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高度なトンネルマネジメントシステムの具現化に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)

遠隔制御・監視ヘルスモニタ リングシステム

遠隔診断システム

診断システム データベース 点検システム

診断依頼 対策選定 専門家 点検データ

補修データ

施工データ 諸元データ

モニタリングデータ

監視トンネル 現場事務所

点検実施 補修補強実施

点検調書 カルテ 補修補強

データ

機器制御 分散型データベースシステム

internet

(図-1)

高度なトンネルマネジメントシステムの具現化に関する研究

茨城大学大学院理工学研究科 学生会員 宮澤晋史 茨城大学工学部都市システム工学科教授 正会員 呉智深 茨城大学工学部都市システム工学科助手 正会員 原田隆郎 1.はじめに

近年、相次ぐトンネル事故により従来の検査体制が見直されてきており、今まで以上にトンネルの維持管理の重要性が増し てきている。また、橋梁や舗装に関するマネジメントシステムの開発や運用の状況と比べて、いまだに十分なマネジメントシ ステムは確立されておらず、トンネル維持管理業務支援システムの早急な開発が必要とされてきている。

一方、トンネルは他のコンクリート構造物と異なり、点検や診断をする際には、構造諸元以外に周辺環境や変状の原因推定 をしなければならないという点で、システム化は難しく、システムの開発、運用が遅れている。しかし、従来の一元管理され ていたデータベースを分散管理する考えかたや光ファイバなどを使ったセンシング技術などの導入による高度化や、ネットワ ーク技術の向上により、高度なトンネルマネジメントシステム(Advanced  Tunnel  Management  System;ATMS)を開発す ることが可能となってきている。そこで、それらの高度な技術を取り入れたATMSを開発することを目的として研究を行った。

2.ATMSの基本構成

  ATMSを具現化していくうえで、トンネル維持管理業務の大半を行うには、従来のBMS(橋梁マネジメントシステム)のよ うに構成しただけでは十分でない部分があるとした。TMS(Tunnel  Management  System)を高度化させるために、各種セン シング技術、データベースエンジン、ネットワーク技術を駆使して、オプションシステムとして遠隔監視・制御ヘルスモニタ リングシステム、分散型データベースシステム、遠隔診断システムを付随させ、ATMSを構成した。(図−1)

3.各システムの詳細

<点検システム>

・全般点検;1度/2年程度の簡易な点検を検査員が主に目視や打音検査などによりおこなう。

・個別点検;全般検査で異常がありとされ、より詳細な検査が必要な場合におこなう点検。

・遠隔監視・制御ヘルスモニタリングシステム;監視システム、制御システムの2つに大きく分けられる。遠隔地のシステム 管理者が必要なデータはリアルタイムで取得でき、異常が検出されれば対象トンネルからシステム管理者に異常 をしらせる。また、トンネル内に設置した機器を遠隔から操作して変状の画像をとらえることも可能なシステム である。

* 監視システム (1) センシング機能

光ファイバセンサ、FBGセンサを用いて覆 工の変状を常時監視する機能。

(2) モニター機能

遠隔管理者が設定した頻度に従い CCD カ メラ、測定装置などを用いて計測し、デー タをとる機能。

* 制御システム

(1) 局部歪データ取得機能

覆工に生じる局部歪をFBGセンサにより検 出し、データを取得する機能。

(2) 全体歪データ取得機能

トンネル全体の歪を連続点で計測する

BOTDR センサにより検出し、データを取

得する機能。

(3) 画像データ取得機能

トンネル内に設置してあるCCDカメラを遠隔地から制御して、画像を取得し、変状箇所の確認を行う機能。

(4) 内空変位データ取得機能

トンネル内に設置したレーダー測定器で、内空変位量の定点測定を行い、変位データを取得する機能。

キーワード:ATMS、遠隔監視・制御ヘルスモニタリングシステム、分散型データベースシステム、遠隔診断システム 連絡先:〒316-8511 日立市中成沢町4-12-1 茨城大学工学部都市システム工学科 TEL0294-38-5172  FAX0294-385268

土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

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VI‑208

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図-2 遠隔監視・制御ヘルスモニタリングシステム設計図

<データベースシステム>

ATMS を運用するうえで、診断システム、点検システムを円滑に作動させるには基本データの整理が必要と考えられる。また、

データの保管方法、保管頻度の究明も重要である。さらに、データベースをシステム化するには機能についての究明も必要で あると考えられるデータベースシステムには分散型データベースシステムを採用した。分散型データベースシステムとは、構 造物のデータを管理センターで集中管理するのではなく、関係各所でそれぞれのデータを分散管理し、共有するデータベース システムである。構造物のデータは発生源が異なり、データフォーマットも文字、画像、映像、音声など多岐に渡り、なおか つ大容量であることから、各所で分散して管理し、それらのデータを共有できるようにする。

* 機能:トンネル名指定と、項目・条件から検索する機能を持たした。

<診断システム>

 このシステムは、構造物の管理センターで活用されるものであり、各所に点在する構造物の管理データを定期的に監視し、

予防保全的な管理のための補修・補強対策を決定するものである。コンクリートの診断システムは定量的診断を行う「健全性 診断モジュール」と異常時に遠隔診断を行う「異常時対応モジュール」の 2 つのモジュールで構成される。 

・健全性診断システム;必要なパラメータを入力して、健全性を判定し、対策工の要否を判定するエキスパートシステム。

・対策工選定システム;対策工が必要である場合に、変状の原因推定から適当な対策工の選定を行うシステム。

・遠隔診断システム ;遠隔地専門家に健全性判定、対策要否・選定を依頼するシステム。

・異常時即応システム;トンネルに設置したセンシング機能により規定値以上の数値が検知された際に、システム使用者に異 常を知らせ即座に対応可能なシステム。

4.ATMSにおけるデータ構成

 データ構成については、データの種類、項目、取得頻度、取得手段、保管場所、保管形式にわけてまとめた。これらについ てまとめることで、システムの具現化を目指した。また、データの種類、項目について詳細にまとめることが、各システムを 設計、実装するのに必要である。一部を以下にしめす。(表-1)

5.各システムの設計

・遠隔監視・制御ヘルスモニタリングシステムの設計:Lon Worksを用い て設計をおこなった。監視システム、制御システムを遠隔地において可能 とするもので、複数の機器を制御でき、複雑なネットワークを単純化する ものである。この技術によりトンネル内に設置する機器を1つのユニット でCCDカメラ、各種計測機器などを制御することが可能である。(図-2)

・分散型データベースシステム設計:Visual Data21というデータベースエ ンジンを用いて設計をおこなった。分散管理されているデータをフォーマ ットが異なっていても、データをコントロールし比較や検索を可能にし、

なおかつ大容量であっても容易に処理できる機能をもったデータベース エンジンである。これにより、通常、必要なデータのみシステムのデータ ベースとし、その他のデータを関係各所により詳細なデータをおくものと することが可能となる。

6.おわりに

ATMSの各項目について究明を行ったことで、将来的にシステム化が可能であることが確認できた。また、システムの詳細を まとめることで、各システムを実装していけることが確認できた。

参考文献

1) 道総合技術研究所:トンネル補強・補修マニュアル:株式会社  共進、初版第3刷発行、平成12年6月2 2) 吉田典明・上月浩・鈴木正樹・今野正雄:水路トンネル管理支援システム:こうえいフォーラム弟9号、20011

3) 佐藤弘史・荻原勝也・二川英夫:橋梁マネジメントシステムの開発に関する調査研究報告書:第3633号、19993

モニタリング データ

現場PC

LONWORKS internet

遠隔地管理会社

点検データ

BOTDR 監視トンネル

モニタリング データ モニタリング データ

現場PC

LONWORKS internetinternet

遠隔地管理会社

点検データ BOTDR

BOTDR 監視トンネル

表-1

種 類 デ ー タ 取 得 頻 度 デ ー タ 取 得 手 段 デ ー タ 保 管 場 所 デ ー タ 保 管 形 式

断 面 形 状 ( 建 築 限 界 余 裕 ) 月 毎 断 面 測 定 点 検 デ ー タ ベ ー ス 数 値

内 空 変 形 量 月 毎 レ ー ザ ー 計 測 器 点 検 、 モ ニ タ リ ン グ デ ー タ ベ ー ス 数 値

地 中 変 形 量 月 毎 地 中 変 位 測 定 点 検 デ ー タ ベ ー ス 数 値

盤 ぶ く れ 、 沈 下 量 月 毎 水 準 測 量 点 検 デ ー タ ベ ー ス 数 値

覆 工 厚 、 背 面 空 洞 月 毎 ボ ー リ ン グ 点 検 デ ー タ ベ ー ス 数 値

背 面 地 質 月 毎 ボ ー リ ン グ 点 検 デ ー タ ベ ー ス 数 値

覆 工 の 材 料 月 毎 C C D 点 検 デ ー タ ベ ー ス 画 像

種 類 月 毎 C C D 点 検 デ ー タ ベ ー ス 画 像

位 置 ( 範 囲 ) 、 パ タ ー ン 月 毎 、 常 時 C C D 、 光 フ ァ イ バ セ ン サ 点 検 、 モ ニ タ リ ン グ デ ー タ ベ ー ス 数 値 、 大 き さ ( 長 さ 、 深 さ 、 幅 ) 月 毎 、 常 時 C C D 、 光 フ ァ イ バ セ ン サ 点 検 、 モ ニ タ リ ン グ デ ー タ ベ ー ス 数 値

進 行 性 月 毎 、 常 時 C C D 、 光 フ ァ イ バ セ ン サ 点 検 、 モ ニ タ リ ン グ デ ー タ ベ ー ス 数 値 点 検

デ ー タ

項 目

変 形 は ら み

出 し

ひ び 割

土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

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VI‑208

参照

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