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遠隔看護システム開発の現状と展望

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Academic year: 2021

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(1)

遠隔看護システム開発の現状 と展望

北 山 秋雄 清水 嘉子 安 田 貴 恵子 太 田 克矢 長野 県看護 大学 要 旨 わが国にお ける高齢過疎現象 は、従来の ような里 山 (へき地

/中

山問地域や 島 しょ

)だ

けで な く、小都市 を含め ほぼす べ ての地方で加速度的に進行す る一方、医療の偏在や質の格差 もます ます拡大 しつつ ある。 この ような背景の下、

ICTを

用 いて、特 に里 山にお ける医療過疎 の解消のため に、

2002年

4月、本学 の看護実践 国際研究セ ンター看護地域 貢献研究 部 門に「遠 隔看護基盤研究 プロジェク ト」を立 ち上 げて世界最高水準 の遠 隔看護 システムの開発

/改

良 に着手 し、

2005

年 12月か ら種 々の臨床試験 を重ねて きた。 その結果、遠 隔看護 システム は、在宅療養者 と家族 介護者 の孤独感 ・不安感 の軽減等、高齢過疎 と医療過疎 の里 山を支 える次世代 のライ フライ ンツールであ るだ けで な く、地域 社会全体 を よ り健康 に変化 させ る可能性が示唆 された。 キーワー ド :遠 隔看護、里山看護、高齢過疎、医療過疎、ライフラインツール

1.は

じめに

わが 国の遠 隔医療 は、

1971年

に和歌 山県で連絡通信用 有線 テ レ ビ CCTV(ciosed circuitt tetevision)及 び電 話 線 を用 いて、映像 による直接 的な患者診療、心電 図伝送等 が行 われ た ことが始 ま りとされ てい る。

1990年

代 の飛躍 的 な情 報通信 技 術 の 開発 ・普 及 (IT革 命

)と

医療 費 の効 率 化 ・低 減化 の 中で、厚生 省

(1997)は

「情報通信機器 を用 いた診療 (いわ19)る 「遠隔診療」

)に

つ いて 」と題 し た健 康 政 策局 長 通 知 (健政 発 第

1075号 )を

出 して、 再 診 に限 り対面診療 しないで映像 に よつて診 断治療 して も医 師法第

20条

に抵触 しな い こ とを明示 した。

2003年

には 遠隔 医療 にお ける診療報酬 の対象 を膏佳島・へ き地 医療及び 慢性疾患 に まで拡大 した (医政発第

0331020号

)。 我 々は高齢過疎 と医療過疎 の進行す る里 山の在宅療養者 を対象 と した最先端の遠 隔看護 システムの特許 を出願 (出 願番号特願

2003302676)す

る とともに、臨床試験 を繰 り返 し、 その開発 に取 り組んで きた。今回、本学で 開発 し て きた遠 隔看護 システム (サラス)1)か が完成 の域 に達 し たので、 これ まで の臨床試験 の成果 と今後 の展望つ いて報 告す る。

2.臨 床試験

・用語の操作的定義 遠 隔 看 護 (telenursing or telecare) と は、「遠 干巨離 通 信 技 術

(ICT)を

用 い て 在 宅 療 養 者 と (家族

)介

護 者 の生 活 支 援 を 目的 と した看護 実践 」 の こ とで あ る。里 山 (satoyama)と は、「人間社会 とその生活環境 としての 自 然 が持 続 的 に共 存 関係 を維持 して い る地域 (農山村、離 島等

)Jの

こ とで あ り、 経験 的 には人 口

3,000人

以下 ま た は人 口密 度

10人 /km2以

下 の 地 域 を い う。 里 山 看 護 (satoyama nursing)と は、「人 間 と自然 が持続 可能 な共 存関係 にあ る地域づ くりのためにな され る生活環境 資源 を 開発 し活用す る看護実践」 と定義す る。遠隔看護 は、高齢 過疎 と医療過疎 の里 山を支 える次世代 の ライフライ ンツー ルで あ り看護実践で もある。 なお、本稿では遠隔看護 を遠 隔ケアの同義語 と見なす。 ・倫理的配慮 臨床試験 の映像情報 を通 して本人が特定 され る可能性 が あ るため、開示す る際 には事前 に承諾 を得 ること等 の説明 を尽 くした うえで、研究参加の同意 を得た。 なお、本研究 は長野県看護 大学倫理委員会の承認 を得て行 われた (審査 番号#34)。 第 I期 (1)シ ステム構成 の概要 遠 隔看護 を受 け る利 用者 宅 に設 置 したパ ソコ ン と大学 (ステー シ ョン

)に

設置 したパ ソコンを、専用の ソフ トウェ ア を用 いて イ ンターネ ッ ト (フレ ッツ・

ADSL 40M回

線) を介 して接続す る。通常、双方 の コン ピュー タを

24時

間 作動 させ 、利 用者 と大学 はパ ソコンに接続 されたカ メラ と マ イ クを使 用 して、 画像 (約

35万

画素、動 画 は

15画

/秒 )と

音 声 を同時 に送 受信 す る こ とがで きる。 大学 側 看護 師のデ ィスプ レイには、利用者 の映像 (最大約

16cm

× 21cm)、 看護 師の映像 (最大約

9cm×

9cm)、 お よび 利用者の基本情報 (氏名、住所、年齢 、家族歴、病歴、 緊 急連絡先等)力S出力 され る。バイタルデータ (体温、血圧、 脈拍)と血糖値等の入力 ・閲覧や交信時録画が可能 で あ る。 また、パ ネルボタ ンで緊急呼び 出 し、独 自開発 した ヨーガ ビデ オ の視 聴、携 帯 電 話へ の接続、 同時

3者

交信 等 を行 な うことがで きる。利用者宅 には通常 のキー ボー ドもマ ウ ス もない 【図1、 図2】。 マ イク 【図1】 不可用者宅のシステム構成 【図2〕 携帯電話への接続 (2)対 象者

A市

居 住で、 当時、 夫

(76)は

高血 圧症、妻

(71)は

高血圧症 と糖尿病 の慢性疾患 を有す る高齢夫婦。 (3)調 査期 間

2005年

12月∼

2010年

1月 (4)実 施法 図

3の

よ うに、毎 週 月 曜 日

18:00-18:30ま

た は 木曜 日

9:00-9:30看

護R市・保健師の臨床経験 を有す る本学 大学 院生 が対象者で ある高齢 夫妻の心身状態、機器 及び システム の具 合、 利便性、安 全 ・安 心感 等 につ いて、 当該遠隔看護 システム (サラス

)を

通 して情報収集 した。

(2)

〔図3】 遠隔看護システム (サラス

)臨

床試験風景 第II期 (1)シ ステム構成の概要 第Iナ引と基本 構成 は殆 ど変わ らないが、臨床試敗 の大兄枝 を拡大 して、対 象者

20名

のサ ムネ イル表示 と呼び 出 しバ トライ トを装備 した シ ステム に変更 した 【図4〕。 〔図4】 臨床試験対象者のサムネイルとパ トライ ト (2)対 象者 長野 県 の過 疎 地 域BⅢ「社 会 福祉協議 会 の 脇力 に よる、 町 内の高肺者

20名

。 (3)調 査期 間

2007年

5月 ∼

2007年

12月 (4)実 施法

B町

社会福祉 防〕議 会 を ステー シ ョンとして、通常、月曜 日∼金Π♂日

8:30-17:30社

会福祉 協議 会の職 員が対 象者の呼び 出 しに対応 した。 第 Ⅲ朗 (1)シ ステム構成 の概要

2008年

12月か ら本学 をフ レッツ

ADSL回

線か らひか り同線 「

Bフ

レ ッツ Jに 更新 して本 シ ステムの安定性 を評 価 ・確 認 した。

2009年

4月 か ら

ASP tt Web会

議 シ ス テムで国内 シェア

No lの

l+10ブイキ ュー ブの シ ア、テム と本 学が開発 して きた遠 隔青護 システム (サラ ス)を 融合 して、

2010年

2月「Webcomcare Salus」 力S完成 した。 (2)対 象者 第 J期 と同 じ高齢夫婦 (夫 (81)│よ 高11と圧症、妻 (76) は高血圧庁 と糖 尿 病 の慢 性 疾 患 を有す る

)と

A市

か ら約 1 50Knl離 れた

C市

居住で高血圧症、変形性鵬椎症 と変形 ′際門節症の独居老婦人 (84)ぉ 【図5】 C市 居住の独居老婦人 【図6】 センター側画面(左側DB) (3)調 査期1鋼

2010年

2月∼

2010年

5月現在 (4)実 施法

.

隔週 月曜

[118100-18:30ま

た は木曜 日

9100-9:30、 奇護 “ F保健印「チt許 を有す る本学教員が対 象 肝の心 身状態、 シ ステムの 具合、利 匝性、安全 安心感等 につ い て、「Webconlcare Salus」 を とお して1背報llК集 して きた。

3.考

通常、遠隔 医療 (telennedicine)は 医療機関同士の通信 手段 による情報交換 を前提 としている。一方、遠隔看護は 通信手段 に よる在宅療養者 と (家族

)介

護者 の

24時

間の 生 活支援 を 目的 と した看謹 実践 で あ る。我 々は平成

17年

度以 来、学術振興 会の科学pfttli市助 金基盤研究

(B)を

けて遠隔看護 シ ステムの研究開発 臨床試験 を実施 して き た。 第 1期 の臨床試駁 の成果 につ いて は諸誌1)° で 発表 の と お りで あ る。す なわ ち、利 用者側 は、

24時

間 見守 り (プ ライバ シー保護 のため シー ル ド選択 が可能)、 ボ タ ンを押 す だ けです ぐに看護師が対応 して くれ る とい う緊急通報の 利点、家族 介護者 の不安 の軽減等 を挙 イナていた。一方、セ ンター側で は、第一 に、視覚的に住宅療養 音の状態が把握 で きるため よ り質の高 い情報 と安心感が得 られた こと、家 族 介護者か らも気軽 に相談 して もらえるので タイム リー に 適Lァlなア ドバ イ スがで きた こと、必要 なひ とに必要 な とき 必要 なだ け訪「可育謹サー ビスが提 供で きるので効果的・効 率的 ある こと、 不必要 な家庭訪「]が少 な くなるので訪円看 謹RTのス トレスも怪減 され ること等の利点 を挙げていた. 第H期の臨床試敦 は、対象者 を

20名

に拡 大 した。 当該 期で は、特 に利用者 同士の会話 を可能 とす ることに よって、 利用頻度が増 して機器 に対す る違和感が減少 した。利用者 に対 す るサ ポー ト態 勢、 光 回線網へ の移行、月額約 1万 円の負担 のあ り方等が課題 として表 出 した。 第 Ⅲ期の印床試耽 は、第

H期

の臨床試駁で課題 とされた サ ポー ト態勢 と光 臣1線網 へ の移 行 に取 り組 んだ。

ASP型

Web会

議 シ ステムの採用 とひか り回線 「

Bフ

レッツ Jの 移 行 に よって大 きな課題 を克服す ることがで きた。完成 した 遠 隔看護 シ ステム「

Webcomcare SalusJは

内蔵す る電 子 カルテ

(DB)と

一l本化 して お り、 在宅 高齢 者 だ けで な く 在宅次モ産帰等のll十康管チ甲に も利活用す る臨床試駄 にす児在取 り組んで いる。 今後の展望 として、 里山の一般家庭へ の普及 に よって 見 守 り 。助 け合い 支援が容 易 とな り、独居高齢者等が安心 し て暮 らす ことがで きるようになるとともに、地域社会全体 が よ り健康 に変化す ること力S期待 され る

.現

在、遠隔肴護 を中核 と した 「スーパーユ ビキク ス ・コ ミュニ テ ィサー ビ スプロジェク ト (略称 I SUCOS Project)」 を 自治体 と立

(3)

ち上 げて いる。現在の課題 は、本 ンステム と関連機 関 との 夜 間の緊急通報態勢の構築 と人材確保で あ る。医療費 の低 減化・効率化が求められる昨今、特に里山で暮 らす人々の 生活支援に里山看護 と並んで、遠隔看護は不可欠の看護実 践ツール と見なす ことがで きる。 本研究 は、平 成

20年

度 ―平 成

23年

度 日本学 術振興 会 の科学 研究補 助 金基 盤研 究

B(課

題 番 号

20390574)を

受 けて実施 して い る。協 力企 業:いタ カ ノ、知識工学い 、 い

VCUBE

参考文献

1)北

山秋雄

.在

宅生活支援 にお けるITの活用

.日

本在 宅ケア学会

2004;8(2):13-17.

2)北

山秋雄

.里

山にお けるIT活用 の可能性 につ いて 一 遠 隔看 護 の視点 か ら―

.日

本 ル ー ラルナー シ ング学 雀編志

2007:15-21.

3)北

山秋雄 〕安 田貴 恵子 】清水 嘉 子

.里

山 にお け る遠 隔看護 システム の活 用 に関す る検討

,日

本遠 隔 医療 学会雑誌

2008;4(2):309-310.

(4)

参照

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