• 検索結果がありません。

ahus とは 疾患の定義 2013 年に 日本腎臓学会と日本小児科学会から 非 hemolytic uremic syndrome :ahus) は 図 1 のよ 典型溶血性尿毒症症候群 診断基準 が公表された うに定義された これにより 非典型溶血性尿毒症症候群 (atypical 図 1 ah

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ahus とは 疾患の定義 2013 年に 日本腎臓学会と日本小児科学会から 非 hemolytic uremic syndrome :ahus) は 図 1 のよ 典型溶血性尿毒症症候群 診断基準 が公表された うに定義された これにより 非典型溶血性尿毒症症候群 (atypical 図 1 ah"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

監修: 東京大学大学院医学系研究科 腎臓・内分泌内科 教授 南学 正臣 先生

非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)

診断から治療まで

非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)

(2)

aHUSとは

疾患の定義

2013年に、日本腎臓学会と日本小児科学会から「非 典型溶血性尿毒症症候群 診断基準」が公表された。 これにより、非典型溶血性尿毒症症候群(atypical

hemolytic uremic syndrome :aHUS)は、図1のよ うに定義された。 図1 aHUSの定義

aHUSは:

1.溶血性貧血

2.血小板減少

3.急性腎障害

 を3徴とし、

志賀毒素に関連するものでない

血栓性血小板減少性紫斑病でない

指定難病に該当するのは、補体制御異常による血栓性微小血管症(TMA)であり、以下を除外する: ・志賀毒素産生性大腸菌感染による典型溶血性尿毒症症候群(HUS) ・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) ・二次性TMA(代謝異常症、感染症、薬剤性、自己免疫性疾患、HELLP症候群、移植後、などで起こる血栓性微小血管症) 日本腎臓学会と日本小児科学会の診断基準ではTMAからHUS、TTPを除外し、二次性TMAを含めた疾患を広義のaHUSとしているので注意が必要で ある。現在、学会で診断基準の見直しが行われている。

日本および世界での発生状況

aHUSは、海外では、毎年100万人に2〜3人が発 症し、小児の100万人に7人程度が発症すると報告さ れている。近年、日本においても様々な遺伝子異常に よるaHUSが報告されているが、全国レベルでの発症 数、原因遺伝子頻度、予後に関しては不明である。日 本では 2015 年度現在で 100 例前後が aHUS と診断 されている。

aHUSの発症機序

補体は、3つの異なる経路(古典的経路、レクチン経 路、第二経路)により活性化する。補体系に関連する aHUSは、これらの経路のうち、第二経路の活性化異 常により発症する。 第二経路の活性化は、C3がC3aとC3bに分解され ることで生じる。生じた C3b が微生物などの細胞膜 表面に結合すると、B因子(complement factor B: CFB)やD因子(complement factor D:CFD)等と

(3)

反応してC3転換酵素(C3bBb)を形成する。このC3 転換酵素は、さらにC3をC3aとC3bに分解し、生じ たC3bと結合してC5転換酵素(C3bBbC3b)となる。 C5 転換酵素は C5 を C5a と C5b に分解し、生じた C5b が C6-C9 と順次反応することで膜侵襲複合体 (membrane attack complex:MAC)となり、病原

体の溶菌・細胞融解を引き起こす(図2)。

C3の分解反応により生じたC3bはきわめて反応性 の高いチオエステル結合を有するため、病原体だけで なく自己の細胞膜上にも結合しうる。C3bの自己細胞 への結合は有害であるため、自己細胞上には H 因子 (complement factor H:CFH)、 membrane

cofactor protein(MCP、CD46)、トロンボモジュリ ン等の制御因子が存在し、これらの因子がプロテアー ゼであるI因子(complement factor I:CFI)による

C3bの速やかな分解不活化を促し、補体による細胞傷 害から自己細胞を保護している。 補体系因子の異常によるaHUSは、抑制因子の機能 喪失変異と、活性化因子の機能獲得型変異に分けられ る。抑制因子の機能喪失変異の例として、CFH、CFI、 CD46、トロンボモジュリンの変異、または抗factor H抗体の出現によるCFHの機能低下が挙げられ、抑制 機能の低下により補体系を過剰に活性化することに よってaHUSが引き起こされると考えられる。活性化 因子の機能獲得型変異の例としては、CFB、C3 の変 異が挙げられ、いずれも第二経路の活性化により血管 内皮細胞や血小板表面の活性化をもたらし、aHUSを 発症すると考えられる。血管内皮細胞は、血液の流れ を良くして凝固を阻止する機能を担っている。しかし、 aHUS患者では、この血管内皮細胞上で補体の過剰な C3a レクチン経路 補体活性化第二経路 免疫複合体除去 微生物オプソニン化 C5 結果 結果 溶血 炎症 血栓症 組織障害 アナフィラキシー 炎症 血栓症 C5a 強力なアナフィラトキシン 遊走性 炎症促進 白血球活性化 内皮活性化 血栓形成促進 C5b-9(膜侵襲複合体) 細胞融解 炎症促進 血小板活性化 白血球活性化 内皮活性化 血栓形成促進 古典的経路 C3b C3転換酵素 iC3b C3 + H2O: 常に活性化 C5転換酵素 C5b C6 C7 C8 C9 機能獲得型変異: C3、CFB

阻害因子: H因子、I因子、MCP

トロンボモジュリン

C3 弱いアナフィラトキシン 図2 補体関連aHUSでは、第二経路の活性化異常を契機に発症

1. Noris M, Mescia F, Remuzzi G. Nat Rev Nephrol. 2012;8:622-633. 2. Leban N, Abarrategui-Garrido C, Fariza-Requejo E, et al. Int J Immunogenet.2012;39:110-113. 3. Hirt-Minkowski P, Dickenmann M, Schifferli JA. Nephron Clin Pract. 2010;114:c219-c235. 4. Loirat C, Noris M, Fremeaux-Bacchi V. Pediatr Nephrol. 2008;23:1957-1972.

(4)

活性化が起き、制御不能となるため、血管内皮の機能 異常、血小板血栓の形成が生じる。その結果、様々な 臓器で虚血性の障害が起こり、それに伴って炎症が引 き起こされる(図3)。また、aHUSには、感染、妊娠と いった発症の契機となるトリガーがある。aHUS は、 このトリガーと、第二経路での制御異常の2つが組み 合わさることで発症する。発症に至るトリガーの強度 は、第二経路での制御異常の重度に依存するため、例 えば、第二経路での制御異常が重度であれば、aHUS はごく軽度のトリガーで発症する。反対に、第二経路 での制御異常が軽度であれば、aHUS は重度のトリ ガーによって発症する。なお、これらの強度がどのよ うな場合でも、aHUSが発症した際には様々な臓器で 虚血性の障害が起こる(図4)。 また、aHUS患者の約8〜10%では、CFHに対する 自己抗体が存在することが知られている。この抗体は CFHのC末端を認識し、CFHのC3bへの結合を阻害 することで、CFH による細胞保護作用を阻止する。 CFH抗体の出現はCFHとCFH関連蛋白質(comple- ment factor H Related:CFHR)1〜5の遺伝子異常 (欠損)が関与していることが判明しており、これらの 遺伝子異常により CFH に対する抗体が出現し、CFH の機能を阻害するものと考えられている。

特にCFHR遺伝子欠損により、CFH抗体が出現した aHUSは、DEAP-HUS (DEficiency of CFHR plasma proteins and Autoantibody Positive form of

1. Noris M and Remuzzi G. Nat Rev Nephrol. 2014; 10(3): 174-80. 2. Laurence J. Clin Adv Hematol Oncol. 2012; 10(suppl 17): 1-12. 3. Legendre CM, Licht C, Muus P, et al. N Engl J Med. 2013; 368: 2169-2181. 4. Sellier-Leclerc A-L, Frémeaux-Bacchi V, Dragon-Durey MA, et al; French Society of Pediatric Nephrology. J Am Soc Nephrol. 2007; 18: 2392-2400. 5. Nester CM, Thomas CP. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2012; 2012: 617-625. 図3 持続的かつ制御不能な補体活性化による内皮細胞の障害とTMA症状の進行1 ●制御不能な補体活性化により、血管内皮細胞損傷が進行する2-5 ●これによるTMA病変は回復不能な多臓器障害に進行することがある2-5 進行性の 臓器障害 C5a 図は説明を目的と するものであり、 縮尺は正確ではありません。 赤血球 血小板 活性化した 血小板 白血球 (フォンビルvWF ブランド因子) 活性化した 白血球 血栓形成促進因子 破砕赤血球 虚血 補体介在性の TMA 慢性的な補体 活性化 ベースラインの 補体活性の上昇 C5b-9

(5)

トリガーの強さ 軽度  ←  第二経路における制御異常  →  重度 強いトリガー 弱いトリガー 補体系の制御不能な活性化 TMA 制御因子と活性化因子のバランスは以下の条件により決まる ●遺伝子の転写蛋白質の合成、分泌、発現蛋白質の機能 図4 aHUS発症に関わる2つの要因

Tsai HM. Transfus Med Rev. 2014; 28(4): 187-197. Hemolytic Uremic Syndrome)とも呼ばれている。

なかでも、CFHR3-CFHR1の欠損は、最も頻度の高い 異常である。CFHR領域は、多彩な遺伝子異常が報告 されているが、homologyの高い領域であることから 遺伝子検査が困難な領域である。 最近、TMA患者でDGKE(diacylglycerol kinase epsilon)、プラスミノーゲンなどの凝固系の制御に関 連する因子の異常が報告されている。また、トロンボ モジュリンがC3bやCFHに結合し、C3bの不活化を 低下させることも報告されている。これらの因子は凝 固系因子であるため、トロンボモジュリン、DGKE、 プラスミノーゲンによるTMAを凝固関連TMAと呼 ぶ分類(すなわち、これまで補体関連aHUSとされて いた疾患を、補体関連TMAと凝固関連TMAに分ける 分類)も提唱されている。DGKE、プラスミノーゲン によるTMAの発症機序に関してはまだ詳細が分かっ ておらず、純粋に凝固系異常によるTMA症状なのか、 どこまで補体系を介した異常なのかははっきりしてい ない。

(6)

aHUS患者の呈する症状

aHUSは、1.溶血性貧血(破砕赤血球を伴う貧血で Hb 10 g/dL未満)、2.血小板減少(血小板数15万/ μL未満)、3.急性腎障害(血清クレアチニン値が年齢・ 性別基準値の1.5倍以上)が三主徴である。この三主 徴はHUSと同様であるが、HUSとは異なり、aHUSで は O157 などの志賀毒素産生性大腸菌感染は認めら れない。 三主徴以外にも、中枢神経症状、心臓障害、呼吸障害、 腸炎、高血圧などの多臓器症状を呈する(図5)。 aHUS で虚血性腸炎などの消化器症状を呈する例

1. Muus P, et al. Presented at: 18th Congress of the European Hematology Association. June 13-16, 2013; Stockholm, Sweden. Abstract B1774. 2. Neuhaus TJ, et al. Arch Dis Child. 1997; 76: 518-521. 3. Ohanian M, et al. Clin Pharmacol . 2011; 3: 5-12. 4. Noris M, et al. Clin J Am Soc Nephrol. 2010; 5: 1844-1859. 5. Sallée M, et al. Nephrol Dial Transplant. 2010; 25: 2028-2032. 6. Kavanagh D, et al. Br Med Bull. 2006; 77-78: 5-22. 7. Loirat C, et al. Pediatr Nephrol. 2008; 23: 1957-1972. 8. Langman CB. Haematologica. 2012; 97(suppl1): 195-196. 9. Dragon-Durey M-A, et al. J Am Soc Nephrol. 2010; 21: 2180-2187. 10. Zuber J, et al. Nat Rev Nephrol. 2011; 7(1): 23-35. 11. Caprioli J, et al; for the International Registry of Recurrent and Familial HUS/TTP. Blood. 2006; 108: 1267-1279. 12. Ståhl A-L, et al. Blood. 2008; 111: 5307-5315. 13. Ariceta G, et al; for the European Paediatric Study Group for HUS. Pediatr Nephrol. 2009; 24: 687-696. 14. Sellier-Leclerc A-L, et al; French Society of Pediatric Nephrology. J Am Soc Nephrol. 2007; 18: 2392-2400. 15. Laurence J. Clin Adv Hematol Oncol. 2012; 10(suppl 17): 1-12.

図5 aHUSで発症する臓器障害とその頻度

48%

の患者で神経系症状がみられる

2

脳卒中3   

脳障害4   

痙攣2

43%

の患者で心血管系症状がみられる

2

心筋梗塞5   

高血圧6

びまん性血管障害7

34%

の患者で腎臓以外での血栓がみられる

1

37%

の患者で消化器系症状がみられる

8

虚血性腸炎3 

腹痛3 

膵炎9    

胃腸炎4

肝壊死7   

下痢10

悪心・嘔吐9

50%

以上の患者が

ESRD(末期腎不全)へと進行する

11

クレアチニン値の上昇12,13

浮腫、悪性高血圧4,12

eGFR(推算糸球体濾過量)の低下7,13

蛋白尿2 aHUSでは、過剰な補体の活性化により、全身性の血栓 性微小血管症(TMA)、生命維持に関わる進行性の臓器 障害、多臓器不全に至る8,10,11,15

呼吸困難5

肺出血14

肺水腫5

全ての患者で、複数の臓器障害が発症した(30例)

1

(7)

や、消化器感染を契機にaHUSを発症する例もあり、 下痢を呈していてもaHUSが否定されるわけではない ので注意を要する。

治療の概要

従来、補体制御異常による aHUS と診断されれば、 血漿交換・血漿輸注療法が治療の第一選択とされてき た。2013年9月には、補体C5に対するモノクローナ ル抗体であるエクリズマブの適応症に、補体制御異常 によるaHUSが追加され、その治療効果が期待されて いる。エクリズマブは補体 C5 に特異的に結合し、そ の分解とそれに伴うMACの形成を阻害することで、 補体の過剰な活性化を抑制する。なお、DGKEやプラ スミノーゲンなどの凝固関連因子の異常によるaHUS に対する治療効果については、未だ十分なデータが得 られていない。

治療・診断についての留意点

aHUSは再発の可能性があるので、再発が疑われる ときには血算、生化学、検尿などを実施し、精査を行う。 また、遺伝子診断を行った場合には、知識を持った者 がその結果について本人、家族に十分に説明すること が望ましい。

食事・栄養についての留意点

腎機能低下がある場合には、急性期、慢性期ともに 食事制限(蛋白、塩分、カリウム、リンなどの調整食) が必要となる。

予後

海外では、表1のように、血漿交換への反応性、腎 移植後の予後など、原因遺伝子別の治療成績の報告が ある。しかし、日本では蓄積された症例報告がなく、 日本人の予後は不明である。また、エクリズマブ治療 により予後の改善が報告されているが、遺伝子別の治 療成績は不明のままである。

(8)

難病情報センター http://www.nanbyou.or.jp/entry/3847 参考文献:

Fan X, et al. Mol Immunol. 2013; 54: 238-246.

Miyata T, et al. Thromb Haemost. 2015; 114.[Epub ahead of print] 表1 aHUSの遺伝子異常と予後

遺伝子 蛋白名 変異の影響 欧米(本邦)頻度 血漿交換の短期的効果 血漿交換の長期的効果 腎移植後の腎予後

CFH Factor H 内皮に結合できない 20~30%(10%) 寛解率60% 死亡または腎死70~80% 80~90%再発率 CFHR1/3 Factor HR1, R3 抗H因子抗体の出現 (6%)6% 寛解率70% 30~40%腎死 再発率20%

CD46

(MCP) cofactor proteinMembrane 内皮表面の発現低下、補体制御機能低下 10~15%(13%) 一般的に軽症 死亡または腎死20%以下 15~20%再発率 CFl Factor l Co-factor機能低下 4~10%(0%) 30~40%寛解率 死亡または腎死60~70% 70~80%再発率

CFB Factor B C3 convertase活性化 (3.3%)1~2% 寛解率30% 死亡または腎死70% 1例再発の報告 C3 Complement C3 C3b不活化低下 (43%)5~10% 40~50%寛解率 死亡または腎死60% 40~50%再発率

THBD Thrombomodulin C3b不活化低下 (3.3%)5% 寛解率60% 死亡または腎死60% 1例再発の報告

DGKE kinase epsilonDiacylglycerol DAGシグナルによる血栓形成 (不明、2015年に1例の報告)不明、2013年に13例の報告 不明 20歳までの腎死が多い

3例中1例が 移植後拒絶、 再発のリスクは

低い

(9)

aHUSの診断

診断には、①診断基準、②重症度分類を用いる。2つを明確に区分することが重要である。

①診断基準

指定難病としての aHUS に該当するのは、HUS、 TTP、二次性TMA(代謝異常症、感染症、薬剤性、自己 免疫性疾患、HELLP症候群、移植後、など)を除いた、 補体制御異常によるTMAである(図6)。 しかし、日本腎臓学会と日本小児科学会から2013 年に公表された「非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)  診断基準」では、図7の診断基準が用いられているの で注意が必要である。 TMA ② ③ ① ④ 志賀毒素関連 典型HUS 二次性TMA 支持療法 血漿交換 エクリズマブ 病因に応じた治療 血漿輸注 血漿交換 補体制御異常 によるaHUS (先天性・後天性) TTP

➡ 臨床的補体制御異常によるaHUSが疑われる患者に対しては特殊検査による確定診断

ADAMTS13活性 著明低下(10%未満)

① TMAの鑑別、診断  ② 典型HUSの鑑別  ③ TTPの鑑別  ④ 二次性TMA疾患の鑑別 図6 典型HUS、TTP、aHUSの診断と治療のフローチャート 図7 日本腎臓学会と日本小児科学会により2013年に公表されたaHUSの診断基準 Definite:三主徴(下表)がそろい、志賀毒素に関連するものでないこと。TTPでないこと。二次性血栓性微小血管症でないこと。 微小血管症性溶血性貧血 Hb10g/dL未満 血中Hb値のみで判断するのではなく、血清LDHの上昇、血清ハプトグロビンの著減、末梢血スメアでの破砕 赤血球の存在をもとに微小血管症性溶血の有無を確認する 血小板減少 PLT 15万/μL未満 急性腎障害(AKI) 小児例: 年齢・性別による血清クレアチニン基準値(表4)の1.5倍(血清クレアチニンは、小児腎臓病学会 の基準値を用いる) 成人例:AKIの診断基準を用いる Probable: 急性腎障害(AKI)、微小血管症性溶血性貧血、血小板減少の3項目のうち2項目を呈し、かつ志賀毒素に関連するも のでも、TTPでも、二次性血栓性微小血管症でもないこと。 南学正臣, 藤村吉博, 香美祥二, 他. 第58回日本腎臓学会.(名古屋, 2015年6月5日〜7日)

(10)

②重症度分類

aHUS の重症度分類(表2)では、下記項目1あるい は2を満たし、3〜11のいずれかを満たす場合を「重 症」、1と2を満たす場合を「中等症」、それ以外を「軽症」 とする。 表2 aHUSの重症度分類 表3 AKI病期(KDIGO 2013) 項目 症状 目安 1 溶血性貧血 Hb 10.0 g/dL未満 2 血小板減少 Plt 15万/μL未満 3 急性腎障害 成人は AKI 病期2以上(表3)、小児は年齢・性別ごとの血清クレアチニン中央値の2倍値以上(表4) 4 精神神経症状 -5 心臓障害 虚血性心疾患、心不全等 6 呼吸障害 -7 虚血性腸炎 -8 高血圧緊急症 多くは収縮期血圧180mmHg以上、拡張期血圧は120mmHg以上を 示し、そのほかに高血圧に起因する標的臓器症状を有する 9 血漿治療抵抗性 -10 再発例 -11 抗補体抗体治療依存性血漿治療または -軽 症:下記以外 中等症:1と2を満たす 重 症:1あるいは2を満たし、3~11のいずれかを満たす ※ なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であっても、高額な医療を継続することが必要な者については、医療費助成 の対象とする。 項目 血清クレアチニン 尿量 病期1 基準値の1.5 ~1.9倍 6から12時間で<0.5mL/kg/時 病期2 基礎値の2.0 ~ 2.9倍 12時間以上で<0.5mL/kg/時 病期3 基礎値の3倍 または血清クレアチニン≧4.0mg/dLの増加 または腎代替療法の開始 または、18歳未満の患者ではeGFR<35mL/min/1.73m2の低下 24時間以上で<0.3mL/kg/時 または12時間以上の無尿 ※なお、基礎値の実測値がない場合は予測される基礎値で判定

KDIGO Clinical Practice Guideline for Acute Kidney Injury Kidney International Supplements(2012)2,1-138 難病情報センター http://www.nanbyou.or.jp/entry/3847

(11)

表4 小児血清クレアチニンの基準値 血清クレアチニン正常値 酵素法による年齢別基準値 12歳未満(男女合計)小児血清クレアチニン基準値 年齢 n 2.5% 50.0% 97.5% 3~5ヵ月 18 0.14 0.20 0.26 6~8ヵ月 19 0.14 0.22 0.31 9~11ヵ月 31 0.14 0.22 0.34 1歳 70 0.16 0.23 0.32 2歳 73 0.17 0.24 0.37 3歳 88 0.21 0.27 0.37 4歳 81 0.20 0.30 0.40 5歳 96 0.25 0.34 0.45 6歳 102 0.25 0.34 0.48 7歳 85 0.28 0.37 0.49 8歳 56 0.29 0.40 0.53 9歳 36 0.34 0.41 0.51 10歳 44 0.30 0.41 0.57 11歳 58 0.35 0.45 0.58 日本小児腎臓病学会ホームページ http://www.jspn.jp/file/pdf/ckd_2.pdf 血清クレアチニン正常値 酵素法による年齢別基準値 12歳以上17歳未満(男女別)小児血清クレアチニン基準値 性別 年齢 n 2.5% 50.0% 97.5% n 2.5% 50.0% 97.5% 12歳 15 0.40 0.53 0.61 54 0.40 0.52 0.66 13歳 30 0.42 0.59 0.80 38 0.41 0.53 0.69 14歳 17 0.54 0.65 0.96 40 0.46 0.58 0.71 15歳 15 0.48 0.68 0.93 22 0.47 0.56 0.72 16歳 30 0.62 0.73 0.96 27 0.51 0.59 0.74 日本小児腎臓病学会ホームページ http://www.jspn.jp/file/pdf/ckd_3.pdf

(12)

図8 診断と治療の流れ 図9 治療指針

aHUSの治療と治療指針

●‌‌aHUSの治療は1980年代から長らく血漿療法が中心であった。血漿療法の効果としては、異常補体 関連蛋白や、抗CFH抗体を除去し、正常補体関連蛋白を補充することにある。  ‌‌遺伝子解析や、患者血漿を用いた蛋白質学的解析には時間がかかるため、臨床的にaHUSと診断され たら確定診断を待たずに血漿療法の施行、またはエクリズマブによる治療を考慮する(図8)。

血漿交換

血漿交換を行う場合には速やかに開始し、連日で施行し、徐々に減量していく治療が推奨されている。しかし、 身体の小さい患者や状況に応じて、血漿輸注が施行されることもある。通常は、血小板数、LDH、ヘモグロビ ンの推移を見て、改善、または正常化したらtaperしていく。 aHUS全体では、血漿輸注や血漿交換により、約70%が血液学的寛解に至り、それまでの死亡率50%から 25%へと減少させたが、長期的には再発、腎不全の進行が認められる(図10)。長期血漿交換により、アレル ギー反応や、ブラッドアクセス不全・感染などの合併症がある。また、腎機能を改善させるほどには効果が 期待できないことが多い。 臨床診断(鑑別診断) 遺伝子検査などの結果を考慮し治療継続を検討* 臨床的にaHUSと診断されたら、確定診断を待たずに血漿療法の施行 またはエクリズマブによる治療を考慮する。 ※小児の場合など * エクリズマブ投与開始後は血小板数などを定期的にモニタリングし、改善傾向が認められない場合、投与継続の要否を検討する。 緊急な治療を要する場合などを除いて、原則、エクリズマブ投与開始の少なくとも2週間前までに髄膜炎菌に対するワクチンを接種する。 小児へ使用する場合は、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型に対するワクチン接種状況を確認し、未接種の場合にはそれぞれのワクチンの接種を検討 する。 エクリズマブ エクリズマブ 血漿交換/血漿輸注 補体制御に関する遺伝子検査と 溶血試験などの蛋白解析の依頼を行う 難病情報センター http://www.nanbyou.or.jp/entry/3847 参考文献:

(13)

1.00 0.75 0.50 累積無イベント率 追跡期間(月) 0.25 0.00 0 3 6 12.5 25 50 75 100 125 147 150 40 27 20 12 7 5 3 3 3 3 14 CFH 変異 MCP 変異 No. at risk 13 13 13 13 11 7 4 2 2 患者の 94% には、 TMA(血栓性微小血管症)初発時に PE/PI(血漿交換 / 血漿輸注)が施行されていた CFH 変異 MCP 変異 最も多くみられる遺伝子変異型である CFH(補体 H 因子)変異を有する患者 の 70% は、1 年以内に死亡、透析施行、 または慢性腎不全に至る 図10 aHUSの従来の治療と予後

エクリズマブによる治療

aHUSの内皮細胞障害の発症には、補体の終末経路 の活性化が重要である。ヒト型リコンビナント・モノ クローナル抗体のエクリズマブは、終末経路のC5に結 合することにより、C5からC5aとC5bへの分解を抑え、 C5aとMAC(C5b-9)の産生を抑制する(図11)。 エクリズマブは、元々は発作性夜間ヘモグロビン尿 症の治療薬として開発され、2007年に欧米で、2010 年に本邦で承認されていた。そして、難治性aHUSに 対してエクリズマブを使用し、劇的に改善した2例が 報告された(2009 年、The New England Journal of Medicine)のを機に、2011年に米国で、2013年 9月には本邦でも、エクリズマブの適応症にaHUSが 追加された。なお、エクリズマブによる治療が対象と なる疾患は補体制御異常によるaHUSであり、二次性 TMAに対する使用は現時点では推奨されないので注 意が必要である。日本腎臓学会と日本小児科学会から も、二次性TMAに対するエクリズマブの不適切使用 について注意喚起がなされている。また、エクリズマ ブをいつまで投与するかに関しては、十分なコンセン サスがない。 今後はさらに遺伝子変異の違いによる治療反応性、 長期予後についての報告が待たれるところである。 Caprioli J, Noris M, Brioschi S, et al; for the International Registry of Recurrent and Familial HUS/TTP. Blood. 2006; 108: 1267-1279.

(14)

図11 エクリズマブによる補体の終末経路の活性化阻害 レクチン経路 古典的経路 補体活性化第二経路 免疫複合体除去 微生物オプソニン化 • 補体制御異常によるaHUSにおける制御不能 な補体の活性化の原因:  — C3、CFB、CFH、CFI、MCPおよびTHBD などの遺伝子の変異  — CFHおよびCFHR1などの遺伝子の多型  — CFHに対する自己抗体

C5a

(膜侵襲複合体)

C5b-9

強力なアナフィラトキシン 遊走性 炎症促進 白血球活性化 内皮活性化 血栓形成促進 細胞融解 炎症促進 血小板活性化 白血球活性化 内皮活性化 血栓形成促進 結果 結果 アナフィラキシー 炎症 血栓症 溶血 炎症 血栓症 組織障害 エクリズマブ モノクローナル抗体

増幅

C5

C3

1. Soliris® SmPC: Soliris® (eculizumab) summary of product characteristics. Alexion Pharmaceuticals, Inc.; 2014. 2. Laurence J. Clin Adv Hematol

Oncol. 2012;10(suppl 17): 1-12. 3. Legendre CM, et al. N Engl J Med. 2013;368:2169-2181. 4. Sellier-Leclerc A-L, et al; French Society of Pediatric Nephrology. J Am Soc Nephrol. 2007;18:2392-2400. 5. Noris M, et al. Nat Rev Nephrol. 2012;8:622-633. 6. Kelly R, et al. Ther Clin Risk Manag. 2009;5:911-921. 7. Rother RP, et al. Nat Biotechnol. 2007;25:1256-1264. [Published correction appears in Nat Biotechnol. 2007;25:1488].

(15)

鑑別診断

エクリズマブ投与時の留意点

エクリズマブ投与に際しては、髄膜炎菌感染症のリ スクの増大、肺炎球菌、インフルエンザ菌感染症の潜在 的リスクの上昇が指摘されており、ワクチン接種が推 奨されている。本邦においても、2014年に、髄膜炎菌 のワクチンであるメナクトラ®(血清型A、C、Yおよび W-135を混合した4価ワクチン)の製造が承認された。 本邦では、髄膜炎菌感染症の発症自体は非常に稀であ るが、血清型BおよびYの発症が多く、血清型Bはワク チンでカバーされていないことに注意が必要である。 肺炎球菌、インフルエンザ菌は2013年に定期接種化 されたが、特に小児へエクリズマブを投与する際は、肺 炎球菌、インフルエンザ菌b型に対するワクチンの接 種状況を確認することが重要である。未接種の場合に は、それぞれのワクチンの接種が推奨されている。 鑑別診断の際は、他疾患を除外し、補体制御異常以外 の aHUS を除外するための検査を実施する(図 12、 13)。 図12 鑑別診断時の留意点 1.溶血性貧血の確認と他疾患の除外 ・ 溶血性貧血であることの確認:血液像で破砕赤血球の有無の確認、ハプトグロビン、クームス試験など 2.急性腎障害を来す他の疾患の鑑別 3.典型HUS、TTPの鑑別 ・ 典型HUSの診断:便培養検査・志賀毒素直接検出法・抗LPS-IgM 抗体など ・ TTPの診断:ADAMTS13活性測定(TTPの診断基準では10%未満)、ADAMTS13インヒビター抗体測定 4.補体制御異常以外のaHUSの除外に必要な検査(下表) 除外項目 必要な検査 コバラミン代謝異常症(特に生後6か月未満で考慮) 血漿ホモシスチン、血漿メチルマロン酸、尿中メチルマロン酸 自己免疫疾患・膠原病 抗核抗体、抗リン脂質抗体、抗DNA抗体、 抗セントロメア抗体、抗Scl-70 抗体、 C3、C4、CH50、IgG、IgA、IgM、など 悪性高血圧症の除外 DIC(播種性血管内凝固症候群)の除外 PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、FDP、Dダイマーなど 悪性腫瘍の除外 感染症によるTMAの除外 肺炎球菌、HIV、インフルエンザウイルス、百日咳、水痘など 妊娠関連TMA、HELLP症候群の除外 薬剤性TMAの除外:抗悪性腫瘍薬、抗血小板剤、免疫抑制剤 臓器移植・骨髄移植後TMAの除外 ※疑わしい患者がいる場合には、後日必要な検査に出せるように、治療前の血漿、血清、便を凍結保存しておくことが大切である。 図13 aHUSが疑われる場合の対応 ●‌‌aHUSが疑われる場合、まずaHUSと類似する疾患[血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)や志賀毒素産生性大腸菌感染による典型溶血性尿毒症症候群 (HUS)]との鑑別を行うことが重要。 ●‌‌TTPの除外診断に際しては、ADAMTS13(a‌disintegrin-like‌and‌metalloproteinase‌with‌thrombospondin‌type‌1‌motifs‌13)という血漿中の 酵素活性を測定し、10%未満の場合にはTTPが疑われる。 ●HUSの除外診断に際しては、便培養検査・志賀毒素直接検出などで便の検査を行う。さらに二次性TMAを来す疾患がないかを除外する必要がある。 ●‌‌aHUS診断のためのさらなる検査としては、補体等に関する様々な特殊な検査、遺伝子検査が必要となる。これらの検査は、各医療機関を通じて「非 典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の全国調査研究班」の事務局([email protected])で、疑わしい患者さんの検査を行っている。

(16)

近年の動向

関連情報一覧

疾患の基本的な情報から、診断・治療、試験などの最新情報まで、aHUSに関

する情報収集にお役立てください。

難病情報センター 非典型溶血性尿毒症症候群

http://www.nanbyou.or.jp/entry/3847

非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)疾患情報サイト

http://www.ahussource.jp

2015年9月現在 aHUSは、近年、研究が急速に進歩している疾患の 一つで、2013年にDGKE、2014年にプラスミノーゲ ンと、新規原因遺伝子が次々と見つかっている。 また、現在、厚生労働省の難治性疾患克服研究事業 において、「非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の全 国調査研究班」によるaHUSの疫学調査が行われてい る。一般社団法人 日本腎臓学会では、同学会のウェブ サイト上で、aHUSの臨床登録を呼びかけている。

(17)
(18)

**2015年 5月改訂  *2014年11月改訂 投与開始前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。 連する使用上の注意>及び <効能・効果に関 緊急な治療を要する場合等を除いて、原則、本剤 本剤投与に際しては、緊急な治療を要する場合等を除いて、原則、 本剤投与開始の少なくとも2週間前までに髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。 点滴静注製剤

(19)

**2015年 5月改訂  *2014年11月改訂 投与開始前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。 連する使用上の注意>及び <効能・効果に関 緊急な治療を要する場合等を除いて、原則、本剤 本剤投与に際しては、緊急な治療を要する場合等を除いて、原則、 本剤投与開始の少なくとも2週間前までに髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。 点滴静注製剤

(20)

参照

関連したドキュメント

梅毒,慢性酒精中毒,痛風等を想はしむるもの なく,此等疾患により結石形成されしとは思考

 尿路結石症のうち小児期に発生するものは比較的少

 12.自覚症状は受診者の訴えとして非常に大切であ

目的 今日,青年期における疲労の訴えが問題視されている。特に慢性疲労は,慢性疲労症候群

 CKD 患者のエネルギー必要量は 常人と同程度でよく,年齢,性別,身体活動度により概ね 25~35kcal kg 体重

Robertson-Seymour の結果により,左図のように disjoint

 活性型ビタミン D₃ 製剤は血中カルシウム値を上昇 させる.軽度の高カルシウム血症は腎血管を収縮さ

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値