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博士学位請求論文 審査報告書

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Academic year: 2021

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【 様 式 : 教 研 院 博 13( 共 通 )】

( A4 判 縦 、 3,000 字 以 内 )

博 士 学 位 請 求 論 文 審 査 報 告 書

論 文 審 査 担 当 者

主 査 明 星 大 学 教 授 高 橋 史 朗 委 員 明 星 大 学 教 授 青 木 秀 雄 委 員 拓 殖 大 学 教 授 澁 谷 司

申 請 者 氏 名 薛 格 芳

論 文 題 目 「『 台 湾 歴 史 』教 科 書 形 成 史 研 究 ― ― ナ シ ョ ナ ル・ヒ ス ト リ ー の 模 索 」

【 論 文 審 査 の 結 果 の 内 容 】 研 究 構 成

本 博 士 論 文 は 序 章 、1~ 5 章 、終 章 で 構 成 さ れ て い る 。序 章 で は 、歴 史 教 科 書 に お け る 日 中 関 連 記 述 を 巡 る 論 争 や 対 日 意 識 の 形 成 の 背 景 な ど に つ い て 説 明 し た 。 第 1 章 で は 、戦 前 の 日 本 統 治 時 代 初 期 の 台 湾 歴 史 像 を も っ と も 端 的 に 示 す 関 口 隆 正 著『 台 湾 歴 史 歌 』 を 研 究 対 象 と し 、 漢 詩 文 と 和 詩 文 併 記 の 記 述 内 容 に つ い て 分 析 し た 。 第 2 章 で は 、 終 戦 直 後 の 中 国 国 民 党 支 配 下 の 初 期 に 作 成 さ れ た 『 中 等 学 校 暫 定 用 中 国 歴 史 課 本 』 を 研 究 対 象 と し 、 初 め て 「 中 国 史 」 を 「 本 国 史 」 と す る 本 教 科 書 の 叙 述 内 容 を 、終 戦 前 後 の 概 況 と 歴 史 教 育 の 状 況 を 踏 ま え て 検 討 し た 。第 3 章 で は 、 「 中 国 」 を「 本 国 」と す る 国 定 歴 史 教 科 書 の 叙 述 内 容 に つ い て 分 析 し 、 「 台 湾 歴 史 」抑 圧 の 意 味 と 変 化 の 様 相 を 明 ら か に し た 。 第 4 章 で は 、 1990 年 代 に 入 り 、「 台 湾 化 」 が 加 速 す る 中 で 、 系 統 的 に 台 湾 の 歴 史 を 教 え る 歴 史 教 科 書 『 認 識 台 湾 』 が 誕 生 し た 歴 史 的 経 緯 を 、李 登 輝 総 統 の 主 張 を 踏 ま え て 明 ら か に し た 。第 5 章 で は 、 『 認 識 台 湾 』の 歴 史 記 述 の 特 色 と そ れ を 巡 る 論 争 点 を 分 析 す る こ と に よ っ て 台 湾 歴 史 像 の 生 成 過 程 を 解 明 し 、 新 た な 「 台 湾 歴 史 」 教 科 書 誕 生 の 意 義 に つ い て 考 察 し た 。

本 博 士 論 文 は 、 教 科 書 と ナ シ ョ ナ ル ・ ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 形 成 と の 関 係 に つ い て

台 湾 の 政 治 的 変 遷 と 絡 め な が ら 考 察 し 、 日 本 統 治 時 代 か ら 中 国 国 民 党 支 配 下 の 教 科

書 の 叙 述 内 容 に つ い て 詳 細 に 分 析 し た 労 作 で あ る 。 本 論 文 で 最 も 注 目 さ れ る の は 、

李 登 輝 政 権 が 推 進 し た 「 民 主 化 」 (「 本 土 化 」 )の 過 程 で 、 い か に 「 台 湾 人 ア イ デ ン

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テ ィ テ ィ 」が 横 溢 す る よ う に な っ た か を 巧 み に 捉 え た 点 に あ る 。 『 認 識 台 湾 』の 分 析 を 通 し て 、 「 台 湾 独 自 の 歴 史 を 知 る よ う に な り 、中 国 史 観 か ら 抜 け 出 し 、自 ら の 独 自 の 歴 史 観 を 構 築 」 す る プ ロ セ ス を 明 ら か に し た 点 は 評 価 で き る 。 ま た 、 あ ま り 知 ら れ て い な い 関 口 隆 正 著 『 台 湾 歴 史 歌 』 を 発 掘 し た 功 績 も 大 き い 。

全 体 と し て 、 後 述 す る よ う に 、 こ な れ な い 語 句 や 論 文 構 成 な ど に 若 干 の 不 備 は あ る も の の 、 先 行 研 究 を 十 分 に 踏 ま え て 、 台 湾 の 歴 史 教 科 書 を オ リ ジ ナ ル な 視 点 で 分 析 し 、 新 た な 史 料 も 駆 使 し て 台 湾 の 歴 史 教 科 書 形 成 史 研 究 の 新 た な 地 平 を 切 り 拓 い た 学 術 論 文 と し て 高 く 評 価 で き る 。

以 上 に よ り 、 本 研 究 論 文 は 博 士 (教 育 学 )の 学 位 を 授 与 す る に 十 分 価 値 あ る も の と 認 め る 。

【 試 験 及 び 試 問 の 結 果 の 要 旨 】

口 頭 試 問 に お い て は 、 主 に 以 下 の 点 に つ い て 論 文 審 査 担 当 者 か ら 質 問 が あ っ た 。

① 「 去 日 本 化 」 → 「 脱 日 本 化 」、「 華 化 」 → 「 漢 化 」 な ど 、 こ な れ な い 語 句 が 散 見 さ れ る 。② な ぜ 日 本 統 治 時 代 の 公 立 学 校 な ど で の 教 科 書 を 取 り 上 げ な か っ た の か .そ う し な い と 一 貫 性 が な く 、 バ ラ ン ス に 欠 け る の で は な い か 。 ③ 第 1 章 は 最 終 章 に も っ て き て 「 参 考 」 あ る い は 「 補 充 資 料 」 と し た 方 が 良 い の で は な い か 。 ④ 教 科 書 検 定 制 度 へ の 移 行 に よ っ て 、 教 科 書 の 記 述 内 容 に ど の よ う な 変 化 が 見 ら れ る か 。 ⑤ 『 認 識 台 湾 』は 、 「 日 本 の 植 民 統 治 を 美 化 し て い る と は い い が た い 」と 述 べ て い る 根 拠 は 何 か 。 ⑥ 国 立 教 育 政 策 研 究 所 の 研 究 に お い て 、 台 湾 の 『 国 民 中 小 学 9 年 一 貫 課 程 綱 要 』 な ど が 日 本 の カ リ キ ュ ラ ム 研 究 に 対 し て 新 た な 知 見 や 様 々 な 問 題 に 対 す る 示 唆 を 与 え る と 評 価 し て い る の は な ぜ か 。⑦『 認 識 台 湾 』の「 反 中 」 「 親 日 」を 巡 る 論 争 点 は 何 か 。 ⑧ 戦 後 の 中 国 国 民 党 に よ る 統 治 と 台 湾 独 自 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 巡 る 深 い 対 立 の 争 点 が 、 新 カ リ キ ュ ラ ム の 教 科 書 で は ど の よ う に 引 き 継 が れ た の か 。 ⑨ 今 回 の 台 湾 総 統 選 挙 に 教 科 書 が 影 響 を 与 え た と 思 う か 。

こ の よ う な 質 問 に 対 す る 申 請 者 の 回 答 は 実 に 的 確 か つ 納 得 で き る も の で 、論 文 審 査 担 当 者 の 質 問 内 容 や 質 問 意 図 を 十 分 に 理 解 し た 上 で 本 研 究 の 課 題 を 整 理 で き て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 ま た 、 今 後 の 研 究 課 題 と し て 、 戦 前 の 公 立 学 校 で 使 用 さ れ た 歴 史 教 科 書 や 教 科 書 検 定 制 度 へ の 移 行 後 の 教 科 書 の 最 新 動 向 の 分 析 に も 取 り 組 み た い と の 回 答 も あ っ た 。

上 述 し た 論 文 審 査 と 口 頭 試 問 の 結 果 を 慎 重 に 審 査 し た 結 果 、 合 格 と 判 定 し た 。

参照

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