JAIST Repository: シクロデキストリン-薬剤包接系の第一原理結合エネルギー評価
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(2) シクロデキストリン-薬剤包接系の第⼀原理結合エネルギー評価. 奥村 健司(本郷研究室) 【背景】ゲスト薬剤分⼦をホスト分⼦で包接・運搬するカプセル化技術では、体内の標的 部位で薬剤を徐放する必要がある。薬剤徐放は、⽔溶液中のホスト-ゲスト間の結合エネ ルギー、主に分散⼒に⽀配されているため、その実験的測定は困難であり、計算科学的算 定に期待が寄せられている。計算科学的結合エネルギー算定の標準的⼿法は密度汎関数法 (DFT)だが、従来 DFT 法は共有結合⽤途の近似交換相関(XC)汎関数に基づき、⾮共有結 合系の分散⼒を記述できない。分散⼒⽤途の XC 汎関数が軽分⼦系で提案・検証されてい るが、実験参照値を利⽤できない⼤規模ホスト-ゲスト系への適⽤可能性は未検証のまま であり、ホスト-ゲスト系に適切な XC の選定・検証が DFT の課題である。 【⽅法】本研究は、ホスト-ゲスト包接体の DFT 結合エネルギー算定基盤の確⽴、すなわ ち XC 汎関数選定を⽬的とする。対象ホストは、汎⽤包接分⼦であるβ-シクロデキスト リン(BCD)とその誘導体(MBCD/2-O-HPBCD)、ゲストは⼤気中での失活が報告されて いるプルンバギン(PBG)である。これらの PBG-BCDs 系に対して、共有結合系の標準的 汎関数 B3LYP、及び、分散⼒(D3)と⻑距離交換相互作⽤(CAM)の寄与を B3LYP に(経験 的に)組み込んだ(CAM-)B3LYP(-D3)汎関数を適⽤する。XC 汎関数検証に要する計算参 照値は、DFT よりも⾼い計算コストであるが、分散⼒記述に信頼性の⾼い量⼦拡散モン テカルロ法(DMC)算定値を採⽤した。以上の検証は真空中の最適 XC 汎関数の選定とな るが、より現実的な計算科学的結合エネルギー算定の問題設定として、⽔溶液中のホスト -ゲスト間相互作⽤に対する溶媒効果を連続誘電体近似の範囲内で検証する。. 0 -5 B3LYP CAM-B3LYP CAM-B3LYP-D3 B3LYP-D3. -10 -15. 0 -5. -10 -15. -20. -20. -25. -25. -30 -35. 5. Binding energy (kcal/mol). 5. Binding energy (kcal/mol). Binding energy (kcal/mol). 【結果】B3LYP と CAM-B3LYP は安定包接体(真空中)を殆ど再現せず、他⽅、B3LYPD3 と CAM-B3LYP-D3 は、2-O-HPBCD を除き、ほぼ⼀致した安定包接体を再現した (図1(左))。2-O-HPBCD 包接体の DMC 算定から、⻑距離交換と分散⼒の両⽅を組み込 んだ CAM-B3LYP-D3 の⽅が DMC に近い結果を与えることが分かった(図 1(中))。 CAM-B3LYP-D3 による溶媒効果算定から(図 1(右))、BCD では、真空中と溶液中で異な る PGB 配向の安定化が明らかになった。上述の結果は原著論⽂[1]で報告済みである。. I. BCD. II. I. II MBCD. I II 2-O-HPBCD. -30. DMC B3LYP CAM-B3LYP B3LYP-D3 CAM-B3LYP-D3 0.25. 0.50. 0.50. 0.50. 0.50. CAM-B3LYP-D3(with PCM) CAM-B3LYP-D3(without PCM). -16 -18 -20 -22 -24 -26 -28 -30. I. BCD. II. I. II MBCD. I II 2-O-HPBCD. 図 1 (左)PBG-BCDs 系の DFT 算定、(中) PBG/2-O-HPBCD 系に対する DMC/DFT 算定、(右) CAM-B3LYP-D3 による PBG-BCDs 系の溶媒効果。図中の縦軸で負値となる結果は安定な包接体 状態を意味している。左図と右図の横軸に現れる I と II は PGB 配向の異なる配座を⽰している。. 【参考⽂献】[1] K. Oqmhula et al., ACS Omega 5 19371-19376 (2020). 【キーワード】分散⼒、⻑距離交換、溶媒効果、密度汎関数法、量⼦モンテカルロ法.
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