• 検索結果がありません。

宗教者によるスピリチュアルケアの制度と実態 ──台湾の臨床仏教宗教師と日本の臨床宗教師の比較を通して──

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "宗教者によるスピリチュアルケアの制度と実態 ──台湾の臨床仏教宗教師と日本の臨床宗教師の比較を通して──"

Copied!
30
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

宗教者によるスピリチュアルケアの制度と実態 ─

─台湾の臨床仏教宗教師と日本の臨床宗教師の比較

を通して──

著者

方 東岳

雑誌名

東北宗教学

16

ページ

101-129

発行年

2020-12-31

URL

http://hdl.handle.net/10097/00131068

(2)

宗教者によるスピリチュアルケアの制度と実態

──台湾の臨床仏教宗教師と日本の臨床宗教師の比較を通して──

方  東岳

キーワード: 臨床宗教師、スピリチュアルケア、宗教的ケア、宗教と医療、宗 教事情 1. はじめに 1 . 1 背景  世界保健機関2018年の報告1によると、日本の平均寿命は世界トップの84.2 歳2である。しかし日常生活を自立できる期間を意味する「健康寿命」において、 日本は74.8歳、平均寿命との差が9.4歳である。このギャップは支援介護、ケア の重要性を示唆している。そして、誰にでも訪れる死について、いかに QOL を上げて、残された時間の中で本人の期待する最期を迎えることができるかが 重要な課題である。  The Economist、2015年の死の質評定3において、総合ランキングで日本は世 界14位でアジア3位である。確かに上位の順位であるが、平均寿命が世界トッ プかつ深刻な高齢化が進んでいる日本にとって、さらに良い実績が求められる。 一方、同評定総合ランキングにおいて、台湾は世界6位でアジア1位である。 医療環境、政府政策、法律、経済、文化など、死の質に影響する要因は様々で ある。前掲評定で台湾の事例報告について以下のように記述されている。

1 World Health Statistics 2018: Monitoring health for the SDGs https://apps.who.int/iris/ bitstream/handle/10665/272596/9789241565585-eng.pdf アクセス:2020年09月30日

2 2016年時点

3  The 2015 Quality of Death Index Ranking palliative care across the world A report by The Economist Intelligence Unit https://eiuperspectives.economist.com/healthcare/2015-quality-death-index/white-paper/2015-quality-death-index アクセス:2020年10月30日 五つの項目に 分 け て 評 定 す る:Palliative and healthcare environment(20%)、Human resources(20%)、 Affordability of care (20%)、Quality of care (30%)、Community engagement(10%)。

(3)

 蓮花基金会という組織は仏教者向けの研修を開催し、緩和ケアの一部と してスピリチュアルサポートを提供する。陳榮基医師によると、およそ7 割の台湾人は仏教徒であると自己認識し、そして患者と家族も仏教者チャ プレン(臨床仏教宗教師)に対して非常に良い評価を表明している。(The Economist Intelligence Unit, 2015:49 筆者訳)

 The Economist の事例報告から宗教の力が緩和ケアや死の質に関連づけられ ることが垣間見える。蓮花基金会は台湾の臨床仏教宗教師の本拠地かつ育成機 構である。臨床仏教宗教師は病院のケアチームの一員として緩和ケアに参加す る。陳慶餘ら(2002:24)によると、「法師4と医者の役割は明らかに相違し、患 者が両者に対して期待するものも異なる。医師の責任は症状の除去、法師の責 任は患者の生命力の維持である。(筆者訳)」生命力とは、苦痛から成長する力 である。臨床仏教宗教師は病院によって雇われ、緩和ケアにおいてスピリチュ アルケアを提供する。仏教の出発点は苦を知り、苦を克服することにある。臨 床仏教宗教師の仕事はケア対象者とともに人生を支える意味と苦を克服する方 法を探しながら、悟りを導き、死への恐怖を乗り越えることであるとされてい る。  近年日本においても「臨床宗教師」の発展が著しくなり、2018年から資格認定 制度が正式始動し、緩和ケア病棟だけでなく、様々な場所で活動している。本 稿は宗教の臨床的応用に焦点を当てながら、日本と台湾の違いの比較を試みる。 1.2スピリチュアルケアと宗教的ケア  まずはスピリチュアルケアと宗教的ケアの違いについて簡単に紹介する。ス ピリチュアルケアについて、日本も台湾も学会において一致する定義がないが、 ここは研究者でありながら臨床宗教師としても第一線で活動している谷山洋三 4  臨床仏教宗教師を指す。

(4)

の解釈を引用する。谷山(2016:68)はスピリチュアルケアを「自身の超感覚 的な体験を意味付ける働きによって、自分の支えとなるものを(再)確認・(再) 発見し、さらに生きる力を獲得・確認する援助もしくはセルフケア」と定義し た。前向きに生きる(あるいは死を直面できる)ため必要不可欠の支えとして の「何か」を発見する過程である。一方、宗教的ケアは文字通り宗教が中核で、 祈り、儀礼、宗教アイテムなどを通じて前述のケアを成し遂げる。谷山(2016: 98─102)はさらに臨床宗教師ならではのケアとして、スピリチュアルケアと宗 教的ケアの間に信仰を前提としない「宗教的資源の活用」という領域が存在す ることを提出した。強い宗教意識がなくても対象者のニーズに合わせ、慎重に 適度な宗教的要素を取り込む。手順からいうと、最初はスピリチュアルケアか ら入り、ケア対象者の意思を尊重し了承を得てはじめて、宗教的資源の活用段 階に入る。  一方、台湾の臨床仏教宗教師界はスピリチュアルケアを以下のように定義し た。  「終末期患者が死を直面する過程において、専門のケア提供者の協力によっ て正念の向上及び生死を超越する態度を学習し、心身の苦痛と死への恐怖をや わらげ、善き死5に到達することである。」(蓮花基金会2020 筆者訳)  この定義は臨床仏教宗教師向けなので、ケア提供者の存在が予め想定される。 そして、ケア対象者は終末期患者とその家族のみであることもわかる。前述の 谷山の定義と比べればかなり限定されている。ケアの手順6も全体的にかなり 仏教的に見えて、宗教的ケアに近いが、実際は宗教的資源の活用の面が重要で ある。詳しい内容は第2章で述べる。  次章から台湾の臨床仏教宗教師を紹介し、日本の臨床宗教師を比較する。日 本の臨床宗教師の歴史、理念に関する紹介は岡部(2012)、高橋(2014)、谷山 5 緩和ケアにおいて、陳榮基(2001:12)は良き死(善終)の要素を以下の数点を示した: 死に関する認識及び準備(家族親友との別れや後のことの手配など)が十分である、自分の 死を受け入れる、自分の過去を肯定する、体のケアや症状のコントロールが満足、不安が解 消され情緒が安定である、主体性が尊重される、願いが叶う。 6 手順:病状告知、死の受け入れ、霊的存在、仏教教義の学習と実践、実践成仏の道。

(5)

(2016)、大村(2014,2020)などの著作、論考を参考にする。重複を避けるた め本稿は省略する。 2.台湾の臨床仏教宗教師  本章では台湾の臨床仏教宗教師と関連組織について紹介する。内容は主に大 悲學苑の德嘉法師および蓮花基金會の陳福森副執行長に対する訪問調査(2019 年9月)に基づくものである。 2.1歴史  1994年、陳榮基をはじめ、仏教背景のある医者、学者、宗教者たちが「財團 法人佛教蓮花臨終關懷基金會」を築き上げて、「臨終關懷(終末期ケア)」に着 眼し、看取りや緩和ケアを通じて、患者の QOL を向上するために働いている。 陳榮基は神経医学の権威であり、緩和ケアの指導者でもある。1987年、台湾大 学病院の神経科主任在任中に、院内初の仏教団体「慈光社」を創立し、社長を 務めた。後に台大病院に「助念室7」を開設し、仏教信者の終末期ケアのために 行動した。台大病院が助念室を開設した後、他の病院も続々開設し始めた。  1990年代、緩和ケアが台湾にて発展し始めて、様々な組織が創立された8。慈 光社も北台湾の病院の仏教団体と連携し、1990年に「佛教醫事人員聯合會」を 成立させた。後にこの聯合會により「財團法人佛教蓮花臨終關懷基金會」が創 立された。同じく1990年、台湾の馬偕醫院竹圍分院の鍾昌宏院長が「安寧病房 (ホスピス)」を国内に導入した。1995年に陳榮基が「緩和醫療病房」を台湾 大学病院にも設立させた(陳 , 2019)。  緩和ケアが盛んに発展していた中、陳榮基は仏教への受容性が高い台湾人の ため、熱心な仏教者数人を頼んで緩和ケアの仕事に参加させたが、長続きしな 7 助念とは、患者が他界した直後、そばにいる家族や仲間が患者のため念仏し、極楽浄土に 行くことを協力する儀式である。現在台湾大学附属病院の助念場所は「往生室」と呼ばれ、 総計4室であらゆる宗教の需要を対応する。 8 (キリスト教)中華民國安寧照顧基金會(1990)、カトリック康泰醫療教育基金會癌症末期 照顧中心(1993)、佛教蓮花臨終關懷基金會 (1994)、台灣安寧照顧協會(1995)、台灣安寧緩 和醫學學會(1999)など。

(6)

かった。なぜなら、仏教はキリスト教系のように聖職者養成教育の中にチャプ レン関連の訓練がないため、病院での仕事に慣れず、継続することが困難だっ たからだ。  陳榮基は仏教者向けのチャプレン研修の必要性を痛感した。1998年、新たに 宗惇法師が緩和ケアへの参与を決める。それをきっかけに、陳榮基が主導し、 陳慶餘医師(台大病院緩和医療担当の家庭医学科主任)、惠敏法師(台湾法鼓 文理學院校長)に依頼して、緩和病棟で仏教宗教師研修に関する研究が始めら れ、宗惇法師を1人目の研修者として計画を展開した(陳 ,2011)。2000年から 2005年には台湾屏東の「一如淨舍」に依頼し事業を続けた。2005年から、事業 の主体は再び蓮花基金會に移転し、「本土化靈性關懷(本土化スピリチュアル ケア)」を目標として臨床仏教宗教師の養成を継続した。「本土化」とは文化、 宗教事情に合わせた「台湾らしい」スピリチュアルケアのモデルを構築するこ とである。  さらに、臨床仏教宗教師関係者たちは理論基礎を固めるため、2007年に「臨 床佛學研究協會」を立てて、学会の形式で理論面を完備させ、仏学教育におけ るスピリチュアルケア概念の充実に力を注いだ。同じく2007年、「財團法人佛 教蓮花臨終關懷基金會」は「財團法人佛教蓮花基金會」に名称を変えた。  2014年、宗惇法師は臨床仏教宗教師として病院で仕事をしていた間に、在宅 緩和ケアを希望する患者が多くいるにもかかわらず、地域コミュニティにおけ るスピリチュアルケアの認識と資源の不足を痛感した。在宅緩和ケアそして社 会におけるスピリチュアルケア環境の改善のため、病院から出て大悲學苑を創 立した。大悲學苑は数人の臨床仏教宗教師により主導し、主な仕事は在宅緩和 ケアの支援と死生教育を広めることである。スピリチュアルケアと医療の知識 の持つボランティアの養成も重要な仕事である。  2017年政府側も「整合性安寧全人照護培訓與宣導推廣計畫(整合的ホスピス 全人的ケア養成訓練及び宣伝計画)」という3年プランを立てた。1年目は台 湾全国のホスピス機構に関わる従事者にスピリチュアルケアの概念を導入する。 2年目は人口高齢化に応じて、地域コミュニティに進出し、ケアの拠点を立て

(7)

て、死生学と臨終課題の概念を紹介する。3年目は、今後の臨床人員の綱領と してスピリチュアルケアのガイドラインを作る。蓮花基金會と大悲學苑も参加 し、緩和ケア向けのボランティアの養成に努める。  今まで盛んに発展してきた臨床仏教宗教師とはいえ公的な認証はないため、 政府が主催する計画に参加することによって知名度が上がると同時に人々から 信頼も得られた。 2.2組織と任務  この節は蓮花基金會と大悲學苑について紹介する。  蓮花基金會は臨床仏教宗教師の養成機構である。臨床仏教宗教師、ボランティ アの養成以外には、レクリエーション活動、遺族支援、電話相談なども業務に 含まれる。宗教者だけでなく、会長をはじめ医療関係者が多く在籍し、ソーシャ ルワーカーもいる。  実際の任務は以下の三点である。生命の究極的なケア「緩和医療ケア」、生 命 / 死生教育の普及、「安寧志工(ホスピスボランティア)」及び「臨床佛教宗 教師」の養成だ。 (蓮花基金會ホームページ 筆者訳)  一方、大悲學苑は臨床宗教仏教師数人から主導し、地域コミュニティにおけ る緩和ケアの拠点として機能する。専門知識の有するボランティアの養成の他 に、仏法や緩和ケアに関する教育講座、グリーフケアの活動も開催する。主な 任務は以下のようになっている。  一.仏法を学ぶ風潮を提唱し、仏法信仰を実践する。  二.仏教及び生命教育関連の講座、課程、活動、法会、研究会議を開く。  三 .地域コミュニティにおける終末期患者のスピリチュアルケアのための教 育研修と宣伝活動を促進する。  四、臨床仏学の専業発展を促進し、護持する。  五、正信仏法を宣伝する道場と僧を護持する。  六、他の本協会目標を達成するための必要事項。

(8)

   (大悲學苑ホームページ 筆者訳)  仏教関連の内容が書かれているが、ケアの時、患者の宗教信仰、思想に対す る尊重が大前提であるため無理やりの布教は禁止事項である。  次の表1は蓮花基金會、大悲學苑両方のインタービュー及び書類、ネット情 報に基づいて作成した比較である。 表1 蓮花基金會、大悲學苑比較表 筆者作成 蓮花基金會 大悲學苑 創立者 仏教背景のある医者、 学者、ボランティア、 宗教者たち(初代会長: 陳榮基教授) 宗惇法師 成立年 1994年 2014年 拠点 台湾台北 台湾台北 役割の位置づけ 臨床仏教宗教師の本拠 地及び研修育成機構 臨床仏教宗教師が主導する在宅緩和ケア拠点 緩和ケアの場所 病院 在宅9 ケアの報酬 あり(契約している病 院のみ / 時給) なし 養成するボランティア の種類 安寧志工 靈性志工 養成するボランティア の仕事 患者にまつわる行政事項及び生理的な看護と 清潔 仏 教 宗 教 師 が ス ピ リ チュアルケアを行うた めの協力役 病院との連携 予め正式な契約を作成、 臨床仏教師がそれぞれ 担当病院に配属される 在宅の必要があれば病 院からの患者紹介もあ る 2.3理念と原則  この節では臨床仏教宗教師の理念と原則について紹介する。 9 受理した患者が入院する必要がある場合、責任をもって病院でその患者に引き続きスピリ チュアルケアを提供する。

(9)

 蓮花基金會の理念は「全人的な世話及び生命教育の普及を宗旨として、終末 期患者及び家族が適当な医療と体・心・霊のケアを得られるように支援する。」 (蓮花基金會ホームページ 筆者訳)具体的に以下の四点が述べられる。 1.宗教的な精神の構え 2.倫理孝道を顕彰 3.患者家族の悲しみを減らす 4. 臨終ケアの模範を立てる (蓮花基金會ホームページ 筆者訳)  すべての出発点が「終末期患者」と家族へのスピリチュアルケアである。陳 榮基(2016)によると、実務的に臨床仏教宗教師は以下の役割を担っている。 図1 臨床仏教宗教師の役割 陳榮基(陳 , 2016) に基づき筆者製図  臨床仏教宗教師は専門家として、緩和ケアチームに加わり、スピリチュアル ケアを担当する。さらに、終末期に宗教性が高まる患者にアドバイスを提供し、 葬儀事項も宗教者として専門知識を教え、最後まで患者と家族を安心させる。 陳慶餘ら(2002:20)は臨床仏教宗教師の研究において終末期患者のスピリチュ アリティを次のように定義した。「正法に対する感応、悟り、理解能力。それ は一種の生命力、心知成熟の表現である。」(筆者訳)  陳慶餘ら(2002:21)によると、「正法」というのは仏教の教義法門ではなく、

(10)

人間が平穏に死や困難を向き合える、内なる力を生み出す全ての知恵のことで ある。仏教教義は正法の一つであり、キリスト教系などの宗教の考え方も、宗 教でない考え方も、患者の死亡に向き合える力になれるものすべてが正法であ る。誰でも正法を感じる、理解する力を持つ。仏教的言い方をすれば、人間に は「仏性」が内在する。このような定義から発展したのが台湾の臨床仏教宗教 師特有の「本土化靈性照顧模式(本土化スピリチュアルケアモデル)」である(陳 ら、2020)。以下のステップに分けられる。 図2 本土化靈性照顧模式(陳慶餘ら ,2002に基づき筆者製図)  実際の技法として、傾聴や生命回顧が重要である。生命回顧はつまり人生を 振り返ることを通じて患者のこれまでの歩んできた道、後悔、叶えたい理想な どを知ることである。死への準備における不可欠なステップである。臨床仏教 宗教師が自然な会話から入り、何回もの交流を経てようやくライフストーリー をつなぎ合わせることができる(家族の協力も重要)。時間が限りあるので、 適切なタイミングで話すテーマを導くことも大事である。  ケアの流れは日本の臨床宗教師と同じく傾聴(スピリチュアルケア)から入り、 状況に応じて、宗教的要素を投入する(宗教的資源の活用)。しかし日本と比 べれば、ケア後期の仏教教義の学習や成仏の道はかなり仏教的色彩が強くなり、 宗教的ケアにも見える。臨床仏教宗教師特有の方法論は以下の六つがある: 1.眾善法門: 病状告知、死生教育、人生の振り返り、願いを叶えるなど患者 に死亡準備の段階に導かれるすべての方法である。 2.皈依法門: 死という暗闇の道を歩くために、頼るものが必要になる。頼る

(11)

もの(宗教など)を通じて、努力する方向と目標が現れる。 3.念佛法門: 念仏に専念し、心の乱れを平穏にさせ、患者の心も安らげる。 さらに、念仏によって、超越者とのつながりも感じられる。 4.數息療法: 數息とは息を数えることである。数えることによって心を集中 し、落ち着くことになる。 5.懺悔法門: 患者を自らに、これまでの過ちを話し出させる。過去のことに 向き合い、他人そして自分から赦しをもらい、心の清浄を得る。 6.臨終說法與助念: 人生最終段階において、患者の精神を安定させるため、 臨床仏教宗教師が臨終説法を行い、患者と一緒に人生を 振り返り、人生の意味と価値を肯定する。一方、助念は 患者のためだけでなく、家族も念仏を通じて、死者との つながりを再確認し、気持ちを整理するので遺族のグ リーフケアにもなる。 (釋德嘉ら、2016:234─237、256─267、298─305)  これらの法門は一見仏教のみ適用できるが、実際は患者の状況、信仰形態と 宗教性によって応変する。釋德嘉ら(2016:217)の指摘のように「六つの学習 方法は仏教から発展したが、違う宗教や民俗信仰に応じて、その人の適用性に よって調整することができる。」(筆者訳)例えば、キリスト教の場合では、眾 善法門はキリスト教の天国観、帰依法門は洗礼、念仏は祈りに変化する可能が ある。前掲書(2016:102─109)の中にもキリスト教徒に対するケアの事例が記述 されている。患者が苦痛のあまりに神様さえ疑うようになった時、臨床仏教宗 教師は患者と共に神様の意志を再確認し、一緒に祈り、患者の信仰を固めた。  そもそも臨床仏教宗教師の原則は「患者の信仰を無理やりに変えてはいけな い」ことであり、患者や家族への尊重が最優先である。確かに仏教教義に沿っ てスピリチュアルケア理論が作られているが、柔軟性も見える。もちろん、臨 床仏教宗教師をきかっけに仏教に帰依する患者、家族もいるため、宗教的ケア に入る者も少なくないが、あくまで患者の意志を尊重する上で行うことである。

(12)

前掲書(釋德嘉ら ,2016)において宗教的資源の活用段階で完結、あるいは宗 教的要素を殆ど言及されずにケアが完成するケースも多く見られることから、 臨床仏教宗教師は完全なる(特に仏教の)宗教的ケアに拘らず、柔軟性が高い ともいえる。 2.4研修  臨床仏教宗教師の研修は蓮花基金会により主催されている。応募資格は50歳 以下、僧侶歴5年以上、大学卒業、基本的な終末期ケアカリキュラムの資格、 コミュニケーションスキル / コンピューターライティングスキルを持つことと、 プロ意識を備えていることである(Chen、2012:303 筆者訳)。 研修内容は主に以下の五つの部分に分けられる 1.緩和ケアの医療関連課程:19時間 2.心理と社会:5時間 3.宗教と法門応用(スピリチュアルケア相関):31時間 4.その他(ケース研究&グループディスカッション&課程後評価):10.5時間 5.ホスピス臨床実習:80時間 (陳 ,2016 筆者訳)  課程を受ける間に、本土化スピリチュアルケアモデルの学習はもちろん、患 者の病状に応じる対応方法やカルテの読み方と書き方などの医療関連知識も把 握する必要がある。実習に関して、台湾大学附属病院が主な実習機構であり、 この間は詳しい患者記録、対話記録を作成することが要求される。実習終了後 は育成訓練があり、具体的な課程内容がなく、主に以前学んだ知識や経験を活 かして、実際に緩和ケアの場に臨んで一人の専門家として参与する訓練である。  陳慶餘ら(2002:25)によると、臨床仏教宗教師は四つの学習段階がある。一 つ目は緩和ケアに関する基本知識を知ることである。二つ目は最初にボラン ティアとしてケアを参与し、ケアチームのメンバーの専門的役割及び連携の仕 方を知ることである。三つ目は一般的なケアの能力を備えることである。四つ

(13)

目は専門的役割を成し遂げることである。  一方、仏教の他に、道教、キリスト教系、台湾民間信仰に関する専門知識も それぞれ専門課程がある。他の宗教を学んで、柔軟性のある対応を可能にする。  指導者である臨床仏教宗教師たちは研修の間、研修者の適性を観察する。実 習や育成訓練を終えた後「甄審會考」という制度があり、現役の臨床仏教宗教 師が委員会を結成し、審査官として研修者に対する面接試験を行う。結果とし て少数精鋭制となり、年間大体1人から3人ほどの合格者しかいない。2019年 3月時点で、認定された臨床仏教宗教師はわずか65人である。 2.5実績 蓮花基金會は研修場の台湾大学附属病院だけでなく、台湾全国計47院の病院ホ スピスと契約を結び、総じて34人の認定臨床仏教宗教師がスピリチュアルケア を提供している。台湾大学附属病院をはじめ、数多く公立の重点医療機関も含 んでいる10。臨床仏教宗教師は基本的に週二日の出勤で、病院それぞれのルー ルと状況によって、仕事の流れも変化する。德嘉法師の話によると、台大病院 にいた時は基本的に緩和病棟すべての患者を見回る必要がある。看護師がどの 患者が切迫する需要があると伝えて、その患者の所へ優先的に向かわせる病院 もある。ケアを行う前は患者たちのカルテを読む必要がある。  大悲學苑は在宅ケアのために尽力する同時に「大悲家園」というケアプラン を立てる。傾聴だけなく、具体的な内容があり、違う専門の講師が定期的に養 生、料理、芸術、レジャーなどの課程を開いて、患者家族、グリーフを抱える 家族にリラックスの場所を提供する。  本稿冒頭に言及した The Economist も高く評価しているように、蓮花基金會 におけるスピリチュアルケアの事業は国内だけでなく、海外から見ても実績の ある計画といっても過言ではない。 10 臨床仏教宗教師配属病院一覧 アクセス2020年09月28日   https://drive.google.com/file/d/1IzbFX0RH6TpQ7Exnt5tQjwZFPNGzKKL1/view

(14)

3.日本と台湾の比較 本章で日本の臨床宗教師と台湾の臨床仏教宗教師におけるいくつかの異同を比 較し分析する。 3.1それぞれの宗教事情  台湾の中央研究院が主催する「台灣社會變遷基本調查計畫」の(2019年)宗 教における調査によると、宗教信仰がないと答えたのが13.2%に対して、民間 信仰の信者が49.3%、仏教が14%、道教が12.4%、キリスト教が5.5%である11 そして、82.7%の人が信者になるまで特に何も入信儀式を経験したことはない と答えた12。自分に関する状況について、非常に強い / 強い信仰を持つと答えた のが合計21.5%、宗教を信じない / 非常に信じないと答えたのが合計10. 7%、 少し宗教信仰を持つと答えたのが53%である13  結果から見れば、たとえ特定の宗教教派に強いつながりがなくても、台湾人 も比較的に宗教性が表に出ている。  一方日本の場合、統計数理研究所2013年の調査によると、宗教を信じている と答えたのが28%に対して、信じていないと答えたのが72%だった。一方、宗 教心が大切かという問題には、大切だと答えたのが66%に対して、大切でない と答えたのが21%だった14。高い宗教性のわりに無宗教と答える人がかなり多 かった。理由について、「宗教」を特定の団体や教派だと認識している傾向が 高いからだと考えられる。NHK 放送文化研究所の2018に行った宗教に関する 世論調査15によると、宗教団体に対する信頼感は低く見える。非常に / かなり / まあ信頼しているという回答の総計が34. 3%に対して、あまり / まったく信 11 調査人数:1842人。問題:あなたの今の宗教信仰は? 12  問題:あなたの今の宗教信仰について、何かの儀式を通過し現在の宗教団体の一員になれ ましたか? 13 問題:あなたは以下のどの文で自分を紹介しますか? 14 問題:「宗教についておききしたいのですが、たとえば、あなたは、何か信仰と信心とか を持っていますか?」/「それでは、いままでの宗教にはかかわりなく、「宗教的な心」とい うものを、大切だと思いますか、それとも大切だとは思いませんか?」

15 ISSP Research Group (2020). International Social Survey Programme: Religion IV - ISSP 2018. GESIS Data Archive, Cologne. ZA7570 Data file Version 2.1.0, https://doi.org/10.4232/1.13629.

(15)

頼していないという回答が49.3%である16。台湾での調査 (中央研究院社會學研 究所、2019)では、非常に / かなり / まあ信頼していると答えたのが62.9%に対 して、あまり / まったく信頼していないと答えたのが26.9%である17。両国の宗 教団体に関する見方の違いが分かれる。  日本の調査結果の原因について、まず考えられるのが宗教関連の犯罪事件で ある。特に1995年の地下鉄サリン事件の影響が大きいと思われる。NHK の 1998、2008、2018年の三回の調査結果から見ると、地下鉄サリン事件直近の 1998年の調査では宗教が争いをもたらすと答えた割合がかなり高いことが示さ れている。調査リポートの執筆者である小林利行も原因が事件の影響力の強さ にあると指摘した(小林 , 2019)。  もう一つの原因として、阿満利麿(1996)が提出した日本人の痩せた宗教観が 連想される。日本において神道などの自然宗教18は宗教として捉えられておら ず、強い宗教性が含んだ行為でも、ただの習慣、風俗と見なされるようになっ た。一方、仏教、キリスト教などの創唱宗教19は個人の私事として閉じこめられ、 公的な場に出すのは悪い事だという暗黙のルールが形成され、今もこのような 痩せた宗教観が日本人の心に潜んでいる。思想面だけでなく、戦争の原動力の 一つとして考えられる国家神道も戦後の宗教タブー化につながる。  宗教に厳しい社会環境の中、日本の臨床宗教師の当面する課題は「正当性」 であると思われる。正当性とは、社会及び民衆から理解と信頼を得て、公的な 場にて「宗教師」として活動することが理にかなっていると認められることで ある。日本臨床宗教師会(2016)の倫理綱領の内容も日本の宗教事情に即してい る。名前は宗教師であるが、布教しないなどの点から、できるだけ宗教らしさ を減少する工夫が見られる。もちろんこれは対象者の信仰を尊重するためでも あるが、公的な場での宗教者を見慣れていない日本人への配慮でもある。 16  問題:次の A から E に挙げた組織や制度を、あなたはどのくらい信頼していますか?   C:寺、神社、教会などの宗教団体 17 問題:以下の機関団体に関してあなたの信頼度は? (3)宗教団体と教会 18 自然に形成され、特定の教祖や教義がなくても代々受け継がれる宗教である。 19 特定の人が特定の思想を唱えて、信仰する人々がいて初めて成り立つ宗教である。

(16)

 初歩的な正当性を得るため、両国は似た道を歩んできた。台湾は国内の最高 峰大学―台湾大学の附属病院から臨床仏教宗教師の養成を開始した。日本の場 合も国立名門校である東北大学にて寄附講座が開設された。国内屈指の研究機 構で研究されること自体が一定の正当性を得る根拠となる。そして臨床仏教宗 教師 / 臨床宗教師制度を提唱するプロモーターも両国ともに医師である。実績 のある医師から宗教者によるスピリチュアルケアを唱えるのもある程度ケア効 果の信憑性を向上できる。  台湾は宗教に対して比較的に開放的である。劉一蓉らの300人の患者(有効 サンプルは227人)に対する調査において、病院に宗教師 / チャプレンを設置 する需要がある / 非常にあると答えたのが約61%に対して、必要ないと答えた のが約5%である20(劉 , 蘇 , 吳 , 2008)。たしかに抵抗感は大きくないが、根本 的な問題はスピリチュアルケアを提供している宗教者の存在に対する認識が薄 いことだ。正当性も無視できない課題であるが、現段階台湾において臨床仏教 宗教師の最も大きな課題は「知名度」と思われる。つまり、より多くの人々に 臨床仏教宗教師の存在及びスピリチュアルケアの意義を知らせる必要がある。  蓮花基金會と大悲學苑でのインタービューにおいても「現行体制は良いが、 普及のためのマーケティングが容易ではない」という発言があった。知名度を 上げるため、臨床仏教宗教師に関するスピーチやワークショップが全国で一年 中続いている。2017年には、蓮花基金會と大悲學苑が協力し「聽身體說話(体 の話を聴く)」という舞台劇が制作され、現在でも YouTube で視聴できる21。お よそ30分の長さで、臨床仏教宗教師が行うケアの流れを演じた。結果として、 この劇は医療関係者から多くの反響があった。20院以上の病院で、医療関係者、 心理士、ソーシャルワーカー向けのワークショップを開催した。今もそれに基 づいてドキュメンタリー映画の撮影を開始し、医療チームだけでなく、一般人 にもスピリチュアルケアの概念を普及させようと活動を続けている (德嘉 , 20 対象者が病院に宗教師 / チャプレンを設置する需要があるかどうかを四つのテーマ(情緒 心理面、スピリチュアリティ面、社会関係面、宗教儀礼面)に分けて、さらに細かく宗教師 の役割についていくつかの項目を質問する。 21 https://www.youtube.com/watch?v=9_tdEyBGtcw アクセス:2020年11月21日

(17)

2019)。  そしてもう一つの難点として、台湾は宗教間の協力が少ないことが挙げられ る。キリスト教系も近年(2016)「基督教靈性關懷師」(キリスト教スピリチュ アルケア師)の認定制度を始め、両方とも制度や研修において学び合いはある が、実際の交流は少なく、日本のように多宗教間協力が活発ではない。研修に おいてあらゆる宗教の宗教者が交流し協力することで、日本の臨床宗教師に多 様性と柔軟性を与えるのだ。 3.2医療知識の必要性  医療知識の必要性は台湾と日本との一つ重大な違いである。医療知識をかな り重視する台湾の臨床仏教宗教師に対して、日本の臨床宗教師は病院での実習 があるが、詳細な医療知識習得課程はない。  ここで臨床仏教宗教師に医療知識が必要不可欠である理由について分析する。 筆者の考えでは、原因は両国の宗教者によるスピリチュアルケアの出発点にあ る。台湾の臨床仏教宗教師は終始緩和ケアに目を向けて、スピリチュアルケア の定義から研修内容まで、すべてが緩和ケアとつながっているので、「緩和ケ ア型」ともいえる。今でも緩和ケアが主な仕事である。德嘉法師はインター ビューにおいて、医療知識の重要性について語っている。  ケア対象者が終末期患者だから衰弱状態と瀕死症状などを見分ける必要 があり、違う衰弱段階に相応しい言葉で語り掛けなければならない。その ため医学知識が不可欠である。実習の間、研修者は病人の変化、血圧、傷、 どの薬品を使っているのかも観察する必要がある。もし既に瀕死症状が出 ているにもかかわらず、社会関係のことばかり話していたら、患者の需要 に合わないから良いスピリチュアルケアではない。 (德嘉、 2019 筆者訳)  終末期患者の体や心境の変化は激しく、正確なタイミングで正確な判断を下 し、効果的なスピリチュアルケアが行われるため、医療知識が必要条件となっ

(18)

た。たしかに医者、看護師もケアチームにいるが、臨床仏教宗教師は医療知識 を持つと、最善な対応を素早くとることができる。ケアチームの会議において も、知識、用語を共有できれば医療関係者と円滑に話が進めて、計画を効率的 に考案できる。医療知識を重要視しているのは、台湾の臨床仏教宗教師の出発 点はすべて緩和ケアにあるからである。  一方、日本の場合、臨床宗教師は東日本大震災後に生まれたものであるが、 その発想は震災以前から存在していた。提唱者である岡部医師の最初の目標は 終末期の患者に対して医学、心理学だけでなく、宗教的要素も含むケアシステ ムを作ることである。最初は(在宅)緩和ケアから開始する予定であったが、 東日本大震災という突然の出来事の中、宗教者たちは自分のできることを考え、 臨床宗教師の仕事を緩和ケアから災害後被災者へのスピリチュアルケアに拡張 した。もちろん、被災者にスピリチュアルケアを提供するのも多少医療知識を 持っていたほうが良いが、より求められているのが長時間に渡る被災者との付 き添い、傾聴である。死者に対する鎮魂、生還者に対する簡単な宗教儀礼ある いは宗教的アイテムの配布などの宗教的資源の活用も効果的である。さらに、 突然の禍によって破壊された被災者自身の「物語」の修復、新しい意味、位置 づけを与えて書き直すことも宗教の専門家の得意分野である。  大村哲夫(2020:263)が述べたように、「従来の医療的ケア、福祉的ケアの 枠に収まらない宗教者ならではのケアが期待されている」。研修内容は医療知 識より、宗教学、宗教心理学、死生学、実践宗教学、グリーフケア、傾聴など に集中することになった。  ちなみに、台湾での災害後スピリチュアルケアについて、德嘉法師は以下の ように話した。  臨床仏教宗教師は数少ないので、病院での活動はもう手一杯である。し かし、台湾の社会環境は善良であるから、災害時必ずどこかの宗教団体が 行動をとる。災害において研修で学んだ知識というより、長い時間の付き 添いのほうが必要である。被災者の方々と私たちのケア対象である終末期

(19)

患者との違いは非常に大きく、悲しさに包まれる人に対するスピリチュア ルケアは多くの人力と時間をかけた寄り添いと傾聴が必要であり、ケアの システムはかなり異なっている。 (德嘉、 2019 筆者訳)  臨床仏教宗教師は終末期患者に専念することから、医療知識が必要不可欠で ある。他の宗教者たちがいて被災者を援助できるので、臨床仏教宗教師は緩和 ケアの専門能力の発揮に専念できる。このような仕事の分担が可能になるのも 台湾の宗教事情につながる。台湾人は宗教者が公益のため公的な場に出ること をごくありふれたことと考えているため、抵抗感が少なく、むしろ好印象を持 つ場合が多い。宗教者 / 団体に信仰していないが、一つの社会に貢献できる団 体として認められている。 3.3ボランティア  ボランティアはケアチームの重要な一員である。専門者(医療関係者など) でもなく、当事者(患者と家族)でもないボランティアは、普通の人にしか達 成できない効果をもたらす。患者の緊張感を安らげ、手伝いによって家族や看 護師の仕事を分担しながら、専門者と当事者の間の架け橋にもなれる。  日本のホスピスボランティアの研修は主に医療施設が主催しているのに対し て、台湾では医療施設以外、臨床仏教宗教師の組織も研修を行う。蓮花基金會 は安寧志工(ホスピスボランティア)、大悲學苑は靈性志工(スピリチュアル ケアボランティア)がある。安寧志工は他の緩和ケア組織、病院でも養成され ている。安寧志工は病院でケアチームと協力し、主な仕事は行政事務、雑務と 患者の清潔維持などである。一方、靈性志工は臨床仏教宗教師と似ていて、大 悲學苑の在宅緩和ケアを効率よく行われるように支援している。本節は靈性志 工に焦点を絞る。  まずは大悲學苑における患者を引き受けるシステムについて説明する。病院 と契約する蓮花基金會とは違い、在宅緩和ケアが仕事である大悲學苑は様々な ルートから患者を引き受ける。病院からの患者の場合はまず病院側が病状やカ

(20)

ルテなどを記す患者紹介状を提供する。一般人の場合は直接大悲學苑に電話を かけて相談できる。電話で状況を伝えた後、簡単な紹介状を作る。監督者(臨 床仏教宗教師)は紹介状を読んで、引き受けるかどうかを検討する。患者が抱 えているのが精神的な問題だと判断されたら、精神科医や心理士に紹介する。 体の問題が最優先の場合は病院に紹介する。  スピリチュアルケアが必要と判断され引き受けた後も必ずしも先に臨床仏教 宗教師が動くとは限らない。臨床仏教宗教師の数が少ない上、病院での仕事が 手一杯の宗教師がほとんどであるため、大悲學苑で在宅ケアを提供できる時間 と地域も限られている。ここでボランティアの真価が発揮できる。  霊性志工は臨床仏教宗教師の在宅ケアの一環として訓練されてきた。その養 成はかなりハードルが高い。以下に靈性志工の研修カリキュラムを紹介する。 資料は大悲學苑から提供された2019年安寧靈性關懷人員專業訓練課程である。 基礎課程(一部): 「老人及び十大末期疾病の緩和ケア」、「緩和ケアにおける臨床方策決定にお ける倫理と困難」、「末期疾病症状評定とコントロール総論」、「臨床症状処理 概説」、「終末期患者の家族の需要とケア」、「コミュニケーションスキル―人 生回顧の理論と応用」、「コミュニケーションスキル―寄り添い、傾聴、共感 に対する認識」、「退院準備と在宅緩和ケア、長期医療と地域コミュニティの 緩和ケア」など計28時間 専業課程(一部): 「スピリチュアリティの認識と終末期患者のスピリチュアルペインとスピリ チュアルニーズ、及びスピリチュアリティと宗教との関係」、「終末期患者の スピリチュアリティ評定と記録」、「民間信仰 / キリスト教 / カトリック / 仏 教信仰、死生観、宗教儀礼、葬式」、「緩和スピリチュアルケアの会談能力の 養成グループワーク:診療記録の閲読、スピリチュアルペインの標示、対談 ノウハウ」、「緩和スピリチュアルケア人員の役割とチームワークモデル / ス

(21)

ピリチュアルケア提供者の仕事倫理 / 緩和スピリチュアルケアボランティア の資源の応用」、「緩和スピリチュアルケア人員のストレス適応、自己認識と 成長」など計45時間 (筆者訳)  総じて73時間の課程において、宗教関連の課程は4時間しかなく、主に医療 知識とスピリチュアルケアの理論と実践に関わる内容であり、講師の職種も医 師、看護師、ソーシャルワーカーが大半を占めている。  研修について特に応募条件がなく、年間平均的に50人前後受講するが、全員 合格ではない。課程を修了した後、面接試験が行なわれ、通過できれば、実際 のケアの場に連れて行き、見習いをさせる。その後、病院で1週間程の実習が 必要である。全ステップを踏んだ後、もう一度面接試験がある。監督者たちは 日ごろの観察に基づき、合否を判断する。合格してもまだ一人前のボランティ アとは認められず、何回かボランティアの先輩と患者のケアを行って、先輩が 監督者に状況報告をする。適合だと判断された後ようやく認定証を受けること ができ、正式的に靈性志工となる。  厳しい課程を必要とする理由は靈性志工の仕事にあり、先程述べたように在 宅ケアのケースを引き受けた後もすぐ臨床仏教宗教師が対象者を訪ねるとは限 らない。最初に動き出すのはボランティアである。霊性志工の主な仕事は患者 の苦痛を傾聴、理解して共感することである。霊性志工に任せるとはいえ、臨 床仏教宗教師も参与している。ボランティアが毎回必ず記録を作成し臨床仏教 宗教師に報告して、必要を感じる場合には臨床仏教宗教師が自ら動き出す。難 しい訓練を乗り越えないと、重大な任務を安心して任せられない(德嘉、 2019)。 ボランティアの協力により、人力不足の臨床仏教宗教師も効率よく在宅ケアを 提供できるようになる。  霊性志工は宗教者ではないが、完全なる靈性志工になるには所定課程以外、 大悲學苑の仏教課程を受講する必要があるため、幅広いスピリチュアルケアが 提供できる。もちろん「患者の意思、信仰を尊重する」という大前提も厳守す べきである。

(22)

 ボランティアの採用にはもう一つ利点がある。縁起が悪いなどの理由で、宗 教者に対してどうしても抵抗感のある人もいるので、ボランティアが先に「一 般人」として患者に接触し、紹介状では伝えられない実情を観察して対応する ことができる。患者のボランティアに対する信頼感の向上も、後の臨床仏教宗 教師との関係性を円滑にさせる。 3.4アセスメント  アセスメント(心理測定)は臨床心理士がよく使っている技法であり、介入 前から、様々な段階でも執り行われる。アセスメントの実施はケアプランの作 成において重要な一環であるが、日本の臨床宗教師はアセスメントをとらない。  台湾の場合では、病院内でケアを行う臨床仏教宗教師はもちろん、大悲學苑 の在宅ケアもアセスメントをとるのが最初の仕事である。臨床心理士と似てい て、面接法、観察法などを通じて資料を得る。情報源として、患者自身だけで なく、家族も重要である。初対面の人に対してなかなか言えない過去の出来事 も必ずあり、それは患者のスピリチュアリティの形成またはスピリチュアルペ インの原因の可能性も多いため、家族の協力が不可欠である。  アセスメントシートはいくつかの部分に分けられていて、対象者の基本資料、 家族関係、ライフストーリーなどの項目がある。そして、毎回のケアに応じて、 対象者の問題、行われたケアの内容、宗教的ケアの有無も記録し、対象者の毎 回のスピリチュアリティ、死亡恐怖、宗教的境地を評定する。家族がカウンセ リングを受けた場合もその内容を記録する。  基本資料において特に注目すべきなのが、期待、死亡の受け入れなどの項目 で、患者と家族は別々の答えを記入することができる。難病医療において、患 者と家族の食い違いはそれぞれにスピリチュアルペインを与える。結果的に、 患者に望むことのない、苦痛を増やすだけの過度医療を強要することになりが ちになり、最終的になす術のない医者が家族の怒りの対象になる虞さえある。 臨床仏教宗教師が患者と家族両者の意見をまとめるケースも多くある。  介入が始まった以後も毎回の状況を記録する。どのようなケアを提供したの

(23)

かを詳しく書きながら、患者のスピリチュアリティ、死亡に対する態度などの 変化を記録し、今までのプランの効果を評価し、今後の参考にする。家族につ いての記録は重要で、臨終の際、患者自身だけでなく、家族もスピリチュアル ペインを抱えやすいからだ。  アセスメントと記録表により、患者と家族に最適なケアプランを制定し、介 入することが可能になる。日本の臨床宗教師はアセスメントがないが、会話記 録がケアの重要な一部である。会話記録は記録としての機能も持ちながら、自 己察知、研究素材、他人との連携材料などの機能も果たしている。 3.5報酬  臨床心理士などの職は仕事を通じて給料をもらうのが当たり前であるが、宗 教者の場合では話が違う。同じく専門知識を持ちながら、厳密な研修を経て初 めて臨床の場でケアを提供できるようになる。とはいえ、宗教者による善意と 信仰のための行いだと思われることも多く、金をもらうのがよくないと考える 人も多数いる。臨床宗教師倫理ガイドラインにもケア対象者から金員を受け取 られない、利益のため行動してはならないなどの記述がある22。これは日本の 宗教事情により宗教者が公的場に出る正当性を考慮した結果と考えられる。実 際、正式に職員として雇われる臨床宗教師もいるが、あくまで少数である。殆 どの臨床宗教師はボランティアとして公的場で活動している。理想を持ち奉仕 することも素晴らしいが、自分の生活さえ維持できないのなら、他人の健康を ケアできるわけがない。他に生活基盤となる本業、または宗教組織がないと臨 床宗教師の仕事を続けることが難しい。  加えて、報酬をもらうこと自体が専門能力で働く証明であるため、報酬がな い限り、人々から専門性を認められず、ボランティアとしてみなされることに なる。もちろんボランティアも尊敬すべき、必要不可欠の存在であるが、医師、 心理士、看護師のような「プロ」ではない。これは臨床宗教師の専門性と社会 22 臨床宗教師倫理規約(ガイドライン)及び解説;第8条(2016/02/28)

(24)

的地位に悪い影響が出る。  一方、台湾の臨床仏教宗教師の報酬事情は蓮花基金會と大悲學院の二つの状 況に分けられる。  蓮花基金會は前章の紹介のように、蓮花基金會が各病院に契約を結び、認定 された臨床仏教宗教師が配属されている。契約病院でケアを提供する臨床仏教 宗教師のみが時給をもらえる。陳福森の話によると、契約のない病院に行くの は好ましくない。なぜなら、病院側は臨床宗教に対する認識が必ずしも充実で はなく、認定臨床仏教宗教師でも病院側の目線からすると不審者、葬儀社関連 者などと思われる。病院の宗教的立場が仏教と違い、受け入れられない場合も ある。もめごとを避けるために、認定臨床仏教宗教師は契約のある病院でのみ 働いている (陳、 2019)。  台湾の仏教組織は主に信徒からの寄付と法会の開催によって資金を得ている。 大きな組織はかなり裕福であるが、属する仏教者が出家者であるのでお寺に住 んで修行する。可能な限り物欲を下げるが、日常出費もあるので、お金が全く 必要ないとも言い切れない。出家者は属する組織によって収入が異なり、原則 的に毎月「單金」という所得税がかからない程のお小遣いをもらえる23。臨床 仏教宗教師としての時給は生活のためというより、ケアを提供するため数少な い單金を全部使って、日常出費が困難になるのを避けるための措置だと思われ る。  大悲學院は蓮花基金會と違い、無償の在宅緩和ケアが仕事であるので、事業 を続けるためにサポートが必要となる。大悲學苑が在宅緩和ケアのケースを引 き受ける時、ケアにかかる費用も支援している。大悲學苑はケアを提供しなが ら、教育、仏学課程を開いて、法会も開催し、これらの活動から収入を得る。 それに加えて、信者と支持者からの寄付金も重要な収入源であり、これらに よって、在宅緩和ケアという事業を継続させる (德嘉、 2019)。つまり、大悲學 苑がない限り、在宅緩和ケアも実現できない。 23 教派によってかなりの違いが生じる。基本物資がお寺から提供されるため單金がない教派 もある。さらに台湾のチベット系仏教の状況も違う。

(25)

 日本の正式に雇われている臨床宗教師は病院と個人の雇用関係であるのに対 して、台湾は蓮花基金會を通じて、契約のある病院に臨床仏教宗教師が雇われ ている。これは基金会と病院の間に信頼関係がないと成立できないことである。 一方、大悲學苑は基本的に無償でサービスを提供している。しかし、大悲學苑 自体が様々な活動を開催して、収入を維持している。臨床仏教宗教師に給料を 提供しないが、継続できる財源を確保している。 3.6比較表  この節は第四章で書いた内容を表として記録する。 臨床宗教師(日本) 臨床仏教宗教師(台湾) 人数 200名(2020年6月) 65名(2019年3月) 性別 男が多数 女が多数 宗教師所属宗教 多宗教(仏教者多め) 仏教 24 最初の目標 在宅緩和ケア ホスピス緩和ケア 実際の出発点 災害後ケア ホスピス緩和ケア 提唱者 岡部健 医師 陳榮基 医師 初期の研究拠点 国立東北大学 国立台湾大学 医療知識 研修段階で必要なし 必要 組織を通じて病院と契約 なし あり アセスメント なし あり 病院での連携 チームカンファレンスに参加できる ケアチームの一員としてグループ会議に参加 報酬 一部の被雇用者のみ あり 25 災害後スピリチュアルケア あり なし 宗教師による伝教 / 入信 禁止 患者の意向を尊重26 臨床におけるサポート役 なし(一般的なボランティアはいる) あり(安寧志工 / 靈性志工) 24 原則として仏教の宗教者であるが、今まで養成を経て資格を取ったシスターも二人いる。 25 病院と蓮花基金會との契約がある場合だけ時給が発生する。大悲學苑で在宅緩和ケアを行 う臨床仏教宗教師は収入がない。 26 無理やりの伝教、もしくは患者を強制的に改信させるのは禁止である。ケア後期、患者が その意思が持てれば臨床仏教宗教師による帰依儀式も行われる。

(26)

認定更新 あり なし 当面する課題 正当性 知名度 4.まとめ  本稿は台湾の臨床仏教宗教師について紹介し、日本の臨床宗教師との比較を 試みた。比較からはっきりと分かったこととして、二つのシステムには本質的 な違いが存在している。台湾の臨床仏教宗教師は緩和ケア型ともいえるほど、 終末期患者を中心に、病院での仕事に特化される。一方、日本の場合では、医 療者と違う視点を持って、ケア対象者にとって医療者ではない理解者として寄 り添う。病院に限らず、被災地、福祉施設、少年院などの現場でも活動し、ケ ア対象者の幅がかなり広いのである。多宗教間協力という大前提で、様々な場 所であらゆる人々にケアを提供している。多様性は特徴の一つと言える。  もちろん、臨床仏教宗教師たちは医療者ではなく、宗教者であるという自覚 に基づいてケアを提供する。対象者の信仰を尊重し、傾聴や寄り添いなどを通 じてスピリチュアルケアを行うのは臨床宗教師と似ているが、やはり緩和ケア 特化という点において違いが見える。本稿冒頭で言及した The Economist にお ける死の質ランキングにおいて、蓮花基金会と臨床仏教宗教師が言及されたの も、緩和医療特化のケアが評定基準にあっていたからである。今後日本におい て臨床宗教師たちが医療知識を習得していくならば、病院内の専門者たちとの 連携がスムーズになり、緩和ケアの質の向上につながるだろう。しかし、活動 が医療に特化されない日本の臨床宗教師が台湾より劣っていることではない。 むしろ日本の臨床宗教師は、数値化の難しい部分での貢献が評価されていると いえる。宗教者が被災地などに足を運び、人々の話を傾聴しそばに居続ける。 時に宗教的知恵を用いて、ケア対象者と一緒に打開策を考える。これらの活動 は病院でのケアとは違って、対象者一人ひとりに詳しい記録がなく、(スピリ チュアルペイン解消状況確認のための)追跡も難しいのである。ケアの効果は 具体的に評価しがたいが、その活動を通じて生きる力を取り戻した人は必ずい る。台湾の臨床仏教宗教師はケア対象者の「善き死」の実現を目指す一方で、

(27)

日本の臨床宗教師は善き死だけでなく、悩んでいる人の「善き生」をも追求す るのである。  台湾の臨床仏教宗教師も様々な問題を抱えている、例えばアセスメントにお いて、ケアの効果と有益さを可視化するため、患者の測りがたい「スピリチュ アリティ」をあえて数値化して評価する。そしてケアにおいて臨床仏教宗教師 という存在の重要性を過大に強調する傾向も見える。これらの適切性はさらに 検討する必要がある。そして、台湾の臨床仏教宗教師が緩和ケア型であるゆえ に、対象者が限定されているという問題がある。終末期患者だけでなく、人々 は成長段階に応じて、それぞれスピリチュアルペインを抱えるので、日本のよ うに、病院に限らず、様々な場所でのケアが期待される。特に日本と同じく災 害大国の台湾において、臨床仏教宗教師の協力があれば、他の宗教者たちの被 災地支援もさらに効果的になるだろう。  緩和ケア型の台湾と多様性の日本、両国の宗教環境における大きな違いは無 視できない。宗教団体が当たり前のように公的場に出られて、公立病院にも助 念室や祈禱室が設けられている台湾と比べて、日本の臨床宗教師はハンデを背 負いながらも成長しつつある。この背景の中で生まれた臨床宗教師は日本なら ではの制度になっていくだろう。近年、台湾モデルを参考に臨床仏教師の養成 を開始した日本の臨床仏教研究所の今後の動きも期待される。  将来も両国が自国の「らしさ」を保ちつつ、学び合いを続ければ、宗教者に よるスピリチュアルケアのさらなる発展が期待できる。特にコロナ禍の中、感 染だけでなく、心あるいは霊的苦痛を抱える人々も急増し、新しい生活様式に おいて新しいケア形式を模索することも今後の一大課題となるに違いない。今 後の臨床宗教の制度や実態の変化、そして社会や対象者における意義を心掛け て観察する必要がある。 文献・資料 阿満利麿 1996『日本人はなぜ無宗教なのか .』筑摩書房

(28)

大村哲夫 2014「心のケア・ワーカーとしての宗教者「臨床宗教師」とは何か?: 臨床心理士との比較から」『東北宗教学』、 10、 1─17. 大村哲夫 2020「臨床宗教師ならではのケア:宗教的ケアとスピリチュアルケ アのはざまで」東北宗教学(15).263─284 岡部健 2012「講座開設への思い「臨床宗教師」構想について」『東北大学実 践宗教学寄附講座ニュースレター』(1)、 2. 金子昭 2011「東日本大震災における台湾・仏教慈済基金会の救援活動 : 釜石 市での義援金配布の取材と意見交換から」『宗教と社会貢献』( 1(2))、 73─80 小林利行 2019「日本人の宗教的意識や行動はどう変わったか~ ISSP 国際比 較調査「宗教」・日本の結果から~」『放送研究と調査』52─72 釋德嘉、釋宗惇等 2016『生死奧秘十六個生命的靈性對話與臨終學習』三應股 份有限公司 . 高橋原 2014「宗教者による心のケアの課題と可能性 : 臨床宗教師養成の試み」 『宗教時報』(117)、 27─44. 谷山洋三 2016『医療者のためのスピリチュアルケア臨床宗教師の視点から』 中外医学社 陳榮基 2019「【社長的話】跟著佛菩薩與上帝的腳步」『健康世界』(108─3) 陳榮基 2001「醫療人員如何幫助病人善終」『安寧療護雜誌』 6(2)、12─16 陳慶餘、邱泰源、釋宗惇、釋惠敏 2002「台灣臨床佛教宗教師之本土化靈性照 顧」 『安寧療護雜誌』 7(1)、20─32 傅仰止、林本炫、蔡明璋、廖培珊、謝淑惠編 2019「台灣社會變遷基本調查計 畫第七期第四次調查計畫執行報告」中央研究院社會學研究所 劉一蓉、蘇斌光、吳昶興 2008「醫院需要宗教師/院牧嗎 ? —南部地區兩家醫 院病患與家屬的觀點—」『安寧療護雜誌』13(3)、 301─319.

Ching-Yu Chen (2012) Clinical Buddhist Chaplain based Spiritual Care in Taiwan.

Taiwan Journal of Hospice Palliative Care Vol.17 No.3,300─309

(29)

palliative care across the world. The Economist. Web 文献・資料 安寧療護的哲理、歷史、作業模式、現況與展望/陳榮基董事長 2016   アクセス:2020年09月28日    https://www.youtube.com/watch?v= 7tcnUfSCJmw 蓮花基金會「本土化靈性照顧架構(中、英)作者陳慶餘」 アクセス:2020年09月28日 https://www.lotus.org.tw/news/549 蓮花基金會 臨床佛教宗教師培訓 DM アクセス:2020年11月21日 https:// www.lotus.org.tw/news/548 蓮花基金會「花開蓮成」アクセス:2020年11月21日 https://www.youtube.com/ watch?v=Bh8oCJ 3uhKY

大悲學苑「本會宗旨任務」アクセス : 2020年09月28日 https://dabei.eoffering. org.tw/contents/text?id=21 統計数理研究所2013「統計数理研究所国民性調査―宗教」 アクセス :2020年09月28日 https://www.ism.ac.jp/kokuminsei/table/data/html/ss3/3_1/3_1_20132.htm 蓮花基金會「願景」アクセス:2020年09月28日 https://www.lotus.org.tw/node/ 6 臺大醫院總務室 「往生室組織功能簡介」アクセス:2020年09月28日   https://www.ntuh.gov.tw/GA/Fpage.action?muid=2469&fid=2364 日本臨床宗教師会 2016「臨床宗教師倫理綱領」アクセス:2020年11月22日 http://sicj.or.jp/uploads/2017/11/rinri.pdf インタビュー 德嘉法師 2019年9月12日(大悲學苑にて) 陳福森  2019年9月16日(蓮花基金會にて)

(30)

Institution and Situation of Chaplaincy

── Through a Comparison Between Clinical Buddhist

Chaplaincy in Taiwan and Interfaith

Chaplaincy in Japan ──

Dongyue Fang

This paper is a comparative study of Japan and Taiwan, focusing on spiritual care and chaplaincy, which are not based on Christian system only. Introducing the his-tory, organization, system, philosophy, training program and achievements of Clini-cal Buddhist Chaplaincy in Taiwan(台湾臨床仏教宗教師), and tried to compare them with Interfaith Chaplaincy in Japan(日本臨床宗教師). This paper analyzed the actual situation of clinical religion and their differences by dividing them into five points: religious circumstances in both countries, the need for medical knowl-edge, volunteer, recruitment of assessments, and income problems. As a result, it can be seen from the comparison, there are essential differences between the two systems. Clinical Buddhist Chaplaincy is specialized in hospital work, mainly for the last stage patients, so that it can be said to be a medical type. On the other hand, in the case of Japan, Interfaith Chaplaincy will be close to the care recipient as an understanding person who is not a medical staff. Not limited to last stage patients, the range of care recipients is quite wide. Through multi-religious cooperation, di-versity can be said to be one of the characteristics. The big difference in the religious environment between Taiwan and Japan cannot be ignored. Further development can be expected in the future if both countries continue to learn from each other while maintaining their own “characteristics”.

参照

関連したドキュメント

多の宗教美術と同様、ボン教の美術も単に鑑賞や装飾を目的とした芸術作品ではない。それ

医師の卒後臨床研修が努力義務に過ぎなかっ た従来の医師養成の過程では,臨床現場の医師 の大多数は,

「臨床推論」 という日本語の定義として確立し

ケイ・インターナショナルスクール東京( KIST )は、 1997 年に創立された、特定の宗教を基盤としない、普通教育を提供する

インドの宗教に関して、合理主義的・人間中心主義的宗教理解がどちらかと言えば中

突然そのようなところに現れたことに驚いたので す。しかも、密教儀礼であればマンダラ制作儀礼

This paper is an interim report of our comparative and collaborative research on the rela- tionship between religion and family values in Japan and Germany. The report is based upon

「イランの宗教体制とリベラル秩序 ―― 異議申し立てと正当性」. 討論 山崎