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佛教大學研究紀要 70号(19860314) 035榎本福寿「日本書紀の成りたちを考える : 仏教関係の記述をめぐって、その一」

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Academic year: 2021

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1 仏 教 関 係 の 記 述 を め ぐ っ て 、 そ の 一 -榎 本 福 寿 一 、 は じ め に ー 小 稿 の ね ら い -二 、 皿 群 と 皿 群 と の 対 立 1 ﹁ 宮 中 ﹂ と ﹁ 内 裏 ﹂ な ど の 非 仏 教 語 の 場 合 ー 三 、 H 群 と 皿 群 と の 対 立 ー 僧 侶 を あ ら わ す 語 や そ れ に よ る 表 現 の 場 合 -四 、 ∬ 群 と 皿 群 と の 対 立 -読 経 や 講 経 な ど の 仏 教 儀 礼 の 場 合 ー 五 、 お わ り に ー 続 稿 へ の は し わ た し ー 一 、 は じ め に i ー 小 稿 の ね ら い 1 日 本 書 紀 の 編 纂 を 企 て た そ の そ も そ も の は じ め か ら 、 日 本 の 正 史 を 記 述 す る こ と が そ の 目 的 で あ っ た は ず で あ る か ら 、 内 容 の い か ん を 問 わ ず 、 漢 文 体 、 そ れ も 中 国 史 書 の そ れ に 比 肩 し う る 漢 文 体 を 採 用 す る こ と は 、 当 然 の 了 解 事 項 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 三 五

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 三 六 で あ っ た に 相 違 な い 。 実 際 に 、 出 典 を も つ 辞 旬 は お び た だ し い 数 に の ぼ る っ ま た 、 そ れ ら は い さ さ か も 狭 雑 的 で は な い 。 表 現 の 限 り で い え ば 、 中 国 の 史 書 に 見 劣 り し な い ば か り か 、 漢 籍 の 辞 句 を 利 用 す る 場 合 に 、 そ の 原 文 を 対 表 現 に 改 め る な ど の 、 細 心 か つ 積 極 的 な 姿 勢 さ え み せ る 。 け れ ど も 、 書 紀 全 体 を 通 し て 、 そ う し た 姿 勢 は 一 貫 し て い な い 。 な か に は 、 漢 籍 の 辞 句 の 利 用 が は な は だ 低 調 で あ る 上 に 、 漢 文 の 体 裁 を と り な が ら 、 そ の 実 、 日 本 語 を も と に そ れ に 対 応 す る 正 訓 字 を 使 っ て あ ら わ す 、 い わ ゆ る 正 訓 字 表 記 を 基 調 と す る 巻 な ど も あ る 。 こ れ ら の 巻 に あ っ て は 、 漢 文 の 格 に あ わ な い 和 習 ( 臭 ) の 例 が 少 な く な い 。 こ う し て 巻 ご と に 区 々 で は あ る け れ ど も 、 そ れ で も 、 表 現 を 成 り た た せ る そ の 基 調 の 違 い に よ っ て 、 書 紀 三 〇 巻 は     二 つ な い し 三 つ の グ ル ー プ に 系 列 化 で き る と い う の が 、 前 稿 ま で に 得 た 結 論 の あ ら ま し で あ る 。 こ の 稿 で は 、 そ れ ら の 旧 稿 を う け て 、 表 現 の 基 調 ボ 違 え ば 、 そ こ に お の ず か ら 予 想 さ れ る 内 容 上 の 異 な り に つ い て 考 え る 。 し か し 、 異 な り そ れ 自 体 を 主 眼 と す る の で は な い 。 各 グ ル ー プ の そ れ ぞ れ 独 自 な 表 現 と 内 容 と の 相 関 、 も う 少 し 敷 衍 し て い え ぱ 、 漢 語 ・ 漢 文 や 日 本 語 ・ 正 訓 字 な ど に ま る 、 そ れ ぞ れ 各 グ ル ー プ が 基 調 と す る 表 現 は 内 容 と も 深 い か か わ り が あ っ た は ず で 、 そ の 各 グ ル ー プ ご と の 特 質 を 見 き わ め よ う と す る 点 に 、 そ も そ も の ね ら い が あ る 。 し か し な が ら 、 表 現 と 内 容 と の か か わ り 一 般 を 、 ま し て や そ れ を は じ め か ら 包 括 的 に 検 討 し て み て も 、 そ れ ほ ど 多 く の 成 果 は 期 待 で き な い 。 な に よ り も 、 検 討 を 進 め る そ の 方 法 自 体 が 問 題 と な る で あ ろ う 。 そ こ で 、 ま ず 内 容 に つ い て 、 そ の 特 徴 を グ ル ー プ ご と に 見 定 め よ う と 思 う 。 内 容 の 限 り で も 、 書 紀 の 史 書 と い う 性 格 に と も な う 、 た と え ば 巻 ご と に そ の あ ら わ す 内 容 が 違 う こ と は 勿 論 、 内 容 そ れ 自 体 が 歴 史 で あ る た め に 、 そ れ ら を 一 括 し え な い な ど の 問 題 は あ る け れ ど も 、 こ こ で は 、 ひ と ま ず 便 宜 に 従 い 、 比 較 的 ま と ま っ て 取 り だ し や す く 、 ま た 資 料 的 に も 豊 富 な 仏 教 関 係

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の 記 述 を 取 り あ げ 、 そ れ ら を 通 し て グ ル ー プ ご と の 特 徴 を 探 る こ と に す る 。 前 稿 ま で に 系 列 化 で き た 各 グ ル ー プ の 名 称 と 所 属 巻 は 、 次 の と お り で あ る ρ 1 群 巻 一 ・ 二 、 ・ 豆 群 巻 三 ∼ = 二 ・ 二 二 ・ 二 三 ・ 二 八 ・ 二 九 冖 , ` . b 皿 群 巻 一 四 ∼ ニ 1. ・ 二 四 ∼ 二 七 ・ 三 〇 二 、 π 群 と 皿 群 と の 対 立 , ー ﹁ 宮 中 ﹂ と ﹁ 内 裏 ﹂ な ど の 非 仏 教 語 の 場 合 i 仏 教 関 係 記 述 と い っ て も 、 他 の 記 述 と は 無 縁 に 、 そ れ だ け が 別 個 に あ る わ け で は な い 。 素 材 的 に は 、 書 紀 を 成 り た た せ る い く 多 の 歴 史 資 料 の な か の 一 つ で し か な く 、 内 容 の 上 で 、 仏 教 に 関 連 す る 伝 承 や 行 事 ・ 儀 礼 の ほ か 、 広 義 に は 、 仏 ・ 法 ・ 僧 の い ず れ か が か か わ る 事 柄 に つ い て の 記 述 を 一 括 し た 、 ど こ ま で も 仮 り の 呼 称 に 過 ぎ な い 。 そ れ ら は 、 書 紀 の 記 述 一 般 と も と よ り 別 で は な い 。 そ う し て 、 一L 般 の 記 述 が そ う で あ る よ う に 噛 群 ご と に そ の あ ら わ れ を 異 に す る 。 皿 群 -宮 中 ー 注 2 。 是 日 、 始 説 二 金 光 明 経 于 宮 中 及 諸 寺 ℃ ( 二 九 ・ 覊 ) 。 是 夏 、 始 請 二 僧 尼 噛 安 二 居 于 宮 中 殉 ( 同 ・ 跚 ) 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 三 七

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 三 八 。 丁 酉 、 設 二 斎 于 宮 中 ⑩ ( 同 ・ 躙 ) 。 庚 寅 、 始 請 二 僧 尼 ↓ 安 二 居 于 宮 中 ↓ ( 同 ・ 跚 ) 。 是 月 、 説 二 金 剛 般 若 経 於 宮 中 幻 ( 同 ・ 謝 ) 。 発 亥 、 天 皇 、 体 不 レ 安 。 因 以 於 二 川 原 寺 ( 説 二 薬 師 経 殉 安 一一 居 于 宮 中 ⑩ ( 同 ・ 鵬 ) 。 是 日 、 僧 正 僧 都 等 、 参 赴 宮 中 一而 悔 過 矣 。 ( 同 ・ 謝 ) 。 丙 午 、 請 一一 一 百 僧 ハ 読 二 金 光 明 経 於 宮 中 叩 ( 同 ・ 鋤 ) 。 丙 寅 、 選 二 浄 行 者 七 十 人 一以 出 家 。 乃 設 二 斎 於 宮 中 御 窟 院 殉 ( 同 ・ 躙 ) 。 庚 午 、 度 二 僧 尼 井 一 百 殉 因 以 坐 二 百 菩 薩 於 宮 中 輔 読 二 観 世 音 経 二 百 巻 刃 ( 同 ・ 鋤 ) 皿 群 i 内 裏 ・ 於 レ 是 、 皇 弟 皇 子 、 引 二 豊 国 法 師 一 翻 ・ 名 、 入 二 於 劉 殉 ( 二 一 ・ 鵬 ) ・ 夏 四 月 戊 子 朔 壬 寅 、 請 一一 沙 門 恵 隠 於 内 裏 ↓ 使 ン 講 二 無 量 寿 経 ℃ ( 二 五 ・ 蹴 ) 。 冬 十 二 月 晦 、 in¢ 11 天 下 僧 尼 於 内 裏 鴫 設 レ 斎 大 捨 燃 レ 燈 。 ( 同 ・ 跚 ) 。 辛 未 、 於 二 内 裏 ハ 開 二 百 佛 眼 幻 ( 二 七 ・ 鋤 ) 。 東 宮 起 而 再 拝 、 便 向 二 於 内 裏 佛 殿 之 南 { 踞 二 坐 胡 床 噛 剃 二 除 鬢 髪 { 為 二 沙 門 閃 ( 同 ・ 跏 ) 。 丙 辰 、 大 友 皇 子 、 在 一一 於 内 裏 西 殿 織 佛 像 前 殉 ( 同 ・ 跏 ) 。 丙 寅 、 設 二 斎 於 内 裏 叩 ( 11 10 ・ 姻 ) 。 庚 寅 、 於 二 内 裏 輔 始 安 居 講 説 。 ( 同 ・ 嫺 )

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・ 発 卯 、 設 一一無 遮 大 会 於 内 裏 殉 ( 同 ・ 鯛 ) ・ 丙 申 、 為 二 清 御 原 天 皇 ↓ 設 二 無 遮 大 会 於 内 裏 殉 ( 同 ・ 嫻 ) 仏 教 関 係 記 述 の な か の 、 右 に 挙 げ た と お り 多 く を 占 め る 仏 教 儀 礼 に 関 し た 用 例 の ほ か 、 二 三 の そ れ 以 外 の 用 例 も 併 せ て 、 全 て が 、 ∬ 群 で は ﹁ 宮 中 ﹂ 、 一 方 の 皿 群 で は ﹁ 内 裏 ﹂ と い う よ う に 、 互 い に 排 他 的 か つ 一 貫 し た あ ら わ れ を み せ る 。 も っ と も 、 ∬ 群 の ﹁ 宮 中 ﹂ は 巻 二 九 に し か な い 。 皿 群 の ﹁ 内 裹 ﹂ が い く つ か の 巻 に あ ら わ れ る の と は 対 照 的 で あ る が 、 し か し 、 そ の 対 立 が 、 お の お の の 群 の 、 そ れ ぞ れ ﹁ 宮 中 ﹂ ﹁ 内 裏 ﹂ の い ず れ か 一 方 を 専 用 す る 基 調 に よ る こ と は 著 し い 。 実 際 に 、 仏 教 関 係 の 記 述 と い う わ く を 外 し て ﹁ 宮 中 ﹂ ﹁ 内 裏 ﹂ の 全 用 例 を 取 り 出 し て み る と 、 次 の 表 に 示 す と お り 、 あ き ら か に 群 相 互 の 対 立 と い っ た あ ら わ れ を み せ る 。 表 中 の 数 字 に そ く し て 改 め て い え ぼ 、 群 ご と に 、 そ れ ぞ れ ﹁ 宮 中 ﹂ ﹁ 内 裏 ﹂ を 一 方 的 に 専 用 し て い た こ と を そ れ は 如 実 に 物 語 る で あ ろ う 。 仏 教 関 係 の 記 述 の 、 そ の H 群 と 皿 群 と の そ れ ぞ れ ﹁ 宮 申 ﹂ と ﹁ 内 裏 ﹂ と の 対 立 は 、 こ う し て 群 相 互 に 一 方 を 専 用 し て い た ま さ に そ の 結 果 に ほ か な ら な い 。

群攘 剛 巻

1八 1: 1三 3= 一 1四 2三

3孟

4毛

∬ 皿 ・21元 b 三 〇 皿18 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 三 九

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 四 〇 た だ し 、 ﹁ 宮 中 ﹂ に 限 っ て は 、 ほ か に 巻 一 五 に 二 例 、 巻 二 四 に 一 例 あ る 。 こ の 三 例 だ け は 、 表 に あ ら わ し て い な い 。 と い う の も 、 皿 群 に と っ て 、 そ れ ら は 異 例 と い う ほ か な く 、 そ の い ず れ も が 特 別 な 事 由 を 伴 う か ら で あ る 。 巻 一 五 の 例 は 、 二 つ と も 出 典 を も つ 文 中 に あ る 。 ・ 使 下 臣 連 持 レ 節 、 以 二 王 青 盖 車 ハ 迎 巾 入 宮 中 ⑳ ( 一 五 ・ 躙 ・ 姻 ) 。 使 卞 鬟 武 持 レ 節 、 以 二 王 青 蓋 車 ↓ 迎 申 入 殿 中 劫 (後 漢 書 巻 八 ・ 孝 霊 帝 紀 ) 右 の よ う に 後 漢 書 の 一 節 を 二 度 に わ た っ て 全 く 同 様 に 利 用 し た な か の 、 い ず れ も ﹁ 殿 中 ﹂ の 言 い 換 え で あ る 。 後 漢 書 ' に は 、 ほ か に 、 皇 帝 と な る 者 を 迎 え る と い っ た 同 じ 内 容 を 伝 え る 孝 安 帝 紀 (巻 五 ) の 一 節 に も ﹁ 使 卞 購 持 レ 節 、 以 二 王 青 蓋 車 一 迎 レ 帝 、 斎 二 干 殿 中 雌 と あ る 。 ﹁ 殿 中 ﹂ は 、 か く て 皇 帝 と な る 者 を 迎 え る 特 定 の 場 所 を あ ら わ す が 、 ・ く だ ん の 巻 一 五 の 一 節 で は 、 そ の 全 体 を 後 漢 書 の 例 に 働 う 一 方 、 そ う し て 特 に 場 所 を 限 定 す る ま で も な か っ た た め に 、 内 容 的 に そ れ に 近 い 語 で 、 し か も 構 成 の 上 で も あ い 似 た ﹁ 宮 中 ﹂ に 改 め た の で あ ろ う 。 一 方 、 巻 二 四 の 一 例 は 、 ﹁ 或 人 ﹂ が ﹁ 謡 歌 ﹂ に つ い て 説 明 し た こ と ば の う ち に あ る 。 小 林 我 引 入 奸 人 面 知 家 知 説 二 第 三 謡 歌 一 日 、 其 歌 所 謂 ﹁ を ぼ や し に わ れ を ひ き い れ て せ し ひ と の お も て も し ら ず い へ も し ら ず も (以 上 ^ 原 文 音 仮 名 ) ﹂ 也 、 此 即 、 入 鹿 臣 、 忽 於 二 宮 中 ↓ 為 二 佐 伯 連 子 麻 呂 ・ 稚 犬 養 連 網 田 所 ワ 誅 之 兆 也 。 ( 二 四 ・ 洫 ) 入 鹿 が 誅 殺 さ れ る と い う 事 件 発 生 の ほ ぼ 一 年 前 、 す な わ ち 皇 極 天 皇 三 年 六 月 に ﹁ 于 γ 時 、 有 二 謡 歌 三 首 一 ﹂ と し て う た わ れ た 歌 を 、 事 件 後 に 、 そ の 予 兆 と し て 解 釈 し た も の で あ る 。 も と も と ﹁或 人 ﹂ の 説 に 過 ぎ ず 、 歌 を 事 件 に 付 会 す る こ と が そ の ね ら い で あ る か ら 、 歌 詞 に い う ﹁ 小 林 に 我 を 引 ぎ 入 れ て ﹂ と の 対 応 上 、 宮 廷 の な か と い う ﹁ 宮 中 ﹂ が ふ さ わ し い た め に 、 そ れ を 使 用 し た の で あ ろ う 。 ち な み に 、 事 件 の 記 録 で は 、 そ の 現 場 を ﹁ 大 極 殿 ﹂ と 伝 え る ( 皇 極 天 皇

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四 年 六 月 条 ) 。 こ う し で 皿 群 が 使 用 し た 三 例 の h 宮 中 ﹂ の う ち 、 二 例 が 出 典 を も つ 文 中 に あ っ て 、 そ の 依 拠 し た 原 文 の 語 を 応 用 し た も の 、 残 る 一、 例 が η 謡 歌 ﹂ に な ぞ ら え て 使 用 し た も の で 、 い ず れ も 相 応 の 事 由 に よ る 。 な お ま た ﹁ 宮 中 ﹂ に 類 義 的 な ﹁ 禁 中 ﹂ の 使 用 も 、 や は り 限 定 を 伴 う 。 皿 群 に 二 例 あ る が 、 双 方 と も ﹁定 二 策 禁 中 ,J C 1 五 ・ 鯲 ' 1 10 ・ 嫺 ) と あ り 、 後 継 天 皇 を 決 め る は か り ご と を め ぐ ら す と い う 場 合 に 限 っ て 使 う 。 そ れ が 、 後 漢 書 に 出 典 を も つ ﹁ 宮 中 し の 使 用 と 同 じ よ う に 、 ・後 継 皇 帝 を 決 め る と い う 場 合 の 、 そ れ を あ ら わ す 後 漢 書 の 類 型 的 な 表 現 ( 巻 五 孝 安 帝 紀 ・ 巻 七 孝 桓 帝 紀 ・ 巻 八 孝 霊 帝 紀 な ど 。 巻 一 五 の 例 は 、 そ の 最 後 の 例 に ょ る ) に 働 い 、 し か も そ の 使 用 を そ れ だ け に こ と さ ら 限 定 し て い た 結 果 で あ る こ と は 疑 い を 容 れ な い 。 ﹁ 宮 中 ﹂ ﹁禁 申 ﹂ ・の い ず れ に せ よ 、 皿 群 は 、 そ の 使 用 を あ き ら か に 限 定 し 、 そ う し て 控 え て い る 。 ひ つ き ょ う 、 そ れ は 、 ﹁ 内 裏 ﹂ を 常 用 語 に 持 ち 、 そ の 使 用 に も っ ぱ ら 徹 し て い た か ら に ほ か な ら な い っ 仏 教 関 係 の 記 述 で も 、 そ れ が 皿 群 に あ る 以 上 は 、 皿 群 に お け る ﹁ 内 裏 ﹂ の 、 そ の 徹 底 し た 使 用 の 一 環 と し て 、 あ る い は そ れ に 付 随 し て 、 ﹁ 内 裏 ﹂ の 専 用 は 、 む し ろ 必 然 で あ っ た ろ う 。 一 方 、 H 群 は ﹁ 宮 中 ﹂ を 専 用 す る 。 そ れ だ け で も 皿 群 と 著 し く 違 う が 、 ぽ か に 、 ∬ 群 に も あ る ﹁ 禁 中 ﹂ の そ の 使 い 方 も 、 皿 群 の そ れ と は 異 な る 。 . 口 、 ・皇 后 懐 姙 開 胎 之 日 , 巡 二 行 禁 中 ↓ 監 二 察 諸 司 叩 ( 二 二 ・ 搦 ) 右 の 例 は 、 聖 徳 太 子 降 誕 の 直 前 ま で そ の 生 母 が 巡 行 し て い た と こ ろ を い い 、 ﹁ 宮 中 隔 と の 違 い は ほ と ん ど な い 。 ,漢 藉 中 の 用 例 に 働 い 、 そ れ の 使 用 を こ と さ ら 限 定 し て い た 皿 群 の 例 と は ㌻ ま さ に 異 質 と い う ほ か な い 。 、 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 四 一

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 四 二 皿 群 と 皿 群 と は 、 か く し て 、 た が い に 異 な る 語 を 、 そ れ ぞ れ そ の 群 の 内 部 を と お し て 一 貫 し て 使 っ て い る 。 同 じ 語 に し て も 、 群 相 互 に 、 そ の 使 い 方 を 異 に す る 。 ど こ ま で も 群 を 一 つ の ま と ま っ た 単 位 と し 、 そ れ が 相 互 に 異 な る 一 方 、 そ の 内 部 に お い て は 、 仏 教 関 係 の 記 述 と 他 の 記 述 と の 別 は な い 。 言 い 換 え れ ば 、 仏 教 関 係 の 記 述 は 群 一 般 の 記 述 に そ の ま ま つ な が り 、 そ の 群 相 互 の 違 い も ま た 、 群 一 般 の 記 述 の 異 な り に 付 随 す る と い う こ と に ほ か な ら な い 。 そ の 意 味 で は 、 仏 教 関 係 の 記 述 は 、 各 群 そ れ ぞ れ に 、 ま さ に 記 述 一 般 の 縮 図 と い っ て も 過 言 で は な い 。 ﹁ 宮 中 ﹂ と ﹁ 内 裏 ﹂ と は 、 そ の こ と を あ ら わ す 端 的 な 例 で あ っ た が 、 類 例 は 、 も と よ り 少 な く な い 。 次 に は 、 寺 院 の 建 造 を あ ら わ す 語 に つ い て 検 討 を 試 み る 。 ま ず そ の 全 用 例 を 群 ご と に 示 す 。 H 群 。 是 歳 、 始 造 二 四 天 王 寺 於 難 波 荒 陵 弔 ( 二 二 ・ 鸚 ) 。 諸 臣 連 等 、 各 為 二 君 親 之 恩 ↓ 競 造 一一佛 舎 殉 即 是 謂 レ 寺 焉 。 ( 同 ・ 蠍 ) 。 法 興 寺 造 竟 。 ( 同 ・ 餅 ) 。 便 受 二 佛 像 納 因 以 造 二 蜂 岡 寺 殉 ( 同 ・ 掛 ) ・ 朕 欲 興 二 隆 内 典 ↓ 方 将 レ 建 二 佛 刹 ⑩ ( 同 ・ 蜥 ) ・ 鳥 以 二 此 田 ↓ 為 二 天 皇 ↓ 作 二 金 剛 寺 殉 ( 同 ・ 即 ) 。 今 年 、 造 二 作 大 宮 及 大 寺 鱒 ∼ 是 以 、 西 民 造 レ 宮 、 東 民 作 レ寺 。 ( 二 三 ・ 捌 ) 。 是 月 、 於 二 百 済 川 側 噛 建 二 九 重 塔 ↓ ( 同 ・ 踊 ) ・ 皇 后 体 不 予 。 則 為 二 皇 后 一 誓 願 之 、 初 興 ご 薬 師 寺 殉 ( 二 九 ・ 躅 )

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皿 群 。 浄 二 捨 向 原 家 ( 為 γ 寺 。 ( 一 九 ・ 78 ) 。 経 二 営 佛 殿 於 宅 東 方 ↓ 安 一一 置 弥 勒 石 像 殉 ( 二 〇 ・ 鵬 ) 。 亦 於 二 石 川 宅 輔 修 一治 佛 殿 幻 ( 同 ・ 慍 ) 。 起 二 塔 於 大 野 丘 北 ↓ 大 会 設 斎 。 ( 同 ・ 撫 ) ・ 新 営 二 精 舎 ↓ 迎 入 供 養 。 ( 同 ・ 鵬 ) 。 又 奉 レ 造 二 丈 六 佛 像 及 寺 ↓ ( 二 一 ・ 捌 ) 。 必 当 卞 奉 二 為 護 世 四 王 ハ 起 申 立 寺 塔 切 ( 同 ・ 搦 ) 。 願 当 卞 奉 三 為 諸 天 与 二 大 神 王 ハ 起 二 立 寺 塔 噛 流 申 通 三 宝 切 ( 同 ・ 搦 ) 。 於 二 摂 津 国 ↓ 造 二 四 天 王 寺 殉 ∼ 亦 於 二 飛 鳥 地 ハ 起 二 法 興 寺 殉 ( 同 ・ 珈 ) 。 壊 二 飛 鳥 衣 縫 造 祖 樹 葉 之 家 ↓ 始 作 一一法 興 寺 ⑩ ( 同 ・ ㎜ ) ・ 是 月 、 起 話 大 法 興 寺 佛 堂 与 二 歩 廊 殉 ( 同 ・ 擺 ) 。 朕 思 三 欲 起 二 造 大 寺 ↓ ( 二 四 ・ 憫 ) 。 大 臣 使 下 長 直 於 一一大 丹 穂 山 輔 造 中 桙 削 寺 切 (同 ・ 嬲 ) 。 凡 自 二 天 皇 輔 至 二 于 伴 造 ↓ 所 レ 造 之 寺 、 不 レ 能 レ 営 者 、 朕 皆 助 作 。 ( 二 五 ・ 嬲 ) 。 先 レ 是 、 在 レ倭 、 営 一一 造 其 寺 殉 ( 同 ・ 脳 ) 。 凡 此 伽 藍 者 、 元 非 二 自 身 故 造 幻 奉 一一為 天 皇 輔 誓 作 。 ( 同 ・ 躅 ) 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 四 三

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 。 昔 高 麗 、 欲 ソ 営 二 伽 藍 ハ ∼ 遂 於 二 此 地 嚇 営 二 造 伽 藍 鱒 ( 同 ・ 嬲 ) 四 四 右 の 諸 例 を も と に 、 比 較 の 便 宜 上 、 両 群 と も に あ る ﹁ 造 ﹂ ﹁ 作 ﹂ を 除 き 、 各 群 に 独 自 な 用 例 だ け を 取 り 出 し 、 そ れ ら を 群 ご と に 表 に し て 示 す と 、 次 の 結 果 を 得 る 。 群 語 ∬ 建 ・ 興 皿 経 営 ・ 修 治 ・、 起 立 ・ 起 造 ・ 営 造 ・ 起 ・ 営 . ( 為 ) H 群 と 皿 群 と で は 、 表 の と お り 大 き な 違 い が あ る 。 そ の あ ら わ れ を も と に 、 群 ご と の 特 徴 に つ い て い え ば 、 す な わ ち 、 H 群 は も っ ぱ ら 単 語 を 使 う 。 そ こ に ﹁ 造 二 作 大 宮 及 大 寺 一﹂ ( 二 三 ・ 鰻 ) だ け が 異 例 と な る け れ ど も 、 こ の 熟 語 の 例 は 、 対 格 に ﹁ 大 宮 ﹂ ﹁ 大 寺 ﹂ ・ と い う あ い 異 な る 二 つ の 語 を 立 て る 上 で 、 そ れ と の 対 応 を 考 慮 し た 特 別 な 用 字 で あ ろ う 。 こ れ に 続 い て ﹁ 大 宮 ﹂ と ﹁ 大 寺 ﹂ と の 造 作 を お の お の 別 個 に い う 場 合 に は 、 ﹁ 西 民 造 レ 宮 、 東 民 作 レ 寺 ﹂ と い い 、 単 語 の 使 用 に 戻 る 。 か く 委 細 に み れ ば 、 そ の ﹁ 造 作 ﹂ も 、 ∬ 群 に 顕 著 な 単 語 使 用 の 基 調 を 破 る も の で は な い 。 一 方 、 皿 群 は 、 一. 見 し て あ き ら か な と お り 、 熟 語 の 使 用 に 特 徴 を も つ 。 そ う し て ∬ 群 と 皿 群 と の 、 右 に 掲 出 し た そ れ ぞ れ 独 自 な 語 は 、 仏 教 関 係 の 記 述 に と ど ま ら ず 、 そ の 枠 を こ え 、 お の お の の 群 の 記 述 一 般 に わ た っ て ひ ろ く 散 見 す る 。 た と え ば H 群 に 独 自 な ﹁興 ﹂ を み る に 、 そ の 造 営 を あ ら わ す 用 例 は 、 次 の よ う に 記 述 一 般 を と お し て さ ま ざ ま な か た ち (対 格 に 立 つ 語 の 異 な り を い う ) を と っ て あ ら わ れ る 。 興 二 斎 宮 于 五 十 鈴 川 上 一 ( 六 ・ 爛 ) 興 二 行 宮 一而 居 (七 ・ 嬲 ) 興 二 宮 室 于 穴 門 一而 居 之 ( 八 ・ 刪 ) 興 二 山 陵 於 赤 石 一

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( 九 ・ 跏 ) 興 二 宮 室 一 ( 1 1 ・ 嬲 ) 皇 太 子 始 興 二 宮 室 于 斑 鳩 一 ( 二 二 ・ 墹 ) 右 は 一 部 に 過 ぎ な い が 、 ∬ 群 の 、 さ き に 挙 例 し た 仏 教 関 係 の 記 述 に あ る ﹁ 初 興 一一薬 師 寺 一 ﹂ も 、 こ う し た ∬ 群 の 記 't=C 一 般 に あ ら わ れ る ﹁ 興 ﹂ の ﹂ 例 に ほ か な ら な い 。 ま た 一 方 、 皿 群 は 熟 語 の 使 用 に 特 徴 を も つ が 、 そ の う ち の ﹁修 二 治 佛 殿 一﹂ は ﹁ 修 二 治 宮 殿 一﹂ ( 二 五 ・ 嬲 ) あ る い は ﹁ 修 二 造 宮 家 、 那 津 之 口 二 ( 一 八 ・ 45 ) と 、 ま た ﹁ 朕 思 三 欲 起 二 造 大 寺 こ は ﹁ 造 二 起 双 陵 匚 ( 五 ・ 嫺 ) や ﹁ 造 二 起 宮 闕 ﹂ ( 二 六 ・ 嬲 ) な ど と 、 そ れ ぞ れ あ き ら か に 呼 応 す る 。 右 の よ う に 、 寺 院 な ど の 建 造 を あ ら わ す 場 合 で も 、 そ れ に 使 用 す る 語 に 、 H 群 と 皿 群 と で は 著 し い 違 い が あ る 。 そ の 違 い は 、 さ き に 取 り あ げ た ﹁ 宮 中 ﹂ ﹁ 内 裏 ﹂ に も 通 じ る 。 要 す る に 、 H 群 と 皿 群 と は 、 相 互 に 、 そ れ ぞ れ 独 自 な 語 を 使 用 し 、 そ の 表 現 を 成 り た た せ て い た と い う こ と に ほ か な ら な い 。 な お ま た 、 そ こ に 、 仏 教 関 係 の 記 述 と そ れ 以 外 と の 別 は な い 。 各 群 の 内 部 で は 、 仏 教 関 係 の 記 述 も 、 い わ ば 全 体 の な か の 部 分 と し て 、 そ れ ぞ れ の 記 述 一 般 に つ な が る あ ら わ れ を み せ る と い う の が 、 そ の 実 態 で あ る 。 各 群 の 記 述 が 、 仏 教 に 関 係 す る と 否 と の 別 な く 、 か く て 一 様 に 成 り た っ て い る 以 上 、 語 の 使 用 そ の こ と に お い て 、 仏 教 語 と そ れ 以 外 の 語 と の 違 い は 、 も ち ろ ん 無 い と み る べ き で あ ろ う 。 こ れ ま で 、 い ず れ も 仏 教 と は 無 縁 の 語 を 取 り あ げ た け れ ど も 、 仏 教 語 に し て も 、 そ れ を H 群 と 皿 群 と が お の お の 独 自 に 使 用 し て い る で あ ろ う こ と は 、 お の ず か ら 見 通 し う る 。 そ れ が 、 実 際 に ど の よ う に あ ら わ れ る の か 。 次 に は 、 仏 教 語 に そ く し て 、 そ れ に よ る 表 現 や そ の あ ら わ れ な ど に つ い て 検 討 を 試 み る 。 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 四 五

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 四 六

i 僧 侶 を あ ら わ す 語 や 、 そ れ に よ る 表 現 の 場 合 ー ま ず 始 め に 、 僧 侶 を あ ら わ す 語 と そ の 表 現 に つ い て み る に 、 共 通 す る も の 、 た と え ば 、 渡 来 僧 で あ る 場 合 に そ の 出 身 国 名 を 冠 す る ﹁ 百 済 僧 観 勒 来 之 。 ﹂ ( 二 二 ・ 蜘 ) 、 ま た 僧 名 の 上 に ﹁ 僧 ﹂ を 付 加 す る ﹁ 高 麗 王 貢 二 僧 恵 灌 ご ( 二 二 ・ 鰯 ) 、 さ ら に は 学 問 僧 と い う ﹁ 是 時 、 学 問 僧 霊 雲 ・ 僧 旻 及 勝 鳥 養 ・ 新 羅 送 使 等 従 之 。 ﹂ ( 二 三 ・ 搬 ) な ど が あ る 一 方 で 、 群 ご と に そ れ ぞ れ 独 自 な 表 現 を も つ 。 H 群 に 独 自 な 表 現 に は 、 僧 名 の 下 に ﹁ 僧 ﹂ を 付 加 さ せ た 例 が あ る 。 左 に 示 す の が 、 そ の 全 て で あ る 。 。 於 レ 是 、 百 済 観 勒 僧 、 表 上 以 言 、 ( 二 二 ・ 嫐 ) 。 以 二 観 勒 僧 ↓ 為 二 僧 正 ℃ ( 二 二 ・ 踊 ) ・ 於 レ 是 、 僧 旻 僧 日 、 ( 二 二 ・ 鵬 ) ・ 因 以 、 請 二 恵 隠 僧 叫 令 レ 説 二 无 量 寿 経 ⑩ ( 1 11 11 ・ 嫋 ) 。 時 、 知 事 福 林 僧 、 由 レ 老 辞 二 知 事 殉 ( 二 九 ・ 謝 ) 。 以 二 義 成 僧 ↓ 為 一一 小 僧 都 殉 ( 二 九 ・ 謝 ) 。 飛 鳥 寺 弘 聡 僧 終 。 ( 二 九 ・ 謝 )

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i 注 3 ー ・ 遣 二 草 壁 皇 子 ↓ 訊 二 恵 妙 僧 之 病 殉 明 日 、 恵 妙 僧 終 。 ( 二 九 ・ 緇 ) 。 法 忍 僧 ・ 義 照 僧 、 為 レ 養 レ 老 、 各 封 二 卅 戸 ℃ ( 二 九 ・ 謝 ) 該 当 す る 例 は 、 右 の よ う に X 1 1 1 1 ・ 1 ゴ ニ ・ 二 九 の い ず れ も H 群 に 所 属 す る 巻 に し か な い 6 そ の あ ら わ れ は 比 較 的 偏 り な く 、 数 も 少 な く な い 。 ∬ 群 が 、 そ う し て ﹁ 僧 ﹂ を 使 っ て 僧 侶 を あ ら わ す 表 現 を 基 本 の 一 つ と し て い た こ と は 疑 い を 容 れ な い 。 と こ ろ で 、 一 方 の 皿 群 で は 、 僧 侶 で あ る こ と を あ ら わ す 場 合 に 、 た と え ば ﹁ 請 二 沙 門 恵 隠 於 内 裏 こ ( 二 五 ・ 蹴 ) の よ う に ﹁ 沙 門 ﹂ を 使 う 。 し か も そ の 方 が む し ろ 一 般 的 で あ っ て 、 そ れ を 一 切 使 わ な い H 群 と は 、 際 立 っ た 違 い が あ る 。 各 巻 で の そ の あ ら わ れ を 数 字 で 示 す と 、 左 の 表 の と お り で あ る 。 な お 付 言 す る に 、 天 武 天 皇 を 通 常 は 僧 と み な さ な い け れ ど も 、 皿 群 の 記 述 に よ れ ぽ 、 天 皇 が 僧 侶 で あ る こ と は 紛 れ も な い 。 ・ 剃 二 除 鬢 髪 哨 為 二 沙 門 一っ ( 天 智 天 皇 十 年 十 月 条 、 二 七 ・ 跏 ) i ( 天 武 ) ・ 十 年 十 月 、 (持 統 天 皇 ) 従 二 沙 門 天 渟 中 原 瀛 真 人 天 皇 噛 入 一一於 吉 野 噛 避 二 朝 猜 忌 噸 ( 持 統 天 皇 称 制 前 紀 、 三 〇 ・ 謝 ) 右 の よ う に 、 天 智 紀 と 持 統 紀 と の 記 述 は 彼 此 照 応 し 、 い ず れ も 皿 群 に 特 徴 的 な ﹁ 沙 門 ﹂ を 使 う 。 一 方 の H 群 に は 、 天 武 紀 の 上 ・ 下 と も に 、 天 皇 を ﹁ 沙 門 ﹂ と し た 例 が な い 。 巻 二 五 二 六 二 七 三 〇 の べ 総 数 7 5 6 19 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 四 七

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 四 八 さ て 、 ﹁ 沙 門 ﹂ を 頻 用 す る な か に あ っ て 、 そ れ と は ま た 別 に 、 皿 群 で は 、 僧 の 名 に 下 接 さ せ て ﹁ 法 師 ﹂ を 使 う 。 そ う し て ﹁ 法 師 ﹂ を 使 用 し た 僧 の う ち に は 、 別 以 二 恵 妙 法 師 ↓ 為 二 百 済 寺 々 主 殉 ( 二 五 ・ 嬲 ) 右 の よ う に 百 済 寺 の 寺 主 と な っ た 恵 妙 法 師 が い る 。 こ の 僧 は 、 後 に 、 H 群 (天 武 天 皇 九 年 十 一 月 条 ) に ﹁ 遣 二 草 壁 皇 子 ↓ 訊 二 恵 妙 僧 之 病 殉 明 日 、 恵 妙 僧 終 。 ﹂ ( 二 九 ・ 躅 ) と 伝 え る ﹁ 恵 妙 僧 ﹂ そ の 人 で あ ろ う が 、 E 群 と 皿 群 と の そ の あ     ら わ し 方 の 違 い は 、 た と え ば ﹁ 僧 ﹂ と ﹁ 法 師 ﹂ と を 同 語 を あ ら わ す 異 字 と し て 使 う 万 葉 集 の そ れ の よ う で は な い 。 皿 群 に あ っ て は 、 前 述 の 通 り 、 僧 侶 を あ ら わ す 場 合 に 通 常 ﹁ 沙 門 ﹂ を 使 う 。 そ の 通 例 に か ん が み て も 、 ﹁ 法 師 ﹂ の 使 用 に は 、 別 に な ん ら か の 意 図 が あ っ た と み る べ き で あ ろ う 。 実 際 、 各 用 例 を 逐 一 あ た っ て み る と 、 ﹁ 法 師 ﹂ は 、 ﹁ 沙 門 ﹂ と は あ き ら か に 違 う 。 さ き に 挙 例 し た 恵 妙 法 師 が 百 済 寺 の 寺 主 と な っ た ほ か 、 旻 法 師 は 国 博 士 と な り ( 二 五 ・ 瓣 ) 、 そ の 病 臥 お よ び 死 去 に 際 し て 天 皇 は じ め 皇 祖 母 尊 や 皇 太 子 な ど か ら 特 別 な 待 遇 を 受 け て い る ( 同 ・ 蹴 ) 。 あ る い は ま た 道 登 法 師 に し て も 、 恵 妙 法 師 ・ 旻 法 師 と 同 じ く 十 師 に 任 ぜ ら れ 、 改 元 の き っ か け と な っ た 白 雉 貢 献 に 際 し て は 、 旻 法 師 と も ど も 、 そ の 休 祥 の 意 義 に つ い て 外 国 の 例 を 引 い て 奏 聞 し て い る ( 二 五 ・ 嬲 ) 。 い ず れ も 天 皇 の 厚 い 信 任 を 得 た 、 い わ ば 高 徳 の 僧 ば か り で あ る が 、 巻 二 五 に は 、 十 師 の 一 人 と し て さ ら に ﹁ 沙 門 狛     大 法 師 ﹂ ( 二 五 ・ 嬲 ) を 伝 え る 。 こ の ほ か 、 巻 二 五 以 外 で は 、 巻 二 六 に ﹁ 沙 門 智 通 ・ 智 達 奉 レ 勅 、 乗 二 新 羅 船 ハ 往 二 大 唐 国 叫 受 一一 無 性 衆 生 義 於 玄 奘 法 師 所 噂﹂ ( 二 六 ・ 鰯 ) と い う 、 日 本 に も そ の 名 の 知 ら れ た 玄 奘 法 師 、 ま た 巻 二 一 に は 、 崇 峻 天 皇 三 年 に 出 家 し た 徳 斉 法 師 ( X 1 1 ・ 瓢 > な ど の 例 が あ る 。 徳 斉 法 師 は 、 ﹁ 深 信 二 佛 法 ハ 修 行 不 レ 懈 。 ﹂ ( 二 〇 ・ m )

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と い う 伝 え の あ る 司 馬 達 等 の 子 で あ り 、 出 家 以 前 、 用 明 天 皇 が 瘡 を わ ず ら っ た 折 に は 、 ﹁ 奉 二 為 天 皇 嚇 出 家 修 道 、 又 奉 レ 造 二 丈 六 佛 像 及 寺 ご ( 4 ● 21 ) と 申 し 出 て 天 皇 を ﹁ 悲 慟 ﹂ さ せ た 人 物 で も あ る 。 ﹁ 法 師 ﹂ を と も な う 僧 は 、 あ と わ ず か に 豊 国 法 師 ( X 1 1 ・ 鵬 ) を 残 す に す ぎ な い 。 こ の 僧 に 関 す る 記 述 を 見 る に 、 用 明 天 皇 が 病 を 得 て 三 宝 に 帰 依 す る こ は か と を 群 臣 に 議 ら せ た と こ ろ 、 崇 仏 を と な え る 蘇 我 馬 子 が こ れ を 示 持 し た の を う け て 、 皇 弟 皇 子 が く だ ん の 法 師 を 内 裏 に 引 き 入 れ た と 伝 え る 。 こ の 一 件 に 徴 す る 限 り で も 、 こ れ ま た 枢 要 な 立 場 に あ っ た 高 僧 と み て 誤 り な い は ず で あ る 。 こ う し て ﹁ 法 師 ﹂ を 下 接 し た 僧 侶 を ひ と わ た り み る に 、 僧 界 に 重 き を な し た か 、 も し く は 天 皇 に 厚 く 用 い ら れ た か 、 あ る い は そ の 学 徳 に よ っ て 著 名 で あ っ た か な ど 、 ひ と と お り で は な い に し て も 、 い ず れ も 尊 崇 の 念 お く あ た わ ざ る 徳 の 高 い 僧 と い う 点 で は 、 一 人 と し て 例 外 は な い 。 彼 ら を 文 宇 通 り 法 の 師 と み な し 、 そ の 尊 崇 の 念 を ﹁ 法 師 ﹂ を 使 う こ と に よ っ て あ ら わ し た の で あ ろ う 。 そ の 意 味 で は 、 そ れ は 敬 称 に も 相 当 す る 。 ﹁ 沙 門 ﹂ と の 違 い は そ こ に 著 し い が 、 ま た 一 方 、 n 群 の ﹁ 僧 ﹂ i 当 面 の 問 題 に そ く し て 言 え ば 、 巻 二 九 の ﹁ 恵 妙 僧 ﹂ ー と 、 そ れ が 異 質 で あ る こ と も 、 も は や 説 く ま で も な い 。 と こ ろ で 、 1 群 に も 、 わ ず か に 冖 例 で は あ る が 、 僧 名 に ﹁ 法 師 ﹂ を 下 接 し た 例 が あ る 。 次 に 示 す 法 蔵 法 師 が そ れ で あ る 。 法 蔵 法 師 金 鐘 、 献 二 白 朮 前 場 ( 二 九 ・ 謝 ) 白 朮 の 煎 た も の を 献 っ た と い う の で あ る か ら 、 右 の 記 述 は 、 こ の や く 一 ヶ 月 半 ば か り 前 に 伝 え る ﹁ 遣 一一百 済 僧 法 蔵 ・ 優 婆 塞 益 田 直 金 鐘 於 美 濃 ( 令 レ 煎 二 白 朮 幻 因 以 賜 二 緬 綿 布 ご ( 二 九 ・ 跚 ) に 関 連 す る 、 そ の い わ ば 後 日 譚 と み る こ と が で き る 。 法 蔵 に 限 っ て ﹁ 法 師 ﹂ を 下 接 す る に つ い て も 、 そ れ が 再 出 に あ た っ て の 表 記 で あ る と い う 点 を 考 慮 し な け れ 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 四 九

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 五 〇 ば な ら な い 。 す な わ ち 、 再 出 で あ る か ら 、 前 の 記 述 を 踏 ま え た 略 述 表 記 が 可 能 で あ り 、 ま た 実 際 、 た と え ば 金 鐘 の よ う に 、 そ の 身 分 や 氏 姓 を 示 す 長 い 修 飾 語 は 表 記 の 経 済 と い う 点 で も 省 い た 方 が 合 理 的 で あ っ た は ず で あ る が 、 と は 言 え 、 そ う し て 略 述 表 記 す る に あ た っ て は 、 法 蔵 ・ 金 鐘 を 、 そ の 名 前 だ け で 並 記 す る こ と は 、 両 者 の 身 分 が 違 う だ け に た め ら わ れ た で あ ろ う 。 法 蔵 は 僧 侶 で あ る 。 そ れ を 示 す 場 合 に 、 1 群 で は 僧 名 の 上 か 下 の い ず れ か に ﹁ 僧 ﹂ を 使 う 。 ﹁ 僧 ﹂ を 法 蔵 に 上 接 さ せ る と 、 金 鐘 ま で 僧 侶 で あ る か の よ う に 見 誤 ら れ か ね な い 。 法 蔵 に ﹁ 僧 ﹂ を 下 接 さ せ れ ば 、 そ の 虞 れ は な い が 、 し か し そ う し た 場 合 に は 、 改 め て ﹁ 僧 金 鐘 ﹂ と 誤 読 さ れ る 懸 念 が 生 じ る 。 結 局 、 誤 解 を 防 ぐ た め に 、 ﹁ 法 師 ﹂ を 使 用 す る 場 合 の 、 そ れ を 僧 名 に 下 接 す る と い う 通 例 に 働 っ た と い う だ け に す ぎ な い で あ ろ う 。 し た が っ て 、 そ の ﹁ 法 師 ﹂ の 使 用 は 、 た だ ﹁ 僧 ﹂ を 言 い か え た だ け の 便 宜 的 な 措 置 で し か な い 。 ち な み に 、 皿 群 に も 法 蔵 に 関 す る 記 述 が あ り 、 そ れ に は ﹁ 賜 二 陰 陽 博 士 沙 門 法 蔵 ・ 道 基 銀 廿 両 ご ( 11 10 ・ 姻 > と あ る 。 銀 二 十 両 の 下 賜 は 、 こ の 記 述 (持 統 六 年 二 月 条 ) に さ き だ つ 五 年 十 二 月 条 に も 、 医 博 士 や 呪 禁 博 士 な ど を 対 象 に 行 っ て い る 。 僧 侶 と し て と り た て て 天 皇 の 信 任 を 得 た と い う の で は な い か ら 、 法 蔵 に は ﹁ 法 師 ﹂ は む し ろ ふ さ わ し く な い 。 僧 侶 で あ る こ と を ﹁ 沙 門 ﹂ を 使 っ て あ ら わ す 、 そ の 法 蔵 の あ ら わ し 方 は 、 皿 群 に お け る 通 例 を 破 る も の で は 勿 論 な い 。 右 の よ う に 、 仏 教 関 係 の 記 述 の な か で 、 仏 教 語 を 使 う そ の 使 い 方 、 言 い 換 え れ ば 表 現 そ れ 自 体 に 、 H 群 と 皿 群 と で は 、 大 き な 違 い が あ る 。 い ま そ れ を 要 約 し て み る と 、 僧 で あ る こ と を 示 す 場 合 に 、 皿 群 で は 、 僧 名 の 下 に ﹁ 僧 ﹂ を 付 加 す る 方 法 が 一 般 的 で あ る 。 対 照 的 に 、 皿 群 で は 、 主 と し て 僧 名 の 上 に ﹁沙 門 ﹂ を 冠 す る 方 法 に よ る 。 皿 群 に は 、 ま た ﹁ 法 師 ﹂ を 僧 名 に 下 接 さ せ た 例 が 少 な く な い 。 そ の 使 用 は 、 た だ 僧 侶 で あ る こ と を 表 示 す る だ け に と ど ま ら ず 、 文

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字 通 り 法 の 師 に ふ さ わ し い 僧 侶 に 限 り 使 い 、 そ う し て 彼 ら に 対 す る 敬 称 を 兼 ね る 。 H 群 に は 、 こ の ﹁ 法 師 ﹂ の 使 用 例 は 一 切 な い 。 豆 群 と 皿 群 と の 違 い は か く 著 し い 。 し か も そ れ は 、 仏 教 語 と 非 仏 教 語 と の 別 な く 、 双 方 の 群 の 、 そ の 内 部 を 通 じ て そ れ ぞ れ に 独 自 な 語 の 使 用 、 さ ら に は 表 現 の し か た が 相 互 に 排 他 的 な 異 な り を 結 果 し て い る と い う こ と に ほ か な ら な い 。 も と よ り 、 仏 教 語 あ る い は そ れ に ょ る 表 現 を 、 こ と さ ら 他 と 区 劉 す べ き 必 然 性 は 全 く な い 。 各 群 そ れ ぞ れ の 内 部 に お い て 、 そ れ は 、 全 体 の 記 述 を 成 り た た せ る 語 の 一 つ 、 ま た 表 現 の 一 つ で し か な い 。 記 述 の 成 り た ち と い う 点 で は 、 そ の 一 つ の 語 、 一 つ の 表 現 は 、 依 拠 し た 資 料 は も ち ろ ん あ っ た は ず で あ る が 、 必 ず し も そ の も と の ま ま で は な く 、 群 独 自 の 方 法 、 あ る い は 方 針 に そ く し て 、 恐 ら く 多 く の 場 合 、 加 除 修 正 や 書 き 改 め を 経 て 各 記 述 を 成 り 立 た せ て い る も の と み な し う る 。 と こ ろ で 、 歴 史 記 述 の 成 り た ち を 辿 っ て み る に 、 書 き 改 め な ど の い わ ば 記 述 を か た ち つ く る 作 業 は 、 む し ろ 最 終 的 な 段 階 に あ る と み な け れ ぽ な ら な い 。 そ れ 以 前 に 、 資 料 類 を 拾 捨 選 択 し た 上 で 、 そ れ ら を 整 理 し 、 歴 史 の 素 材 と す る 過 程 が あ る 。 そ の そ も そ も の 素 材 化 の 作 業 に お い て も 、 ∬ 群 と 皿 群 と が 、 お の お の そ の 基 本 的 な 方 向 を 異 に し て い る こ と は 推 測 に 難 く な い 。 素 材 化 の 作 業 そ れ 自 体 を 比 較 す る こ と は ほ と ん ど 望 み 得 な い け れ ど も 、 そ の 作 業 は 、 そ れ に 続 く 記 述 化 の 作 業 を 経 て 成 り 立 つ 記 述 の 、 そ の 内 容 に 結 実 し て い る は ず で あ る か ら 、 内 容 の 検 討 を 通 し て 、 さ か の ぼ っ て 素 材 化 の 作 業 の 実 態 に 迫 る こ と は 不 可 能 で は な い 。 こ う し た 観 点 に 立 っ て 、 次 節 以 下 に は 、 内 容 の 検 討 を 試 み る 。 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 五 一

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 五 二

ー 読 経 や 講 経 な ど の 仏 教 儀 礼 の 場 合 ー 皿 群 と 皿 群 と で そ の あ ら わ す 内 容 に 著 し い 違 い が あ る の は 、 仏 教 関 係 の 記 述 の な か で も 、 と り わ け 読 経 ・ 誦 経 ・ 説 経 . 講 経 な ど の 、 経 典 の 利 用 に か か わ る 一 連 の 用 例 で あ る 。 そ れ ら は 、 互 い に 内 容 を 異 に す る ほ か 、 そ の も と と な る 表 現 や 語 に 至 る ま で 異 な る 。 そ こ で 、 ま ず そ れ ら の 語 や 表 現 に そ く し て 、 H 群 と 皿 群 と の 違 い を み る 。 次 に 示 す の は 、 1 群 の 用 例 で あ る 。 1 群 -説 経 ω 天 皇 請 二 皇 太 子 { 令 レ 講 二 勝 鬘 経 絢 三 日 謝 竟 之 。 是 歳 、 皇 太 子 亦 講 二 法 華 経 於 岡 本 宮 殉 天 皇 大 喜 之 、 播 磨 国 水 田 百 町 施 ご 于 皇 太 子 幻 ( 二 二 ・ 鰮 ) ② 高 麗 僧 慧 慈 、 聞 二 上 宮 皇 太 子 薨 一 以 大 悲 之 、 為 二 皇 太 子 剛 請 レ 僧 而 設 斎 。 仍 親 謝 ジ 経 之 日 、 誓 願 日 、 ( 二 二 ・ 蜘 ) ㈹ 大 設 斎 。 因 以 請 二 恵 隠 僧 ↓ 令 レ 説 二 无 量 寿 経 殉 ( 二 三 ・ 踊 ) ω 遣 二 使 於 四 方 国 ↓ 説 二 金 光 明 経 ・ 仁 王 経 殉 ( 二 九 ・ 嬲 ) ㈲ 是 日 、 始 説 二 金 光 明 経 于 宮 中 及 諸 寺 殉 ( 二 九 ・ 跚 ) ⑥ 皇 后 誓 願 之 大 斎 、 以 説 二 経 於 京 内 諸 寺 殉 ( 二 九 ・ 跚 )

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ω 是 月 、 説 二 金 剛 般 若 経 於 宮 中 殉 ( 二 九 ・ 謝 ) ⑧ 天 皇 、 体 不 安 。 因 以 於 二 川 原 寺 ↓ 説 二 薬 師 経 噛 安 一一居 于 宮 中 ⑩ ( 二 九 ・ 躙 ) ㈲ 是 月 、 諸 王 臣 等 、 為 二 天 皇 ( 造 二 観 音 像 叫 則 説 ご 観 世 音 経 於 大 官 大 寺 幻 ( 三 九 ・ 踊 ) 説 経 の 用 例 は 右 に 尽 き る 。 そ の 全 て が H 群 に あ り 、 皿 群 に は 一 切 な い 。 説 経 は 、 そ う し た 点 で ま さ に 五 群 を 特 徴 づ け る 用 例 と い っ て も 過 言 で は な い 。 一 方 の 皿 群 に は 、 そ の 説 経 に 相 当 す る 用 例 と し て 、 講 経 な い し 講 説 経 な ど が あ る 。 次 に 示 す の が そ の 全 て で あ る 。 皿 群 ー ー 講 経 ・ 講 説 経 e 請 il沙 門 恵 隠 於 内 裏 ↓ 使 レ 講 二 無 量 寿 経 叩 以 二 沙 門 恵 資 輔 為 二 論 議 者 ↓ 以 二 沙 門 一 千 ↓ 為 ご 作 聴 衆 幻 丁 未 、 罷 レ 調 。 ( 二 五 ・ 魏 ) ω 詔 二 群 臣 袖 於 三 尽 内 諸 寺 噴 勧 レ 講 二 盂 蘭 盆 経 ↓ 使 レ 報 二 七 世 父 母 刈 ( 二 六 ・ 跚 ) 国 於 二 内 裏 袖 始 安 居 講 説 。 ( 三 〇 ・ 嫻 ) 四 詔 、 令 二 京 師 及 四 畿 内 輔 講 二 説 金 光 明 経 絢 ( 1 10 ・ 輔 ) ㈲ 始 講 二 仁 王 経 於 百 国 殉 四 日 而 畢 。 ( 1 10 ・ 翔 ) 豆 群 の 説 経 と 皿 群 の 講 経 な い し 講 説 経 と 、 右 の よ う に 互 い に 排 他 的 な 対 立 を み せ る な か に あ っ て 、 H 群 の ω だ け は 、 そ こ に 異 例 と な る 。 け れ ど も 、 そ の ﹁ 講 ﹂ を の ち に ﹁ 説 ﹂ に 言 い 換 え て い る 事 実 は 、 皿 群 が ﹁ 説 ﹂ を 専 用 す る こ と と あ き ら か に 照 応 し 、 そ れ 自 体 、 む し ろ ﹁ 説 ﹂ の 使 用 に 傾 く 、 豆 群 を 通 し て 一 貫 し た 傾 向 を 強 く 示 唆 す る で あ ろ う 。 そ れ に し て も 、 講 経 と 説 経 と の 違 い を 、 同 じ 儀 礼 を あ ら わ す 語 の 、 た だ そ の 選 択 の 異 な り に 過 ぎ な い と み る こ と は 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 五 三

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 五 四 で き な い 。 た と え ば 、 H 群 の ω に し て も 、 そ こ に と も か く も ま ず 講 経 と い う の は 、 そ れ が 三 日 間 も 続 く ほ ど の 盛 大 な 内 容 を も つ ほ か 、 一 定 の 形 式 を 備 え た 儀 礼 で あ っ た か ら で は な い か 。 経 を 説 く と い う 説 経 と は 、 儀 礼 の 規 模 の 上 で も 、 違 い の あ る こ と は 否 め な い 。 そ の 点 、 皿 群 の 用 例 で は 、 い く つ か あ る 講 経 の 、 そ の い ず れ も が 儀 礼 と し て の 規 模 の 大 き さ を 如 実 に 物 語 る 。 ま ず e で あ る が 西 そ の 無 量 寿 経 の 講 経 は 、 六 日 間 に わ た っ て 続 く 。 し か も 、 恵 隠 に 講 経 を 行 わ せ る に と も な い 、 恵 資 を 論 議 老 と し 、 僧 侶 一 千 を 作 聴 衆 と し て 参 加 さ せ て も い る 。 そ う し た 儀 礼 の あ り か た に ま で 言 及 し て は い な い も の の 、 国 で も 、 そ の 仁 王 経 の 講 経 は 四 旧 間 に も 及 ぶ 。 そ の ほ か 口 で は 、 群 臣 に 盂 蘭 盆 経 の 講 経 を 勧 め さ せ て い る の で あ る か ら 、 こ れ ま た 盛 大 な 儀 礼 的 性 格 が 色 濃 い 。 ⇔ ㈱ は と も に 講 説 と い う 。 そ の 実 態 は 明 ら か で は な い が 、 そ の 安 居 講 説 が 後 に 制 度 的 に 確 立 す る 一 方 、 金 光 明 経 の 講 説 に し て も 、 後 に 盛 大 な 儀 礼 と し て 史 書 が し ば し     ば 伝 え て い る 。 双 方 と も 持 統 紀 に あ る だ け に 、 そ れ ら と の 関 連 を 辿 る こ と も 可 能 で あ ろ う 。 右 の よ う に 、 講 経 や 講 説 経 の い ず れ も が 、 い ち よ う に 盛 大 な 儀 礼 的 性 格 あ る い は 規 模 を も つ 。 し か も そ の ほ と ん ど 全 て を 皿 群 の 用 例 が 占 め る 。 ま さ に そ れ ら は 、 皿 群 を 特 徴 づ け る 用 例 と い っ て も 過 言 で は な い が 、 翻 っ て 、 H 群 を 特 徴 づ け る 説 経 は ど う か 。 そ の 各 用 例 を 逐 一 検 討 し 、 皿 群 の 講 経 な ど と 比 較 す る 意 義 は 勿 論 あ る け れ ど も 、 し か し な が ら 、 概 観 す る 限 り で も 、 そ の あ ら ま し を 知 る こ と は 不 可 能 で は な い 。 ま た 具 体 的 に 、 た と え ば 同 じ 無 量 寿 経 を 使 う 場 合 で も 、 皿 群 の そ の 講 経 が 上 述 e の と お り 盛 大 な 規 模 で 厳 修 さ れ て い る の に 対 し て 、 1 群 の そ の 説 経 は 、 ㈹ 大 設 斎 。 因 以 請 一一恵 隠 僧 ハ 令 レ 説 二 无 量 寿 経 殉 右 の よ う に 恵 隠 一 人 が そ れ を 行 う に 過 ぎ な い 。 他 の 用 例 も 、 お お む ね こ れ に 準 じ る 。 い ず れ に し て も 、 皿 群 の 講 経 や 講 説 経 な ど は 、 た だ 経 を 説 く と い う だ け の 、 豆 群 に 独 自 な 説 経 と は あ き ら か に 違 う 。

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そ し て ま た 、 H 群 と の 違 い と い う 点 で は 一 層 著 し い 、 す な わ ち 、 法 会 の 記 述 が 皿 群 に は あ る 。 次 に 挙 げ る 用 例 が そ の 全 て で あ る が 、 1 群 に は 該 当 す る 例 が 一 切 な い 。 。 経 二 営 佛 殿 於 宅 東 方 ↓ 安 二 置 弥 勒 石 像 殉 屈 ご 請 三 尼 輔 蓼 設 斎 。 ( 二 〇 ・ 鵬 ) 。 蘇 我 大 臣 馬 子 宿 祢 、 起 二 塔 於 大 野 丘 北 紬 大 会 設 斎 。 ( 二 〇 ・ 蝿 ) ・ 作 二 須 弥 山 像 於 飛 鳥 寺 西 袖 且 設 二 盂 蘭 盆 会 殉 ( 二 六 ・ 捌 ) ・ 有 司 奉 γ 勅 、 造 二 一 百 高 座 ・ 一 百 納 袈 裟 ハ 設 二 仁 王 般 若 之 会 幻 ( 二 六 ・ 瀰 ) Q 奉 二 為 天 淳 中 原 瀛 真 人 天 皇 ハ 設 二 無 遮 大 会 於 五 寺 、 大 官 ・ 飛 鳥 ・ 川 原 ・ 小 墾 田 豊 浦 ・ 坂 田 殉 ( 三 〇 ・ 嬲 ) 1 無 遮 大 会 は 、 こ の ほ か 薬 師 寺 ( la ・ rn ) ・ 内 裏 ( 同 ・ 瓣 嫻 の 二 度 ) ・ 春 宮 ( 同 ・ 娜 ) で も 行 わ れ る 。 。 公 卿 百 寮 、 tlu K 開 二 佛 眼 一会 於 薬 師 寺 上 ( 三 〇 ・ 嫺 ) 右 の よ う に 、 皿 群 に 独 自 な 法 会 に 盂 蘭 盆 ( 盆 ) 会 、 仁 王 般 若 会 、 無 遮 大 会 、 開 眼 会 な ど が あ る 。 そ れ ら は 、 儀 礼 の 規 模 や 威 儀 な ど に お い て も 、 通 常 の 仏 会 と は 違 い が あ る 。 ま ず 盂 蘭 盆 会 を み る に 、 通 常 の そ れ を 書 紀 は 伝 え な い 。 わ ず か に 関 連 し て 言 及 す る な か に ﹁ 此 冠 者 、 大 会 、 饗 客 ( 四 月 七 月 斎 時 、 所 レ 着 焉 。 ﹂ ( 二 五 ・ 嬲 ) と あ り 、 ﹁ 七 月 斎 ﹂ は 盂 蘭 盆 会 に あ た る が 、 そ れ を ﹁ 斎 ﹂ で あ ら わ す に す ぎ な い 。 く だ ん の 例 は 、 須 弥 山 像 を 飛 鳥 寺 の 西 に 作 っ た こ と に 関 連 し て 同 所 で 営 ま れ た も の で 、 そ の 点 を 勘 案 し て も 、 も と よ り 通 常 の 盂 蘭 盆 会 で は な い 。 こ と に 飛 鳥 寺 の 西 は 、 大 化 改 新 に 際 し て 天 皇 、 皇 祖 母 尊 、 皇 太 子 が 群 臣 を あ つ め て ち か 盟 っ た ほ か 、 の ち に は 、 多 祢 島 人 ( 天 武 六 年 二 月 ) 、 蝦 夷 ( 持 統 二 年 十 二 月 ) な ど を 饗 し た と 伝 え る な ど 、 晴 の 儀 礼 に ゆ か り の 深 い 場 所 で あ る 。 こ こ で 須 弥 山 像 の 造 作 に と も な い 盂 蘭 盆 会 を 営 む と い う の で あ る か ら 、 そ の 盛 儀 の ほ ど 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 五 五

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 五 六 は 察 す る に 余 り あ る 。 ち な み に 、 恐 ら く 同 じ 飛 鳥 寺 の 西 で あ ろ う が 、 同 日 の 暮 に は 、 覩 貨 邏 人 を 饗 し た と 伝 え る 。 仁 王 般 若 会 に し て も 、 こ の 場 合 に は 、 有 司 が 勅 を 奉 じ て 百 の 高 座 、 百 納 袈 裟 を 作 る と い う 、 特 別 な 用 意 を 伴 う 。 仁 王 経 に ち な む と は い え 、 そ の よ う に 用 意 し た 上 で 行 う 以 上 、 そ れ 相 応 の 盛 大 な 儀 礼 的 規 模 を も つ こ と は 疑 い を 容 れ な い 。 ま た あ る い は 、 天 武 天 皇 の 菩 提 を 弔 う と い う 、 同 様 の 目 的 に よ る 法 会 で も 、 た と え ば ﹁ 設 二 国 忌 斎 於 京 師 諸 寺 一﹂ ( 1 10 ・ 鋤 ) や ﹁ 詔 日 、 自 レ 今 以 後 、 毎 レ 取 二 国 忌 日 ↓ 要 須 レ 斎 也 。 ﹂ ( 同 謝 ) な ど の 一 般 寺 院 で も 行 な う ﹁ 斎 ﹂ と 、 内 裏 や 春 宮 を は じ め 特 定 寺 院 等 で 厳 修 さ れ る 無 遮 大 会 と は 、 そ の 内 容 に 大 き な 隔 り が あ っ た に 相 違 な い 。 そ し て 、 右 に 一 括 し て 挙 げ た 法 会 の 始 め の 二 例 に つ い て も 、 そ の 詳 細 に つ い て は 明 ら か で な い も の の 、 仏 殿 や 塔 の 建 立 に と も な う 、 お そ ら く そ の 落 慶 法 要 の た め の 盛 大 な 儀 礼 で あ る こ と を 示 す 上 で 、 と く に ﹁ 大 会 設 斎 ﹂ と あ ら わ し た の で あ ろ う 。 か く し て 、 皿 群 で は 、 ﹁ 斎 ﹂ な い し ﹁ 設 斎 ﹂ と だ け い う 仏 会 の ほ か に 、 数 の 上 で は そ れ を い く ぶ ん 上 回 る 数 の 、 盛 大 な 規 模 ・ 壮 重 な 威 儀 を 備 え た 法 会 を 伝 え る 。 二 つ の 法 会 を 、 い ま 仮 り に ﹁ 設 斎 ﹂ と ﹁ 設 会 ﹂ と い う よ う に あ ら わ し     た 場 合 に 、 豆 群 に は 、 そ の 後 者 の ﹁ 設 会 ﹂ に 相 当 す る 例 が な い 。 一 方 ま た 、 H 群 と 皿 群 と に 互 い に 排 他 的 に あ ら わ れ る 説 経 と 講 経 と は 、 儀 礼 的 性 格 あ る い は そ の 規 模 に 違 い が あ る 。 二 つ な が ら H 群 と 皿 群 と で 大 き く 異 な る そ の 儀 礼 の 違 い を 、 そ れ を あ ら わ す 表 現 上 の 異 な り に 帰 す る こ と は も は や 妥 当 で は な い 。 儀 礼 の あ り 方 そ の も の に か か わ る 違 い 、 こ れ が H 群 と 皿 群 と の 相 違 の 本 質 で あ っ て 、 表 現 上 の 異 な り は 、 主 に は 、 そ う し た 相 異 な る 儀 礼 の あ り 方 を あ ら わ し た そ の 結 果 で あ っ た ろ う 。 そ の 相 違 を こ こ に 集 約 し て い え ば 、 す な わ ち 、 皿 群 は 、 講 経 や 講 説 経 さ ら に ﹁ 設 会 ﹂ の 一 群 な ど の 、 そ の 規 模 や 威 儀 な ど に お い て と り わ け 盛 大 な 儀 礼 の あ り 方 を 示 す と い っ た 、 そ れ ら い ず れ に も 共 通 す る 点 に 特 徴 が あ り 、 相 対 的 に 地 味 な 儀 礼 の あ り 方 に お お む ね 終 始 す る H 群 と 対 立 し 、 互 い に そ の あ ら わ れ を 異 に す る と い

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う こ と に ほ か な ら な い 。 五 、 お わ り に 1 続 稿 へ の は し わ た し i 以 上 、 仏 教 関 係 の 記 述 の 、 わ ず か に 一 部 の 語 や 表 現 の 限 り 、 内 容 に 至 っ て は 、 仏 教 儀 礼 の そ の あ り 方 に つ い て だ け 検 討 を 試 み た に 過 ぎ な い 。 検 討 自 体 も と う て い 十 分 と は い え な い が 、 そ れ で も 、 明 ら か に し え た 点 が い く つ か あ る 。 そ れ ら は 、 あ ら ま し 次 の よ う に ま と め る こ と が で き る 。 す な わ ち 、 ま ず H 群 と 皿 群 と が お の お の 単 位 的 な ま と ま り を 成 し 、 そ の そ れ ぞ れ の 内 部 で は 、 記 述 そ の も の に 限 れ ば 、 仏 教 に か か わ る と 否 と の 別 が な い こ と 、 そ の 成 り た ち と い う 点 で は 、 仏 教 関 係 の 記 述 に し て も 、 各 群 そ れ ぞ れ の 記 述 一 般 に 通 じ る 独 自 な 方 針 を も と に 、 恐 ら く 多 く の 場 合 -原 理 的 に は 全 て ー 編 述 す る 者 の 手 ( 刀 筆 ) を 経 て 成 り た っ て い る と い う こ と 。 そ の 仏 教 関 係 の 記 述 は 、 必 然 的 に 、 内 容 の 上 で も 群 ご と に そ れ ぞ れ 独 自 な 特 徴 を も ち 、 し か も そ れ が 群 相 互 に き わ だ っ た 違 い を み せ る と い う こ と 。 も と よ り 、 検 討 を は じ め て 、 ま だ ほ ん の 緒 に つ い た 程 度 で し か な い 。 と り わ け 内 容 に つ い て は 、 た と え ぽ 儀 礼 に 限 っ て も 、 な お 解 明 す べ き 問 題 が 少 な く な い 。 儀 礼 の あ り 方 の 、 上 述 の 盛 大 と か 地 味 と か の そ の 特 徴 は 、 そ も そ も 何 に よ る の か 。 さ し 当 っ て そ う し た 問 題 が あ る ほ か 、 仏 教 関 係 の 記 述 の 、 そ の 全 体 を 通 し て の 特 質 を 見 き わ め る こ と も 課 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 五 七

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佛 教 大 學 研 究 紀 要 通 巻 七 十 号 五 八 題 と な る で あ ろ う 。 そ の 課 題 へ の 取 り く み は 、 H 群 と 皿 群 と が 仏 教 関 係 の 記 述 を お の お の 独 自 に 成 り た た せ て い る こ と に 伴 い 、 や が て 、 歴 史 形 成 に か か わ る そ れ ぞ れ の 群 の 特 徴 を 探 る こ と に お の ず か ら 繋 が る は ず で あ る 。 右 の い ず れ の 問 題 も 、 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る と い う こ の 稿 の 論 題 に 密 接 な か か わ り を も つ が 、 そ の 検 討 は 、 こ の 稿 を ひ き つ ぐ 続 擺 に 譲 る ・ 最 後 に ・ そ の 続 稿 で の 検 討 の 便 宜 を は か り 、 こ れ ま で 最 り あ げ た 儀 礼 の 用 例 を 、 ひ と と お り 整 理 し た 上 で ま と め て お く 。 次 の 表 が そ れ で あ る 。 群 ∬ 一 (計 二 皿 一 ( 計) 説 経 二 三 ω 三 三 ω 三 九 旦 9 一 一 。

三 助 一 ② , t l >・ d ω ・ t l 六 ω . 三 ・ ㈲ 一 5 設 ム三 一 ・ 一 二 ・ ② 三 六 ω 三一 ・ 竺 m ︹注 ︺ 1 ﹁ 日 本 書 紀 の 敬 語 ﹂ (﹃ 佛 教 大 学 研 究 紀 要 ﹄ 通 巻 第 六 十 八 号 ) の ほ か 、 そ の 注 ① お よ び ④ に も 、 関 連 す る 拙 稿 を い く つ か 挙 げ て い る 。 2 引 用 の さ い に は 、 も っ ぱ ら 新 訂 増 補 国 史 大 系 ﹃ 日 本 書 紀 ﹄ 前 ・ 後 篇 の 本 文 を 使 用 し た が 、 と き に 日 本 古 典 文 学 大 系 ﹃ 日 本 書 紀 ﹄ 上 ・ 下 の 本 文 に 従 う 箇 所 も あ る 。 そ の 間 の 異 同 を 含 め 、 本 文 そ の も の に 異 同 が あ る 場 合 は 、 そ れ が 行 論 上 必 要 で あ る と 判 断 し た も の に 限 っ て 、 注 に 若 干 の 説 明 を 加 え た 。 な お 、 漢 数 字 は 書 紀 の 巻 次 を 、 ま た 算 用 数 字 は 国 史 大 系 本 の 頁 数 を そ れ ぞ れ あ ら わ す 。 3 こ の ﹁ 僧 ﹂ に つ い て 、 国 史 大 系 本 に は な ん ら 注 記 が な い 。 一 方 、 古 典 文 学 大 系 本 に は 、 北 野 本 . 伊 勢 本 . 内 閣 文 庫 本 の 諸 本 が そ れ を 欠 く と 注 す る 。 両 大 系 本 と も そ れ を あ ら わ す の で 、 そ れ に 従 う 。 皿 群 の 特 徴 と し て も 、 そ う あ っ て 然 る べ ぎ と こ ろ 。 4 た と え ば 、 次 の 題 詞 と 歌 と の 双 方 に そ の 具 体 例 が あ る 。

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戯 嗤 レ 僧 歌 一 首 法 師 等 之 鬢 の 剃 り 杭 馬 繋 ぎ い た く な 引 き そ 倒 半 甘 ( 三 八 四 六 ) ・ 法 師 報 漱 一 首 檀 越 や 然 も な 言 ひ そ 五 十 戸 長 が 課 役 徴 ら ぽ 汝 も な か む C1 11 八 四 七 ) 5 十 師 を 列 挙 す る な か に あ っ て 、 こ こ は 、 狛 大 法 師 だ け で 一 人 と す る か 、 次 の 福 亮 ま で 含 め て 一 人 と み る か 、 説 が 分 か れ る 。 国 史 大 系 本 は 後 者 の 説 、 一 方 、 古 典 文 学 大 系 本 は 前 者 の 立 場 に た つ 。 な 齢 ま た こ の 問 題 に 言 及 し て 、 た と え ば 田 村 圓 澄 氏 は 前 者 の 見 方 ( ﹃ 飛 鳥 仏 教 史 研 究 ﹄ 64 頁 ) 、 仲 野 浩 氏 は 後 者 の 見 方 (﹁ 大 化 改 新 と 仏 教 に つ い て の 二 、 三 の 問 題 ﹂ 坂 本 太 郎 博 士 還 暦 記 念 会 編 ﹃ 日 本 古 代 史 論 集 ﹄ 上 巻 ) を と る 。 か く 見 解 は 異 な る け れ ど も 、 皿 群 の 通 例 に か ん が み て 、 ﹁ 法 師 ﹂ は 僧 名 に 上 接 さ せ な い は ず で あ る か ら 、 こ こ で は 、 狛 大 法 師 で 一 人 と み な す 。 6 安 居 の 初 出 例 は 、 天 武 天 皇 十 二 年 七 月 条 に 伝 え る ﹁是 夏 、 始 請 昌 僧 尼 嚇 安 畠 居 于 宮 中 ご ( 二 九 ・ 跚 ) で 、 こ れ と 同 じ 記 述 が 同 天 皇 十 四 年 四 月 条 に も ﹁ 始 請 二 僧 尼 ハ 安 二 居 于 宮 中 ご ( 同 ・ 跚 ) と あ る 。 天 武 紀 の 例 で は 、 い ず れ も 安 居 と い う に と ど ま る 。 日 本 古 典 文 学 大 系 書 紀 の 頭 注 で は 、 右 の 初 出 例 に つ い て ﹁ 延 喜 玄 蕃 式 で は 毎 年 四 月 十 五 日 か ら 七 月 十 五 日 ま で の 間 、 講 説 を 行 な う こ と と な っ て い る 。﹂ と い う 。 持 統 紀 の 当 面 の 例 は 、 講 説 を 行 う こ と に ま で 言 及 し た も の で 、 そ の 注 は 、 む し ろ 持 統 紀 の 例 に ふ さ わ し い 。 な お ま た 金 光 明 経 の 講 説 に つ い て は 、 そ れ を ﹁ 京 師 及 四 畿 内 ﹂ で 行 っ た と い う が 、 続 日 本 紀 (大 宝 二 年 十 二 月 十 三 日 条 ) に よ れ ば 、 持 統 天 皇 の 危 篤 の お り に 行 っ た 法 会 も 金 光 明 経 の 講 経 で あ り 、 し か も そ れ を ﹁ 四 畿 内 ﹂ に 命 じ て い る 。 ち な み に 、 そ の 講 経 は 、 ﹁大 二 赦 天 下 殉 度 一 一 百 人 出 家 一 ﹂ に と も な う 。 7 皿 群 で は 、 ﹁ 設 斎 ﹂ に と も な っ て 説 経 を 行 っ た と い う 例 が 二 つ (皿 群 の 説 経 の 用 例 の う ち の ② ㈲ 。 52 頁 参 照 ) あ る 。 読 経 ま で 含 め る と 、 ﹁大 設 二 斎 於 飛 鳥 寺 嚇 以 読 二 一 切 経 一 ﹂ ( 二 九 ・ 躅 ) が 類 例 と な り 、 つ こ う 八 例 あ る ﹁ 設 斎 ﹂ の う ち 、 三 例 ま で が 、 そ れ が 説 経 か 読 経 か を 示 し て い る こ と に な る 。 皿 群 に は 、 そ う し た 例 が 一 切 な く 、 五 例 あ る そ の 全 て が 、 た と え ば ﹁ 皇 祖 母 尊 、 請 昌 十 師 等 ↓ 設 斎 。﹂ ( 二 五 ・ 跏 ) の よ う に そ れ だ け を あ ら わ す に 過 ぎ な い 。 こ こ に も 、 ∬ 群 と 皿 群 と の 著 し い 違 い が あ る 。 8 ﹁ 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る ー 仏 教 関 係 の 記 述 を め ぐ っ て 、 そ の ニ ー ﹂ ﹃佛 教 大 学 大 学 院 研 究 紀 要 ﹄ 第 十 四 号 日 本 書 紀 の 成 り た ち を 考 え る 五 九

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