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藤 森 麻衣子

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Academic year: 2022

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博士(人間科学)学位論文 概要書

             

がん医療における患者-医師間の コミュニケーションに関する研究

 

Patient- Physician Communication   in Oncology Setting 

                 

 

2005年1月 

 

早稲田大学大学院人間科学研究科   

藤 森  麻衣子   

指導教授    野  村    忍

 

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  第1章において、がん医療における患者−医師間のコミュニケーションに関 する従来の研究の概要が示された。悪い知らせを伝えられる際の患者−医師間 のコミュニケーションが患者の精神的状態に影響することが示唆されてきた。

そのため、医療者の経験則に基づいた、悪い知らせを伝える際の望ましいコミ ュニケーションのガイドラインが作成され、推奨されてきた。しかしながら、

これまで提唱されてきたガイドラインと患者の意向とは必ずしも一致しないこ とが示唆されたことから、患者の意向に注目する必要性が指摘されている。ま た、患者の意向を扱った研究の多くが、対象者が少ない質的研究であるか、あ るいはガイドラインで推奨されているコミュニケーションのいくつかを検討し ているだけであるという制限がある。また、わが国に限ってみると、悪い知ら せの伝えられ方について患者の意向は検討されていない。コミュニケーション は文化的背景の影響が大きいことから、これまで欧米で報告されてきた知見を そのまま応用することの妥当性には疑問が残る。さらに、悪い知らせを伝えら れる際の患者−医師間のコミュニケーションを促進するための介入法として、

コミュニケーション・スキル・トレーニング(CST)が提案されている。がん 医療におけるCSTの重要性、具体的内容、および有効性について過去の報告を 概観すると、CST ががん医療に携わる医療者のコミュニケーション・スキルの 向上や、患者とのコミュニケーションに対する自己効力感に有効であることが 推測された。しかしながら、患者への影響を検討した数少ない報告から、ポジ ティブな結果が示されていないことから、患者の意向を反映したCSTプログラ ムを開発する必要があることが推測された。

  第 2 章においては、第1章における問題提起を受け、本研究の目的として、

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わが国のがん医療における悪い知らせを伝える際のコミュニケーションに関し て、患者の意向を踏まえたコミュニケーションを促進するために、悪い知らせ を伝える際のコミュニケーションに対するがん患者の意向を明らかにし、患者 の意向に基づいたコミュニケーションを促進するための介入法としてCSTの有 効性を検討することが示された。さらに本研究の構成が示された。

  第 3 章では、わが国における、悪い知らせを伝えられる際のコミュニケーシ ョンに対する患者の意向が、「場の設定と主導権」、「付加的情報」、「悪い知らせ の伝え方」、「情緒的サポート」の4要素で構成されることが示唆された。また、

このような4つの構成要素は、欧米における、悪い知らせを伝えられる際のコ ミュニケーションに対する患者の意向の構成要素、および、医療者の経験則に 基づいて推奨されているコミュニケーションの構成要素と類似しているが、よ り複雑である可能性が示唆された。

  第4章では、わが国における、悪い知らせを伝えられる際のコミュニケーシ ョンに対する患者の意向の特徴について、患者の意向が一致するコミュニケー ションとして、わかりやすい説明、治療や病気についての説明、希望を維持す る説明、正確な情報、医師が患者に直接、はっきりと情報を伝えることが示唆 され、患者ごとに意向が異なるコミュニケーションとして、不確実な情報の開 示や伝え方が示唆された。

  また、患者ごとに意向が異なるコミュニケーションの関連要因が検討され、

男性では断定的な口調が、女性では段階的に伝えられることが好まれること、

年齢が高くなるにつれて、また、教育経験年数が長くなると、淡々と伝えられ ることに対する意向が増す傾向が示された。そして、婚姻している人の方が、

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余命についての情報を求める傾向が示された。医学的背景は関連しなかった。

  第5章では、患者の意向に基づいた悪い知らせを伝える際のCSTプログラム が開発され、医師を対象としたワークショップが実施された。その結果、がん 医療において、悪い知らせを伝える際のコミュニケーションに対する自己効力 感がCSTの後に増加し、3か月後も維持されることが示され、CSTが日本の医 師に対して有効である可能性を示唆された。しかしながら、燃え尽きはCST参 加 3 か月後にネガティブな方向に変化したことから、今後プログラムの修正が 必要であると考えられた。

  第 6 章では、がん医療における患者−医師間のコミュニケーションに関する 本研究の総合的考察として、本研究の結果から、精神腫瘍学への示唆、および 臨床心理学への示唆が考察された。最後に、本研究の限界と今後の課題が考察 された。

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