第 1 章 緒言
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(2) image scanning technique;以下 3DPS 法)という.3DPS 法を用いることで,鉛直方向 2.5mm 間隔で詳細な座標データを取得可能であることから,そのデータから理論上身体形 状の 1 次元,2 次元,3 次元の指標を算出することができる.この 3DPS 法は,体肢長, 周径囲などの身体形状の 1 次元指標を得るための方法として,人間工学や服飾学の研究領 域において近年盛んに導入されつつある方法論である.そのため,3DPS 法による身体形 状の 1 次元指標の測定については,先行研究において高い信頼性および妥当性が既に確認 されている(Robinette & Daanen, 2006; Wang et al., 2006; 佐藤ら, 2006; Bretschneider et al., 2009; Pepper et al., 2010) .しかしながら,3DPS 法が体表面積,体積といった身 体形状の 2 次元指標および 3 次元指標の測定方法になり得るかどうかは不明である.身体 形状の 2 次元指標および 3 次元指標を測定するための方法として 3DPS 法を確立できれば, この方法を身体形状の評価のためにより多面的に利用することが可能となり,人間の身体 形状に関するスポーツ・健康科学をはじめとする幅広い領域の研究の発展につながること が期待される.そこで本論文では,まず 3DPS 法が,身体形状にの 2 次元指標(体表面積) および 3 次元指標(体積)の測定方法になり得るかどうか検証した.またその応用として, 体表面積の簡便な推定や,身体組成の評価の可能性について検討した.. Ⅱ.本研究で用いる用語の定義 A.身体形状 本論文では,身体形状(body dimensions)を,体格を定量する指標を総称したものと 定義する.. B.次元 生物個体のサイズに関するある 2 つの指標 x,y の相対的な大きさを比較する場合,そ の関係を「y = b・xa」というアロメトリー(allometry)式で表す,あるいは, 「y は xa に 比例する」といった表現をする(Huxley, 1932) .x を個体におけるある一部分の長さ(L). 2.
(3) とした場合,比較する 2 つの個体が相似形であれば,面積は長さの 2 乗(L2),体積およ び質量は長さの 3 乗(L3)に比例する.このアロメトリーの考え方を身体形状に適用した うえで,ディメンション論に従うと,身長,体肢長,周径囲は 1 次元(L) ,体表面積は 2 ○. 次元(L2) ,身体質量および体積は 3 次元(L3)の指標であるといえる(Astrand & Rodahl, 1977) .以上を踏まえ,本論文では,身体形状の 2 次元指標を体表面積,3 次元指標を体 積および身体質量とした.. C.身体密度,身体組成の 2 成分モデル 身体密度とは単位体積当たりの身体質量であり,身体質量を体積で除すことで算出され る.身体組成は,脂肪,筋,骨などの身体を構成する組織の質量および比率を意味する. 身体組成の 2 成分モデル(2-component model)とは,身体組成を定量するために,身体 を脂肪と除脂肪(身体を構成する脂肪以外の組織)の 2 つの構成成分に分けることを意味 する.除脂肪に比べ脂肪の密度は低い(脂肪密度:0.9007kg/L,除脂肪密度:1.1000kg/L; Siri, 1956)ため,身体密度の低い人ほど全身に占める脂肪の割合は高くなる.すなわち, 身体密度は,身体組成を推定するために必要な指標であり,身体形状と身体組成を繋ぐ重 要なパラメータであるといえる.本論文では,身体形状の 3 次元指標(体積および身体質 量)を組み合わせことで算出される身体密度を用いることにより,身体組成の評価の可能 性について検討する.. D.信頼性,妥当性 信頼性(reliability)とは同じものを繰り返し測定した際にどれだけ一致するかを意味 し,別名,再現性(repeatability, reproducibility)とも呼ばれる.妥当性(validity)と は測定値が真値にどれだけ近いかを表し,正確度(precision)あるいは精度(accuracy) と同義である.本文で用いる「推定値と測定値の一致性が高い」とは,推定値の正確度あ るいは精度が高いことを意味する.. 3.
(4) Ⅲ.光学 3 次元形状計測法の原理 Robinette et al.(1999)は,光学的手法を用いた人体形状計測技術を初めて確立した. 時期を同じくして,日本でも浜松ホトニクス株式会社により,光学三角測量法に基づき 4 分間で全身形状を捉える 3 次元人体形状計測装置が開発された(Horiguchi, 1998).さら に,同社において測定時間を短縮するための改良が進み,本研究で用いる最新の光学 3 次 元人体形状計測装置(Body Line Scanner,浜松ホトニクス株式会社,静岡)が製造され た. 3DPS 法による 3 次元形状情報の取得には,光学式三角測量法の原理が利用されている. 光学式三角測量法とは,光の反射を利用し,レーザー光源,対象物上の輝点,CCD カメラ の 3 つの位置関係から,レーザー光の光源から対象物までの絶対距離を測量する方法であ る(Fig 1-1) .装置内の 4 隅には,距離検出用のスキャナヘッドが埋め込まれた支柱が配 置されている(Fig 1-2) .スキャナヘッドには,CCD カメラ,LD 光源が,上から順に取 り付けられている(Fig 1-3).レーザー光が被検者に対して水平方向に照射され,被検者 の身体表面から反射された光を上側に設置された CCD カメラでとらえる.4 隅に配置さ れたスキャナヘッドが,頭頂部から足部まで移動することにより,支柱から被検者の身体 表面までの距離が全身について検出される.この距離検出動作は,スキャナヘッドが鉛直 方向に 2.5mm 移動するごとに実行され, 全身の計測に要する時間は 10 秒である.そして, 1 周当たり最大 2560 点を 800 枚の横断面につき,合計 2048000 点まで計測可能である. 3 次元座標の生データの欠損値は,人体の表面形状を反映した曲線適合アルゴリズムに基 づいて,規則正しく配置された点からポリゴン(隣接する 3 点からなる三角形)を構築す ることで補間される(Fig 1-4).体表面積はポリゴンの面積の総和,体積は同一平面にお ける断面積と鉛直方向の計測ピッチ 2.5mm の積の総和により求められる.. 4.
(5) L. F ( C受 C光 Dレ カン メズ ラ). ( C検 C出 Dデ カバ メイ ラス ). X. θ. レ ー ザ ー 光 源. θ. 対 象 物. D. 輝 点. 角度θを含む 2 つの直角三角形の相似関係(L:F=D:X)より,CCD カメラから対象物 までの距離 L は以下の式で表される. L =. F・D X. L:CCD カメラから対象物までの距離,F:受光レンズの焦点距離 X:結像位置,D:CCD カメラとレーザー光源の間隔 白附(2007)を改変 Fig 1-1 光学式三角測量法. 5.
(6) Fig 1-2 スキャナヘッドの配置(上から見た図) 佐藤ら(2006). Fig 1-3 スキャナヘッドの構造(横から見た図) 佐藤ら(2006). 6.
(7) Fig 1-4 3DPS 法により取得した身体表面の 3 次元座標の再構築データ(ポリゴン化データ). 7.
(8) Ⅳ.研究小史 A.体肢長,周径囲の測定方法に関する研究 スポーツ科学の分野においては,スポーツ選手の身体形状の特徴や,身体トレーニング の効果を定量することを目的として,体肢長,周径囲の測定が行われる(Katch & Drumm, 1986; Bourgois et al., 2000; Sánchez-Muñoz et al., 2007; Knechtle et al., 2007) .医学分 野では,ウエスト囲,ウエスト−ヒップ比,ウエスト−身長比などの指標により,各種疾病 リスクを簡易に評価可能か検討した研究結果が報告されている(Folsom et al., 2000; Snijder et al., 2003; Valsamakis et al, 2004; Hsieh & Muto, 2006) .人間工学,服飾学の 研究領域においては,日常生活で利用する工業製品や衣服のように直接身につける製品の 設計に,周径囲,体肢長など身体寸法に関する情報が利用されている(Kroemer, 1989; 持 丸,2005; 高部, 2008) .人間が快適に製品を使用するためにはそれが身体の特性に適合し ていなければならず,最も基本的な人体の特性が身体寸法に代表されるためである.最近 では,身体寸法データの産業応用の一つとして,国内複数の組織団体(産業技術総合研究 所,製品評価技術基盤機構,人間生活工学研究センター)により,日本人の身体寸法に関 する情報をデータベース化して公開,活用する試みもなされている.このように,体肢長, 周径囲に関するデータは,幅広い専門領域において様々な用途で有効利用されている. 体肢長,周径囲の測定は,マルチン式計測器やメジャーを用いた手計測が基本となり, 主要な測定項目とその定義,測定方法について国際規格(ISO 7250)や国内の工業標準(JIS Z 8500)が定められている.これらの測定において高い信頼性を確保するためには,検者 の測定技術の習熟が必須である.例えば,解剖学的特徴点となる骨の位置を触診により同 定しなくてはならず,また周径囲の測定に際しては皮膚に対して余計な圧をかけることな く体表面にテープメジャーを沿わさなくてはならない.そこで,手計測に代わる身体形状 の 1 次元指標を測定するための方法として,近年 3DPS 法が開発された. 3DPS 法による体肢長,周径囲の測定については,先行研究において,高い信頼性およ び妥当性が既に確認されている.信頼性の検証結果について,3 次元人体形状スキャナを用. 8.
(9) いて体肢長および周径囲などの身体形状の 1 次元指標のデータベースを構築している CAESAR という団体は,全身複数箇所の体肢長および周径囲を反復測定した際の平均絶対 誤差を報告している(Robinette & Daanen, 2006) .その結果によると,3 次元人体形状ス キャナによる反復測定の誤差は 5mm 未満であり,それはテープメジャーにより得られた測 定値をもとに構築された既存のデータベースにおいて報告されている誤差に比べ,小さか った.Wang et al.(2006)は,幅広い年齢および身体形状を有する 92 名の被検者を対象 に,1 日 3 回 3 日間,3DPS 法による体肢長および周径囲の繰り返し測定を行い,級内相関 は 0.99 以上,体肢長の変動係数は 1.2%未満,周径囲の変動係数は 0.9%未満という結果を 示している.また,妥当性の検証結果について,佐藤ら(2006)は,3DPS 法により周径 囲 1000mm の円筒を測定し,得られた測定値が 998.4mm であったことを報告している. Bretschneider et al.(2009)は,3DPS 法により円錐台・円筒の測定を行い,異なる高さ において周径囲の測定値を真値およびテープメジャーによる測定値とそれぞれ比較し,い ずれの場合でもその誤差は 1mm(0.29%)以内に収まることを確認した.70 名の女性を対 象に 3DPS 法とテープメジャーにより得られたウエスト囲およびヒップ囲の測定値を比較 した研究では,両方法による測定値間に,有意差ならびに系統誤差が認められないことを 報告している(Pepper et al., 2010) .さらに,3DPS 法による体肢長および周径囲の測定 を,1 万名程度の被検者を対象とした大規模な疫学調査において活用したり(Wells et al., 2007) ,メタボリックシンドローム評価に応用する試みもなされている(Lin et al., 2004; Heuberger et al., 2008) .. B.体表面積の測定・推定方法に関する研究 身体の大小にかかわらず体表面積当たりの産熱量が一定であること(Cunningham, 1982; Halliday et al., 1979)から,体表面積は基礎代謝量を算出する際に広く用いられる. また,体表面積に四肢・体幹における皮下脂肪厚の平均値を乗じて全身の皮下脂肪量を求 め,それを総脂肪量から差し引くことで内臓脂肪量を推定することも可能である(Davies et. 9.
(10) al., 1986; Hattori et al., 1991) .さらに,体表面積は平均皮膚温(Mitchell et al., 1969; 蔵 澄ら,1998)や投薬量の算出(Pinkel, 1958; Lack & Stuart-Taylor, 1997)の代表的な指 標でもある.このように,体表面積は幅広い研究領域で利用される重要な指標であり (Krovetz, 1965) ,特に健康医療情報としての利用価値が高い. 体表面積を測定する方法として,コーティング法,表面積分法 2 つの手法がある.コー ティング法は,皮膚の表面に和紙や非弾性テープなどを貼り付け,ある一定の重さ当たり の紙の面積と,体表面に貼り付けた紙の質量から体表面積を算出する方法である(DuBois & DuBois,1915) .コーティング法による体表面積測定の精度について,Lee & Choi(2006) は,円柱,円錐台,半球体の 3 種類の幾何学的立体の表面積と,コーティング法により測 定した表面積を比較している.その結果,コーティング法により測定した表面積と立体の 表面積の差は 0.1~1.8%であり,非常に小さかった.表面積分法は,直線を測定するための 計器を用いて身体に沿って複数の直線を描き,それら直線で囲まれた身体表面の微小面積 を計測し,その総和として体表面積を求める方法である(Banerjee et al., 1958) .しかし ながら,これまで用いられてきた体表面積の測定方法には,多大な測定時間を要する点, 被検者への負担が大きい点,検者の熟練が必要とされる点など,方法論上の問題点がある. 体表面積の直接的な測定を行う上記の方法の問題点から,体表面積は,身長および身体 質量を変数とした推定式を用いて算出されることが多い.これまで,身長および身体質量 から体表面積を求める推定式は数多く報告されている(DuBois & DuBois, 1916; 高比良, 1925; 藤本ら, 1968; Gehan & George, 1970; Haycock et al., 1978; 蔵澄ら, 1994; Tikuisis et al., 2001;Table 1-1) .それらの推定式は,コーティング法(DuBois & DuBois,1916, 高比良,1925, Gehan & George,1970; 蔵澄ら, 1994),表面積分法(藤本ら, 1968; ; Gehan & George, 1970) ,幾何学法(Haycock et al., 1978)により測定した体表面積を正しい値と みなして作成されている.また,3DPS 法により測定した体表面積を正しい値とみなして作 成した式(Tikuisis et al., 2001)も存在する.そのなかで,国際的には以下に示す DuBois & DuBois(1916)の式が最も広く用いられている.. 10.
(11) 体表面積=71.84×身長 0.725×身体質量 0.425 また,日本人の体表面積を算出する際には,高比良(1925)の式が主流となっている. 体表面積=74.49×身長 0.718×身体質量 0.427 しかしながら,これらの推定式は作成された年代が古いため,同じ身長および身体質量で あっても身体組成が異なり体表面積に差が生じる可能性が考えられ,現代人の身体組成お よび身体形状を十分に反映したものであるかは疑問である.また,引用頻度の高い DuBois & DuBois(1916)および高比良(1925)の各式は,10 名程度の被検者を対象に作成され ており,幅広い身体形状および年齢を有した被検者に適用できるかは不明である. 3DPS 法により測定した体表面積の妥当性について,Tikuisis et al.(2001)は,既知の 表面積を持つ 2 種類の円筒を用いて確認し,測定誤差として 0.40%および 0.34%という値 を報告している.しかしながら,この研究では,3DPS 法を用いて身長および身体質量を変 数とした体表面積の推定式を提案することを主目的としており,3DPS 法による体表面積測 定の妥当性の検証結果については方法の項で副次的に記述されている内容にすぎない.ま た,3DPS 法により取得した体表面積の測定値の信頼性については,従来の研究において検 討されていない.. 11.
(12) Table 1-1 これまでに作成された体表面積の推定式. 報告者,年. 推定式. 被検者. DuBois & DuBois, 1916 71.84×身長 0.725×身体質量0.425. 基準法. 0~36 歳,子ども男子・成人男女,9名. コーティング法. コーティング法. 高比良,1925. 74.49×身長 0.718×身体質量0.427. 18~58 歳,成人男性,10名. 藤本ら,1968. 88.83×身長 0.663×身体質量0.444. 6~70 歳,子ども男女・成人男女,134名 表面積分法. Gehan & George,1970 235×身長 0.42246×身体質量0.51456. 子ども男女, 成人男女,401名. コーティング法 表面積分法. Haycock et al., 1978. 242.7×身長 0.3964×身体質量0.5378. 子ども男女, 成人男女,81名. 幾何学法. 蔵澄ら,1994. 53.189×身長 0.833×身体質量0.362. 18~26 歳,成人男女,45名. コーティング法. Tikuisis et al., 2001. 男性:128.1×身長0.60×身体質量0.44 18~64 歳,成人男女,641名 女性:147.4×身長0.55×身体質量0.47. 身長(cm) ,身体質量(kg). 12. 3DPS法.
(13) C.体積の測定方法に関する研究 体積は,身体組成を推定する際に最も高い頻度で用いられる.身体組成の 2 成分モデル に基づき,身体質量と体積から算出した身体密度を用いて,体脂肪率が推定される(Siri, 1956; Brozek et al., 1963) .また,身体の質量中心や慣性モーメントの計算をする際に, 身体各部位の質量比に関する情報が必要となる(松井, 1956; 阿江ら, 1992).そのため,身 体セグメント別の体積のデータは,密度と併用して質量に換算することで,身体重心の算 出にも活用可能である.このように体積は,体力科学やバイオメカニクスをはじめとする 研究領域において,広く応用され得る指標であるといえる. 体積を測定する方法として,アルキメデスの原理を応用した水中体重秤量法がある.ア ルキメデスの原理によると,水中に身体を沈めて測定される水中体重は,身体体積分の水 重量に相当する大きさの浮力を受ける.すなわち,体積は,空気中および水中の体重の差 である浮力を水の密度で割ることにより求められる.また,身体質量を体積で割ることに より身体密度が計算され,Siri(1956)や Brozek et al.(1963)の推定式に身体密度を代 入することで,体脂肪率を求めることが可能である.Behnke et al.(1942)は,水中体重 秤量法を用いることで,体積を正確に測定可能であることを初めて示した.水中体重秤量 法で測定した身体密度の誤差について,Siri(1956)は 0.0025kg/L,Buskirk(1961)は 0.0020kg/L であると報告している.また,Akers & Buskirk(1969)は,水中体重秤量法 で求めた身体密度の誤差要因を詳細に検討し,身体密度の変動の主な原因として残気量の 誤差を挙げた.その報告によると,残気量の誤差が 100mL 以内で測定される場合,身体密 度の誤差は 0.0017kg/L(体脂肪率の 0.8%に相当)である.さらに,Lohman(1992)は 10 人の被検者を対象に,水中体重秤量法による反復測定を行い,体脂肪率の日内変動およ び日間変動について検討している.その結果,日内および日間での体脂肪率の変動係数は, いずれも 1%以下であった.これらの研究結果から,水中体重秤量法は,体積の測定方法と して信頼性および妥当性の高い方法であるといえる. 体積を測定するもう一つの方法として,空気置換法がある.空気置換法は,ボイルの法. 13.
(14) 則を利用して,密閉されたチェンバー内の空気の圧力変化から,体積を推定する方法であ る.すなわち,チェンバー内の温度が一定であると仮定し,チェンバー内に既知の体積を 持つ校正器を入れた時の空気の圧力と,チェンバー内に被検者が入っている時の空気の圧 力を測定し,校正器の体積に圧力の変化率を掛けることで被検者の体積を求めている. McCrory et al.(1995) ,Dempster & Aitkens(1995)により,空気置換法が体積を高精 度で測定可能であることが初めて示された.空気置換法で測定した体脂肪率の妥当性につ いて,Nuñez et al.(1999)は,20~86 歳の男女 72 名を対象として,水中体重秤量法との 比較から検討した.その結果,2 つの方法から算出した体脂肪率の差は 0.3%であった.ま た,Dewit et al.(2000)は,8~13 歳の子ども 22 名を対象に同様の検討を行い,2 つの方 法から算出した体脂肪率の差は 0.8%であったと報告している.さらに,Ginde et al.(2005) の結果によると,過体重および肥満の被検者を対象とした際の,空気置換法と水中体重秤 量法で測定した身体密度の間に生じた差は,それぞれ 0.004kg/L および 0.001kg/L であっ た.空気置換法により求めた体脂肪率の信頼性に関して検討した研究では,日内変動係数 が 1.8~3.6%,日間変動係数が 1.2%~3.5%であった(Miyatake et al., 1999) .以上の研究 知見は,体積を比較的短時間でかつ正確に測定可能な方法として,空気置換法が水中体重 秤量法に代わり得るものであることを示唆している. しかしながら,水中体重秤量法および空気置換法のいずれも,いくつかの問題が存在す る.水中体重秤量法では,被検者は最大呼気後に完全潜水状態を維持しなくてはならない. また,空気置換法では,測定中の 40~50 秒間,静止状態を維持する必要がある.そのため, これらの体積の測定方法は,測定に際して被検者への負担が大きく,子どもや高齢者に適 用することは困難である.さらに,測定の手続きが複雑であるため,両方法ともに検者の 熟練が必要とされる. 3DPS 法による全身および身体セグメント別(頭部,体幹部,腕部,脚部)の体積測定 の信頼性に関して,Wang et al.(2006)は,92 名の被検者を対象に 1 日 3 回日を変えて 3 日間の反復測定を行い,その結果,級内相関係数が 0.98 以上,測定値の変動係数が 4.3%. 14.
(15) 以下であることを報告している.また,3DPS 法による体積測定の妥当性に関しては,Wang et al.(2006)は,年齢および身体形状に幅のある男女 63 名の被検者を対象として,3DPS 法と水中体重秤量法を比較した.その結果,3DPS 法で測定した体積は,水中体重秤量法で 測定した値に比べ有意に高い値を示した(差の平均値:0.46L).なお,同報告では,身体 セグメント別の体積測定の妥当性に関して,1 体のマネキンを用いて,水中体重秤量法との 比較により検討している.その結果によると,およそ 24L のマネキンに対して,両測定値 間の差は 0.07L 未満であった.さらに,Wang et al.(2006)は,3DPS 法と水中体重秤量 法との比較から,性別,年齢および身体形状の違いは,2 つの方法で測定した体積の測定値 間の関係に影響を及ぼさないことも示している.一方,Wells et al.(2000)は,子ども 10 名と成人 22 名を対象に,水中体重秤量法および空気置換法を用いて,3DPS 法で測定した 体積との対応を試み,3DPS 法と水中体重秤量法および空気置換法のそれぞれの方法間に有 意な相関関係が認められたことを報告している.しかしながら,同報告の結果において, 両方法間の差の平均値は 0 に近いものの,Limit of agreement(差の標準偏差の 2 倍)が いずれの方法との比較においても 2L 以上に及んだ.それゆえ,Wells et al.(2000)は, 3DPS 法と水中体重秤量法および空気置換法のそれぞれの方法間に生じる体積の差は,体脂 肪率を算出する際に無視することができないと指摘している.このように,3DPS 法による 体積測定の妥当性について検討した研究は上記 2 つの先行研究に限られており,それらの 見解は一致していない.その理由として,3DPS 法との比較に際しリファレンスとして用い た水中体重秤量法および空気置換法により測定した値に,検者および被検者の熟練の欠如 による誤差が含まれている可能性が考えられる.また,ヒトを対象とした場合の 3DPS 法 による身体セグメント別の体積測定の妥当性については,未だ検討されていない.. D.身体組成の評価方法に関する研究 1. 密度計測法 密度計測法とは, 身体を脂肪と除脂肪の 2 つの構成成分に分ける 2 成分モデルに基づき,. 15.
(16) 脂肪と除脂肪の密度が被検者間でそれぞれ一定であるという仮定のもとに,身体質量と体 積から算出した身体密度を用いて身体組成を推定する方法である(Behnke et al., 1942) . すなわち,脂肪(AT)および除脂肪(LBT)の密度を DAT kg/L および DLBT kg/L,体積を. VAT L および VLBT L とし,身体質量 M kg,身体密度 Db kg/L の人の脂肪量(MAT kg)お よび除脂肪量(MFFM kg;身体を構成する脂肪以外の組織の質量)を求めるとする.脂肪量 と除脂肪量の合計が身体質量となることから以下の式が得られる.. M = DAT ×VAT+DLBT ×VLBT 除脂肪の体積は,身体全体の体積から脂肪の体積を差し引いたものであることから,以下 の式が成り立つ.. M = DAT ×VAT +DLBT × (M/Db-VAT) 上記式の中で,DAT,DLBT は既知であり,M,Db の値は測定により得られることから,VAT,. VLBT が求められ,それらにそれぞれの密度を掛けることで MAT,MLBT を求めることができ る.体積の測定方法として前述した水中体重秤量法および空気置換法は,密度計測法に基 づき,ヒトの身体組成を間接的に測定するための代表的な方法としても広く用いられる. いずれの方法においても,身体密度から体脂肪率を推定する際には,以下に示す Siri(1956) および Brozek et al.(1963)の式が最も一般的に使われる.. Siri(1956). : 体脂肪率 = (. Brozek et al.(1963): 体脂肪率 = (. 4.95 身体密度 4.57. 身体密度. -4.5 ) ×100. -4.142 ) ×100. 2. 生体電気インピーダンス法 生体電気インピーダンス法は,微弱な電流を人体に流すことで得られた電気抵抗を測定 することによって,身体組成を推定する方法である.体脂肪には水分が尐ないことから脂 肪組織での電気伝導性は低く,一方,除脂肪組織は水分含量が多いことから除脂肪組織の. 16.
(17) 電気伝導性は高い.この理論に基づき,体内水分量から身体組成を推定することができる. 生体電気インピーダンス法の基礎的原理は 1950 年 Nyboer らにより最初に紹介され, Thomasset(1962)が全身のインピーダンスから全身水分量が推定可能であることを初め て立証した.それらを足掛かりに,当該方法はヒトの身体組成の定量化に関する研究に用 いられ始めた(Baumgartner et al., 1989; Kushner, 1992) . 生体電気インピーダンス法の最大の特長は,簡便,迅速かつ非侵襲的に測定可能である という点,当該方法を利用して開発された測定装置が小型で持ち運び可能であるという点 である.そのため,従来の方法に比べ汎用性が高く,この方法は市販の家庭用体組成計に も採用されている.ただし,生体電気インピーダンス法には,人体は長さおよび断面積が 一定の円柱であるという仮定のもとに成り立っているという限界点がある.また,この方 法による身体組成の推定精度は,研究対象に対して選択した推定式の妥当性に大きく依存 するため,使用する推定式の作成対象となった被検者の年齢,人種,身体形状などを十分 に考慮しなければ,推定値に系統誤差が生じる可能性がある.なお,電気抵抗値,および 性別,年齢,身長,身体質量,あるいは周径囲,皮下脂肪厚などを独立変数とした身体組 成の推定式はこれまで数多く報告されているが,その推定誤差は除脂肪量で 2.0~3.5kg, 体脂肪率は 3.5~5.0%に及んでいる(Houtkooper et al., 1989; Deurenberg et al., 1991; Segal et al., 1988; Baumgartner et al., 1990) .さらに,生体電気インピーダンス法による 測定に際し,高い精度を保証するためには,測定前の運動,水分摂取,測定時の体液状態, 体温,環境温度など,電気抵抗の測定値に影響を及ぼし得る要因を十分にコントロールし なければならない(Baumgartner et al., 1990) .. 3.二重エネルギーX 線吸収測定法 二重エネルギーX 線吸収測定法(dual-energy x-ray absorptiometry;以下 DXA 法)は, 2 種類の異なる波長を持つ X 線を身体に照射することで,X 線の減衰係数(透過率の差)か ら,脂肪量,骨ミネラル量,その他の軟部組織の質量を推定する方法である.DXA 法の基. 17.
(18) 本原理となる単一光子吸収法,二重光子吸収法は 1960~80 年代にかけて開発され (Cameron & Sorenson, 1963; Mazess et al., 1972; Mazess et al., 1981; Gotfredsen et al., 1984) ,当初は骨ミネラルの推定に主に用いられていた.後にこれらの方法が脂肪量および 除脂肪量の推定値を得るための方法として拡充され(Gotfredsen et al., 1986; Heymsfield et al., 1989) ,その進歩が身体組成の推定方法としての DXA 法の確立につながった. Svendsen et al.(1993)は,DXA 法による体脂肪率の測定精度について,7 体の死体解 剖による体脂肪率の値(真値)と DXA 法による体脂肪率の測定値を比較することで検証し た.その結果,両者間の回帰直線は等量線と有意差が認められなかった(r = 0.98, SEE = 2.9%) .また,DXA 法と密度計測法により得られた測定値の一致性は高いという報告もな されている(Hansen et al., 1993; Snead et al., 1993) .Hansen et al.(1993)は,DXA 法と密度計測法の体脂肪率の誤差を身体密度に換算すると 0.0040kg/L であり,それは生体 電気インピーダンス法などの従来の方法と密度計測法の間に生じた誤差に比べて低いこと を示している.Jensen et al.(1993)は,DXA 法による身体組成推定の再現性について検 討し,その偏差と変動係数はそれぞれ 0.5%および 2.0%であると述べている.したがって, DXA 法により,高い精度で再現性よく身体組成を推定可能であるといえる.また,DXA 法 には,被検者の負担が尐なく,短時間で測定可能であるという長所がある.さらに,身体 構成組織の質量の推定にあたり,骨ミネラルの個人差を考慮できる.そのため DXA 法は, 従来の方法に代わる身体組成推定の基準法として近年考えられつつある.しかしながら, DXA 法による測定時,被検者は X 線による放射線被爆を受ける.その線量は 0.1 シーベル ト程度と,年間平均総自然被曝量(UNSCEAR, 2008)の約 20 分の 1 にすぎないものの, DXA 法は侵襲性を伴う方法である.. 4.画像診断法(コンピュータ断層撮影法,磁気共鳴映像法) コンピュータ断層撮影法は,X 線を身体の全方位から照射し,体内で減衰した X 線を正 確に測定し,その測定データを再構築することで CT 画像を構成する方法である.この方法. 18.
(19) により皮下脂肪,筋,骨の各組織の境界を明確に識別できるため,各組織の横断面積を正 確に定量化することができる(Kvist et al., 1988; Rössner et al., 1990; Ross et al., 1991) . 1970 年代から医療分野において診断目的に活用されていたが,1980 年以降全身および局所 の脂肪組織,骨格筋の横断面積を容易に測定する方法として,あらゆる身体組成評価に関 する研究で使用されるようになった(Borkan et al., 1983; Sjöström et al., 1986; Tokunaga et al., 1983) .近年では,当該方法による内臓脂肪組織の評価に関する研究が多く行われて いる(Seidell et al., 1987; Kvist et al., 1988; Björntorp, 1990; Després et al., 1990) . 磁気共鳴映像法は,核磁気共鳴を利用して身体構成組織を画像化する方法であり,その 方法を用いることで全身および局所の脂肪組織,骨格筋を定量化することができる.Foster et al.(1984)は,磁気共鳴映像法により脂肪組織を正確に測定可能であることを初めて示 した.その後,ヒトの死体と動物のデータを用いた検討,およびコンピュータ断層撮影法 との比較において,磁気共鳴映像法による脂肪組織の測定誤差は小さく,測定値の再現性 も高いことが確認された(Seidell et al., 1990; Ross et al., 1993) .1990 年代より,当該方 法を用いた全身の脂肪分布の評価,およびその分布状態と性別,身体形状,疾病リスクと の関連性についての研究が報告されている(Ross et al., 1992; Ross et al., 1994; Gray et al., 1991; Leenen et al., 1992) . しかしながら,上記いずれの方法においても,検者が専門的な知識を有した熟練者に限 られる点,測定・分析に時間を要する点において,汎用性の高い方法であるとは言い難い. また, コンピュータ断層撮影法は DXA 法同様,X 線による被爆を伴う侵襲的な方法である.. 19.
(20) Table 1-2 従来の身体組成の評価方法の長所および短所. 身体組成の評価方法. 長所. 短所 ・被検者への負担が大きい.. 密度計測法. 信頼性および妥当性が高い.. ・測定の手続きが複雑であるため,検者の 熟練が必要である.. ・推定精度は,研究対象に対して選択した 推定式の妥当性に大きく依存する. 生体電気インピーダンス法. 二重エネルギーX線吸収測定法. ・簡便,迅速かつ非侵襲的に測定可能. ・測定装置が小型で持ち運び可能.. 信頼性および妥当性が高い.. ・測定前の運動,水分摂取,測定時の体液 状態,体温,環境温度など,電気抵抗の 測定値に影響を及ぼし得る要因を十分に コントロールしなければならない. ・X線による被爆を伴う侵襲的な方法. ・検者が放射線技師に限られる. ・測定・分析に時間を要する.. 画像診断法. 信頼性および妥当性が高い.. ・検者が専門的な知識を有した熟練者に 限られる. ・X線による被爆を伴う侵襲的な方法. (コンピュータ断層撮影法). 20.
(21) Ⅴ.先行研究のまとめと課題 3DPS 法は身体形状の 1 次元指標を測定するための方法として開発されたことから,当 該方法による体肢長および周径囲の測定については,先行研究において高い信頼性ならび に妥当性が既に確認されている.一方,身体形状にの 2 次元指標(体表面積)および 3 次 元指標(体積)の従来の測定方法には問題点があり,3DPS 法を用いることでそれを払拭 できる可能性がある.しかしながら,3DPS 法による体表面積および体積の測定の信頼性な らびに妥当性を検証した研究は限られており,それらに関して十分に明らかにされていな い. 身体組成を評価するためにこれまで様々な方法が開発されてきたが,いずれの方法にも 短所があり(Table 1-2),あらゆる状況下において万能な方法論は存在しない.3DPS 法に より測定した体積から身体密度を精度よく推定することができれば当該方法による身体組 成の評価が可能となり,従来の方法で指摘されてきた問題点の解決につながると考えられ る.. Ⅵ.本研究の目的と構成 本論文では,3DPS 法が身体形状の 2 次元指標(体表面積)および 3 次元指標(体積) の測定方法になり得るかどうか検証し,その応用として,体表面積の簡便な推定や,身体 組成の評価の可能性について検討することを目的とした.. 本論文の構成および内容は以下の通りである. 第 2 章:光学 3 次元形状計測法を用いた体表面積の評価と簡便な推定方法の提案 (1)光学 3 次元形状計測法による体表面積測定の信頼性および妥当性(第 1 節) 既知の表面積を持つ円筒の表面積およびヒトの体表面積を,3DPS 法により反復測定 し,3DPS 法による体表面積測定の信頼性および妥当性を検証した.. 21.
(22) (2)成人の体表面積の推定式(第 2 節) ,児童の体表面積の推定式(第 3 節) 3DPS 法による体表面積測定の応用として,体表面積の簡便な推定方法を提案した. 3DPS 法を妥当基準として,身長および身体質量を変数とした成人ならびに児童の体 表面積の推定式を男女別に開発した.. 第 3 章:光学 3 次元形状計測法を用いた体積の評価:信頼性および妥当性の検証 既知の体積を持つ円柱の測定,DXA 法により測定した全身および身体セグメント別 の体積との比較から,3DPS 法による体積測定の妥当性を確認した.また,体積測定 値の日間および日内変動に関する分析結果に基づき,3DPS 法による体積測定の信頼 性について検討した.. 第 4 章:総括論議 以上の研究において得られた結果に基づき,「3DPS 法による身体形状の 1, 2, 3 次元指 標の測定誤差の比較」 , 「3DPS 法による身体密度の推定精度」 , 「3DPS 法による身体密度推 定の問題点と改善策」について考察した.. 22.
(23) 第2章 光学 3 次元形状計測法を用いた体表面積の評価と 簡便な推定方法の提案. 第1節. 光学 3 次元形状計測法による体表面積測定の信頼性および妥当性. I.目的 体表面積を測定する方法として従来用いられてきた,コーティング法(DuBois & DuBois, 1915)や表面積分法(Banerjee et al., 1958)は,検者の熟練を必要とし,また,測定およ び分析に多大な時間を要するため,多数の被検者を対象とした調査・研究に用いることは 困難である.近年,身体表面の 3 次元座標データから,全身の体表面積を算出することが 可能な 3DPS 法が開発された.3DPS 法は,10 秒という短時間で人体形状を計測すること が可能であり,多数の被検者の体表面積を迅速・簡便にかつ高精度に,また被検者に負担 をかけることなく測定を行ううえで,極めて有用である.しかしながら,3DPS 法により得 られた体表面積の測定値の信頼性ならびに妥当性については検討の余地が残されている. そこで本節では,3DPS 法による体表面積測定の信頼性および妥当性について検討すること を目的とした.. Ⅱ.方法 A.3DPS 法による表面積測定の妥当性 光学 3 次元人体形状計測装置(Body Line Scanner,浜松ホトニクス株式会社,静岡; Fig 2-1)を用いて,7 種類の異なる既知の表面積(441.0cm2,787.3cm2,879.9cm2,925.0cm2, 1332.8cm2,2315.3cm2,2945.3cm2)を持つ円筒の表面積を測定した.3DPS 法による表 面積の測定は,鉛直方向の計測ピッチ 2.5mm,計測時間 10 秒間で行った.また,測定室 の室温は 25℃であった.. 23.
(24) B.3DPS 法による表面積および体表面積測定の信頼性 上記 A.で記した 925.0cm2 の円筒およびヒトを対象に,3DPS 法による表面積および体 表面積の測定の信頼性を検討した.後者における被検者は,健常な成人男性 7 名(年齢 23.4 ± 1.3 歳,身長 172.7 ± 5.0 cm,身体質量 69.0 ± 7.4 kg;平均値 ± 標準偏差)であった.測 定に先立ち,各被検者には,研究の目的,測定の手順,内容,安全性について十分な説明 を実施し,書面による同意を得た.本研究は,早稲田大学の「人を対象とする研究に関す る倫理審査委員会」より承認を得て実施された. 3DPS 法により得られた体表面積の測定値の日内変動をみるために,1 日に 3 時間程度 の間隔をあけ,朝・昼・夕の 3 回にわたり,測定を行った.また,測定値の日間変動をみ るために,測定日を変えて 2 日間,同じ時間帯に測定を行った. 3DPS 法による体表面積の測定は,鉛直方向の計測ピッチ 2.5mm,計測時間 10 秒間で 行った.測定室の室温は,円筒の測定中は 25℃,ヒトの測定中は 26~28℃であった.また, ヒトを対象にした測定においては,被検者は,足を肩幅程度に,脇を握り拳1つ分程度体 幹から開き,指をまっすぐ伸ばした状態で,両足に均等に体重をかけて装置の中心部に立 位をとった(Fig 2-2) .この測定姿勢は,腋窩部や鼠径部といったレーザー光の照射制限の 影響を受けやすい部位において欠損データが最も尐なく,ヒトの全身形状を正しく捉える ことができる姿勢であった.被検者は最大呼出後に呼吸を止め,スキャン中の 10 秒間,静 止状態を維持した.身体形状を正確に測定するために,被検者は,素肌に密着したスパッ ツと,頭部にスイミングキャップを着衣した.測定結果は,専用のソフトウェア(Body Line Manager,浜松ホトニクス株式会社,静岡)を用いて処理した. レーザー光の照射範囲の制限により,自動算出される体表面積には,頭頂部および足裏 の体表面積が含まれていない.そこで,取得した座標データから 2.5mm 間隔で断面積を算 出し,最も高い位置における断面積を頭頂部の体表面積,最も低い位置における断面積を 足裏の体表面積とし(Fig 2-3) ,それらと測定値の総和を全身の体表面積とした.. 24.
(25) C.統計処理 日間変動に関しては対応のある t 検定,日内変動に関しては反復測定による一元配置分 散分析により検討した.また,測定値の日内変動および日間変動は,変動係数と級内相関 係数により評価した.検定における有意水準は 5%とした.統計的検定量の算出には,統計 解析ソフト(SPSS 13.0J for Windows Student Version,SPSS Japan,東京)を用いた.. Ⅲ.結果 A.円筒を用いた妥当性および信頼性の検討 表面積 441.0cm2,787.3cm2,879.9cm2,925.0cm2,1332.8cm2,2315.3cm2,2945.3cm2 の 7 種類の円筒を用いて,測定値の妥当性を検討した結果を Fig 2-4 に示した.回帰分析を 行った結果,表面積の測定値の標準誤差は 4.7cm2(0.34 %)であった. 表面積 925cm2 の円筒を用いて,測定値の再現性を検討した結果,同一測定日における 円筒の表面積の測定値は 920.7~922.6cm2 であり,日内の変動係数は 0.12%であった.一 方,1 日目および 2 日目の測定値は,それぞれ 920.7cm2 および 922.2cm2 であり,日間の 変動係数は 0.11%であった.. B.ヒトを対象とした信頼性の検討 体表面積の測定値には,測定日間の有意な差は認められなかった(p = 0.41).また,体 表面積の測定値における日内および日間の変動係数は,それぞれ最大で 0.6%および 0.9% であった.日内の級内相関係数は 0.999,日間の級内相関係数は 0.994 であった.. Ⅳ.考察 3DPS 法により円筒の表面積および成人男性 7 名の体表面積を反復測定したところ,得 られた値は測定時間帯あるいは測定日による影響を受けなかった.日内および日間の変動. 25.
(26) 係数は,円筒においては 0.12%および 0.11%,ヒトにおいては最大で 0.6%および 0.9%であ った.日内の級内相関係数は 0.999,日間の級内相関係数は 0.994 であった.また,異なる 7 種類の既知の表面積を持つ円筒を対象として, 3DPS 法による表面積の測定を行った結果, 測定値の標準誤差は,4.7cm2(0.34%)であった.以上の結果より,3DPS 法による体表面 積測定の信頼性および妥当性が検証された. 3DPS 法により測定した体表面積の精度について,Tikuisis et al.(2001)は,既知の表 面積を持つ 2 種類の円筒を用いて確認している.その結果によると,測定誤差はそれぞれ の円筒で 0.40%および 0.34%であった.本研究においても,それらと同様に 7 種類の異な る既知の表面積を持つ円筒を用いて,精度を検討した.その結果,測定誤差は-0.90~0.15% であり,先行研究において報告されている値と同程度の結果を得た.また,従来の研究に おいて,3DPS 法の体表面積の測定値の信頼性については検討されていない.それに対して, 本研究において,円筒およびヒトを対象にした測定結果に基づき,3DPS 法による体表面積 の測定値の信頼性が高いことを確認した.このことから,本研究で得られた検証結果は, 新しく開発された 3DPS 法を,体表面積の測定方法として今後広く用いるうえで必要不可 欠な知見であると結論された.. 26.
(27) Fig 2-1 光学 3 次元人体形状計測装置. Fig 2-2 測定姿勢. 27.
(28) Fig 2-3 頭頂部および足の裏の体表面積. 28.
(29) 3DPS法による表面積の測定値 (cm 2 ). 3500 y = x + 3.7, R² = 1.00 SEM = 4.7cm2 (0.34%). 3000 2500. 2000 1500 1000 500 0 0. 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500. 表面積の真値 (cm 2 ) Fig 2-4 3DPS 法による表面積の測定値および表面積の真値の関係 点線は等量線,太線は回帰直線をそれぞれ示している. SEM:測定値の標準誤差. 29.
(30) 第2節. 成人の体表面積の推定式. Ⅰ.目的 体表面積の算出には,身長および身体質量を変数とした推定式(体表面積=身長 a×身体 質量 b×c)が広く用いられ,これまで多くの推定式が報告されてきた(DuBois & DuBois, 1916; 高比良,1925; 藤本ら, 1968; Gehan & George, 1970; Haycock et al., 1978; 蔵澄ら, 1994; Tikuisis et al., 2001) .しかし,これらの推定式の多くは,欧米人を対象として作成 されたものであり,外国人と日本人では骨密度や骨量が異なることから(Russell-Aulet et al., 1991) ,それらは日本人に適用できない可能性が考えられる.また,日本人を対象に作 成された従来の推定式は,測定対象とした被検者数が尐ない,あるいは,作成された年代が 古いという問題点がある(高比良,1925:10 名,藤本ら,1968:201 名,蔵澄ら,1994: 45 名) .したがって,現代の日本人に対するそれらの推定式の適合性,あるいは幅広い年齢 の被検者集団への適用性といった点が疑問となる. 近年開発された 3DPS 法は,身体表面の 3 次元座標データから体表面積を算出すること が可能な方法である.また,3DPS 法による体表面積の測定値の信頼性および妥当性は,第 2 章第 1 節の結果において既に確認されている.そこで本節では,幅広い年齢の日本人成人 を対象に 3DPS 法により体表面積を測定し,身長および身体質量を独立変数,3DPS 法に よる測定値を基準値とした体表面積の推定式を作成することを目的とした.. Ⅱ.方法 A.被検者 被検者は, 健常な 37~76 歳の男性 32 名(身長 158.6~179.5cm, 身体質量 56.7~89.0kg; 最小値~最大値) ,25~75 歳の女性 90 名(身長 145.6~166.4cm,身体質量 35.4~81.7kg) であった.また,被検者の年齢の度数分布を Fig 3-1 に示した.. 30.
(31) 推定式を作成するために,全被検者から,妥当性群(男性 16 名,女性 45 名)および交 差妥当性群(男性 16 名,女性 45 名)を階層化無作為抽出法により抽出した.妥当性群と は推定式を作成する被検者集団,交差妥当性群とは作成した推定式の精度検証をする被検 者集団を意味する.両群の身体特性を Table 3-1 に示した.両群の年齢,身長,身体質量, 体格指数(body mass index:以下 BMI)に有意な差は認められなかった.測定に先立ち, 各被検者には,研究の目的,測定の手順,内容,安全性について十分な説明を実施し,書 面による同意を得た.本研究は,早稲田大学の「人を対象とする研究に関する倫理審査委 員会」より承認を得て実施された.. B.3DPS 法による体表面積の測定 3DPS 法により,体表面積を測定した.測定方法は,第 2 章第 1 節において述べたもの と同一であった.. C.推定式の作成方法. 推定式は高比良(1925)の方法に倣い作成した.すなわち,BSA =H. 1 a. ×M. 1 b. ×c. [BSA:体表面積(cm2) ,H:身長(cm) ,M:身体質量(kg) ,a,b,c:定数] を体表面 積の一般式とし,この一般式の次元が 2 次になるための以下の条件を満たす,定数 a,b,c を決定した.. 1 3 a + b =2 (1≦a≦2,2≦b≦3). まず,a を 0.1 ずつ変化させ,それに対応する b および c を求め,残差が最小になる a,b,. c を求めた.続いて,残差が最小となる付近の a を 0.01 ずつ変化させ,それに対応する b. 31.
(32) および c を求めた.最後に,残差が最小となる付近の a をさらに 0.001 ずつ変化させ,そ れに対応する b および c を決定した.. D.統計処理 妥当性群の測定結果に基づき,身長と身体質量を独立変数,3DPS 法による体表面積の 測定値を従属変数とする推定式を作成した.3DPS 法による測定値と作成した推定式により 求めた値との比較は,対応のある t 検定により行った.また,体表面積の測定値と推定値の 関係において,回帰直線の傾きおよび y 切片が,それぞれ 1 および 0 と有意な差が認めら れないことを確認した.推定式の精度の指標として決定係数および推定値の標準誤差(絶 対値および体表面積の測定値に対する相対値)を算出した.さらに,Bland & Altman 分析 (Bland & Altman, 1986)を行い,系統誤差の有無を確認した.なお,Bland & Altman 分析とは,測定値と推定値の間に生じた差がどの程度のばらつきをもって分布しているか 確認し,それらの差が得られた値の大小により過大あるいは過小評価されるといった一定 の傾向を示すかどうか評価するために用いる統計的手法である. 交差妥当性群を対象として,妥当性群において作成した推定式の交差妥当性を検証した. 3DPS 法により測定した値と作成した推定式により求めた値の比較は,対応のある t 検定に より行った.また,体表面積の測定値と推定値との関係において,回帰直線の傾きおよび y 切片が,それぞれ 1 および 0 と有意な差が認められないことを確認した.推定式の精度の 指標として決定係数および推定値の標準誤差(絶対値および体表面積の測定値に対する相 対値)を算出した.さらに,Bland & Altman 分析(Bland & Altman, 1986)を行い,系 統誤差の有無を確認した. 検定における有意水準は 5%とした.統計的検定量の算出には,統計解析ソフト(SPSS 13.0J for Windows Student Version,SPSS Japan,東京)を用いた.. Ⅲ.結果 32.
(33) 妥当性群において,3DPS 法により測定した体表面積は,男性 17092 ± 1304 cm2,女性 15422 ± 1255 cm2 であり,身長および身体質量を独立変数とする以下の推定式が得られた.. 男性:体表面積= 86.685×身長 0.668×身体質量 0.444 女性:体表面積= 83.737×身長 0.682×身体質量 0.439 (体表面積:cm2,身長:cm,身体質量:kg). 交差妥当性群を対象に,上記の推定式の交差妥当性を検証した.その結果,各式における 決定係数は男性 0.95,女性 0.96 であり,推定値の標準誤差は男性 272cm2(1.6%),女性 194cm2(1.3%)であった.また,測定値(男性:17161 ± 1143 cm2,女性:15071 ± 953 cm2) と,推定値(男性:17129 ± 1157 cm2,女性:15030 ± 906 cm2)との間に有意差は認めら れなかった(男性:p = 0.64,女性:p = 0.18).推定値と測定値との関係を示す回帰直線の 傾きおよび y 切片に,男女とも 1 および 0 と有意な差は認められなかった(Fig 3-2).さら に,Bland & Altman 分析を行った結果,推定値の残差に有意な系統誤差は認められなかっ た(男性:r = 0.05,女性:r = - 0.23,n.s.;Fig 3-3) . 交差妥当性群を対象に,年齢および身体形状(身長,身体質量,BMI)と推定誤差の関 係をそれぞれ確認した.男性および女性のいずれにおいても,年齢と推定誤差(推定値- 測定値)の関係に有意な相関関係は認められなかった(男性:r = 0.05,女性:r = 0.10, n.s.) .また,身長,身体質量,BMI と推定誤差の関係についても,男女ともに,それぞれ 有意な相関関係は認められなかった(身長:男性 r = 0.08,女性 r = - 0.12,身体質量:男 性 r = 0.21,女性 r = - 0.10,BMI:男性 r = 0.23,女性 r = - 0.05,n.s.) .. Ⅳ.考察 本研究で作成した推定式に基づく体表面積の推定値と 3DPS 法による測定値との間に有 意差は認められなかった.また,推定値の標準誤差は男性 1.6%,女性 1.3%であり,男女と. 33.
(34) もに推定値と測定値の関係に系統誤差が認められなかった(Fig 3-2,Fig 3-3).これらの結 果より,本研究の推定式より算出した推定値と 3DPS 法による測定値は一致性が高いとい える. これまでに先行研究において提示されている推定式は,いずれも交差妥当性が確認され ていない.それに対して,本研究においては,交差妥当性群を設定し,妥当性群において 作成された式の交差妥当性も確認した.これらの結果は,本研究で新たに作成した体表面 積の推定式が妥当であることを示すものといえる. 交差妥当性群を対象に,年齢および身体形状(身長,身体質量,BMI)と推定誤差の関 係をそれぞれ確認したところ,男性および女性のいずれにおいても,年齢,身長,身体質 量,BMI と推定誤差(推定値-測定値)の関係に,それぞれ有意な相関関係は認められな かった.これらの結果より,年齢および身体形状の違いが推定式の誤差要因となる可能性 は極めて低いといえる.よって,本研究で作成した推定式は,幅広い年齢および身体形状 を有する日本人における体表面積推定に応用可能であることが示された. 本研究の推定式が,同じ身長および身体質量で身体組成が異なる被検者の体表面積をど の程度の精度で推定できるか検証した.まず,推定式作成の被検者が含まれていない集団 から,同じ身長および身体質量で,全身の体脂肪蓄積を最も反映するといわれる腹部の脂 肪蓄積量が異なる男女を抽出した(Table 3-2) .これらの被検者について,3DPS 法により 測定した体表面積と,本研究の推定式から算出した体表面積を比較すると,推定誤差は- 74 ~63 cm2(- 0.5~0.4%)といずれの被検者においても非常に小さく,変動係数に換算して も第 2 章第 1 節における 3DPS 法による体表面積測定の信頼性に関する結果として示した 日内・日間変動の 0.9%以下の範囲内に収まった.以上の結果より,本研究で開発した成人 の体表面積の推定式は,同じ身長および身体質量でも身体組成の個人差を十分な精度で捉 えることができることが示された. 交差妥当性群を対象に,これまでに報告された推定式を用いて体表面積を算出し,3DPS 法による測定値と比較したものが Table 3-3 である.Gehan & George(1970) ,Haycock et. 34.
(35) al.(1978)および Tikuisis et al.(2001)の式により算出した推定値は,3DPS 法による 測定値より有意に高い値を示した.この原因の一つとして,身体組成における人種差が考 えられる.近藤ら(1992)は,日本人とドイツ人を対象に,全身 9 部位の皮下脂肪厚を測 定し,それぞれの人種における測定値を比較した.その結果によると,ほぼ全ての測定部 位の皮下脂肪厚が,日本人よりドイツ人で有意に厚かった.また,アメリカ人を対象とし た調査結果においても,上腕部および下腿部の皮下脂肪厚は,日本人よりアメリカ人で有 意に高い値を示すことが報告されている(Ishida et al., 1992) .脂肪は密度が低いため,仮 に身長および身体質量が同一水準であっても,脂肪量が多い人では体積が大きく,結果的 に体表面積も大きくなる.したがって,日本人より体脂肪量が多いと考えられる欧米人の 測定結果に基づく推定式では,その推定値が 3DPS 法による測定値より有意に高い値とな ったと推察される. 日本人を対象にした蔵澄ら(1994)の式では男性において,藤本ら(1968)の式では女 性において,高比良(1925)の式では男女において,それぞれ 3DPS 法による測定値との 間に有意な差が生じた(Table 3-3) .その要因として,先行研究における推定式の作成年代, あるいは推定式作成のためのデータ採取の被検者数が考えられる.すなわち,高比良(1925) の式,藤本ら(1968)の式は,いずれの式も作成された年代が古く,現代日本人の身体形 状を反映し得ない可能性がある.また,高比良(1925) ,蔵澄(1994)の先行研究において, 測定対象となった被検者の数は,高比良(1925)が男性 10 名,蔵澄(1994)が男性 24 名, 女性 21 名にすぎない.したがって,これら先行研究において提示されている式では,体表 面積の個人差を捉えきれず,3DPS 法による測定値との間に有意な差が生じたと予想される.. Ⅴ.結論 3DPS 法による体表面積の測定値を基準値,身長および身体質量を独立変数とする体表 面積の推定式を作成し,その妥当性を検討した. 妥当性群において,身長および身体質量 を独立変数とする以下の推定式が得られた.. 35.
(36) 男性:体表面積= 86.685×身長 0.668×身体質量 0.444 女性:体表面積= 83.737×身長 0.682×身体質量 0.439 (体表面積:cm2,身長:cm,身体質量:kg) 作成した推定式を交差妥当性群に適用したところ,推定値と測定値との間に有意差は認め られなかった.また,各式における決定係数および推定値の標準誤差は,男性で 0.95 およ び 272cm2(1.6%) ,女性で 0.96 および 194cm2(1.3%)であった.さらに,推定値と測定 値の間に有意な系統誤差は認められなかった.よって,本研究の推定式より算出した推定 値と 3DPS 法による測定値の一致性が高いことが示された.以上の結果より,本研究で提 示した推定式は妥当であり,幅広い年齢の日本人成人における体表面積推定に応用可能で あることが示唆された.. 36.
(37) 男性 14. 度数(名). 12 10 8 6 4. 2 0 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 90. 70. 80. 90. 年齢(歳) 女性 14 12. 度数(名). 10 8 6 4 2. 0 20. 30. 40. 50. 60. 年齢(歳). Fig 3-1 年齢の度数分布. 37.
(38) Table 3-1 被検者の身体特性. 男性 妥当性群 (n = 16). 項目. 交差妥当性群 (n = 16). 平均値 標準偏差 最小値 体表面積 (cm2) 17092. 最大値. 平均値 標準偏差 最小値. 最大値. 1304. 15632. 20187. 17161. 1143. 15372. 19198. 年齢(歳). 61.1. 13.5. 37. 76. 60.6. 8.9. 42. 71. 身長(cm). 167.5. 4.8. 158.9. 177.8. 168.3. 6.9. 158.6. 179.5. 身体質量(kg). 66.7. 9.4. 56.7. 89. 66.4. 6.7. 56.8. 79.7. BMI(kg/m2). 23.7. 2.8. 20.6. 29.4. 23.4. 1.6. 20.9. 27.4. 女性 妥当性群 (n = 45). 項目. 交差妥当性群 (n = 45). 平均値 標準偏差 最小値. 体表面積 (cm2) 15422. 最大値. 平均値 標準偏差 最小値. 最大値. 1255. 12691. 19002. 15071. 953. 13298. 17648. 年齢(歳). 51.3. 13.3. 25. 75. 53.9. 12.4. 28. 74. 身長(cm). 156.6. 5.3. 145.6. 164.9. 156.1. 4.8. 148.5. 166.4. 身体質量(kg). 56.2. 9.2. 36.8. 81.7. 53.2. 6.6. 35.4. 70.8. BMI(kg/m2). 22.9. 3.7. 16.2. 31.2. 21.8. 2.8. 12.9. 29.4. BMI:body mass index. 38.
(39) 推定式により算出された体表面積 (cm 2 ). 22000. 男性. 20000. 18000. 16000. y = 0.99x + 207, R² = 0.95 SEE = 272cm2 (1.6%). 14000. 12000 12000 14000 16000 18000 20000 22000. 推定式により算出された体表面積 (cm 2 ). 3DPS法により測定した体表面積 (cm 2 ) 20000. 女性. 18000. 16000. 14000. 12000 12000. y = 0.93x + 1015, R² = 0.96 SEE = 194cm2 (1.3%) 14000. 16000. 18000. 20000. 3DPS法により測定した体表面積 (cm 2 ) Fig 3-2 交差妥当性群おける推定値と測定値の関係 点線は等量線,太線は回帰直線をそれぞれ示している. R2:決定係数,SEE:推定値の標準誤差. 39.
(40) 残差(推定値-測定値)(cm2). 600. 男性. r = 0.05 (n.s.). 400 200 0 -200. -400 -600 12000. 14000. 16000. 18000. 20000. 22000. 残差(推定値-測定値)(cm2). 推定値と測定値の平均値(cm2) 600. 女性. r = - 0.23 (n.s.). 400 200. 0 -200 -400 -600 12000. 14000. 16000. 18000. 20000. 推定値と測定値の平均値(cm2) Fig 3-3 交差妥当性群における残差(推定値と測定値の差)および推定値と測定値の平均値の関係 2 本の点線は平均値 ± 2SD を示している.. 40.
(41) Table 3-2 異なる身体組成の被検者に対する本研究の推定式の適用性. 男性. 女性. 被検者1. 被検者2. 被検者3. 被検者4. 身長 [cm]. 170.3. 172.2. 156.8. 156.4. 身体質量 [kg]. 71.7. 70.1. 50.8. 51.7. 内臓脂肪断面積 [cm2]. 46. 120. 30. 61. 皮下脂肪断面積 [cm2]. 108. 140. 99. 175. 体表面積の測定値 [cm2]. 17920. 17761. 14748. 14914. 体表面積の推定値 [cm2]. 17876. 17824. 14758. 14840. -44 (-0.2). 63 (0.4). 11 (0.1). -74 (-0.5). 推定誤差 [cm2, (%)]. 41.
(42) Table 3-3 3DPS 法による測定値および本研究,先行研究の推定式により算出した推定値 の比較 男性 報告者,年. 体表面積(cm2). 推定値の残差(cm2) 推定値の残差(%). 3DPS法による測定値. 17161 ± 1143. 本研究. 17129 ± 1157. - 32 ± 263. - 0.2 ± 1.5. DuBois & DuBois, 1916. 17566 ± 1192 **. 406 ± 268. 2.4 ± 1.5. 高比良,1925. 17720 ± 1201 **. 560 ± 271. 3.3 ± 1.5. 藤本ら,1968. 17118 ± 1153. - 43 ± 263. - 0.2 ± 1.5. Gehan & George, 1970. 17740 ± 1164 **. 580 ± 304. 3.4 ± 1.7. Haycock et al., 1978. 17673 ± 1184 **. 512 ± 318. 3.0 ± 1.8. 蔵澄ら,1994. 17370 ± 1145 *. 209 ± 262. 1.2 ± 1.5. Tikuisis et al., 2001. 17748 ± 1167 **. 413 ± 264. 2.4 ± 1.5. 女性. 報告者,年. 体表面積(cm2). 推定値の残差(cm2) 推定値の残差(%). 3DPS法による測定値. 15071 ± 953. 本研究. 15030 ± 906. - 41 ± 203. - 0.3 ± 1.3. DuBois & DuBois, 1916. 15109 ± 894. 38 ± 205. 0.3 ± 1.3. 高比良,1925. 15243 ± 904 **. 171 ± 204. 1.2 ± 1.3. 藤本ら,1968. 14730 ± 893 **. - 341 ± 207. - 2.2 ± 1.3. Gehan & George, 1970. 15304 ± 1021 **. 233 ± 275. 1.5 ± 1.8. Haycock et al., 1978. 15197 ± 1053 *. 126 ± 299. 0.8 ± 2.0. 蔵澄ら,1994. 15342 ± 925. - 42 ± 261. - 0.2 ± 1.6. Tikuisis et al., 2001. 15315 ± 957 **. 244 ± 221. 1.6 ± 1.5. (平均値 ± 標準偏差) 残差:推定値-測定値 *: p<0.05,**:p<0.01. 42.
(43) 第3節. 児童の体表面積の推定式. I.目的 体表面積は基礎代謝量を算出する際に広く用いられ(Cunningham, 1982; Halliday et al., 1979) ,子どもにおいても,基礎代謝基準値は単位体表面積当たりで求められる(厚生 省,1994) .また,体表面積は薬用量を決定するための代表的な指標でもあり(Pinkel, 1958; Lack & Stuart-Taylor, 1997) ,子どもの薬用量は,成人に対する子どもの平均体表面積比 から算出される(Crawford et al., 1950).このように体表面積は,成人だけではなく子ど もの健康医療情報としても活用される. 前節で述べた通り,体表面積の算出には,身長および身体質量を変数とした推定式(体 表面積=身長 a×身体質量 b×c)が広く用いられ,これまで多くの推定式が報告されてきた (DuBois & DuBois, 1916; 高比良,1925; 藤本ら, 1968; Gehan & George, 1970; Haycock et al., 1978; 蔵澄ら, 1994; Tikuisis et al., 2001; 設楽ら, 2009).先行研究の多くは,成人 のみ,あるいは,子どもと成人の混在した集団を対象に式を作成している.一方,藤本ら (1968)は,1~5 歳の幼児式と 6 歳~高齢者までの一般式を提示しており,両式間には身 長の指数および定数項に違いがみられる(幼児式:体表面積=身長 0.362×身体質量 0.425× 381.89,一般式:体表面積=身長 0.663×身体質量 0.444×88.83) .しかしながら,成人と子ど もでは,身体質量当たりの体表面積比が異なる(Kriemler et al., 2002) .それゆえ,6 歳以 上であっても成人と子どもでは,体表面積の推定式における身長の指数および定数項が異 なる可能性がある. 近年開発された 3DPS 法を用いることで体表面積を測定可能であり,当該方法による体 表面積測定の信頼性ならびに妥当性については第 2 章第 1 節において検証されている.そ こで本節では,7~12 歳の子ども(以下「児童」と表記)を対象に 3DPS 法により体表面 積を測定し,1)児童に対する従来の推定式の適用の可能性を検討すること,適用可能でな. 43.
(44) い場合,2)身長および身体質量を独立変数,3DPS 法による測定値を従属変数とする児童 の体表面積の推定式を新たに作成することを目的とした.. Ⅱ.方法 A.被検者 被検者は,特定のスポーツを競技として実施していない健常な 7~12 歳の男子 52 名(身 長:139.7 ± 11.4 cm, 117.1~165.1 cm,身体質量:34.1 ± 10.1 kg, 19.4~74.6 kg;平均値 ± 標準偏差, 最小値~最大値) ,女子 35 名(身長:135.3 ± 8.9 cm, 114.4~149.6 cm,身体質 量:31.0 ± 7.1 kg, 17.6~45.8 kg)であった.被検者の発育段階は,Tanner Stage 1(Tanner, 1981)に該当した.被検者本人ならびに保護者を対象に,過去 1 年間の身長変化と生殖器 および乳房(女子のみ)の発育状況に関するアンケート調査を実施し,その結果に基づき 発育段階の評価を行った.被検者の募集にあたり,小学生という年齢の規準以外には選択 規準および除外規準を設定しなかった.また,本研究で採用した被検者の身長および身体 質量の各平均値は,平成 20 年度文部科学省「体力・運動能力調査結果統計表(年齢別体型 測定の結果) 」において報告されている同一年齢区分の平均値とほぼ同一であった. 推定式を作成するために,男子(52 名)と女子(35 名)から,妥当性群として男子 35 名および女子 24 名,交差妥当性群として男子 17 名および女子 11 名を,それぞれ階層化無 作為抽出法により抽出した.妥当性群とは推定式を作成する被検者集団,交差妥当性群と は作成した推定式の精度検証をする被検者集団を意味する.なお,推定式作成のモデルと して,妥当性群と交差妥当性群の割付人数の比は,妥当性群 2 に対し交差妥当性群 1 が妥 当であるといわれており(Sun & Chumlea, 2005) ,本研究と同様に推定式作成を目的とし た先行研究(Sanada et al., 2006; Tanaka et al., 2007; Kanellakis et al., 2010)において は,その割付人数比に基づき両群の被検者数を設定している.そのため,本研究において も,妥当性群と交差妥当性群の割付人数比を 2:1 に設定した.両群の身体特性を Table 4-1. 44.
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