Clostridium difficileの胞子形成に必須のビタミ ン、ミネラル
著者 川邊 清光
著者別名 Kawabe, Kiyomitsu
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科
巻 平成7年7月
ページ 47
発行年 1995‑07‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/15297
学位授与番号 学位授与年月日 氏名 学位論文題目
医博乙第1299号 平成6年4月20日 川邊清光
CZost7ZdZumd城cjJeの胞子形成に必須のビタミン,ミネラル
論文審査委員 主査
副査
教授 教授 教授
中山吉 信悦谷村本本 秀博
内容の要旨及び審査の結果の要旨
αostrZdjzLmd城cjに(C、。城ciJe)大腸炎(偽膜性大腸炎,抗生物質関連下痢症)の再発,本菌に よる病院環境の汚染には胞子が重要な役割を果たしている。そこで,本研究では本菌の胞子形成条件を明 らかにすべ〈,ビタミン,ミネラルについて検討した。さらに,食塩耐性についても併せ検討した。
CCZ城c北5菌株を用い,9種類のビタミン,10種類のミネラルについて,各ビタミン・ミネラル欠損 合成培地における胞子形成を培養法により測定することにより,胞子形成に必須のビタミン・ミネラルを 求めた。成績は以下のように要約される。
(1)胞子形成に必須のビタミンは5株全株においてCa-D-パントテン酸,ピオチン,ピリドキシンであっ た。(2)これらのビタミンのいずれに関しても,胞子数の増加に必要な濃度の1/10の低濃度のビタミン濃 度において菌の発育の増加が認められた。しかしながら,十分な胞子形成に要する量と十分な発育に必要 な量は等しく,Ca-D-パントテン酸,ピオチン,ピリドキシン各々1,000,0.5,1qug/2の時胞子形成・
発育は最高値に達した。(3)胞子形成に必須のミネラルは5株全株においてMg2+,Fe2+,K+,PO43-で あった。また,これらは菌の発育にも必須のミネラルであった。(4)これらのミネラルのいずれに関して も,菌の十分な胞子形成に要する量と十分な発育に必要な量はほぼ等しく,Mg2+,Fe2十,K+,PO43-
各々Q1,0001,05,5,Mの時,胞子形成・発育は最高値に達した。(5)炭酸一重炭酸緩衝系を用いて 培地pHと胞子形成の関係について検討した結果,培養菌液のpHが6.8以上に維持された時,胞子形成は 最高値に達した。(6)菌の発育は,食塩濃度の増加と共に漸減し,食塩濃度が400,Mの時,発育は認めら れなかった。一方,胞子形成は食塩濃度が100,M以上の時,急激に減少した。
以上の結果は,腸内細菌叢として存在する0.城ciJeの胞子形成・発育に必須のビタミンおよびミネ ラルは,主として土壌細菌として存在するボツリヌス菌,バチルス属菌種とは異なり,同じ腸内細菌叢と して存在するウェルシュ菌と類似していることを示している。また,本菌の食塩耐性は比較的弱いことを
示している。
以上,本研究はCd城cZJeの胞子形成について新知見を提供するものであり,Cd城CZZe大腸炎の予 防,発症機序解明に寄与する優れた研究と評価された。
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