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利用者の好みをとらえ活かす-嗜好抽出技術の最前線- : 2.ネットワーク上のユーザ行動に着目した嗜好抽出・情報推薦 2)嗜好情報に基づくニュースコンテンツの推薦とその応用 -画一的な便利さと多様な嗜好への適応-

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Academic year: 2021

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(1)特集 利用者の好みをとらえ活かす-嗜好抽出技術の最前線-. ❷ ネットワーク上のユーザ行動に着目した嗜好抽出・情報推薦. 河合由起子 京都産業大学.  情報推薦技術の 1 つとして,ユーザの閲覧履歴に基づいて嗜好性の高い情報を推薦する,パーソナライゼーション技術があ げられる.筆者はこれまで,閲覧履歴に基づいて興味情報を抽出・利用することで,複数ニュースサイトの大量記事を推薦す るマイ・ポータル・ニュースサイトを開発した.本稿では,ユーザが興味を持っているキーワードやインタフェース,さらに センチメント情報といった嗜好情報の抽出を中心に,情報統合・推薦技術を紹介する.. を統合した推薦情報(カテゴリや記事)に置き換えて提. マイ・ポータルページ. 示したことである.ユーザがインタフェースを使い慣れ. ポータルページあるいはポータルサイトとは,Web. ているということは,情報の空間的配置を認知している. の雑多な情報から特定のテーマに基づいて情報を収集し. といえ,トップニュースや,各カテゴリがどこに配置さ. 統合することで,テーマにそった Web ページに簡単に. れているかを把握しているといえる.さらに,この画一. アクセスできる“入り口”となる Web ページ,Web サイ. 的な便利さに加え,トップニュースやカテゴリ,カテゴ. トのことである.GoogleNews はニュースに対するポータ. リ内で提示される記事がユーザごとに個別化されている. ルサイトといえ,Amazon.com は書籍販売に対するポー. ため,興味ある記事へ少ない手間でアクセスできる.. タルサイトといえる.これらのポータルサイトを通して,. 一方,嗜好情報の抽出では,記事の話題に対して抱く. ユーザはいちいち検索することなく,お気に入りの Web. 人の感情(センチメント)の抽出・利用も試みている.. ページや興味ある Web コンテンツへ手間をかけずにアク. 広く用いられているセンチメント情報とは「肯定」や「否. セスできる.しかしながら,特定のテーマに絞ったとし. 定」といった 2 極化が一般的であるが,開発したシステ. ても,ポータルページに提示できる情報量には限界があ. ムでは,人の感情として怒りや恐れといった 8 つのセン. る.そこで,収集したページを効果的に選別・提供する. チメントを定義して抽出している.このセンチメント情. ための情報推薦技術が必要となる.近年注目されている. 報に基づき,書き手と読み手(ユーザ)の両者のセンチ. 情報推薦技術の 1 つとして,ユーザの閲覧履歴に基づい. メント情報を抽出することで,ユーザのセンチメントと. て嗜好性の高い情報を推薦する,パーソナライゼーショ. 類似する記事や,異なったセンチメントで書かれた記事. ン技術があげられる.ニュースのポータルページである. をバランスよく推薦できる.本稿では,ユーザが興味を. MSN の Newsbot. では,閲覧履歴からユーザの興味情報. 持っているキーワードやインタフェース,センチメント. を抽出・利用することで,スポーツや国際といったカテ. 情報といった嗜好情報の抽出を中心に,ニュース記事統. ゴリ内の記事提示の優先順位を決定している.Amazon.. 合・推薦技術を紹介する.. 1). com では,同様に閲覧履歴から興味情報を抽出・利用し, 協調フィルタリングを用いた書籍推薦を行っている. 筆者はこれまで,閲覧履歴に基づいて興味情報を抽出. ニュース記事統合・推薦技術. し,興味情報に基づき新たなカテゴリを自動生成し,こ. ニュースのポータルページでは,複数ニュースサイト. の新たなカテゴリに複数ニュースサイトから収集した大. から Web ページを収集し,収集したページの記事を社. 量の記事を分類し,さらに,興味情報を利用してカテゴ. 会,国際,スポーツなどのカテゴリごとに分類し,統合. リ内の記事提示の優先順位を決定するマイ・ポータル・. して提示する.このようなポータルページを通して,利. ニュースサイトを開発した .特筆すべき点は,ユーザ. 用者は複数のニュースサイトにアクセスすることなく,. が普段よくアクセスしている Web ページのインタフェ. 記事をまとめて閲覧することができる.しかし,収集し. ースを嗜好情報の 1 つととらえ,使い慣れている既存ニ. た大量の記事をカテゴリごとに分類する際,カテゴリの. ュースページのレイアウトをそのまま利用し,内容のみ. 設定は統合サービスを提供している管理者によって決め. 2). IPSJ Magazine Vol.48 No.9 Sep. 2007. 979.

(2) 特集 利用者の好みをとらえ活かす-嗜好抽出技術の最前線- インタフェースとして代用する.従 ・ビューア( ビューア (MPV) マイ マイ・ポータル ・ポータル・ MPV). 既存のニュースサイト. 来の情報統合では,統合しているサ イトの分類体系と,その分類体系を 反映しているポータルページ内の情 報配置やリンクといった構成(レイ アウト)が独自で決められている. そのため,利用者は提示される統合. ユーザの嗜好に合わせて 提示される内容が異なる 提示される内容が異なる. ページの構成を把握し,収集された 内容が異なる. 膨大な情報の分類体系を理解する必 要があった.MPV では,ポータルペ ージは分類体系のルートノードを可 視化しているページと考え,ポータ ルページを通して,利用者への効果. 図 -1 MPV により複数ニュースサイトから収集された大量の記事はユーザの興味に合わせて 分類・選択され,既存のポータルページへ統合提示される. 的な情報提示を可能とする.つまり, 既存ポータルページのレイアウトは そのままで,ポータルページ内の情. られており,利用者は目的の情報がどのカテゴリに含ま. 報を利用者の興味ある情報へと置き換える.使い慣れて. れているかを予測しなければならない.さらに分類され. いるポータルページのレイアウトを利用することで,ユ. た数項目のカテゴリ内にある大量の記事から,再度検索. ーザはページ内の情報分類・配置状況を潜在的に理解し. する必要がある.たとえば,ユーザが「首相の訪米」に. ているため,ページを開いた瞬間に知りたい情報へ迅速. 関する記事をまとめて閲覧したい場合, 「社会」 ,「国際」 ,. にアクセスでき, 膨大な情報を容易にブラウジングできる.. 「事件」など数種類から数十種類の設定がされているカ テゴリから読みたい記事集合があるかを判別しなければ. 【 ニュース記事に対する嗜好情報の抽出 】. ならない.さらに,そのカテゴリ内を探索する必要もあ. 図 -2 にニュース記事統合・推薦システム(MPV)の. る.これらの情報統合の問題を解決することを目的に,. 概要を示す.MPV では,利用者の興味や知識に基づい. ニュース記事統合・推薦システム「マイ・ポータル・ビ. て情報統合し,統合した情報を既存のポータルページ. ューア(MPV)」を開発した (図 -1) .MPV は,次の. へ一部置換する.置換される部分は,(A) ニュースを. 2 つの特徴を持つ.. 分類している各カテゴリのキーワード,(B) 画像付き. • 複数サイトから収集した Web ページを個人の興味に. トップニュース,(C) カテゴリごとのニュース記事タ. 2). 基づき分類して統合 • 好みの分類体系を可視化している既存のポータルペー ジのレイアウトを利活用 1 つ目の特徴である興味に基づく情報統合では,利用. イトル集の 3 つである.(A) のカテゴリのキーワード は,利用者の興味あるキーワードへ置換される.たとえ ば,CNN のオリジナルのカテゴリは, 「World」 , 「Worlds ,「Technology」 な ど で あ る が,MPV で は, Business」. 者の閲覧履歴を基に収集した情報を自律的に分類して統. 「Iraq」, 「Matsui」, 「Koizumi」などへ置換される.(B). 合する.従来の情報統合では複数サイトにアクセスする. の画像付きトップニュースは,(A) の利用者の興味に基. 負荷はなくなったが,利用者は統合された膨大な情報の. づいて作成されたカテゴリを利用して,カテゴリ内の未. 中から,知りたい情報を探す必要があった.MPV により,. 読の画像付き記事へと置換される.図 -2 では,変換さ. 利用者は知りたい情報に関して分類され,まとめられた. れた「Iraq」のカテゴリに基づいて関連する記事と画像. 統合ページを閲覧できるため,容易に目的の情報を獲得. がトップニュースの画像付き記事として置換されている.. することができる.たとえば, 「スポーツ」のカテゴリ. さらに,収集した大量の記事は,この新たなカテゴリに. から「野球」→「大リーグ」→「NYY」→「松井」と探. 基づき分類されて,(C) の記事のタイトル集として統合. 索することなく,「松井」という新たなカテゴリを提供. される.利用者は記事タイトルのリンクを選択すると,. することで,NYY の松井に関する記事をまとめて閲覧. 選択した記事を閲覧できる.図 -2 では, 「Matsui」に関. できる.. する記事のタイトルを選択することで,Newsweek のオ. 2 つ目の特徴であるニュースサイトのポータルページ. リジナルの記事を閲覧できている.また,利用者が記. の利用では,新たに統合ページを作成せず,利用者が選. 事を閲覧するということは,その記事の内容について興. 択したニュースサイトのポータルページを統合ページの. 味があったと仮定し,オリジナルページの記事閲覧後に. 980. 48 巻 9 号 情報処理 2007 年 9 月.

(3) ❷ ネットワーク上のユーザ行動に着目した嗜好抽出・情報推薦 MPV へ再アクセスすると,(A) ~ (C) の内容は書き換えられる.よって,利 用者が MPV からオリジナルページの 記事を閲覧するたびに,MPV は再統. MPV サイ サイト ト. ニュース サイト. 収集 分析 蓄積. Time. ユーザ嗜好情報 ニュース記事情報 ニュース記事情報. 合した情報を提供できる.. (A) ( A). ところで,上記の「Iraq」や「Matsui」 興味を表現する単語ととらえられるの で,MPV では「興味語」と定義する.. 置換 分類・ 分類 ・統合・ 統合・. …. といった新たなキーワードはユーザの. MSNews. 既存ポータルページにあるカテゴリの. 複数サイトの記事が興味に基づき 複数サイト の記事が興味に基づき 置換されて提示 分類 分類・ ・選択 選択・ ・統合 統合・ ・置換されて提示. オリジナルの記事 オリジナルの記事. キーワードは,興味語へと置換される. 興味語は,利用者の閲覧履歴を基に作. (( B). が (A) ( A)∼( ∼ (C) C )の内容 の内容が 閲覧経過によって変更 閲覧経過によって変更. (C) ( C). 「Matsui」 に関する 記事を選択・閲覧. 成され,利用者が記事を閲覧すること で興味語の重要度が算出される.興味 語 j の重要度は,利用者が閲覧したペ. 図 -2 ニュース記事統合・推薦システムの概要. ージ P1 〜 Pn に出現する単語 j の重み の総和とする.総和値が閾値以上の単語が興味語となる.. 値が閾値以上の記事とする.興味木は,興味語を親ノー. 閲覧したページを Pi(P1 ~ Pn) ,ページ Pi に出現する. ドとし,サブトピックとなるキーワードを子ノードに持. 単語を j とした場合,文書から代表的なキーワードを抽. つ.子ノードの重要度は閲覧時間と重み wij から算出さ. 出する算出法である tf・idf を用いて,単語 j の重みを,. れる.さらに,興味語ごとに選別された記事は,類似す. る内容の記事がある場合はグループ化される.類似記事. wij = tf・idf. = log ( Pi中のjの出現頻度+1) / log ( Pi中の総単. の判別は,一定時間内に作成されたページをグループ化. 語種類) ×log ( n / j が出現する記事の総数 ). し,グループ内の記事間での単語の重みのベクトルの内. とする.tf は任意の文書中に任意の単語が出現する頻度. 積値を算出し,内積値が閾値以上の記事どうしを類似す. を表す式となり,idf はその単語が文書集合で出現する. る記事とする.統合ページで表示する際には,記事の作. 頻度の逆数で一般的な単語かどうかを判断する式となる.. 成時間が新しい未読の記事を順に配列する.レイアウト. 単語 wij の重みの総和 Ij は !. w ij となり,Ij 値が閾. 上に表示できない記事は興味語をアンカとし,リンク先. 値以上の場合,Ij は興味語として選択され,Ij 値の大き. に新たなページを作成し,グループ化した記事のタイト. い順に,興味語はカテゴリの先頭のキーワードから順に. ル集として表示される.図 -3 に他の既存ポータルペー. 置換される.興味語をカテゴリのキーワードと置換する. ジを利用した際の統合結果例を示す.オリジナルのカテ. 場合,既存のポータルページのレイアウトを崩さず置換. ゴリである「社会」が「小泉」に置換され, 「社会」や「政. しなければならない.そのため,置換可能な興味語の数. 治」にアクセスすることなく「小泉」に関する複数サイ. は既存のカテゴリ数に基づき制限される.そこで,MPV. トの記事をまとめて閲覧できる.しかしながら,MPV. では Others というカテゴリを新たに作成し,表示でき. では,1 つの記事が複数のカテゴリに分類され得るため,. ない興味語を格納し,そのカテゴリを選択すると残りの. 記事構成にほとんど差異のないカテゴリが複数作成され. 興味語を表示する.. ることがあった(図 -3 では「小泉」と「純一郎」が別々. n i=1. のカテゴリとして生成されている) .そこで,カテゴリ 【 嗜好情報に基づく記事分類と推薦 】. 間における記事の重複割合に応じて,カテゴリを統合・. 生成した各カテゴリの興味語に関連する記事の選択法. 分割できる機能を追加し,無駄なカテゴリの生成を抑制. と画像付きトップ記事の選択法について述べる.画像付. した(MPV Plus) .この機能により,たとえば,半分以. きトップ記事は,重みの大きい興味語を含み,かつ日時. 上の記事が重複していたカテゴリ「竹島」と「韓国」が. が最新で未読の画像付きページが選択される.. 「竹島/韓国」という新たなカテゴリとして生成できた.. 興味語に関する記事の選択は,まず,興味語の出現す る記事を選択し,次に,選択した記事に優先順位をつけ る.このランキングは,選択された記事に出現する単語. 多様なセンチメントに基づく情報推薦. の重み wij と,興味語と閲覧履歴より作成した興味木の. MPV では,ユーザの閲覧履歴から興味語を抽出し,. 子ノードの重要度とのベクトルの内積値を算出し,内積. その興味語の有無に基づいて収集した記事を分類する. IPSJ Magazine Vol.48 No.9 Sep. 2007. 981.

(4) 特集 利用者の好みをとらえ活かす-嗜好抽出技術の最前線-. 別の既存のポータルページ. MPV のポータルページ. 情が対称に配置される.記事のセンチ メント情報では 8 つのセンチメントを 「明るい⇔暗い」, 「承 4 つの尺度とし, 認⇔拒否」 ,「緩和⇔緊張」, 「恐れ⇔怒. (A). り」を再定義し,これらの尺度に対す. (B). る評価値(0 ~ 1 の実数値)を抽出する. 書き手のセンチメント情報として,各. (A) ∼ (C) の3項目の内容が ユーザの嗜好情報に基づき 統合された情報へ置換. 記事から各尺度値を要素とするベクト ルを生成する.記事のベクトルは,まず,. (C). 記事を形態素解析し,一般名詞や固有 名詞とともに述語構造を形成する品詞 (サ変名詞,形容詞,動詞)を対象とし た単語を抽出する.次に,日経新聞全 文記事データベース(12 年分の 200 万 強の記事)から作成したセンチメント 辞書 4)を用いて各単語の各尺度におけ る尺度値と重みを取得する.取得した. 図 -3 MPV での動作例. 各単語の尺度値と重みを用いて,各尺 これにより,ユーザは興味語に関連する記事へ容易にア. 度値の平均値を算出し,ベクトルの 4 つの要素値を決定. クセスできる.その一方で,興味語の有無という分類. する.. 基準だけでは,ユーザの好む記事と好まない記事をうま. 読み手となるユーザのセンチメント情報も 4 つの尺. く分離できないことがあった.たとえば,あるユーザが,. 度で定義される.ユーザのセンチメント情報の抽出には,. 京都で行われる各種イベントやお花見,紅葉狩り,祭り,. 閲覧履歴と記事の書き方に対する 4 つの尺度値を持っ. 風習など多様なトピックに関して興味を持ち,該当する. たベクトルを利用する.まず,ユーザがアクセスした記. ニュース記事を選択的に閲覧すると, 興味語としては 「京. 事から興味語を決定し,次に,その興味語を含む記事集. 都」が抽出される可能性が高い.その結果,興味のある. 合に対して,4 つの尺度値の平均値と標準偏差を求める.. 記事がカテゴリ「京都」に分類されることとなる.しか. さらに,標準偏差が閾値以上のとき,ゆらぎが大きくユ. しながら,MPV では,京都で起きた事件や事故,京都. ーザの選好がばらついているため,選好なしとし,その. のローカルな生活情報などユーザにとって興味の少ない. 要素を don’t care 項として扱う.逆に閾値未満のとき,. 記事も紛れ込みやすい.もちろん,ユーザの閲覧履歴に. ゆらぎが小さくユーザの選好が偏っているため,ユーザ. 残っているイベント等に関しては,MPV でも関連記事. 選好ありとし,対応する平均値をそのまま利用する.結. が優先的に選ばれることになるが,閲覧履歴にないイベ. 果として各平均値を要素とする平均ベクトルが算出され. ント等は表示されない.そこで,新たな選択指標として. る.この平均ベクトルが,ユーザの興味語に対する 8 つ. 記事に対するセンチメント情報という今までにない分類. のセンチメント情報となる.. 基準を導入した .ユーザの記事に対する選好を興味と. 図 -4 に,記事を閲覧するたびに算出される任意の興. センチメントの両面からモデル化することにより,記事. 味語に対する 4 尺度の標準偏差と平均値の推移を示す.. を選択する際に記事に出現する単語そのものだけでなく,. 最初の閲覧では,「緩和⇔緊張」と「明るい⇔暗い」の. その単語に対する書き手と読み手(ユーザ)のセンチメ. 標準偏差が高いが,閲覧回数が増加するに従って徐々に. ントという新たな選択基準を用いることで,ユーザが共. 減少している.つまり,この話題に関する記事を閲覧す. 感(感情移入)しやすい記事を優先的に推薦できる.. るに従って,これら 2 つの尺度に偏りが生じていること. . を示している.その際の平均値は 0.4 付近を示しており,. 3). 【 書き手と読み手のセンチメント情報の抽出 】. 「緊張」と「暗い」に偏っていることが分かる.このこ. 人 の 感 情 を モ デ ル 化 し た こ と で 知 ら れ て い る R.. とよりユーザは「暗く,緊張感のある記事を好んで選び. Plutchik 氏の基本感情モデルを用いて,記事の読み手. 閲覧している」という分析ができる.. と書き手である人の感情をセンチメント情報として定 義する.基本感情モデルでは,8 つの感情が八角形に配 置されており,「喜び」と「悲しみ」といった反対の感. 982. 48 巻 9 号 情報処理 2007 年 9 月. 【 バランス感覚のある記事推薦 】 新たなセンチメント情報により,興味語(カテゴリ).

(5) ❷ ネットワーク上のユーザ行動に着目した嗜好抽出・情報推薦. 承認⇔拒否 恐れ⇔怒り. 明 る い⇔ 暗 い 緩和⇔緊張. 0.35. 0 .9. 0.3. 0 .8. 各尺度の平均値. 各尺度の標準偏差. 明るい⇔暗い 緩和⇔緊張. 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05. 承認⇔拒否 恐れ⇔怒り. 0 .7 0 .6 0 .5 0 .4 0 .3 0 .2 0 .1. 0. 0. 1. 2 3 4 5 6. 7 8 9 10 11 12 13 14 15. 1. 任意の興味語を含む記事を閲覧した回数. 2. 3. 4. 5. 6. 7 8. 9 10 11 12 13 14 15. 任意の興味語を含む記事を閲覧した回数. 図 -4 ユーザの記事閲覧ごとに算出される 4 尺度の標準偏差と平均値の推移. に分類された各記事に対するセンチメント(記事内容か. し付けとならない情報推薦とする.. ら人が感じるセンチメント,たとえば, 「明るい」, 「暗. これまで述べてきたように,ニュースコンテンツに対. い」, 「楽しい」,「悲しい」など)をベクトル形式で記述. するユーザ嗜好の抽出と記事推薦を行ってきた.この推. し,ユーザが閲覧した記事(群)の重心印象ベクトルと. 薦技術を実空間に適用可能な研究開発も行っている☆ 1.. 未読記事のベクトルとの距離を測ることにより,興味語. 今後,実空間と Web 空間ではユーザとコンテンツ間の. においてユーザの選好に合った記事推薦が可能になる.. さらに複雑なインタラクションが発生することは容易に. さらに,ユーザのセンチメントと記事の書き手のセン. 想像できる.筆者は,センチメント情報といった多様な. チメントをベクトル形式でモデル化することによって,. 嗜好情報抽出技術のさらなる向上だけでなく,インタフ. ユーザの好みのセンチメントに近い記事を推薦するとい. ェースを含めたユーザにとって強制的でない柔らかな情. う方式だけでなく,異なるセンチメントで書かれた記事. 報推薦技術についての研究開発も必要であると考える.. を推薦するということが可能となる.前者では,ユーザ の選好に合わせて記事を提示できるという利点がある一. 謝辞 本稿で紹介した研究成果は,田中克己教授(京. 方で,似たようなセンチメントの記事ばかりを閲覧する. 都大学) ,熊本忠彦准教授(千葉工業大学)の協力によ. 機会が多くなり,その結果,ユーザはアンバランスな閲. って達成されたものです.各氏に感謝の意を表します.. 覧しかできず,視野(閲覧範囲)が狭まってしまうとい う問題点がある.たとえば,任意のユーザの閲覧履歴か ら興味語として「イラク」が抽出された場合, 「イラク」 という単語を含む記事がカテゴリ「イラク」に分類され, 各記事のベクトルが算出される.その際,ユーザの閲覧 履歴が批判的な内容の記事に偏っていた場合,推薦され る記事も批判的な記事に偏り,異なったセンチメント情 報を持つ記事(肯定的な記事や明るい記事など)を閲覧 する機会そのものが奪われてしまう可能性がある.そこ で,後者の異なるセンチメント情報を上手く利用するこ とで,バランスのとれた記事推薦も可能にする 5).ただ. 参考文献 1)http://newsbot.msnbc.msn.com/ 2)河合由起子,官上大輔,田中克己:個人の選好に基づく複数ニュース サイトの記事収集・閲覧システム情報処理学会論文誌データベース, Vol.46, No.SIG8 (TOD26), pp.14-25 (2005). 3)河合由起子,熊本忠彦,田中克己:印象と興味に基づくユーザ選好の モデル化手法の提案とニュースサイトへの応用,知能と情報(日本知 能情報ファジィ学会誌),Vol.18, No.2, pp.173-183 (2006). 4)Kumamoto, T. and Tanaka, K. : Proposal of Impression Mining from News Articles, In International Conference on Knowledge-Based Intelligent Information and Engineering Systems (KES '05), LNAI3681, Springer, pp.901-910 (2005). 5)河合由起子,熊本忠彦,田中克己:Fair News Reader:バランス感 覚のある記事推薦方式の提案,情報処理学会 情報科学技術レターズ, Vol.5, pp.55-58 (2006). (平成 19 年 8 月 6 日受付). し,興味語に対するユーザのセンチメント情報と異なる 記事を推薦するということは,そのユーザにとってはマ イナーな記事であり,本来の選好ではない可能性が高い ため,提示可能な範囲内の最下位で表示することで,押 ☆1. 科研費特定領域「情報爆発時代に向けた新しい IT 基盤技術の研究」. (19084073),平成 19 年度戦略的情報通信研究開発推進制度若手先端 ICT 研究者育成型研究開発 (072103013) .. 河合由起子(正会員) [email protected] 2001 年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士課程修了. 博士(工学).同年, (独)通信総合研究所(現 情報通信研究機構)入所. 2006 年より京都産業大学理学部コンピュータ科学科講師.. IPSJ Magazine Vol.48 No.9 Sep. 2007. 983.

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