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密教文化 Vol. 1989 No. 166 001静 慈圓「弘法大師教学における因果論 P1-32」

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一 般 的 因 果 論 因 果 と は、 原 因 と 結 果 の こ と、 つ ま り 結 果 を 生 ぜ し め る も の が 因 で あ り、 そ の 因 に よ っ て 生 じ た も の が 果 で あ る。 一 般 に は、 修 行 の 因 に よ っ て さ と り の 果 を 得 る と か、 善 因 善 果 ・ 悪 因 悪 果 と か い い、 因 果 は、 時 間 的 な 関 係 ( 因 果 異 時 と い う ) と 空 間 的 な 関 係 ( 因 果 同 時 と い う ) で 説 明 さ れ る。 し か し 同 じ 原 因 で あ れ ば、 必 ず 同 じ 結 果 が 生 ず る か と い え ば、 そ う で は な く、 結 果 を 生 ぜ し め る 内 的 な 直 接 の 原 因 を 因 と い い、 外 か ら こ れ を 助 け る 関 接 の 原 因 を 縁 と い っ て い る。 以 上 は ご く 一 般 的 な 因 果 の 説 明 で あ る が、 こ れ ら の 問 題 を、 弘 法 大 師 空 海 (以 下 大 師 と 略 称 す ) は ど の よ う に 考 え 解 決 さ れ て い る の か。 つ ま り 大 師 の 因 果 論 を 明 ら か に す る こ と が、 本 論 文 の 目 的 で あ る。 本 論 文 で 取 り 扱 う 資 料 は、 ﹃ 十 巻 章 ﹄ 中、 ﹃ 般 若 心 経 秘 鍵 ﹄ ・ ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ ・ ﹃ 声 字 実 相 義 ﹄ ・ ﹃ 噂 字 義 ﹄ ・ ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ ・ ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ で あ る。 大 師 の 教 学 は、 も ち ろ ん 大 師 当 時 の 仏 教 学 を ふ ま え て、 そ の 上 に 成 り 立 っ た 教 え で あ る。 出 き 上 が っ た 教 学 は、 大 師 独 自 の 思 想 大 系 を 形 成 し て い る が、 そ の 思 想 を 生 み 出 し た 基 盤 は、 や は り 一 般 仏 教 学 の 思 想 で あ る。 因 果 論 に お い 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 て も、 こ れ と 同 じ よ う に 考 え る こ と が で き る。 す な わ ち 大 師 の 文 章 中 に は、 一 般 的 な 因 果 説 も 所 々 に 見 う け ら れ る の は 当 然 の こ と で あ る。 初 め に こ の こ と を 検 討 し て お こ う。 < 例 1 > 眞 言 行 者 當 レ 観。 二 乗 之 人 錐 レ 破 二 人 執 ご猫 有 二 法 執 一。 但 津 二意 識 二不 レ 知 二 其 他 ご。 久 久 成 二 果 位 一以 二灰 身 滅 智 一趣 二其 浬 墾 ご。 ( 1) 如 二太 虚 空 一湛 然 常 寂。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ ) < 例 2 > 龍 猛 菩 薩 菩 提 心 論 云。 又 有 二衆 生 一螢 二 大 乗 心 一行 二 菩 薩 行 一。 於 二諸 法 門 二無 レ 不 二 遍 修 一。 復 経 三 二 阿 曾 祇 劫 一修 一六 度 萬 行 一。 ( 2) 皆 悉 具 足 然 謹 二 佛 果 二。 久 遠 而 成 斯 由 三 所 習 法 教 致 有 二次 第 二。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鋪 ﹄ ) < 例 3 > 種 種 根 器 種 種 方 便 如 レ説 修 行 得 二人 天 果 報 二。 或 得 二 三 乗 解 腕 果 ご。 或 進 或 退 於 二 無 上 菩 提 二。 三 無 数 大 劫 修 行 勤 苦 方 得 二 成 ( 3) 佛 一。 ( ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ ) < 例 4 > 於 是 芥 城 端 而 還 満 巨 石 隣 而 復 生。 三 種 練 磨 策 二初 心 之 欲 プ 退。 四 弘 願 行 仰 二 後 身 之 勝 果 二。 築 二 等 持 城 二安 二唯 識 將 一。 征 二 魔 ( 4 ) 旬 杖 陳 一伐 二 煩 悩 賊 帥 ご。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ ) < 例 5 > 言 二 菩 薩 一者 如 レ 是 在 家 人 持 二 十 善 戒 一修 二 六 度 行 一者 是 也。 出 家 嚢 二 大 心 二者 亦 是。 断 レ 悪 故 離 レ 苦 修 レ 善 故 得 レ樂。 下 從 二 人 天 一 ( 5 ) 上 至 二 佛 果 二。 皆 是 断 悪 修 善 之 所 二感 得 二。 爲 レ 示 二 斯 爾 趣 一。 大 聖 設 レ教。 佛 教 既 存 弘 行 在 レ 人。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ ) < 例 6 > 此 生 作 二 悪 業 一後 當 レ墜 二 三 途 二。 三 途 之 苦 経 レ 劫 難 レ 免。 如 來 慈 父 見 二 此 極 苦 一読 二 其 因 果 二。 説 二悪 因 果 二抜 二其 極 苦 二。 示 二 善 因 ( 6) 果 一授 二 其 極 果 二。 修 二其 教 一者 略 有 二 二 種 二。 二 出 家 二 在 家。 出 家 者 剃 レ 頭 染 レ衣 比 丘 比 丘 尼 等 是 也。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ ) < 例 1 > < 例 2 > < 例 3 > は、 因 果 関 係 を 修 行 の 時 間 的 経 過 と し て 明 し て い る。 例 示 の 中 で、 必 要 な 部 分 の 内 容 を 示 す と 次 の 如 く で あ る。 < 例 1 > は、 ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 第 五 住 心 の と こ ろ で あ る。 か つ 声 聞 乗 は 六 十 劫、 縁 覚 は 百 劫 と い う よ う な、 長 年 月 を 経 て、 有 余 浬 契 の 果 を 得、 つ い に は 身 も 心 も 共 に 滅 す る 無 余 浬 葉 に 趣 く の で あ る、 と な る。 < 例 2 > は、 三 無 数 劫 を 費 や し て、 六 度 の 万 行 を 修 し、 皆 悉 く 円 満 し 具 足 し て、 然 し て 後、 よ う や く 仏 果 を 身 に つ け る こ

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と が で き る、 と あ る。 す な わ ち 久 遠 の 長 年 月 を 費 や し て、 よ う や く 覚 る、 と 述 べ て い る。 < 例 3 > は、 種 々 の 根 機 の 人 達 が、 自 分 に 合 っ た い ろ い ろ の 方 便 を も っ て、 仏 の 説 け る 如 く に 修 行 す る と、 人 と 天 と の 果 報 を 得、 あ る い は 三 乗 教 の 解 脱 の 果 を 得 る の で あ る。 そ の 途 中 は、 三 無 数 劫 の 修 行 が 必 要 で あ る、 と 述 べ て い る。 < 例 4 > は、 勝 果 を 得 る に は、 無 限 の 長 い 年 月 を 費 や さ ね ば な ら な い と す る が、 そ の 修 行 方 法 の 一 つ と し て、 ﹁ 四 弘 誓 願 の 因 行 を 修 し て、 後 に 得 ら る べ き 勝 果 を 仰 望 す る ﹂ べ き こ と を 述 べ て い る。 < 例 5 > は、 出 家 ・ 在 家 の 行 者 は、 ﹁ 悪 を 断 ず る が 故 に 苦 を 離 れ、 善 を 修 す る が 故 に 楽 を 得﹂ と あ り、 下 は 人 天 よ り 上 は 仏 の 果 に い た る ま で、 み な い ず れ も ﹁ 断 悪 修 善 ﹂ の 業 に よ っ て 感 得 す る こ と が で き る。 こ の こ と を 示 さ ん が た め に、 教 え が 説 か れ て い る の で あ る、 と あ る。 つ ま り 善 因 善 果 の こ と わ り を 述 べ て い る。 < 例 6 > は、 衆 生 は 自 分 の 身 に 悪 業 を 作 っ て 三 途 の 苦 か ら 抜 け 出 せ な い で い る。 そ こ で 慈 父 の 如 き 如 来 は、 衆 生 の 苦 し み を 見 て、 黙 視 す る こ と が で き ず、 因 果 応 報 の 道 理 を 示 し た。 す な わ ち 悪 の 因 果 を 説 い て は そ の 苦 を 抜 き、 善 の 因 果 を 示 し て は、 そ の 楽 果 を 授 け た の で あ る、 と。 こ こ で も 因 果 の 道 理 が 説 か れ て い る。 以 上 は、 大 師 の 文 中 に 見 ら れ る 因 果 の 用 例 で あ る。 こ れ ら の 例 示 を 見 る 限 り、 大 師 の 因 果 の 使 用 例 も 何 も 一 般 仏 教 の 因 果 論 と 変 っ た と こ ろ は な い。 で は ど の よ う な と こ ろ に、 大 師 独 自 の 因 果 論 は み ら れ る の で あ ろ う か。 以 下 本 題 に 入 り、 こ の こ と を 検 討 し て い き た い。 ﹃ 釈 摩 詞 街 論﹄ の 因 果 ま ず 初 め に、 大 師 の 因 果 思 想 の 最 も 基 本 的 な 資 料 と し て 取 り 上 げ ね ば な ら な い 書 物 が あ る。 そ れ は ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 (7) 巻 上 に 引 用 の ﹃ 釈 摩 詫 術 論 ﹄ (以 下﹃ 釈 論 ﹄ と 略 称 す ) か ら の 箇 所 で あ る。 < 例 7 > 何 故 不 二 摩 詞 街 法 無 二因 縁 一耶。 是 法 極 妙 甚 深 濁 尊。 離 二機 根 二故。 何 故 離 レ機。 無 二 機 根 ご故。 何 須 二 建 立 ご。 非 二建 立 ご故。 是 摩 前 術 法 諸 佛 所 レ得 耶。 能 得 二 於 諸 佛 二。 諸 佛 得。 不 故。 菩 薩 二 乗 一 切 異 ハ生 亦 復 如 レ 是。 性 徳 圓 満 海 是 焉。 所 以 者 何。 離 二機 根 一故。 離 二 教 読 一故。 八 種 本 法 從 二因 縁 一起。 鷹 二於 機 一故。 順 二 於 説 二故。 何 故 鷹 レ 機。 有 二 機 根 二故。 如 レ是 八 種 法 諸 佛 所 レ得 耶。 諸 佛 所 レ得。 得 二於 諸 佛 一。 不 故。 菩 薩 二 乗 一 切 異 生 亦 復 如 レ 是。 修 行 種 因 海 是 焉。 所 以 者。 有 二 機 根 二故。 有 二 教 説 二故。 ( ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ ) ﹃ 釈 論﹄ で は、 一 切 の 仏 教 の 法 門 を 因 果 二 分 に 別 け て い る。 ま ず 果 分 を 不 二 摩 河 術 と い う。 こ れ は、 一 切 の 差 別 ・ 機 根 を 離 れ た 仏 自 性 の 秘 密 の 境 界 の こ と で あ り、 こ の 世 界 は 果 人 の 世 界 で あ る か ら、 因 人 の 者 に は 理 解 で き な い。 ま た ﹁ 果 海 の 問 答 ﹂ と し て、 不 二 の 法 は 一 切 の 機 根 を 離 れ た 境 地 で あ る こ と、 さ ら に 不 二 の 境 界 は、 真 如 門 ・ 生 滅 門 の 諸 仏 共 に 証 得 す る こ と が で き な い、 と 述 べ て い る。 こ の 不 二 の 境 地 を ﹁ 性 徳 円 満 海 ﹂ と 名 づ け る。 こ れ に 対 し 因 分 と は、 仏 自 性 の 果 分 の 世 界 を 因 人 に 示 さ ん が た め に 説 か れ た 教 え で あ る。 だ か ら 因 分 の 法 門 は、 衆 生 の 種 々 な る 機 根 に 随 っ て 説 か れ た も の で あ る か ら、 機 根 の 大 小 に 随 っ て そ の 法 門 に も 異 な り が み ら れ る。 ま た ﹁ 因 海 の 問 答 ﹂ と し て、 衆 生 本 有 の 一 心 を、 真 如 の 世 界 と 生 滅 の 世 界 と を 開 け て、 八 種 の 教 法 と す る。 こ の 八 種 の 法 は、 機 根 相 応 の 境 界 で あ る か ら、 あ ら ゆ る 機 根 に 答 え て 因 縁 に 随 っ て 説 か れ る、 と 述 べ て い る。 こ れ を ﹁ 修 行 種 因 海 ﹂ と 名 づ け る の で あ る。 右 の ﹃ 釈 論 ﹄ か ら の 引 用 文 は 重 要 で あ る。 そ れ は 大 師 の 因 果 論 の 全 て の 展 開 が、 こ こ か ら 始 ま り、 ま た こ こ に 帰 着 す る か ら で あ る。 今 一 度 総 括 し 整 理 す れ ば 次 の 如 く で あ る。 性 徳 円 満 海 と 名 づ け る 果 分 の 立 場 は、 機 根 を 離 れ、 教 説

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を 離 れ た 境 界 で あ る。 仏 自 性 の 境 界 つ ま り 因 縁 を 越 え て い る 境 界 で あ る か ら 因 縁 自 体 は 説 か な い。 こ れ に 対 し 修 行 種 因 海 と 名 づ け る 因 分 の 立 場 は、 機 根 が あ り、 教 説 が あ る 世 界 を い う。 つ ま り 因 縁 に 随 っ て 説 か れ た 教 え で あ る の で、 こ こ で は 因 縁 を 説 く、 と な る。 大 師 は 仏 身 説 に お い て、 こ の 果 分 の 境 地 を 密 教 と 名 づ け、 因 分 の 立 場 を 顕 教 と 名 づ け た の で あ る。 ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ 上 で は こ の こ と を 明 示 し て い る。 す な わ ち < 例 8 > 若 擦 二 秘 藏 金 剛 頂 経 読 一。 如 來 攣 化 身 爲 二 地 前 菩 薩 及 二 乗 凡 夫 等 一論 三 二 乗 教 法 二。 他 受 用 身 爲 二地 上 菩 薩 二読 二 顯 一 乗 等 一。 並 是 顯 教 也。 自 性 受 用 佛 自 受 法 楽 故 與 二 自 春 属 二各 読 三 二 密 門 一。 謂 二之 密 教 一。 此 三 密 門 者。 所 レ 謂 如 來 内 謹 智 境 界 也。 等 畳 十 地 不 レ 能 レ 入 レ 室。 何 況 二 乗 凡 夫 誰 得 レ 昇 レ堂。 故 地 論 繹 論 構 誤 其 離 二機 根 一。 唯 識 中 観 歎 二言 断 心 滅 二。 如 レ 是 紹 離 並 約 二因 位 一 談 非 レ謂 二果 人 一也。 ( 8) と あ る。 こ こ で は 仏 身 説 に お い て 自 性 身 ・ 自 受 用 身 が 密 教 に あ た る と 説 か れ て い る。 そ の 境 地 は、 離 機 根 と も 言 断 心 滅 と も い い、 い わ ゆ る 如 来 内 証 智 の 境 界 と も い う の で あ る。 こ れ に 対 し 顕 教 と は、 他 受 用 身 が 説 く と こ ろ を い う。 こ の 境 地 は、 い ま だ 悟 り を 開 か な い 因 人 の 人 を 対 照 と し た も の で あ り、 す で に 悟 り を 開 い た 果 位 に あ る 人 の 立 場 か ら い う の で は な い、 と な る。 さ ら に ま た ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ 上 で は、 大 師 自 ら の 意 見 と し て、 ﹁ 所 レ 謂 因 分 可 説 者 顯 教 分 齊。 果 性 不 可 読 ﹃即 是 密 藏 本 ( 9) 分 也 ﹂ と 述 べ て い る。 こ れ ら か ら み て も、 顕 教 ・ 密 教 を 因 ・ 果 に あ て て い る の は 明 確 で あ り、 そ の 基 は、 ﹃ 釈 論 ﹄ の 因 果 説 に よ っ て い る こ と が 明 ら か で あ る。 つ ま り 大 師 が い う 顕 教 と は、 因 位 の 立 場 で あ り、 そ れ は 人 間 が 本 来 持 っ て い る 素 質 能 力 に 従 っ て、 種 々 の 薬 つ ま り 教 薬 を 必 要 と す る 教 え で あ る。 ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ に、 ﹁ 答 如 来 説 法 鷹 レ 病 投 レ 薬。 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 (10) 根 機 萬 差 針 灸 千 殊 L と あ る の も 顕 教 の 立 場 を 述 べ た も の で あ る。 ﹃ 釈 論 ﹄ で は、 こ の 顕 教 の 教 薬 を 八 種 の 教 法 に 分 け、 さ ら に 三 十 二 種 に 分 け る。 そ し て 因 縁 に 従 っ て こ れ ら が 現 わ れ る と 説 く の で あ る。 ﹃ 釈 論 ﹄ の 修 行 種 因 海 つ ま り 因 分 の ( 11) 世 界 は、 こ の こ と を 説 く の で あ り、 ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ で は、 こ の 内 容 を そ の ま ま 取 り 入 れ て い る の で あ る。 右 の 如 く、 ﹃ 釈 論 ﹄ の 因 分 ・ 果 分 の 説 で は、 特 に 因 分 の 立 場 は、 衆 生 と 直 接 つ な が る 立 場 と し て 説 か れ て い る。 こ の こ と は 重 要 で あ る。 な ぜ な ら ば 因 果 の 問 題 で、 果 ( 仏 果. 覚 り ) に い た る ﹁ 縁 ﹂ と い う 問 題 が、 こ の 因 分 と 共 に 取 り 扱 わ れ て い る か ら で あ る。 そ こ で 次 に ﹁ 縁 ﹂ と い う 問 題 に 触 れ て い き た い。 ﹁ 縁﹂ の 解 釈 大 師 は、 ﹁ 縁 ﹂ と い う 問 題 を ど の よ う に と ら え て お ら れ る の で あ ろ う か。 ま ず 文 章 中 の 表 現 を み て み よ う。 < 例 9 > 問 義 若 如 レ 是 何 故 経 中 乃 説 二 佛 不 思 議 品 等 果 一耶。 答 此 果 義 是 約 レ 縁 形 封 爲 レ成 レ 因 故 説 二 此 果 二。 非 レ 擦 二 究 寛 自 在 果 一。 所 二 以 ( 12) 然 一者 爲 下 不 思 議 法 品 等 與 二因 位 二同 會 而 説 上 故。 知 形 封 耳。 ( ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ ) < 例10 > 天 台 止 観 第 三 巻 云。 此 三 諦 理 不 可 思 議 無 二決 定 性 二實 不 レ可 レ 読。 若 爲 レ 縁 読 不 レ 出 三 二 意 二。 一 随 情 読 印 随 他 意 語 二 随 情 智 読 印 随 自 他 意 語 ( 13) 三 随 智 読 印 随 自 意 語 ( ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ ) < 例 11 > 上 所 レ論 依 正 土 並 通 二 四 種 身 二。 若 約 二 竪 義 二有 二 大 小 麓 細 一。 若 嫁 二 横 義 二平 等 平 等 一。 如 レ 是 身 及 土 並 有 二 法 爾 随 縁 二 義 一。 故 ( 14) 日 二法 然 随 縁 有 一。 ( ﹃ 声 字 実 相 義 ﹄ ) < 例 12 > 夫 禿 樹 非 二 定 禿 二遇 レ春 則 榮 華。 増 ︽ 何 必 氷 入 レ 夏 則 津 注。 穀 牙 待 レ 灘 卉 菓 結 レ 時。 至 レ 如 二戴 淵 改 レ 心 周 庭 忠 孝 一。 礪 石 忽 珍 魚 ( 15) 珠 照 レ夜。 物 無 二 定 性 二人 何 常 悪。 遇 レ縁 則 庸 愚 庶 二 幾 大 道 一。 順 レ 教 則 凡 夫 思 レ 齊 二 賢 聖 二。 抵 羊 無 二 自 性 二愚 童 亦 不 レ 愚。 ( ﹃ 秘

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蔵 宝 鍮 ﹄ ) < 例 9 > は、﹃ 華 厳 経 ﹄ 仏 不 思 議 品 か ら の 引 用 で あ る。 こ こ で は 果 と し て の 種 々 相 が 説 か れ て い る。 つ ま り﹃ 華 厳 経 ﹄ ノ ノ ハ レ ノ ニ ノ ノ セ ン カ ヲ (顕 教 ) は 仏 果 を 説 い て い る で は な い か、 の 問 で あ る。 こ れ に 対 す る 答 え は、 文 中 に ﹁ 答 此 果 義 是 約 レ 縁 形 封 爲 レ 成 レ 因 ニ ク ノ ヲ ス ル ニ ノ ニ 故 読 二 此 果一。 非 レ 擦 二 究 寛 自 在 果 こ と 見 え る。 こ こ で い う 仏 果 の 意 味 は、 因 位 の 人 の 縁 に 関 連 し て 説 い た も の で、 因 位 の 世 界 を 明 ら か に せ ん が た め に、 果 界 を 説 い た に 外 な ら な い。 決 し て 究 寛 せ る 自 在 の 果 (密 教 ) の 真 実 を 根 拠 と し て い る メ ニ ノ ク ハ テ ツ ノ の で は な い、 の 意 で あ る。 こ こ で は 縁 と は 因 位 の 世 界 の 問 題 で あ る こ と が 理 解 で き る。 < 例 10 > ﹁ 爲 レ 縁 説 不 レ 出 二 三 ヲ 意 こ 衆 生 の 縁 に 応 ず る た め に 説 く と、 三 つ の 意 味 を 出 で な い、 と あ る。 三 つ と は ﹁ 随 情 説 の 三 諦 ﹂ ﹁ 随 情 智 説 の 三 諦 ﹂ ﹁ 随 智 説 の 三 諦 ﹂ の こ と で あ る。 つ ま り こ こ で の 縁 と は、 衆 生 の 縁 に 応 じ て、 天 台 宗 の 教 義 を 説 く と の 意 で あ る。 以 上 二 例 は、 顕 教 の 教 え を 説 く と こ ろ で、 縁 と い う 言 葉 が 使 用 さ れ て い る 箇 所 を 示 し た。 こ れ は ﹃ 釈 論 ﹄ で い う と こ ろ の 因 分 の 立 場 で あ る。 < 例 11 > は、 因 分 の 立 場 を 明 ら か に す る の に、 横 ・ 竪 と い う 説 明 の 仕 方 を し て い る。 横 法 爾 の 上 か ら は 平 等 で あ り 竪 随 縁 の 上 か ら は 差 別 で あ る、 と あ る。 つ ま り 人 間 に は 常 に 大 小 鹿 細 と い う よ う な 差 別 が あ る の で、 各 々 の 立 場 の 人 が 時 間 的 ・ 空 間 的 に 縁 に 遭 遇 す る こ と が 出 き る の で あ る。 つ ま り こ こ で は 縁 と は、 竪 差 別 の と こ ろ で の 問 題 で あ る こ と を 明 し て い る。 < 例 12 > は、 す べ て の 物 に は 一 定 不 変 の 性 質 が な い の で あ る か ら、 人 も ま た い つ ま で も 悪 人 と い う わ け で は な い。 な に か の 縁 に 遭 え ば お ろ か な 者 で も、 自 分 か ら 人 の 道 に 気 づ き、 教 え に 随 順 す る と き は、 凡 夫 も 賢 者 に な ろ う と 望 む よ う に な る、 と あ る。 つ ま り こ こ で も 縁 の 大 切 さ を 述 べ て い る。 右 の 用 例 を 検 討 し て い く と 残 る 問 題 が あ る。 そ れ は 因 果 の 問 題 に お け る ﹁ 縁 ﹂ の 内 容 の こ と で あ る。 つ ま り 縁 に 遭 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 う こ と が 大 事 で あ る こ と は 説 い て い る が、 ど の よ う な 縁 に 遭 え ば よ い か と い う 具 体 例 に な る と、 さ ほ ど 適 切 な 用 例 は 見 出 せ な い。 こ れ は ど う し て な の だ ろ う か。 一 般 に 結 果 を 引 き 起 す 間 接 的 な 原 因 を ﹁ 縁 ﹂ と い う が、 大 師 の 文 中 で は ( 16) ﹁ 縁 ﹂ と い う 単 語 は、 内 容 的 に は 大 師 独 自 な 考 え 方 は み ら れ る が、 用 例 は 少 な い。 こ の 問 題 は、 次 の こ と を 意 味 し て い る。 す な わ ち 大 師 が ﹁ 縁 ﹂ と い う 意 味 内 容 を 言 う 時 は、 ﹁ 縁 ﹂ 一 字 で 言 っ て い る の で は な く、 ﹁ 因 な る 縁 ﹂ ・ ﹁ 因 即 縁 ﹂ の 表 現、 つ ま り ﹁ 因 縁 ﹂ と い う 単 語 で 言 っ て い る よ う で あ る。 し た が っ て 次 に ﹁ 因 縁 ﹂ と い う 語 の 検 討 を 進 め て い き た い。 因 縁 の 意 味 因 と 果 の 関 係 を 明 ら か に す る 過 程 に お い て、 因 縁 と い う 問 題 は 重 要 で あ る。 大 師 の 文 章 で 因 縁 と い う 意 味 を 探 る と 大 師 は 因 縁 と い う 問 題 を 重 要 事 項 と し て、 特 別 に 考 え て い る こ と が 理 解 で き る。 す な わ ち こ の 因 縁 の 問 題 は、 大 師 に お い て は ﹃ 噂 字 義 ﹄ の 中 に 集 中 し て 述 べ ら れ て い る こ と に 気 が つ く。 ﹃ 畔 字 義﹄ 一 巻 の 内 容 は、 ﹁ 字 相﹂ と ﹁ 字 義﹂ に 大 別 さ れ て い る。 字 相 の 中 は 次 の 如 く 詞 字 門、 阿 字 門、 汗 字 門、 摩 字 門 の 四 つ に 区 分 さ れ る。 ﹁ 訂 字 門 ﹂ と は、 悉 曇 文 字 の ウ ン 字 ( 系 ) の 中 央 の 根 本 主 体 と な っ て い る 字 ( 駅 ) の こ と で あ る。 こ れ を 因 ま た は 因 縁 の 義 を あ ら わ す 標 幟 で あ る と す る の で あ る。 ﹁ 阿 字 門 ﹂ と は、 阿 と は あ ら ゆ る 文 字 の 母 で あ り あ ら ゆ る 声 の 体 で あ り、 あ ら ゆ る 実 相 の 源 で あ る。 こ の 阿 に よ っ て、 も ろ も ろ の 法 の 空 想 な る こ と を 知 る の で あ る。 ﹁汗 字 門 ﹂ と は、 も ろ も ろ の 法 の 損 減 の 義 を あ ら わ す 標 幟 で あ る。 ﹁ 摩 字 門 ﹂ と は、 人 と し て の 我、 法 と し て の 我 の 義 を あ ら わ す 標 幟 で あ る。 以 上 の 四 つ に 分 け、 各 々 の 立 場 を 明 ら か に し て い る。 今 因 縁 の 問 題 は、 ﹁ 詞 字 門 ﹂ の と こ ろ で

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集 中 し て 説 か れ て い る ( 他 に ﹁ 阿 字 門 ﹂ の と こ ろ に も 少 し ば か り 見 ら れ る )。 < 例13 > 一 賀 字 義 者。 中 央 本 尊 髄 是 其 字 也。 所 レ 謂 賀 字 是 因 義 也。 梵 云 二係 但 鱒 一合二 印 是 因 縁 義。 因 有 二 六 種 一。 及 因 縁 義 中 因 有 二 五 ( 17) 種 一。 如 二 阿 砒 曇 廣 読 一。 若 見 二前 字 門 一即 知 下 一 切 諸 法 無 レ 不 中 從 二因 縁 ご生 上。 是 爲 二詞 字 字 相 二。 ( ﹃ 畔 字 義 ﹄ ) < 例 14 > 初 前 字 實 義 者。 所 レ 謂 詞 字 門 一 切 諸 法 因 不 可 得 故。 何 以 故。 以 二諸 法 展 韓 待 レ 因 成 ご故。 當 レ 知 最 後 無 レ依。 故 説 二 無 住 一爲 二 ( 18) 諸 法 本 一。 所 二 以 然 一者 以 二 種 種 門 一観 二諸 法 因 縁 ↓悉 不 生 故。 ( ﹃ 畔 字 義 ﹄ ) < 例 15 > 以 下 一 切 法 無 レ不 中 從 二 衆 縁 一生 上。 從 レ 縁 生 者 悉 皆 有 レ始 有 レ 本。 今 観 二 此 能 生 之 縁 二。 亦 復 從 二衆 因 縁 一生。 展 韓 從 レ 縁 誰 爲 二其 ( 19) 本 二。 ( ﹃ 噂 字 義 ﹄ ) < 例 16 > 而 世 間 凡 夫 不 レ観 二諸 法 本 源 二故 妄 見 レ 有 レ 生。 所 以 随 二生 死 流 一不 レ 能 二自 出 一如 下 彼 無 智 書 師 自 運 二 衆 練 二作 二可 畏 夜 叉 之 形 一。 ( 20) 成 已 還 自 観 レ 之 心 生 二怖 畏 一頓 壁 中 干 地 上。 衆 生 亦 復 如 レ 是。 ( ﹃ 畔 字 義 ﹄ ) < 例 13 > の 文 中 に ﹁ 若 し 訥 字 門 を 見 れ ば、 即 ち 一 切 の 諸 法 は、 因 縁 よ り 生 ぜ ざ る こ と な し。 是 を 詞 字 の 字 相 と す ﹂ と あ る。 こ こ で は 全 て の 諸 法 は 因 縁 よ り 生 ず る こ と を 断 言 し て い る。 そ し て ﹁ 因 に 六 種 有 り。 及 び 因 縁 の 義 の 中 に 因 の う さ い ん に 五 種 有 り ﹂ と し、 各 々 に つ い て 具 体 的 な 説 明 が あ る。 今 そ の 六 種 を 示 す。(1) 能 作 因 (間 接 の 原 因 )。 果 を 生 ず る に く う い ん あ た っ て の 間 接 の 原 因。(2) 倶 有 因 ( 同 時 因 果 の 理 )。 互 い に 因 と な り 果 と な る 如 き も の。(3) 同 類 因 (異 時 因 果 の 理 )。 善 は 善、 悪 は 悪 と い う よ う に、 相 似 同 類 の 果 を 生 ず る 因。(4) 相 応 因 ( 主 と し て 心 識 生 起 の 原 因 )。 心 王 と 心 所 と が 倶 起 し へ ん ぎ よ う い ん て、 互 い に 因 と な り 果 と な る こ と。(5) 遍 行 因 (主 と し て 心 識 生 起 の 原 因 )。 同 類 因 の 中 で、 特 に 力 の 強 い 煩 悩 即 ち 遍 行 惑 い じ ゆ く い ん に つ い て い う 場 合 を 別 立 し た も の。(6) 異 熟 因 ( 善 悪 の 因 よ り 善 で も 悪 で も な い 中 性 の 異 熟 果 を 生 ず る )。 後 に 無 記 性 ( 中 性 ) の 果 を 生 ぜ し む る 善 も し く は 悪 の 因 を い う、 の 六 種 で あ る。 原 文 中 に ﹁ 及 び 因 縁 の 義 の 中 に 因 に 五 種 有 り ﹂ と は、 六 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 種 の 中(1) 能 作 因 を 除 い た も の を 因 縁 も し く は 新 因 縁 と い う、 と の 意 味 で あ る。 以 上 は 有 部 宗 (倶 舎 宗 ) で 説 く と ろ の 六 因 で あ る。 つ ま り こ こ で は 因 縁 の 説 明 が 具 体 的 に 示 さ れ て い る。 < 例 14 > ﹁ 諦 字 門 と は、 一 切 の も ろ も ろ の 法 の 因 不 可 得 と い う 義 を あ ら わ す。 な ぜ か と い え ば、 一 切 の 法 は 因 に は そ の 因 が あ り、 そ の 因 に は 因 が あ る と い う よ う に、 限 り な く 転 転 し て い く。 こ れ を さ か の ぼ る に、 最 後 は 因 と し て 依 る べ き 何 ら の 固 定 し た も の は な い、 と す る。 つ ま り 諸 法 の 本 は 無 住 で あ る と あ り、 そ し て こ の 無 住 の と こ ろ こ そ、 も ろ も ろ の 根 本 で あ る。 故 に 諸 法 の 成 立 し て い る 因 縁 を 感 じ て も、 不 可 得 不 生 で あ る ﹂ と 述 べ て い る。 < 例 15 > ﹁ あ り と あ ら ゆ る 一 切 の も の は、 全 て 因 縁 か ら 生 じ て い る。 こ の 縁 か ら 生 じ た る も の は、 皆 始 め が あ り 根 本 が あ る。 今 そ の 始 め が あ り、 根 本 が あ る 因 縁 を 観 ず る に、 そ の 因 縁 に は 又 他 の 因 縁 が あ る と い う よ う に な っ て い る。 だ か ら そ の 始 め を 転 転 し て、 こ れ を 推 し 窮 む る に、 い ず れ も 果 し な い 因 縁 の ゆ え に、 そ の 本 と い う べ き も の は な い の で あ る ﹂ と あ る。 つ ま り、 因 縁 ← 因 縁 ← 因 縁 ← 因 縁 云 釦 の 如 く、 そ の 根 本 は、 際 限 が な い こ と を 知 る こ と が ﹁ 如 実 知 自 心 ﹂ で あ る、 と 述 べ て い る。 < 例 16 > は、 < 例 15 > の つ づ き で あ る。 ﹁ 世 間 の 凡 夫 は、 も ろ も ろ の 法 の 本 源 を 観 ず る こ と が で き な い ゆ え に、 妄 り に 因 縁 の 固 定 し た 生 死 あ り と 見 る の で あ る。 そ の た め に 生 死 に と ら わ れ、 そ の 流 れ に 沈 溺 し て 自 か ら 出 る こ と が で き な い の で あ る ﹂ と あ る。 右 に 示 し た よ う に 大 師 は、 因 縁 の こ と は ﹃ 噂 字 義 ﹄ に お い て、 そ の 意 味 を 意 義 づ け よ う と し て い る こ と が 理 解 で き る。 そ こ で は 因 ・ 因 縁 と は、 無 限 に 転 転 し て い く 意 味 で あ る こ と を 言 っ て い る の で あ る。 さ ら に ﹃ 畔 字 義 ﹄ に は、 よ り 具 体 的 な 説 明 が 見 ら れ る。

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< 例 17 > 復 次 因 縁 生 法 必 帯 二 四 相 二。 帯 二 四 相 一故 攣 壌 無 常。 攣 壌 無 常 故 苦 空 無 我。 苦 空 無 我 故 不 得 自 在。 不 得 自 在 故 不 住 自 性。 不 ( 21) 住 自 性 故 高 下 相 望 尊 卑 重 重。 若 以 レ 劣 望 レ 勝 劣 則 爲 レ損。 以 レ 下 比 レ 上 下 則 名 レ 減。 如 レ 是 損 減 其 数 無 量。 ( ﹃ 噂 字 義 ﹄ ) ( 22 ) < 例 18 > 阿 字 從 二 本 不 生 ご生 一二 切 法 一。 今 亦 詞 字 以 二 無 因 待 一爲 二諸 法 因 一。 終 始 同 蹄。 則 中 間 旨 趣 皆 可 レ 知 矣。 是 名 二詞 字 實 義 一。 ( ﹃ 瞠 字 義 ﹄ ) < 例 圏 > 當 レ 知 萬 法 唯 心。 心 之 實 相 即 是 一 切 種 智。 印 是 諸 法 法 界。 法 界 即 是 諸 法 之 躰。 不 レ 得 レ 爲 レ因。 以 レ 是 言 レ 之 因 亦 是 法 界。 縁 ( 23) 亦 是 法 界。 因 縁 所 生 法 亦 是 法 界。 ( ﹃ 件 字 義 ﹄ ) < 例 17 > ﹁ 因 縁 生 の 法 は 云 云 ﹂ と あ り、 因 縁 生 の 法 を 具 体 的 に 述 べ て い る。 内 容 は 次 の 如 く で あ る。 ﹁ 因 縁 よ り 生 じ た る 法 は、 生 住 異 滅 の 四 相 を 帯 び て い る。 四 相 を 帯 び て い る が 故 に、 変 り 壊 れ て 無 常 で あ る。 変 り 壊 れ て 無 常 で あ る が 故 に、 苦 し み が あ り 空 で あ り 無 我 で あ る。 苦 し み が あ り 空 で あ り 無 我 で あ る が 故 に、 自 在 を え ず。 自 在 を え ざ る が 故 に、 一 定 の 自 性 に 住 せ ず。 一 定 の 自 性 に 住 せ ざ る が 故 に、 高 き も の と 下 き も の を 相 望 す る に、 尊 い も の と か 卑 し い も の と か の 重 々 が あ る ﹂ と あ る。 こ れ は 因 縁 よ り 生 じ た 法 に は、 高 下 の 差 別 が あ る こ と を 述 べ て い る の で あ る。 つ づ い て ﹁ 若 し 劣 を 以 て 勝 に 望 む る に、 劣 は 則 ち 損 と な る。 下 を 以 て 上 に 比 す る に、 下 は 則 ち 減 と 名 く。 是 の 如 く 損 減 其 の 数 無 量 な り ﹂ と あ る。 こ こ で は 因 縁 よ り 生 じ た 法 に は、 勝 劣、 上 下 の 差 別 が あ る こ と を 強 調 し て い る。 < 例 18 > は、 訂 字 門 に よ っ て い わ ん と す る と こ ろ は、 因 果 の 対 立 を 超 越 し た 境 地 で あ る こ と を 強 調 し て い る。 < 例 圏 > は、 因 と い っ て も、 縁 と い っ て も、 因 縁 所 生 と い っ て も、 い ず れ も 対 立 を 超 え た 上 の 境 地 で あ る か ら、 因 即 法 界、 縁 即 法 界、 因 縁 所 生 の 法 即 法 界 で あ る。 す な わ ち 法 界 と は、 あ ら ゆ る 対 立 を 超 越 し た 境 地 で あ る か ら、 何 ら か の 果 に 対 す る 因 と い う こ と で は な い の で あ る。 こ こ で は、 一 切 の 法 は 心 の 現 れ で あ り、 こ の 心 が 法 界 と 合 一 す る こ 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 と を 述 べ て い る。 右 の < 例 13 > よ り < 例 圏 > は、 因 縁 の 意 味 内 容 を 具 体 的 に 述 べ て い る 箇 所 で あ る。 こ れ ら か ら し て﹃ 咋 字 義﹄ は、 因 縁 の 意 味 を 明 ら か に せ ん が た め の 著 述 で あ る こ と が 明 ら か で あ る。 こ こ に﹃ 咋 字 義﹄ 著 述 の 意 義 が 理 解 で き る の で あ る。 大 師 は 自 ら の 教 学 の 中 で、﹃ 噂 字 義﹄ の 中 で は 因 縁 の 意 味 を 集 中 し て 述 べ ら れ て い る。 以 上 の 例 示 は こ の こ と を 明 ら か に し た も の で あ る が、 因 縁 の 中 ﹁ 十 二 因 縁 ﹂ な る 意 味 の 位 置 づ け は、 ま た 別 に 考 え な け れ ば な ら な い。 次 に そ の こ と を 述 べ て い き た い。 十 二 因 縁 の 位 置 づ け 十 二 因 縁 と は、 凡 夫 で あ る 有 情 の 生 存 が、 十 二 の 条 件 に よ っ て 成 り 立 っ て い る こ と を い う。 一 般 に は 十 二 縁 起、 十 二 因 縁 起、 十 二 縁 生 な ど と 呼 ば れ て い る。 十 二 と は、 無 明 ・ 行 ・ 識 ・ 名 色 ・ 六 処 ( 六 入 ) ・ 触 ・ 受 ・ 愛 ・ 取 ・ 有 ・ 生 ・ 老 死 で あ る。 こ の 十 二 を 相 依 相 対 的 な 関 係 に あ る と 説 く の が 十 二 縁 起 で あ る。 根 本 仏 教 の 最 も 基 本 的 な 教 義 の ︼ つ で あ る。 ﹁ 巴 利 文 の 律 の 大 品 ﹂、﹃ 倶 舎 論﹄ 巻 九、﹃ 成 唯 識 論﹄ 巻 八、﹃ 雑 集 論﹄ 巻 四、﹃ 婆 沙 論﹄ 巻 二 十 四 な ど が そ の 基 本 的 資 料 と な っ て い る。 さ て、 大 師 は こ の 十 二 因 縁 を ど の よ う に 理 解 し て い る の で あ ろ う か。 ま ず 結 論 か ら い え ば、 大 師 は 十 住 心 体 系 の 中 で 位 置 付 け て お り、 そ の 他 の 場 所 で は、 十 二 因 縁 は 説 か れ て い な い。 こ の こ と も 大 師 の 因 縁 論 の 特 色 と い え よ う。 以 下 に そ の 例 示 を 見 て い く。 ( 24) < 例 20 > 第 五 抜 業 因 種 心 修 二身 十 二 一 無 明 抜 レ 種 業 生 已 除 無 言 得 レ 果。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ )

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<例21> 抜 業 因 種 心 者。 麟 角 之 所 謹 部 行 之 所 行。 観 二因 縁 於 十 二 二厭 二生 死 乎 四 五 一。 見 二彼 華 葉 一畳 二 四 相 之 無 常 二。 住 二 此 林 落 一誰 二 ( 25) 三 昧 於 無 言 二。 業 悩 株 机 猶 レ 此 而 抜。 無 明 種 子 因 レ之 而 断。 爪 憤 遙 望 不 レ 近。 建 聲 何 得 二窺 霰 一。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ ) < 例 20 > < 例 21 > は、 十 二 因 縁 が 十 住 心 論 体 系 の 第 五 抜 業 因 種 心 に あ た る こ と を 示 し て い る。 第 五 住 心 は 縁 覚 に あ た る。 < 例 21 > の 文 中 に、 ﹁ 麟 角 之 所 証 部 行 之 所 行 な り ﹂ と あ る。 麟 角 と は、 麟 の 一 角 に 喩 え て、 は じ め か ら 伴 侶 の な い き が 独 住 者 の こ と。 部 行 と は、 第 四 住 心 の 声 聞 で、 集 団 を 組 織 し て 団 体 生 活 を し て い る 者 を い う。 こ こ は そ の 集 団 を 離 れ て 独 り 自 ら 覚 る と い う 意 味 で あ る。 い つ れ も 独 覚 者 つ ま り 縁 覚 の こ と を 言 っ て い る。 こ の 縁 覚 乗 の 人 は、 十 二 因 縁 を ( 27) 観 じ て、 生 死 の 世 界 を 厭 い、 無 常 を 覚 り、 無 明 の 原 因 を 覚 る の で あ る。 こ れ が 大 師 の 縁 覚 の 位 置 づ け で あ る。 大 師 は、 十 二 因 縁 を 第 五 抜 業 因 種 心 ( 縁 覚 ) と し て 位 置 づ け た の で あ る が、 そ の 資 料 は 何 に よ っ て で あ ろ う か。 ( 28) < 例 22 > 故 経 云。 抜 三業 煩 悩 株 机 無 明 種 子 生 二十 二 因 縁 一。 (﹃ 秘 蔵 宝 鍮﹄ ) < 例 23 > 繹 云。 謂 十 二 因 縁 者。 守 護 國 経 云。 復 次 善 男 子。 如 來 於 一二 切 静 慮 解 腕 等 持 等 至 一伏 二 滅 煩 悩 一生 起 因 縁 皆 如 レ實 知。 佛 云 何 知。 謂 知 下 衆 生 煩 悩 生 起 以 二 何 因 一生 以 二 何 縁 一生。 滅 レ惑 清 浮 何 因 能 滅 何 縁 能 滅 上。 此 中 煩 悩 生 因 縁 者 謂 不 正 思 惟。 以 レ 此 爲 二其 因 一無 明 爲 レ 縁。 無 明 爲 レ 因 行 爲 レ縁。 行 爲 レ 因 識 爲 レ 縁。 識 爲 レ 因 名 色 爲 レ縁。 名 色 爲 レ因 六 ハ 庭 爲 レ 縁。 六 庭 爲 レ 因 鰯 爲 レ縁。 鰯 爲 レ 因 受 爲 レ縁。 受 爲 レ 因 愛 爲 レ縁。 愛 爲 レ 因 取 爲 レ縁。 取 爲 レ 因 有 爲 レ 縁。 有 爲 レ 因 生 爲 レ 縁。 生 爲 レ因 老 死 爲 レ 縁。 ( 29) 煩 悩 爲 レ因 業 爲 レ 縁。 見 爲 レ 因 貧 爲 レ縁。 随 眠 煩 悩 爲 レ 因 現 行 煩 悩 爲 レ 縁。 此 是 煩 悩 生 起 因 縁。 (﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ ) < 例 24 > 問 此 住 心 亦 依 二 何 経 論 ご説 耶。 答 大 日 経 菩 提 心 論。 彼 経 論 何 説。 経 云。 縁 畳 抜 三業 煩 悩 株 机 無 明 種 子 生 二 十 二 因 縁 一。 離 二 建 ( 30) 立 宗 等 一。 如 レ 是 湛 寂 一 切 外 道 所 レ 不 レ 能 レ 知。 先 佛 宣 説 離 二二 切 過 二。 ( ﹁ 秘 蔵 宝 鋪 ﹄ ) < 例 25 > 龍 猛 菩 薩 菩 提 心 論 云。 又 二 乗 之 人 聲 聞 執 二 四 諦 法 一縁 畳 執 二十 二 因 縁 二。 知 二 四 大 五 陰 畢 寛 磨 滅 一。 深 起 二 厭 離 二破 二衆 生 執 一。 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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-13-密 教 文 化 (31) 勤 二 修 本 法 一剋 二謹 其 果 一。 趣 二本 浬 葉 一已 二 爲 究 寛 一。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ ) < 例 22 > の ﹁ 経 云 ﹂ と は、 ﹃ 大 日 経 ﹄ 住 心 品 の 文 で あ る。 経 中 に ﹁ 縁 覚 は、 悪 業 や 煩 悩 の 根 元 で あ る 無 明 の 種 子 が 十 二 因 縁 の 流 れ を 生 ず る の を 除 く ﹂ と 説 い て い る。 < 例 23 > は、 < 例 22 > に つ づ い て い る 文 章 で あ る。 こ こ で は ﹁ 守 護 国 経 に 云 く ﹂ と し て ﹁ 煩 悩 の 生 ず る 因 縁 と は、 謂 く 不 正 思 惟 な り。 此 を 以 て 其 の 因 と し、 無 明 を 縁 と す。 無 明 を 因 と し、 行 を 縁 と す。 云 云 ﹂ と あ り、 順 次 十 二 因 縁 を 述 べ て い る。 す な わ ち 生 死 流 転 の 煩 悩 を 生 起 す る 因 縁 を 十 二 因 縁 と し て 示 し て い る の で あ る。 如 来 は こ の こ と を 実 の 如 く 知 っ て い る、 と し て い る。 < 例 24 > は、 ﹃ 大 日 経 ﹄ 住 心 品 に 云 く と し て ﹁ 縁 覚 は、 悪 業 と 煩 悩 と の 根 で あ る 無 明 の 種 子 が 十 二 因 縁 の 流 れ を 生 ず る の を 抜 き 除 く 云 云 ﹂ と あ り、 独 覚 た る 縁 覚 の 立 場 を 明 し て い る。 < 例 25 > は、 ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ に 云 く と し て 次 の 如 く あ る。 ﹁ 声 聞 は 四 諦 の 法 を も っ て 最 極 の も の と 信 じ、 縁 覚 は 十 二 因 縁 を も っ て こ よ な き も の と 執 し て い る。 い ず れ に す る も か れ ら は、 四 大 も し く は 五 陰 か ら 成 立 し て い る も の は、 い つ か は 磨 滅 す る こ と を 知 っ て い る。 だ か ら 深 く 厭 離 の 心 を 起 し、 衆 生 に 対 す る 執 わ れ を 破 し、 そ の 本 法 た る 四 諦 ・ 十 二 因 縁 を 勤 修 し て、 有 余 浬 藥 の 果 を 身 に つ け、 さ ら に 無 余 浬 葉 に 趣 入 す る こ と を も っ て、 究 寛 と し て い る の で あ る。 ﹂ 右 は、 大 師 が 縁 覚 と 十 二 因 縁 の 関 係 を 明 ら か に し た 箇 所 を 示 し た。 こ こ で は 具 体 的 に 十 二 因 縁 の 内 容 が 明 ら か に さ れ て い る と 共 に、 大 師 が 十 二 因 縁 と い う 場 合 の 資 料 が 理 解 で き る。 資 料 は ﹃ 大 日 経 ﹄ (< 例 22 V < 例 24 > )、 ﹃ 守 護 国 経 ﹄ (< 例 23 > )、 ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ ( < 例 24 > < 例 25 > ) で あ る。 以 上 大 師 の 十 二 因 縁 の 位 置 づ け に つ い て 述 べ た。

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﹁ 因 ﹂ と ﹁ 果 ﹂ の 関 係 大 師 の 教 学 に お け る 因 果 の 問 題 は、 ﹃ 釈 論 ﹄ が そ の 原 書 的 資 料 と な っ て い る。 ﹃ 釈 論 ﹄ の 中 で は、 因 分 の 立 場 は、 特 に 衆 生 と の か か わ り に お い て 重 要 視 さ れ て い る。 さ ら に 大 師 の 著 作 の 中 の ﹃ 噂 字 義 ﹄ は、 因 縁 に つ い て 集 中 し て 述 べ ら れ て お り、 そ こ に ﹃ 畔 字 義 ﹄ の 特 色 が あ る。 ま た 十 二 因 縁 に つ い て は、 縁 覚 と の か か わ り で、 十 二 因 縁 を と ら え て お り、 こ れ も 大 師 独 自 の 位 置 づ け で あ る。 こ れ ま で は 以 上 の こ と を 述 べ た の で あ る。 以 上 述 べ た 内 容 は、 大 師 の 著 述 の 中 で、 因 果 の 問 題 に お い て 特 に ﹁ 因 の 立 場 ﹂ に つ い て 明 ら か に し た も の で あ る。 さ て、 そ れ で は ﹁ 因 ﹂ と ﹁ 果 ﹂ の 関 係 は、 具 体 的 に ど の よ う に な っ て い る の で あ ろ う か。 大 師 は こ の 問 題 に つ い て も 端 的 に 説 か れ て い る。 次 に こ の 問 題 に 触 れ て い こ う。 < 例 26 > 驚 一二 道 於 弾 指 一畳 二 無 爲 於 未 極 一。 等 空 之 心 於 レ 是 始 起。 寂 滅 之 果 果 還 爲 レ 因。 是 因 是 心 望 二前 顯 教 一極 果。 於 二後 秘 心 一初 心。 初 螢 心 時 便 成 二 正 畳 嚇宜 二 其 然 一也。 初 心 之 佛 其 徳 不 思 議。 萬 徳 始 顯 一 心 梢、 現。 諮 二 此 心 一時 知 三 二 種 世 間 即 我 身 一。 畳 二 ( 32) 十 箇 量 等 亦 我 心 一。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ ) < 例 27 > 第 四 唯 薙 已 後 名 レ得 二聖 果 一。 出 世 心 中 唯 薙 抜 業 是 小 乗 教。 他 縁 以 後 大 乗 心。 大 乗 前 二 菩 薩 乗 後 二 佛 乗。 如 レ 此 乗 乗 自 乗 得 二 佛 名 一望 レ 後 作 二 戯 論 一。 前 前 皆 不 住 故 名 一一無 自 性 一。 後 後 悉 不 レ果 故 皆 是 因 轄 轄 相 望 各 各 深 妙。 所 以 深 妙。 眞 言 密 教 法 身 説 ( 33) 者。 此 一 句 顯 二 眞 言 教 主 一。 極 無 自 性 以 外 七 教 皆 是 他 受 用 鷹 化 佛 所 説。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ ) < 例 26 > ︿ 例 27 V は、 大 師 の ﹁ 因 ﹂ と ﹁ 果 ﹂ の 関 係 の 基 本 的 立 場 を 示 し て い る。 < 例 26 > は、 十 住 心 体 系 の 第 九 極 無 自 性 心 (華 厳 宗 ) の と こ ろ。 文 中 ﹁ 寂 滅 の 因 果 還 っ て 因 と 為 る ﹂ と は、 [第 九 住 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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-15-密 教 文 化 心 は ] 第 八 如 実 一 道 心 か ら 進 転 し て 来 た 果 位 で あ る け れ ど も、 こ れ を 第 十 住 心 に 比 す れ ば、 こ の 果 位 が か え っ て 因 位 と い う こ と に な る、 の 意。 つ づ い て ﹁ 是 の 因 是 の 心、 前 の 顕 教 に 望 む れ ば 極 果 な り。 後 の 秘 心 に 於 て は 初 心 な り ﹂ と は、 そ の 因 位 と い っ て も、 こ れ を そ れ に さ き だ つ 住 心 に 対 す る と、 極 果 と い う こ と に な り、 後 の 秘 密 荘 厳 心 に 比 す る と 初 心 と い う こ と に な る、 の 意。 こ こ で は、 因 果 と は、 因 ← 果 ( 因 ) ← 果 ( 因 ) ← 果 ( 因 ) ← 果 云 云 と い う よ う に、 さ き だ つ 住 心 に 対 す れ ば 果 で あ る が、 こ の 果 は 後 の 住 心 に 比 す る と ま た 因 と い え る。 だ か ら 第 九 極 無 自 性 心 ( 華 厳 宗 ) で 使 わ れ て い る ﹁ 果 ﹂ と い う 言 葉 も、 第 十 住 心 か ら す れ ば、 初 心 (因 ) と い う 意 味 と な る の で あ る。 つ ま り 果 と は 仏 教 で い う 究 極 の 覚 り ( 仏 果 ) そ の も の を さ す と は 結 論 づ け ら れ な い。 因 と 果 の 関 係 は 一 回 だ け の 関 係 で は な く、 因 果 の 対 立 を と お し て、 そ の 矛 盾 を 一 層 高 い 境 地 に 進 め る と い う 運 動 ・ 発 展 の 姿 に お い て 因 果 を と ら え て い く、 つ ま り 弁 証 法 的 関 係 に お い て と ら え て い る こ と が 理 解 で き る の で あ る。 < 例 27 > も < 例 26 > と 同 じ 考 え 方 で あ る。 文 中 ﹁ 第 四 の 唯 纏 以 後 は 聖 果 を 得 と 名 つ く。 出 世 の 心 の 中 に 唯 纏 抜 業 は 是 れ 小 乗 教、 他 縁 以 後 は 大 乗 の 心 な り。 大 乗 に お い て 前 の 二 は 菩 薩 乗、 後 の 二 は 仏 乗 な り。 此 の 如 く の 乗 乗、 自 乗 に な 仏 の 名 を 得 れ ど も、 後 に 望 む れ ば 戯 論 と 作 る。 前 前 は 皆 不 住 な り、 故 に 無 自 性 と 名 つ く。 後 後 は 悉 く 果 に あ ら ず。 故 こ の ゆ え に 皆 是 因 と い う。 転 転 相 望 す る に 各 各 に 深 妙 な り。 所 以 に 深 妙 と い う。 ﹂ の 意 味 内 容 は、 < 例 26 > と 同 じ 内 容 で あ る。 ﹁ 各 々 の 住 心 は、 そ れ ぞ れ 仏 の 名 を 立 て て い る け れ ど も、 後 々 の 住 心 に 望 む れ ば、 い ず れ も 戯 論 と な る。 前 々 の 住 心 は、 い ず れ も そ の 当 位 に と ど ま ら ず し て、 後 々 の 住 心 に 移 る が ゆ え に 無 自 性 と 名 づ け る の で あ る。 後 々 の 住 心 と い っ て も、 [ こ れ ら 前 九 種 住 心 は、 こ れ を 第 十 住 心 に 対 す れ ば ] い ず れ も 果 で は な い。 み な 因 と な る。 転 々 相 望 し て 前 々 の 住 心 と 対 比 す る と、 後 々 の 住 心 は 各 々 に み な 妙 な る が ゆ え に < 深 妙 > と い う の で あ る ﹂ の 意。 こ れ も 因 果 関 係 を 完

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全 に 弁 証 法 的 因 果 と し て と ら え て い る。 そ の 前 後 の 関 係 は 次 の 如 く な る。 第 四 第 五 小 乗 第 六 第 七 菩 薩 乗 第 八 第 九 仏 乗 大 乗 大 師 の 因 果 論 は、 右 の 如 く 十 住 心 論 体 系 の 中 で、 弁 証 法 的 に 展 開 さ れ て い る こ と が 明 ら か と な っ た。 各 住 心 の 関 係 を 検 討 す る と、 住 心 の 展 開 は、 十 住 心 各 々 の と こ ろ で 緻 密 に 位 置 づ け ら れ 検 討 さ れ て い る。 以 下 こ の こ と に 触 れ て い こ う。 < 例 28 > 問 此 住 心 亦 依 二何 経 一読。 答 大 日 経。 彼 経 何 読。 経 云。 愚 童 凡 夫 或 時 有 一二 法 想 生 一。 所 レ 謂 持 齋。 彼 思 二惟 此 少 分 一螢 二起 激 喜 一激 敷 修 習。 秘 密 主。 是 初 種 子 善 業 蛮 生。 復 以 レ 此 爲 レ 因 於 二六 齋 日 一施 二 與 父 母 男 女 親 戚 一是 第 二 牙 種。 復 以 二 此 施 一授 二 與 非 親 識 者 一是 第 三 庖 種。 復 以 二 此 施 一與 ご 器 量 高 徳 者 一是 第 四 葉 種。 復 以 二 此 施 一敷 喜 授 二與 伎 樂 人 等 一及 献 二尊 宿 一是 第 五 敷 ( 34) 華。 復 以 二 此 施 一螢 二親 愛 心 一而 供 二養 之 一是 第 六 成 果。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鋪 ﹄ ) < 例 28 > は、 第 二 愚 童 持 斎 心 で あ る。 こ こ で は 愚 童 凡 夫 も 内 外 の 因 縁 に よ っ て 善 心 が 起 こ る こ と を ﹃ 大 日 経 ﹄ 住 心 品 に よ っ て 説 い て い る。 < 例 28 > は 愚 童 持 斎 心 の 因 果 の 具 体 例 で あ る の で こ こ に 示 す。 ﹃ 大 日 経 ﹄ に は 次 に 示 す 六 種 を 明 し て い る。 ﹁ 愚 童 凡 夫 も 内 外 の 因 縁 に よ っ て 善 心 を 誘 発 さ れ る 時 が あ る。 そ の 時 自 ら の 食 す べ き 量 を 節 約 し、 あ 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 る い は 一 日 不 食 の 戒 を 持 つ よ う に な る。 こ れ が 第 一 の ﹁ 持 斎 心 ﹂ で あ る。 こ の 善 行 を し た こ と に 喜 び の 心 を お こ し、 そ の 貯 え た る 食 物 を 他 に 施 す 心 が 生 じ る。 こ の 善 心 が 因 と な っ て 施 し の 心 が 展 開 し て い き、 父 母 や 親 戚 に も の を 与 え よ う と す る。 こ れ が 第 二 の ﹁ 芽 種 心 ﹂ で あ る。 ま た こ の 施 し が 進 ん で、 親 戚 以 外 の 人 に も 与 え よ う と す る。 こ れ が 第 三 の ﹁ 萢 種 心 ﹂ で あ る。 ま た こ の 施 し を さ ら に 進 め て、 器 量 の 勝 れ た も の や 徳 行 者 に 与 え よ う と す る。 こ れ が 第 四 の ﹁ 葉 種 心 ﹂ で あ る。 ま た こ の 施 し を も っ て 心 に 歓 喜 し て、 伎 楽 人 の よ う に 他 を よ ろ こ ば し て、 人 々 の 模 範 と な る 尊 宿 に 与 え よ う と す る。 こ れ が 第 五 の ﹁ 敷 華 心 ﹂ で あ る。 ま た こ の 施 を も っ て 愛 の 心 を お こ し、 善 知 識 に 供 養 す る よ う に な る。 こ れ が 第 六 の ﹁ 成 果 心 ﹂ で あ る。 ﹂ と。 < 例 29 > 徒 勢 二 解 脱 之 智 一未 レ 知 二 浬 桀 之 因 一。 是 故 大 寛 世 尊 読 二此 羊 車 一。 抜 二出 三 途 之 極 苦 一解 二腕 八 苦 之 業 縛 一。 其 爲 レ 教 也。 三 蔵 廣 ( 35) 張 四 諦 普 観。 三 十 七 品 爲 二 道 助 一四 向 四 果 師 人 位。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ ) < 例 29 > は、 第 四 唯 纏 無 我 心 の と こ ろ で あ り、 声 聞 乗 に あ た る。 内 容 は 次 の 如 し。 ﹁ 声 聞 は、 い た ず ら に 解 脱 を 求 め る 邪 智 を 労 す る の み で、 浬 葉 に 到 る べ き 真 実 の 因 行 を 知 ら な い。 だ か ら 大 覚 世 尊 は 彼 ら の 迷 妄 を あ わ れ み、 か の 羊 車 に 比 す べ き 声 聞 乗 を 説 い て、 地 獄 ・ 餓 鬼 ・ 畜 生 の 三 途 の 苦 し み を 抜 き、 八 苦 の 業 の 縛 を 解 脱 せ し め る の で あ る ﹂ と あ る。 そ の 教 え と し て は、 具 体 的 に 三 蔵 を 宣 揚 す る こ と と、 四 諦 を 観 ず る こ と を 明 し て い る。 四 家 大 乗 と 因 果 因 と 果 の 関 係 は、 ﹃ 釈 論 ﹄ が 基 本 資 料 と な っ て お り、 大 師 は こ の ﹃ 釈 論 ﹄ を 基 本 と し な が ら、 独 自 の 思 考 を 展 開 し て い る。 大 師 の 因 果 の 内 容 は、 求 道 心 が 順 次 向 上 発 展 し て い く 過 程 に お い て 因 果 の 関 係 を 説 い て い る。 つ ま り 十 住 心 大

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系 の 中 で こ の 問 題 を 論 じ て い る の で あ る。 以 上 に つ い て は、 こ こ ま で に 述 べ て き た。 次 に こ の 問 題 は、 大 師 当 時 の 仏 教 学 派 に お い て は ど う で あ る の か。 つ ま り 大 師 が い う 密 教 と 顕 教 と の 問 で は、 こ の 問 題 は い か に 処 理 さ れ て い る の か に つ い て 述 べ た い。 こ れ に つ い て は 大 師 は ﹃ 辮 顕 密 二 教 論﹄ の 中 で 深 く 考 察 さ れ て い る。 ﹃ 辮 顕 密 二 教 論﹄ 巻 上 に は、 ﹃ 釈 論﹄ 第 五 に よ っ て 顕 密 を 述 べ る 箇 所 が あ る が、 そ の 中 で ﹁ 五 重 問 答 釈﹂ と い う 所 は ( 36) 重 要 で あ る。 こ こ で は 問 題 を 明 ・ 無 明 と し て 決 着 し、 四 家 大 乗 の 教 え は 無 明 の 分 位 で あ っ て 明 の 分 位 で な い こ と を 明 し て い る。 順 次 こ れ を 示 す。 第 一 重 は、 一 切 の 悪 を 断 つ こ と、 つ ま り 断 悪 修 善 の 内 容 を 問 題 に し て い る。 こ の 断 悪 修 善 は 本 覚 に 対 す る 始 覚 で あ る か ら、 無 明 の 分 位 で あ る と す る の で あ る。 第 一 重 は 法 相 宗 に あ た る。 第 二 重 は、 断 悪 修 善 の 境 地 を こ え た 清 浄 本 覚 の 境 地 を 問 題 と し て い る。 こ の 清 浄 本 覚 の 立 場 は、 修 行 に よ っ て 得 ら れ る も の で は な く、 人 間 が 本 来 先 天 的 に も っ て い る も の で あ る。 し か し こ の 本 覚 も ﹃ 釈 論 ﹄ の 論 主 龍 猛 菩 薩 か ら す れ ば、 や は り 無 明 の 分 位 で あ る と す る の で あ る。 こ こ は 三 論 宗 に あ た る。 第 三 重 は、 一 法 界 心 す な わ ち 真 如 法 界 を 問 題 と し て い る。 こ の 真 如 は、 生 滅 に 対 す る 真 如 で あ る と す る が、 こ の 真 如 は 因 分 よ り 見 た 立 場 で あ る か ら 無 明 の 分 位 で あ る と し て い る。 こ こ は 天 台 宗 に あ た る。 第 四 重 は、 三 自 一 心 摩 詞 術 い わ ゆ る 理 事 無 擬 の 縁 起 の 法 を 問 題 と し て い る が、 こ の 境 地 も 無 明 の 分 位 で あ る と 釈 し て い る。 こ こ は 華 厳 宗 に あ て て い る。 第 五 重 は、 問 い だ け で 答 え が な い。 ﹁ 不 二 摩 詞 術 の 法 は、 唯 是 れ 不 二 摩 詞 術 の 法 な り。 是 の 如 く の 不 二 摩 詞 術 の 法 は、 明 と や せ ん 無 明 か ﹂ と あ る だ け で あ る。 こ れ は 不 二 摩 詞 術 と は、 差 別 の 相 が な く な っ た 立 場 で あ り、 機 根 も 教 説 も 共 に 離 れ た 秘 密 の 法 門 で あ る。 つ ま り 第 五 重 は す で に 問 の 中 に 答 を 含 ん で い る と 考 え る べ き で あ る。 以 上 の 五 重 問 答 釈 に つ づ い て ﹃ 釈 論 ﹄ 第 一 を 出 し て 明 ・ 無 明 の 問 題 は 因 果 の 問 題 と し て、 明 確 な 答 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 を 出 し て い く の で あ る。 ﹃ 釈 論 ﹄ 第 一 の 原 文 と 解 説 は ︿ 例 7 > で す で に 説 き 終 え た。 つ づ い て ﹃ 釈 論 ﹄ 第 十 を 引 用 し て い る。 こ こ で は ﹃ 起 信 論 ﹄ の 最 後 に 説 い て あ る ﹁ 諸 仏 甚 深 広 大 義 我 今 随 分 総 持 説 廻 此 功 徳 如 法 性 普 利 一 切 衆 生 界 ﹂ と い う 流 通 分 一 順 四 句 の 中 の 最 初 の 一 句 の 釈 文 で あ る。 こ の 引 用 に 対 す る 解 説 は 次 の 文 が 適 切 で あ る の で、 そ の 文 を 借 用 さ せ て い た だ く。 ﹁ 此 の 論 文 の 引 謹 の 要 旨 は、 因 果 得 不 の こ と は、 繹 論 第 一 巻 の 引 謹 文 に 明 と な っ た け れ ど も、 未 だ 此 の 因 分 の 境 界 が 顯 教 に 當 る こ と が 明 で な い か ら、 今 此 の 文 を 引 い て、 顯 教 の 中 最 も 勝 れ た 華 嚴 教 主 す ら 猶 因 分 の 佛 で あ る こ と を 顯 わ し、 総 じ て 顯 教 が 繹 論 所 説 の 因 果 二 分 の 中 の 因 分 に 當 る ( 37) こ と を 立 護 せ ら れ た も の で あ る ﹂ と あ る。 つ ま り 大 師 は、 ﹁ 諸 仏 ﹂ の 二 字 は、 不 二 摩 調 術 の 法 に 限 る と し、 華 厳 教 主 す ら ま だ 因 分 の 仏 で あ る こ と を 明 し た の で あ る。 つ づ い て 四 家 大 乗 ( 顕 教 ) が 因 分 の 立 場 で あ り、 果 分 不 説 で あ る こ と を 次 の 如 く 論 証 し て い く。 初 め に 華 厳 宗。 こ こ で は ﹃ 華 厳 五 教 章 ﹄ を 引 き 次 の 如 く 述 べ て い る。 華 厳 一 乗 の 教 義 を 明 す と 十 門 が あ る。(1) 建 立 如 来、(2) 教 義 摂 益、(3) 叙 古 今 立 教、(4) 分 教 開 示、(5) 乗 教 開 合、(6) 教 起 前 後、(7) 決 択 其 意、(8) 施 設 異 相、(9) 義 理 分 斉、 (10) 所 詮 差 別 が そ れ で あ る。 今 こ こ で は(1) と(9) を 問 題 と し て い る。(1) の 内 容 を 図 示 す れ ば 次 の 如 く な る。 仏 教 示 乗 教 一 乗 教 (1) 三 乗 教 と 同 時 に 説 か れ た 一 乗 教 ( 存 三 の 一 乗 ) (2) 三 乗 教 と 相 待 し て 説 か れ た 一 乗 教 ( 遮 三 の 一 乗 ) (3) 五 教 の 中 に は 円 教 に 当 り、 仏 の 自 覚 内 容 を 直 き に 説 い た 教 (直 顕 の 一 乗 ) 同 教 一 乗 別 教 一 乗 性 海 果 分 縁 起 因 分

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こ こ で は 教 判 と し て の 因 果 二 分 を 明 し て お り、 ﹁ 性 海 果 分 ﹂ の 境 界 は、 仏 自 覚 そ れ 自 体 の 境 界 で あ る の で、 因 分 の 可 説 に 対 し て 不 可 説 で あ る と す る。 こ れ に 対 し ﹁ 縁 起 因 分 ﹂ は、 こ の 境 界 を 知 ら せ る た め に 説 い た 無 擬 哲 学 ( 普 賢 の 境 界 と も い う ) つ ま り 華 厳 の 法 門 で あ る と す る。 つ い で(9) 義 理 分 斉 で は、 そ の 中 を(1) 三 性 同 異 義、(2) 六 義 為 因 縁 起、(3) 十 玄 縁 起 無 擬 法、(4) 六 相 円 融 義 の 四 門 に 分 け て い る。 今 は そ の 中(3) を 問 題 と し、 華 厳 教 理 の 法 界 縁 起 に ま た 因 果 二 分 あ る こ と を 明 し て い る。 そ し て 因 分 可 説、 果 分 不 可 説 の 義 は 華 厳 宗 の 教 理 で あ り、 こ の 可 説 ・ 不 可 説 が、 龍 猛 菩 薩 の ﹃ 釈 論 ﹄ の 因 果 二 分 の 教 義 と 一 致 す る と し て い る。 す な わ ち 大 師 の 喩 釈 に く 例 30 V 喩 日。 十 地 論 及 五 教 性 海 不 可 説 文。 與 二彼 龍 猛 菩 薩 不 二 摩 前 衡 圓 圓 性 海 不 可 説 言 一懸 會。 所 レ 謂 因 分 可 説 者 顯 教 分 齊。 果 性 不 可 説 印 是 密 藏 本 分 也。 何 以 知 レ 然 金 剛 頂 経 分 明 説 故。 有 智 者 審 思 レ 之 ( 38 ) と あ り、 こ の 義 を は っ き り と 明 し て お り、 因 分 可 説 は 顕 教、 果 性 不 可 説 は 密 蔵 と 明 確 に 示 し て い る。 次 に 天 台 宗。 天 台 大 師 の ﹃ 摩 詞 止 観 ﹄ 第 三 を 引 い て、 空 ・ 仮 ・ 中 の 三 諦 を 論 じ て い る。 す な わ ち 空 が そ の ま ま 仮 で あ り、 仮 が そ の ま ま 中 で あ る と い う よ う に、 こ の 三 諦 は 互 い に と け あ っ て い る ( 円 融 ) が 故 に、 人 智 で は 思 議 す る こ と が で き な い。 し か し そ れ を 衆 生 の 縁 に 応 ず る た め に 説 く と、 随 情 説 ( 凡 夫 の た め に 説 い た 教 ) と 随 情 智 説 ( 一 乗 の 人 の た め に 説 い た 教 ) と 随 智 説 ( た だ 仏 の み が 知 っ て い る 教 ) と の 三 つ を 出 な い、 と し て つ づ い て 随 情 の 三 諦 と 随 智 の 三 諦 を 詳 し く 説 明 し て い く。 結 論 と し て は、 大 師 は 喩 釈 に お い て、 < 例 31 > 喩 日。 此 宗 所 観 不 レ 過 三 二 諦 一。 一 念 心 中 師 具 三 二 諦 一。 以 レ 此 爲 レ 妙。 至 レ 如 二彼 百 非 洞 遣 四 句 皆 亡。 唯 佛 與 佛 乃 能 究 蓋 一。 此 宗 他 宗 以 レ 此 爲 レ 極。 此 則 顯 教 關 模。 但 眞 言 蔵 家 以 レ此 爲 二 入 道 初 門 一不 二是 秘 奥 一。 仰 畳 薩 唾 不 レ 可 レ 不 レ 思 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 (39) と あ る。 つ ま り 天 台 宗 の 観 ず る と こ ろ は、 三 諦 の 理 に 過 ぎ な い。 こ の 三 諦 の 理 を 一 念 の 心 中 に 具 有 す る、 そ の 境 地 を 妙 な る も の と い う の で あ る。 こ れ は 天 台 宗 等 の 顕 教 の か な め の 境 地 で あ る。 だ が 大 師 は こ の 立 場 を ﹁ 入 道 の 初 門 ﹂ と す る の で あ る。 き き 次 に 法 相 宗。 唐 の 慈 恩 寺 の 窺 基 法 師 の ﹃ 二 諦 義 章 ﹄ を 出 し て い る。 真 と 俗 と の 二 諦 に そ れ ぞ れ 四 重 が あ る。 世 俗 諦 の 四 名 と は、(1) 世 間 世 俗 諦、(2) 道 理 世 俗 諦、(3) 証 得 世 俗 諦、(4) 勝 義 世 俗 諦 の 四 つ。 勝 義 諦 の 四 名 と は、(1) 世 間 勝 義 諦 (2) 道 理 勝 義 諦、(3) 証 得 勝 義 諦、(4) 勝 義 勝 義 諦 の 四 つ で あ る。 つ い で ﹃ 二 諦 義 章 ﹄ か ら の 引 用 文 を 二 回 出 し て い る が、 二 回 と も 勝 義 勝 義 諦 の 説 明 文 で あ る。 す な わ ち 勝 義 勝 義 諦 を 説 明 し て、 ﹁ そ の 体 が 絶 妙 で あ り あ ら ゆ る 言 説 を 離 れ て い る ﹂ ﹁ す べ て の 法 を 超 え た る も の で あ る ﹂ ﹁ 聖 智 の 内 証 の 境 地 で あ り、 さ き の 四 種 の 世 俗 諦 よ り も 超 過 し て い る ﹂ ま た ﹁ あ ら ゆ る 安 立 を 超 え た も の ﹂ ﹁ あ ら ゆ る 詮 談 の 旨 趣 を 廃 す る 一 真 法 界 を い う ﹂ と し て い る。 つ ま り 勝 義 勝 義 諦 は、 仏 果 で あ っ て、 法 相 宗 は こ れ を 究 寛 と し て い る の で あ る。 大 師 は こ れ を 果 分 不 可 説 と 説 き、 龍 猛 菩 薩 の 因 果 二 分 可 説 ・ 不 可 説 の 教 と 一 致 す る と い う の で あ る。 大 師 の 喩 釈 に、 < 例 32 > 喩 日。 此 章 中 勝 義 勝 義 廣 詮 談 旨 聖 智 内 謹 一 眞 法 界 盤 妙 離 言 等。 如 レ是 紹 離 郎 是 顯 教 分 域。 言 因 位 人 等 四 種 言 語 皆 不 レ能 レ 及。 唯 有 二 自 性 法 身 一以 二如 義 眞 實 言 一能 説 二是 紹 離 境 界 一。 是 名 二 眞 言 秘 教 一。 金 剛 頂 等 経 是 也 ( 40) と あ る は、 そ の こ と で あ る。 次 に 三 論 宗。 ま ず ﹃ 智 度 論 ﹄ 第 五 を 引 い て 八 不 と 無 生 忍 を 説 く。 文 中 に ﹁ 是 の 如 く ら は、 諸 の 戯 論 を 捨 滅 し て、 言 ( 41) 語 道 断 し 深 く 仏 法 に 入 る。 心 通 無 碍 に し て 不 動 不 退 な る を 無 生 忍 と 名 く。 是 れ 助 仏 道 の 初 門 な り ﹂ と あ る。 こ こ で は

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三 輪 の 教 え を ﹁ 助 仏 道 の 初 門 ﹂ と 言 っ て い る。 つ づ い て ﹃ 智 度 論 ﹄ 第 三 十 一 を 引 き、 有 為 の 相 無 為 の 相 を 論 じ て い る。 こ の 有 為 ・ 無 為 が 別 の も の で は な く 一 体 で あ る こ と を 覚 る、 こ の 境 地 を ﹁ 入 仏 法 の 初 門 ﹂ で あ る と し て い る。 つ づ い て ﹃ 般 若 灯 論 ﹄ 釈 観 浬 葉 品 第 二 十 五、 釈 観 邪 見 品 第 二 十 七 を 引 い て い る が、 こ れ ら は 果 分 を 説 い た も の で は な い (果 分 不 可 説 ) こ と を 示 す も の で あ る。 三 論 の 結 論 は、 大 師 の 喩 釈 に、 < 例 33 > 喩 日。 今 依 二斯 文 一。 明 知 中 観 等 息 二 諸 戯 論 一寂 滅 繕 離 以 爲 二 宗 極 一。 如 レ 是 義 意 皆 是 遮 情 之 門。 不 二是 表 徳 之 謂 一。 論 主 自 断 二 入 道 初 門 一。 有 レ 意 智 者 留 レ 心 九 二 思 之 一 ( 42) と あ る。 す な わ ち、 三 論 は 遮 情 の 法 門 ( 顕 教 ) で あ り、 表 徳 の 法 門 で は な い。 ﹃ 大 智 度 論 ﹄ の 論 主 龍 猛 菩 薩 自 ら も ﹁ 入 道 の 初 門 ﹂ と 断 定 し て い る の で あ る。 そ し て こ こ が ﹃ 釈 論 ﹄ の 因 果 二 分 の 判 教 と 一 致 す る と 説 く の で あ る。 以 上 四 家 大 乗 を 見 て き た。 い ず れ の 宗 の 教 義 も ﹃ 釈 論 ﹄ の 因 果 二 分 と 一 致 し、 果 分 不 説 を 説 く の が 四 家 大 乗 ( 顕 教 ) で あ る と の 結 論 と な っ て い る。 次 に ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ で は つ づ い て 果 分 可 説 を 論 証 し て い く。 ま ず ﹃ 大 智 度 論 ﹄ 第 三 十 八 を 引 く が、 大 師 は 喩 釈 文 の 中 で、 四 家 大 乗 の 果 性 不 可 説 は、 密 教 の 俗 諦 で あ る と し て い る。 つ い で ﹃ 釈 論 ﹄ 第 二 を 引 い て、 五 種 の 言 説 の な か の 第 五 番 目 の ﹁ 如 義 の 語 ﹂ と 十 種 の 心 量 の な か の 第 十 番 目 の ﹁ 一 々 識 心 ﹂ は 真 実 の 理 を 知 る こ と が で き る。 こ の こ と は ﹃ 釈 論 ﹄ の 中 で 説 く と こ ろ で あ る、 と し て い る の で あ る。 以 上 は、 四 家 大 乗 を 因 位 と し て み て い く 立 場 と、 そ の 因 位 と 果 位 の 問 題 を ﹃ 釈 論 ﹄ を と お し て 解 説 し て い る 大 師 の 解 釈 を み た の で あ る。 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 第 九 極 無 自 性 心 の 立 場 さ て、 大 師 の 因 果 論 は、 弁 証 法 的 展 開 に よ っ て 成 り 立 っ て い る こ と を 明 ら か に し た。 十 住 心 体 系 の 各 住 心 の 位 置 づ け は、 ま さ に こ の 方 法 で あ る と い え る。 十 住 心 体 系 を 密 教 の 立 場 か ら み て 重 視 す べ き ポ イ ン ト の 一 つ は、 顕 教 の 究 極 ヅ 的 立 場 で あ る 第 九 住 心 の 位 置 づ け と そ の 内 容 で あ る。 大 師 が 考 え る 第 九 住 心 の 最 も 基 本 的 立 場 を 示 す と、 ﹁ 云 二 九 種 住 ト ノ ハ ス ノ ノ ノ ハ ス ト ノ ニ ヅ ト レ ( 43) 心 無 自 性。 韓 深 韓 妙 皆 是 因 一 者。 此 二 句 遮 三 前 所 説 九 種 心 皆 非 二 至 極 佛 果 幻 言 二 九 種 一 者 異 生 抵 羊 心 乃 至 極 無 自 性 心 是 也 ﹂ の 文 で あ る。 第 一 住 心 か ら 第 九 住 心 ま で の 九 種 の 住 心 は、 各 々 の 位 に と ど ま ら ず し て み な 因 で あ る、 と は 従 来 説 い て き た 九 種 の 住 心 は み な 至 極 の 仏 果 で な い こ と を 言 っ て い る。 こ こ で い う 至 極 の 仏 果 と は、 第 十 秘 密 荘 厳 住 心 の こ と で あ る。 顕 教 の 究 極 的 立 場 と し て の 第 九 極 無 自 性 心 の 位 置 づ け は 重 要 で あ る。 大 師 は 十 住 心 体 系 に お い て、 因 果 の 関 係 で、 第 九 住 心 を と り わ け 多 く 論 じ ら れ て い る の は、 や は り そ の 重 要 性 ( 顕 教 の 最 極 と し て の 住 心 ) か ら で あ ろ う。 以 下 こ の 点 を 検 討 し て い く。 < 例 30 > 纒 云。 離 二 有 爲 無 爲 界 一離 二 諸 造 作 一離 二 眼 耳 鼻 舌 身 意 一極 無 自 性 心 生。 等 虚 空 無 邊 一 切 佛 法 依 レ 此 相 績 生。 秘 密 主 如 レ 是 初 心 ( 44) 佛 論 二 成 佛 因 一。 於 二業 煩 燭 暗解 腕 而 業 煩 悩 具 依。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鋪 ﹄ ) < 例 31 > 又 中 巻 十 玄 縁 起 無 尋 法 門 義 云。 夫 法 界 縁 起 乃 自 在 無 窮。 今 以 二 要 門 一略 摂 爲 レ 二。 一 者 明 二究 寛 果 謹 義 哺。 即 十 佛 自 境 界 也。 二 者 随 レ 縁 約 レ 因 辮 二教 義 一。 印 普 賢 境 界 也。 初 義 者 圓 融 自 在 一 朗 二 切 一 切 朗 二。 不 レ 可 レ読 二其 状 相 一耳。 如 二華 嚴 経 中 究 寛 ( 45) 果 分 國 土 海 及 十 佛 自 髄 融 義 等 一者 印 其 事 也。 ( ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ )

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< 例 32 > 途 使 就 二畳 母 一以 螢 心 錦 二普 賢 一而 謹 果。 三 生 練 行 百 城 訪 レ友 一 行 行 二 一 切 二 断 断 二 一 切 一。 雛 レ 云 一一初 心 成 レ 畳 十 信 道 圓 一。 因 ( 46) 果 不 レ 異 経 二 五 位 一而 馳 レ車。 相 性 不 レ 殊 渾 二十 身 一而 同 蹄。 斯 則 華 嚴 三 昧 之 大 意。 ( ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ ) < 例 33 > 初 建 者 所 レ 謂 建 立 如 來 三 摩 地 門 是。 色 不 異 空 至 二 亦 復 如 是 一是 也。 建 立 如 來 印 普 賢 菩 薩 秘 號。 普 賢 圓 因 以 二 圓 融 三 法 一爲 ( 47) レ 宗。 故 以 名 レ 之。 又 是 一 切 如 來 菩 提 心 行 願 之 身。 ( ﹃ 般 若 心 経 秘 鍵 ﹄ ) < 例 34 > 又 云。 問 上 言 三 果 分 離 レ 縁 不 可 説 相 但 論 二 因 分 一者。 何 故 十 信 終 心 師 辮 二 作 佛 得 果 法 一也。 答 今 言 二 作 佛 一者。 但 初 從 二 見 聞 剛已 去。 乃 至 第 二 生 即 成 二 解 行 一。 解 行 終 心 因 位 窮 満 者。 於 二 第 三 生 一印 得 二彼 究 寛 自 在 圓 融 果 一 。 由 二 此 因 髄 依 レ 果 成 一故。 但 ( 48 ) 因 位 満 者 勝 進 印 波 二於 果 海 中 一。 爲 二 是 謹 境 界 一故 不 可 説 耳。 ( ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ ) < 例 30 V は、 ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ 中 ﹃ 大 日 経 ﹄ か ら の 引 用 文 で あ る。 第 九 極 無 自 性 心 と は、 ﹁ 有 為 無 為 の 対 立 を 離 れ た も の で あ る。 ま た 造 る も の 作 ら れ る も の も な い 立 場 で あ る。 眼 耳 鼻 舌 身 意 を も 離 れ た も の で あ る ﹂ と あ る。 文 中 ﹁ 秘 密 主 ノ ノ ヲ ハ モ フ ノ ト 如 レ 是 初 心 佛 説 二 成 佛 因 ご と は、 ﹁ 秘 密 主 よ、 か く の 如 く に 初 心 [ の 仏 た る 極 無 自 性 心 ] を ば、 秘 密 の 成 仏 の 因 で あ る と 仏 が 説 か れ て い る ﹂ と あ り、 第 十 住 心 に 対 し て は、 第 九 住 心 は 初 心 ( 因 ) で あ る こ と を 説 い て い る。 < 例 31 > は、 ﹃ 辮 顕 密 二 教 論 ﹄ 中、 ﹃ 華 厳 五 教 章 ﹄ か ら の 引 用 文 で あ る。 こ の 引 用 文 は、 法 界 縁 起 を 明 す に 当 っ て、 こ れ に 因 果 二 分 が あ り、 そ の 内 因 分 は 説 く こ と が で き る が、 果 分 は 説 く こ と が で き な い こ と を 述 べ て い る。 す な わ ち 盧 舎 那 仏 の 自 ら 体 験 せ る 境 界 の 暴 証 の 義 は 説 く こ と が で き な い。 こ れ に 対 し、 機 縁 に し た が い 因 位 に 関 連 し て 教 義 を 説 い た も の、 す な わ ち 華 厳 一 乗 の 法 を 実 修 す る 普 賢 菩 薩 の 境 界 は 説 く こ と が で き る、 と あ る。 ン ノ テ ニ シ メ ニ ス < 例 32 > は、 ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ の 文 で あ る。 文 中 ﹁ 遂 使 就 二 畳 母 一 以 螢 心 蹄 二 普 賢 一而 謹 果。 ﹂ と あ る よ う に、 善 財 童 子 が 百 城 を 巡 り て 善 智 識 を 訪 ね た こ と を 説 く。 つ ま り 善 財 童 子 は 初 め 文 殊 菩 薩 に つ い て 発 心 し、 後 に 普 賢 に 帰 依 し て 仏 果 を 身 に つ け た こ と を 説 い て い る。 そ の 普 賢 の 境 界 と は、 華 厳 一 乗 の 法 の こ と で あ る。 弘 法 大 師 教 学 に お け る 因 果 論

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密 教 文 化 < 例 33 > は、﹃ 般 若 心 経 秘 鍵﹄ か ら の 引 用 文 で あ る。 普 賢 菩 薩 は、 あ ら ゆ る 因 行 を 円 満 し て い る 仏 で あ る。 そ の 因 行 は、 事 々 と 理 々 と 事 理 と の 三 無 擬 の 円 融 の 法 を も っ て 宗 要 と し て い る。 こ の 因 行 を ま た 円 因 と 名 づ け る の で あ る、 と あ る。 つ ま り 第 九 住 心 華 厳 教 学 が 普 賢 の 境 界 で あ る こ と を 説 い て い る。 < 例 34 > は、﹃ 辮 顕 密 二 教 論﹄ の 文 中 に み ら れ る 問 答 文 で あ る。 問 は、 果 分 は 縁 を 離 れ た と こ ろ の 境 界 で あ り 不 可 説 の 相 で あ る。 た だ 因 分 の み は こ れ を 論 ず る こ と が で き る と い う。 も し そ う で あ る な ら ば、 何 故 に 十 信 位 の 終 心 に 作 仏 し て 果 を 得 る 法 を 説 く の か、 と あ る。 答 え の 内 容 は、 因 と 果 と は 一 体 の も の で あ る か ら、 因 位 に 作 仏 の 果 を 説 く こ と ス ル メ チ ス ノ ニ ル カ レ は、 こ の 区 体 の 完 成 が 果 体 の 働 き か け に よ っ て 成 就 す る か ら で あ る。 文 中 に ﹁ 因 位 満 者 勝 進 印 没 二 於 果 海 中 一。 為 二 是 ノ ニ ナ ル ノ ミ 謹 境 界 一故 不 可 説 耳 ﹂ と あ る。 因 位 を 成 就 し た も の は、 勝 進 し て 果 海 の 中 に 没 入 す る こ と に な る。 こ の 没 入 す る ま で の 因 位 の 過 程 は 説 く こ と が で き る が、 没 入 し て し ま え ば、 そ れ は 証 の 境 界 で あ る か ら、 こ れ を 説 く こ と は で き な い、 の 意 味 で あ る。 以 上 第 九 住 心 の 位 置 と そ の 意 味 内 容 を 説 明 し た。 こ れ に よ っ て 第 九 住 心 の 因 果 と は、 先 の 住 心 の 果 で あ る と 共 に、 第 十 住 心 の 因 と な る こ と が 理 解 で き た。 こ の 第 九 住 心 の 境 界 と は、 普 賢 の 境 界 で あ る と い う こ と に な る の で あ る。 因 果 論 の 究 極 先 に、 因 と 果 と の 関 係 は、 十 住 心 体 系 の 中 で 順 次 弁 証 法 的 に 展 開 さ れ て い る こ と を 明 ら か に し た。 大 師 は、 第 一 住 心 か ら 第 九 住 心 に お い て、 特 に 第 一 住 心 か ら 順 次 の ぼ り つ め て き た 第 九 極 無 自 性 心 を、 顕 教 の 究 極 の 教 え と し て 重 要 視 し て い る。 こ の 点 因 果 の 問 題 に お い て は、 特 に 第 九 住 心 を 問 題 と し、 重 点 的 に 論 じ て い る こ と も す で に 述 べ た。

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