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齋藤幸子

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Academic year: 2021

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(1)

保護者の保育ニーズとその対応に関する研究 Ⅲ 須永 進 青木知史

*

齋藤幸子

**

山屋春恵

***

A Study on the Parent’ s Needs for Day Care and to Deal with Them

Susumu Sunaga , Satoshi Aoki , Sachiko Saito , Harue Yamaya

要旨:これまで本研究では、保護者の保育ニーズに対する研究の一環として、保育所の保育士と 幼稚園の教諭を対象にそれぞれ調査を実施し、2回にわたって報告を行ってきたが、今回は両者を 比較し、その相違点について分析を進めた。結果として、全体的には保育所あるいは幼稚園にかか わらず、保護者による保育に対するニーズは少なくなく、多様化の傾向のあることが明らかになっ た。また、例えば保育ニーズの具体的内容やその対応、さらには対応に苦慮したケース、保護者観、

子育て支援に対する考え方などの項目で両者の間に相違のあることが判明している。それは保育所 や幼稚園のもつ特性によるものなのか、あるいは人的パワーとしての保育者によるものなのか、さ らなる分析を待たなければならないが、今後ますます増えることが予想される保育ニーズに対して は、保護者とのよりよい関係を基盤に、子どもの最善の利益を考慮した対応が求められているとい える。

Keywords:保育ニーズ、子育て支援、保育所、幼稚園、

Needs for day Care , Child care support , Day care center , Kindergarten

1.はじめに

今日,多様化する保育に対する保護者のニーズは、保育所や幼稚園の保育・教育の内容や方法ある いは運営全般に少なからず影響を与えているといわれている。先々回(「保護者の保育ニーズとその 対応に関する研究Ⅰ」2009 年)と先回(「保護者の保育ニーズとその対応に関する研究Ⅱ」2010 年)

では、保育所および幼稚園それぞれの保育者を対象に同一内容による質問紙調査を行い、その状況 の一端を明らかにしてきた。今回はこれまで行ってきた保育所と幼稚園の調査結果の比較を通して、

改めて保護者による保育ニーズとそれに対する保育所と幼稚園の対応の違いを明らかにしようとす るものである。

2.研究目的

「はじめに」で述べたように、今回の研究報告では、これまで保育所と幼稚園の保育者(保育士、

教師の総称)を対象に行ってきた調査結果を各項目別に比較し、その相違点に着目し保育所、幼稚

大阪成蹊短期大学

** 日本子ども家庭総合研究所

*** 文部科学省

(2)

園といった保育施設や保育者による対応上の違いを明らかにするとともに、今後複雑化、多様化 が予想される保護者の保育ニーズへの対応を考えるための一助となることを目的としている。

3.研究方法

研究の方法としては、これまで保育所および幼稚園と、それぞれの保育施設ごとに調査して得ら れた調査結果を項目別に比較する。そのことにより、保育所や幼稚園さらにはそれらの保育施設の 保育者(以下、本論では先回の研究報告を踏まえ、幼稚園の保育者を教師と称す)による保護者へ の対応における相違点や特性を理解することができるからである。

4.調査結果

本研究で対象になった保育所と幼稚園とその保育者について、回答者数および属性をまとめると、

次のとおりである。

1)調査対象の回答者数、属性その他(%)

まず、回答者数では、保育所の保育士が女性 181 名、男性 4 名、不明 2 名の計 187 名であったの に対して、幼稚園の教師は女性 109 名、男性 4 名、不明 1 名の計 114 名で、保育所の保育士が 60 名近く多くなっている。年齢別では、前者の場合 20 代が 104 名(55.6%)、30 代 43 名(23.0)、40 代 27 名(14.4)50 代 10 名(10.0)、不明 3 名(1.6)に対して、後者の幼稚園教師は 20 代が 62 名

(54.4)、以下 30 代 25 名(21.9)、40 代 15 名(13.2)、50 代 8 名(7.0)、60 代以上 3 名(2.6)、

不明 1 名(0.9)という割合であった。回答者の職種別では、前者の保育所では保育士が 183 名で 97.8%を占めている。また後者は主任・副園長 11 名(9.6)、園長 5 名(4.4)含めると 107 名 93.9%

で、割合としては 4%程少ないが、ほぼ前者に近い割合になっている。

次に、勤労形態をみると、保育所では常勤者が 168 名(89.9)、非常勤・パート者 17 名(9.1)、

不明者 2 名(1.1)に対し、幼稚園は不明者 1 名を除くと、常勤者は 109 名(95.6)、非常勤・パー トは 4 名(3.5)で、常勤者の割合は両者ほぼ同じであったが、非常勤・パートの者の割合は保育所 がやや多いといった結果であった。また、回答者の経験年数では保育所が 5 年未満 77 名(41.2)、5

~10 年未満は 50 名(26.7)、次いで 10 年~15 年未満 21 名(11.2)、15 年~20 年未満 19 名(10.2)、

20 年以上は 18 名(9.6)、不明 2 名(1.1)であるのに比して、幼稚園の教師は 5 年未満が 46 名(40.4)、

次いで 5~10 年未満は 27 名(23.7)。以下、10~15 年未満 15 名(13.2)、15~20 年未満 13 名(11.4)、

20 年以上は 12 名(10.5)、不明 1 名(0.9)で、例えば 10 年未満の回答者では保育所保育士が約 4%

多くなっている。

また、回答者が担当しているクラスと子どもの年齢については、質問紙の回答形式が保育所に関 しては複数の年齢にまたがる記入方式であったため、3 歳児、4 歳児といった年齢別のクラスを回答 していないため、3 歳児クラス、4歳児クラスといった集計ができないため、ここでは省略する。

さらに、回答者の平均勤務時間に関しては、保育所保育士は平均勤務時間は週 43 時間で、幼稚園の 教師は週 46.9 時間であった。また、この勤務時間以外の保護者への対応時間については、前者が週 平均 1 時間 18 分であったのに対して、後者は週平均で 2.9 時間要している。

次に、回答者の最近の体調について保育所の保育士は、「まあよい」が 82 名(43.9)、次いで「良 好」が 34 名(18.2)、それに対して幼稚園の教師は「まあよい」が 45 名(39.5)、「良好」は 40 名

(35.1)という結果で、「まあよい」「良好」を合わせた比較では、回答者のうち幼稚園の教師の方 が保育所の保育士に比べ、体調面で 1 割以上が「よい」状況にあるという。「不調」については、前 者は 58 名(31.0)、後者 26 名(22.8)で、体調「不調」を感じている割合は、今回の調査対象にな った保育所保育士が幼稚園の教師より 8%程度多いという結果であった。

(3)

また、仕事で困っていることや悩んでいることがあるかどうかについては、保育所の保育士は「あ る」が 82 名(43.9)、「ない」は 85 名(45.5)、一方幼稚園の教師では「ある」が 39 名(34.2)、「な い」は 62 名(54.4)で、前者の方が仕事上の悩みを抱えている割合が高いという結果になっている。

その内容については、保育所、幼稚園の職員ともに多い悩みでは「仕事量の多さ」「人間関係」の問 題をあげている点で共通している。

このような仕事上の困った状況について相談できる人がいるかどうかでは、保育所保育士で「い る」が 170 名(90.9)に対し、幼稚園の教師で「いる」108 名(94.7)と若干高くなっている。相 談相手については両者ともに、同僚が一番多くなっている。次いで職場の先輩や主任・施設長、園 長で、この割合は保育所、幼稚園の違いはなかった。

この他、「日頃の保育実践や保護者への対応の中で感じられることや、これからの子育て支援につ いての意見」に関する自由記述では、保育所の保育士を対象とした場合は、「保育実践や保護者への 対応」では「多様なニーズを求める親が増えるなかで、親とのコミュニケーションは不可欠である という意見が多く、また幼稚園の教師対象の場合は「保育実践や保護者への対応」において、例え ば「予想外のことを要求してくる保護者がふえた」と感じるが、「協力してくれる保護者の多い」こ とから、その対応にあたっては「保護者と信頼関係をきちんと築いていけることがニーズへの対応 にもつながる」という意見に集約される。また、子育て支援について前者は本当に支援の必要な親 や子どもへの対応とそれを対応する保育者の質の向上が不可欠とする意見が多くなっている。後者 ではその必要性を認めつつも、最近は保護者のなかに「してもらうこと」「やってもらうこと」をあ たりまえと思っている人が多いが、回答者の一人である教師の「ただ要求を受け入れるだけでなく、

よく考え対応し、よりよい保育につなげていければ」という指摘がここでの一つの結論と思われる。

2)保護者の保育ニーズとその対応

次に保護者による保育ニーズについての実際の内容とそれらに対する保育者の対応をその回答か ら比較すると以下のとおりである。

39.6%

42.8%

36.9%

21.9%

19.3%

11.8%

42.1%

47.4%

54.4%

25.4%

30.7%

13.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1.保育の内容

2.保育の方法・形態

3.食事

4.教諭や職員に対して

5.保育の環境

6.その他

図1 項目別ニーズ(要求)例の「記入あり」の割合

保育所 幼稚園

(4)

なお回答にあたっては、「その他」を含め 6 項目とし、各項目ごとにそれぞれ「ニーズ(要求)例」、

「どのように対応しましたか」「対応に苦慮しましたか」の 3 つの項目に答えてもらう記述形式とし た。その 6 項目は、「その他」のほか、1.保育の内容(教育、遊び、運動、生活指導など)、2.

保育の方法・形態(預かり保育、病時、障害児など)、3.食事(食育を含む)、4.教職員に対し て、5.保育の環境(設備・職員配置など)について、である。

まず、全体の回答数をみると、保育所の保育士では 322 件、幼稚園の教師は 243 件で、その内訳 を各項目別に多い順でみると、前者では1.保育の方法・形態(42.8%)、2.保育の内容(39.6)、

3.食事・おやつ(36.9)、4.保育士・職員に対して(21.9)、5.保育の環境(19.3)、6.その 他(11.8)となっているのに対して、後者に関しては1.食事(54.4)、2.保育の方法・形態(47.4)、

3.保育の内容(42.1)、4.保育の環境(30.7)、5.教師・職員に対して(25.4)、6.その他(13.2)

という結果になっている。

また、それぞれの項目における対応への苦慮の有無に関する割合は、保育所では「保育士や職員 に対して」が 48.8%で、幼稚園でも 32.1%と他の項目に比べ高い傾向を示している。保育所、幼稚 園ともにこうした人的パワーについての保護者から要求への対応に苦慮していることがわかる。こ の他、保育所の場合、保育の方法・形態(35.0)、保育の環境(27.8)、食事・おやつ(26.1)、保育 の内容(25.7)の順であるが、一方幼稚園は保育の環境(24.2)、保育の内容(23.4)、保育の方法・

形態(22.2)、食事(9.8)など、保育所、幼稚園では対応に苦慮している項目の占める割合に違い がみられる。なお、この「対応に苦慮」という質問に関して、「その他」を選択した割合が保育所で 40.9%、幼稚園で 35.7%と、複数回答ではあるが選択肢としては高い割合を示していることから、

その内容についての分析を行う必要があるものと思われる。

次に、今回の調査では各項目別にその内容および対応の実際を自由記述の形式で回答を求めてい るが便宜上、いくつかの群にまとめている。その保育ニーズの内容の詳細については、すでに先の 2つの論文1)2)に掲載していることから、ここでは、保育所と幼稚園における保護者の保育ニーズ のうち、両者に共通している項目群を取り上げ、その対応方法を中心に比較・検討することにする。

1.保育の内容

まず、保育の内容への保育ニーズで保育所と幼稚園に共通しているのは、教育的ニーズ、外遊び、

しつけ、安全・けが・けんかといった項目群で、保育所および幼稚園における対応方法に関しては、

次のとおりである。

a.教育的ニーズ

教育的ニーズとして、例えば「文字や数を教えてほしい」といった就学準備や教育的指導を求め るニーズでは、対応の方法として保育所は「遊びや生活全般をとおして興味や関心を持てるように 働きかける」が代表的意見となっているのに反して、幼稚園では「教材を使って文字指導をする」

「時間を決めて指導する」といった設定された時間のなかで指導する傾向が指摘されるなど、両者 に違いがみられる。しかし、共通していたこととしては、こうした取り組みについて、事前・事後 に保護者への連絡・伝達を両者ともに行ない、配慮している点である。

b.外遊び

外遊びに関するニーズに対しては、保育所、幼稚園ともに、「親の気持ちを聞きつつ・・・(子ど もに)声をかける」など、保護者の意向と子ども本人の様子をみて、対応しているケースが多く、

対応に際して両者に大きな違いはみられない。

c.しつけ

子どものしつけでは、「良いこと、悪いことを教えて」「静かに話を聞く」など、基本的なしつけ に対する保護者のニーズに対しては、保護者との話し合いや家庭との連携を図りながら対応してい

(5)

る点では保育所、幼稚園に相違点はみられない。

d.安全・けが・けんかなど

子どもの安全・けが・けんかなどについては、保育所、幼稚園ともに、保護者の思いや考えに配 慮しながら、対応しているといった回答がその主なものになっている。なかでも、子ども同士のけ んかに関しては、双方の保護者にその状況を話し、必要な場合にはその後の様子を正確に伝えるよ うな対応をとっているケースがほとんどである。

2.保育の方法・形態

保育の方法・形態に関しては、保育時間に対するニーズが保育所および幼稚園ともに高く、共通 したニーズといえる。例えば、保育所の保護者からは延長保育や一時的保育を、幼稚園の保護者で は預かり保育を求める内容が多いという回答が得られている。それらに対して、保育所では、保護 者のニーズに前向きに応える対応をとっているケースがほとんどで、一方幼稚園の多くは保護者の ニーズを受け入れる努力を行っているケースがある反面、保護者に「仕事の時間の調整をしてもら う」「難しく対応できない」といった対応や「園長先生に伝える」「検討する」といった対応も一部 にみられる。

この保育の方法・形態では、障がいのある子どもに対する意見も多く、保育所と幼稚園で共通し ているニーズとしては、障がい児の受け入れで予想される新たな人的補助を求めるものである。そ の場合の対応として補助が必要かどうかの判断や、受け入れた場合の他の保護者への説明などのほ か、受け入れに抵抗感のある保護者の理解を求めるなど、さまざまな方面への配慮による対応がと られている。

3.食事に関する内容

食事について、食べ物の好き嫌いへの対応から最近注目されている食物アレルギーの子どもへの 対応や食事のしつけなどでは、保育所、幼稚園ではその対応に大きな違いはみられず、家庭と協力 して対応しているケースがほとんどである。ただし、例えば、アレルギーの子どもへの食事に関し て保育所では除去食の提供が一般的だが、今回の調査対象になった幼稚園の中には、給食に除去食 で対応する他に、弁当を持参させる方法で対応しているところがみられた。

4.教職員に対して

今回の調査で、保育所、幼稚園ともに保護者のニーズに苦慮するケースが多かった保育士や教師、

職員による対応をみると、次のとおりである。

まず、保育所、幼稚園の別なく、不満やニーズを抱える保護者への対応では、基本的には該当す る保護者へ耳を傾けて、話し合い解決を図るという方法がとられている。また、情報を普段から懇 談会や掲示などで提供して、トラブルが発生しないような配慮がなされているという。

また、個人的ともいえるニ-ズに対しては、「子どもの様子をこまめに知らせて保護者が安心でき るように配慮」しているという意見が主流であった。

さらに、トラブルが起きた場合、保育所では原因を調べ、事実を明らかにして、保護者に丁寧に 説明するとしている。他方、幼稚園は、保護者への情報提供と、トラブルの原因となった子どもと 相手方双方の保護者に連絡をとるなどの対応がなされるなど、基本的に両者に大きな違いはみられ ない。

5.保育の環境

まず、人的環境について保育所、幼稚園の違いに関係なく、職員の数を増やしてほしいという保 護者からの要望が共通して指摘されている。こうしたニーズに対しては、フリーの先生の活用やパ ートなどによる保育者の補充を進めるケースがある。また、担任の変更でも、その旨保護者に説明 して、理解を求めるなどの対応が両方でとられている。エアコンの設置、耐震といった物的な環境

(6)

へのニーズでは、その都度、保護者に説明して、理解を求める方法をとっている。

6.その他

以上のように、保護者の保育に対するニーズを便宜上、その他を含め6つの項目に分類し、その 回答を保育所および幼稚園との回答で比較したが、内容によっては両者に違いがみられる項目があ る一方で、基本的な取り組みに大きな相違がみられない場合のあることも明らかになっている。

3)保護者による保育ニ-ズへの対応-基本的方針

こうした保護者の保育ニ-ズに対する対応において、保育所および幼稚園という組織としての対 応と保育者個人としての対応についてみると、次のとおりである。

1.保育所および幼稚園の比較

ここでは自由回答であるため、便宜上同じ内容をまとめて集計処理を行ったが、その結果は次の とおりである。なお、一人の回答者が複数の回答をしている場合があるため、人数ではなく、回答 数とした。

表1 保育所及び幼稚園の比較(回答数と%)

保育所 幼稚園 1.職員会議等で話し合い、対応

2.保護者のニーズをできるだけ受け入れる 3.園の基本方針にそって対応

4.保護者の話をよく聞いて対応 5.子どもを第一に考えて対応 6.所長(園長)や主任の判断で対応 7.マニュアルにそって対応

8.その他

37 (31.4) 33 (28.0) 12 (10.2) 11 ( 9.3) 7 ( 5.9) 6 ( 5.1) 2 ( 1.7) 10 ( 8.5)

13 (18.1) 11 (15.3) 15 (20.8) 18 (25.0) 4 ( 5.6) 8 (11.1) 1 ( 1.4) 2 ( 2.8)

上記の結果から保護者のニーズに対し、保育所と幼稚園ではその対応に違いのあることが明らか になっている。

例えば、調査対象になった保育所では職員会議等で話し合い、対応しているところが 3 割あるが、

幼稚園は約 2 割弱で、その反対に幼稚園では保護者の話を聞いて対応している割合が保育所の約 2.5 倍の 25.0%を占めている。また、保護者のニーズをできるだけ受け入れる姿勢で対応しているのは、

保育所に多く、幼稚園の約 2 倍近い割合になっている。他方、幼稚園の対応をみると、園の基本方 針にそって行っている割合が 2 割程度で、これを保育所のそれに比較すると 2 倍にあたるなど、そ の対応に占める割合に違いがみられる一方、保育所、幼稚園の保育の主体である子どもを考えた対 応については、保育所と幼稚園ともに 5%程度と低く、対応にあたっては保護者や園を基準に考え られている実態が今回のこの調査で明らかになった。

2.保育士・教師個人としての対応上の比較

次に、組織としての対応ではなく、人的パワーである保育士や教師としての保護者のニ-ズへの 対応については以下のとおりである。

(7)

表2 保育士・教師個人としての対応上の比較(回答数と%)

保育士 教師

1.所長(園長)や主任に報告、相談後対応 2.保護者の話をよく聞いて対応

3.子どもを第一に考えて対応 4.園の方針にそって対応

5.受け入れるかどうか判断して対応 6.園全体で話し合い対応

7.その他

48 (36.1) 31 (23.1) 23 (17.3) 12 ( 9.0) 8 ( 6.0) 7 ( 5.3) 4 ( 3.0)

8 (19.5) 12 (29.3) 4 ( 9.8) 6 (14.6) 1 ( 2.4) 5 (12.2) 5 (12.2)

この結果から、保護者のニーズに対して保育所の保育士の約 4 割近くが所長(園長)や主任に相 談してから対応しているが、幼稚園はその半分程度の割合になっている。反対に、教師の 3 割近く が保護者の話を聞いて対応していて、保育士は 2 割台と少ない。また、保育の中心的存在である子 どもをまず、考えて保護者のニーズに対応する場合は、保育士の場合教師の 2 倍近い 17%になって いる。さらに、保育者個人としても幼稚園の教師の場合は、園の方針によることが少なくなく 15%

程度いて、保育士の 9%より多い割合になっている。

このように、組織としてではなく、保育者(保育士、幼稚園教諭)として保護者の保育ニーズに 対応する場合、両者に相違点のあることが明らかになった。

4)保護者と保育ニ-ズにおける苦慮したケ-スと対応過程

次に、保護者のニ-ズに対し、苦慮を感じたケースがあるかどうかでは、「よくある」「時々ある」

「たまにある」など、対応に苦慮するケ-スが「ある」について、保育所が 91 ケース(48.6%)、

幼稚園 66 ケース(57.9)と、幼稚園の方が 10%程度多くなっている。また、それに関連して苦慮 したケースは「ない」が前者 38.0%、後者が 28.9%という結果で、保護者のニーズに苦慮している 割合は、幼稚園に多くみられる。

また、この1年間にあった苦慮したケースに関して、その内容をいくつかの内容別に分類すると、

48.6

57.9

38.0

28.9

13.4

13.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

保育所

幼稚園

*「よくある」「時々ある」「たまにある」の回答を合算 図2 保護者の保育ニーズへの対応に苦慮することがあるか

ある*

ない 不明

(8)

保育所は、1.保育の内容・方法(けが、いじめ、けんかなどの友達関係)23 件、2.保護者に関 する件 18 件、3.保育の方法・体制 17 件、4.食事・おやつ7件、5.保育の環境 5 件、6.保 育士や職員に対して 1 件となっている。他方、幼稚園は1.保護者に関する件 12 件、2.保育の内 容・方法 10 件、 3.健康・衛生 5 件、4.個人的ニ-ズ 5 件、5.教職員について 2 件となって いる。この結果を通してみると、直近では保育所、幼稚園ともに子どものけが、いじめ、けんかの 問題や保護者のことに保育者がその対応に苦慮しており、また保育者へのケースは両者に少ないと いう共通性がみられる。

次の「連携先を含めて、対応過程と苦慮した点」についての具体的な内容に関しては、これまで の2回の研究結果3)4)に記述しているので、重複を避ける意味からここでの言及は省略する。

5)保育所保育士および幼稚園教諭による保護者観

保育への多様なニーズを持つ今日の保護者に対し、保育者側はどのような認識で対応しているの か、保育者の保護者観について、その結果を比較すると以下のとおりである。

なお、質問項目は 18 項目で、回答にあたってはそれぞれ4段階(1.当てはまる、2.やや当て はまる、3.あまり当てはまらない、4.当てはまらない)のうち1つを選択する方法になってい る。しかし、全体の回答傾向を知るために、便宜上「当てはまる」「やや当てはまる」という肯定的 意見群と、「あまり当てはまらない」「当てはまらない」の否定的意見群の2つのグループに集約し 分析を行った。

1.保護者の権利意識

まず、はじめに保護者の権利意識について「強い」と思っている保育所の保育士は 40.1%、幼稚 園の教師が 44.7%で、結果としては両者の 4 割程度の保育者が保護者の権利意識が強いと感じてい るが、その割合はわずかながら、教師の方が多いという結果である。

2.子どもとの接し方や遊び方について

次に、保護者が「子どもとの接し方や遊び方がわからない」とみている保育者では、保育士が 69.5%、教師が 40.4%で、両者に 30%近い開きがみられる。そうした背景のひとつに、保育に求め る保護者の思いや保育者自身の保育に対する考えがあるのではないだろうか。

3.幼稚園や教職員に対する難しい要求について

保育所や幼稚園に子どもを通所・通園させている保護者が、保育士や教師に難しい要求をすると みている割合は、保育士 35.8%、教師が 55.3%と両者間に 20%ほどの差がでている。現状では、

幼稚園やその職員に難しい要求をする保護者が保育所より多いことが示唆されている。

4.自己中心的

園児の保護者を自己中心的とみている保育者の割合では、保育士が 63.1%、教師 64.1%で、とも に近い割合であることから、少なくとも保育士および教師の 6 割以上は保護者に対しこうした見方 をしていることがわかる。

5.子どもへの過保護・過干渉

保護者が子どもに過保護・過干渉と考えている保育士と教師は前者が 67.4%、後者は 80.7%と、

両者の間に 13%程度の差がみられる。

6.子どもの言動に過剰な反応・対応をする

次に、保護者が自分の子どもの言動に過剰に反応したり、対応していると思っている保育士と教 師では、前者 48.7%、後者 71.1%という結果である。ここでも、幼稚園の保護者にその割合が高く、

先にみた子どもへの過保護・過干渉と同様に、自分の子どもへの過剰な関心を持つ保護者のいるこ とを指摘する教師が少なくない。

(9)

7.子どもを放任・無関心

これとは反対に、子どもを放任したり、無関心であったりする保護者がいるとみている保育士は 42.2%、教師では 19.3%と、幼稚園の保護者に比べ、2 倍ほど保育所の保護者にこうした傾向の多 いことが結果からわかる。

8.子育てに負担感・不安感を持っている

また、子育てに負担感や不安感を持っている保護者については、保育士では 62.1%であるに対し て、教師は 35.0%とかなり低い割合になっている。その原因のひとつとして考えられるのは、保護 者の子育てへの不安や負担感について、その子どもの年齢に関係があり、3歳以上の子どもを対象 とする幼稚園と異なり、保育所にはそれ以外に保護者が不安や心身的負担を感じやすい低年齢児が 入所している点があげられる。

9.子どもに容易に手をあげたり、大声でしかったりする

ここでは、子どもに保護者が手をあげたり、大声で叱るかどうかに関して、保育士で「そう思う」

は 38.6%、教師が 15.8%という結果であった。すなわち、教師に比べ、保育士の方に保護者をその ようにみている割合が高くなっている。

10.保護者とのコミュニケーション

次に、保護者とのコミュニケーションについて、実際にはコミュニケーションがとりづらいと思 っている保育者のうち、保育士が 46.5%に対して教師は 29.0%となっている。要するに、保護者と のコミュニケーションが取りにくくなっていると感じている保育士は、約 2 人にひとり、教師は 3 人にひとりいると回答している。

以上が今回調査に協力してくれた保育者による保護者観で、どちらかというとマイナスのイメー ジについてである。次にこの保育者によるプラスのイメージとしての保護者観をみると次のとおり である。

11.子どもへのしつけや教育について

子どもへのしつけや教育に関して、保護者は熱心とみている保育士は 36.9%、一方教師は 63.2%

と両者に大きな違いがでている。これは、保育所や幼稚園の役割の違いと、保護者の期待感の表れ がこうした結果につながっていると考えられる。

12.子どもの食事や健康に配慮

近年保護者に関心のあるニ-ズとして、食事や健康がある。子どもへの食事や健康に関心のある 保護者はいると回答した保育士は 51.4%、教師 71.0%で、後者の方が多くなっている。

13.子どもの生活リズム

周知のように、子どもの生活リズムは心身の成長と発達にとって大切であるが、保護者がそう考 えているかどうかについて保育士は 35.8%、教師 52.6%と、この項目でも保護者に対して教師がそ うみている割合が多くなっている。

14.父母(家族)が協力して子育て

今日、子育てに家族の協力は不可欠になっている。このことについて保護者やその家族が協力し ていると思っている保育士は 74.8%、教師では 86.8%と、ともに高い割合で、保育者はみている。

15.子育てを楽しんでいる

現在の保護者が子育てを楽しんでいるとみている保育士は 60.4%、教師 82.5%であった。子育て への不安や悩みを抱える保護者が少なくない現在、他方で、こうした保護者のいることを指摘する 保育士および教師のいることがこの結果からわかる。

16.幼稚園の教育方針に協力的

この質問に対しては、保育士の 82.4%が、また教師の 82.5%が保護者の協力的態度を評価してい

(10)

る。

17.保護者同士の交流

今日、通所・通園している子どもの保護者にとって他の保護者との関係はますます重要になって いる。

この保護者同士の交流について、さかんであるとみている保育士は 59.3%、教師 88.6%で、割合的 に違いが表れているが、ともに 6 割から 9 割近くはそのようにみているという結果であった。

最後に、「18.その他」については、特記すべきものがないので、省略する。

6)保護者と子育て支援

安心して子どもを産み育てる社会の実現に向けた子育て支援に関して、保育所保育士や幼稚園の 教師の考え・思いを比較すると、以下の結果になっている。

40.1%

69.5%

35.8%

63.1%

67.4%

36.9%

48.7%

42.2%

62.0%

38.5%

46.5%

51.3%

35.8%

74.9%

60.4%

82.4%

59.4%

44.7%

40.4%

55.3%

64.0%

80.7%

63.2%

71.1%

19.3%

35.1%

15.8%

28.9%

71.1%

52.6%

86.8%

82.5%

82.5%

88.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

権利意識が強い 子どもとの接し方や遊び方がわからない 園や保育者に難しい要求をする 自己中心的 子どもに過保護・過干渉 しつけや教育に熱心 子どもの言動に過剰な反応・対応をする 子どもを放任・無関心 子育てに負担感・不安感を持っている 子どもに容易に手をあげたり、大声でしかった

りする

コミュニケーションがとりづらい 子どもの食事や健康に気を配っている 子どもの生活リズムを大切にしている 父母(家族)が協力して子どもを育てている 子育てを楽しんでいる 園の方針に協力的である 保護者同士の交流が盛んである

*「当てはまる」「やや当てはまる」の回答を合算

図3 保育者による保護者観における肯定的意見*の割合

保育所 幼稚園

(11)

表3 子育て支援に関する保育士と教師の「考え・思い」の比較(回答数と%)

保育士 教師

1.子育てが難しい現在、すべての家庭を対象に今後ますます充実さ せるべき。

2.子育ての責任はあくまで保護者やその家庭にあるので、それを補 完する必要が生じた場合のみ、限定的な支援が望ましい。

3.保育の内容を充実させることで、幼稚園における子育て支援は十 分である。

4.その他 5.不明

95 (50.8)

67 (35.8)

6 ( 3.2) 9 ( 4.8) 10 ( 5.3)

43 (37.7)

48 (42.1)

8 ( 7.0) 8 ( 7.0) 7 ( 6.1)

保護者への子育て支援に関して、上記の結果では両者の考えに違いがみられる。すなわち、保育 所の保育士の回答によると、子育て支援を「充実させるべき」という考えが一番多く、2人にひと りの割合になっているのに反し、幼稚園の教師では、「限定的な支援」を指示している割合が多くな っている。しかし、幼稚園の場合「充実させるべき」も保育所ほど多くはないが「限定的な支援」

と大きな差はなく、子育て支援の現状維持あるいは充実の必要性を感じている者は少なくない。こ のようにみると、保育所の保育士および幼稚園の教師は、子育て支援に関しては共通して支援の必 要性を認めると同時に、今後においてはより積極的に充実させるべきとする考えが保育所の保育士 に強く支持されていることが今回の調査を通じて明らかになった。

5.考察

以上のように、保護者の保育ニーズに関して、保育所(保育士)および幼稚園(教師)を対象に 行ったこれまでの調査結果を比較し、その相違点を明らかにしてきたが、考察の視点からまとめる と以下の点について言及できよう。

1)保育所および幼稚園における保護者の保育ニーズとその特性

今回の調査を通じて、保育所および幼稚園ともに、保護者による保育ニーズの多様化の実態が明 らかになっている。その特性としては、保育の内容から方法、形態、食事、保育者や職員に対する など、実にさまざまな領域にわたっているということである。また、そのニーズについては保育所 あるいは幼稚園という施設の機能や役割にそくした内容が中心になっている反面、例えば3歳以上 の子どもが保育対象である幼稚園では、教育的な要望として鍵盤ハーモニカや英語、体操など小学 校就学に向けての内容から、遊びや食事、友だち関係さらには「おむつがとれるように」や「箸の 持ち方が上手に出来ないので教えて」といった身辺の自立に至る内容がみられた。また保育所に対 しては遊びや睡眠、食事といった生活に関するニーズが少なくなく、なかには明らかに受け入れの 難しいニ-ズもあるなど、保育所、幼稚園にかかわらず、その対応に苦慮しているケ-スがみられ た。それに対して保育所および幼稚園といった施設による対応および保育士や教師などの人的パワ ーでみると、それぞれ多少の違いがみられたが、おしなべて保護者の保育ニーズに配慮し対応をし ている現状が明らかになっている。

2)対応について

その保護者への対応については、保育所あるいは幼稚園といった保育施設のもつ機能のなかで、

対応策を講じていることが理解できるが、今後多様化と質的変化が予想されると仮定した場合、ど う対応を図っていくべきか課題もみえてきたのでないだろうか。例えば、そのためには保育者およ び職員間の意思の疎通と協力体制は不可欠である。保育の施設として、また保育者としてどう対応

(12)

すべきか、全体での共通認識をもつように努める必要がある。

また、保育者養成という視点からも保護者への対応についての学びは今後欠かせない内容といえ る。すなわち、養成機関のカリキュラムのなかで相談援助支援や保育相談、教育相談といった保護 者の保育や教育に関する相談に関連する科目の設置にとどまることなく、より実践的な学習によっ て対応能力を学べるシステムが急務と思われる。

3)保護者との関係

また、多様化と増加が予想される保護者の保育ニーズへの対応では、今回の調査の回答からもコ ミュニケーションの必要性が指摘できる。保護者自身の意識が変容しつつある今日、たとえそのニ ーズが難しいケースであっても、普段からの保護者とのコミュニケーションが図られていれば、お 互いの考えや思いを伝えあうことで、解決が図れるケースは少なくからである。そのためには、保 育者自身のコミュニケーション能力の向上は今後ますます求められるものと思われる。

4)人的パワーとしての保育者について

さらに、子どもを保育する保育者自らが心身ともに健康でなければならない。しかし、今回の調 査で体調について不調を訴えている保育士および教師が全体の 2 割から 3 割いる。また、仕事上の 悩みや困っていることのある者は 3 割から 4 割いることが明らかになっている現状を考えると、保 育者の健康問題も軽視できない。

今後も保護者による相談や依頼件数の増加、保育へのニ-ズの多様化が予想されることから、ま ずは保育者の置かれている現状を改善する必要性を指摘しておく。

このように、調査の結果をふまえ、いくつかの視点から考察を行った。いずれにせよ、今後の保 護者による保育ニーズの増加と多様性の傾向は、保育への期待を表しているものと思われる。もち ろん、すべて各保育施設や保育者が受け入れ、その実現化を図る必要はないが、どれが子どもにと って必要な保育ニーズなのか、その判断は保育の専門職に従事する保育者や保育施設の責務といえ る。

6.おわりに

近年、教育や福祉の分野において利用者への利益が優先されるようになっているが、その動向を 概観すると、まず 2000 年の社会福祉事業法等の一部改正に伴い、社会福祉法第 82 条の規定により、

社会福祉事業の経営者は、その提供する福祉サービスについて利用者からの苦情に対応し、その解 決に努めることが規定されたが、これを保育の領域に適応すると、保護者の保育への苦情を含む多 様なニーズに対応しなければならないことになる。他方、教育の分野においては保護者の「相談に 応じ、必要な情報の提供及び助言」(学校教育法第 24 条)することが規定されている。こうした法 的規定を受けて、保育所や幼稚園では保護者の保育に関するニーズに耳を傾け、それに対応するこ とが今まで以上に求められるようになり、2008 年に改訂された『保育所保育指針』では、保護者へ の支援として「相談や助言」を行うことや「保護者の苦情などに対し、その解決を図るように努めな ければならない」ことが記載されている。他方、幼稚園に関しては同じ 2008 年に改訂された『幼稚 園教育要領』は、「幼稚園の目的の達成に資するため・・・家庭や地域における幼児期の教育の支援 に努めること」と、その支援としての対応について明記されている。

このように、保育や教育を受ける子どもとそれを支える保護者に対して、保育施設やそれを担う 保育者は必要に応じて相談・助言や保育ニーズを受け入れる努力が求められている。しかし、その 場合、すべてのニーズや苦情を引き受け対応するわけではなく、例えば、幼稚園に関しては「保護 者が、幼稚園と共に幼児を育てるという意識」(『幼稚園教育要領』)を持つような支援としている。

すなわち、すべて幼稚園任せや子どもを育てるという視点が欠落し、保護者の自己中心的で無理難

(13)

題なニーズとは言及していない。

今日のような社会動向のなかで、保護者の保育へのニーズはますます多様化と質的変化を早める ことが予想されるが、保育所、幼稚園ともにその対応への判断基準のひとつとして、「子どもの権利 条約」(1989 年)に示されている子どもの最善の利益を考慮した取り組みが望まれる。今回調査の 対象になった保育所や幼稚園だけでなく、多くの保育施設では職員間の話し合いにはじまり、保護 者の要望に応じる、施設の方針によるなどの対応が多くみられたが、どこまで「子どもを第一に」

考慮した対応がとれるかが、今後の課題といえる。同時にまた、保育者自身の力量を高めることも 重要になろう。具体的には、保護者への対応能力がますます重要になることから、保育者について は自己の健康管理を考慮しつつ、保育相談・支援能力とコミュニケーション能力の向上が不可欠と 思われる。

今後ますます保護者との協力と連携が求められる保育分野にあって、保護者の保育ニーズとどう 向き合っていくのか、各保育施設および保育者の裁量が問われていくことになろう。

最後に、改めて今回の調査にご協力いただいた、北海道をはじめ、東京、埼玉、神奈川の保育所 と幼稚園の先生方に謝意を表します。

1)須永 進、青木知史、齋藤幸子、山屋春恵(2009)「保護者の保育ニーズとその対応に関する研 究Ⅰ」『医療福祉研究』愛知淑徳大学医療福祉学部第 6 号、p89-110

2)須永 進、青木知史、齋藤幸子、山屋春恵(2010)「保護者の保育ニーズとその対応に関する研 究Ⅱ」『愛知淑徳大学論集 福祉貢献学部篇第1号』愛知淑徳大学福祉貢献学部、p83-106 3)1)と同じ

4)2)と同じ

参考文献

文部科学省『学校教育法』

文部科学省(2008)『幼稚園教育要領』

厚生労働省(2008)『保育所保育指針』

須永 進、青木知史、齋藤幸子、山屋春恵(2009)「保護者の保育ニ-ズとその対応に関する研究

Ⅰ」『医療福祉研究』愛知淑徳大学医療福祉学部第 6 号、p89-110

齋藤幸子、須永 進、青木知史、山屋春恵(2008)「保育所における保護者のニーズとその対応に 関する調査」『日本子ども家庭総合研究所紀要』日本子ども家庭総合研究所第 45 集、p303-310 須永 進、青木知史、齋藤幸子、山屋春恵(2010)「保護者の保育ニーズとその対応に関する研究

Ⅱ」『愛知淑徳大学論集 福祉貢献学部篇第 1 号』愛知淑徳大学福祉貢献学部、p83-106 須永 進ほか(2008) 『子育て支援を考えるために』蒼丘書林

須永 進、巷野悟郎ほか(1999)『子育て相談の手引』社会福祉法人日本保育協会

(14)

付表Ⅰ 保護者の保育に対するニーズ(要求)例および対応策等の記入件数

保育所 幼稚園

ニーズ項目 内容の記入あり

対応策 記入あり

対応に 苦慮

内容の記入あり

対応策 記入あり

対応に 苦慮 件数 ****** 件数 ********

1.保育の内容 74 39.6 98.6 25.7 48 42.1 97.9 23.4 2.保育の方法・形態 80 42.8 100.0 35.0 54 47.4 100.0 22.2

3.食事 69 36.9 97.1 26.1 62 54.4 98.4 9.8

4.保育士・教諭や職員に対して 41 21.9 100.0 48.8 29 25.4 96.6 32.1 5.保育の環境 36 19.3 97.2 27.8 35 30.7 94.3 24.2 6.その他 22 11.8 100.0 40.9 15 13.2 93.3 35.7

322 243

回答者 187 名に対する **回答者 114 名に対する ***内容記入ありに対する

付表Ⅱ 保護者の保育ニーズに対する基本方針の記入件数

保育所 幼稚園

基本方針の記入 内容の記入あり 内容の記入あり

件数 件数

園として 118 63.1 71 62.3

保育者として 133 71.1 74 64.9

その他 5 2.7 3 2.6

付表Ⅲ-1 保護者の保育ニーズへの対応に苦慮することがあるか

対応の苦慮 保育所 幼稚園

件数 件数

よくある 6 3.2 9 7.9

時々ある 41 21.9 25 21.9

たまにある 44 23.5 32 28.1

ない 71 38.0 33 28.9

不明 25 13.4 15 13.2

187 100.0 114 100.0

付表Ⅲ-2 保護者の保育ニーズへの対応に最も苦慮した事例および対応過程等の記入件数

保育所 幼稚園

記入内容 内容の記入あり 内容の記入あり

件数 件数 **

最も苦慮したニーズ例 74 39.6 51 44.7

対応過程と苦慮した点 50 26.7 40 35.1

回答者 187 名に対する ** 回答者 114 名に対する

(15)

付表Ⅳ 最近の保護者に対する印象

保護者に対する印象

当 て は ま

やや当て はまる

あまり当 てはまら ない

当てはま

らない 不明 合計

保育所% 保育所% 保育所% 保育所% 保育所% 保育所% 幼稚園%** 幼稚園%** 幼稚園%** 幼稚園%** 幼稚園%** 幼稚園%**

権利意識が強い 7.5 32.6 42.2 12.8 4.8 100.0 11.4 33.3 38.6 14.0 2.6 100.0 子どもとの接し方や遊び方がわか

らない

21.4 48.1 24.6 4.8 1.1 100.0 5.3 35.1 42.1 16.7 0.9 100.0 園や保育者に難しい要求をする 4.8 31.0 50.3 9.6 4.3 100.0 12.3 43.0 32.5 12.3 0.0 100.0 自己中心的

15.5 47.6 29.4 5.9 1.6 100.0 23.7 40.4 28.9 7.0 0.0 100.0 子どもに過保護・過干渉

13.9 53.5 27.3 3.2 2.1 100.0 23.7 57.0 17.5 1.8 0.0 100.0 しつけや教育に熱心

7.0 29.9 55.6 5.3 2.1 100.0 13.2 50.0 36.0 0.9 0.0 100.0 子どもの言動に過剰な反応・対応

をする

13.4 35.3 43.9 5.9 1.6 100.0 21.1 50.0 26.3 2.6 0.0 100.0 子どもを放任・無関心 6.4 35.8 42.2 13.9 1.6 100.0 1.8 17.5 54.4 25.4 0.9 100.0 子育てに負担感・不安感を持って

いる

8.6 53.5 35.3 1.1 1.6 100.0 6.1 28.9 52.6 12.3 0.0 100.0 子どもに容易に手をあげたり、大

声でしかったりする

7.0 31.6 40.6 19.8 1.1 100.0 1.8 14.0 50.9 33.3 0.0 100.0 コミュニケーションがとりづらい

5.9 40.6 41.2 11.2 1.1 100.0 4.4 24.6 51.8 19.3 0.0 100.0 子どもの食事や健康に気を配って

いる

7.5 43.9 44.4 3.2 1.1 100.0 14.9 56.1 26.3 2.6 0.0 100.0 子どもの生活リズムを大切にして

いる

4.8 31.0 54.0 9.1 1.1 100.0 11.4 41.2 45.6 1.8 0.0 100.0 父母(家族)が協力して子どもを

育てている

12.8 62.0 23.0 1.1 1.1 100.0 25.4 61.4 13.2 0.0 0.0 100.0

仕事と育児を両立して生活を楽しんでいる 5.9 54.5 34.8 3.2 1.6 100.0 子育てを楽しんでいる 20.2 62.3 17.5 0.0 0.0 100.0 園の方針に協力的である 19.3 63.1 15.0 0.0 2.7 100.0 24.6 57.9 16.7 0.9 0.0 100.0 保護者同士の交流が盛んである

16.0 43.3 33.2 2.1 5.3 100.0 42.1 46.5 2.6 0.0 8.8 100.0

回答者 187 名に対する ** 回答者 114 名に対する

(16)

付表Ⅴ 子育て支援に対する考え

支援に対する考え 保育所 幼稚園

件数 件数 子育てが難しい現在、すべての家庭を対象に今後ますます充実さ

せるべきである。 95 50.8 43 37.7

子育ての責任はあくまで保護者やその家庭にあるので、それを補

完する必要が生じた場合のみ限定的な支援が望ましい。 67 35.8 48 42.1

保育の内容を充実させることで、保育所・幼稚園における子育て

支援は十分である。 6 3.2 8 7.0

その他 9 4.8 8 7.0

不明 10 5.3 7 6.1

187 100.0 114 100.0

付表Ⅵ-2 回答者の年齢

年齢 保育所 幼稚園

件数 件数 20 代 104 55.6 62 54.4 30 代 43 23.0 25 21.9 40 代 27 14.4 15 13.2

50 代 10 5.3 8 7.0

60 代以上 0 0.0 3 2.6

不明 3 1.6 1 0.9

187 100.0 114 100.0 付表Ⅵ-1 回答者の性別

性別 保育所 幼稚園

件数 件数

男性 4 2.1 4 3.5 女性 181 96.8 109 95.6 不明 2 1.1 1 0.9 187 100.0 114 100.0

付表Ⅵ-3 回答者の職種

保育所 幼稚園

職種 件数 職種 件数

保育士 168 89.8 教諭 91 79.8

主任保育士 10 5.3 主任・副園長 11 9.6

施設長 5 2.7 園長 5 4.4

保健師・看護師 1 0.5

栄養士 1 0.5

その他 1 0.5 その他 7 6.1

不明 1 0.5 不明 0 0.0

187 100.0 114 100.0

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