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記号としての手話 : 言語学の一課題として

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Academic year: 2021

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(1)記 号 と し て の 手 話 一一 言語学 の一課題 として一 ― 鎌. 田. 1。. 良. 手 話 と は. 手話 とは,聾 唖 者 が意志 の伝達手段 として使 う手 まねで あ り,身 振 りで あ る。 その本質 において は聴 者 の行 な う身振 り,手 まね とかわ りは ないが ,聴 者 の手 まねはたいて い言語音 を ともな いなが ら,そ の補助 として用 い るもの で あ るが ,聾 唖 者 の手話 は音声 を と もなわ ず に,手 まねだけで伝達す る もの で あ る。 言語 は,常 に音声 とい う形式 と,意 味 とい う内容 とか ら成 り立 ってい る。 しか も,こ の両者 が相 対 立 して い る もので はな く,物 に二 面 があ る如 く,こ れ は言語 の二 面 で あ り,意 味 は必ず音声 の裏 付 けがな けれ ば な ら ず ,音 声 (言 語音 )に は意 味 の裏 付 けがな けれ ばな らな い。 これ と同様 に,聾 唖 者 の. 手 まね も,そ の一 つ一 つ に意 味 の裏 付 けが あ るので あ る。意 味 の裏付 けのな い 身振 り,手 まね は,意 味 のない音声 と同様 に,手 話 にはな らな い。 こ うい う ことか ら手話 は伝達手段 で あ り,記 号 で あ る。. (C.MOrris)は 次 のよ うに定 義 して い る。 「 もし,Aな る ものが あ り,そ れがあ るイキモ ノに,そ の Aが 代 理 す るあ 記号 についてモ リス. る シ ゲ キ体 その ものが 存在 しな い 時 に も,一 定 の条件 の もとで一定 の行動族 の反 応継起 を開始 させ ,ま たは反応 す る傾向を ひ き起す準 備的 な シゲ キとな る時 ,そ の Aは 記号 で あ るJと 。 さ らに,国 語学辞典 の記 号 の項 (大 久保忠利氏担 当)で は次 のよ うにな っ て い る。 記号 とは,そ の場 に現実的 にはな い物 につ いて ,あ るイキモ ノが ,そ れが 現実 的 にあ るか のよ うに,そ の行動 (運 動 ,分 泌反応 とそ の 傾向 を合み )を.

(2) 鎌. 田 良 二. 5θ. あや つ るカフ リモ ノで あ る。 これを今 日の行動主義心理学 の立場 か ら Signalと. Symbolと の二 つ に分. ける。. Signalと は,こ の イ キモ ノが記 号 として 作 った もので はないが,あ る こと の アラフ レガ,他 の あ ることの存在 を示す ハ タラキをす る もので煙 の上 が る の を見 て ,そ の下 に火 の あ ることを知れ ば,そ の煙 は Signalで あ る。 しか し,も し,何 かの合 図 として ,あ る人 が ノロン を上 げた とすれ ば,そ の ノロ ンの煙 は. Symbolの 段階 で の記号で あ る。 即 ち,そ れ に反 応す るイ キモ ノ Symbolの 段階 に入 る。 Symbolと しての記 号 に入 る もので あ る。. が 自分 で 作 った記号 は ここに手話 は. 聾唖者 にと って ,こ の記号 と しての手 まねは単 な る「 もの」 だ け で は な く,自 分 の意識 の対象 とな った ものな ら「 もの」 で も「 こ と」 で も この手 ま ねで あ らわすので あ る。 全 く音 のない世界 において は,日 話 にお ける読唇 も,そ の手段 として は唇 の動 きを使 って はい るが ,唇 の動 き,日 形 を もって 読み とるわ け で あ る か ら,唇 の動 きが手 まねの伏iり にな るとい う こ とにな る。 ここに音 のない言語 が ,ど のよ うな伝達能力を もってい るか ,ど の程度 に 伝達 で きるか に つ いて は記号 論 の一 つ の課題 で あ り,言 語学 の一 つ の課題で あ る。 しか し,ま た ,言 語 は一 般 に伝達手段 ばか りで な く,記 憶手段 であ り,想 起手段 で もあ る。記憶手段 ,想 起手段 として手 まねが どれ程 の役 目 を 果 す か ,ま た ,抽 象 的事象 の思 考 に この手 まねが どれ程 の役 目を果 すかにつ いて もい ろ い ろ問題 はあ るが ,こ こで は まず ,手 まねの伝 達能力 につ いてその実 態 をながみてみたい。 この手話 の こ とを ,指 話 とい う こ と もあ る。 しか し,指 話 と手 話 とは今 日 で は別 の もの として い る。即 ち,手 話 は先 に も記 したよ うに聴者 の身振 りと 本質 的 には変 りはな い もので ,自 然発生 的な ものが 多 く,聾 唖者 のそ れ は言 語 を と もなわない もので あ るか ら,聴 者 の身振 りが会話 の補助 と して使 うも.

(3) 記 号 と して の 手 話. 54. ので あ るのに対 して ,手 話 は聾唖者 の母語 ともい うべ き もので あ る。 手話 は,身 振 りと表情 を ともな い つつ ,指 ・ 掌 ・腕 を主 とし,頭 ,顔 ,ま た ,上 半身す べ てをあわせ 使 う こと もあ る。 また ,表 情 を もともな うもので あ る。 しか し,こ の場合 の表情 は,記 号 と して の表情 で あ って ,普 通 の表情 が 自然 の心理 的 な感情 の あ らわれ で あ るの とは違 った もので あ る。 この手 まねは,身 振 りで あ り,自 然発生 的 な ものが 多 いか らそ の殆 ん どは どこの 聾唖者 に も通 じる もので あ り,ま た聴 者 に も通 じる もので ある。 例 えば,「 考 え る」 な どは米 国 の 聾唖者 は人 さ し指 の指頭 を額 中央 あた り にあて るので あ るが , 日本 で は人 さ し指 の 指頭 を ,こ みかみ の上部 にあてて 指頭 に力を入 れて錐 で もむよ うにす る。即 ち,米 国 も 日本 も指頭 をあ て ると ころが少 し違 うとい うだけの こ とで あ る。 このよ うな 僅 か ず つの差 は,神 戸 の 聾学校 と大 阪 の聾学 校 との 間 に もあ り,い わ ば地 方差 ,即 ち,方 言 の違 い のよ うな もので ある。 しか し,或 る種 の ものは,限 られた者 の 間 に しか通 じない約束 ご とで ある もの もあ る。 例 えば,「 神戸市」 を あ らわす には,親 指 と人 さし指 で 輪 を つ くり,(他 の三 指 は開 いた まま)そ れを額 中央 にあてが う。 これ は楠 正 成 が菊水 の紋 を 染み ぬいた鉢巻 を しみた こ とか ら正 成を あ らわ し,戦 死 した兵庫 の地 とい う こ とで神戸市。 な ど。 手話 に対 して い う指話 とは ,文 字通 り指 だ けを使 うもので ,指 文字 ともい う。五 指 を い ろ い ろ と曲げた り伸 ば した りして五 十音 を あ らわす もので ある。 指 の形 によ って アイ ウエ オの一字―字 を あ らわす音節表 示 で ある。 手話が 一 語 を あ らわす な ら,指 文字 はかな の一 字 ,即 ち一音節を あ らわす もので ある。 指文字 は現在 の と ころ手話 の 補助 と して用 いてい る程 度 で ある。例 え ば. ,. 手話 には格助詞が ないか ら,特 に格 助詞 を あ らわそ うとす る と き に「 が 」.

(4) 鎌. 田. 55. 二. 良. 「 の」 な どの指文字 を用 い る。 また,人 名 な どで ,初 対 面 の人 に 自分 の名 を 伝 え るの に指文字 で一 字―字伝 え る こ とが ある。 手話 が 自然 の 身振 りを その母体 と して い るのに対 して ,指 文字 は全 く人工 的 に考 え 出 された もので ある。 現在 用 い られて い る指文字 は,大 阪市立聾学校前校長大 曽根源 助氏 が ,昭 和初 期]に 渡米 され 米 国 の聾唖者が使 っていた指文字 か ら ヒン トを得 て アル フ ァベ ッ トを基礎 に して五十音 を あ らわす こ とを発案 された もので ある。 しか し,こ の指文字 は現在 の と ころ大 阪方面 の聾唖者 が用 いて い る も の で ,ま だ全国 的 とは言 えないよ うで ある。 参考 のために指文字 を この稿 の 後 にあげて お く。 これ は大 阪市立聾学校 で 御教示 い ただ い た もので ある。 なお ,当 然 の こ となが ら,「 手話」 とは聾唖者が「 手 まね」 を使 って意志 を伝達す ることで あ り,「 手 まね」 の「 話」 で ある。 また,「 手 まね」 とい うのは,こ こで は聾唖 者 が身振 り語 として使 うもので あるか ら,「 手 まね」 と「 手話」 とは,そ の用語 を使 い わ けな けれ ばな らな い。 が ,「 手 まね」 を す る こ と,「 手 まね」 自身,「 語」 で あるよ りも「話」 で あるし,「 文」 で あ るか ら,こ の稿 で は「 手話」 は「 手 まねをす る こ と」 の意 で あ り,「 手 まね」 は「 手 まねの形」 を さす こ ととす る。 しか し,広 い意味 で 使 うとき特 に「 手 話 」 とい うこ とばを使 う こ とをお許 し願 いたい。. 2。. 類. 分. 何 を上 位分類 基準 とす るか につ いて は い ろ い ろの立 場 か ら考 え る こ とがで きよ う。が ,ま ず ,国 語学辞典 の手話 の項 (岩 井隆盛氏担 当)を 見 ると次 の よ うに分類 して い る。. (J. 指示身振―― 指 ,手 を使 う (例 ,明 日. 9)描 写身振―一 ④. 天気. 耳 目). 全 体 的描写. (例 ,舟 =形 ,. 風 =動 き).

(5) 記 号 と して の 手 話. 5δ. 部 間 示 を   ゴ は 手 人 例,   例, ち, 指 形 o の J r 一 〇 < O < 即 向 の る も 雨 氏 第 方 そ あ r r 端 の ,    て で  は   一 不 水 話 ヽ 指 と, つ の で り, 松 手 れ 0 ど よ も 話 な ,さ な に た 手 も て に し 務 は 称 ど し 類 対 な と も, J 対 勤 手 主 と い に に 分 の 目, 両 を つ 暑 れ 校 合 も r こ 学 こ 耳, ち, 場   は   聾. 分的描写 自動 車 =ハ ン ドル,. 牛 =角 ). 接的表示 白 =歯 ,. 夏 =う ちわ). 手で さし示す ことので きる身近かなもの一一 による もの―― 明 日,天 気など。9)描 写,即 じめす「 もの」である。「 もの」をあらわす. が同時に「 こと」である こともある。「 夏」. 「 降 る」に もな るのである。 まね入門」がある。松永氏は,も と大阪市立. ま 手 r の 氏 は て 氏   永   松     ,  て さ       五円   一 百   振   身               ら か 類 分 の こ   類 分 四 ? 振 身 徴. ところが多い。 ン トの 分 類. ][{[「. 彰 ]. らって ,指 示身振 ,模 写 身振 ,記 号身振 ,象. 振 身 成 構. 現 現 表 表 回 回 一   一一. うな分類 を試み る。 2. し   一 不   徴 対   指   象 に 0   0 り れ こ. (J. 者である。 この稿 の「 手 まね」の実際 につい. 指示身振. ここで い う指示身振 は単 に指 で さし示すだ けで はな く,先 に記 した記号 と して の表情 も合 む もの とす る。単 に耳や 目を さ し示す ものの 外 に,先 に記 し た「 考 え る」 のよ うに頭 を さし示 して ,し か も,錐 で もむよ うに動かす と こ.

(6) 鎌 田 良 二. 57. ろに考 えなやむ形 が ある。 このよ うに単 に さ し示すだ けで はな く動 くもの. ,. 即 ち,は じめの動作 ,こ めか み に人 さ し指指頭 を つ けるだ けの動作 な ら「 思 う」 の意味 にな り,そ れを錐 で もむよ うな第二 の動作が ある もの を三 回表現 とす る。 一 回表現 と二 回表 現 とに分 ける理 由は,話 の 相手 に とって ,理 解 の立 場 か らみて一 回で終 るのか ,次 の動作が あるのか ど うか とい う こ とは極 めて大切 な こ とで ある。 指示身振 に入 る もの を二三 あげる。 一 回表現 ,二 回表現 「 数」 =<1は 人 さ し指 ,2は 人 さし指 と中指 ,3は それ に薬指を ,4は 三 指 に小 指を加 え , 5は 親指だ けで他 の 四指 は折 りたたむ , 6は 親指 と人 さ し指 , 7は 中指を加 え , 8は さ らに薬指 を , 9は 小指を加 え るか ら全指 を開 いた形 にな る。 10は 親 指 と人 さ し指で輪 を作 る (他 の三 指 は開いたまま)> ここまで は一 回表 現で あるが ,20,30に な ると二 回表現 にな る。即 ち,<2,. 3を 表 わ した指 を曲げ伸 ば しす る>と い う動 きが入 る。 しか し,100は ,10の 輪 に 中指 を まげて添 え る。 1,000は 更 に薬指を,10,000 は更 に小指を添 え るので あるか ら一 回表 現 で ある。. 0は ,10の よ うに輪 を作 って ,そ の輪 に口を もって行 き,ふ っと息 を吹 き つ ける と同時 に人 さ し指 と親 指 を離 して輪 を こわす ので あるか ら二 回表 現 と な る。 「 い ろい ろ」 =<左 右何 れの手で もよいが ,胸 の前で ,右 手 の 掌を下 に向 け,指 頭 を左 に さした人 さ し指 と親指 の両 指 の 間をやや開 いて 掌 を,上 向 け に また下 向 けに反 転 させ なが ら,そ の 右腕 の肘 を右 に 引 いて行 く>こ れ は人 さ し指で ,「 あれ」「 これ」 とさ し,即 ち,「 あれ も」「 これ も」 の指示身 振 を親指 に も加勢 させ て一 度 に集約 した表 現 で あるとみ る。 反 転 させ なが ら 肘 を 引 く動作が あるか ら二 回表 現 とみ る。 「 父親 ・ 母親 」=<右 人 さ し指指頭 で 右 の頬 を さっと上 か ら下 に こす って, 次 に親 指 を出す と父親 ,小 指 を出す と母親 >二 回 の動作で ある。.

(7) 58. 記 号 と して の手 話. 国語学辞典 で は「 白」 を あ らわす のに「 歯」 を指す こ とは間接表示 とな っ て い るが ,こ のよ うな間接表示 はあま りに も多 い。 む しろ,直 接表示 は ご く 身近 な 自分 の耳 ,目 を さす よ うな ものだ けにな って くる。 上 に述 べ た「 父 ・ 母」 も間接表示 で ある。間接表示 が あま りに も多 く,直 接表 示 が あま りに も 少 ないので ,こ の 区別 は私 の場合 と らな い こ とにす る。 「 現在」 =<胸 のやや下方 で掌を下 に向 け五 指頭 を前方 に さした左 右両手 (僅 かの間隔 をお いて )で 空間を押 え るよ うにす る >. 「 過去」=<掌 を後方 に向 け五 指 の指頭 を上 に さした手 (左 右何れ で も可 ) を肩越 しに後方 へ押 しや る >過 ぎ去 った意。 「 未来」 =<掌 を前 に向 け五 指 の指頭 を上 に さし,手 を肩 の辺 か ら前方. へ. 押 し出す > この「 現在 ・ 過去 ・ 未来」 は,指 さす の と同 じで あるか ら指示本来 の もの で あるが ,私 は次 のよ うな もの も「 指示」 の 中 に入 れ る。 「 誰」 =<右 手 の 甲 の方 を ,同 じ側 の 右頬 にあてが う (五 指 の指頭 は後方 を さす )> 「 ず るい」 =<「 誰」 の場合 とよ く似 ていて ,「 誰」 の ときに手 甲を同 じ 側 の頬 にあてが うが ,「 ず るい」 は手 甲を その手 の反 対側 の頼 にあてがいそ の手 甲で頬 を僅 か に前後 に こす るので ある > 「 好 き」「 ―一 した い」 =<掌 を内側 に した手 の指頭 を上 に さした親 指 と 人 さ し指 を V字 に開いて顎 を挟 さむよ うに して ,そ の手 を下 へ 落す と同時 に 二 指 の指頭 を合 わせ る > 「 何」「 一― は ?」. (疑 問)=<掌 を左 に向 け五 指 の 指頭 を前方 に さした. 右手 を前 の方 に さ し出 して行 く> 「 大 丈 夫」「 で きる」「 可能」 =<掌 を右 に向 け五 指 の指頭 を上 の方 に さ した右手 ,そ の指頭 を反対側 の左胸 につ け (中 指 ,人 さし指 ,薬 指 の三 指 ば か りの指頭 が胸 につ く)て か ら次 に右 の胸 につ ける > 指文字 は先 に も記 したよ うに,手 まね とは一応異質 の もの と考 えた方 が よ いか と思 うが ,「 数」 を あ らわす手 まね と指文字 とが質 的 に も相 通 ず る もの.

(8) 鎌. 田 良 二. 59. が あると考 え られ るか ら,「 数」 を あ らわす手 まねを ここに入れ るな ら指文 字 も この 指示身振 りに入れ る方 が よい と思 う。 指文字 は この稿 の終 りに掲 げた通 り,バ は ハ の指 の かた ちをその まま横 に 動 か す ので あ り,パ は ハ のか たちの まま上 に移動 させ るので ある。他 の濁音 も同様 に清 音 のか た ちの ままに横 に動 かせ ば濁音 ,上 に動 かせ ば半濁音 にな る。 したが って,清 音 は一 回表現 ,濁 音,半 濁音 は三 回表 現で ある。 ただ し. ,. 後 の表 で見 る通 り,「 ノ」「 り」「 キ」「 ヱ」「 ヲ」 は三 回表 現 で ある。. 9)構 成身振 「 もの」をあらわす ときに,手 まねでその形,そ の構成を形づ くるものを 構成身振 とする。模写 とか,描 写 とかのよ うなもので ある。 「 かたち」 であ らわそ うとするのであるか ら自然 に「 もの」をあらわす場 合 が多 い。が,「 もの」を通 じて,そ の「 もの」を使 う「 こと」に もな り得 る。 構 成身振 の簡単 な もの と して「 家」 が ある。 <五 指 の指頭 を上 にさ した左 右両手 の 掌を平行 に向 かい合 わせ ,互 の五 指 を根元 か ら「 く」 の字形―― 屋 根 の形 に 曲げて両手 の 中指 の指頭 を つ け合 わせ て 家 の形 を つ くる。 つ ま り両 の手 の掌 の部分 は家 の壁面 ,五 指 の部分 を屋根 とみたて る >こ れ は一 回表 現 で ある。 二 回表現 と して「 ビル デ ィング」 が ある。 <「 家」 の場合 の五 指を曲げ な いで ,五 指 の指頭 を上 に さした ままに して ,そ のまま まっす ぐ両手を上 へ 移 動 させ て適度 な位置で とめてか ら,両 手 の五 指 を根元 か ら直角 に 曲げて ,両 手 を相寄 らしめて互 いの 中指 の指頭 を つ け合 わせ る。箱形 の建物 を あ ら わ す> 構成身振 は このよ うに全 体構成 の ほかに,部 分構成が ある。部分構成 は. ,. 全 体 をあ らわす こ とが 難 しいので ,そ の代表 として ,特 徴をあ らわす ので あ る。「 自動車」 を円 ハ ン ドルで操縦 す る真似をす る。 とか ,「 野球」 を ,両 手 で バ ッ トを持 って振 る身振 りをす るな どで あ る。 しか し,私 が ここで構成身振 を ,全 体構成 と,部 分構 成 との二 つ に分 けな.

(9) 記 号 と して の 手 話. δθ. か ったのは,全 体構成 とい って も,ど こまで あ らわせ ば全 体 とい え るか につ いて 難 しい ものが あ るか らで あ る。 また ,指 示身振 の方 に,間 接表現 とい う考 え方 があ ったよ うに,構 成 身振 の方 に も間接 的表 現 といえ るよ うな ものが あ る。 「 一― なので」「 ―一 だか ら」「 関係」 (接 続 )<親 指 と人 さし指で輪 を つ くった両手を 連繋 させ る。即 ち,輪 と輪 を鎖形 につ な ぐ>「 関係」 をかた ちづ くった もの とみ る。 に)象 徴身振 他 の 身振 が 自然 発生的な要素 が多 く,そ のために一 般 によ く通 じるものが 多 いが ,こ れ は Aを 表 わす のに,Bの 身振 を して ,Bの 性質 の 中 の或 る一 つ の性質 を もって ,Aで あ るとい うこ とを悟 らせ るので あ る。 だか ら,身 振 か らBを あ らわ して い るとい うこ とはわか って も,そ れか ら,Bを 通 じて ,A を あ らわ して い る こ とを知 らなけれ ばな らな いか ら難 しい と ころがあ る。 ご く限 られ た範 囲 の人達 の 間 の約束 ごととい う面 が強 くな る。 しか し,言 語 の性質 を考 え るとき,言 語記号 その ものが ,そ の言語集団 の 伝統 的 な 約束 ご とで あ る。 われわれ は一語一語 の語源 は知 らな くて も一 向 に さ しつ かえがな いので あ る。 しか し,象 徴身振 はわれ われが単 に語源 を知 らないで語 を使 ってい るの と は少 し性質 が違 うか もしれ ない。先 程 の「 Aを あ らわす の に,Bの 身振 を し て ,Bの 性質 の 中 の或 る一 つ か らAを 知 らしめ る」 とい う言 い方 か ら す れ ば,言 語 の語源 を知 らな い とい う場合 は ,Bの ことは何 も知 らず ,こ の 音記 号 (言 語音 )は. Aで あ る。 とい うことだ けを知 って おれ ばよい。 も とは こ う. い う意 味で あ ったがそれが変 った。 とか ,何 故 ,Aの こ とを この音連続 で あ らわす か,と い うこ とは問題 に しな くて よいので あ る。 しか し,象 徴身振 の場合 ,Bの 手 まねで ,Bそ の ものを あ らわす こ ともあ り,Aを あ らわす こともあるか ら面倒だ。 例え ば,「 東京」 とい う地を あ らわす のには ,言 語で あれ ば ,東 とか ,京 とか につい て は知 らな くて も,と にか く, トウキ ョウとい う音 記号 を用 い る.

(10) 鎌 田 良 二. δヱ. だ けで間違 いな く伝 わ るので ある。 が ,手 まねで は,ま ず ,太 陽 を あ らわ した両手 を あげて行 き「 東」 を あ ら わす。 この「 東」 で「 東京」 と理解 しな けれ ばな らぬ。 この場合 ,太 陽 が あ が る こ とを意 味す るのか ,東 を意味す るのか ,東 京 を意 味す るのかは,い わ ゆ る文脈 によ るとい う こ とにな る。 「 京都」 は, 日の入 る方 向 で ,太 陽 を あ らわ した両手 を下方 に向 けて (両 手 の人 さし指 と親 指 の 指頭 を下 に さ し)下 におろ して行 く。 「 大 阪」 は豊 太閣 の冠 を あ らわす。右手 の掌 を前 に向 けて指頭 を上 に さ し た人 さし指 と中指をやや彎 曲 して頭 部右上 につ けて僅 か に前後 に揺 らせ る。 太閣 の冠 につい た ビラビラを あ らわす。 「 横浜」 =<出 船入船で あ らわす。 指頭 を上 に さ した人 さ し指 と中指の手 で顔 の前 を左 右 に往復 させ る。沢 山 の格頭 での動 きを あ らわす。. 3。. 話. 法. 手 話 は言 うまで もな く常 に談話 と しての形 を もって あ らわれ る も の で あ る。 したが ってそ こに用 い られ る語 は,常 に会話 の 中 の生 きた語 で ある。 談話 において は「 ツ クエ」 とい う単語が ,単 語 と して単独 に 出 る こ と な く,そ れ は常 に「 机 が」「 机 の」「 机 に」 で あ り,ま た ,「 机 だ」「 机 が あ る」で ある。 中島文雄氏 は著書「 文法 の原 理」 で ,「 ツ クエ」 とい う記号 は意識 の対象 を喚起 させ るだ けの もので あ り,そ れを表 現す る ことは,既 に「 ツ クエ の」 「 ツ クエ に」「 ツ クエが」 とい う意識 の称 相が と もな うもので ある。 が ,こ こに あ らわれ る格 助詞 に意識 の称 相を ,「 ツ ク エ」 の部分 に意 識 の対象 を あ らわ して い るとみ るのは語形説 明 の便宜 と してはよいが ,機 能 論的 にはよ く ない。 と述 べ て お られ る。 手話 には格助詞 がない。文 の前後 か ら判断す るか ,ま たは,特 にあ らわ し たい 時 には,指 文字 を用 い る。.

(11) 記 号 と して の 手 話. δ2. が , 日本語 で は,「 の」「 が」「 に」 の格助詞 を「 ツ クエ」 の部分 と離 し て 考 え るが ,例 え ば,手 話 で「 机一一 在 る」 となれ ば,机 の存在 を示 した も ので あ るか ら「 机 が」 で あ る。「 紙―一 破 る」 は「 紙 を破 る」で ある。 手 まねで ,自 分 を指 させ ば,「 私 が」「 私 の」「 私 に」 で ある。 言語 の機能 と してみ るときは屈折語 も同 じで ,中. 1島. 氏 の 同書 で は さ らに次. のよ うに述 べ て お られ る。 ラテ ン語 の hOrtus(=garden名 格 )や ,hOrtum (対 格)で も,HOrt一 で庭を意 味 し,一 us,一. umで 名格 ,対 格 を意味す ると. とるので な く,心 理 的 な見方 をすれ ば hOrtusも hOrtumも 合体 で庭 を意 味 して い る。 そ して これ らの語 が文 中で どのよ うに用 い られ るか ,そ の用法 を 反 省す るときに,そ れぞれ の二 次 機能 がわか るので ,語 尾 の 一 usや 一 um か らは直接 何 もわ か らな いので ある。対象 の意 識 と作用 の意識 とは次元 を異 にす るけれ ど も一 つ の意識 で あ って ,語 幹 と語尾 との 区別 に平行す るよ うな もので はな い。 と。 このよ うな考 え方 は手話 の場 合 には と くに大 切な ことで あろ うと思 う。 手話 は本来 ,世 界共通 の もので あるべ き要素 を もって い る。必ず しも母 国 語 の文法 だ けには こだわ らな い。 言語学 者. ス キ ー ト(Ho SWeet)の 「 言語史」 で は,世 界 ど この聾唖者 で. も,「 青 い箱」 とい う表現 をす るには,自 国語 の語順 の如何 にかかわ らず. ,. 必ず ,ま ず ,「 箱」 を先 に表 現 してか ら,次 に「 青 い」 を表 現す るとい う こ とで ある。 これ は観 念 の重 い ものを先 に して ,そ の属性 は後 にす るとい う こ と で あ る。 しか し,私 が大 阪市 立 ,県 立神戸 の両聾学 校 で この ことをたず ねた と ころ. ,. 両 校 とも「 青 い」 と「 箱」 との どち らを先 にす るともきま っていない との こ とで ある。 もっとも,読 み とる方で は,「 青 い」 を先 に示 され ると「 青 い箱」 と読み と り,「 箱」 を先 に示 され ると「 箱 が青 い」 と読み とるので ある。 格助詞 がな い とい う ことは,語 順 をかな り自由 にかえ る こ とがで きる こと.

(12) 鎌. 田 良 二. δθ. に もな る。 小学校下級生 の場合 は一 般 の 日本語語順 とは必 ず しも一致せ ず ,自 分 の早 く表 現 した い もの を先 にす るので ある。 が ,上 級生 にな るにつ れて語順 も 日 本語 の一 般語順 に従 って くる。 語順 が変 るとい って も,主 語 ,述 語 ,修 飾 語 ,被 修飾語 の 間 の あとさきだけで ある。完 了 ,推 量 な どを あ らわす助動詞 表 現 は先 に来 る こ とは少 ない。 「 ∼ した」「 ∼ して」 =<上 向 けた左 手掌 の上 に右手掌 を叩 き合 わせ る >. Ho Sweetは さ らに「 聾唖者 の語序 は,持 続 的観念 ,ま たは,対 象 と して 考 え られて い る観念 をは じめに 出 し,こ れ を着色す る こ とを次 に 出す」 と言 ってい る ことを考 え るに. ,. 「 ビル デ ィン グ」 は先 に記 したが ,「 机」 は,掌 を下 に向 け,五 指 の 指頭 を前方 に さした両手 を左 右 にな らべ つ け合 わせ てか ら,両 手 を左 右 に離 し. ,. 次 に両手 の掌を向か い合 わせ 平行 に して下 へ おろす。即 ち,ビ ル デ ィングは. ,. 高 い建物 で あるか ら,上 に向か って行 くこ とを先 にす るので あ り,「 机」 は 平 たい と ころに机 の任務 があるので あるか ら,平 たい こ とを先 に表 わす こ と にな る。 「 道徳」 は「 心 が正 しい」 とぃ う順 で あ らわす ので あ って ,「 正 しい心」 ヽ で はない とい うの も 巨己 」 の方 を 持続 的観念 ,対 象 と考 え る観念 とす る。 受 身 ,使 役 を あ らわす もの と して独立 した手 まねはない 。 ただ ,「 な ぐら れ る」 は「 な ぐる」手 まねを 自分 の方 に向か ってす るので あ り,ま た ,「 A が Bを 愛 す る」 の場合 で あれ ば,Aを 男性 と して親 指を示 し,も う一方 の手 の小 指で B(女 性 )を 表 わす。 まず ,A男 性 を表 わ してか ら,一 方 の女性 を 示 して ,次 にAを 表わ した方 の手 の五 指を開 き,そ の 掌で B(小 指)の 指頭 の上 を撫で る。 この場合 ,女 性 の Bの 手 を 引込 めて しまって も,そ の女性 を 示 した位置 に両手 の 掌 を もって撫 で る身振 りを して もよいが ,そ の女性 を無 視 して ,違 った方角 に両手 で 撫 で る身振 をす るとAが Bを 愛 す るのか ,Bが. Aを 愛 す るのか ,主 格客格 がは っき りしな い ことにな る。 もっと も,最 初 に 示 した方 の Aが 主 格で ある こ とはわか らな い こと もな いが 。.

(13) 記 号 と して の 手 話. 64. 「 Bが Aに 愛 され る」 の場合 は,ま ず ,「 私 が愛 され る」 は 自分 自身 の胸 を両 手 で 撫 で る形 式 を とる。 同 じ要領 で ,Bを 主格 として女性 (小 指)を 示 し,そ れを胸 も とに引 きつ けて おいて ,次 に A(親 指)を 前方 の位置 に示 し てか ら,そ の手 で 胸 もとの Bの 小 指 の手 を「 私 が愛 され る」 のよ うに,そ の 手全体を前側 か ら撫 で る。 このよ うに して受 身 で ある こ とを あ らわす ので ある。即 ち,受 身,使 役 は. ,. 「 こ とが ら」 の 中 に入 って しま って い るので ある。 この こ とか らも,時 枝誠記 氏 の詞 ,辞 の分類 に,受 身 ,使 役 の あつ か いが 一致 す る ことが あるよ うに も思 え る。 自動 詞 ,他 動詞 の 区別 はな い 。 敬語 はな いが ,手 の動 きが ,丁 寧 で あるとか ,ま た ,手 まね全体を胸 の比 較 的上 の方 で すれ ば,丁 寧 な気持 を あ らわ して い る こ とにな る。 また ,「 花」 と「 咲 く」,「 雨」 と「 降 る」,「 春」 と「 暖か い」,「 夏」 と 「 暑 い 」,「 秋」 と「 凍 しい」,「 冬」 と「 寒 い」,「 夜」 と「 暗 い」 とはそれ ぞれ 同 じ手 まねで ある。 だか ら,松 永氏 は「去 年 の 冬 は寒 か ったが,今 年 の 冬 は暖 か い」の ときは. ,. 冬―一 寒 い一一 暖か い ,が それぞれ混乱す るか ら,「 年 一 つ過去―一 冬―一 大 へ ん一一 寒 い一一 しか し―一 年今 (今 年 )一 一 冬―一 適 しな い一一 寒 くな い」 のよ うにその意味を とって表 わせ ばよい。 と言 って い る。. 4。. 聾教育 と手話. 現在 ,我 が 国 の 聾学校 で は手話 に対 す る教育 上 の見解 が二 つ に分 れて い る。 即 ち,手 話 は禁止 す べ きで ある。 と,禁 止 す べ きもので はな い。 とで ある。 禁 止説 の方 が多 く。 その理 由 と して ,教 育 によ って 口話 がで きるよ うにな るので ある。 との信念 の も とで ,手 話 は 口話 の じゃまにな る。 口話を練 習せ ず に手話 にた よ って しま う。 聾学校 を卒業 して社会人 として世 に 出た場合. ,. 聾 唖 者 の 間だ けに しか通 じない手話 は役 に立 たない。 とい うので ある。 禁 止 す べ きで ない とい う説 は,手 まねは 自然 で ある。 自然 の表情 で ある。.

(14) 鎌. 田 良 二. 65. 人 間 の 自然 の表情 を禁止 す る こ とはで きな い。手話 と 口話 とは,方 言 と共通 語 とのよ うな もので ある。方言 は禁止 で きな い し,ま た ,禁 止 しな くて も. ,. 方 言 と共通語 の二 重生活 もで きる。 また ,方 言 で もの を考 え ,自 由に発表で きるの と同 じよ うに,手 まねな らば 自由に 自分 の意志 を発表 で きるものが. ,. 国語 で はそれ ほ ど 自由 にで きな い。発表意欲 をお さえ る もので あ り,思 考 を お さえ る もので ある。 口話 とい え ど,全 く音 のない者 に とって は唇 の動 きを見 て 読み とるだ けで ある。読唇 とい う こ とが どれ ほ ど大 へ んな苦労か。 一 歩 をゆず って手 まねは 奨励す べ きで はな い として も少 くとも禁止 す べ きもので はない とい うので あ る。 そ うして実際 には,現 在 ,我 が 国 の 聾学校 の殆 どは手話 を禁止す る方 向 に 向 ってい る。 ただ,大 阪市立 聾学校 だ けが手話 を 聾教育 の上 に認 め,日 話 の 補 助 として授 業 中 に もと りい れて い るよ うで あ る。 手話 を どの程 度 に教育 に と り入 れ るか。 あ るいは,む しろ禁止す べ きで あ るか ,と い う こ とにつ いて は 聾教育 に経験 ののない私 は とやか く言 う こ とは で きないが,言 語 とそ の補 助 と しての手話 ,ま た,聾 唖 者 の手話 とい う こ と を一般 的 に述 べ るな らば,次 のよ うな こ とが考 え られ る。 手 話 は「 こ と」 や「 もの」 を あ らわすのに非 常 に巧妙 にで きて い る。 が. ,. 先 に「 話法」 の項 で も述 べ た よ うに,ま た [参 考 1]の 例で もわか るよ うに. ,. 文 法上 の大切 な要素 を欠 いて い るので あ る。 文法上 の大切 な要素 を欠 いて いて も「 こ と」 や「 もの」 を 断片 的 にあ らわ す だけで一 応 は伝達 す る こ とはで きる。 格助詞 がない こ と,受 身 を あ らわす ものがない こ と,関 係をあ らわす もの が不完全 であ り,時 制 も不完全 とい うよ うな こ と。 この よ うな こ とは記憶 手 段 ,想 起手段 として も,一 つ の体系立 った思考 ,論 理 的思考を なす には非 常 に不 便で あ る。 単 な る心 像 に よ る実用思考 や 自我 意識 の表象 はで きて も論 理 的思 考 とい う 方面 では著 し く劣 るもので あ る。.

(15) 記 号 と して の 手 話. δδ. 1]に あ る よ うな形 で あ る こ とは ,手 話 を使 う こ と に よ っ て ,も の の 考 え方 自身 に も影響 を及 ぼ し,考 え方 自身 が この よ うな形 に な っ 手 話 が [参 考. て ゅ くと い う傾 向 がで き る。 例 え ば ,聾 唖者 の 作 文 で は格 助詞 の 使 い 方 が あ い ま いで あ る と い う よ うな 傾 向 も手 話 の 影響 の一 つ で あ ろ う。 手 話 は伝達 の補 助手 段 と して 使 うべ き も ので あ って ,思 考 の しか た に まで 影 響 を及 ぼ さな い よ う に 充分 注 意 す べ きで あ ろ う と思 う。. この稿を書 くにあた って,大 阪市立聾学校 福島 教諭,兵 庫県立神戸聾学校 神西千 代教論 の御教示 をいただ いた。 また,も と,大 阪市立聾学校教諭 松永端 氏 の著書「手 まね入門」 にお うところが多 い。 ここに記 して謝意を表す る。 〔参 考 1。 〕 手話 の実際 はどのよ うな ものか,ど の程度 に表現す るか,松 永端氏「手 まね会 話要項」 (日 本聴力障害新聞)よ り,そ の一 端 を参考と して あげ る。 あなたは先天性 の聾ですか。 アナターー 生 レルーー 同 ジーー 聾一一 カ。 ② いいえ,私 は後天性 です,五 才 の時病気 で高熱 のために失官 しま した。 違イマスー 私 一一生 レルーー耳一一大丈夫一一五才一一病気一一熱高 イ ーーータメーーー1聾 。. ①. ③ 少 しは聞えますか。 少 シーー聞クーー大文夫一一 カ。 ④ 全然だめです。 ムズカシイ。 ⑤ 五才で失官 されたのなら,言 葉 はおぼえて い ますか。 五才一一聾一一 言葉一一 オボエテーー イルカ。 ⑥ 少 しは覚えていま したが ,今 はす っか り忘れて しまい ま した。 レル。 少 シーー オボエルーー ガ (ケ レ ドモ)一 一 今 一一 ミンナーー 忘 ⑦ あなたが失官 された時は,大 へ ん御両親が嘆 きな さいま したで しょう。 アナターー聾一一大ヘ ンーー父母一一 悩 シイーー カ。 ③. はい。大へ ん悲 しみま した。 しか し,聞 えない人が この世 にた くさん居 っ て (そ れぞれ楽 しく生活 しているのを)見 て,悲 しみ も少 くなりま した。 ソ. ゥ. ス デ. (ホ. ン. ニ ト. ウ. )一. 一. 悲. シ. レ イ. ー. ー. ケ. ド. モ. ー. ー. 聾. 一. 世一― タクサ ンーーアルーー見ルーー 悲 シ ミーー 少 シ。. 一. 人. 々. コ 一. ―. ノ.

(16) 鎌. ツ. 工. ケ. 叩. 鰈. オ. ノ.   コ. オこ. Ⅳ. レ や0あ ″庁9 モ:. n w イ﹂ m ウ ・. 縣Ⅶ. セ. テ. 醐 ド Ⅷ ﹁ キ ク ・. チ. ニ ヌ. ソフ ^ 口 Ⅶ ﹂ ヒn. ユ. 鵬金、βヽヾ多 緊 ル由 レミ ネ. ョ. , ミ蟹 ム. 字 文. ヘ. ル一ジ  ス ソ ▲ ヽ. Vけ ″1か 絆N円. カ. 指. メ. ア サ タ. 〔参 考 2〕. 田. 良 二 ハ ナ マ ヤ. 蒟 り首 ル ヰ↑ い ︱ミ. ルbtt SWS ″“. ψ レ. ヱ↑面圏ψ. 口岬. / ヲ 応Ⅵν. よ. 校 た 学 い 聾  頂 立 一 不 市 教 阪  御 大 り.

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