第5学年○組
国語科学習指導案
指導者 ○○ ○○ 1 単元名 「エコキャップ運動に協力してもらう意見文を書こう」 2 指導観 ○ 本学級の児童は、4年生の時に単元「身近な生活を見つけて」の学習で、興味や関心のあるこ となどから書くことを決め、インタビューやアンケート等の方法を通して必要な事柄を調べ、書 こうとすることの中心を明確にして書く経験をしている。しかし、「小学生のテレビの見方」と いうテーマで意見文を書かせた結果、自分の意見を記述できている(20人/25人…80%)が、自分 の意見の理由となる根拠を明確に示すことができていない(3人/25人…12%)ことや意見と事実 が混在した文章になっている(15人/25人…60%)ことが分かった。また、表1「書くことについ ての意識調査結果」から、文章を書くことの大切さや意義を感じてはいるものの、書き方が分か らずに自分の考えをまとめて文章として表現することに苦手意識をもっている児童が多い。 この実態から、自分の意見の根拠となる事実を示し、事実と意見とを区別して文章を書くこと ができるようにさせ、進んで自分の考えを書いて表現しようとする態度を養う必要がある。そこ で、自分の意見の根拠となる事実を明確に示しながら、事実と意見を区別して読み手を納得させ るような文章を書く技能を身に付けさせる。このことは、論理的に思考し表現する能力を高め、 相手とのコミュニケーションを円滑にさせることにつながり意義深いといえる。 本学級には、発達障害のあるA児が在籍している。A児は書くことは好きで、思ったことや考 えたことを詩などの簡単な文に書くことはできる。実態調査で意見文を書かせた際には、7 0 0字 程度の文章を集中して書くこともでき、書くことには抵抗感がないことが分かる。しかし、短期 記憶の弱さからか、思いついたまま順序を考えずに書いているため、自分の思いや考えが伝わり にくく、読み手に自分の考えを理解してもらえるように書くことはできていない。意見文は自分 の意見を書き、意見の理由も述べようとしているが、途中で論点がずれ意見に応じた適切な根拠 を記述することができていなかった。そこで本単元での学習を通して、事実などの根拠を示しな がら読み手を納得させるような文章を書く技能を身に付けさせることは、A児の書くことへの自 信を深め、相手とのコミュニケーションを円滑にさせることにつながり大変意義深いといえる。 ○ 本単元は、校内や地域にエコキャップ運動へ協力してもらうために、運動への協力を呼び掛け る意見文を書くことを活動目的としている。エコキャップ運動とは、ペットボトルのキャップを 集めてリサイクル会社に原材料として買い取ってもらい、その代金でN P O法人を通じてワクチン が足りない地域にワクチンを送る運動である。 本単元の主なねらいは、目的や意図に応じて書く事柄を収集し、自分の考えを明確に表現する ために文章全体の構成を考え、事実と意見を区別して文章に書く能力を身に付けさせることであ る。本単元では、エコキャップ運動への協力を呼び掛ける意見文を書く過程で、①エコキャップ 運動への協力の呼び掛けという目的に応じて取材の内容や方法を考えながら情報を収集し、収集 した内容を整理して書く内容を選ぶこと、②自分の考えを一貫して明確に述べるために、事実と 意見を区別し、文と文、段落と段落のつながりや文章全体の構成を考えること、③考えた構成を 基に記述し、見直しながらよりよい文章に直すことなどを学習する。 本単元は、他学年の児童、保護者や地域の方に向けて呼び掛けるという相手意識や、エコキャ ップ運動へ協力してもらうために行うという目的意識をもち、児童が意見文を書く活動に切実感 をもって取り組むことができる。児童が主体的に学習することができ、エコキャップ運動に協力 してもらうため、読み手に分かりやすく納得してもらえる意見文にするという共通の目的に向か って協力して学習を展開していける上でも適していると考える。さらに、意見文「ごみを減らそ う」などをモデルとして筆者の述べ方や主張を読み取り、筆者のものの見方や述べ方のよさに気 付き、理由や根拠を踏まえて論理的に意見を伝えようとする態度を育てるとともに書く技能を身 に付けさせることができるため、本単元を学習することは価値があると考える。 表1 書くことについての意識調査結果 質問項目 そう思う そう思わない 文章を書くことは、他の教科の学習で役立つ。 ★ 19人(76%) 6人(24%) 書きたいことがあるのにどう書けばよいか分からない。 ★ 17人(68%) 8人(32%) ★ … A児のアンケート結果 (5年○組 25名)この意見文を書く学習は、日常生活や社会生活の中から課題を決め、多様な方法で材料を集め ながら自分の考えをまとめ、事実や事柄、意見や心情が相手に効果的に伝わるように説明や具体 例を書いたり、描写を工夫して書いたりする学習へとつながっていく。 A児は、相手意識が薄く読み手を意識した文章を書くことができていない。しかし、自分の考 えを相手に伝わるようにもっとうまく伝えたいという願いをもっている。本単元は、相手や目的 を明確に設定することができるため、A児が相手意識や目的意識を明確にもち、意見文を書く活 動に取り組むことができると考える。 ○ 本単元の指導に当たっては、友達と学び合いながら文章を書く手順を身に付け、相手に自分の 思いや考えが伝わるような意見文を書くことができるようにしたい。そこで書き方手順シートづ くりを位置付けた活動構成を工夫する。 書き方手順シートづくりを位置付けた活動構成の工夫とは、書く内容を整理したりや順序を考 えたりしやすいシートを用い、シートの記入と学び合いを繰り返す書き方手順シートづくりを書 くべき内容をもつ段階、文章の構成を考える段階の各段階に応じて位置付けることである。思考 内容を視覚化し保持できるシートを工夫することで、書く内容の整理や構成を考える活動を容易 にして主体的に書く活動に取り組ませることができ、学び合いを行うことで、読み手の視点から の客観的な評価や助言を文章の加筆・修正に生かすようにしたい。 書くべき内容をもつ段階では、まず、学校や家庭、地域にエコキャップ運動への協力を呼び掛 けるために書くという、書く必然性のある場を設定し、目的意識や相手意識をもたせ、目指す目 標や表現形態を明確にする。具体的には、世界では感染症でたくさんの子どもが亡くなっている 事実やその解決の一助となるエコキャップ運動があることを知らせる。次に、エコキャップ運動 について調べることで、自分たちもエコキャップ運動に参加しようと考え、より多くのキャップ を集めるために、エコキャップ運動への協力を呼び掛ける意見文を書くという目的意識をもたせ たい。それから、書き方手順シートづくり①を行い、自分の考えや取材した内容を書かせる。シ ート①は、自分の考えの理由となる既習の知識を想起・言語化し、内容を整理できるように工夫 する。 A児は、手順シートづくり①を行うことで、自分の意見の理由となる既習の知識を想起してシ ート①に書き、書いた内容を整理することができる。また、小グループでの学び合いで自分の考 えを表し、友達からの意見を参考にして語や文を追加・修正できる。 文章の構成を考える段階では、読み手に納得してもらえる論理的な述べ方をするため、集めた 材料を論理的に配列する。そのために、まず、意見文の文章構成が、意見が書かれる位置によっ て頭括型、尾括型、双括型があることをモデル文を使ってとらえさせる。そして、読み手に分か るように書くためには、意見と事実を整理して分け、事実を基にして意見を主張するという文章 構成の仕方を理解させる。次に、書き方手順シートづくり②を行い文章の構成を考える。シート ②は、書く材料を内容によって色分けした3色のカードメモに書き、シートにはり付けて使うこ とで、カードメモをはり替えながら書く内容を分類し構成を考えやすいようにする。 A児は、手順シートづくり②を行うことで、それぞれの文と全体との関係を視覚的にとらえや すくなり、文と文とを比較しながら構成を考えて文章を組み立てることができる。小グループの 学び合いでは、書く内容や文章の構成について情報交換をすることで、自分の考えと他者の意見 や考えを比較して自分の考えを伝えるために適切な内容や構成かどうかを見直すことができる。 3 単元の目標 ○ 読み手に伝わる文章を書くという目的をもち、進んで調べながら意見文を書く活動を進めるこ とができる。 ○ 自分の考えをもつためにエコキャップ運動についてインターネットや書籍などで調べ、書く事 柄を収集することができる。 ○ 自分の考えを明確に伝えるために、意見と事実を区別し、理由となる事実や根拠を示しながら 構成を考えて意見文を書くことができる。
4 単元の指導計画(総時数10時間) 段階 学習活動と内容 教師の働き掛け 時 1 エコキャップ運動について調べ、エコキャップ運 1 意見文を書こうという課題をつかませ、書 4 動への協力を呼び掛ける意見文を書く材料を集め整 くべき内容を集め整理するための手だて 理する。 (1) エコキャップ運動が発展途上国の子どもの命を救 ・感染症で発展途上国の子どもたちが亡くなっ ① う取組であることを知り、感想を発表し合う。 ている事実をVTRを見せて知らせ、子ども 書 ○ エコキャップ運動を調べたいという意欲をもつ。 達を助けたいという気持ちをもたせる。 く (2) エコキャップ運動についてインターネットで調べ ・エコキャップ推進協会のHPでエコキャップ ① べ る。 運動について調べさせ、自分達にもできる活 き ○ エコキャップ運動についての情報を収集する。 動であることに気付かせる。 内 (3) エコキャップ運動に取り組むことを決め、キャッ ・キャップをたくさん集める方法を問い掛け、 ① 容 プを集める方法を話し合う。 学校や地域など広く協力を呼び掛ければよい を ○ エコキャップ運動へ協力してもらうために意見 ことや考えを詳しく伝え、協力の呼び掛けを も 文を書くという課題をつかむ。 続けていくには、活動の趣旨を説明する文章 つ を示す必要があることに気付かせる。 (4) 意見の理由をカードメモ①に書いて手順シート① ・何度も張り直しができるカードメモ①を用い ① に貼り、内容ごとにまとめて小見出しを付ける。 て、自分の考えの理由を書き、内容を整理し ○ エコキャップ運動への協力を呼び掛ける意見文 やすいようにする。 を書くために、書く内容を収集し整理する。 書き方手順シートづくり① 2 事実と意見を区別し、文と文、段落と段落のつな 2 文と文、段落と段落のつながりや文章全体 3 がりや文章全体を構成する。 の構成を考えさせるための手だて (1) モデル文を見て、筆者の伝えたいことをノートに ・双括型、尾括型の書き方で書かれたモデル文 ① 書き、伝えたいことが文章中で書かれている位置に を比較させ、筆者の伝えたいことが書かれて 文 ついて話し合う。 いる段落を考えさせることで、双括型、尾括 章 ○ 意見文には、双括型、尾括型、頭括型などの文 型、頭括型の3つのパターンがあることに気 の 章構成があることを理解する。 付かせ、その特徴を理解させる。 構 (2) 2つのモデル文を読み、どちらの文が読み手に自分 ・意見と事実が混在した文章と区別して書かれ ① 成 の考えを伝えられるか話し合う。 た文章を比較させ、意見と事実を区別し、意 を ○ 自分の考えを明確に伝えるためには意見と事実 見と事実がうまく組み合うことで、読む人に 考 を区別して記述する必要があることを理解する。 説得力のある文となることに気付かせる。 え (3) カードメモ②に意見と事実を色分けして記入し、 ・モデル文を使って、読み手が次に知りたいこ ① る グループごとにまとめ、順番を考えて配列する。 とは何かを考えさせ、次にどんな内容を書け 本 ○ 事実と意見を区別し、文と文、段落と段落のつ ばよいかを理解させることで、文と文、段落 時 ながりを考えて文章を構成する。 と段落のつながりを意識させて文章構成を考 書き方手順シートづくり② えさせるようにする。 3 書き方手順シート②を基に、意見文を書き、推こ 3 自分の文章を見直し、改善すべき点に気付 3 うする。 き、修正させるための手だて 記 (1) 書き方手順シート②を基に下書きする。 ・前後の文のちがいによる接続詞の使い方の例 ① 述 ○ 事実と意見を区別し、文と文、段落と段落のつ を示すことで、文と文、段落と段落のつなが し ながりを考えて記述する。 りに気を付けて記述させる。 推 (2) エコキャップ運動への協力をお願いする意見文を ・内容や表現等の観点から意見文についての感 ① こ 書き、見直してよりよい文章に直す。 想が書き込める学習プリントを使うことで、 う ○ 小グループで学び合いながら文章を見直し、加 小グループの友達から、文章の内容や表現に す 筆・修正する。 ついての意見がもらえるようにする。 る (3) 友達と意見文を読み合い、感想を交流する。 ・完成した意見文をお互いに読み合い、評価カ ① ○ 相互評価し認め合い、意見文を書いたことに対 ードを使って相互評価させる。今までに書い する成就感を味わう。 た文と比較することで、読み手に伝わる意見 文が書けたことに気付かせる。
5 本時 (7/10) 平成○○年○月○日(○)○校時 5年○組教室において 6 本時の主眼 ○ 書き方手順シート②を使いながら、進んで文章の構成を考えようとすることができる。 ○ 意見と事実を区別し、文と文、段落と段落のつながりを考えて文章を構成することができる。 7 本時指導の考え方 これまでに児童は、自分の考えの理由となる事実を集め整理し、意見文には、双括型、尾括型、 頭括型の文章構成があることや自分の考えを明確に伝えるためには、意見と事実を区別して記述す る必要があることを理解してきている。そこで本時は、読み手を納得させ行動を促す様な説得力あ る文章を書くために、意見と事実を区別し、文と文、段落と段落のつながりを考えて文章の構成を 考えさせることをねらいとし、そのための手だてとして書き方手順シートづくり②を行う。 具体的には、まず、意見と事実を区別させる。書き方手順シート①で書いた内容を、意見→赤、 事実→青、それ以外→黄色の三つの色のカードメモ②に記入させ、双括型か尾括型かを決めて、意 見を書いたカードメモ②(赤)を書き方手順シート②にはらせる。色分けしたカードメモ②に記入 することで、文の配置を視覚的に確認しやすく、文章全体の構成をとらえやすいと考える。 次に、事実を書いたカードメモ(青)とそれ以外の内容を書いたカードメモ②(黄色)を文と文 のつながりを考えて書き方手順シート②にはり、カードメモ2を動かしながら文章の構成を考えさ せる。その後、モデル文を提示して文と文がうまくつながるには、読み手が知りたいことを順に書 いていけばよいことを、モデル文を一文ずつ読みながら示し、文と文とのつながりが重要であるこ とを理解させ、自分のシートの見直しをさせる。 さらに、学び合いの中では、A児が安心して自分の書き方手順シートの内容を説明できるために 学び合いの進め方に沿って、書き方手順シート②を見ながら自分の考えを説明させる。また、相互 評価をシートの見直しに生かせるように、自分の意見をアドバイスカード(付せん)に書いて交換 するようにする。 このように書き方手順シートづくり②を行うことで、自分で文章構成を考えることができ、友達 と学び会う中で自分の考えを振り返り修正し、読み手に納得してもらう文章を構成することができ るとともに、学び合うことのよさを実感することができる。 8 準備 書き方手順シート②(児童用…A3)、カードメモ②(「意見」用→赤、「事実」用→青、その 他→黄色)、アドバイスカード(付せん)、書き方手順シート②(黒板掲示用)、書見台 9 学習の展開 段階 学習活動と内容 指導上の留意点/★…A児への配慮 1 前時に学習した意見と事実を分けて書くことや意 1 本時の学習のめあてをつかませるた 見文には3つの型があることを振り返り、書き方手 めの手だて 順シート①を見て、今日の学習内容を話し合う。 (1) 意見文を書くときに、何に気を付けて書けばよ ・文章を書く段階を示した掲示資料を指 いか話し合う。 し示して着目させ、本時は、文章の構 導 ○ 意見と事実を分けて書くことや意見文には3つ 成を考えるということを意識させる。 の型があることを振り返り確認すること。 入 (2) 今日の学習内容について話し合う。 ・書き方手順シート①を見せて、これで ○ エコキャップ運動の協力をお願いする意見文を もう読み手に考えが伝わる意見文を書 書くために文章の構成を考えるという、本時のめ くことができるか問い掛け、文章の構 あてをつかむこと。 成を考える必要があることに気付かせ る。 (めあて)読み手に自分の考えが伝わるように文や段落の順序を考えてカードメモを並べよう
2 文と文、段落と段落のつながりを考えて意見文の ・赤色のカードメモ②に意見を書かせて 構成を考える。 文章全体の構成を考えさせる。理解で (1) 赤色のカードメモ②に意見を書き、意見を書く きていない児童については、前時の掲 位置を考えて書き方手順シート②にはる。 示物などを使って説明する。 ○ 自分の考えが明確になるのは、双括型と尾活型 ★机間指導の初めに、A児の活動の様子 のどちらの構成かを考えて判断すること。 を観察し、補足説明する。 (2) 青色のカードメモ②に事実を書き、文の順序を ・カードメモは、自由に貼り替えること 考えて書き方手順シート②にはる。 ができ、貼り替えながら順序を考えれ ○ 自分の主張する考えの理由となる事実を読み手 ばよいことを知らせる。 が理解できるように、文と文、段落と段落のつな がりを考えること。 展 開 (3) モデル文を一文ずつ読み、その文を読んだとき ・モデル文を示し、モデル文を一文ずつ に次に何が知りたくなるかを話し合う。 読みながら、その文を読んだ人は次に ○ 読み手が理解できる文章にするには、読み手の 何を知りたいか、その文のキーワード 知りたい内容を次々に書いていけばよいことを理 は何かを考えさせることで、次に書く 解すること。 文の内容が何か気付かせる。 (4) 小グループで書き方手順シート②を読み合い、 ・シートに書いた内容をお互いに見て意 文と文、段落と段落のつながりについて互いに評 見をアドバイスカード(付せん)に書 価し、自分のシートを見直す。 いて交換することで、自分の文章構成 ○ 文章の構成について、相互評価し合い自分の書 や表現・表記について振り返らせる。 き方手順シートを見直すこと。 ★学び合いの進め方(学習プリント)を 基にして学び合いを行わせることで、 A児に話す手順や方法を理解させ、安 心して小グループでの学び合いに参加 させることができる。 3 本時学習で学んだことをノートに書き発表する。 ・今日の学習で学んだことを「文章の構 終 ○ 本時学習をまとめ、次時は書き方手順シート② 成を考える時は」という書き出しでノ で考えた文章の構成を基に、文章化していくこと ートにまとめ発表させることで、文章 末 を確認すること。 の構成を考えることが重要であること を意識させる。 書き方手順シート②(尾括型の場合) (予想される児童の考え) (予想される児童の考え)