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平成 27 年度社会福祉学研究科・修士論文要旨

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Academic year: 2021

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― 131 ― 羞恥感情と認知のゆがみが

社会的逸脱行動許容度に及ぼす影響

  荒木田詩織

 本研究では青年期の大学生を対象に、羞恥感情と認 知のゆがみが、社会的逸脱行動の許容にどのように関 連しているのか検討することを目的とし二つの調査を 行った。今回の調査では、羞恥感情得点が高く、認知 のゆがみ得点が高い人ほど、その後の逸脱行動の許容 度が高まると予測していた。調査 1 では、羞恥感情と 認知のゆがみの影響によって逸脱行動へは非許容的に なる傾向が示された。しかしながら、一部の羞恥感情

(自己不全感)と認知のゆがみ(虚偽過小評価)によっ て逸脱行動の許容度が高まる可能性が示唆された。そ こで調査 2 では自己不全感と虚偽過小評価場面の影響 で逸脱行動の許容度が高まるかどうかを検討したが、

これらの関連を示すには至らなかった。その一方で、

個人の持つ認知のゆがみではなく、場面によって生じ た認知のゆがみ(虚偽過小評価)によって逸脱行動の 許容度が高まる可能性が示唆された。つまり、認知の ゆがみ傾向は状況によって変化していると考えられる。

 しかし、本研究で設定した「友人・仲間集団に虚偽 過小評価が生じている場面」と場面内の認知のゆがみ の関連はみられなかった。このことから、今回の場面 における認知のゆがみを変化させた要因は友人・仲間 集団以外の影響が強く、その後の逸脱行動許容の判断 にも影響を与えたと思われる。その一つの要因として、

提示したエピソードの影響があげられる。本調査のエ ピソードの内容は、「カンニング・無銭乗車・未成年 者との飲酒」の可能性を想起させるものであり、法律 や参加者の所属する集団(大学)で明確な罰則規定が あり強制力の強いものであったため、参加者は友人や 仲間集団の影響よりも、エピソードの内容によって逸 脱行動許容の判断をしたことが考えられる。

 今後は、個人のもともと持つ羞恥感情や認知のゆが み傾向と、状況によるこれらの差異も合わせて検討し ていくことが必要だ。これらの影響を検討し、逸脱行 動生起過程を解明していくことは、くり返される逸脱 行動の予防やその介入のためのアプローチの一助とな るだろう。

補聴器装用時の聞き取りに関する基礎研究

―室内音環境による影響と視覚情報の活用―

  石鉢みづほ

 近年、通常の学級に在籍する難聴児は増加しており、

大学等に進学する者も増えている。しかしながら通常 の学級では口話によるコミュニケーションが基本であ るため、音の聴取が困難である彼らには様々な課題が 生じている。本論文では、難聴児童・生徒が円滑な音 声コミュニケーションをとるための方法として、補聴 機器の利用、座席位置、視覚情報の利用の 3 つの面か らのアプローチが有効であると考え、2 つの実験に よってこれらの有効性を検討することとした。

 実験 1 では、補聴機器の使用と話者の座席位置によ る聞き取りの違いの検討を目的とし、教室内にてグ ループ学習を行う場面を想定した収録音を音源とし、

語音明瞭度の測定と音質主観評価並びに補聴機器使用 時の方向感について検討した。実験 2 は視覚情報によ る音声情報の補完の程度を検討するため、映像 + 音 声刺激及び音声刺激を提示した場合の単語了解度の測 定を行った。

 これらの結果から、補聴器装用時は話者との間の距 離によって音声情報量に差が見られるため、話者が遠 くにいる場合は、視覚情報による情報の補完が重要で あると言えた。また音質の面では、壁側よりも窓側に 着席する方が良いと言えた。他方 FM 補聴システム 使用時は、送信機のマイクロホンに入力される音声レ ベルが一定であれば、情報量の面でも音質の面でも聞 き取りは保障されると言えた。しかしながら、方向感 の面では判断がしにくくなるため、視覚による状況の 把握が必須であることが示唆された。また SN 比が低 いなど、聞き取りの条件が悪いほど視覚情報が有用で あることが確認され、健聴者側のアプローチとしては 難聴児・者にはっきり顔が見えるよう発話することが 重要であることが客観的に改めて示された。

 以上より、補聴器と FM 補聴システムは各々メリッ ト・デメリットが存在するため、座席位置の移動や視 覚情報の利用によってそれらを補うことが、音声コ ミュニケーション環境の向上につながると言えた。

平成 27 年度社会福祉学研究科・修士論文要旨

岩手県立大学社会福祉学部紀要 第 18 巻(2016. 3)

県立大社会福祉学部.indb 131 16/03/18 8:56

参照

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