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IRTreeモデルを用いた記憶手がかりの形成過程の検討

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IRTreeモデルを用いた記憶手がかりの形成過程の検討

Examination of the formation process of mnemonic cues using IRTree model

○山根 嵩史 Takashi Yamane

川崎医療福祉大学 医療福祉学部

key words:メタ認知,手がかり利用アプローチ,項目反応ツリーモデル; meta cognition, cue-utilization approach, IRTree model

学習者は,学習の遂行中に,学習内容の難易度や学習状況, 自らの学習状態などに関する様々なメタ認知的モニタリング を行うことを通じて,学習過程の意識的制御を行なっている。 メタ認知的モニタリングにおける手がかり利用アプローチ (Koriat, 1997) では, 学習の進行に伴って,モニタリングに利 用される手がかりが変化することを仮定している。学習者は, 学習の初期には刺激項目の特徴に関する手がかり (内在手がか り) および学習状況に関する手がかり (外在手がかり) を利用 した分析的なモニタリングを行うが,学習が進行するにつれて, これらの手がかりの利用経験をもとに,主観的な思い出しやす さの感覚である記憶手がかりが形成される。記憶手がかりの利 用は非分析的処理であるとされている。 記憶手がかりの形成過程については,未だ多くは明らかにな っていない。本研究では,単語リストの学習−再認テストを繰り 返す実験事態において,各再認課題における参加者の反応に対 して,意思決定プロセスの分析モデルの1つであるItem Response

Tree Model (以下IRTreeモデル) を当てはめることで,記憶手が

かりの形成過程を検討した。IRTreeモデルでは,ある項目に対

する参加者の反応は,いくつかのノードにおいて分岐する樹形 図状のプロセスを辿って生じると仮定する (De Boeck & Partchev, 2012)。ノード間の関係について,異なる仮定を反映し たモデルを比較することで,参加者の反応プロセスについて検 討することができる。例えば,Partchev & De Boeck (2012) では,

参加者の反応時間の中央値を用いて反応を分類し,“速い反応” における判断と“遅い反応”における判断が同一のものである かどうかを,モデル比較によって明らかにしている。 先述の通り,メタ認知的モニタリングの手がかり利用アプロ ーチでは,内在手がかりや外在手がかりに基づく反応は分析的, 記憶手がかりに基づく反応は非分析的であるとされている。 Partchev & De Boeck (2012) と同様に,反応時間に基づく反応の 分類を行うことで,記憶手がかりに基づく反応の性質や,学習 の進行に伴う記憶手がかりの形成過程について検討すること ができると考えられる。 方法 分析データ 山根 (印刷中) の実験2のデータを分析に用い た。山根 (印刷中) の実験2では,16名の参加者に対して,語の 特性 (モーラ数,単語親密度,出現頻度) を操作した刺激項目 リストを用いて,学習セッションと再認セッションを3度繰り 返し実施した。学習セッションにおいて,参加者は,各単語に ついて参加者ペースで学習した後に,想起可能性の判断 (JOL) を行った。再認セッションにおいては,参加者が再認課 題を行うごとに,回答に対する確信度の評定を求めた。 分析モデルとソフトウェア Partchev & De Boeck (2012) に 倣って,各セッションの再認課題における参加者の反応につい て,反応時間の中央値に基づいて分類を行った。中央値よりも 速い反応と遅い反応を分けるノード (ノード1) と,速い反応と 遅い反応のそれぞれにおいて正誤を分けるノード (ノード2,ノ ード3) の3つのノードを想定し,すべてのノードにおいて共通 の判断が行われると仮定するモデル (モデル1),ノード1のみ異 なる判断が行われると仮定するモデル (モデル2),すべてのノ ー ド で 異 な る 判 断 が 行 わ れ る と 仮 定 す る モ デ ル ( モ デル3) の3つのモデルの比較をセッションごとに行った。 すべての分析にR (version 3.5.3)を用いた。IRTreeモデルの当 てはめにはirtreesパッケージおよびbrmsパッケージを用いた。 結果と考察 各セッションにおける,それぞれのモデルの適合度指標を Table 1に示した。セッション3においては,モデル3が最も当て はまりが良かった。モデル3は速い反応と遅い反応における正 誤の判断が異なることを仮定しており,セッションの進行に伴 ってモデル3が支持されたという結果は,記憶手がかりの形成 過程を反映している可能性がある。 Table 1 各セッションにおけるモデルの適合度指標 引用文献

De Boeck, P., & Partchev, I. (2012). IRTrees: Tree-based item response models of the GLMM family. Journal of Statistical Software, 48, 1-28.

Koriat, A. (1997). Monitoring one's own knowledge during study: A cue-utilization approach to judgments of learning. Journal of

experimental psychology: General, 126, 349-370.

Partchev, I., & De Boeck, P. (2012). Can fast and slow intelligence be differentiated ?, Intelligence, 40, 23-32. 山根 嵩史 (印刷中). 反復的な学習−再認課題における記憶手が かりの形成過程 川崎医療福祉学会誌, 29, (頁未定). 推定値 SE 推定値 SE model_1 2628.4 76.6 2630.0 76.7 model_2 2616.2 75.7 2617.9 75.7 model_3 2617.2 75.8 2619.6 75.9 model_1 2792.7 65.5 2795.1 65.5 model_2 2788.0 65.1 2790.7 65.2 model_3 2787.6 65.1 2791.1 65.3 model_1 2397.6 71.6 2410.6 72.8 model_2 2387.6 70.6 2400.0 71.7 model_3 2377.3 69.7 2390.8 70.9 loo セッション1 セッション2 セッション3 セッション モデル WAIC

PT1-23

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