」 の 釈 を 設 け ん や (

) 。 且 は、 〈 故 に 『 経 臨 に 「 此 の 四 分 の 一 に

」 と い

〉 の

細 妄 執 の 釈 は

の 経 文 に 依 る と い

こ と

明 な る

の か ( 歟 ) 。 況 や ま た 第 三

に お い て

三 重 の

細 の 百 六 十                       ハ き レ 心 の

寿

の 種 を 除 い て 」 の 釈 既 に

ん ぬ 。 今 ま た

三 劫 を

は 、 重

用 に

ら ず や ( 非 一

290

(7)

復越一劫

12

13

但 以

二 重

事 難 思 。 三

第 三

初 復

真 言 門

乃 至 皆

文 明 之

。 疏 釋 彼 文 。 既

明 超

三 劫

心 欲

見 聞 者 信 楽

重 故 先 歎 其

耳 文 信 楽

重 言 尤

三 劫 能 越 益 見

。 十 地

畢 其 上 云

。 無 争

果 云

。 但 初 入 此 信 解 地 者 。

通 因 果 中 。 佛

初 入 故 云

経 。 一 切

信 解 地 文 此 豈

非 顕 一 切

14

若 如

成 二 重

益 勧 修 。 可 云

地 與 一 切 智 。 而

12

13

14

 

 

… 乎 、 … … … で は な か ろ う か ) 。  

 

   

 

            ハ ヨ ソ

し 、

の 文 を 以 て 二 重 の

と な

こ と 思 い 難 し 。 三 劫 の

益 勧

は 、

三 劫 の 初 の 「 ま た

言 門 に

薩 の 行

る 乃 至 み な  

 

      り  

く 成

す 」 の 文 に 、 こ れ を 明 し 畢 る 。 『

』 の 彼 の 文 を 釈 し て 「 即 ち

を 越 え る の 心 を 明 さ ん と 欲 し て 見 聞 者 を し て 信 楽

重 せ し め ん と  

 

   

 

                        ハ け   欲 う が 故 に

そ の 功 徳 を 歎 ず る の み 」 と 文 り 。 「

重 」 の 言 も っ と も 三 劫 能 越 の 益 を

ぐ  

 

   

 

    セ  と 見 え た り 。

び こ れ を 挙 げ ん や ( 乎 ) 。 十 地

っ て 、 そ の 上 に

益 勧 修 と 云 う 。 争 い

し 、

に 局 る と 云

事 を 。  

 

   

 

                    ほ り 但 し 「 初 め て 此 の 信 解 地 に 入 る 」 と は 信 解 の 言 因 果 に 通 ず る 中 に 、

の 信

に 初 め て 入 る が 故 に 初 入 信 解 と い

の 過 そ や (

) 。

に  

 

   

 

            ハ は り 『 経 』 に 「 一 切 智 の 信 解 地 」 と 文 リ 。 此 れ 豈 に 今 の

は 一 切

な り と 顕 わ

に あ ら

や ( 非 … … …

… … … で は な か ろ

か ) 。 若 し

し 成

る が 如 く に 二 重 の

な ら ば

(8)

智豊合同教学 大 会紀要

IQ

16

17

、 云 標 果 因

釋 因 果

。 非

釋 文 句

乎 。 次 挙

自 性 心 事 。 一 段 大 旨 為 明 佛 果 益 也 。

欲 明 行

地 至 佛 果 先 挙 因 満 之

也 。 故 此

以 地 上 二

可 成 也 。

釋 全 同 第 六 巻 入 地 三

道 之 文 。 故 知 行

者 第 八 地

自 性 心 因 満 也 。

上 以 上 上

便

細 妄 執 至 佛 果 云

越 一 劫 昇

此 地 也 。 昇

此 地 若 非 佛 果 。 此 四 分 之 一 者 指

乎 。

目 近 詞 也 。 四 分 之 一 佛 果 隣 次 不 挙 之 者 。 此 四 分 之 一 故 。 不 可 云

15

16

17

「 信

地 と 一 切

と 」 と 云

べ し 。 し か る に 標 は

因 の 次 第

は 因

の 次

な り と 云 わ ば

の 文 句 雑 乱

る に あ ら

や ( 非 … … … 乎 … … … で は な か ろ

か ) 。 次 に 極

ぐ る 事

の 大 旨 は 仏 果 の 益 を 明 か

が た め な り 。 故 に 十 地 を 行 じ て 仏 果 に 至 る こ と を 明 か さ ん と 欲 し て 先 ず 因

の 極

ぐ る な り 。 故 に

の 義 は 地 上 二 劫 の

を 以 て 成

べ き な り 。

 

   

 

   

 

                  ハ お り

の 一 段 の 釈 、 第 六 巻 の 八 地 三

道 の 文 に 全 同 な

 

   

 

   

 

                            ま り 。 故 に 知 ん ぬ 。 「 行 者 初 め て 空

を 観 ず る

」 と は

八 地

自 性 心 は 因

な り 。 此 の 上 に 上 上

便

も っ て 微 細 妄 執 を

じ て 仏 果 に 至 る を 「

た 一

を 越 え て 此 の 地 に

す 」 と 云

な り 。 「 昇 住

地 」 が 若 し 仏 果 に あ ら

ん ば 「 此 の 四 分 の 一 」 と は 何 を

や ( 乎 ) 。 「

」 は 目 近 の 詞 な り 。 四 分 の 一 の 仏 果 隣

に こ れ を

げ ず ん ば 此 れ 四 分 の 一 と 云 う べ か ら ざ る が

に 。 一

292

(9)

復 越一劫

18

19

所 不 共 許 也 。 彼 釋 標 越 世 間 三 妄

間 心 生 至

十 地 究 竟 也 。

世 間 三 妄

出 世

心 生

也 。 過 此

上 上

便

心 以 下

此 四 分 之 一

於 信 解 釋 也

経 分 明 也 。 不 可 云 彼 釋 一 向

釋 。

者 過 此

上 上

便

心 已 下 釋 當 此 一

釋 。 故 全

二 重

益 也 。 次 至 名 度 大 阿

祗 也 釋 者 。 自

三 妄 四 妄 開 合 不 同 也 。 開

果 一

四 妄 細

。 若

論 日 三 妄

諸 惑

云 名

三 大

也 。 退

細 妄 執 説 文 。 非

釋 起

釋 一 二 三 四 五

數 経

。 由

明 故 生 五 根

文 五 根

五 重

數 成 百 六 十 心 。 彼 百 六

心 開 麁 細

細 三 重

三 妄

。 故 知 三 妄

無 明 。

明 種 子

五 根

別 不 開

。 以 三 妄 盡 諸 惑 也 。 是 即 順 常 途 之

也 。

18

19

ま た

の 釈 、 今 一

の 釈 な り と 云

、 共 に 許 さ ざ る と こ ろ

り 。 彼 の 釈 、 「 世 間 の 三

を 越 え て、 出 世 間 心 生

」 と 標 し て 「 是 れ

ち 十 地 究 竟     レ リ な り 」 に 至 る ま で は 『 経 』 の 「 世

の 三 妄 執 を 越                   ね え て 出 世 間 心 生

」 の 釈 な り 。 「 此 を 過 ぎ て 上 上 方         ハ   ソ

便

心 を 修 す 」 以 下 は 、

の 「 此 の 四 分 の 一 に 信         の   解 を 度 す 」 の

な り 。

文 合 経 分 明 な り 。 彼 の 釈 一 向 に 此 の 一

の 釈 と は 云 う べ か ら ず 。 若 し 爾 ら ば 「 此 を 過 ぎ て 上 上

便

心 を 修 す 」 巳 下 の 釈 ま さ に 此 の 一

た る べ し 。 故 に 、 全 く 二 重 の 挙 益 に は あ ち ざ る な り 。                    

 

   

 

   

 

    れ   次 に 「 三

阿 僧

を 度 す と

る な り 」 の 釈 に 至 っ て は 、 も と よ り 三 妄 四

は 開 合 の 不 同 な り 。 仏 果 の 一

或 い は + 地 に 通 ず を 開 い て 、 四 妄 と な す 細 論 門 な り 。 若 し 総

論 の 日 は、 三 妄 に 諸 惑 を 尽 く

が 故 に 「 三 大

を 度 す と 名 つ く 」 と 云

り 。 退 い て

の 説 文 を

う る に

』 の 釈 の 起 尽 無 き に あ ら

。 『 疏 』 に 一 二 三 四 五 再 数 の 経 文 を 釈 す と し て、 「 無 明

る に

る が 故 に 五 根 本

(10)

智豊合同教学大会紀要

20

21

細 論 日

明 能 生 種 子 故

開 之 。 名 微 細 妄 執

。 故 知

明 故 生 五 根 本

釋 専 顕 四 妄 之

。 若 一 生

此 三

執 即 一 生 成

門 釋 即 順 常 途 談 也 。 抑

故 智 者

思 惟

何 思 惟 乎 。 上 文 我 一 切 諸

所 説

而 得 文 可

思 惟 彼 文 意 也 。 而 彼 文 皆

因 根 二 句 也 。

釋 種 子 及 生 育 因 縁

也 而 得

句 。 故 知 指 彼 所 得 之 果 云

思 陲 也 云

。 若 爾 者 非

所 地 益 思 惟 之 文 見

 

   

 

   

 

バ カ  

 

  の 心

を 生

」 と 文 り 。 五

を 五 重 に 再 数 し て 百

 

  六 十 心 を 成 ず 。 百 六 十 心 に

細 の 三 重 を 開 い

 

  て 三 妄 執 と な

。 故 に 三

に 能 生 の 根

 

  明 有 り 。 麁 論 の 時 は、

明 の 種 子 を 五 根

 

  属 し て、 別 に 開 か ざ る が

三 妄 を 以 て 諸 惑 を

 

  尽 く す な り 。 是 れ 即 ち 常 途 に 順 ず る の 義 な り 。 細

 

  論 の 日 は 、 無 明 は 能 生 の 種 子 な る 故 に 別 に こ れ

 

  を 開 い て

と 名 つ く る な り 。 故 に 知 ん ぬ 。

 

  「 無 明

る に

る が 故 に 五 根 本

生 ず 」 の 釈

 

  専 ら 四 妄 の

と 云 う 事 を 。

 

   

 

   

 

                              ハ お

20

「 若 し 一 生 に

の 三 妄

せ ば 、 即 ち 一 生 成 仏 す 」

 

  と は 合 門 の 釈 、 即 ち

途 に

る の

な り 。

21

そ も

の 初 め に

の 故 に

は ま さ

 

   

 

   

 

    の  

 

  に 思 惟

べ し 」 と は 何 の 思

む る を や

 

  ( 乎 ) 。 上 の 文 に 「 我 が 一 切 の 諸

の 所 説 は み な 此

 

   

 

   

 

      ゐ

 

  れ に 依 っ て 而 も 得 」 と 文 り 。 彼 の 文 は 「 み な 此 れ に

 

  依 っ て 」 と は 因 根 の 二

り 。 『

』 に 「 種 子 お

 

   

 

   

 

      ロ め  

 

  よ び 生 育 の 因 縁 な り 」 と 釈

る は

れ な り 。 「 而

 

  得 」 と は 究

の 句 に 当 た る 。 故 に 知 ん ぬ 。 彼 の 所 一

294

(11)

tW

−一一劫

22

、 答 。 可 第 三

申 意 。 專 依 地

起 盡 兼 依 初 入 此

地 文

。 先

者 。

家 宗 家 處 處 釋

極 無

心 初 地 見 釋 文

如 常 。 若 爾 者 行 者 初

。 第 八 住 心 没 心

際 位 也 。

生 極 無 自

心 初 地

。 故 至 此 不 思

地 文 不 思

十 地 通 名 也 。 不 可 局 因

故 。 又 乃 名 真 離 二

地 文 上 経 説

地 浄

心 。

過 一 切

辟 支 梯 地 文

彼 文 因

乎 。 此

既 初 地 見 一 段 若 明 佛 果 益 者 。 往 往 挙 初 地 何 用

。 故 知 明 二 重 益 條 無 異 論

也 。

22

の 果 を 指 し て 、 「

の 故 に

者 は ま さ に 思 惟

べ し 」 と 云 う な り と 云

若 し

ら ば 、 初 地 の 益 の 思

む る の

と 簒

り 。

う 。 第 三

な る べ し と

ら 地 亠 麟 三

の 起 尽 に ょ り

ね て 「 初 め て

地 に 入 ハ れ レ る 」 の 文 に

る な り 。 ま

の 起

る と は 、 疏 家 宗 家 処 処 の 釈

心、 初 地 と 見 え た る

の 如 し 。 若 し

ら ば

初 め て 空             ま   性 を 観 ず る

」 と は、

八 の

心 、

心 実 際 の                        

 

  お レ

な り 。 「 転 じ て

無 自 性 心 を 生

」 と は 初 地 の

                       

 

    れ け な り 。 故 に 「 此 の 不 思 議 地 に 至 る 」 と 文 り 。 不 思 議 地 は 是 れ 十 地 の 通 名 な り 。 因 満 に

る べ か ら ず .                        

 

   

 

  お り 故 に ま た 「 乃 ち

輿

に 二

離 る と

つ く 」 と 叉 り 。 上 の 経 に 「 初 地 浄

提 心 」 を

い て 、 』 切 声 聞 辟             ハ お ロ 支 佛 地 を 出 過 す 」 と 文 り 。 何 ぞ 彼 の 文 を 因 満 と 云 う や (

) 。 此 の 諸 文 に 初 地 と

た り 。 一 段 若 し 仏 果 の 益 を 明 か さ ば 、 往 往 に 初 地 を

げ て 何 の 用 そ や ( 率 〉 。 故 に 知 ん ぬ 。 二 重 の 益 を 明 か す の 条 、 異 論 無 き も の な り 。

(12)

智豊合伺教 学 大会紀要

         

23

24

初 入 此

地 文 信 解 地

也 。

下 地 立 其

。 設 又 許 通 佛 果 。 信

終 也 。

云 初 入 乎 。 旁 以 不

道 理 乎 。 但 秘 蔵 記 事

二 重

益 事 專

文 也 。 其

初 重 越 三

十 地 故

越 世 間 三 妄 執 出 世 間 心 生 之 経 文 。

彼 経 詞

。 非

詞 故 不 可 云 上 下 別 段 釋 。 若

詞 尤 可 置

字 也 。 但 十 地 究 竟 者 。 密 教 横

故 初 地 究 竟 云 十 地 究

也 。 既 云 越 三 妄 執 。 重 云

細 妄 執 。 三 妄 外 立

細 妄

分 明 也 。 承

釋 何 設 此 釋

23

24

、 次 に 「 初 め て

地 に 入 る 」 の 文 は、 信 解 地 の

、 仏

に 通

る か ( 歟 ) の

、 一

ね な り 。 何 ぞ

を 以 て 下 地 と

し て、 其 の

を 立 て ん や ( 乎 ) 。 設 い ま た 仏 果 に 通

と 許 す と

信 解 の 終 な り 。 何 ぞ 初 入 と 云 わ ん や (

) 。 か た が た 以 て 道 理 に 応 ぜ ざ る や ( 乎 ) 。             お ロ 但 し 『 秘 蔵 記 』 の

、 二 重 の

益 を

る こ と は 、

ら 当 処 の 文 に

り 。 其 の

重 は 三

を 越 し て 十 地 を

る が

に 、 「 世 間 の 三 妄 執 を 越 え 、             ハ ぬ   出 世 間 の 心 生

」 の 経 文 に

な れ ば 彼 の 経 の 詞 を 標 し て 釈 を

す な り 。 牒 詞 に あ ら ざ る が 故 に 上 下 を 別 段 の 釈 と は 云

べ か ら ず 。 若 し

の 詞 な ち ば 、 も っ と も 「 者 」 の

を 置 く べ き な り 。 但 し 十 地

と は 、 密

の 故 に、 初 地

十 地

と 云

な り 。 既 に 「 三

執 を 越

」 と 云 い て 、 重 ね て 「 微 細 妄 執 を 断 つ 」 と 云 う 。 三 妄 の

に 微 細 妄 執 を 立 つ る こ と 分 明 な り 。 「 三 大 阿

              あ   を 度 す と 名 つ く 」 の 釈 を 承 け て 何 ぞ

を 設 け た ま わ ん や ( 乎 ) 。 一

296

(13)

復越一劫

25

26

27

、 次 至 云 三 妄 斷

釋 既

。 如 先 成 。 故 今 挙 益 勧 修 文 故 。

。 然

三 劫 経 文

正 無 三 妄

説 。 令 出

文 云

越 一 劫 。 正 説 越 第 三

先 第 三

文 可 有 此 説 也 。 是 即 経 文 巧 妙 也 。 次 第 三 劫 初 経 文 明

益 云 事 。 彼 為 令 見

者 信 楽 尊 重 也 。 未 必 得 益 故 。 経 初 安 彼 文 。 得 益 尤 可 在 三 劫 説 後 也 。 次 四 妄 起 盡 事 。

者 殊 存 四 妄

。 由

無 明 文 非 合 四 妄 説 之

。 全 非 難 者 起 盡 。 至 一 生 度 此 三 妄 執 之 文 者 。 得 至 佛 惠 初 信 既 初 地 浄

提 心 也 。 宗 家 釋 分 明 故 。 若

指 彼 位 云 一 生 成

故 。 云 一 生 成 佛 可 初 地 位 也 。

為 合 四 妄 證 乎 。

25

26

27

、 次 に 三 妄 断 の

は、 第 三

の 釈 既 に 畢 ん ぬ と 云 う に 至 っ て は

に 成

る が 如 し 。 故 に

は 「

益 勧 修 」 の 文 な る 故 に 経 意 は 別 な り 。 然 れ ど

の 経 文 に は 、 正 し く 三 妄

し 。 出 さ し む る は

』 の 釈 な り 。 今 「

」 の 文 に 至 っ て 「 復 越 一 劫 」 と 云 う 。 正 し く

を 越

る           ひ そ か 義 を 説 い て 偸 に 先 の 第 三 劫 の 経

の 説

る 可 き こ と を 顕

な り 。 是 れ 即 ち 経

の 巧 妙 な り 。 次 に 第 三 劫 の 初 め の 経 文 に 得 益 を 明 か

と 云 う 事 彼 は 見 聞 者

し て 信 楽 尊 重 せ し め ん が

な り 。 い ま だ 必 ず し

得 益 に 非 ざ る が 故 に、

の 初 め に 彼 の 文 を 安 ん

。 得 益 は 尤 も 三 劫 の

に 在 る 可 き な り 。 次 に 四 妄 の 起 尽 の 事 答 者 は 殊 に 四

の 義 を 存 す 。 「

有 無 明 」 の 文 は 四 妄 を

し て 説

に 非 ず 。 之 の 故 に 全 く 難

の 起 尽 に 非

。 「 一 生 に 此 の 三 妄 執 を 度 せ ば 」 の 文 に 至 っ て は 、 「 仏 恵 の 初 心 に 至 る こ       お                                                      ヨ  と を 得 」 と 、 既 に 初 地 浄 菩

心 な り 。

家 の 釈 分 明 な る が 故 に 。 若 し 爾 ら ば 、 彼 の

し て 一 生

(14)

智豊合同教 学大 会紀要

     

28

29

30

次 是 故 智 者

文 事 得 益 存 二 重 上 。 種 子 及 生 育 因 縁 可 通 地

地 上 也 。

地 上 各 存 三 句 事 。

又 一 段 所 存

。 次 復 越 一

二 劫 也 。 得 初 地 益

近 雖 在

三 劫 。

通 初 二 劫 故 。 以 復 字 顯 三 妄

越 得 初 地 益 也 。 故

釋 。 越 三 妄 執 十 地 究

又 如

成 偸 顯 第 三

義 故 置

字 也 。

越 諸

論 復 越 一

。 経 文

今 文 略 彼

故 。

置 復 字 也 。 次 四 分 之 一 此

可 指 昇

此 地 也 。 疏 釋 就 前 三 句 義 中

此 字

。 三 句 者 指 信 解 行 地 観 察 三 心 之 文

28

29

30

、 成 仏 と 云 う が

に 一 生 成 仏 と 云

も 初 地 の

な る べ き な り 。

ぞ 四 妄 を 合 す る 証 と せ ん や (

) 。                      

 

   

 

    ハ    

に 「

は ま さ に 思 惟

べ し 」

の 文 の 事 得 益 に 二 重

す る 上 は 種 子 及 び 生

の 因 縁 も 地

地 上 に 通 ず べ き な り 。 地

地 上 に 於 い て 各 三

る こ と

れ ま た 一

な り 。 次 に 「

越 一

」 の 「

」 の 字 の

の 二 劫 に 対 す る な り 。 初 地 の 益 を 得 る 事 は

は 第 三 劫 に 在 る と 雖 も

ね て 初 め の 二

に 通 ず る 故 に

」 の 字 を 以 て 三 妄 斉 し

越 し て 初 地 の 益

得 る

を 顕

な り 。 故 に

の 釈 に 「 三

越 え て 十 地     ハ   レ 究

」 と 文 り 。 况 や ま た 前 に 成 ず る が 如

偸 に

の 妄 執

が 故 に 「

」 の

置 く な り 。 意 は 「 諸 の 戯

を 越 え て

を 越 え

空 に 等 し 」

と 説 く べ き 経 文 を 、

っ て 彼 の 句 を 略

る が 故 に

「 復 」 の

く な り 。 次 に 「 此 四 分 之 一 」 の 「 此 」 の

「 昇

此 地 」                      

 

   

 

   

 

    へ れ ね を 指 す べ き な り 。 『

』 の 釈 に 「 就

三 句

」 一

298

(15)

31

32

地 三

開 佛 地 故 。 云 此 四 分 之 一 也 。

八 地 三

道 事 。 疏 自 設

云 。 付

此 経 宗

初 地

空 三 昧 。 如 上 八 地 三 昧 道 者 約

道 法 門

云 云

可 初 地 故 。 還 答 者

色 也 。 次 至 云 總 説 別 説 釋

也 者 。 總 別 二

釋 順 逆 随 宜 不 定

。 如 彼 釋

習 門 釋 者 。

明 妄 心

也 。

妄 心

也 。 是 其 的

也 矣

31

32

、 と は 「 此 」 の 字 の 釈 に 当 た る 。 三 旬 と は 「 信 解 行    

 

   

 

    む ソ 地 に 三 心 を 観 察 す 」 の 文 を 指 す が 故 に 十 地 の 三     う え 句 の 於 に 仏 地 を 開 く が

に 「 此 四 分 之 一 」 と 云

り 。

に 八 地 三 昧 道 の

、 『 疏 』 に 自 ら 会 釈 を 設 け て 云 わ

「 今 此 の 経

に 付 い て は 初 地 よ り 大 空 三

。 如 上 の 入 地 三

道 と は 、 教 道 の 法 門 に 約 し て    

 

  の り 説

云 々 」 と 。 『

』 の

は 初 地 な る べ き が 故 に 、 還 っ て

色 な り 。

説 別 説 の 釈 文 逆 次 な り と 云

に い た っ て は 、

別 二

の 釈 順 逆 宜 し き に 随 っ て 不 定 な り 。    

 

   

 

              き 彼 の 『

論 』 の 妄

薫 習 門 の 釈 の 如

は 総 説 段 は 無 明 ・ 妄 心 ・ 境 界 の 次

な り 。 別 説

界 ・ 妄 心 ・ 無 明 の 次 第 な り 。

拠 な り (

) 。

復越一 初 重

1

る ) 。 『 大 日 経 』 に 「

た 一

を 越 え て、 此 の 地 に

」 と 説 か れ て い る 。 そ こ に 言 わ れ る 一 劫 と

(16)

智豊合 同教学大 会紀要 は、 麁 ・ 細 ・ 極 細 の

細 妄 執 で あ る と い

べ き で あ ろ

か 。

2

え よ う 。 一 つ の 解

で は、 一 劫 と は 極 細 妄 執 で あ る 。 二 重

i

3

( 質 問

る V 。 「 一 劫 」 の 解 釈 は 、

細 妄 執 で あ る と い

意 見 と、 そ う で な い と の 二 つ の

見 が あ る 。

4

若 し 、 「 一

」 が

細 妄

で あ る と い

な ら ば、 こ の 「 復 越 一

… … … 」 の 文 は、 三

が 説 か れ 、 そ の    

に 十 地 を 説 く 文 が あ り 、 そ の 十 地 を 説 く 文 の 最 後 に あ る 。 と

れ ば こ の 「 一

」 と は

四 の

を 言    

の で は な い か 。 「 復 越 一 劫 … … … 」 の 「 復 」 の 字 は 三 劫 を 越 え て さ ら に ま た

四 の

執 の あ る こ と を     意 味 し て い る 。

5

若 し 、 「 一

」 が

細 妄 執 で あ る な ら ば、 こ の 「

・ ・ 」 は 『 大 日 経

』 に 「

た、 百 六 十 心 の 一 重 の    

惑 を 越 ゆ る を 三 大 阿

祗 劫 を

す と 名 つ く る な り 」 と 解 釈 さ れ て い る 。 「 三 劫 を 度 す 」 と い っ て い る の で あ     る か ら 当 然 三

即 ち 三 妄 執 の 極 細 妄 執 を 指 し て い る 。    

は、 こ の 二 重 に お い て

者 に 反 対 す る 意 見 (

4

) と 結 論 的 に 答 者 に 一 致

見 (

5

) の 二 つ を 出 し     以

者 に 反 対

る 立

か ら 意 見 を 述 べ て 論 を 展 開 す る 。 一

300

一 ( 二 重 )

1

6

え よ う 。 こ こ の 「 一

」 と は、 第 三 劫 の こ と で あ る 。 『 大 日 経 』 に 「

此 地 ( 此 の 地 に

) 」 と あ り    

の 地 と は 信 解 地 で あ る こ と を 述 べ て い る 。

解 地 と は 十 地 の こ と で あ る 。 「 一

を 越 え て 」 信 解 地 即 ち 十 地     を

る と い う 意 味 で あ ろ

。 そ れ ば か り で は な

『 大 日

』 で は 「

じ て

無 自 性 心 生 ず 」 と

っ て お

(17)

 

 

り、

無 自 性 心 の

で あ る 。

無 所

の 妄

第 三

の 妄

で な い の で あ れ ば 、 ど の よ う な 妄 執 を 度

る  

 

と い

の で あ ろ う か 。

7

 

の 主 張 の 根 拠 は、

が 述 べ て い る 一

5

) に 現 れ て い る 。

8

、 し か し

問 者 が も

で 述 べ て い る こ と (

4

) に つ い て 、 即 ち 『 大 日 経

』 で 三

↓ 十 地

と 説 か れ 、  

 

そ の 十 地 が 説 か れ た

に 、 こ の 二

」 が

わ れ る と い

こ と に つ い て は、 意 見 が

な る 。 つ ま り

で  

 

あ る 極 細 妄 執 を 越 え て 十 地 を 得 し、 第 四 の

を 越 え て

を 得 す る の で あ る 。 「 一 劫 を 越 え て 」 に は  

 

こ の よ う に 二 重 の 益 が 明 ら か に さ れ て い る の で あ る 。

9

、 こ の 二 重 の 益 に 関 し て は 、 宗

( 弘 法

) も 述 べ て い る 。 即 ち 「 復 越 一

此 地 」 の 文 を 解 釈 し て  

 

〈 三 妄 執 ・ 三 阿 僧

劫 を 越 え れ ば 十 地 を 究 め つ

の で あ る 。 ( ま た 一

を 越 え て 、

の 地 に 昇 住

る ) と  

 

の は こ の 十 地

過 ぎ て 上 上 方

便

心 を

細 妄

じ て 仏 果 に 至 る 。 こ の こ と を 『 大 日 経 』 で  

 

は 、 「 こ の 四 分 の 一 に 信 解 を

す 」 と い

〉 と あ る 。 つ ま り 、 三

を 越 え て 十 地 に 入 る こ と も 微 細 妄

 

 

じ て 仏 果 に 至 る こ と

、 同 じ く 「

」 こ と で あ る 。 こ の 解 釈 に 異

い で あ ろ う 。 復越一劫 三 重

1

問 者

10

者 が さ ら に 疑

る 。     三 妄

げ る こ と は、

釈 に よ っ て 明 ら か で あ る 。 先 の 『 秘

記 』 の 文 章 の 上 の

    に 「 三 妄

を 越 え 」 と

下 の 文 に 「

過 ぎ て 上 上 方

便

し 、

」 と あ る 。 こ の こ と     か ら 、 も し 「 復 越 一 劫 」 が 、

四 の

越 え る こ と を 説

文 章 で な い と

ら ば 、 「 微 細 妄

を 断 ず 」     と い う の は 、 ど の

に よ っ て 解 釈 さ れ る の か 。 だ か ち 『 秘

記 』 の く 故 に

』 に 「 此 の 四 分 の 一 に

(18)

智豊合同教学大会紀 要

11

12

13

14

15

を 度 す 」 と い う 〉 の 文 は 、 『 大 日 経 』 に 一 致 し て い る し

細 妄 執 を

ず 」 の 解 釈 が こ の 『

日 経 』 の 文 に 依 っ て い る と い う こ と は 明 ら か で あ る 。 さ ら に ま た

三 劫 で 「 第 三 重 の

の 百 六 十 心 の

業 寿 の 種 を 除 い て 」 の 解 釈 が あ り 、

に つ い て の 解 釈 は 終 わ っ て い る 。

ま た

げ る こ と は 無 用 な 重 言 で は な か ろ う か 。 た だ し こ の 『 秘

記 』 の 文 に よ っ て 二 重 の

益 勧 修 を の べ て い る、 と い う こ と に 関 し て は

意 で き な い 。 三

日 経 』 の

の 初 め に 「 ま た 次 に 真 言 門 に 菩 薩 の 行 を

る 乃 至

 

み な

く 成 就 す 」 と あ り 、

で に 明 ら か に さ れ て い る 。 こ の 文 を 『 大 日 経 疏 』 で は 「 即 ち 是 れ 第 三

越 え る の 心 を 明 か さ ん と 欲 し て 、 見 聞 者 を し て 信 楽 尊 重 せ し め ん と 欲 う が 故 に 先 ず そ の 功 徳 を 歎 ず る の み 」 と 解 釈 し て い る 。 こ の

の 「

重 」 の 語 は 三 劫 能 越 の 益 と

え ち れ る 。 ど う し て 再 度 こ の 三 劫 能 越 の 益

の べ る の で あ ろ う か 。 十 地

っ て さ ら に 挙 益

修 と い う の で あ る か ら 仏 果 の

を 言 っ て い る こ と は

い な い 。 た だ し 「 初 め て 此 の

地 に 入 る ( 初 入 此 信 解 地 ) 」 と い

こ と は 信 解 の 語 の 内 容 は 因

と 果

の 両 方 に 通 ず る が こ こ で は 果 位 の

で あ る 。 だ か ら 仏 果 に 初 め て 入 る こ と を 初 入 信 解 と 言 う の で

る 。 こ の こ と に 間 違 い は な い で あ ろ

。 『 大 日 経 』 に 「 一 切 智 の 信 解 地 」 と 説 い て い る の は こ の こ と で あ る 。 こ こ に 述 べ ち れ て い る 信 解 が 一 切 智 で あ る こ と は 明 ら か で あ ろ

。 も し

な た ( 答

) が 言 う よ

に 、 二 重 の

を 述 べ て い る な ら ば 、 「

解 地 と 一 切 智 と 」 と

う べ き で あ る 。 『 大 日 経 』 で は 「 是 故

。 当 思 惟 此 一 切

解 地 」 と あ り 、

( 一 切 智 ) ↓ 因 (

地 ) の 次 第 で あ る 。 そ れ に 対 す る 『 大 日 経 疏 』 の 解 釈 が 因 ↓ 果 の

で あ る と い う な ら ば 、 『 大 日 経 』 と 『 大 日 経 疏 』 と の 文 が 混 乱 し て し ま う の で は な い か 。 次 に 極 無 自

心 を 挙 げ て い る ( ロ

p9

こ の こ と に つ い て で あ る 。 『 大 日 経

』 で こ の 「 転 生

無 自

心 」 一

302

(19)

復越一劫

16

17

18

げ て い る と こ ろ の 一

の 要 旨 は

の 益

明 ら か に す る た め で あ る 。 十 地

行 ず る こ と に よ っ て 仏 果 に 至 る と い う こ と

明 か

た め に

で あ る

自 性 心

あ げ た の で あ る 。 こ の 極 無 自 性 心 は

即 ち 地 上 の 二 劫 に 当 た る 。 「 転 生

無 自

心 」 を 挙 げ て い る と こ ろ の 一

の 解 釈 ( 昌

P

霸 ) は、 『 大 日

』 の

六 の 八 地 三

道 の

と 全 同 で あ る 。 つ ま り 「 行

初 め て 空 性 を 観 ず る

」 と は 、

八 地 で あ り 極 無

心 で あ り、 因 満 の

で あ る 。 さ ら に 上 上

便

心 に よ っ て 微 細 妄 執 を

に 至 る こ と を 「 復 た 一

え て 此 の 地 に 昇

」 と い

。 も し こ の 「 昇

此 地 」 が 仏 果 で な い な ら ば 「 此 の 四 分 の 一 」 と は

を さ す の で あ ろ

か 。 『

日 経

』 で は 十 地 に 三 句 を 配 当 し 、 初 地

11

心 為 因、 二 地 〜 七 地

1

、 八 地 〜 十 地

11

便

る 。 八 ・ 九 ・ 十 地 の 中 九 ・ 十 地

上 上 方

便

心 と し 十 地 を 四 分 割

る 。

、 こ こ で 「 此 の 四 分 の 一 に

地 を

」 の 文 を 、 質 問 者 は 九 ・ 十 地 に 当 た る と い い 、 こ の 九 ・ 十 地 に あ る

細 妄 執 を 断 じ て 仏

に 至 る と い

。 「 此 」 の 語 は 近 く の

し 示

代 名 詞 で あ り 「 四 分 の 一 」 は 仏 果 の 隣

か れ て お り 「 此 」 を 仏 果 に

て な け れ ば 、 「 四 分 の 一 」 と い

こ と は で き な い 。 ま た 宗 家 の 『

記 』 の 文 に つ い て は 、

問 者 ) も あ な た (

者 ) も 、 三 妄

を 越 え て 十 地 に 入 る こ と と

細 妄

じ て 仏 果 に 至 る こ と の 二 重 の 解 釈 が あ り

の 解 釈 と

え て い な い ( 口 ρ   ) 。 『 秘 蔵 記 』 に お い て 「 世 間 の 三 妄

を 越 え て 出 世 間 心 生

」 と 標 を 立 て 「 是 れ 則 ち

地 究

な り 」 ( 弘 大 全

2

33

) ま で は

日 経 』 の 「 世 間 の 三 妄 執 を 越 え て 出 世

」 (

18

3a

) の 解 釈 で あ る 。 「 此 れ を 過 ぎ て 上 上 方 便 心 を

」 以 下 は 、 こ こ で の 「 此 の 四 分 の 一 に

解 を 度 す 」 の 解 釈 で

る 。 解

の 文 は 、 『 大 日 経 』 の 本 文 の 牒 を と っ て い る の で

日 経 』 に

し て い る こ と は 明 ら か で あ る 。 こ の こ と か ら

え る と 『 秘 蔵 記 』

(20)

智豊合同教学大会紀要

19

20

21

の 解 釈 は 、 一

の 解 釈 と 言

べ き で な い 。 つ ま り、 「 此 れ

過 ぎ て 上 上 方

便

心 を

す 」 以 下 の 解 釈 が ま さ に 「

越 一

」 の 解 釈 で あ り あ な た (

者 ) の 言 う よ う に 二 重 の 益 を 述 べ て い る の で は な い 。 次 に 「 三

祗 劫 を 度

と 名 く る な り 」 の 解 釈 に つ い て で あ る 。 も と

の 不 同 に よ っ て 三 妄 執 或 い は 四 妄

が 説 か れ る 。 こ こ で は 仏 果 の 一 障 〈 或 い は 十 地 に 通

〉 を 開 い て 麁 ・ 細 ・ 極 細 妄 執 の 他 に 微 細 妄

を 立 て る 細 論 門 で あ る 。 も し

論 に よ っ て 述 べ る な ら ば 諸 惑 は 三 妄

で 語 り 尽 く

こ と が で き る の で 「 三 大

を 度 す と 名 つ く 」 と い

。 一 歩 退 い て 微 細 妄

の 説 文 を 考 え て 見 る と、 そ れ は 『

疏 』 に も 見 つ け る こ と が で き る 。 『 大 日 経

』 に 『 大 日 経 』 の 「 一 二 三 四 五 再 数 」 を

し て 「 無 明

る に

る が 故 に、 五

の 心 等 を 生

」 と

る 。

・ 瞋 ・

・ 慢 ・ 疑 の 五 根 本 の 煩 悩 を 五 回 倍 々 し て 、 即 ち 五 の 倍 は 十 十 の

は 二 十、 二 十 の 倍 は 四 十 四 十 の 倍 は 八 十 八 十 の 倍 は 百 六 十 と な り、 百 六 十 心 を 成 立 さ せ る の で あ る 。

の 百 六 十 心 細 妄

の 百 六 十 心 等 と 三 重 に 開 い て 三 妄 執 と

る 。 「 無 明 有 る が 故 に 」 と あ る よ う に、 こ の 五

本 煩 悩 の 他 に 能 生 の 根

無 明 が あ る 。 麁 論 の 時 は こ の 無 明 の 種 子 を 五 根 本 煩 悩 に 含 め て

え る の で、

に こ の 根 本 無 明 を 説 か な い 。 つ ま り 三 妄 執 の

に 全 て の 惑 を 含 め て し ま

。 し か し

論 の 時 は、 根

明 は 五 根 本 煩 悩 を 生 み 出 す の で あ る か ら 、 別 に

細 妄 執 と

づ け た 。 「 無 明

る に 由 る が 故 に 五 根

生 ず 」 の 解 釈 は 、 専 ら 四

が あ る こ と を 述 べ て い る 。 「

し 一 生 に 此 の 三 妄

を 度 せ ば 即 ち 一 生

仏 す 」 と い う の は、 仏

と 十 地 と 合 わ せ た

釈 で あ り 一 般 的 な 仏 教 の

理 の

釈 に 順 じ て 述 べ た の で あ る 。 そ も そ

の 初 め に 、 「 是 の 故 に

は ま さ に 思 惟

べ し 」 の

る 。 こ の 文 の

の 思 惟 と は 何 の 一

304

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