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ラン藻のカルビン回路調節因子CP12導入による光酸化的ストレス耐性植物の分子育種

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Academic year: 2021

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平成28 年度 研究経過報告書 研究者名 田茂井 政宏 研究課題名 ラン藻のカルビン回路調節因子CP12 導入による光酸化的ストレス耐性植物の分子育種 研究目的・内容 本研究課題では、ラン藻由来CP12 遺伝子をタバコ葉緑体ゲノムに導入することにより、 光酸化的ストレス感受性への影響を生育、光合成機能、カルビン回路酵素活性などを比較す ることにより明らかにする。さらに、ラン藻CP12 欠損株を用いて、様々な光条件下におけ る生育および光合成機能、を野生株と比較し、光酸化的ストレス防御機能に対するCP12 欠 損の影響を明らかにする。 研究の経過 1 ラン藻 CP12 を葉緑体で発現させた形質転換植物の作出 CP12 遺伝子をタバコ由来の psbA プロモーターに連結し、スペクチノマイシン耐性遺伝子 と共にタバコ葉緑体ゲノム由来RbcL と accD 配列間に挿入した葉緑体形質転換用ベクター を構築した。パーティクルガンによりタバコ葉へ導入した後、スペクチノマイシンを含む培 地で選抜し、薬剤耐性を示すカルスから植物体に再生させた。野生株および薬剤耐性株から ゲノムを抽出し、ラン藻CP12 に特異的なプライマーを用いて PCR を行ったところ、予想 される大きさのDNA の増幅が見られた。しかし、RbcL と accD 配列に特異的なプライマ ーを用いたPCR では、想定される大きさではなく野生株と同じ大きさの DNA のみが確認 された。これらより、1 細胞当たり数千コピー存在する葉緑体ゲノムの一部にのみ CP12 遺 伝子が導入されていると考えられる。現在、導入株の葉からの再分化を繰り返し、葉緑体ゲ ノムを全て組換えゲノムに置き換えた株を作出している。 2 ラン藻 CP12 欠損株のストレス感受性評価

ラン藻Synechococcus elongatus PCC7942 CP12 欠損株は、弱光下(25 µmol photons/m2/s)

では野生株と同等の生育を示すが、明暗条件下ではGAPDH および PRK 活性が制御でき ず、炭素代謝異常の結果として生育遅延を示した。また、強光条件下(50 µmol photons/m2/s) では、CP12 欠損株は野生株と比較して有意に生育遅延を示した。 次に、弱光下で対数増殖期まで培養した細胞を用いて、強光ストレスおよびパラコートス トレスに対する感受性試験を行った。その結果、500 µmol photons/m2/s の強光照射により CP12 欠損株のクロロフィル量は野生株と比較して有意に減少する速度が速く、また 300 µmol photons/m2/s の強光照射時の光合成活性は、野生株と比較して CP12 欠損株において 有意に阻害されていた。さらに、弱光下で対数増殖期まで培養した細胞を用いて、活性酸素 発生剤であるパラコート処理による影響を比較したところ、CP12 欠損株では野生株と比較 して低濃度のパラコートによって著しいクロロシスが認められた。これらの結果は、CP12 の欠損により明らかに光酸化的ストレスに対する耐性が低下していることを示している。

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さらに、同細胞を用いてクロロフィル蛍光を測定し、CP12 欠損による電子伝達系への影響 を検討した。その結果、野生株と CP12 欠損株の間で最大量子収率や photochemical quenching パラメーターに有意差は認められなかったが、Fv/Fm および non-photochemical quenching のパラメーターが異なる傾向が認められた。これらは、CP12 が NADPH 代謝 および余剰エネルギー散逸など、光化学系に何らかの関与をしていることを示唆している。 本研究と関連した今後の研究計画 葉緑体ゲノムに CP12 遺伝子を導入した形質転換植物を用いて、種々のストレス条件下 での生育、光合成特性、電子伝達活性の比較を行い、ストレス防御におけるCP12 の機能を 明らかにする。さらに、収量増大が見込まれる光合成強化遺伝子(FBP/SBPase 遺伝子な ど)と組み合わせて導入した植物を作出し、種々のストレス条件下での生産性評価を行う。 (平成29 年 3 月 31 日現在)

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