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バンドン日本人学校におけるインターンシップ

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Academic year: 2021

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バンドン日本人学校におけるインターンシップ

伊 藤   隆・小 沼 美 穂・坂 口   杏

高 橋   南・小 林 香 織・榊     勉

群馬大学教育実践研究 別刷

第38号 27~39頁 2021

群馬大学共同教育学部 附属教育実践センター

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バンドン日本人学校におけるインターンシップ

伊 藤   隆

1)

・小 沼 美 穂

2)

・坂 口   杏

3)

高 橋   南

4)

・小 林 香 織

5)

・榊     勉

6) 1)群馬大学共同教育学部数学教育講座 2)群馬大学教育学部理科教育講座(在学時) 3)群馬大学教育学部理科教育講座(在学時) 4)群馬大学教育学部英語教育講座(在学時) 5)在インドネシア日本国大使館附属バンドン日本人学校 6)在インドネシア日本国大使館附属バンドン日本人学校 バンドン日本人学校におけるインターンシップ 伊藤 隆・小沼美穂・坂口 杏・高橋 南・小林香織・榊  勉

Internship at Bandung Japanese School

Takashi ITOH

1)

, Miho KONUMA

2)

, Anzu SAKAGUCHI

3)

Minami TAKAHASHI

4)

, Kaori KOBAYASHI

5)

, Tsutomu SAKAKI

6) 1)Department of Mathematics, Cooperative Faculty of Education, Gunma University 2)Department of Science, Faculty of Education, (when in) Gunma University 3)Department of Science, Faculty of Education, (when in) Gunma University 4)Department of English, Faculty of Education, (when in) Gunma University 5)Bandung Japanese School affiliated to Embassy of Japan, Indonesia 6)Bandung Japanese School affiliated to Embassy of Japan, Indonesia

キーワード:日本人学校、インターンシップ、在外教育施設

Keywords : Overseas Japanese School, Internship, Educational Institution Overseas

(2020年10月30日受理) 1.はじめに  群馬大学教育学部は、平成26年9月に在外教育施設 であるバンドン日本人学校でインターンシップを開始 した。その前年度の9月、筆者の一人である伊藤は、 バンドン日本人学校を訪問する機会を得た。その折、 群馬大学教育学部国際交流委員会で企画していた在外 教育施設でのインターンシップとその趣旨を、佐藤邦 壽校長に説明させていただいた。さらに佐藤校長に、 バンドン日本人学校での群馬大学学生によるインター ンシップを申し出たところ、趣旨にご賛同いただき、 翌年の平成26年から全国初の海外日本人学校でのイン ターンシップを開始することになった。この7年の間 に、佐藤邦壽校長(平成25、26年度)から、櫻田弘道校 長(平成27~29年度)へ、そしてバンドン日本人学校現 校長の榊勉校長(平成30年度~令和2年度現在)へと、 このインターンシップ活動は引き継がれ、学生の海外 における貴重な学び及び実践として継続されてきた。  学生の参加としては、平成26年度に、小森谷紘之 (数学専攻4年)、五十嵐良輔(数学専修修士2年)、 平成27年度、外山佳奈(数学専攻4年)、大木紀彦 (数学専修修士1年)、平成29年度に、大塚光輪(数

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学専攻4年)中林帆香(数学専攻4年)、平成30年度 に、板倉菜美子(家政専攻3年)、高橋彩也佳(社会 専攻4年)、令和元年度に、小沼美穂(理科専攻4 年)、坂口杏(理科専攻4年)、高橋南(英語専攻4 年)が参加するなど、これまで、11名の学生が、バン ドン日本人学校でインターンシップを行ってきた。年 ごとに多少の違いはあるが、概ね2週間のバンドン滞 在である。  教員側として、群馬大学からは伊藤がバンドン市に あるインドネシア教育大学と群馬大学の大学間協定交 流や学術交流の機会を活かし、ほぼ毎回バンドンへ同 行してきた。また、平成29年度に河内昭浩准教授、平 成29、30年度に前田亜紀子准教授の参加協力を得た。 それぞれバンドン日本人学校の児童、生徒に向けて授 業を行い、バンドン日本人学校の先生方にも参観いた だき、教員間の交流も進めている。  この稿では、令和元年度に実施したバンドン日本人 学校におけるインターンシップ活動を記載する。3名 のインターンシップ参加者、小沼美穂、坂口杏、高橋 南は、実践とそこから得た様々な知見および感想を卒 業前(教育学部の名称が令和2年度に共同教育学部へ 変わる前)に、草稿としてまとめた。さらに、受け入 れ先であるバンドン日本人学校から準備段階より学生 の指導に当たっていただいた小林香織教務主任とイン ターンシップ全体の運営に関しご協力をいただいた榊 勉校長に執筆を依頼した。  令和元年度、文部科学省:『国立教員養成大学・学 部、大学院、附属学校の改革に関する取組状況につい て』において、群馬大学のこのインターンシップが、 文部科学省により、グッドプラクティスに選出された ことから、他大学からの問い合わせも多い。インター ンシップ開始までの一連の準備、実践、事後を学生、 指導者の両面から教育実践として報告する。  令和元年度のインターンシップ終了後、群馬大学教 育学部とバンドン日本人学校は、このインターンシッ プに関する協定を令和2年3月に締結した。詳細は、 榊校長に記載していただいた。 2.インターンシップの年間スケジュール  約1年にわたりインターン生の募集開始から、準 備、事前指導、実施、報告会(事後指導)まで、令和 元年度のインターンシップは次のスケジュールで行わ れた。(毎年概ねこのスケジュールに沿った形で実施 している。) 表1 令和元年度年間スケジュール 日程 活動 内容 5月中旬 日 本 人 学 校 イ ン ターンシップ説明 会 募集開始 6月中旬 インターン生選考 志望理由書 面接 7月中旬 インターン生合格 者発表 9月12日 第1回事前指導 バンドン日本人学校紹介 滞在日程確認 航空券購入 ホテル予約 10月23日 第2回事前指導 インドネシアの地理・気 候、宗教、歴史、言語に ついて、学生による発表 11月6日 第3回事前指導 群馬大学訪問中のインド ネシア教育大学の先生方 3名との交流、日本人学 校での担当する学年や教 科の希望確認 12月4日 危機管理オリエン テーション 留学や海外渡航中の危機管理についての講習の受 講 12月12日 第4回事前指導 配属クラス、スケジュー ルおよび教科内容の確認 1月10日 第5回事前指導 必要書類、持ち物、スケ ジュールの再確認 1月12日 出発(往路) 羽田発 ジャカルタ経由 バンドン着 1月13日 ~ 1月24日 インターンシップ 実践 バンドン日本人学校での参観、授業、活動、現地 校との交流等 1月25日 帰国準備 まとめ 1月26日 出発(復路) バンドン発 ジャカルタ経由 1月27日 帰国 羽田着 2月5日 報告会 学生発表 事後指導  次の表は、小林教務主任に作成いただいた2019年度 バンドン日本人学校におけるインターンシップ日程表 である。

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 インターンシップは、日程表に則した形で実施され た。まず、インターン生3名(小沼、坂口、高橋)が 卒業前のそれぞれの視点からインターンシップを記述 する。 3.インターンシップ活動(小沼美穂) 〈インターンシップについて〉  インターンシップは令和2年1月13日から1月24日 まで行った。インターンシップの1週目は先生方の師 範授業を参観させていただいたり、先生方一人ひとり から講話していただいたりした。2週目に実地指導を 行った。配属学級は小学校5年生だったが、授業は 小学校5年生の理科「ふりこの動き」(3時間)のほ か、小学校6年生理科「てこのはたらき」(3時間)、 小学校2年生国語「なかまのことばとかん字」(1時 間)、小学校4年生国語「詩を書こう 野原に集まれ」 (1時間)の合計8時間担当させていただいた。  出勤は毎朝7時半、職員会議に参加した後、児童生 徒と朝の会を行った。児童生徒数が総勢20名ほどと少 ないため、朝の会・昼食・委員会・行事などは合同で 行うことが多い。縄跳び集会の練習時期のため、朝の 会が終わると児童生徒全員で長縄跳びを行った。  8時10分から1校時が行われ、11時50分に4校時が 終了した。5校時は12時55分から行い、小学部は6校 時(14時35分)まで、中学部は7校時(15時30分)ま で学習をしていた。小学部は45分、中学部は50分で授 業が行われていたが、休み時間で調整を行うことに よって授業の始まりをそろえていた。昼食は曜日に よって学年ごと、委員会ごと、全体など形態が異なっ た。放課後は放課後スポーツクラブという体力づくり 活動が行われており(低学年が火曜日、高学年と中学 生は木曜日に実施)、インターンシップ中はエアロビ クスを行っていた。放課後学習では漢検の受検に向け て学習を進めていた。また、塾がないため中学生はバ ンドン塾という放課後学習で試験対策などを行ってい た。  インターンシップ中に現地校であるスティアブディ (Setiabudhi)校との交流会があった。本年度は日本 人学校の児童生徒がスティアブディ校に出向いて交流 を行った。スティアブディ校の子どもたちは民族の 踊りやテコンドー、伝統的な楽器を用いた演奏を披露 し、手旗信号を教えた。日本人学校の児童生徒は花笠 音頭を披露し、「あんたがたどこさ」で一緒に遊んで いた。 〈事後報告会〉  事後報告会は帰国後の2月5日に実施した。本イン ターンシップの概要と授業を通して感じたこと、滞在 中の様子などを報告した。 〈インターンシップを通して学んだこと〉  授業をしていて感じたことは、どんな環境であろう とも、子どもたちがどのような経験をしていようと も、目の前の子どもの実態に合わせた支援をすること の大切さである。  5年生の理科の授業において、授業の流れを定めて 行ったが、最初は上手くいかなかった。原因は、子ど もたちの習熟差に合わせられていなかったためであ る。5年生の児童2人は日本で暮らしていた経験に差 があったためか、特に習熟差が大きかった。そこで、 担当教員の助言を得て、次の授業からは、授業のねら いとは別に授業内に達成させる目標を個別に設定を し、そのためにどのような発問・支援をするかを考え た。これによって授業を理解するうえで最低限必要な 支援は何か明確になった。また、例えば課題の進み具 合に差ができてしまっても、つまずいている児童を支 援している間、課題を終えた児童には別の視点や作業 を与えてより考えさせたり時間調整を行ったりするこ とができ、児童全員が流れを理解したうえで授業を進 めることができた。授業の最後に、実験で導いたふり この1往復にかかわる要素を意識させながら授業の導 入で使ったブランコに乗せた。実験で導いたとはいえ 実際の道具を使った体感と結びつきにくいのか、最初 表2 インターンシップ日程表

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は間違えてしまった児童もいたが、特に教師が正すこ となく児童間のやり取りを通して納得して間違いを正 していた。このやり取りは児童2人とも授業内容を理 解したからこそ行われたものと感じた。  6年生の理科では、てこの仕組みを利用した道具探 しなどの授業を行った。このクラスの授業で心掛けた ことは、児童が楽しく取り組みながら授業のねらいを 達成できるような活動を考えることだった。このク ラスは日本で暮らしていた経験や日本語能力はさほど 差がないが、理系科目に対する苦手意識の差があった ため、できるだけ楽しく取り組める活動を設定した。 しかし、1時間目は理解度に差が出たり、活動あって 学びなしの状態になってしまったりした。そこで2時 間目は支点・力点・作用点がどんな点であるかをもう 一度丁寧に確認し、その後、1時間目で扱った道具の どこの部分が該当するのかを調べさせたり、道具を持 つ位置によって力の加わり方が変わることを確かめさ せたりした。これによって児童たちは、1時間目に何 となくてこを利用していると思った道具や、てこの仕 組みを利用しているか見当もつかなかった道具につい て、視点を持って道具を使い正しく判別することがで きるようになった。  授業を考えている段階では、視点の意識づけに時間 をかけ過ぎているのではないかと思った。しかし、実 際に授業をしてみて、授業のねらいを達成するために は、授業の核になる部分を導入部分から意識づけるこ とは極めて重要で丁寧に行う必要があると思った。思 うように教材が手に入らないことも苦労したが、試行 錯誤して教材を作るのは楽しく、子どもたちが理解し てくれた時はやりがいを感じた。  4年生の授業では、自分から発想するのが苦手な児 童らであると聞いていたため、対話によって自分の意 見を考えやすくなるように心掛けた。2年生は弱視の 児童がいたので、文字の大きさや机に向かっていると きの姿勢を正すなどの配慮もして授業を作った。  インターンシップ全体を通して学んだことは、子ど もたちの特性を多面的に把握することの大切さであ る。なぜなら、一人ひとりまったく異なる出自や生活 が得意不得意に影響し、ある一場面だけでは推し量れ ないからである。インターンシップ中に学習発表会で 行われる劇の練習を参観した。セリフからナレーショ ンまですべて英語で行われるものだったが、国語や算 数の授業で苦戦している児童がセリフの多い主役を流 暢にこなしていたので驚いた。インドネシアで暮らし ている年数の方が長いそうで、注意して見るとインド ネシア語も他の子どもより得意だった。もし国語や算 数の授業しか見ていなかったら、おそらく私はその子 の実態を誤って捉えていただろう。  子どもの実態を把握することの大切さは日本での教 育実習でも感じたが、日本人学校においては慣れ親し んだ文化や習慣、日本語の習熟度などに日本の学校よ り大きな差があるため特に大事だと感じた。また、バ ンドン日本人学校においてすごいと思ったのは、子ど もたちは苦手なことがあっても、前向きに取り組む姿 勢を持っていたことである。この主要因は、日本人学 校の大人も子どもも苦手なことに対して寛容なことだ と考える。子どもたち達は出自がバラバラな上、異年 齢集団で活動することが多い。そのため得手不得手は それぞれ違うということを、身をもって理解してい る。したがって、必要以上に相手を責めたり、比べた りしない。少人数の学校で教師の支援がしやすいから というのも一因であろうが、相手の苦手なことに対す る寛容さが、より前向きに取り組む姿勢に影響してい るといえる。私も、これから日本で教員をしていく際 には色々な分野の場や役割を設定し、子どもたちが達 成出来たら認めることで、できないことにも挑戦する 雰囲気を作りたいと思う。 〈現地校の授業参観を通して〉  令和2年1月15日にインドネシア教育大学附属小学 校で4年生の理科、同大学附属中学校では1年生の理 科で細胞の分野を、レンバンにある中学校では3年生 写真1 授業風景(小沼)

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の理科で、圧力の分野を参観させていただいた。特に 印象的だったのは小学校4年生の理科である。授業内 容は班でどんなものが磁石に付くのか調べるという日 本の教育でも行われる内容だったが、バイリンガル教 育をしているそうで、物質名がインドネシア語と英語 で書かれた表が配られ2つの言語を用いた授業をして いたことが印象的だった。 (小沼美穂) 4.インターンシップ活動(坂口 杏) 〈インターンシップについて〉  1月13日~1月24日の期間に、バンドン日本人学校 でインターンシップを行った。7時30分に出勤し、7 時40分からの職員会議に参加した後、7時45分から の朝の会に参加した。朝の会は全校の子どもたちもい て、元気に挨拶をした。朝の会の後、長縄大会に向け ての練習が行われていた。長縄練習の他に、日本人学 校の先生方の出身県についてお話があるときもあっ た。8時10分から14時45分まで1~6校時の授業があ り、その後16時30分までは子どもと関わったり、先生 方と打ち合わせを行ったりした。放課後にはエアロビ クスをするときや、漢字検定に向けた補習授業がある ときもあった。昼食については、学年混合で食べる日 や、委員会や係で食べる日など曜日により異なってい た。はじめの1週間は主に授業を参観し、2週目から 授業を行った。授業の参観は主な担当教科の理科だけ でなく、社会や英語、生活科など多学年・多教科に渡 る授業を参観させていただいた。また、私は配属学年 が小学部3、4年生であった。授業は国語2時間、理 科6時間の計8時間行った。国語は小学部3年生のみ であったが、理科については小学部3年生、4年生、 中学部2年生について行った。バンドン日本人学校は 全校の人数が20名ほどと少なかったため、自分の配属 学年はもちろんのこと、他学年の児童生徒と関わる機 会もたくさんあった。  なお、1月15日のみ、バンドン日本人学校と現地校 の交流会があり、スティアブディ校にいき交流会の様 子を見学した。  また、1月14日にはインドネシア教育大学において インドネシアの教育システムについて講義をしていた だき、附属小学校・中学校、およびレンバンという町 にある中学校の見学をさせていただいた。インドネシ アの子どもたち、そして先生方は明るく、フレンド リーであった。また、インドネシアの教育では、公立 の学校においても宗教の授業が行われているそうで、 日本と大きく違った。授業の様子は日本と似ていると ころも多かったが、パソコンを用いた学習も行われて おり、ICTを積極的に活用している印象であった。 〈インターンシップを通じて学んだこと〉  私は、日本人学校でのインターンシップを通じて、 学んだことが4つある。1つ目は、笑顔でコミュニ ケーションをとることの大切さについてである。日本 人学校そしてインドネシアの現地校の先生方・子ども たちは、明るく、笑顔が印象的であった。笑顔で挨 拶し、コミュニケーションをとることで、お互いを理 解し合おうという気持ちがより強くなると感じた。特 に、日本人学校に通う子どもたちは、生い立ちも出身 地もそれぞれ異なる。しかしながら、互いの違いを認 め合い、助け合って生活できていた。笑顔でコミュニ ケーションをとることで、違いを恐れず受け入れるこ とができていると思った。私自身、子どもたちと笑顔 で接することで、子どもたちも私を受け入れてくれ て、たくさん関わることができた。また、インドネシ アの現地校の先生方に会うときは緊張してしまった が、現地校の先生方が笑顔で話しかけてくださったお かげで、私自身も笑顔で話すことができた。笑顔で接 することが、互いの違いを認め合うことにもつながっ ていくと考えた。  2つ目は、自分自身が楽しんで授業を行うことの大 切さである。バンドン日本人学校の先生方は生き生き 写真2 授業風景(坂口)

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としていて、それぞれの先生方は「この授業はここが おもしろい」という点を考えながら授業を構成してい た。指導してくださった先生は、子どもの気づきを大 切にして授業を行っていた。授業で捉えさせたいね らいをはっきりと立て、その上で子どもたちに様々な ことを気づかせることで、新たな疑問が自然ともてる ようにしていた。私は、授業を型にはめようとしてし まうことが多かった。しかし、このインターンシップ で、「この授業で興味深いところはどこか」「子どもた ちはどんなことに気づくか」をより深く考えるよう になった。授業を行う教師自身が、「おもしろい」と 思って授業に臨むことで、それが子どもたちにも伝わ り、子どもが様々な気づきを得られることにつながる と感じた。また、日本人学校の先生方はそれぞれ目標 をもって仕事に取り組んでいた。目標を決めて仕事に 取り組むことで、「子どもたちのためにこんなことが したい」ということがはっきりし、仕事に生き生きと 取り組めると考えた。私自身、職に就いたときには、 目標を定め、自分自身が楽しみながら授業を行いたい と思った。  3つ目は、伝えようとすることの大切さである。今 回のインターンシップでは、日本人学校だけでなくイ ンドネシア教育大学や現地校に行く機会もあった。そ こでは、現地校の先生方や大学の教授とお話しする機 会もあった。私は英語で話すことはあまり得意ではな いが、なんとか自分の言いたいことを表現しようと努 力した。インドネシア人の先生方も話したいことを理 解しようとしてくださり、伝えようという気持ちをも つことがとても重要であると思った。伝えたいという 気持ちをもつことで、インドネシア語や英語につい てより興味が増し、学びたいと思うようになった。ま た、日本人学校においても、日本語があまり得意では ない子どもがいた。そういった子どもに対して、様々 なアプローチをし、伝えようとしていることをくみ取 ることも大切であると思った。そして、外国語を指導 する際には、恥ずかしがらずに、伝えようという気持 ちをもってコミュニケーションをとれるような指導が したいと思った。  4つ目は、外国籍の子どもに対する指導の仕方であ る。日本人学校には、インドネシアに長期間住んでい る子どももいた。そういった子どもたちは学校でし か日本語が使う機会がない場合がある。そして、日本 語が苦手な子どもは、授業についていけなくなってし まう可能性がある。先生方は、個別で指導することも あり、授業中の子どもの様子も気にかけていた。本人 に合わせて、諦めず指導することが大切であると思っ た。また、今回のインターンシップでは、私が海外に 行ったことで、言葉が通じないもどかしさを体験す ることができた。教師として、外国籍の子どもを受け 持った際には、子どもたちが感じる葛藤について思い やりながら指導することが大切であると考えた。  インターンシップにおいては、様々な体験ができ た。その中で、多様な価値観を認め合うことの大切さ を感じた。教師になったときには、今回のインターン シップで学んだ4つのことを忘れず、子どもたちや保 護者の方、そして同僚の先生方と接したいと思う。ま た、相手のことを思いやり、違いを認められるような 学級作りをしたい。 (坂口 杏) 5.インターンシップ活動(高橋 南) 〈インターンシップについて〉  本インターンシップは2週間のうち、第1週目は小 学部・中学部の師範授業を参観させていただいたり、 現地校(Setiabudhi校)の交流会に参加させていただ いたりした。第2週は授業実践を行った。  私が担当したのは中学部2・3年で、担当した授業 は以下のとおりである。 ・小学部3・4年 図工  (1時間) ・中学部2年   英語  (3時間) ・中学部3年   英語  (2時間) ・小・中学部   英会話 (2時間) 計 8時間    私は、英語が専科であるため、中学部の英語や英会 話を担当し、また小学部3・4年の図工の指導を行っ た。指導教諭から、「指導案を作ってその通りの授業 もいいのだが、今目の前にいる子ども達を見て指導を してほしい」とご指摘いただいたため、ワークシート や教具を指導する学年に合わせて作成した。教材研究 は主に放課後子ども達が帰った後に行い、指導教諭に ご助言いただく、という形で授業づくりを行った。図 工は1時間計画であったため、飛び出すカードづく りを行い、中学部2・3年はすでに教科書指導が終了

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していたため、既習事項をもとに会話したり、文を書 いたりするアクティビティーなどを授業の中で指導し た。他の派遣学生は2人とも小学部担当で、理科や国 語などの指導を行った。  朝の会は小学部・中学部合同で行い、健康観察や連 絡事項などを共有していた。また、各都道府県から教 諭が派遣されているということもあり、教諭の出身地 について児童・生徒に紹介をすることもあった。そし て、派遣学生が訪問した時期が長縄大会直前というこ ともあり、朝の会で長縄の練習に参加させていただい た。縄の回し手としての参加であったり、縄を飛び手 としての参加であったりと日によって参加する立場は 異なっていた。児童・生徒はグループ編成が縦割りと なっており、小学1年生から中学3年生までいるグ ループ編成となっていた。毎回反省や次回の目標など を児童・生徒同士で決めさせ、記録紙に児童・生徒自 身がそれらを記入していた。  20分休みや昼休み、放課後は児童・生徒と共に過ご し、スポーツをして体を動かしたり折り紙やトランプ で遊んだりした。昼食は曜日ごとにグループが異な り、委員会ごとに食べる日、学年ごとに食べる日、小 学部・中学部全員で食べる日と決まっており、派遣学 生も担当学年に合わせてグループの中に入って食事を とった。清掃は全員清掃で、長縄のグループと同様、 縦割り班で、中学部の生徒が小学部の児童と共に清掃 する形であった。 〈報告会〉  帰国後、報告会に参加し、バンドン日本人学校での インターンシップについて発表を行った。また、ほか にも、ハノイ日本人学校、釜山日本人学校、ヤンゴン 日本人学校の各日本人学校の発表もあり、各日本人学 校の特色に触れ、派遣学生同士で体験したことや学ん だことを共有し合った。時間が限られていたため、体 験したことや学んだこと全てを伝えることは叶わな かったため、今回このように私が体験したことを記述 する機会を得られて非常に嬉しく思う。 〈インターンシップを通じて得られたこと〉  私がバンドン日本人学校インターンシップで得られ たことは大きく分けて2つある。1つは子どもへの愛 情で、もう1つは異文化理解である。  まず、子どもへの愛情について、「教育とは子ども を愛する気持ちから始まると思うのです。お金のこと や学校の利益も大切かもしれませんが、子ども達のた めを思うのであれば自ずと自分がやるべきことが見 えてくると思います。」というバンドン日本人学校校 長先生の言葉が大変印象に残っている。校長先生は、 この言葉通り、子ども達のために通常業務でお忙しい 中、インターンシップ生を受け入れたり、現地校との 交流や現地のスーパーへの社会科見学などを奨励して いたりした。子ども達を第一に考えることは教育者と して、持つべき信条ではあるが、実際にそれらを実行 に移すことは容易ではない。私も、この気持ちをもっ て教育実習やインターンシップに臨んだが、「時間が ないから」「手間がかかるから」といった理由で指導 を変更したり、自分から説明をして子どもに体験的学 びをさせられなかったりしたことがあった。しかし、 真に子ども達のことを思うのであれば、校長先生が おっしゃっていた通り時間はかかろうとも、手間がか かろうとも、創意工夫を凝らし、子ども達に様々な経 験を積ませることも愛情の1つである。自分がいかに 「子ども達のため」と言いながらも「自分のため」に 動いていたかを痛感した。今後、教職に就く際に今回 の教訓を忘れないよう、日々「何のために教員をして いるのか」と自身に問いかけ続けていきたい。また、 子ども達のために自分に何ができるのか、できないと したら何が足りないのか、協力を仰ぐ必要があるかな ど、具体的に案を考えていきたい。  次に、異文化理解を学んだ要因として、バンドン日 本人学校の特徴、都道府県派遣の教諭の子どもや、現 地で働く日本人家族の子どもが所属していることが関 係している。つまり、様々な文化背景を抱えた児童・ 生徒が多い。例えば、両親共に日本人の家族もあれ 写真3 授業風景(高橋)

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ば、父親が日本人で母親が日本人以外の家族もある。 そのため、母語が日本語ではない子供も多く、子ども 達の会話で使う言語は日本語以外にもインドネシア 語、英語などと一様ではない。またバンドン日本人学 校の教員の振る舞いを子ども達は非常によく見てお り、他の児童よりも支援が必要な子に対して、「やっ てあげる」のではなく、「待ってあげる」という姿勢 を子ども達は真似をしていたところが印象に残った。 そのような様々な文化がある中で、お互いを「異」と して見ずに、「個性」として尊重し合う様子が見てと れた。  そして、少人数のため、子どもと教師の距離が近 く、学年間のつながりも密である。しかし「親しき仲 にも礼儀あり」という言葉もある通り、いかに親密に なったとしても越えてはいけない線をお互いに察知し て、相手を1人の人間として尊重する姿勢が教員の中 にも、子ども達の中にも見られた。なぜこのような温 かい雰囲気があるのかと疑問に思い、子ども達と接し ていると、1つのことに気が付いた。それは、子ども たちの「知りたい」という意欲の高さである。学年が 異なっていても友達のことに興味をもち、自ら知ろう とする態度がどの児童・生徒にも見られた。また、派 遣学生に対しても、群馬県のことや学校生活につい て質問を子ども達からもらった。このことから、「知 る」ことが「理解」につながり、自分と「比べ」、他 者を「尊重」することにつながるのではないかと考察 した。確かに、「知らない」ということは自分の推測 で判断しなければならず、偏見につながりやすい。と いうことは、「知る」ことで「他者理解」そして「自 己理解」も深まるのではないかと私は考える。この 「知る」「理解する」という言葉は「多文化共生」のヒ ントになると考える。  私は、バンドン日本人学校に来て、「違うことが当 たり前」ということに子ども達がすでに気付いている ことに驚きを隠せなかった。なぜなら、異文化理解と いうのは「自分と他の人は同じ文化もあれば異なる文 化をもっている」ということを理解することから始ま ると私は考えているからだ。例えば、親が2人いるこ とや両親が日本人ということが日本文化の「普通のこ と」だとして、片親であることや外国人の親は「普通 ではない」として、学校という組織の中でいじめなど が起こりやすいのも、異文化理解・他者理解の程度が 高くないからだと考える。しかし、目の前にいる友達 の家族構成や見た目といった文化的背景からその子の 人となりを判断するのではなく、1人の人間としての 個性を見つめる力が養われていれば、たとえその子が 日本語を話すことが苦手だったとしても、思いやりは 人一倍あることや手先が器用なことといった自分と違 うからこそ気付けるその子の良さを発見できると考え る。大人になるにつれ、そのような純真な心を忘れて しまうのかもしれない。子ども達を見て、自分が忘れ ていたことを思い出させてもらった。  今回のバンドン日本人学校での経験は、教師として だけではなく、一人の人間として「人のために」どの ように自分が動いたらよいか、「多文化共生」の実現 のために「他を知り、自己を見つめなおす」という態 度について考える契機となった。そして、子ども達を 第一に考えることで、一つ一つの行事の意味や指導の 有用性について気付くことができる。教員の仕事は教 科指導ももちろんだが、生活指導や部活指導、進路指 導と多岐にわたる。指導の全てが子ども達の人格形成 だけではなく、社会性の獲得や生き方について考える きっかけなどにつながると考えると、教員の責任の重 さは計り知れない。しかし、同時に子ども達が社会に 出て活躍するための支援をしていると考えると、やり がいや使命感を感じるだろう。そして、子ども達との かかわりを通じて、学校社会だけではなく、大人たち が活躍している社会において「多文化共生」に力を入 れることは、異文化理解の推進を図り、差別のない温 かいグローバル社会を作る土台作りになるだろう。今 回のインターンを通して、「子ども達への愛情」を第 一に考え、「異文化理解」のために自分ができること は何かを改めて考えるきっかけになった。 〈日本人学校以外の現地大学や現地校での活動〉  滞在中、レンバン市内の学校訪問やインドネシア教 育大学附属小学校、附属中学校に訪問したり、同大学 の日本語学科の生徒と交流したりした。子ども達や学 生は日本に大変興味を示し、群馬県のことや日本文化 についてだけではなく、アニメなどのサブカルチャー についても話が弾んだ。そこでも感じたことは、イン ドネシアの人たちの「知識欲」の高さと他文化を受け 入れる寛容さである。インドネシア教育大学附属中学 校の英語の授業に参加する機会をいただいた際、日本

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の挨拶の仕方や人との距離感について質問があった。 日本人には当たり前のことだが、インドネシア人に とって新鮮な発見だったようで、次から次へと質問が 来た。そこで、私からも「インドネシアの挨拶」に ついて質問をしたところ、「インドネシア人は挨拶を する際に自分ができる最高の笑顔を向ける」と回答が あった。確かに、街を歩いても挨拶をしてくる人から は満面の笑みを向けられていた。このように、この文 化的特徴を知らなければ自分の価値観で考えてしまう ことも「相手から学ぶ」ことで相手を知り、理解する ことができるのだと実感した。 (高橋 南)  次に教務主任(令和2年度、教頭)として準備段階 から配属学年、担当授業の検討、教具や教材研究等、 詳細に連絡をとっていただいた小林先生に記述いただ く。 6.インターンシップについて(小林香織教務主任) 〈五感で体験する世界〉  教務としてインターン研修中のカリキュラム作成に 携わる機会をいただいた。教育実習を終え、採用試験 も受けているプレ教師の方々にどんな体験をしていた だくべきか? インターンシップ生にとって、そして 本校の児童生徒にとって、大切なことは何か?日本国 内でもできる授業の質向上のための研修ではなく、こ こバンドン日本人学校でしかできないこと、そしてイ ンドネシア文化に浸り、五感で学んでいくような時間 を持つことこそが意義のあることなのではないか、 という思いから2週間のカリキュラムを設定した。 また、本校独自の勤務マニュアルとなるBandung Universal Designなどを使用し、日本人学校の教師と して、世界の中の日本人としての役割についても考え る機会となればと考えた。  ヨーロッパで古くから言われているExperience is the best schoolという言葉がある。経験こそが最良の 学校、Bundung Japanese Schoolでの時間が3名のイ ンターン生にとって最良の経験となれば幸いである。 〈研修内容〉  専門教科の授業実践のほかにできるだけ体験を入 れ、インドネシア文化に浸れるような活動を設定し た。ここでは授業実践のほかに行ったものを記述した い。 (1)校外学習引率 小3社会 「スーパーマーケッ トのしごと」・SETIABUDHI SUPERMARKETスティ アブディ・スーパーマーケットにて研修。バンドンで の校外学習の方法について学び、実際に引率していた だいた。 ①インドネシア語による見学希望申請書を本校事務職 員に依頼し作成。期日・児童氏名・引率者氏名・見 学希望場所や学習内容などを記載。校長印や校長の 署名も必要となる。 ②事前に訪問し、事務所へ上記見学希望のレター提出 ③児童への事前指導・学校車手配・通訳(本校事務) 依頼 ・お店でのマナーについて ・移動中の安全面について ・学習したい内容の確認・インタビュー練習 など ④校外学習当日 ・事務室にあいさつし、レターが届いていることを確 認後、見学開始。 ・スティアブディ・マーケットの担当の方が一人つい て案内してくださった。 ・児童生徒は事前に考えた質問を担当者にインタ ビューし、まとめた。 ・児童は家の方からあらかじめ買うものを聞いてお き、今まで回ってきた売り場から自分の買いたいも のを選びながらインドネシア語を用いて買い物を体 験した。 ⑤校外学習後 ・スティアブディ・マーケット新聞を作成し、全校朝 会で発表。 ・発表時にはインターン生は帰国していたが、児童 は、「群馬大の先生にも見てもらいたい!」と、一 生懸命特大サイズの新聞を作成していた。  専門教科の授業実践のほかにできるだけ体験を入 れ、インドネシア文化に浸れるような活動を設定し た。ここでは授業実践のほかに行ったものを記述した い。 〈伊藤教授による本校中学部生への授業提供〉  中学部の数学において、伊藤教授より「有理数と無

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理数について」授業を提供いただいた。本校以外の教 員による授業は、子供たちにとっても保護者にとって も新鮮な経験となる。保護者へも案内し、中学部の保 護者全員が参観のために来校した。また、本校職員も 参加させていただき、研修の機会とさせていただいた。  難易度の高い内容をわかりやすく中学生に説明して いただき、子供たちにとって刺激となる良い時間と なった。群馬大のインターン生にとっても客観的に指 導教授の授業を見る、という体験は自分の授業を振り 返り、今後の授業に様々な内容を反映させて行けるこ とと思う。貴重な時間をいただいたことに感謝の気持 ちでいっぱいである。 〈外国文化学習での英語スキット発表〉  H30英会話・H31(R1)外国文化学習と名称を変 えたが、総合の時間と課外の時間をあわせ、全校生に よる国際理解・グローバル教育の介助となる時間を設 けている。外部より講師3名を依頼し、英語教員とと もに、言葉の背景にある文化面にも目を向け、文化吸 収とともに日本文化の発信も意識しながら、英語での 授業を進めている。  個人の部ではテーマにそって英語スピーチを作成 し、「自分の言葉」で考えを発表する。オリジナルで あることが条件であり、本人しか話せないような内容 を考え、思い出し、調べ、練り上げ、表現し、観客に 伝えるなど、それぞれの過程を大切にしている。具体 物を提示したり、パワーポイントファイルを自分で作 成し、どんな資料を用いてどのように伝えればよいの か、思いを巡らせながら発表している。  グループの部では子供たちは学年をオープンにし、 中学部を中心にオリジナルのスキットを作成したり、 インドネシアに伝わるお話や日本の昔話などを演じて いる。毎年自分たちで台本を作成、配役を決め、小道 具を作成し、衣装を考える。照明やBGMはどうする のか?声の大きさやイントネーションは?様々な条件 を自分たちでクリアしていくことで、連帯感はもとよ り、課題解決能力や、コミュニケーション能力の育成 を目指している。中学生は下級生のセリフ作成や発音 指導まで行いながら、自分の役割もこなしている。  群馬大のインターン生には、本番までの数時間の話 し合いと小道具作成などに参加していただいた。作り 上げる過程を大切にし、全て大人が与えるのではな く、見守ることの大切さを学んでいただけたのではな いだろうか。 〈スティアブディ校交流〉  30年来にわたり、本校とインドネシアの現地校の間 で続く交流である。毎年お互いの学校を訪問しあって いるが、平成30年度はスティアブディ校の代表生徒が 20名ほど来校し、本校児童生徒が「書道」「茶道」「折 り紙」の3つのグループに分かれ、日本文化を一緒に 学ぶ機会を持った。  令和元年度は本校児童生徒がスティアブディ校を訪 問した。インターン生にも引率をお願いし、スティア ブディ校の職員との会話や、児童たちとの交流活動に 参加していただいた。本校からは生徒会長による交流 への感謝の意を述べた後、インドネシア語でもできる ゲームなどを提供し、400~500人が一斉に音楽にあわ せて交流、花笠音頭を披露するなどした。スティアブ ディ校からは空手の技の披露や、種や葉っぱを使って の工作など一緒の時間を過ごした。インドネシア人は 総じて親日的であるが、訪問した我々はサインを求め られ、写真を一緒に撮り、ずっと以前から知り合いの ような温かさで包んでいただいた。インターン生もサ イン攻めにあい、児童生徒との交流を楽しんでいたよ うに思う。  海外では一人の行動が日本人の代表としての行動と なる。ルールやマナーもそうであるが、日本人固有の ものと思っていた意識も実は世界共通のものだったり する。お互いがお互いの国を理解し、良い印象を持 ち、友達のいる国に思いを馳せる、このような経験の 積み重ねが将来の子供たちの「平和」に対する考えを 創っていくように思えてならない。 写真4 授業風景(伊藤)

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〈日本人学校の教員として担う国際理解教育とは〉  インドネシア語やタイ語でも「ヤシガラ椀の下のカ エル」や「ヤシガラの中のカエル」という慣用句があ る。日本語で言うところの「井の中の蛙」に近いのだ と思うが、これが言わんとするのは「独りよがりの地 方気質(プロヴィンシャリズム)」である。ヤシガラ 椀の下のカエルは、椀から這い出すことが叶わず、や がて頭上にある椀の天井が天空だと思い込むようにな る、というものである。  日本人学校の教員は、日本全国から派遣される。 「自分の県ではこうだ」とか、「前任校ではこうだ」に 縛られすぎることなく、柔軟に物事に対応しながら、 そして知恵を出し合いながら前に進むべきである。ヤ シガラ椀の中にいる教員、自分の狭い感覚の中でしか 物事を見つめられない教員は、世界を担う子供たちを 未来につなげることはできない。  また、在外教育施設では在外邦人や保護者の方々、 現地スタッフの支えによって学校の教育活動が動いて いく。住まわせていただいている国の文化を尊重し、 違いを楽しみながら、人々とのコミュニケーションを 図っていく能力も大切となる。違って当然の海外生 活、「日本と比べて……」違いを楽しむのか、違いを 否定するだけなのか、後者に当てはまる人間はそもそ も海外生活には向いているとは言えない。  すべてに対して好奇心・探求心を持ち、クリティカ ルシンキングも取り入れながら、自らの耳と目を研ぎ 澄まし、違いを楽しみながらより良いものを作り上げ る創造性、課題に立ち向かう意欲、何よりも「全ては 子供たちのために」というバンドン日本人学校の教育 スローガンを胸に、群馬大のインターン生の皆さんが 世界に羽ばたいていくこと、そして世界の懸け橋にな ることを祈ってやまない。

 Be a Bridge to the World!!

(小林香織)  稿のまとめとして、このインターンシップに多大な ご理解、推進かつ実施いただいた榊校長からインター ンシップに関し、記載いただく。 7.インターンシップについて(榊 勉校長) 〈全力で子どもたちにぶつかる学生の姿〉  今年のインターンシップに参加した小沼さん、坂口 さん、高橋さんの3人は時間を惜しまず子供たちと接 していた。日本人学校だけではなく日本の学校でもそ うだが、小・中学校の教員にとって大切なことは、子 供と一緒に遊んだり、話したり、相談を受けたりする ことである。私は、教職員は児童生徒と共にいてこそ 実態がわかり、確かな指導ができると考えている。児 童生徒のそばにいて、児童生徒と共に汗し、涙し、感 動することが大切である。そうすることによって、児 童生徒と教職員の信頼関係が一層深まり、教育効果が 上がるものと信じている。まさに今年のインターン生 3名はこのまま教壇に立っても良いくらい全力で子ど もたちとの時間を過ごしていた。 〈協定書を結ぶまでの経緯〉  バンドン日本人学校はここ数年、児童生徒数が10~ 20名程度、校長を含めた派遣教員7名と現地採用日 本人教員1名の小規模な日本人学校である。私自身 写真6 インターンシップ最終日 写真5 スティアブディ校との交流会

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は教諭として、キト日本人学校(1989年4月~1992年3 月、現在は補習授業校)、校長としてカラカス日本人学校 (2011年4月~2014年3月、現在は休校中)の経験があ る。本校は3度目の日本人学校の勤務であり、本校を含 めて3校とも小規模でアットホームな日本人学校である。  小規模な日本人学校は教員が少ないため、校長が授 業を持つのは当然で、場合によっては担任を持つこと さえある。毎日の授業や子供たちとの交流、行事、校 内研修、PTAや邦人社会とのかかわり等、小規模校で も大規模校と変わらない活動を行うため、一人一人の 教員が担う仕事の量は多い。  そんな中でのインターンシップである。着任初年 度、当時の教務主任からインターンシップの説明を受 け、本校の教員の負担は大変なものだろうと思った が、これまで続いてきた事業でもあり、きっと負担以 上のメリットがあるのだろうと考え、継続することを 決意し、先生方の了解を得た。この年、群馬大学の伊 藤教授から協定書を結んでほしいとのお話があった が、校長同士の引継ぎを確実に行うことで、インター ンシップ事業は継続すると考え、少なくとも私が校長 として勤務している間は続ける旨、お伝えした。  そして、今年のインターンシップを迎えた。今年も 昨年同様、上述のように3名の学生が全力で子どもた ちと接してくれた。実はこのインターンの学生たちの 頑張りこそが、協定書を結ぶ原動力になったことは間 違いない。私が実際に見た2年間のインターンシップ の学生の頑張りと、子供に向き合う真摯な態度、子供 たちの笑顔を見たとき、この事業を確実に継続するた めに協定書を結ぶことを決意した。  前述したように多忙な本校の教員ではあるが、協定 書を結ぶことに反対はなく、むしろ大賛成してくれ た。実際に学生を指導する先生方の賛成が得られたの で、その後は、学校運営委員会に諮り承認をいただ き、伊藤教授との連絡の中で令和2年3月2日に協定 書を結ぶこととなった。  今、思えば、この協定書を結んだ時期は新型コロナ ウイルス感染症が広がり始めたころと重なる。この感 染症の影響で日本とインドネシアの間の人の行き来に 制限が加えられた。日本人学校も令和2年度は、ス タートからオンライン授業である。おそらく令和2年 度のインターンシップは実施できないであろうから、 令和3年度以降にこの事業をスムーズに継続するため にも協定書を結んだことは良かったと考える。 〈インターンシップの目的〉  令和元年度より日本人学校での教育実習が認められ るようになり、隣のジャカルタ日本人学校で教育実習 生を受け入れた。そんな時代の先駆け的な制度である 群馬大学のインターンシップは、近い将来教員となる 学生に海外の空気を直に感じてもらい、そこで学ぶ子 どもたちとの交流や指導を通して日本人学校の実情を 理解し、国際的な視野を身につけてもらうことだと、 私なりに理解している。日本全国から教員が集まり、 子供たちのために何ができるかを考え、全力で頑張る 先生方と触れ合うことはそれだけで、今後の教員とし ての支えの一つになるのかもしれない。本校でイン ターンシップをした学生たちが遠い将来、私たちとの 出会いを花の町バンドンに吹く風と共に思い出してく れることがあれば、こんなにうれしいことはない。 〈職員研修に体験的な現地理解を〉  おそらく、ほとんどの日本人学校が何らかの現地理 解教育を行っているのではないかと思われる。実際、 私が見聞した中南米、東アジア、東南アジア、大洋州 の日本人学校で現地理解教育を行っていない学校はな い。ただ、多くの学校が伝統的・イベント的にそれま で自校に続いている現地校との交流等を引き継いでい る例が多いように思う。  一方、職員研修の内容は日本のそれとそんなに変わ らない、教科、道徳、特別活動、指導法や指導技術、 新しい指導要領の内容理解に関すること等を行ってい る学校が多いようだ。かつて勤務した日本人学校で、 授業中に任国の治安や医療面、教育等について否定的 なことを言う派遣教員がいた。そういう教員がいると 生徒からの訴えを聞いた私は、校内研修を大きく変え る決断をした。在外教育施設における校内研修は、任 国並びに任地(本校の場合はインドネシア並びにバン ドン)を理解するための、体験的な研修が中心になる べきだと考える。そうすることによって、教員自身が 任国並びに任地を好きになり、教師が子どもたちに現 地のことを語る言葉に重みが増し、現地理解教育に血が 通うのではないだろうか。教師自身の任国・任地に対す る親しみが自ずと児童生徒に伝わっていくものと思う。 (榊 勉)

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おわりに  バンドン日本人学校における群馬大学教育学部生、 大学院生による在外日本人学校でのインターンシップ は、その後、台北日本人学校(台湾)、釜山日本人学 校(大韓民国)、ハノイ日本人学校(ベトナム)、ヤン ゴン日本人学校(ミャンマー)におけるインターン シップとして発展してきている。  令和元年8月、文部科学省における『トビタテ!グ ローバル教師フォーラム』に伊藤が参加した折、群馬 大学の日本人学校におけるインターンシップを経験し た現職の教員や学生が、数多く参加していることに驚 かされた。また、インドネシアに高い関心を持ち、同 じくバンドンにあるインドネシア教育大学へ1年間留 学する学生も出てきている。さらに日本人学校での教 鞭をとりたいと海外子女教育振興財団へ応募する学生 も現れた。実践を経て一人一人の中にこのインターン シップが財産となり根付いてきていると思われる。  これもインターンシップを受け入れてくださった校 長先生をはじめ教職員の皆様、関係者の方々のお蔭で あると実感し、改めて感謝申し上げたい。今後もこの インターンシップが継続され、発展することを期待し ている。 参考資料および文献 文部科学省:トビタテ!教員プロジェクトについて  http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/1395480. htm 平成29年8月 文部科学省:国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改 革に関する取組状況について  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/077/ gaiyou/1416730.htm 令和元年5月 群馬大学国際化推進基本計画  http://www.gunma-u.ac.jp/data/images/aboutus/kokusaikihon. pdf 平成25年10月 群馬大学グローバル化基本方針2019  https://www.guic.gunma-u.ac.jp/internationalization/global_ policy 令和元年12月 伊藤隆、今井就稔、新井淑弘、任龍在、上原景子、菅生千穂: 群馬大学教育学部海外インターンシップについて―在外日本 人学校および海外協定校での教育実践―(2018)群馬大学教 育実践研究35.25-34. 伊藤隆:教育学部の国際化の現状と課題(2018)群馬大学国際 センター論集1.5-6. 伊藤隆、新井淑弘、前田亜紀子、青木悠樹、狩野未来、藤本旺 輝、板倉菜美子:群馬大学教育学部の海外日本人学校におけ るインターンシップ(2020)群馬大学教育実践研究37.33-41. ベネディクト・アンダーソン:ヤシガラ碗の外へ(2009)NTT 出版 (いとう たかし・こぬま みほ・さかぐち あんず・  たかはし みなみ・こばやし かおり・さかき つとむ) 写真7 バンドン日本人学校

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参照

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