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日中の幼稚園における教師の教育目標の捉え方に関する比較研究

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(1)

日中の幼稚園における教師の

教育 目標 の捉 え方 に関す る比較研究

一― 実践事例の検討を通 して一一

二重大学教育学研究科 学 校教育専攻 楊 静

2 0 1 0 年 2 月 1 2 日

日中の幼稚園における教師の

教育 目標 の捉 え方に関す る比較研究

実践事例の検討 を通 して

三重大学教育学研究科 学校教育専攻 楊 静

2010

2

12

日中の幼稚園における教師の

教育 目標 の捉 え方に関す る比較研究

実践事例の検討 を通 して

三重大学教育学研究科 学校教育専攻 楊 静

2010

2

12

(2)

目次

序章

閉居 の所在 研 究 目的 方法

● ●●●●●●

●●

● ●●●●●●

● ●●●●●●

第‑章 日中両国にお ける幼稚 園教育 目標 第‑飾 日中の幼稚園教育の概観

第二飾 日中の幼稚園教育 目標 の改訂 につ いて 第‑項 日本幼稚 園教育 目標 の改訂 について 第二項 中国幼稚園教 育 目標 の改訂 について

第三節 日中両国 にお ける現行幼稚園教育 目標 の共通点

・・P14

・・・・・・・Pl

●●

●●●●

●●●●

●●

●●●●●●

・・・P2

・・・P2

・・

P5‑19

・・・

P5

・・・・・・・・

P6

●●●●●●●

●●●●●●●

第二章 日本

幼稚 園 と中国

HS

幼稚園の教育実践分析 を通 して 第‑節 日本M F幼稚園の教育実践 の分析

第‑項 日本M F幼稚 園の紹介

第二項 日本

M

F幼稚 園での観 察エ ピソー ド記録及び分析 第二飾 中国

HS

幼稚 園の教育実践 の分析

第一項 中国

HS

幼稚 園の紹介

・・

P6

・・

P8

・・・・・

Plo

・・・

P2060

・・・・・・・・・

P20

●●●●●●●

●●●●●●

・・

P20

・・

P22

・・・

P42

●●●●●●●

第二項 中国

HS

幼稚 園での観察エ ピソー ド記録及 び分析

第三節 日中両国幼稚園教育 にお ける 「自立」 「 主体性

につ いて.

教諭 の解釈 の違 い 第‑項 日本幼稚 園教育 にお ける 「自立」

主体性」につ いて 第二項 中国幼稚 園教育 にお ける 「自立

「 主体性

について

・・

P43

・・・

P44

・・ ・P56

・・・P57

・ ・

P59

・・・・・・P61‑65

・・

・ ・

・・・・

・・・・・・・P61

・・・・・・・・・P65

目次

序章

閉居 の所在 研 究 目的 方法

● ●●●●●●

●●

● ●●●●●●

● ●●●●●●

第‑章 日中両国にお ける幼稚 園教育 目標 第‑飾 日中の幼稚園教育の概観

第二飾 日中の幼稚園教育 目標 の改訂 につ いて 第‑項 日本幼稚 園教育 目標 の改訂 について 第二項 中国幼稚園教 育 目標 の改訂 について

第三節 日中両国 にお ける現行幼稚園教育 目標 の共通点

・・P14

・・・・・・・Pl

●●

●●●●

●●●●

●●

●●●●●●

・・・P2

・・・P2

・・

P5‑19

・・・

P5

・・・・・・・・

P6

●●●●●●●

●●●●●●●

第二章 日本

幼稚 園 と中国

HS

幼稚園の教育実践分析 を通 して 第‑節 日本M F幼稚園の教育実践 の分析

第‑項 日本M F幼稚 園の紹介

第二項 日本

M

F幼稚 園での観 察エ ピソー ド記録及び分析 第二飾 中国

HS

幼稚 園の教育実践 の分析

第一項 中国

HS

幼稚 園の紹介

・・

P6

・・

P8

・・・・・

Plo

・・・

P2060

・・・・・・・・・

P20

●●●●●●●

●●●●●●

・・

P20

・・

P22

・・・

P42

●●●●●●●

第二項 中国

HS

幼稚 園での観察エ ピソー ド記録及 び分析

第三節 日中両国幼稚園教育 にお ける 「自立」 「 主体性

につ いて.

教諭 の解釈 の違 い 第‑項 日本幼稚 園教育 にお ける 「自立」

主体性」につ いて 第二項 中国幼稚 園教育 にお ける 「自立

「 主体性

について

・・

P43

・・・

P44

・・ ・P56

・・・P57

・ ・

P59

・・・・・・P61‑65

・・

・ ・

・・・・

・・・・・・・P61

・・・・・・・・・P65

(3)

序章 問題 の所在

現代 日中両国において幼児教育は重要視 され るよ うになってき ている。横 山

(2009)i

「 幼稚園や保育所 にお ける保育者 との関係 は、乳幼児期の子 ども の精神発達 に大 きな影響 を及ぼす と考 えられ る。( 幼稚園は生涯 における最初の学校教育の場である」と述べている 。 一方、中国では、郵小平は 「 教育要瓜娃娃机起」 とい う言葉 を提言 した. その意味は、赤 ん坊 の ときか ら教育をすべ きである とい うものであ り、特に幼 児教育の重要性 を述べ る言 葉 であった。その背景 として、人間の発達 ・成長の上で幼児期 の重要性 が認識 され るよ う

になってきた ことや一人 っ子政策、社会が豊かになって早期教 育に投資ができるよ うにな った ことが考 え られ る。李季渦等

(2006)ii

は 「 幼児教育の基礎 は子 どもが五歳 になるまで に打 ち立て、五歳までの教育は子 ども全体の教育課程の

90

パーセ ン トを占める」 とし、幼 児教育の重要性 を強調 している。

日本の幼稚園教育 目標 は、

1956年 に6

領域 ( 健康 ・社会 ・自然 ・言語 ・音楽 リズム ・絵 画制作)とされ、

1964

年の改訂 を経て、

1998

年に幼児の発達の側面か らま とめた

5

額域 ( 健 康 ・人間関係 ・環境 ・言葉 ・表現)に編成 された。一方、中国 では、1

953

3月に教育部

によ り 「 幼児園智行規則」が公布 され、幼児教育を体育、言語、認知環 境 、図画 ・手工、

音楽、計算 とい う六つの領域が定め られた。

2001

年教育部は 「 幼児園教育指導綱要 ( 試行)」

を発布 し、素質教育 とい う大 きな 目標 の下で健康、言語、社会 、科学、芸術 とい う五つの 領域の教育 目標が定め られ た。

中国の 「 幼児園教育指導綱要 ( 試行)

と日本の 「 幼稚園教育要領

は、両者 に共通す る 方針 として、 「 子 どもか らの出発」、 「 子 どもの 自立性 を培 う」、 「 子 ども‑の終身教育」の以

ヽ .

上三点があげ られ る。 また、共通す る教育 目標 も多数 を占め、 更に同様 な言葉 を使 い、数 多 く取 り上げ られた 目標 として、 「自立」 と 「 主体性

があることが うかがえる。

しか し、同様 な教育 目標 に して も、国によって、幼稚園によっ て、更に教諭 によって、

教育 目標‑の理解の仕方や、捉 え方が異なると考え られ る。

そ こで、筆者 は教育現場 にい る教諭 は どのよ うに教育 目標 を捉 え、教育 ・保育が行われ てい るかについて、検討す る必要があると考 える。 なぜな らば 、 「 要領 (日本)

と新 「 綱 要」 は教育 目標 であ り、その 目標 が どの よ うに実践 されてい る のか とい うことを、実際に 分析す ることが大切だか らである。子 どもたちは教育 目標 の下 で育て られ る と一般的 に考

え られ るが、実は教諭 の教育 目標 の解釈 ・捉え方の下で育て られ る とも言 える。

序章 問題 の所在

現代 日中両国において幼児教育は重要視 され るよ うになってき ている。横 山

(2009)i

「 幼稚園や保育所 にお ける保育者 との関係 は、乳幼児期の子 ども の精神発達 に大 きな影響 を及ぼす と考 えられ る。( 幼稚園は生涯 における最初の学校教育の場である」と述べている 。 一方、中国では、郵小平は 「 教育要瓜娃娃机起」 とい う言葉 を提言 した. その意味は、赤 ん坊 の ときか ら教育をすべ きである とい うものであ り、特に幼 児教育の重要性 を述べ る言 葉 であった。その背景 として、人間の発達 ・成長の上で幼児期 の重要性 が認識 され るよ う

になってきた ことや一人 っ子政策、社会が豊かになって早期教 育に投資ができるよ うにな った ことが考 え られ る。李季渦等

(2006)ii

は 「 幼児教育の基礎 は子 どもが五歳 になるまで に打 ち立て、五歳までの教育は子 ども全体の教育課程の

90

パーセ ン トを占める」 とし、幼 児教育の重要性 を強調 している。

日本の幼稚園教育 目標 は、

1956年 に6

領域 ( 健康 ・社会 ・自然 ・言語 ・音楽 リズム ・絵 画制作)とされ、

1964

年の改訂 を経て、

1998

年に幼児の発達の側面か らま とめた

5

額域 ( 健 康 ・人間関係 ・環境 ・言葉 ・表現)に編成 された。一方、中国 では、1

953

3月に教育部

によ り 「 幼児園智行規則」が公布 され、幼児教育を体育、言語、認知環 境 、図画 ・手工、

音楽、計算 とい う六つの領域が定め られた。

2001

年教育部は 「 幼児園教育指導綱要 ( 試行)」

を発布 し、素質教育 とい う大 きな 目標 の下で健康、言語、社会 、科学、芸術 とい う五つの 領域の教育 目標が定め られ た。

中国の 「 幼児園教育指導綱要 ( 試行)

と日本の 「 幼稚園教育要領

は、両者 に共通す る 方針 として、 「 子 どもか らの出発」、 「 子 どもの 自立性 を培 う」、 「 子 ども‑の終身教育」の以

ヽ .

上三点があげ られ る。 また、共通す る教育 目標 も多数 を占め、 更に同様 な言葉 を使 い、数 多 く取 り上げ られた 目標 として、 「自立」 と 「 主体性

があることが うかがえる。

しか し、同様 な教育 目標 に して も、国によって、幼稚園によっ て、更に教諭 によって、

教育 目標‑の理解の仕方や、捉 え方が異なると考え られ る。

そ こで、筆者 は教育現場 にい る教諭 は どのよ うに教育 目標 を捉 え、教育 ・保育が行われ てい るかについて、検討す る必要があると考 える。 なぜな らば 、 「 要領 (日本)

と新 「 綱 要」 は教育 目標 であ り、その 目標 が どの よ うに実践 されてい る のか とい うことを、実際に 分析す ることが大切だか らである。子 どもたちは教育 目標 の下 で育て られ る と一般的 に考

え られ るが、実は教諭 の教育 目標 の解釈 ・捉え方の下で育て られ る とも言 える。

(4)

本論文では、筆者が幼稚園での保育観察により、 日中両国の教諭 は どのよ うに教育 目標 を解釈 し、子 どもを教育 ・保育 し、また どのよ うに実践活動 を作 り上げるのかを明 らかに する。

研究 目的

今まで、巨視的に 日中の幼児教育のカ リキュラムや幼稚園にお ける教育実践活動の紹 介 ・研究はあった。木全晃子

(2003)iii

は、中国の 「 幼児園教育指導綱要 ( 試行

)」

と日本 の 「 幼稚園教育指導要領」 を取 り上げ、特に教諭に着 目し、「 幼児の主体的な遊びを中心 と した幼稚園教育の徹底」、「 教諭の多様な役割について共通理解 を図る」 とい う二点に焦点 を絞 り、

1980

年代末以後における日中両国の教育政策の変化を整理 した。また 、曹能秀 無 藤 隆

(2004)iv

は、巨視的に中国の

1980年代か ら現在までの幼児教育 ・就学前教育におけ

る理論 と実践を整理 し、その上で、中国の幼児教育の課題 を述べ ていた。

日中両国において、それぞれの幼稚園 目標について触れている研 究はあるものの、いず れ も両国の実践 を比較 しなが ら実践的な検証を行っているわけで はない。更に、両国の教 育 目標は共通す る部分が多いが、幼稚園現場での捉え方には大き な相違がある。 しか し、

事例を通 して、相違 を解釈す る研究がみ られなかった。

そこで、本研究では、 日本 肝 幼稚園 と天津市 H S 幼稚園の教育実践活動、教諭の教育 ・ 保育する場面を取 り上げ、 日中両国の教育 目標にある 「自立

主体性

について、両国の 教諭はそれぞれ どのよ うに捉 え、 どのよ うに解釈 し、実践 してい るのか、また教諭の 目標 の解釈 と実践の関係 を明 らかにす る上で、両国の教諭の教育 目標 ‑の捉え方の特徴 を明瞭 にする。

方法

観察対象 :

本研究の観察対象は、① 中国天津市

H S

幼稚園 ( 午)中三クラス

(4

歳児 クラス)男児

13

名、女児

15

名計

28

名である。 中三クラスでは教育を担当す る教諭

2

名 ( 午前、午後)、

保育を担当す る教諭 1 名 ( 一 日)計 3 名である。 ( H S 幼稚園についての紹介は第二章です る) 0

② 日本M F 幼稚園

5

歳児 クラスは男児

17

名、女児

18

名で、担任教諭

1

名である。 ( M F 幼 稚園についての紹介は第二章です る) 0

観察期間 と観察時間 :

①天津市

HS

幼稚園 :筆者は

2009

3

2日から6日まで、五 日間に亙って保育観察を

行い、エ ピソー ド記録 をとる。本研究では

3

2日、3日と4日の昼12

時までの教育実践

本論文では、筆者が幼稚園での保育観察により、 日中両国の教諭 は どのよ うに教育 目標 を解釈 し、子 どもを教育 ・保育 し、また どのよ うに実践活動 を作 り上げるのかを明 らかに する。

研究 目的

今まで、巨視的に 日中の幼児教育のカ リキュラムや幼稚園にお ける教育実践活動の紹 介 ・研究はあった。木全晃子

(2003)iii

は、中国の 「 幼児園教育指導綱要 ( 試行

)」

と日本 の 「 幼稚園教育指導要領」 を取 り上げ、特に教諭に着 目し、「 幼児の主体的な遊びを中心 と した幼稚園教育の徹底」、「 教諭の多様な役割について共通理解 を図る」 とい う二点に焦点 を絞 り、

1980

年代末以後における日中両国の教育政策の変化を整理 した。また 、曹能秀 無 藤 隆

(2004)iv

は、巨視的に中国の

1980年代か ら現在までの幼児教育 ・就学前教育におけ

る理論 と実践を整理 し、その上で、中国の幼児教育の課題 を述べ ていた。

日中両国において、それぞれの幼稚園 目標について触れている研 究はあるものの、いず れ も両国の実践 を比較 しなが ら実践的な検証を行っているわけで はない。更に、両国の教 育 目標は共通す る部分が多いが、幼稚園現場での捉え方には大き な相違がある。 しか し、

事例を通 して、相違 を解釈す る研究がみ られなかった。

そこで、本研究では、 日本 肝 幼稚園 と天津市 H S 幼稚園の教育実践活動、教諭の教育 ・ 保育する場面を取 り上げ、 日中両国の教育 目標にある 「自立

主体性

について、両国の 教諭はそれぞれ どのよ うに捉 え、 どのよ うに解釈 し、実践 してい るのか、また教諭の 目標 の解釈 と実践の関係 を明 らかにす る上で、両国の教諭の教育 目標 ‑の捉え方の特徴 を明瞭 にする。

方法

観察対象 :

本研究の観察対象は、① 中国天津市

H S

幼稚園 ( 午)中三クラス

(4

歳児 クラス)男児

13

名、女児

15

名計

28

名である。 中三クラスでは教育を担当す る教諭

2

名 ( 午前、午後)、

保育を担当す る教諭 1 名 ( 一 日)計 3 名である。 ( H S 幼稚園についての紹介は第二章です る) 0

② 日本M F 幼稚園

5

歳児 クラスは男児

17

名、女児

18

名で、担任教諭

1

名である。 ( M F 幼 稚園についての紹介は第二章です る) 0

観察期間 と観察時間 :

①天津市

HS

幼稚園 :筆者は

2009

3

2日から6日まで、五 日間に亙って保育観察を

行い、エ ピソー ド記録 をとる。本研究では

3

2日、3日と4日の昼12

時までの教育実践

(5)

活動を分析の対象 とした。 この二 日間 と

4

日の昼

12

時までを分析対象 としたのは、行われ た教育実践活動を通 して、教育 目標の検討が出来るか らである。 園生活全体の流れをとら えるために、一回につき登園時か ら降園時 ( 午前 7時〜午後 5時)までの約

10

時間の観察 を行った。総観察時間は約

24

時間

30

分である。

② 日本

MF

幼稚園 :筆者は

2007

5

月か ら

3

年にわたる継続的な参与観察を行った。過

1‑ 2

回で保育観察を行い、エ ピソー ド記録をとる。本研究で扱 うエ ピ ソー ド記録は

2008

5

月か ら

2009

2

月までの計十か月間のエ ピソー ド記録である0

観察者の立場 :

筆者は幼稚園の教諭や子 どもとともに し、教諭の通常の教育 ・保 育の邪魔にな らないよ うに心がけた. また、子 どもに話 しかけられた り、求められた り す るほか、筆者か ら積極 的に子 どもに関わることはなかった。従って、本研究における筆 者の立場は、「 観察者 とし ての参加者‑参与観察者

( 佐藤,

1992)V

である。

記録方法 ●

観察記録は、 ビデオ撮影 と筆記記録によって行った。 ビデオ撮影 は主に教育実践活動が どうい うふ うに実施 されたことを中心に行ったが、筆者が興味深 い と感 じた場面 も撮影 し た。撮影 は、 ビデオカメラを固定せずに筆者が手に持 ち、子 ども たちがカメラの存在 を意 識 しないよ うに、部屋の隅な ど子 どもたちか らは一定の距離を保 った位置か ら撮影 を行っ た。 ビデオ撮影 した教育実践活動の映像はすべてを文字化 した。 さらに、実践活動が行わ れた後に担任の教諭 にインタビューを行った。インタビューの内 容 も清書 して記録 に残 し た。本研究は ビデオ記録、筆記記録、教諭‑のインタビューの記 録に基づ く。

分析方法 とその配慮

本研究では、エ ピソー ド記録の中か ら子 どもの変化がみ られ る場 面の事例 を抽出 し分析 の対象 とした。事例を分析す るとい うことは、事例を解釈す ると い うことで もある。本研 究では、事例の解釈が筆者の窓意的な主観性に左右 され ることを 防ぎ、事例の解釈がより 妥当性の高いもの となるよ うに、①客観的かつ詳細な記述、②間 主観性 に基づ く事例の解 釈、③教諭の見解、感 じ方を参照す る、④継続的観察による実践 ‑の理解の深 ま りとい う

4

点に配慮 した。 「 ①客観的かつ詳細な記述」は、事実を客観的かつ詳 しく記述す る ことで 解釈の逸脱 を防 ぐものである。 「 その出来事はこのようであった とい う、『誰が見てもその ように』 とい う水準の客観性」を配慮 した ( 鯨岡,

2005)

v i 。客観的に事実を記述す ること は 「 エ ピソー ド記述の骨格 としては重要なもの

である ( 鯨岡,

2005)vii

「 ②間主観性に 活動を分析の対象 とした。 この二 日間 と

4

日の昼

12

時までを分析対象 としたのは、行われ

た教育実践活動を通 して、教育 目標の検討が出来るか らである。 園生活全体の流れをとら えるために、一回につき登園時か ら降園時 ( 午前 7時〜午後 5時)までの約

10

時間の観察 を行った。総観察時間は約

24

時間

30

分である。

② 日本

MF

幼稚園 :筆者は

2007

5

月か ら

3

年にわたる継続的な参与観察を行った。過

1‑ 2

回で保育観察を行い、エ ピソー ド記録をとる。本研究で扱 うエ ピ ソー ド記録は

2008

5

月か ら

2009

2

月までの計十か月間のエ ピソー ド記録である0

観察者の立場 :

筆者は幼稚園の教諭や子 どもとともに し、教諭の通常の教育 ・保 育の邪魔にな らないよ うに心がけた. また、子 どもに話 しかけられた り、求められた り す るほか、筆者か ら積極 的に子 どもに関わることはなかった。従って、本研究における筆 者の立場は、「 観察者 とし ての参加者‑参与観察者

( 佐藤,

1992)V

である。

記録方法 ●

観察記録は、 ビデオ撮影 と筆記記録によって行った。 ビデオ撮影 は主に教育実践活動が どうい うふ うに実施 されたことを中心に行ったが、筆者が興味深 い と感 じた場面 も撮影 し た。撮影 は、 ビデオカメラを固定せずに筆者が手に持 ち、子 ども たちがカメラの存在 を意 識 しないよ うに、部屋の隅な ど子 どもたちか らは一定の距離を保 った位置か ら撮影 を行っ た。 ビデオ撮影 した教育実践活動の映像はすべてを文字化 した。 さらに、実践活動が行わ れた後に担任の教諭 にインタビューを行った。インタビューの内 容 も清書 して記録 に残 し た。本研究は ビデオ記録、筆記記録、教諭‑のインタビューの記 録に基づ く。

分析方法 とその配慮

本研究では、エ ピソー ド記録の中か ら子 どもの変化がみ られ る場 面の事例 を抽出 し分析 の対象 とした。事例を分析す るとい うことは、事例を解釈す ると い うことで もある。本研 究では、事例の解釈が筆者の窓意的な主観性に左右 され ることを 防ぎ、事例の解釈がより 妥当性の高いもの となるよ うに、①客観的かつ詳細な記述、②間 主観性 に基づ く事例の解 釈、③教諭の見解、感 じ方を参照す る、④継続的観察による実践 ‑の理解の深 ま りとい う

4

点に配慮 した。 「 ①客観的かつ詳細な記述」は、事実を客観的かつ詳 しく記述す る ことで

解釈の逸脱 を防 ぐものである。 「 その出来事はこのようであった とい う、『誰が見てもその

ように』 とい う水準の客観性」を配慮 した ( 鯨岡,

2005)

v i 。客観的に事実を記述す ること

は 「 エ ピソー ド記述の骨格 としては重要なもの

である ( 鯨岡,

2005)vii

「 ②間主観性に

(6)

基づ く事例 の解釈

とはフィール ドにおいて人 と関わる中で 「 他者 の主観 の中の動 きをこ の 「 私」の主観 において掴む こ と」による解釈である ( 鯨岡,

2005)viii

間主観性

とは、

教育 ・保育の現場 において教育者 ・保育者 と子 どもの思いが通 じ合 う様子、 「 相手の主観的 な状態 と関わ り手の主観的 な状態 とのあいだが何 らかのかた ち で繋 が る」 こ とである とい える ( 鯨岡,2005)

ix

。本研 究のエ ピソー ド記録 においては子 どもや教諭 の行動の客 観的な 記述だけでな く、その場 で筆者 が感 じた子 どもの気持 ちや人間 関係 のあ りよ うな どについ て も、観察 され た事実 とは区別 して書 くよ うに した。 こ うした 記述 と事実の詳細 な記述 と を重ね合わせ ることで事例 の解釈 の妥 当性や迫真性 を高めるこ とを 目指 した。 間主観的に 子 どもの行動 を把 握す るこ とは、教諭 が行 っていることで もあ る。従 って、教諭 の子 ども 理解 に触れ ることは、筆者 が見 られ なかった、あるいは、気付 いていない子 どもの姿や子 どもの行動 の意味 を知 り、筆者 の見方や感 じ方 を修正す るこ と に繋 が る。 そ こで、本研究 では、筆者の教諭‑のイ ンタ ビューや話 し合いを通 して、 「 ③教諭 の見解、感 じ方 を参照」

し、筆者 の見解 、感 じ方 と教諭 とのす りあわせ を行 うことに よ って、子 どもの行動の理解 を深 めた。 さらに、観 察 を継続的 に行 うことは、保育実践 の流 れや 、教諭 の見方、子 ども の個性 をある程度理解す ることに繋が ることか ら、「 継続的観察による実践‑の理解 の深 ま

り 」 を事例の解釈 に盛 り込む ことで、解釈の妥 当性 を高める一助 と なるよ うに した。

i

横 山 文樹,幼稚園にお ける子 どもの 「 人 とのかかわ り」に関す る考察 ( 2)子 どもの 「 精 神発達

と保育者 の 「 援助」 の関係 ,昭和女子大学紀要,

2009

ii

李 季凋,幼児教育学基礎 ,北京師範大学出版,

pp.17

,

1998

iii

木全 晃子,「日中の現行幼稚園教育要領における幼児主体の教育‑の 転換 と教師の力量」, お茶の水女子大学大学院人間文化研究科生涯学習論研究室,

2003

i v 曹能秀 無藤隆,

中国にお ける幼児教育の現状 と課題」,お茶 の水女子大学子 ども 発達教 育研究セ ンター,

2004

v

佐藤 郁哉, 「 フィール ドワー ク一書 を持 って街‑出 よ う」,東京新曜社

1992

v

i鯨岡 唆,

ェ ピソー ド記述入 門一実践 と質的研究のために‑』,東京大学出 版会,

pp184

,

2005

v

i

i 鯨 岡 唆,

ェ ピソー ド記述入 門一実践 と質的研究のために‑』,東京大学出 版会,

pp184

,

2005

v

ih

vii

i 鯨岡 唆,

ェ ピソー ド記述入門一実践 と質的研究のために‑』,東京大学出 版会,

pp15‑16,2005

ix i

x 鯨岡 唆,

ェ ピソー ド記述入 門一実践 と質的研究のために‑』,東京大学出 版会,

pplO

O,

2005

基づ く事例 の解釈

とはフィール ドにおいて人 と関わる中で 「 他者 の主観 の中の動 きをこ の 「 私」の主観 において掴む こ と」による解釈である ( 鯨岡,

2005)viii

間主観性

とは、

教育 ・保育の現場 において教育者 ・保育者 と子 どもの思いが通 じ合 う様子、 「 相手の主観的 な状態 と関わ り手の主観的 な状態 とのあいだが何 らかのかた ち で繋 が る」 こ とである とい える ( 鯨岡,2005)

ix

。本研 究のエ ピソー ド記録 においては子 どもや教諭 の行動の客 観的な 記述だけでな く、その場 で筆者 が感 じた子 どもの気持 ちや人間 関係 のあ りよ うな どについ て も、観察 され た事実 とは区別 して書 くよ うに した。 こ うした 記述 と事実の詳細 な記述 と を重ね合わせ ることで事例 の解釈 の妥 当性や迫真性 を高めるこ とを 目指 した。 間主観的に 子 どもの行動 を把 握す るこ とは、教諭 が行 っていることで もあ る。従 って、教諭 の子 ども 理解 に触れ ることは、筆者 が見 られ なかった、あるいは、気付 いていない子 どもの姿や子 どもの行動 の意味 を知 り、筆者 の見方や感 じ方 を修正す るこ と に繋 が る。 そ こで、本研究 では、筆者の教諭‑のイ ンタ ビューや話 し合いを通 して、 「 ③教諭 の見解、感 じ方 を参照」

し、筆者 の見解 、感 じ方 と教諭 とのす りあわせ を行 うことに よ って、子 どもの行動の理解 を深 めた。 さらに、観 察 を継続的 に行 うことは、保育実践 の流 れや 、教諭 の見方、子 ども の個性 をある程度理解す ることに繋が ることか ら、「 継続的観察による実践‑の理解 の深 ま

り 」 を事例の解釈 に盛 り込む ことで、解釈の妥 当性 を高める一助 と なるよ うに した。

i

横 山 文樹,幼稚園にお ける子 どもの 「 人 とのかかわ り」に関す る考察 ( 2)子 どもの 「 精 神発達

と保育者 の 「 援助」 の関係 ,昭和女子大学紀要,

2009

ii

李 季凋,幼児教育学基礎 ,北京師範大学出版,

pp.17

,

1998

iii

木全 晃子,「日中の現行幼稚園教育要領における幼児主体の教育‑の 転換 と教師の力量」, お茶の水女子大学大学院人間文化研究科生涯学習論研究室,

2003

i v 曹能秀 無藤隆,

中国にお ける幼児教育の現状 と課題」,お茶 の水女子大学子 ども 発達教 育研究セ ンター,

2004

v

佐藤 郁哉, 「 フィール ドワー ク一書 を持 って街‑出 よ う」,東京新曜社

1992

v

i鯨岡 唆,

ェ ピソー ド記述入 門一実践 と質的研究のために‑』,東京大学出 版会,

pp184

,

2005

v

i

i 鯨 岡 唆,

ェ ピソー ド記述入 門一実践 と質的研究のために‑』,東京大学出 版会,

pp184

,

2005

v

ih

vii

i 鯨岡 唆,

ェ ピソー ド記述入門一実践 と質的研究のために‑』,東京大学出 版会,

pp15‑16,2005

ix i

x 鯨岡 唆,

ェ ピソー ド記述入 門一実践 と質的研究のために‑』,東京大学出 版会,

pplO

O,

2005

(7)

第‑章 日中両国における幼稚園教育 目標

第‑章は、まず、 日中両国の幼稚園教育の概観、教育 目標の改訂について論述す る.そ して、両国における現行幼稚園教育 目標を取 り上げ、共通点について述べることとする。

第‑飾 日中の幼稚園教育の概観 '

日本の現在の幼稚園教育は 「 幼稚園教育要領

(1998改訂 2000年か ら実施)によって

進められている。制度上の管轄を行 うのは、文部科学省である。幼稚園は、満

3歳か ら6

歳の子 どもを対象 としている。保育時間は一 日あた り

4

時間である.一方、中国の現在の 幼稚園教育は 「 幼児園管理条例

(1989)

、「 幼児園工作規定

(1989

制定、

1996

改訂)と 「 幼 児園教育指導綱要 ( 試行)

(2001)

の三つの法規によって進められている。制度上の管轄 を行 うのは、教育面では教育部 (日本の文部科学省 にあたる)であるが、保健衛生面では 衛生部 (日本の厚生労働省 にあたる)であ り、主導機関は教育部である。 ところで、中国 の幼稚園は、 、満

3

歳か ら

6

歳の子 どもを対象 としているが、働 く両親のために保育時間を 長 くし、必要性 に応 じて、全 日制、寄宿制、半 日制、部分時間制な ど多 くのパターンがあ る。全 日制が大半である。 「 小班」

(3

歳児クラス)、「 中班」

(4

歳児クラス)、「 大班」

(5

歳 児クラス)が設 けられている。また

20

世紀末の中国では 「 素質教育」 を

0

歳か ら成人にい たるまで全面的に展開す る政策が とられるようにな り、このため幼稚園内に

1‑2

歳児を預 かる 「 小小班」が設置 され るようになった。幼稚園教諭の資格は、専門学校や大学を卒業 し、教諭資格 を習得す ることで得 られ る。学費については、 ● 幼稚園時期の教育は義務教育 に属 していないため、園によって、費用が異なる。一般的には月に

1000

元前後である。

教育部発展規劃司の 「 中国教育事業発展統計簡況

によると、中国

2001

年度の入園児総 数は

2022

万人、就学前

3

年入園率は

35.9%であ り、2005

年度の入園児総数は

2179万人、

学前

3

年入園率は

41.4%であ り、2007

年度の入園児総数は

2348.8

万人、学前

3

年入園率 は

45%である.一方、「

学校調査、学校通信教育調査

によると日本の

2001

年度の入園児 総数は

381.798

万人、就学前

3

年入園率は

21.8%であ り、2005

年度の入園児総数は

420.343

万人、学前

3

年入園率は

24.2%であ り、2007

年度の入園児総数は

428.928

万人、学前

3

年 入園率は

25.2%である。2001

年から

2007

年にかけて、 日本 と中国は、幼稚園に通 う子 ど

も数や、就学前

3

年入園率が年々増えている。数多 くの子 どもが幼稚園に通 うようにな り、

幼稚園で どのよ うな教育や保育を受けるのか、すなわち幼児教育そのものが問われ ること になる。両国はよ りよい幼児教育を実現す るため、現行の幼稚園教育 目標に至 り、それぞ れに何回 も改訂 されていた。

5

第‑章 日中両国における幼稚園教育 目標

第‑章は、まず、 日中両国の幼稚園教育の概観、教育 目標の改訂について論述す る.そ して、両国における現行幼稚園教育 目標を取 り上げ、共通点について述べることとする。

第‑飾 日中の幼稚園教育の概観 '

日本の現在の幼稚園教育は 「 幼稚園教育要領

(1998改訂 2000年か ら実施)によって

進められている。制度上の管轄を行 うのは、文部科学省である。幼稚園は、満

3歳か ら6

歳の子 どもを対象 としている。保育時間は一 日あた り

4

時間である.一方、中国の現在の 幼稚園教育は 「 幼児園管理条例

(1989)

、「 幼児園工作規定

(1989

制定、

1996

改訂)と 「 幼 児園教育指導綱要 ( 試行)

(2001)

の三つの法規によって進められている。制度上の管轄 を行 うのは、教育面では教育部 (日本の文部科学省 にあたる)であるが、保健衛生面では 衛生部 (日本の厚生労働省 にあたる)であ り、主導機関は教育部である。 ところで、中国 の幼稚園は、 、満

3

歳か ら

6

歳の子 どもを対象 としているが、働 く両親のために保育時間を 長 くし、必要性 に応 じて、全 日制、寄宿制、半 日制、部分時間制な ど多 くのパターンがあ る。全 日制が大半である。 「 小班」

(3

歳児クラス)、「 中班」

(4

歳児クラス)、「 大班」

(5

歳 児クラス)が設 けられている。また

20

世紀末の中国では 「 素質教育」 を

0

歳か ら成人にい たるまで全面的に展開す る政策が とられるようにな り、このため幼稚園内に

1‑2

歳児を預 かる 「 小小班」が設置 され るようになった。幼稚園教諭の資格は、専門学校や大学を卒業 し、教諭資格 を習得す ることで得 られ る。学費については、 ● 幼稚園時期の教育は義務教育 に属 していないため、園によって、費用が異なる。一般的には月に

1000

元前後である。

教育部発展規劃司の 「 中国教育事業発展統計簡況

によると、中国

2001

年度の入園児総 数は

2022

万人、就学前

3

年入園率は

35.9%であ り、2005

年度の入園児総数は

2179万人、

学前

3

年入園率は

41.4%であ り、2007

年度の入園児総数は

2348.8

万人、学前

3

年入園率 は

45%である.一方、「

学校調査、学校通信教育調査

によると日本の

2001

年度の入園児 総数は

381.798

万人、就学前

3

年入園率は

21.8%であ り、2005

年度の入園児総数は

420.343

万人、学前

3

年入園率は

24.2%であ り、2007

年度の入園児総数は

428.928

万人、学前

3

年 入園率は

25.2%である。2001

年から

2007

年にかけて、 日本 と中国は、幼稚園に通 う子 ど

も数や、就学前

3

年入園率が年々増えている。数多 くの子 どもが幼稚園に通 うようにな り、

幼稚園で どのよ うな教育や保育を受けるのか、すなわち幼児教育そのものが問われ ること になる。両国はよ りよい幼児教育を実現す るため、現行の幼稚園教育 目標に至 り、それぞ れに何回 も改訂 されていた。

5

(8)

第二節 日中の幼稚園教育 目標の改訂について 第‑項 日本幼稚園教育 目標の改訂について

日本における最初の幼稚園は

1876

年に誕生 した東京女子師範学校附属幼稚園である。保 育内容はフレーベル主義の直訳を基本に物品科、 美麗科、 知識科の 3科 目25子 目とされた。

園則 に掲げられた幼稚園の 目的 「 学齢未満 ノ小児 ヲシテ天賦 ノ知覚 ヲ関連シ、固有 ノ心想 ヲ啓発シ、身体 ノ健全 ヲ滋補シ 、交際 ノ情誼 ヲ暁知シ、善良ノ言 行 ヲ慣熟セシムルニ在

は幼児の心身の基礎 を調和的に発達 させ ることを目指す よ うに見 えたが、実際はフ レーベ ルの恩物を、形式を重ん じて、翻訳書に書かれたかたち通 りに幼 児 に作業 させ る姿に陥っ ていた。保育室で保母のほ うに向かって整然 と並べ られた椅子に 座 り、恩物 を しなが ら小 学校における時間割による教育 と同様、

30

分ばか り操作 させ る保育では、フレーベルが恩 物 を通 じて望んだ創造性、 自発性 を育てる幼稚園本来の課題 を遂 行す ることができなかっ

た。

1899

年に文部省令 「 幼稚園保育及設備規定」が設定 され、保育科 目が遊戯、唱歌、談話 、 手技、の 4項 目が設 けられて、その後、観察が加わ り、保育の基 本 5項 目とよばれた。保 育の要旨は、幼児の 「 心身 ヲシテ健全ナル発育ヲ遂ケ善良ナル習慣 ヲ得 シメ以テ家庭教 育 ヲ補ハンコ トヲ要ス」 るものであ り、「 常二幼児ノ心性及行儀二注意 シテ之ヲ正シグセシメ ン

ことが要求 されていた。保育の方法は 「 幼児 ノ心身発育 ノ度二適応セシム‑ ク其 ノ会 得シ難キ事物 ヲ授ケ或ハ過度 ノ業 ヲ為サシメ又ハ之ヲ強要シテ就 業セシム‑カラス」 とし

た。

1948

年新 しい幼児期の保育内容を意味づけるものとして 「 保育要領

が発表 された。

1956

年に 「 保育要領」か ら試行的に 「 幼稚園教育要領

が刊行 され ることになった。この とき、

小学校 と同様に 「 幼稚園学習指導要領」 とい う名称にするべきとい う意見 もあった 。 しか し、幼児期は一人ひ とりの発達が違い、発達の段階 としてま とま ったかたちの発達を示す 時期ではなく、子 どもの自然な生活を中心 とした保育内容 とすべ きなので 「 学習指導要領 」 ではなく 「 教育要領

とい う名称に落ち着いたようである。新 しい幼稚園教育要領では 六 つの 「 領域」 ( 健康、社会、 自然、言語、絵画制作、音楽 リズム)にま とめられ た。総 目標 は以下のようなものである。

① 幼児の心身の調和的な発達を図 り、健全な心身の基礎を養 う ようにすること。

② 基本的生活習慣 と正 しい社会的態度を育成 し、豊かな情操 を養 い、道徳性の芽生えを つちか うようにす ること。

第二節 日中の幼稚園教育 目標の改訂について 第‑項 日本幼稚園教育 目標の改訂について

日本における最初の幼稚園は

1876

年に誕生 した東京女子師範学校附属幼稚園である。保 育内容はフレーベル主義の直訳を基本に物品科、 美麗科、 知識科の 3科 目25子 目とされた。

園則 に掲げられた幼稚園の 目的 「 学齢未満 ノ小児 ヲシテ天賦 ノ知覚 ヲ関連シ、固有 ノ心想 ヲ啓発シ、身体 ノ健全 ヲ滋補シ 、交際 ノ情誼 ヲ暁知シ、善良ノ言 行 ヲ慣熟セシムルニ在

は幼児の心身の基礎 を調和的に発達 させ ることを目指す よ うに見 えたが、実際はフ レーベ ルの恩物を、形式を重ん じて、翻訳書に書かれたかたち通 りに幼 児 に作業 させ る姿に陥っ ていた。保育室で保母のほ うに向かって整然 と並べ られた椅子に 座 り、恩物 を しなが ら小 学校における時間割による教育 と同様、

30

分ばか り操作 させ る保育では、フレーベルが恩 物 を通 じて望んだ創造性、 自発性 を育てる幼稚園本来の課題 を遂 行す ることができなかっ

た。

1899

年に文部省令 「 幼稚園保育及設備規定」が設定 され、保育科 目が遊戯、唱歌、談話 、 手技、の 4項 目が設 けられて、その後、観察が加わ り、保育の基 本 5項 目とよばれた。保 育の要旨は、幼児の 「 心身 ヲシテ健全ナル発育ヲ遂ケ善良ナル習慣 ヲ得 シメ以テ家庭教 育 ヲ補ハンコ トヲ要ス」 るものであ り、「 常二幼児ノ心性及行儀二注意 シテ之ヲ正シグセシメ ン

ことが要求 されていた。保育の方法は 「 幼児 ノ心身発育 ノ度二適応セシム‑ ク其 ノ会 得シ難キ事物 ヲ授ケ或ハ過度 ノ業 ヲ為サシメ又ハ之ヲ強要シテ就 業セシム‑カラス」 とし

た。

1948

年新 しい幼児期の保育内容を意味づけるものとして 「 保育要領

が発表 された。

1956

年に 「 保育要領」か ら試行的に 「 幼稚園教育要領

が刊行 され ることになった。この とき、

小学校 と同様に 「 幼稚園学習指導要領」 とい う名称にするべきとい う意見 もあった 。 しか し、幼児期は一人ひ とりの発達が違い、発達の段階 としてま とま ったかたちの発達を示す 時期ではなく、子 どもの自然な生活を中心 とした保育内容 とすべ きなので 「 学習指導要領 」 ではなく 「 教育要領

とい う名称に落ち着いたようである。新 しい幼稚園教育要領では 六 つの 「 領域」 ( 健康、社会、 自然、言語、絵画制作、音楽 リズム)にま とめられ た。総 目標 は以下のようなものである。

① 幼児の心身の調和的な発達を図 り、健全な心身の基礎を養 う ようにすること。

② 基本的生活習慣 と正 しい社会的態度を育成 し、豊かな情操 を養 い、道徳性の芽生えを

つちか うようにす ること。

(9)

③ 自然および社会の事象について興味や関心をもたせ、思考力の 芽生えをつちか うよう にすること。

④ 人の話をきく正 しい態度 を養 うとともに、人にわかることばを 使お うとする意欲を育 て、ことばの正 しい使い方を身につけるようにすること。

⑤ のびのび とした表現活動 を通 して、創造性 を豊かにす るよ う にすること。

⑥ 幼児に必要な養護や世話 を行 うとともに、自主的、自発的な活 動を促 し、自立の態度 を養 うよ うにす ること。

⑦ 幼児の心身の発達の事情をよく理解 し、その個人差に応 じて適 切な指導を行 うよう・ に すること。

⑧ 幼児の生活経験に即 し、その興味や欲求を生か して、総合的な 指導を行 うようにする こと。

⑨ 地域の実態に即 し、かつ、幼稚園の生活環境 を整備 して、適切 な指導を行 うようにす ること。

⑩ 幼稚園教育は、小学校教育 と異なるものがあることに留意 し 、その特質を生か して、

適切な指導を行 うよ うにす ること。

⑪ 家庭 との連絡 を密 に し、家庭における教育 と相まって教育の効 果をあげるようにする こと。

日本では

1989

年の幼稚園教育要領改訂によりその教育理念が大きく変化 した。 改訂 され た幼稚園教育要領では健康、人間関係、環境、言葉、表現 とい う 五つ領域が教育 目標に定 められた。幼稚園教育の基本が

3

点にまとめられた。

①幼児は安定 した情緒の下で 自己を十分に発揮す ることによ り発 達に必要な体験を得て いくものであることを考慮 して、幼児の主体的な活動を促 し幼児 期にふ さわ しい生活 が展開され るよ うにす ること。

②幼児の自発的な活動 としての遊びは、心身の調和の とれた発達 の基礎 を培 う重要な学 習であることを考慮 して、遊びを通 しての指導を中心 として第 2章に示すね らいが総 合的に達成 され るよ うにす ること。

③幼児の発達は、心身の諸側面が相互に関連 し合い多様な経過 を た どって成 し遂げられ てい くものであること、また幼児の生活経験がそれぞれ異なるこ とな どを考慮 して、

幼児一人一人の特性に応 じ発達の課題に即 した指導を行 うよ うに す ること。

総 目標は以下のよ うなものである。

7

③ 自然および社会の事象について興味や関心をもたせ、思考力の 芽生えをつちか うよう にすること。

④ 人の話をきく正 しい態度 を養 うとともに、人にわかることばを 使お うとする意欲を育 て、ことばの正 しい使い方を身につけるようにすること。

⑤ のびのび とした表現活動 を通 して、創造性 を豊かにす るよ う にすること。

⑥ 幼児に必要な養護や世話 を行 うとともに、自主的、自発的な活 動を促 し、自立の態度 を養 うよ うにす ること。

⑦ 幼児の心身の発達の事情をよく理解 し、その個人差に応 じて適 切な指導を行 うよう・ に すること。

⑧ 幼児の生活経験に即 し、その興味や欲求を生か して、総合的な 指導を行 うようにする こと。

⑨ 地域の実態に即 し、かつ、幼稚園の生活環境 を整備 して、適切 な指導を行 うようにす ること。

⑩ 幼稚園教育は、小学校教育 と異なるものがあることに留意 し 、その特質を生か して、

適切な指導を行 うよ うにす ること。

⑪ 家庭 との連絡 を密 に し、家庭における教育 と相まって教育の効 果をあげるようにする こと。

日本では

1989

年の幼稚園教育要領改訂によりその教育理念が大きく変化 した。 改訂 され た幼稚園教育要領では健康、人間関係、環境、言葉、表現 とい う 五つ領域が教育 目標に定 められた。幼稚園教育の基本が

3

点にまとめられた。

①幼児は安定 した情緒の下で 自己を十分に発揮す ることによ り発 達に必要な体験を得て いくものであることを考慮 して、幼児の主体的な活動を促 し幼児 期にふ さわ しい生活 が展開され るよ うにす ること。

②幼児の自発的な活動 としての遊びは、心身の調和の とれた発達 の基礎 を培 う重要な学 習であることを考慮 して、遊びを通 しての指導を中心 として第 2章に示すね らいが総 合的に達成 され るよ うにす ること。

③幼児の発達は、心身の諸側面が相互に関連 し合い多様な経過 を た どって成 し遂げられ てい くものであること、また幼児の生活経験がそれぞれ異なるこ とな どを考慮 して、

幼児一人一人の特性に応 じ発達の課題に即 した指導を行 うよ うに す ること。

総 目標は以下のよ うなものである。

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(10)

①健康、安全で幸福な生活のための基本的な生活習慣 ・態度を育 て、健全な心身の基礎 を培 うよ うにす ること。

②人‑の愛情や信頼感 を育て、 自立 と協同の態度及び道徳性の芽 生えを培 うよ うにす る こと。

③ 自然な どの身近な事象‑の興味や関心を育て、それ らに対す る 豊かな心情や思考力の 芽生えを培 うようにす ること。

④ 日常生活の中で言葉‑の興味や関心を育て、喜んで話 した り聞 いた りす る態度や言葉 に対する感覚を養 うよ うにす ること。

l

⑤多様な体験を通 じて豊かな感性 を育て、創造性を豊かにするよ うにす ること。

1998

12月、文部科学省では、「

幼稚園教育要領

( 以下 「 要領 (日本

)

と略称する) の改訂を行った。改訂 された 「 要領 (日本)

」は 「

幼児に豊かな人間性や 自ら学び 自ら考え る力な ど生きる力の基礎 を育成す る」 ことを基本的なね らい とし 、その下で、健康、人間 関係、環境、言葉、表現 とい う領域の教育 目標がある。

1959

年の 「 要領 (日本)」 と

1989

年の 「 要領 (日本)」を見てみると、両方 とも 「自立

「 興味

主体的

とい う言葉を用いている。 この三つの言葉は

1998

年の 「 要領 (日本

)

の中でも用い られた。

第二項 中国幼稚園教育 目標の改訂について

中国の最初の幼稚園は

1903

年に設けられた湖北幼稚園であった0

1920

年に幼稚園教育の

「 外国化

( 外国の幼児教育を真似する)のあ り方 を反省 し、中国の社会現実 、その需要実 態にあった幼稚園教育を模索する試みが本格化 しは じめた。

1949年中華人民国の成立は、

それまでの中国を根本的に変えるものであった。

1953

3

月に教育部により 「 幼児園智行 規則」が公布 された。 これは幼稚園の任務 として、幼児に対 して 初歩的な全面発展の保育 工作を行 うことを明記 したものだった。 「 幼児園暫行規則

は幼児教育を体育、言語、認知 環境、図画 ・手工、音楽、計算 とい う六つの領域が定めた。その 主な 目標は以下のよ うな

ものである ( 以下、「 幼児園暫行規則」 を 「 規則

と略称す る) 0

①幼児甲基本的な衛生の習慣 を養い、栄養状態に注意 し、その体 格 を鍛錬 し、幼児の身 体の正常な発育 と健康を保障すること。

②幼児が、感覚 と言葉 を正 しく運用す る基本的な能力を養い、そ の環境 に対す る認識 を 助け、知力の発達を図ること。

③幼児の愛国思想 と国民公徳、及び誠実、勇敢、団結、友愛、規 律 を守 り、礼儀正 しく

①健康、安全で幸福な生活のための基本的な生活習慣 ・態度を育 て、健全な心身の基礎 を培 うよ うにす ること。

②人‑の愛情や信頼感 を育て、 自立 と協同の態度及び道徳性の芽 生えを培 うよ うにす る こと。

③ 自然な どの身近な事象‑の興味や関心を育て、それ らに対す る 豊かな心情や思考力の 芽生えを培 うようにす ること。

④ 日常生活の中で言葉‑の興味や関心を育て、喜んで話 した り聞 いた りす る態度や言葉 に対する感覚を養 うよ うにす ること。

l

⑤多様な体験を通 じて豊かな感性 を育て、創造性を豊かにするよ うにす ること。

1998

12月、文部科学省では、「

幼稚園教育要領

( 以下 「 要領 (日本

)

と略称する) の改訂を行った。改訂 された 「 要領 (日本)

」は 「

幼児に豊かな人間性や 自ら学び 自ら考え る力な ど生きる力の基礎 を育成す る」 ことを基本的なね らい とし 、その下で、健康、人間 関係、環境、言葉、表現 とい う領域の教育 目標がある。

1959

年の 「 要領 (日本)」 と

1989

年の 「 要領 (日本)」を見てみると、両方 とも 「自立

「 興味

主体的

とい う言葉を用いている。 この三つの言葉は

1998

年の 「 要領 (日本

)

の中でも用い られた。

第二項 中国幼稚園教育 目標の改訂について

中国の最初の幼稚園は

1903

年に設けられた湖北幼稚園であった0

1920

年に幼稚園教育の

「 外国化

( 外国の幼児教育を真似する)のあ り方 を反省 し、中国の社会現実 、その需要実 態にあった幼稚園教育を模索する試みが本格化 しは じめた。

1949年中華人民国の成立は、

それまでの中国を根本的に変えるものであった。

1953

3

月に教育部により 「 幼児園智行 規則」が公布 された。 これは幼稚園の任務 として、幼児に対 して 初歩的な全面発展の保育 工作を行 うことを明記 したものだった。 「 幼児園暫行規則

は幼児教育を体育、言語、認知 環境、図画 ・手工、音楽、計算 とい う六つの領域が定めた。その 主な 目標は以下のよ うな

ものである ( 以下、「 幼児園暫行規則」 を 「 規則

と略称す る) 0

①幼児甲基本的な衛生の習慣 を養い、栄養状態に注意 し、その体 格 を鍛錬 し、幼児の身 体の正常な発育 と健康を保障すること。

②幼児が、感覚 と言葉 を正 しく運用す る基本的な能力を養い、そ の環境 に対す る認識 を 助け、知力の発達を図ること。

③幼児の愛国思想 と国民公徳、及び誠実、勇敢、団結、友愛、規 律 を守 り、礼儀正 しく

参照

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