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平成 28 年度社会福祉学研究科 博士論文・修士論文要旨

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Academic year: 2021

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— 120 — — 121 —  本研究では、青年期の大学生を対象に、対人葛藤

場面における被害者の許しの動機の違いが、加害者 の許しの認知にどのように関連しているのかを検討す ることを目的とし、二つの調査を行った。そこで、利 他的な動機による許しと利己的な動機による許しで は、加害者の許しの認知は異なるという予測を立てた。

調査 1 では、被害者が利他的な動機によって加害者 を許した場合の方が、利己的な動機によって加害者 を許した場合よりも、加害者の許しの認知の程度が高 くなることが示された。しかし、加害者の許されたか どうかの判断の得点の平均値は、全体的に値が低く、

許しの認知は小さいものであった。さらに、被害者か ら報復される可能性の推測については、許しの動機の 違いによる差は見られなかった。以上から、被害者は 本心ではまだ許してはおらず、報復する可能性がある と加害者が推測していたことが示された。

 調査 2 では、許しの認知に影響を与える要因として、

被害者の信頼の回復の有無を加え、被害者の許しの 動機と信頼の回復についての加害者による推測が加 害者の許しの認知に影響を与えると予測し検討を行っ た。その結果、信頼の回復の操作は加害者の許しの 認知に影響を与えないということが示された。そして、

利他的動機による許しの方が、利己的動機による許し よりも、被害者の信頼は回復しており、許されたと加 害者は認知し、報復される可能性も低いと推測するこ とが明らかとなった。

 以上より、本研究の目的は、許しの動機が加害者 の許しの認知に影響を与えているということを示すこと が出来たため、達成されたといえるだろう。

 本研究の課題は、6 つの許しの動機におけるそれぞ れの許しの認知の程度の違いを明らかにすることだと 考えられる。それらの違いに着目し、それぞれに仮説 を立て、検証することが出来れば、加害者の許しの認 知のプロセスをより詳細に明らかに出来る可能性があ るといえるだろう。

 失語症は脳血管障害によって生じる代表的な障害 であり、「聴く、話す、読む、書く」といった言語機能 に障害を呈することから、日常生活や社会参加等に与 える影響は大きいとされている。そして、これらの症 状を軽減することを目的とした医学的リハビリテーショ ンは長期間にわたる対応が必要であるとされている。

そのような中、本研究では、岩手県内で回復期から 生活期リハビリテーションへ移行した失語症者とその 家族及び支援者に対して、言語機能の改善度と個人 の属性との関係や、失語症支援に関する要望等につい て調査を行い、岩手県における失語症者支援につい て提案することを目的とした。

 調査1では、在宅失語症者及びその家族へ質問紙 調査を行い、個人の属性(性別、年齢、会話頻度、サー ビス利用の有無等)と現在の言語機能について調査 した。調査2ではインタビューを実施し、失語症者及 びその家族が抱えている問題点や要望について調査 した。調査3では、地域で支援をしている施設職員等 に対して質問紙調査を実施し、支援の現状や要望を 調査した。

 調査の結果、言語機能の改善度と「聴く」「話す」

との間には高い相関がみられ音声言語による会話をす る機会を設けることで言語機能改善効果の可能性が 高いことが分かった。また、言語機能と個人の属性間 には顕著な関連は認められなかったが、各種サービス を利用することが失語症者とその家族の精神的な安定 に影響を与えていることが示された。さらに、最も多 かった要望は、言語聴覚療法の回数増加や相談でき る場所の確保と失語症者との関わり方について知りた いというものであった。

 これらの結果から、岩手県における失語症者支援 は、失語症者及び家族に対する交流の場の確保と失 語症者との会話技術の習得に向けた人材養成等に取 り組み、地域を越えた連携の輪を広げることが必要で あることが示された。特にリソースが乏しい地域では、

地区を越えて連携を図り、支援をしていくことの重要 性を示すことができた。

安藤文哉 佐藤育美

対人葛藤場面における被害者の許し動機の 加害者による推測が加害者の許しの認知に

与える影響について

地域における言語障害者の支援に関する基礎研究

―岩手県の失語症者支援についての一考察―

平成 28 年度社会福祉学研究科 博士論文・修士論文要旨

修士論文

岩手県立大学社会福祉学部紀要 第 19 巻 (2017. 3)

参照

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