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Academic year: 2021

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養護教諭養成課程の学生における進路意思決定に及ぼす要因について

教科・領域教育専攻

生活@健康系コース(保健体育) 高 田 優

1.研究の目的

大学における学生への就職活動支援において,

学生自身の進路意思決定(この職業・職種に就く と決めて,その準備をすることを迷わなし、)を促 すことは重要な課題である。特に,養護教諭を含 む教職など専門課程の学生においては,就職への 進路を認識し,意思決定することが重要である。

本研究では学生への進路意思決定のための支援 が効果的に行われることを目的とし,養護教諭課 程学生を中心に,彼らが意思決定行う時に,どの ような事に悩み,意思決定を困難にしているのか,

すなわち,進路意思決定に及ぼす要因について検 討した。

ll.研究方法

1.対象者及び実施期間

2008年5月に私立4大学の養護教諭養成課程学 生 (1"'4年生)及び1大学の保育養成課程の学 生 (1,2年生),計433名に「学生における進路 に関する意識の実態調査Jのアンケート調査を行 った。有効回答率 97.9%で,分析対象者数は 424 名である。

2.アンケート調査内容

主な質問内容は進路意思決定有無の実態J,

f進路意思決定時における悩みJ(意思決定に及ぼ す要因)である。この「進路意思決定時における 悩みJは先行研究を参考に7つの要素,

r

能力に関 す る 戸 惑 い 適 合 へ の こ だ わ り 興 味 や 好 み の 模 索 選 択 方 法 に 関 す る 迷 い 進 路 先 の 実 情 へ の 不 安 現 実 的 な 障 害 実 現 可 能 性への不安jを設定し,各該当要素に関わる具体

指 導 教 員 吉 本 佐 雅 子

的質問(計27)の悩み度を6件法で訊ねた。なお,

現在意思決定していない者は現在の,すでに意思 決定している者にはその決定をする前の,状態に ついて回答を求めた。なお,各要素の悩み度は該 当質問項目の合計点とした。

3.分析方法

回答が6件法あるいは8件法の各質問項目の分 析では,回答番号を点数化した値を連続量として 用いた。意思決定に及ぼす要因の検討は,養護教 諭課程および保育課程の学生を合わせて行った。

統計分析としては,統計ソフト,StatViewを用い,

2群の平均値の差 2変量間の相関性(順位相関) の検定を行った。いずれも有意水準は5%未満とし た。

ill. 結果と考察

1.学生の進路意思決定の実態

養護教諭課程の学生において,養護教諭として 職に就くための準備をすることを決めてそのこと に迷いがない者(意思決定ある者)は,約半数で あり専門職課程の学生としては,少ないと言える。

また,その割合は1年生に比べて 2,3年生で むしろ少なくなっている。入学時の進路意思決定 が維持されないことがうかがえる。また 1年生 での意思決定は漠然とした希望が基になっており,

4年生では準備期間が足りず,妥協してその進路 に意思決定している者が多い事が分かつた。

進路を決定していない者は,決定している者に 比べ物事の決定に対して優柔不断な傾向が見られ た。このような姿勢が進路の意思決定ができない 背景に関わっている可能性もある。

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2.進路意思決定に及ぼす要因について

1 )意思決定に影響を及ぼす(悩みの)要素 の学年による変化

学年別に,意思決定者に比べ,意思未決定者に おいて悩み度が強い要素について検討した。その 結果,意思決定に強い影響を及ぼす(悩む)要素 が学年によって異なる傾向がみられた。

1年生では希望してその専門課程に入学したに もかかわらず,意思決定者に比べて,改めて f適 合」や「興味Jなど漠然とした進路先への不安の 悩みが大きくなっていることが推察できた。ただ し 1年生の意思決定もまだ自分の興味や好みに よる所が大きく,その後も決定が維持されている とは限らないと思われる。

2年生になると,意思決定に強い影響を及ぼす 要素は少なくなるが,

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適合Jに関しては 1年生と 同様に悩み度は大きく,また,

r

実現可能性への不 安Jが現れてきていた。

3年生では,多くの要素に対しての悩みが意思 決定を困難にしていた。 3年生では就職活動が間 近に迫り 1,2年生の時よりも真剣に進路を考 えなければならない時期であり,これまでの学業 成績や自分自身の好みなどの状態を考慮しなけれ ばならないため,様々な事項に悩みが大きくなる ことが考えられる。

このように 1'""'3年生まで意思未決定者と意思 決定者どの聞に悩み度に差が見られた要素は 4 年生なるとどの要素の悩み度も差が見られなくな った。この背景として,就職活動が身近に感じる ようになったことで,殆どの学生が自分の進路の 意思決定について考えを持っているため,あるい は,意思決定が 4年生になってできていない者は,

進路に関して諦めや無関心な状態になっているた め,などが関わっていることが考えられる。

以上の検討から 1年生及び4年生時の意思決 定に比べ,適切な進路の意思決定は2,3年生時

に行われる事が推察できる。また,今回の調査は 全学年に対して 5月に調査したため,悩みの状 態は前学年での実態に相当する。意思決定を困難 にする悩みの要素が多い3年生の実態は2年生時 の実態が現れているものであり,従って,進路に 関する意思決定を支援する時期としては,特に2 年生時が重要であると考える。

2)意思決定に影響を及ぼす(悩みの)要素 の相互関係

さらに 7つの要素の相互関連性の検討から,

いずれの要素も相互に強い関連性を示し,各要素 の悩みは連鎖的にあるいは同時に発生しているこ とが考えられた。特に「能力J

r

興味J

r

進路先の 実情jに対する悩みと f適合Jへの悩みの関連性 が強かった。これらのことから意思決定するため の具体的支援の介入ができる手段,例えば,

r

進路 先の実情への不安Jを軽減するために,現場での 実習教育を充実する,養護教諭職に対する関心・

好みを高めるような現場からの情報を提供する,

などの支援が必要であると考えられる。

1V.まとめ

養護教諭課程の学生において,養護教諭として 職に就くための準備をすることを決めてそのこと に迷いがない者(意思決定ある者)は約半数であ り,専門職課程の学生としては少ない事を確認し た。意思決定を困難にする要因として,設定した 7つの要素,すべての悩みが関わっていたが,特 に 適 合J(自分の関心や意欲と合うのか)に対 する悩みが大きい傾向があった。このことから,

意思決定の支援については,特に2年生時に充実 させる必要があると考えられる。以上の結果から,

進路意思決定のための具体的介入として,入学時 から,養護教諭という職業・職種についての意識 を高めるような授業を,職場(学校)での専門の 仕事のみならず,仕事全般を体験できるような実 習教育が必要であると考えられる。

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参照

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