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マイクロ波励起ラジカルによる選択加熱技術とデバイス作製 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 中家 大希 博士の専攻分野の名称 博士(工学) 学 位 記 番 号 医工博甲第452号 学 位 授 与 年 月 日 平成31年3月20日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 機能材料システム工学専攻 学 位 論 文 題 目 マイクロ波励起ラジカルによる選択加熱技術とデバイス作製 論 文 審 査 委 員 主査 准教授 有 元 圭 介 准教授 佐 藤 哲 也 教 授 鍋 谷 暢 一 准教授 村 中 司 教 授 矢 野 浩 司 准教授 山 中 淳 二 山梨大学名誉教 授 中 川 清 和

学位論文内容の要旨

本論文は、独自開発を行なったマイクロ波プラズマ加熱技術を半導体加熱プロセスへ応用 することを目的としている。本加熱技術は、高密度水素ラジカルを形成し、主に遷移金属 を選択的かつ急速に加熱することが可能な技術である。現在想定しているメカニズムは、 加熱中に水素原子の発光強度が減少することから遷移金属上で水素原子が水素分子に結合 するときの結合エネルギーによって加熱されていると考えている。タングステン(W)膜を加 熱した場合、マイクロ波のパワーを入れてから1秒程度で最高温度である1200 ℃程度まで 急速に温度が上がる。また、シリコン(Si)は加熱されないことから半導体用途での活用が可 能でSi 基板上に遷移金属をパターニングすることで選択的に加熱することが出来る。 第一章では、研究背景及び目的について述べている。マイクロ波プラズマ加熱の応用例 として3つ取り上げており、1つ目は Si 基板上のニッケル(Ni)膜を加熱することでニッケ ルシリサイドを形成するプロセス、2つ目は、Si 基板上の薄膜ゲルマニウム(Ge)の転位密 度低減化用の加熱プロセス、3つ目は、ガラス基板上のアモルファスシリコン(a-Si)膜結晶 化プロセスへの応用である。 3つ目の結晶化プロセスはディスプレイ用途での応用を考えており、近年有機EL ディスプ

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レイの普及とともにフレキシブル化が進んでいる。フレキシブル性をもたせるためには、 これまでのようにガラス基板上へデバイス実装するのではなく、金属板や薄膜ガラス基板 上などの上に実装することが必要となるが、その中でも現在量産されている技術ではポリ イミド(PI)膜上に実装している。しかし近年 PI 膜上での低温ポリシリコン等の駆動素子の 動作挙動がガラス基板上とで異なる事が活発に議論されており、本論文でも知見を得るこ とを目指す。 第二章では、マイクロ波プラズマ加熱の説明をしている。装置構成について述べた後に 代表的な加熱条件でのプロファイルを示し、本加熱技術の特徴を述べている。また、加熱 中の発光強度のデータなどから加熱メカニズムの推測を行なっている。さらに、装置の基 礎的なデータ取得を目指し、水素原子密度及び電子速度の導出結果も示している。 第三章では、Si 基板上の薄膜 Ge 層内の転位密度の低減化を行なった研究について述べて いる。Si と Ge とでは格子定数の違いにより Si 基板上に成膜した Ge 層内には転位欠陥が 存在する。転位欠陥減少化のためには、Ge 層にのみ熱を加えることが理想であるが、炉内 アニールの場合は困難である。本加熱技術を用いることで、主にGe 層に熱を加え、転位欠 陥を減少させる事を目指した。実験手順は、Si 基板上に Molecular Beam Epitaxy(MBE) でGe 層を成膜し、その上に SiO2 膜を CVD で 150 nm 成膜し、最後に熱源となる W 膜を 100 nm 成膜した。マイクロ波プラズマ加熱条件は圧力 30 Pa、入力パワー1000 W、水素 流量 5 sccm、時間は最高温度でピークを持つように 1 秒以下でアニールを行なった。Ge 層と直下のSi 基板とが反応し、混ざり合ってしまうため、到達温度の検討を行なったとこ ろ、750℃程度以下で加熱時間は 1 秒以下という短い時間であれば反応しないことがわかっ た。この条件で加熱処理を行なった試料でデバイスを作製し、電気特性評価を行なった。 加熱処理を行なっていないサンプルと比べて、同じゲート電圧で一桁程度大きいドレイン 電流値となった。また、移動度380 cm2/Vs となり、シリコンの p-MOSFET の 2 倍程度を 得た。 第四章では、Si 基板上の Ni 膜をシリサイド反応させニッケルモノシリサイドを形成する 研究について述べている。本研究では、Si 基板上に熱蒸着により Ni 膜を約 80 nm 成膜し、 その後マイクロ波プラズマ加熱を行うことでNi 層を加熱し下層の Si 基板と反応させるこ とでニッケルシリサイドを形成している。本加熱技術で加熱した場合、ニッケルがニッケ ルシリサイドになると同時に加熱処理が自動停止するため、余分な熱負荷が半導体にかか らないことが特徴である。また、自動停止により同品質な膜が作られロバスト性の高いプ ロセスであるため、産業への適用ハードルが低く期待は大きいと考えている。ニッケルシ リサイドは、ニッケルモノシリサイドとニッケルダイシリサイドが有るが、シート抵抗の

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低いニッケルモノシリサイドを形成する必要がある。本加熱技術では、ニッケルモノシリ サ イ ド が 形 成 さ れ て お り 、 確 認 方 法 は シ ー ト 抵 抗 及 び Energy dispersive X-ray spectrometry(EDX)を用いた。 また、本技術で作製されたニッケルシリサイドの面内分布を確認するために、3 インチウエ ハ上にサンプルを配置して各サンプルの差分を確認した。結果は各サンプル間に有意差は 無く、シート抵抗の値は10〜20 μΩ・cm であった。さらに、マイクロ波のパワー依存性を 解明するため、装置の調整幅である400 W〜1000 W までの範囲を 200 W ごとにパワーを 変えニッケルシリサイドを作製した。シート抵抗での評価結果は、いずれの入力パワーで あっても同様の膜質のニッケルシリサイドが形成されていることを確認した。さらに、形 成したニッケルシリサイドを窒素雰囲気下で500℃×10 分アニールを行なった後に再度シ ート抵抗を測定したところ、アニール前と同様の値となり、アニールでの悪影響は確認さ れなかった。 第五章では、ガラス基板上のa-Si 膜を結晶化させる研究について述べている。本実験で は、石英基板上にa-Si 膜を MBE 装置で成膜し、その上に熱源となる W 膜を成膜する。そ の後、マイクロ波プラズマ加熱を行うことでa-Si を結晶化させ Poly-Si を得る。結晶化が 出来ていることはラマン分光スペクトルで確認した。本技術ではW 膜の直下だけではなく、 横方向に1cm 以上も結晶化を進めることが出来るため、Thin Film Transistor(TFT)を作製 するときにソース・ドレイン領域に熱源であるタングステンを成膜するだけで、チャネル 全体を結晶化させることが出来る。本加熱技術を用いたTFT 作製プロセスを検討し、結晶 化アニール時の時間、回数の分流を行なった。また、イオン注入後の活性化アニールも本 加熱技術を用いて作製した。a-Si の膜質の違いにより出来る Poly-Si の膜質も異なると考え、 a-Si 成膜時の基板温度も室温から 400 ℃まで分流し差分を確認した。デバイスの電気特性 評価結果は、キャリア移動度が約70 cm2/V s であり、量産で使用されている結晶化技術で あるエキシマレーザーアニール(ELA)と同等であることを確認した。 第六章では、ディスプレイ用途で基材として用いられている高耐熱PI 膜の電気特性評価 を行なった研究内容を述べている。実験手順は、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸 溶液をガラス基板上に塗布及び焼成し、PI 膜を作製する。その後ガラス基板から剥離し、 PI 膜の上下にアルミニウム電極を蒸着することで試料を得る。電気特性評価は I-V および C-V 測定を行なった。PI 膜の焼成条件は、最高温度(450〜500 ℃)の分流に加え、最高温度 に到達するまでの焼成方法も分流を行なった。PI 膜の材料及び焼成の条件を変えることで I-V 特性及び C-V 特性に変化が有り、論文中で詳しく述べている。これらの条件を変化させ てもPI 膜の機械的な特性はほぼ変わらない事から、電気特性評価は感度良く測定出来る手

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法であることがわかった。また、I-V 及び C-V 測定の時間変化も測定しており、I-V 測定時 は時間変化とともに電流値が減少する傾向が見られた。減少する理由としてPI 膜内のチャ ージアップによるものと推定しており、PI 膜上に無機膜を成膜したサンプルなどの測定も 合わせて行なっている。

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論文審査結果の要旨

本論文は、独自開発を行なったマイクロ波プラズマ加熱技術を半導体加熱プロセスへ応 用することを目的としている。本加熱技術は、高密度水素ラジカルを形成し、主に遷移金 属を選択的かつ急速に加熱することが可能な技術である。加熱中に水素原子の発光強度が 減少すること、及び遷移金属を石英板等で覆って水素ラジカルとの接触を断つと加熱が行 われないこと等から遷移金属上で水素原子が結合して水素分子を形成する再に放出される 結合エネルギーによって加熱されていると考えている。この加熱法の応用分野として、Si 基板上の薄膜ゲルマニウム(Ge)の転位密度低減プロセス、ニッケルシリサイド形成プロセス、 アモルファスシリコン(a-Si)の結晶化プロセスがある。本論文では、これら3つの応用に関 連する実験を行い、マイクロ波プラズマ加熱技術が様々な有用性を有することを実証した。 1つ目の応用であるGe 薄膜は、電子デバイス用材料として注目されている。Si を基板とす ることでデバイス特性の向上と材料コストの低減を実現することができる。しかしながら Si と Ge の格子定数差により導入される結晶欠陥がデバイス特性に悪影響を及ぼす。第3章 において、成長中に導入された貫通転位がマイクロ波プラズマ加熱により顕著に減少する ことが示された。また、適切な条件ではGe と Si のミキシングもほとんど起きないことが 明らかとなった。2つ目の応用であるニッケルシリサイドは、半導体プロセスにおいて電 極用材料として重要な物質である。ニッケルをシリコン上に蒸着して熱処理を加えること で作製するが、高温では高電気抵抗相が形成されてしまうため、低温で作製することが必 要である。本研究により、マイクロ波プラズマ加熱法による加熱中の試料温度を低電気抵 抗相形成に適した温度に保持する技術の開発に成功した。加えて、表面に蒸着したニッケ ルが全てニッケルシリサイドに変化した時点で自動的に加熱現象が止まり、余分な熱負荷 が試料にかからないこと、加えて加熱されるのは電極部分に限られること等、通常の電気 炉等による加熱技術では得られないメリットがある。以上のように、マイクロ波プラズマ 加熱技術がニッケルシリサイド低電気抵抗相の形成に関して極めて有用な方法であること が明らかとなった。3つ目の応用であるアモルファスシリコンの結晶化に関しては、cm オ ーダーの結晶化に成功し、現在主流であるレーザーアニール法と比較して格段の高速化・ 低コスト化が可能であることを報告した。加えてアモルファスシリコンの成膜温度を最適 化することにより高キャリア移動度を実現できることを示した。 以上の議論を通して、中家氏は半導体作製プロセス全般および材料物性に関する知識・ 学識も十分であることを確認した。研究成果は、査読付きである英文論文として2件公表 され、研究成果も認められている。 以上の厳正な審査により、博士としての学識・知識・能力を十分に有すると判断する。

参照

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