上水道管理システムへのコンピュータ導入に 関する多属性意思決定分析
(昭和55年9月18日 原稿受付)
情報工学教室村上周太 三菱電機㈱築山 誠
Multiattribute Decision Analysis on Introducing Computer Systems to City Water Management Systems
by Shuta MURAKAMI
Makoto TSUKIYAMA
Ab8tract
Th輌s paper deals with the decision analysis using Inultiattribute utility function to choose the most e冠ective alternative for introd促lng the computer systems to the city water supply management system in Kitakyushu city. Effectiveness is a complex function including attributes of cost, reliability, multi・
Plicity of use, and reduction of personne1.
New method to assess the subjective probability is proposed and the multiattribute util輌ty function is assessed over four attributes. Details of these assessment are given. And we also make clear the concept of the value of information under consideration of multiattribute utility function.
The results and implication of the multiattribute decision analysis on this decision problem are dis・
cussed.
1.まえがき 本論文では・この意思綻問題に対して・北九州市の
上水道システムを例にとり,コンピュータによる管理シ 水道事業は将来の水需要に対して,公共{生,経済性を ステムとして,6つの代替案を考え,また決定に影響を 発揮させるため,広域に散在する水源,浄水場,ポンプ 与える属性として,コンピュータシステムのコスト,信 場,配永池など水道全施設の能率的,弾力的運用をはか 頼性,多用途性,省力化による削減人数を取りあげる。
らなけれぽならない。また水道設備は,平常時,異常時 そして,各属性の取り得る値に対して,主観確率分布を ともに安全性確保を大原則とし,その機能を常時維持す 与える方法を述べ,同時に各属性に対する効用関数およ る必要がある。そこで,広範囲に散在する水道施設を電 びトータル効用関数を与えて,いわゆる多属性意思決定 子計算機システムとデータ伝送システムで有機的に結合 分析を試みる。
し,取水から配水に至る制御をナンラインで総括的に管 最後に,各属性の測度がそれぞれ異なる多属性意思決 理する広域管理システムが必要となってくる。その際, 定問題における情報の価値の概念を明らかにし,情報収
どの程度の規模のコンピュータシステムを導入すれぽよ 集費用の目安となる情報の価値について考察する。
いかという意思決定問題1)が起こってくる。
の計算機は結合させる。
2.決定問題
A6. A5と同様iのシステムであるが,管理用として
2.1代替案 中型計算機を置く。
北九州市の水道施設は今川及び紫川水系と遠賀川水系 2.2属性
の2つに分けられ,前者には3つの浄水場,後者には6 6つの代替案に影響する属性として,つぎの4つの属 っの浄水場がある。前者では井手浦浄水場が,後者では 性を考えることにする。
穴生浄水場が他の浄水場と比較して非常に大きく,これ X1一システムの信頼性
ら2つの浄水場で北九州市の約85%の浄水量をしめて 制御システムにおいては,計算機がダウンしても,
いる。以上の事を考慮して以下の代替案を設定する。 めくら運転とならないように高い信頼性が要求さ A1. すべての施設を中央の大型計算機で制御,管理 れる。信頼性は稼動率によって表す。
するシステムとする。 ,鴎一計算機システムを導入するのに要する費用 A2.すべての施設を中央の中型計算機で制御,管理 金額で測る。金額で表されるものの中で,取水水 する。 源最適運用による利益,薬品節減費,動力節減費 A3.すべての施設を中央の48kw程度の主メモ はどの代替案を取っても同じと考えられるので,
リーを持つ計算機で制御し,一これを大型計算機 これらは除く。費用としては計算機システム購入 で管理するシステムとする。これら2台の計算 費,計装設備費,計算機室設備費,維持費を考え 機はセミデュアル方式で結合する。 ることにする。
A4. A 3と同様のシステムであるが,管理用として X3一計算機システムの多用途性
中型計算機を置く。 計算機で処理できる業務は必然的に計算機の規模 A5.すべての施設を東部地区,西部地区の2つに分 に依存する。そこで,各計算機システムが処理で け,東部地区には井手浦浄水場に主メモリー16 きる業務の量を計算機システムの多用途性と考え kw程度の制御用計算機を置き,西部地区には る。広域管理システムで考えているすべての業務 穴生浄水場に主メモリー32kw程度の制御用計 を十分に実行できるときを10単位とし,制御的 算機を置き,各々の地区の施設を制御する。中 業務しかできないときを0単位とし,全体を10 央には管理用の大型計算機を置く。これら3台 等分する。この単位数で各代替案の多用途性を測
表一1 各代替案に対する各属性の取り得る値の範囲
代替案
ョ 性
A1
蛛@型
A2
?@型
A3大型
@ +制
A4中型
@ +制
A5 大型
^ \
ァ一制
A6 中型
@/ \
ァ一制
計算:機システム購入費
@ (千円)
500,000
@ 〜
Q,000,000
500,000
@ 〜
P,500,000
1,000,000
@ 〜
Q,400,000
800,000
@ 〜
Q,000,000
1,000,000
@ 〜
Q,600,000
800,000
@ 〜
Q,200,000
言十装設備費(千円)
270,000
@〜
R10,000
270,000
@〜
R10,000
270,000
@〜
R10,000
270,000
@〜
R10,000
290,000
@〜
R30,000
290,000
@〜
R30,000
言十算機室設備費(千円) 40,000 40,000 40,000 40,000 81,000 81,000
維 持 費(千円) 13,500 12,900 13,900 13,700 14,700 14,100
信頼性〔稼動率〕(%) 90〜98 90〜98 98〜100 98〜100 99〜100 99〜100
多 用 途 性(単位) 0〜10 2〜10 10 8〜10 10 8〜10
省 力 化(人) 32〜42 29〜39 34〜44 32〜42 38〜48 34〜44
る。 Σか=1
×4一省力化 Σ套佐=ジ
計算機システムの導入によって,削減できる人数 (∬:属性の平均値,レ、:属性の値)の条件式の下で最大 各属性の取り得る値の範囲を表一1に示す・ にするρ、が事前確率であり,他に事前情報がない場合に 2・3意思決定モデル は,これを主観確率とする。他の事前情報があれぽ,そ 意思決定のツリーは図一1に示される。ある代替案が れを条件式に加えてエントロピーを最大にするρ、が事
選ぽれると・その結果として(κ1, κ2, コフ3, X4)が起こるで 前確率となる。
あろう。ここで,κ1,x2, x3,κ4は尉生X1, X2, X3, X4の システムのコストについてはFractile Method5)と意 思決定者の主観をグラフに表して主観確率を求める方法
w㌧(コスト) 翻A1の代替_,ストの上限値と下
, 限値はいくらと思いますか。
グ も
x・deci、i。。 p。i。、 ix、(多用途1生) (翫)上随は236・35千万円で・下噸は82・35
・:一一 @ノ1鞠(省力化) (質問)::r蕊,23635]の_[82、
P(元1,。、,。、,x、1ε) 35・・]で起・る可縦と区間[柘236・35]
で起こる可能性が等しいと思われるXの値は 図一1 意思決定のツリー U(X1,X2,X3,X4) いくらですか。
(答え) 151.35です。
取る値である。しかし決定がなされた時点では,どのよ (質問)では,区間[82.35,151.35]を,等しく起 うな結果が起こるかには・不確定な要素が多分に含まれ こりそうな2つの区間に分けるとしたら,そ ている。この結果に対する不確定性を確率P(x1,κ2,κ3, の堺目の値はいくらですか。
κ4)で表す。ここで,4つの確率変数は互いに独立である (答え)123.35です。
と仮定する。 以下同様な質問を繰り返すことによって,図一2のよう つぎに・各属性を考慮した総合的なトータル効用刷x1, な確率分布を得るであろう。
κ2,X3,石)を求め,最後に期待効用によって各代替案を
1.0 評価する。
3. 主観確率分布の割り当て
意思決定分析の確率論的段階)β♪では,各属性の取り 得る値の範囲に対して,主観確率分布を割り当てなけれ
ぽならない。つまり,各属性に関する事前情報や知識の 0 5 状態をもとにして,各属性に主観確率を割り当てなけれ
ぽならない。
システムの信頼性と省力化については,平均値を事前 情報として利用することにより,最大エントロピーの原
理4)によって主観確率を割り当てる。つまり・ 0
1ゴ=_Σρ logρゴ 80 160 240
コスト 〔千万円〕
を 図一2コストの主観累締率分布
手順2 10
(質問)一番起こりそうな値はどのあたりですか。 g (答え) 134.35です。 8 (質問) では,区間〔82.35,236.35]の間で,あなた 7 の情報や知識をもとにしてグラフ用紙の上に
6 確率分布の形を描いてみて下さい。
5 (答え) 図一3のようになります。
図一3の縦軸に適当に目盛を入れ,全体の面積Sを求 4 める。つぎに,あるコストAより小さくなる部分の面積 3 S4を求あ,確率P(κ≦・4)=SA/Sを計算する。Aの値を 2 順次大きくしていくことにより,図一2のような累積確 1 率分布を描くことができる。 0
80 A 160 240
コスト 〔千万円〕
図一3 コストの主観確率分布 表一2 各代替案に対する各属性の主観確率分布
A1 A2 A3 A4 A5 A6
代替案
ョ性 κ P(ズ) x P(x) κ P(κ) x P(κ) x P(x) x P(κ)
91.9 0,051 89.3 0,095 141.4 0,071 120.4 0,056 148.6 0,032 127.5 0,035 106.9 0,125 99.3 0,152 155.4 0,132 132.4 0,133 164.6 0.1 141.5 0,095 121.9 0,156 109.3 0,181 169.4 0,161 144.4 0,167 180.6 0,139 155.5 0,152 136.9 0,177 119.3 0,152 183.4 0,161 156.4 0,167 196.6 0,175 169.5 0,169 151.9 0,146 129.3 0,133 197.4 0,143 168.4 0,144 212.6 0,170 183.5 0,166 コスト
i千万円) 166.9 0,125 139.3 0,105 211.4 0,121 180.4 0,122 228.6 0,132 197.5 0,147 181.9 0,104 149.3 0,086 225.4 0.1 192.4 0,094 244.6 0,105 211.5 0,101 196.9 0,063 159.3 0,048 239.4 0,063 204.4 0,067 260.6 0,079 225.5 0,078 211.9 0,042 169.3 0,038 253.4 0,039 216.4 0,039 276.6 0,045 239.5 0,043 226.9 0,010 179.3 0,009 267.4 0,008 228.4 0,011 292.6 0,015 253.5 0,014
90.8 0.2 90.8 0.2 98.2 0.2 98.2 0.2 99.1 0.2 99.1 0.2
92.4 0.2 92.4 0.2 98.6 0.2 98.6 0.2 99.3 0.2 99.3 0.2
信頼性 i稼動率)
@ (%)
94.0 0.2 94.0 0.2 99.0 0.2 99.0 0.2 99.5 0.2 99.5 0.2
95.6 0.2 95.6 0.2 99.4 0.2 99.4 0.2 99.7 0.2 99.7 0.2
972 0.2 97.2 0.2 99.8 0.2 99.8 0.2 99.9 0.2 99.9 0.2
2.8 0,036 1.0 0,036 10.0 1.0 8.2 0,036 10.0 1.0 8.2 0,036
4.4 0,238 3.0 0,238 8.6 0238 8.6 0,238
多用途性 i単位)
6.0 0,451 5.0 0,451 9.0 0,451 9.0 0,451
7.6 0,238 7.0 0,238 9.4 0,238 9.4 0,238
9.2 0,036 9.0 0,036 9.8 0,036 9.8 0,036
33 0.2 30 0.2 35 0.2 33 0.2 39 0.2 35 0.2
35 0.2 32 0.2 37 0.2 35 0.2 41 0.2 37 0.2
省力化 i人)
37 0.2 34 0.2 39 02 37 0.2 43 0.2 39 0.2
39 0.2 36 0.2 41 0.2 39 0.2 45 0.2 41 0.2
41 0.2 38 0.2 43 0.2 41 0.2 47 0.2 43 0.2
手順3 ねると,図一4のような等価効用曲線が得られるであろ 手順1と手順2で求めた確率分布を比較して,もし結 う。ただし,この場合残りの2属性の効用の値は変わら
果が異なっていれぽ・どのように異なっているかを意思 ないものとしている。また等価効用曲線は平行な直線群 決定者に知らせ再度やり直す。一致すれぽそれを主観確 と仮定する。
率分布として採用する。
このような方法をとったのは,Fractile Methodは実際 1.0 問題に適用するのが難しい場合が多い。そこで,より簡
単に意思決定者の主観を導き出すために手順2の方法と 組み合わせた。この2つの方法を生かすことによってよ
り正確に意思決定者の主観を導き出すことができる。
u3 多用途性については,正規分布を使って主観確率を導
0.5 出する。各代替案に対する各属性の主観確率を表一2に
示す。ここで,信頼性と省力化に対する分布が一様分布 になっているが,これは,事前情報として,取り得る値 の範囲の真中の値を平均値として与えると,最大エント ロピーの原理から求めた確率分布は一様となってしまう
ためである。 0 0・5 1・O u4
4. 多属性効用関数
図一4 等価効用曲線
意思決定者の各属性に対するrisk preferenceを明ら、 この等価効用曲線は効用に関しての無差別曲線であ かにする多属性効用関数を求める。多属性効用関数を求 り,各属性の効用はそれぞれ1でおさえられている。図 める方法として・R・LKeeney6)の方法が有名であるが, −4より,省力化の効用が0.1だけ失われれぽ,多用途 ここではKeeneyの方法とは別な考え方から加法的多属 性の効用が0.2増せば等価であることがわかる。ゆえ 性効用関数を求める。 に,(0.5,0.3,0.7,0.1)〜(0.5,0,$0.9,0)と 品(信頼性)・X2(コスト)・悉(多用途性), X・(省 考えられる。ここで,〜は等価であることを意味する。
力化)の4つの属性上の多属性効用関数を 以下同様にして,多用途性とコストの効用について,
μ(為為為劣4)=∫[μ1(κ1),μ2(X2),μ3栖), 等価効用曲線を求め,つぎにコストと信頼性の効用につ μ4(κ4)] いて等価効用曲線を求めて,同様の操作をする。つまり,
とする。ここで, (μ、(κ1),μ2(κ2),μ3(劣3),μ4(κ4) (4.1)
・(ぬ≧・・ξ・・の=1・砕〜・・身・・8,・2)=0 −(・1ω,。、(。、),。,(。、)+〃:。、(。、),0)
とする。ただし・劣〜は最も好ましい値κ2は最も好まし・ 〜(μ1(κ1),μ2(ズ2)+々;(μ3(x3)+届μ4(κ4)),0,0)
くない値である。また各属性の効用関数は 〜(況1(κ、)+ゐ…(駕2(κ、)+鳶5(μ3(κ,)+柘μ、(κ、))),0,0,0)
・・(・〜)=1…(・2)=0(仁1,2,3,4) 一(〃1ω+鳶…μ、(・、)+ゐ絢,(。、)+縁ゐ:。、ω,0,0,0)
とする。 と考えることができる。それゆえ,代替案を評価するた
いま意思決定者がある代替案に対して,信頼性の効用 めには,μ1(κ1)十〃▲μ2(X2)+々;薦μ3(κ,)+彪属彪μ4(κ、)
は0・5・コストの効用は0・3・多用途性の効用が0.7,省 の値だけに注目すれぽよいことがわかる。そこで,各属 力化の効用が0.1と評価したとき,これをベクトル(0. 性の効用の係数の比率を一定に保って,係数の和が1に 5,0.3,0.7,0.1)で表そう。さて,意思決定者は0.1単 なるように正規化することにより,ある結果(泊,尤2,x3,
位の多用途性の効用を失うのと何単位の省力化の効用を κ4)に対する多属性効用関数として,
得るのを等価と考えるだろうか。つまり,2属性間で, μ(苅,x2,κ3,κ4)=〃1μ1(κ1)+Lμ2(κ2)+〃3妬(掲)
一方の属性の効用が失われれぽ,それを補う意味で,他 +鳶4μ4(κ4) (4.2)
方の属性の効用がどれだけ増せぽ,等価と考えるかを尋 〃1+〃2→一克3+ん、=1 (4.3)
が定義される。 1.0 つぎに,係数島の決め方について述べる。まず,4つ
の属性を重要だと思う順に並べる。例えぽ,X1>X2>
X3>品となったとする。つぎに,蝋κ1)の効用を最良 u、(x、)
とし,他の3つを最悪とするトータル効用を考える。こ
れと等価と考えるためには,μ3(X3),μ、(κ、)を最悪の状態 0・5 でμ2(劾を最良の状態とする時に,μ1(斯)の効用はどれ
だけ下るだろうか。つまり,
∫〔μ1(灯),μ、(κ8),μ、(κ8),μ、(κ2)〕
(4.4)
一∫〔・1(・{),・・(・;),・・(・8)…(捌 0
4 114 144 174 204 234 264 294 324 354 384 となるようなμ、(κ{)の値を意思決定者に聞く。(4.4)式, x・(コスト) 〔千円〕
図一6 コストの効用曲線 (4.2)式より,
々1=ゐ1μ1(κ{)一←ゐ2 (4.5) 1.0
となる。同様にして,
∫〔μ1(κf),μ、(駕;),μ,(κ8),μ・(x2)〕
一ル1( 〃κ1),。、(。身),。,(。ξ),。、(。2)〕(4・6) 。,(・、)
となるようなμ1(κ{ )の値を聞く。(4.6)式,(4.2)式よ 0・5
り
々1:=鳶1μ1(κ{ )十々3 (4.7)
が得られる。以下同様にして得られる方程式と係数丸の 和が1になるという(4.3)式と連立させて解くことに
よって重み係数〃 が求められる。 0 5 10 最後に,個々の属性の効用関数は一般的な求め方5L6) X、(多用途性)
によって離近似をした.図_5一図一81・各属性の効 図一7多用途性の効融線
用関数を示している。多用途性の効用関数については, 1.0 意思決定者は計算機を導入する以上できるだけ多くの処
理業務を計算機にまかせ,必要なデータはすぐに参照で
1.o x1⊇≧97 u4(x4)
・1(・1)一†〔1ギ÷;7} 1〕+α5 。.5
u1(x、)
0.5
゜2931333537394・43454749
x、(省力化) 〔人〕
図一8 省力化の効用曲線 0 きるようにしたいと思っているので,この態度が下に凸
9・
@ 。、(95稼動率) 課〕 な臓となっ閲れて・・る.また藷馳の効融齢
図_5 信頼性の効用曲線 2つの範囲に分かれて異なった関数で表されているが・
これは,意思決定者はシステムの稼動率は95%以上はな れたとする。このことは他の属性の確率分布が けれぽならないと思っているけれども,水道施設の制御 {エ 厩,ε}={エ1ε}/{副ε}となるということと,κ1がコス は秒を争うような制御ではないので,98%程度の稼動率 トならぽ,それがどんな値を取ろうとも,κ1に費用κピ があれぽよいと考えているためである。 だけ加えなけれぽならないという2つの影響をもたら す。このときのトータル効用は
5・多属性罧峡分析 こお{ナる欄の晒 @ 。(〆,。、)一触ぴ1+&∂+ゐ、。、(。、)+_』編
意思決定分析における情報価値段階2♪β)では,完全情 +...+輪μ・(輪)
報の考え方を用いて,各属性の不確定性をなくすために で表される。それゆえ,このときの最良の決定は,
費すことのできる金額,つまり,情報収集の費用の目 ♂(κ ,κ。,,ε)=max−1〈μ(〆,x )匡, K絢,ぱε〉
ご
ξ:㌶鴛籔燃:當旨織㌶㌶ =r1廊・幼)繊・}ぽ
費すことのできる金額の上限を与えるものとして,意思 である。最良の決定での期待効用は
決定分析では重要な役割をはたす。 max〈μ(苫 ,尤汕x ,κxξ,4ε〉=〈μ(x ,κ訓κゼ,κ苅,
属性の同時確率分布が{Xlε}={泊,κ2,...,κパε} 欲,ε〉
で表されているものとする。ここで,εは事前情報を表 となる。しかしながら,完全情報を集めることによって,
す。この時,最良の決定は期待効用を最大にするもので その完全情報として,石、という値が得られるかどうかは ある。つまり, 確かではない。もしガ佃をとることを確信しているなら
♂(・)=r〈・14・〉一呼∫・(x)・{蹴 蕊鑑:驚竃1霊1;欝慧1二ξ
ここで,㎡は代替案の集合,♂(ε)は事前情報にもとつい 情報を集めることによって,最良の決定を行ったときの カ た最良の決定を表し,μ(x)=Σ島μぎ(ズ∂ある。事前清報 全期待効用は
ぎヨエ
での最 h鷲欝効用を⇔とすると 甑・〉=エ〈・㈱緬畝酬九
である。 である。もし完全情報の費用が0ならば,全期待効用 つぎに,属性碗の値が完全にわかったときの完全情報 〈司κ溺=0,ε〉は,完全情報がないときの最良の決定 の価値を求めよう。多属性意思決定分析では,すべての での期待効用〈川ε〉よりも大きくなる。しかしながら,
属性が金額で測られているわけではないので,完全情報 完全情報の費用が増加するにつれて,完全情報を得た後 の価値を金額で導き出すには工夫がいる。たとえば,省力 の全期待効用は,完全情報がないときの期待効用に近づ 化は金額でなく人数で測られているので,人数と金額の いてきて,ある値で等しくなる。そのκ。ゴの値が完全情 間に何らかの関係がなけれぽ,情報の価値を金額で表す 報の価値である。つまり,
ことはできない。 〈副κ。ゴ,ε〉=〈刎ε>
4.の多属性効用関数を導出する過程で,多属性効用関 となるようなκがが属性κ についての完全情報の価値 数μ(潔)=Σ島μ (幼)においては,κ の効用を1単位失う である。
ピエ
ことと,駕1の効用をゑ /カ1単位得ることとが等価である この考え方はつぎのような興味深い応用もできる。た がいえている。つまり,完全情報によって,石の値がκ 。だ とえぽ,κ1を省力化とし,石を信頼性とすると,信頼性 と分かることにより,κ の効用が{傾κぎ。)一μご(κゴ)}単位 についての情報の価値を金額ではなく人数で測ることも 増えることと,苅の効用がん /〃1・{傾希。)一傾X )}単位 できる。っまり,人数を増やして保守・点検を頻繁に行 減ることと等価である。そこで,κ童が金額で測られてい えぽ,信頼性の不確かさの範囲を高い方に狭めることが るとすると,多属性効用関数を通して,金額で測られて でき,それゆえ,信頼性を高めるために,何人の人間を いない他の属性κ の測度と金額が関連づけられたこと 増やせぽよいかが分かってくる。
になる。
属性κ の値についての完全情報が瓦苦の費用で得ら
蒙一3 各代替案の期待効用 ・最良の決定 6.分析結果
各代替案の評価はトータル効用の値によって行う。 DM°
トータル効用で確率的優越性が言える時には,その代替
案を最良の決定とする。確率的優越性が言えない場合に 1 は,トータル効用の期待値が最も大きくなる代替案を最
良の決定とする。 2 この決定問題では,最終的に意思決定者を確定できな
かったので,6人の仮想的な意見決定者を設定して分析 3 を行う。6人の意思決定者(D.M)はそれぞれの考え方
を持っている。第1のD.Mは信頼性,コスト,多用途性, 4 省力化を同じ程度重要であるとみている。第2のD.M
はコストを一番重視し,省力化は重要と考えていない。 5 第3のD.Mは省力化を一番重視し,つぎにコストを重
視している。第4のDMは信頼性とコストを同じ位重 6 視している。第5のD.Mは信頼性と多用途性を同じ位
重視している。第6のD.Mは信頼性を特に重視し,省力
化,多用途性についてはほとんど重要視していない。 つぎに,完全情報の価値を調べるため,まず確率論的 表一3に各々の意思決定者に対して,各代替案の期待 感度分析を行うと,第1のD・Mの場合には感度がな 効用と最良の決定を示している。この表より,どの意思 かった。それゆえ,第1のDMについての最終決定は 決定者についても,A1, A2の代替案は他の4つの代替案 A5の代替案となる。第2のD・Mの場合には, A6のコス に較べて期待効用は小さくなっている。それはA1, A2 トと省力化に対して感度が高く,完全情報の価値はそれ が他の4つと較べて優れているのはコストが安いという それ8,744万円と78万円となる。このことは,第2のD.
面だけで,他の3つの属性のとる値がどれも悪いからで Mにっいては,A6のコストに関する情報を収集し,新し あろう。 く得られた情報をもとにして,再度分析する方が良いと A3, A4, A5, A6の代替案では,意思決定者によって, 思われる。
評価の順序が変わってきている。第2のD.Mはコスト 以上の分析結果を通して,北九州市の上水道管理シス を重視し,省力化を軽視しているから,最良の決定は4っ テムとしては,中央に管理用の大型または中型の計算機 の代替案の中でコストの一番安いA4となっている。第6 を置き,東部地区と西部地区の浄水場にそれぞれ1台ず のD.Mは信頼性を最重要視しているので,信頼性の最 つ制御用計算機を置くハイアラキー構造を持つシステム も高くなり,コストがそれほど高くつかないA6を最良 を導入するのが良いと考えられる。
の代替案としている・他のDMにとっての顧の綻 7.あとがき
は,A5の管理用大型計算機と2台の制御用計算機でハ
イアラキー構造をもつシステムとなっている。 本論文では,多属性効用関数の構成法と多属性意思決 つぎに表を縦に見ると,同じ代替案に対しても意思決 定分析における完全情報の価値の概念を明確にすること 定者によって,期待効用の値が異なっている。代替案の ができた。その応用として,北九州市の上水道管理シス 持つ利点に重みを置き,欠点に重みを置かない意思決定 テムへの計算機導入に関する多属性意思決定分析の結果 者の期待効用が一番大きくなっている。たとえぽ,A5に として,北九州市の場合には,中央に管理用の計算機を 対して,第5のDMが一番高い効用を持っている。これ 設置し,東部地区と西部地区の浄水場にそれぞれ1台ず は,第5のDMはA5の利点である信頼性と多用途性 つ制御用の計算機を設置して,これらの計算機を有機的 に重みを置き,欠点であるコストにはそれほど重みを置 に結合したハイアラキー構造を持つ計算機システムを採 いていないことを考えれば当然のことであろう。 用するのが最良であることがわかった。
D.M.
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