キーワード:東海道新幹線,ボックスガーダー橋,共振,応力測定
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共振が生じる鉄道橋(ボックスガーダー)の現況評価東海旅客鉄道株式会社 正会員 ○佐藤 浩二, 植村 潤, 増田 勝三
1.はじめに
鉄道橋は道路橋等に比べ、活荷重により発生する応 力度が大きく、繰り返し載荷による疲労の影響を受けや すい。
このため東海道新幹線では、ほぼ全数の実橋で応力 測定を行い、主桁の腹板とフランジとの縦ビード等、主 要な溶接継手の疲労評価を行ってきた。
一方、車両性能の向上によって通過する列車速度は 大きく変遷しており、その影響を受け、近年、一部橋梁 では桁の共振が生じるようになった。
そこで、本研究では共振時の発生応力と非共振時の 発生応力を実橋で測定し、共振の影響を検討するととも に、主要な溶接継手に対して疲労の再評価を行った。
2.橋梁の概要
共 振 が 確 認 さ れ た 橋 梁 の 概 要 を図 -1 に 示 す 。
高速道路
国道 国道
受桁 主桁 主桁
受桁 鋼橋脚 コンクリート橋脚
39,000 39,000 39,000 50,000 39,000 33,000 33,000 272,000
3径間連続ボックスガーダー
1連目 2連目 3連目 4連目 5連目 6連目 7連目
主桁 受桁
1,2,6,7連目 3,4,5連目
受桁 コンク リート 橋脚 コンク リート 橋脚
鋼橋脚 受桁
コンク リート 橋脚
受桁 コンク リート 橋脚
※単連ボックスガーダー
※ ※ ※ ※
当該橋梁は3~5連目が、3径間連続ボックスガーダ ーであり、主桁と受桁が同一平面で一体化された構造 である。これ以外の桁は全て単連のボックスガーダーで ある。
なお、支間が同じ1連目と2連目、3連目と5連目、6連 目と7連目がそれぞれ同じ構造である。
3.共振桁の特定
共振桁を特定するため、4、5、6連目(上り線)に対し て、支間中央部の図-2 の Aに示す位置でそれぞれ応力 測定を行った(図‐3)。
ボックスガーダー断面図
下フランジ 腹板
20m
20㎜
10㎜
50㎜
縦リブ 横リブ
C D A
10㎜
B
:3
軸A
B C
D
測定結果より、4連目、5連目において列車通過後、
自由振動が長時間にわたって継続する状態が確認でき た。なお、6連目については、同様な波形は確認できな かった。この結果より、4連目が特に共振の影響を大きく 受けることがわかった。
4.支間中央の下フランジ公称応力に与える影響 前項で特定された共振の影響を大きく受ける4連目に ついて、同測定位置で長時間測定を行った。この際、発 生した応力範囲のヒストグラムを図‐4に示す。
図-1 橋梁の概要
図-3 測点 A の応力測定結果 図-2 応力測定箇所
4連目
5連目
6連目
未共振時 共振時(6連目については別列車)
土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)
‑1241‑
Ⅰ‑621
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
頻度
データ区 間
非共振時 共振時
平均15.2MPa 平均23.1MPa
図-4 の結果より、非共振時と共振時で、データの分 布が大きく二分されることが分かる。
なお、非共振時と共振時の応力範囲の平均値で比べ ると、共振時は非共振時の約 1.5 倍の応力が発生するこ とが分かる。
今回、長時間の応力測定でも最大値 26.7MPa の応力 範囲を確認している。発生応力そのものが小さいことか ら、主桁の腹板とフランジとの縦ビード D 等級(縦方向溶 接継手:すみ肉溶接継手をもつ母材)1)及び、下フランジ に溶接された面内ガセット F 等級(フィレットを有するガ セットを開先溶接した継手 1/10≦r/d<1/5)1)に対して も疲労限以下に収まることが確認でき、主要な溶接継手 の疲労強度に対しては安全であることを確認した。
5.補剛材下端溶接部の評価
当該橋梁では、従来より補剛材下端溶接部(図-2 の B)と、縦リブ横リブの交点(図-2 の C,D)で変状が確 認されている。これらの変状は進展した場合、母材に至 る可能性が高いため、応力測定を行った。
図-5に図‐2 の Bで測定した結果を示す。
最大主応力最大時の応力方向
鉛直方向
橋 軸 方 向
最大主応力と最小主応力
橋 軸 方 向 鉛直方向
未共振時
共振時
最大主応力の最大値は非共振時で 11.4MPa、共振時 で 15.0MPa と、共振時の応力が大きくなることが確認で きる。なお、応力方向は、全ての波形のピークで橋軸方 向を示しており、従来より指摘されている、腹板の面外曲 げによる局部応力(鉛直方向)が大きくなる傾向は見ら れなかった。
これらの結果より、当該橋梁の補剛材下端部では、腹 板の公称応力は共振の影響を受けるがその値は小さく 継手強度に対して安全であることを確認した。
また、面外曲げに特異な影響を与えるものではないこ とが確認できた。
6.縦リブ横リブ交点の評価
図-6に図‐2 の C 及び Dで測定した結果を示す。
測点
C
: 縦リブ側 測点D
: 横リブ側 未共振時共振時
応力範囲7.1MPa
応力範囲16.6MPa
応力範囲11.6MPa
応力範囲18.1MPa
縦リブ側の測点 C 及び横リブ側の測点 D のいずれに おいても、共振時に応力範囲が大きくなることが確認で き、共振の影響を受けていることが分かる。
しかし、共振時の応力範囲は小さく、F 等級(十字溶 接継手荷重非伝達型:止端破壊非仕上げ)1)及び G 等 級(十字溶接継手荷重伝達型:ルート破壊)1)に対して 疲労限を超えないことを確認した。
7.まとめ
当該橋梁では、共振時に下フランジと腹板の縦ビード 及び、補剛材下端溶接部、縦リブと横リブの交点におい て応力が大きくなることが確認できたが、その値は、いず れも継手の疲労強度に対して小さく、安全であることを 確認した。
参考文献:
1)[社]日本鋼構造協会 鋼構造物の疲労設計指針・同解説,1993 図-4 測点 A の長時間応力測定結果のヒストグラム
図-5 測点 B の最大・最小主応力と応力方向
図-6 測点 C、D の応力測定結果 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)