TiO2と比較して,アナターゼとルチルが混在する二相 性 TiO2は光触媒活性が向上することが知られている. われわれは,矯正歯科治療中の口腔内環境を改善する ことを最終目標とし,光触媒抗菌性を組み込んだ矯正歯 科用ブラケットの開発を目指している.本研究では,ル チル型 TiO2粒子を混合したゾル−ゲル法を行うことで, ステンレス表面に形成される TiO2層の結晶相の制御を 試み,その光触媒活性ついて検討を行った.また,コー ティング回数による光触媒作用の変化を評価した. 市販のルチル型あるいはアナターゼ型 TiO2粒子を分 級して TiO2前駆体ゾル液に分散させた.同分散液をデ ィスク状のステンレス基材に塗布し,乾燥後,600℃ に て 30 分間熱処理することで TiO2コーティング層を形 成した.TiO2コーティング層の結晶相は X 線回折法 (XRD)を用いて同定および定量し,深さ方向の元素分 布は X 線光電子分光分析法(XPS)を用いて評価し, TiO2コーティング層の表面形態は走査型電子顕微鏡 (SEM)を用いて観察した.光触媒活性はメチレンブル ー水溶液の退色速度から評価し,細菌付着量は細菌付着 試験により評価した. ルチル型 TiO2粒子を添加した TiO2前駆体ゾル液を用 いることで,二相性 TiO2コーティング層を得ることが できた.この際,仕込みのルチル型 TiO2粒子の割合か ら計算したルチル/アナターゼ比に比較して,実際に得 られた同比は大きくなった.また,二相性 TiO2はアナ ターゼ単相のものと比べて高い光触媒活性を示すこと, および,コーティング回数の増加により光触媒活性が向 上する傾向が確認された. 以上の結果から,前駆体ゾル液にルチル型 TiO2粒子 を添加してゾルゲル法を行うことで,最終的に得られる 二相性 TiO2コーティング層の組成を簡便に制御できる ことを示した.また,コーティング回数の増加は高い光 触媒活性の発現に有効であることを明らかにした. *5 マウス頭蓋冠臨界骨欠損モデルを用いた粒径の異な る α 型第三リン酸カルシウム顆粒の骨形成能の比 較 ○ 徳 田 知 子・本 田 義 知*・橋 本 典 也**・松 本 尚 之***(大 阪 歯 大・大 学 院・歯 科 矯 正,*大 阪 歯 大・中 歯 研,** 大阪歯大・歯科理工,*** 大阪歯大・歯科矯正) リン酸カルシウムの一種である α 型第三リン酸カル シウム(以下,αTCP と表記)は,経時的にヒドロキ シアパタイトへと転換する性質をもつ.さらに,高い骨 再生能力をもつことが広く知られており,歯科への応用 が期待されている物質である.しかしながら,骨形成能 と顆粒径の関係やその機序は完全には明らかになってい ない.本研究では,マウス頭蓋冠臨界骨欠損モデルを使 用し,2 種類の αTCP 顆粒の顆粒径の違いが骨形成能 に及ぼす影響を検討した. 実験材料として用いた 2 種類の αTCP 顆粒は,200 μm 以下,500600 μm(以下,αTCP 200, αTCP 600 と表記)に整粒し用いた.両顆粒の表面形状を走査型電 子顕微鏡(SEM)にて評価し,結晶の同定には X 線回 析(XRD)法を,分光学的解析にはフーリエ変換赤外 分光法を,比表面積の測定にはガス吸着法を使用した. 埋入時を模倣した顆粒間隙の測定には水銀圧入法を用い た.骨形成能は,8 週齢 ICR 系雄性マウス頭蓋冠に形 Improvement of photocatalytic activity of TiO2coating by the modified solgel method
Mayuko Awata, Masahiro Okada*, Takayuki Nambu** and Naoyuki Matsumoto***(Graduate Sch. Dentistry(Dept. Or
thodontics),Osaka Dental Univ.,*Graduate Sch. Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences(Dept. Biomaterials), Okayama Univ. and**Dept. Bacteriology and***Dept. Orthodontics, Osaka Dental Univ.)
We developed a modified solgel coating method with rutiletype TiO2 particles to control the crystal phase of the photocatalytic TiO2 layer coated on a stainless steel substrate. We demonstrated that the crystal composition(ana tase/rutile ratio)of the binary TiO2coating layer could be easily controlled via the modified solgel method by chang ing the concentration of the rutiletype particles. Binary TiO2 coating with a controllable crystal phase and an en hanced photocatalytic activity will contribute to the application of photodisinfective orthodontic dental brackets for im proving oral health during orthodontic treatment.
成した臨界骨欠損内に αTCP 200, αTCP 600 を埋入 したものを実験群,顆粒の埋入を行っていない群を対照 群とし評価した.実験期間は 4, 12 週とし,μCT を用 いた骨構造解析と,ヘマトキシリン−エオジン染色を用 いた組織学的定量解析を併用し両顆粒の骨形成能を見積 もった.さらに,骨形成の違いをもたらした機序を解明 するために,埋入後の顆粒を採取し,XRD 法により結 晶の転換挙動を評価した. SEM 画像観察により 2 種類の顆粒が整粒されている ことを確認した.整粒後の両顆粒間で,表面形状と結晶 構造に大きな変化は認められなかった.一方,比表面積 はそれぞれ αTCP 200 が 0.40 m2/g,αTCP 600 が 0.24 m2/g と異なった.粒子間隙のメディアン径は,αTCP 200 が 27 μm, αTCP 600 が 209 μm であった.骨形 成能評価において,4 週までは両顆粒間で大きな違いが 認められなかったものの,12 週では αTCP 200 が α TCP 600 に比べ,優位な骨形成能を示した.埋入 4 週 後の顆粒の XRD 測定から αTCP 200 がより速く骨欠 損内で転換されることがわかった. 以上の結果より,顆粒径の違いが骨形成能に影響を与 えることが本動物実験モデルでも確認された.過去のリ ン酸カルシウム系骨補填剤を用いた報告では,100 μm 以上の粒子間隙や孔径をもつ試料がより優れた骨再生能 をもつことが報告されている.一方,本研究では,100 μm より粒子間隙が小さい αTCP 200 が優れた骨形成 能を示した.その原因は不明であるが,αTCP は転換 時に種々のイオンの放出や取込みをする.さらに,これ らのイオンは細胞を活性化することが明らかとなってい る.これらの点を鑑みると,αTCP 200 が優位な骨形 成を促した一因として,生体内での転換挙動の違いが関 与している可能性が新たに示唆された. *6 α リン酸三カルシウムコラーゲンスポンジを用い た骨再生に対するインターフェロン γ とゾレドロ ネートの効果 ○ 李 佩 祺・橋 本 典 也*・本 田 義 知**・有 馬 良 幸***・松 本 尚 之***(大 阪 歯 大・大 学 院・歯 科 矯 正, *大阪歯大・歯科理工,**大阪歯大・中歯研,***大阪歯大・ 歯科矯正) 骨移植術において,人工骨移植が骨修復治療の普遍的 な方法として広く行われている.しかし,広域骨移植術 で吸収性の速い人工骨を移植した場合,骨再生が不十分 となり,結果として再手術,再移植を行うこととなる. 我々は,人工骨として開発した α リン酸三カルシウム /コラーゲンスポンジ(αTCP/CS)の骨移植効果を向 上させるため,ゾレドロネート(Zoledronate)とイン ターフェロン(IFN)‐γ を用いた破骨細胞形成抑制効果 による骨再生の促進を試みた. αTCP/CS はコラーゲン溶液に 150 mg/mL になるよ う αTCP を混合し,それを凍結乾燥と真空熱架橋を行 い,作製した.αTCP/CS は走査型電子顕微鏡(SEM) エックス線回折(XRD)ならびにフーリエ変換赤外分 光(FTIR)を用いて行った.8 週齢 SD 系ラット 28 匹 を用いて,頭蓋冠の中心に直径 9 mm,深さ 1 mm のク リティカルサイズの骨欠損を形成し,以下の 3 群につ いて移植を行った:αTCP/CS のみ,αTCP/CS+IFN γ , αTCP/CS+Zoledronate.すべての群について,実 験開始 6, 8 週後,μCT を用いたエックス線学的評価を 行った.さらに凍結標本を作製し,病理組織学的,分子 Comparison of the bone forming ability of different sizedalpha tricalcium phosphate granules using a critical size de fect model of the mouse calvaria
Tomoko Tokuda, Yoshitomo Honda*, Yoshiya Hashimoto** and Naoyuki Matsumoto***(Graduate Sch. Dentistry
(Dept. Orthodontics),*Institute of Dental Research,**Dept. Biomaterials and***Dept. Orthodontics, Osaka Dental Univ.) Alphatricalcium phosphate(αTCP)is thought to be a promising bone forming material for dental treatment. Nev ertheless, little is known about the optimal condition of granule size for inducing bone formation. We found thatαTCP granules with a particle size of 200 μm showed more superior bone forming ability than those of 600 μm in a critical size defect model of the mouse calvaria. These results suggest that the granule size is an important property for en hancing bone formation usingαTCP.