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アスファルト混合物の直接引張性状(第 2 報)

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Academic year: 2022

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アスファルト混合物の直接引張性状(第 2 報)

北海道大学大学院 学生会員 ○小山香寿美 苫小牧工業高等専門学校 正会員 吉田 隆輝 苫小牧工業高等専門学校 正会員 近藤 崇 苫小牧工業高等専門学校 高橋 正一

1.目的

アスファルト混合物の引張性状を直接測定することができれば,混合物の基礎的な情報を得るという意味か ら重要であると考え,前報では,六面カット棒状供試体を用いて直接引張性状を明らかにしてきた1。棒状供 試体は板状の供試体の中央部分から切り出しているので,密度分布が均等である。また数多くのデータがあり,

そのデータのばらつきは少なく,一定の結果を得ている。わが国の配合設計は一般にマーシャル安定度試験等 により決定する。そのマーシャル供試体は所要回数の締め固めにより作製するため,骨材の配列等に問題はあ るものの配合設計に広く用いられている。また実際の道路舗装からボーリングによって得られる円柱供試体を 使用して各種試験を行うことを考えれば,円柱形供試体の引張性状を明らかにしておくことは重要である。本 研究では,マーシャル供試体を用いて直接引張試験を行い,その性状を明らかにする。さらに六面カット棒状 供試体とマーシャル供試体の直接引張性状の比較を行い,両者の関係を明らかにし,その一部について述べる。

2.使用材料

実験に用いた瀝青材料は,舗装用石油アスファルト80~100(針入度89,軟化点46.0℃,密度1.035g/cm3)で ある。骨材は,粗骨材に額平川産6号および7号砕石,細骨材に浜厚真粗砂,知津狩細砂,フィラーに浦河産 石灰石粉および消石灰を使用した。なお粗骨材は水洗いし,気乾状態にし

た後,13.2,9.5,7,4.75,2.36mmの各単粒にふるい分け,細骨材は気乾 状態にした後,2.36,1.18,0.6mmにふるい分け,共に絶乾状態で用いた。

0 20 40 60 80 100

図-1 アスファルト混合物の粒度曲線 上限値

密粒度アスファルト混合物(13F) 下限値

通過質量百分率(%)

粒径(㎜)

0.3 0.6 2.36 4.75 13.2

0.15

0.075 1.18 7.0 9.5

写真-1 動的載荷試験装置 3.実験方法

アスファルト混合物の種類は,密粒度アスファルト混合物(13F)とし,

アスファルト量は 6.4%である。アスファルト混合物の骨材の粒度曲線を 図-1に示す。マーシャル供試体は,高さ63.5㎜になるように自動締固め 装置により,充分な温度管理のもとで,両面50回ずつ締め固めて作製す る。供試体の断面積,長さ,密度等を測定した後,供試体両端に鉄製アタ ッチメントを平行かつ中心を一致させた加圧突き合わせ接着を行う。引張 試験は,試験温度で養生した後,引張治具に装着し,毎分供試体長さの1%

の変位速度(ひずみ速度 1.7×1041)で軸方向に載荷する。引張試験 は,電気-油圧サーボ制御方式のランプジェネレータを備えた動的載荷試 験装置の変位制御モードで行う。試験装置を写真-1に示す。試験温度(t) は-40℃~+20℃(±0.1℃)である。

マーシャル供試体の破壊時の引張強度σMは次式より求める。

σM=P/A

ただしP:最大荷重,A:供試体断面積である。なお,棒状供試体 の破壊時の引張強度はσBで表す。

キーワード アスファルト混合物,マーシャル供試体,直接引張試験,破壊時の引張強度,締固め度 連絡先 059-1275 苫小牧市錦岡443 国立苫小牧工業高等専門学校 環境都市工学科 Tel. 0144-67-8057

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

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4.実験結果および考察

マーシャル供試体の直接引張試験行うにあたり,供試体 が均質であることを確認しておくことが必要である。そこ で供試体の密度分布を確認するため,マーシャル供試体を 両端部から約1㎝ずつに5分割し,空中,水中,表乾質量 を測定し,密度の測定を行なった。供試体総数は7個であ る。5分割した中央の部位の密度を基準にし,マーシャル 供試体の締固め度,空隙率を求めた。5分割した供試体と 締固め度の関係を図-2に示す。図より上端部と下端部で は締固め度がほぼ同じ値となり,供試体のどの部分でもほ

ぼ99%以上の締固め度を得た。空隙率は全て4.1±0.5%に

収まっている。このことより,本研究に用いたマーシャル 供試体は均質に作製できていることを確認できた。

引張強度と温度の関係を図-3に示す。縦軸に引張強度 を対数目盛で,横軸に温度を普通目盛で表わす。

マーシャル供試体の脆化点は0℃,棒状供試体の脆化点 は-1.8℃となった。図-3 より引張強度と温度の関係は,

両供試体とも高温側より脆化点まで急激に引張強度が増 加し,脆化点より低温になるにつれ引張強度はやや減少す る傾向がみられた。

引張強度と温度(t)の回帰曲線(σ=AeBt)と相関係数(r)を,

脆化点より高温側と低温側で求めその係数を表-1に示す。

引張強度と温度の間には供試体の種類に関係なく脆化 点より高温側で-0.99以上,低温側でも 0.83 以上と極め て高い指数曲線の関係が認められた。高温領域の引張強度 はマーシャル供試体がやや大きな値を示している。低温領

域では棒状供試体とマーシャル供試体の回帰曲線はほぼ平行になっており,棒状供試体が大きな値を示してい る。このことより,脆化点付近を除く-40℃~-5℃の適応範囲でσB=1.3×σ

96 98 100 102

1 2 3 4 5

図-2 5分割した供試体と締固め度の関係

№29

№31

№56

№57

№58

№70

№71

固め度(%

5分割した供試体

(上) (中央) (下)

10-1 100 101

-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30

図-3 各供試体の引張強度と温度の関係

棒状供試体 マーシャル供試体

引張強度(MPa)

温度(℃)

σB=5.59e0.0127t     r=0.906

σM=4.30e0.0152t     r=0.826

σB=4.23e-0.139t     r=-0.995

σM=4.29e-0.122t     r=-0.991

温度(℃) -40~0 0~20 -40~-1.8 -1.8~20 A 4.30 4.29 5.59 4.23

B 0.0152 -0.122 0.0127 -0.139

r 0.826 -0.991 0.906 -0.995

供試体数 169 60 54 67 σ=AeBt

表-1 引張強度(σ)と温度(t)の回帰曲線と相関係数 マーシャル供試体 棒状供試体

B M,高温領域の+5℃~+20℃

の適応範囲でσBB=0.77×σMの関係式を得た。

5.まとめ

密粒度アスファルト混合物(13F)の直接引張試験を変位制御で行い,以下のことを明らかにできた。

1) 充分な温度管理のもとで作製したマーシャル供試体は供試体の端部,中央部にかかわらず,密度,空隙 率はほぼ同じ値となり,供試体のどの部分でも均質である。

2) マーシャル供試体の脆化点は0℃,棒状供試体の脆化点は-1.8℃となった。

3) 供試体の種類に関係なく,直接引張強度と温度の間には脆化点より低温側,高温側共に極めて高い指数 曲線の関係が認められた。

4) 低温領域の-40℃~-5℃,高温領域の+5℃~+20℃の適応範囲で,マーシャル供試体と棒状供試体の 引張強度の推定が可能である。

最後に,本研究を進めるにあたり,苫小牧高専卒業生中島章,本間将史,小山貴弘,竹内嘉浩,千葉直也,

管真紀子,松田ちより,千葉晋平の諸君に実験の協力を得た。記して深甚なる謝意を表する。

参考文献 1) 小山香寿美,吉田隆輝,近藤崇,高橋正一:アスファルト混合物の直接引張性状,土木学会第59回年次学術講 演会講演概要集第5部,pp.110511062004

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

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