• 検索結果がありません。

自己効力とは、いわゆる自信のこと である

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "自己効力とは、いわゆる自信のこと である"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)博士(文学)学位請求論文審査報告要旨 論文提出者氏名. 佐藤 舞. 論 文 題 目. 大学生の自己効力と就職活動との関連. 審査要旨 本論文は、大学生の進路選択過程に焦点をあて、就職活動を通して特性的自己効力が変化する過程につ いて課題特異的自己効力を含めて縦断研究によって検討したものである。自己効力とは、いわゆる自信のこと である。自己効力は過去の経験から導かれ、将来の行動を予測し、その支えとなるという考え方に立つ。課題 特異的自己効力は数学や運動といった個々の領域に関する自己効力を指すのに対し、特性的自己効力はそ こから導かれる全体的な自己効力を指す。 論文は全体で 7 章から構成されており、第 1 章「先行研究の概観」と第 2 章「問題と目的」では、関連論文を 十分検討し、本論文の位置を明確にしている。当初、自己効力は課題特異的自己効力が中心であったが、そ の後、より一般的な自己効力である特性的自己効力が注目されるようになった。大学生にとって就職活動は未 知の課題状況であることから、特性的自己効力の影響と変化を明らかにすることが求められるのである。 これを踏まえ、第 3 章「研究 1」では、研究 2、3 で用いる尺度を準備するために、就職活動を経験した大学 4 年生を対象として、自己効力を規定する要因である情報源を就職活動に適用するための尺度を新たに作成し た。進路選択過程の体験や結果によって特性的自己効力が影響を受けるかどうかを検証するには、その前提 として就職活動の前後で特性的自己効力に差があることを確認することが必要となる。さらに、進路が決定した という結果の影響を確認するためには、進路先の決定の有無を比較する必要がある。そこで、第 4 章「研究 2」 では、進路が決まった者と決まらなかった者の就職活動前後の特性的自己効力を縦断研究によって比較し、 進路決定の有無にかかわらず就職活動後の特性的自己効力が上昇するという新たな知見を得た。これをもと に、第 5 章「研究 3」では、進路が決まった者のみを対象として、就職活動に関する課題特異的自己効力と就 職活動前後の特性的自己効力を組み込んだより詳細なモデルを構築し、その検証を行った。その結果、特性 的自己効力が課題特異的自己効力とは異なる独自の予測力をもち、就職活動への取り組みや就職活動の成 功を予測することを明らかにした。さらに、就職活動の成否にかかわらず、就職活動を通して志望を明確化す ることが特性的自己効力を高めることを見いだした。これらの実証結果を踏まえ、第 6 章「研究のまとめと総合 考察」と第 7 章「研究の限界と今後の課題」では、本研究の成果と今後の展望を整理した。.

(2) 氏名. 佐藤 舞. 新卒採用を重視する日本では最初の就職は重要であり、その影響力の強さゆえに、大学生にとって大きな 試練となる。本論文が新卒者の就職活動を取り上げ、自己効力に焦点を当てたことは、現実社会との係わりと いう点でも意義深いものとなっている。研究1では、自己効力を高める要因と考えられている進路選択過程に 対する自己効力を高めるためには、就職活動中に経験する遂行行動の達成が重要であるという新たな知見を 見いだしている。また、研究 2 における、就職活動以前には経験できない遂行行動が実際に活動していく中で 蓄積され、それが自己効力に影響するという視点は、先駆的なものであると評価できる。さらに、研究 3 におい て、特性自己効力は客観的な行動や結果を予測し、課題特異的自己効力はより主観的な心情や評価を予測 することが新たな知見として提出されたことは、この領域における研究の展開に大きな影響を与えると考えられ る。今後、この領域の研究は研究 3 で確認されたモデルに沿って行われていくことが予想される。加えて、志望 の明確化が進路選択の過程で特性的自己効力を高める要因であることを明らかにしたことは、就職活動を支 援するという実践面でも重要な意味を持つものである。 本論文の中核をなす研究 1 から研究 3 は、いずれも査読論文として応用心理学研究、キャリア教育研究、教 育心理学研究に掲載されたものであり、この間の一貫した検証手続きは、高く評価されるべきものである。 以上のことから、本論文は博士学位論文としての水準を十分に満たす、優れた成果であると評価できる。. 公開審査会開催日. 2017 年 12 月 1 日. 審査委員資格. 所属機関名称・資格. 主任審査委員. 早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授. 松本 芳之. 社会心理学. 審査委員. 早稲田大学 文学学術院 教授. 越川 房子. 臨床心理学. 審査委員. 静岡産業大学 経営学部 教授. 太田 さつき. 産業・組織心理学. 審査委員 審査委員. 氏名. 専門分野. 博士学位名称 博士(早稲田大学). 博士(青山学院大学).

(3)

参照

関連したドキュメント

審査要旨

音楽ジャンル「通俗音楽」の誕生過程を解明することで、文化産業・若者文化・行政の三者関係を考察

形プラグに関しては,弁差圧 20MPa の条件下で絞り部すきま区間を 対象に,1 次元流れを 仮定した境界層解析を行 っている.こ れ よ り,その区間の圧力変化過程は先の

社会インフラの健全性を持続するためには,点検・調査に基づ く予防保全が有効である.しかし,火力発電所施設の放水路や取

政策評価や EBPM を行う際に基礎となるのは、対象となる施策や事業がいかに効果を及ぼすかを論 理的に構造化することである。そのための一つの手法としてロジックモデルがある。日本では

The purpose of this study is to investigate how the introduction of the 'Pay Forward' to 'Period for Inquiry-Based Cross-Disciplinary Study' at a girls' high school in Tokyo

現在、自動車産業は 100 年に1回の大変革の時期にあり、その主な要因は CASE にあるといわれて いる。 CASE とは、 C (コネクテッド:つながる車)、 A

自己評価式抑うつ尺度日本語版(福田他,1983 以下 SDS) 結果:質問紙に回答した学生の 315 名のうち有効回答は 302 名(有効回答率 95.8%)であった。 PSQI 得点は 5.27 点±2.33