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UNIVERSITY OF THE RYUKYUS GRADUATE SCHOOL OF MEDICINE, GRADUATE SCHOOL OF HEALTH SCIENCES, FACULTY OF MEDICINE SCHOOL OF MEDICINE,SCHOOL OF HEALTH SCI

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(1)

医学部

 医学科・保健学科

医学部附属病院

GUIDE BOOK

UNIVERSITY

OF

THE RYUKYUS

GRADUATE SCHOOL OF MEDICINE, GRADUATE SCHOOL OF HEALTH SCIENCES,

FACULTY OF MEDICINE

SCHOOL OF MEDICINE,SCHOOL OF HEALTH SCIENCES, AND UNIVERSITY HOSPITAL

(2)

東南アジア・南太平洋地域の医療交流拠点

UNIVERSITY OF THE RYUKYUS

GRADUATE SCHOOL OF MEDICINE,

GRADUATE SCHOOL OF HEALTH SCIENCES,

FACULTY OF MEDICINE

SCHOOL OF MEDICINE, SCHOOL OF HEALTH SCIENCES,

AND UNIVERSITY HOSPITAL

(3)

教育・研究・診療の特色

社会貢献・国際交流

組織図

職員

講座及び分野配置図

学生の定員・現員及び入学状況

大学院

解剖体

病理解剖件数

図書・学術雑誌

附属施設

附属病院

琉球大学大学院医学研究科・医学部各講座等主要研究

医学部附属病院各診療科 (部)

診療実績

土地・建物

建物配置図

アクセス

SUCCESSIVE DEANS AND DIRECTORS EDUCATION, RESEARCH AND CLINIC

SOCIAL CONTRIBUTIONS AND INTERNATIONAL EXCHANGE ORGANIZATION CHART

ACADEMIC AND ADMINISTRATIVE STAFFS DEPARTMENTS AND SUBJECTS MAP QUOTA AND ADMISSION OF STUDENTS GRADUATE SCHOOLS

AUTOPSIES FOR GROSS ANATOMY NUMBER OF PATHOLOGICAL AUTOPSIES COLLECTION OF BOOKS AND JOURNALS LABORATORY CENTERS

UNIVERSITY HOSPITAL

OUTLINE OF MAIN RESEARCH PROJECTS HOSPITAL FLOOR GUIDE

CLINICAL ACTIVITIES CAMPUS AND BUILDINGS CAMPUS MAP ACCESS 9 10 21 23 25 34 35 36 37 37 37 38 39 40 45 46 50 51 52

(4)

南に開かれた国際性豊かな医学部

大学院医学研究科長・医学部長

石田 肇

Dean, Hajime Ishida, M.D., Ph.D. 大学院保健学研究科長・保健学科長

福島 卓也

Dean, Takuya Fukushima, M.D., Ph.D. 医学科長

筒井 正人

Head, Masato Tsutsui, M.D., Ph.D.

本学部の基本理念

FOUNDING CONCEPT OF THE FACULTY

 琉球大学医学部は、医学と保健学に関する専門の知識と 技術を修得し、高い倫理性を身につけ、医学・医療の進歩や 社会的課題に柔軟に対応しうる医師、保健・医療従事者を育 成することを基本目的としています。  加えて、沖縄県の置かれた自然、地理及び歴史的特性をふ まえ、島嶼環境に由来する困難な地域保健医療の充実や地 域特性に根ざした医学・医療の課題解決に努めると共に、ア ジア・南太平洋地域を中心とする南に開かれた国際性豊か な医学部を目指しています。

The essential purpose of the Faculty of Medicine is to nurture physicians and medical science specialists who are willing to develop their specialized knowledge and skills with high ethical standards in professional research areas, and to carry out the research in all fields of medicine and medical science by responding adequately to the latest progress and social problems.

In addition, the Faculty is obligated to improve medical care in the local community, to resolve medical and health care problems, and to extend its promotional activities to countries in the Asian and Pacific regions based on recognition of the natural environmental conditions, geographic location and historical situation in the Ryukyu Islands. 副学部長

岸本 英博

Vice-Dean, Hidehiro Kishimoto, M.D., Ph.D. 副学部長

山城 哲

Vice-Dean, Tetsu Yamashiro, M.D., Ph.D. 副学部長

高橋 健造

Vice-Dean, Kenzo Takahashi, M.D., Ph.D. 副学部長

與古田 孝夫

Vice-Dean, Takao Yokota, R.N., Ph.D.

(5)

附属病院の理念及び基本方針

CONCEPT & BASIC POLICY OF THE UNIVERSITY HOSPITAL

 琉球大学医学部附属病院は、「病める人の立場に立った質 の高い医療を提供するとともに、国際性豊かな医療人を育 成する。」という理念を掲げ、 1) 生命の尊厳を重んじた全人的医療の実践 2) 地域における保健・医療・福祉の向上に対する貢献と関   連機関との連携 3) 先端医療技術の開発・応用・評価 4) 国際性豊かな医療人の育成 を本院の基本方針としています。  本院は、平成19年3月にエイズ診療拠点病院、平成20年2 月には都道府県がん診療連携拠点病院、平成21年11月には 沖縄県肝疾患診療連携拠点病院、平成23年3月にはへき地 医療拠点病院としての指定を受け、沖縄県における唯一の 特定機能病院として、感染症やがん、生活習慣に密接に関連 した種々の疾患を中心に高度医療および地域医療を担い、 その使命と役割を果たすとともに、東南アジア地域における 医療拠点としての貢献を目指しています。

At the University Hospital, we aim to develop international-minded medical staff who will provide high quality healthcare in accordance with our patients’ requirements. We also aim to provide optimal medical care with profound compassion for the patients, and also to improve the community healthcare and welfare. As the only designated “Advanced Treatment Hospital” in the Okinawa prefecture, we have demonstrated a firm commitment to provide innovative and advanced medical care.

Our basic policies are:

1) to provide high quality medical treatment to ensure the dignity of life;

2) to improve the quality of community health care and welfare through cooperation with the other medical and allied health organizations;

3) to develop and apply advanced medical knowledge and technologies; and

4) t o n u r t u r e p h y s i c i a n s a n d m e d i c al s ta f f w h o p o s s e s s international viewpoint and outlook.

Since being appointed the community AIDS Clinical Center (March 2007), and the landmark Hospital for cancer therapy (February 2008), and liver diseases (November 2009), and for medical care in remote area (March 2011), in Okinawa prefecture, the University Hospital functions as the pivotal center for advanced medical care. As the leading hospital in Southeast Asia, it is also expected to contribute to improving community healthcare and to provide updated medical treatments, especially in the fields of infectious diseases, cancer and lifestyle-related diseases.

附属病院長

藤田 次郎

Director, Jiro Fujita, M.D., Ph.D. 副病院長

西巻 正

Vice-Director, Tadashi Nishimaki, M.D., Ph.D. 副病院長

大屋 祐輔

Vice-Director, Yusuke Ohya, M.D., Ph.D. 副病院長

鈴木 幹男

Vice-Director, Mikio Suzuki, M.D., Ph.D. 副病院長

垣花 学

Vice-Director, Manabu Kakinohana, M.D., Ph.D. 副病院長

大嶺 千代美

Vice-Director, Chiyomi Omine, Certified Nurse Administrator

(6)

沿革

1

昭和44年

保健学部校舎 ( 那覇市与儀 )

昭和48年

保健学部及び附属病院 の鳥瞰図 ( 那覇市与儀 ) 佐藤栄作総理大臣が来沖し 「琉球大学に医学部を設 置する」との声明がなされた。 琉球政府内に琉球大学医学部設置構想委員会が設置 された。 T h e C o m m i t t e e f o r P l a n n i n g t h e F a c u l t y o f Medicine, University of the Ryukyus, was organized by the Government of the Ryukyu Islands.

第一次琉球大学医学部設置調査団が来沖し、「医療の 基礎的条件を整備するための基本的態度と医療要員 の要請に関する準備的措置要領」が発表された。 第二次調査団が来沖し、次の4原則が確立された。 1.県立中部病院をインターン指導の教育病院とする。 2.琉球大学に保健学部を新設する。 3.那覇病院を改築し、教育病院とする。 4.公衆衛生の施策を強化する。

The Japanese Government investigation committee for establishment of the Faculty of Medicine, University of the Ryukyus, visited Okinawa and made the following four announcements:

1. A postgraduate medical education program will be established at the Okinawa Chubu Hospital. 2. A Faculty of Health Sciences will be newly founded in the University of the Ryukyus.

3. Naha Hospital will be renovated for adapting the postgraduate medical education program. 4. Public health programs will be facilitated.

琉球政府は、行政主席の諮問機関として、琉球大学医 学部設置準備委員会を設置し、教育機能と地域医療 機能を併有する新病院建設基本構想を検討した。 本土側施設整備専門部会と沖縄側専門委員会が新那 覇病院建設計画について討議し、将来は、医学部教育 病院としての機能をもち、当面は保健学部の実習も 兼ねた総合病院とすることになった。 琉球大学設置法の一部改正により保健学部 (定員数 60名) が設置された。

The Faculty of Health Sciences was founded by the Government of the Ryukyu Islands (Enrollment quota was 60 students), based on a royal revision of the act for incorporating the University of the Ryukyus. 保健学部の第一期生59名が入学した。

Fifty-nine students enrolled for the first term in the Faculty of Health Sciences.

昭和40年8月 12月 December,1965 昭和41年7月 11月 November,1966 昭和42年1月 5月 昭和43年5月 May,1968 昭和44年4月 April,1969 琉球大学設置法の一部改正により新那覇病院は琉球 大学附属病院となった。 本土復帰に伴い琉球大学附属病院は、琉球大学保健 学部附属病院となった。

The Hospital of the University of the Ryukyus was reorganized into the Hospital of the Faculty of Health Sciences, University of the Ryukyus, when the administration of Ryukyu was returned to Japan from the U.S. government.

地域医療部、救急部、理学療法部が随時設置され、総 合病院として承認された。

臨床研修指定病院となった。

琉球大学医学部創設準備室が設置された。

The Preparatory Section for the Faculty of Medicine, University of the Ryukyus was launched. 沖縄県解剖体確保推進協議会が結成された。 解剖体保存棟が保健学部敷地内に完成した。 医学部の昭和54年10月設置、昭和56年4月学生受け 入れが内定した。 沖縄県は献体組織 琉球大学でいご会 を結成した。 沖縄県は、財団法人琉球大学医学部設置協力会を設 置した。 国立学校設置法の一部改正により昭和54年10月琉球 大学医学部が設置された。(医学科31講座) また、昭和 56年4月学生受け入れ (定員数医学科100名、保健学科 60名) が決定した。 本学の関連教育病院 (県立中部病院) について本学学 長と沖縄県知事の間で協定を締結した。 大学設置審議会大学設置分科会 (浅田敏雄主査他4 名) による医学科実施調査が行われた。 第1回医学部解剖体慰霊祭が解剖体保存棟前で行わ れた。 昭和45年6月 昭和47年5月 May,1972 昭和49年11月 昭和50年3月 昭和52年4月 April,1977 12月 昭和53年10月 昭和54年1月 2月 3月 昭和55年8月 10月 昭和56年3月

(7)

昭和54年

医学部の設置

昭和55年

与儀キャンパス 医学部校舎 ( 旧保健 学部校舎 ) 及び医学 部附属病院 保健学部が医学部保健学科に改組。保健学部附属病 院は医学部附属病院となった。

The Faculty of Health Sciences, University of the Ryukyus, and its Hospital were reorganized into the School of Health Sciences, Faculty of Medicine, and Hospital of the Faculty of Medicine, University of the Ryukyus. 医学部医学科31講座のうち8講座 (解剖学第一、生理 学第一、生化学第一、病理学第一、寄生虫学、 内科学第 一、外科学第一、眼科学) が先行設置され、保健学科は 4大講座(基礎保健学、保健管理学、保健医療学、保健技 術学)に再編成された。 昭和56年度入学式 (医学科100名、保健学科59名) が 行われた。

Students (100 medical and 59 health sciences students) were enrolled for the first term at the newly established Faculty of Medicine.

医学部開学記念式典並びに祝賀会が開催された。 医学科に7講座 (解剖学第二、薬理学、法医学、 内科学 第二、小児科学、放射線医学、整形外科学) が設置さ れ、計15講座となった。 基礎講義実習棟、解剖法医棟及びポンプ室が竣工した。 解剖学、生理学、生化学の講義及び実習が上原団地で 開始された。 基礎研究棟及び保健学科棟が竣工した。 保健学科及び医学科基礎系講座が上原団地へ移転した。 福利棟 (がじゅまる会館) が竣工した。 医学科に7講座 (生理学第二、細菌学、保健医学、皮膚 科学、外科学第二、産科婦人科学、耳鼻咽喉科学) が設 置され、計22講座となった。 RI・動物実験施設が竣工した。 臨床講義棟、附属病院、中央設備機械室が竣工した。 臨床研究棟が竣工した。 昭和56年4月 April,1981 4月 4月 April,1981 10月 昭和57年4月 10月 12月 昭和58年2月 3月 4月 10月 12月 昭和59年1月 授乳施設、管理棟、附属図書館医学部分館、高エネ ルギー・高気圧治療施設棟が竣工した。 医学科に6講座 (病理学第二、ウイルス学、内科学第 三、脳神経外科学、泌尿器科学、麻酔科学) が設置さ れ、計28講座となった。 医学部及び附属病院の事務部 が一元化され医学部事務部となったことに伴い、事 務組織が改編され事務部長、事務部次長、4課制 (総務 課、管理課、学務課、医事課) となった。 7月1日∼10月14日、新病院移転・開院準備のため休診 となった。 7月1日∼8月2日、附属病院が上原団地へ移転した。 医学部施設竣工並びに医学部附属病院の開院記念式 典が挙行された。 医学部附属病院 (400床) の完成に伴い、診療を再開し た。 体育館、多目的運動場が竣工した。 医学科に3講座 (生化学第二、精神神経科学、歯科口腔 外科学) が設置され、計31講座となった。 附属病院に第三内科が新設され、計17診療科となった。 附属病院の病床数が200床増床され、計600床となっ た。 附属病院の200床増床に伴い、病棟移転が行われた。 琉球大学大学院保健学研究科(保健学専攻、修士課程) が設置された。(定員10名)

The Graduate School of Health Sciences (Master’s degree program) was founded. (Enrollment quota was 10 students) 保健学科の入学定員が臨時的に5名増員され、計 65名となった。 附属病院に高気圧治療部が設置された。 RI診療棟が竣工した。 昭和59年3月 4月 7月 10月 昭和60年3月 4月 6∼7月 昭和61年4月 April,1986 4月 昭和62年3月

(8)

沿革

1

琉球大学大学院医学研究科(博士課程)(形態機能系専 攻、生体制御系専攻、環境生態系専攻)が設置された。 (定員数30名)

The Graduate School of Medicine (Doctoral degree program) was founded. (Enrollment quota was 30 students)

タイ国のチェンマイ大学と学術交流協定を締結 した。

附属地域医療研究センターが設置された。(10年期限) The Research Center of Comprehensive Medicine was founded in this decade.

リニアック診療施設棟が竣工した。 附属病院に輸血部が設置された。 附属地域医療研究センター棟が竣工した。 医学科に臨床検査医学講座が新設され、計32講座と なった。 医学部開学10周年記念式典が行われた。 MRI−CT装置棟が竣工した。 精神病棟(40床)が承認された。(一般病床から精神病 棟へ) 中華人民共和国の中山医科大学と学術交流協定を締 結した。 附属実験実習機器センターが設置された。 The Research Laboratory Center was founded. 医学部医学科に3学期制が導入された。 附属動物実験施設が設置された。 Institute for Animal Research was founded. 英国医学協会(GMC)より海外有資格医師の限定登録 の認可を受けた。 高嶺徳明顕彰碑が建立された。 特定機能病院として承認された。 附属病院に血液浄化療法部が設置された。 附属病院に医療情報部が設置された。 昭和62年4月 April,1987 7月 昭和63年4月 April,1988 平成元年3月 5月 平成2年3月 6月 11月 平成3年3月 March,1991 4月 平成5年4月 April,1993 5月 12月 平成6年8月 平成7年4月 平成9年4月 附属地域医療研究センターが廃止された。 附属沖縄・アジア医学研究センターが設置された。 The Okinawa-Asia Research Center of Medical Sciences was founded.

附属病院に周産母子センターが設置された。 医学科の入学定員が95名となった。 附属病院に病理部が設置された。 保健学科の入学定員の臨時募集が廃止され、計60名 となった。 医学科に臨床薬理学講座が新設され、計33講座と なった。 附属病院に光学医療診療部が設置された。 医学科に第3年次特別編入学(学士入学)制度が導入さ れた。(定員数5名) 医学科に救急医学講座が新設され、計34講座となった。 附属沖縄・アジア医学研究センターが廃止された。 理学療法部が廃止された。 医学科は34小講座が6大講座(形態機能医科学、地域 環境医科学、病態解析医科学、生体制御医科学、器官 病態医科学、高次機能医科学) に、保健学科は4大講座 が6講座 (基礎看護学、成人・老年看護学、母子看護学、 地域看護学、生体検査学、病態検査学)にそれぞれ再編 成された。 大学院医学研究科の3専攻が改組され医科学専攻(先 進情報医科学領域、機能再生医科学領域、環境長寿医 科学領域)及び感染制御医科学専攻(独立専攻)(感染分 子生物学講座、分子感染制御学講座、感染病態制御学 講座)が設置された。 リハビリテーション部が設置された。 琉球大学は国立大学から国立大学法人へとなった。 大学院医学研究科修士課程医科学専攻が設置さ れた。

The University of the Ryukyus was reorganized by the National University Corporation from the National Universities. The Graduate School of Medicine (Master’s degree program) was founded. 事務組織が改編され、事務部長、経営企画監、5課制(総 務課、経営企画課、経営管理課、医療支援課、学務課)と なった。 平成10年3月 4月 April,1998 平成11年4月 平成12年4月 平成13年4月 平成14年4月 平成15年3月 4月 平成16年4月 April,2004 平成17年4月

昭和57年

建設中の医学部及び 附属病院 ( 西原町上原 )

昭和58年

医学部及び附属病院の 全景 ( 西原町上原 )

(9)

高嶺徳明が、1689年全身麻酔で補唇 術を行ったことに由来する顕彰碑 (沖縄県医師会寄贈、医学部構内) リハビリテーションセンター(作業療法棟)が竣工した。 大韓民国の延世大学校と部局間国際交流協定を締結 した。モンゴルのモンゴル保健総合大学と部局間国 際交流協定を締結した。南アフリカ共和国のケープ タウン大学と部局間国際交流協定を締結した。 附属病院がエイズ診療拠点病院に指定された。 大学院保健学研究科が改編され、修士課程が博士前 期課程に、博士後期課程が新たに設置された。 The Graduate School of Health Sciences (Doctoral degree program) was founded.

附属病院が都道府県がん診療連携拠点病院に指定さ れた。 事務組織が改編され、医学部事務部、附属病院事務部 〔事務部長、課制(総務課、経営企画課、経営管理課、医 療支援課)〕となった。 医学科に第2年次特別編入学(学士入学)制度が導入さ れた。(定員数5名)医学科の入学定員が7名増員され (内2名は9年期限)、計102名となった。 附属病院が沖縄県肝疾患診療連携拠点病院に指定さ れた。 大学院医学研究科が大学院講座化(部局化)され、医 科学専攻(3コース、33講座)、感染制御医科学専攻(1 コース、8講座)に再編された。 医学科の第3年次特別編入が廃止された。 医学科の入学定員が5名増員され、計107名となった。 附属病院に骨髄移植センターの設置が認可された。 附属病院に寄附講座(地域医療システム学講座、地域 医療教育開発講座)が設置された。 事務組織が改編され、事務部長5課制(総務課、経営企 画課、経営管理課、医療支援課、学務課)となった。 卒後臨床研修センター・血液浄化療法部棟が竣工 した。 おきなわクリニカルシミュレーションセンターが竣工した。 病理診断科が設置された。 平成18年2月 10月 平成19年3月 4月 April,2007 平成20年2月 4月 平成21年4月 11月 平成22年4月 平成23年1月 4月 12月 平成24年3月 4月 機能画像診断センターが竣工した。 台湾の台北医学大学と部局間交流協定を締結した。 フィリピン共和国のフィリピン大学公衆衛生校と部 局間交流協定を締結した。 大学院医学研究科博士課程の2専攻を改組し、医学専 攻が設置された。(定員数30名) ラオス人民民主共和国のラオス保健科学大学と部局 間交流協定を締結した。 救急災害医療棟が竣工した。 沖縄県地域医療支援センターが設置された。 附属病院に救急科が設置された。 附属病院に形成外科が設置された。 医学科の入学定員が5名増員され、計112人となった。 大学院医学研究科にウイルス学講座、臨床研究教育 管理学講座が新設され、計42講座となった。 再生医療研究センターが設置された。 附属病院の検査部と輸血部が統合され、検査・輸血部 が設置された。 附属病院にリハビリテーション科が設置された。 臨床工学室が設置された。 在宅医療推進センターが設置された。 超音波センターが設置された。 平成25年2月 平成26年2月 3月 4月 10月 11月 12月 平成27年2月 3月 4月 平成28年4月 8月 10月 平成29年9月

平成6年

旧与儀キャンパス跡の 記念碑建立 ( 那覇市与儀 )

(10)

歴代学部長・研究科長・附属病院長

2

Successive Deans

and Directors

松 林 久 吉 松 崎 吉 彦 西 山   勇 杉 浦 正 輝 照 屋 寛 善 大 鶴 正 満 永 盛   肇 大 澤   炯  木 邦 夫 平 山 清 武 柊 山 幸志郎 岩 政 輝 男 坂 梨 又 郎 佐 藤 良 也 須加原 一 博 松 下 正 之 石 田   肇 大 鶴 正 満 竹 中 静 廣 石 津   宏 竹 中 静 廣 宮 城 一 郎 普天間   弘 崎 原 盛 造 石 津   宏 河 野 伸 造 外 間 登美子 高 倉   実 福 島 卓 也 佐 藤 良 也 須加原 一 博 松 下 正 之 石 田   肇 植 村   操 田 端 辰 夫 桝 屋 富 一 鈴 木   淳 正   義 之 三 村 悟 郎 小 張 一 峰 福 田 雅 俊  木 邦 夫 平 山 清 武 柊 山 幸志郎 小 椋   力 金 澤 浩 二 古 謝 景 春 瀧 下 修 一 須加原 一 博 村 山 貞 之 國 吉 幸 男 藤 田 次 郎 昭和 45 年 9 月 昭和 48 年 9 月 昭和 50 年 9 月 昭和 52 年 9 月 昭和 54 年 9 月 昭和 54 年 10 月 昭和 62 年 4 月 平成  3 年 4 月 平成  5 年 4 月 平成  9 年 4 月 平成 10 年 4 月 平成 12 年 4 月 平成 16 年 4 月 平成 20 年 4 月 平成 23 年 4 月 平成 25 年 4 月 平成 29 年 4 月 昭和 61 年 4 月 昭和 62 年 4 月 平成 元年 4 月 平成  3 年 4 月 平成  4 年 4 月 平成  6 年 4 月 平成  7 年 4 月 平成 10 年 4 月 平成 12 年 4 月 平成 16 年 4 月 平成 22 年 4 月 平成 26 年 4 月 平成 22 年 4 月 平成 23 年 4 月 平成 25 年 4 月 平成 29 年 4 月 昭和 46 年 7 月 昭和 48 年 11 月 昭和 50 年 1 月 昭和 51 年 4 月 昭和 53 年 4 月 昭和 55 年 4 月 昭和 56 年 4 月 昭和 62 年 4 月 平成  3 年 4 月 平成  5 年 4 月 平成  9 年 4 月 平成 10 年 4 月 平成 12 年 4 月 平成 14 年 4 月 平成 16 年 4 月 平成 20 年 4 月 平成 23 年 4 月 平成 26 年 1 月 平成 27 年 4 月 ( 初代保健学部長 )  (初代医学部長)  (初代大学院保健学研究科長) (初代大学院医学研究科長) (初代保健学部附属病院長)  (初代医学部附属病院長) ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… 保健学部長 医学部長 大学院保健学研究科長 大学院医学研究科長 保健学部附属病院長 医学部附属病院長

(11)

 琉球大学医学部は、わが国で最も新しい国立大学医学 部として昭和54年に設置され、昭和56年から学生の受け 入れを開始しました。また、その13年前に医学部の前身で ある保健学部が設置されております。現在では、医学部に 医学科と保健学科が、大学院には医学研究科 (修士課程、 博士課程)、保健学研究科(博士前期課程・博士後期課程) が 設置されています。また、平成22年から大学院医学研究科 が大学院講座化され、医学科教員はすべて大学院教員に なりました。  教育においては、高い倫理観を備えた質の高い医師、保 健・医療従事者の教育・養成を目指し、医学、保健学、医療 技術学に関する普遍的な教育を実施しています。また、島 嶼県沖縄の地域医療を充実させるために、平成21年度か ら沖縄県と協力して沖縄県出身の学生を地域枠として医 学科に受け入れ、離島医療実習を含む地域医療教育に力 を入れるとともに、国際医療の場でリーダーシップを発 揮できる医療人材を養成するための学士入学制度を導入 しています。さらに、大学院研究科では沖縄の地域特性に 根ざした医学・医療の課題を解決する研究者、指導者を養 成するための教育・研究を進めています。  研究面では、がん、脳疾患、循環器疾患などの先進的な 研究に加え、わが国で唯一の亜熱帯気候下に位置する 島嶼県という沖縄の地域特性に根ざした特色ある研究に 力を入れています。具体的には、熱帯・亜熱帯環境下での 感染症研究、長寿県沖縄の復興を目指す長寿医学、急速な 生活習慣の変化にともなう代謝疾患、生活習慣病の予防、 狭い婚姻圏に由来する遺伝性疾患、琉球列島の成り立ち と関連した形質人類学、東南アジア地域での国際保健な どの領域で活発な基礎的・臨床的研究を進めています。さ らに、平成27年度は、沖縄県の再生医療中核拠点病院とし て、再生医療研究センターを新設しました。  診療面では、沖縄県で唯一の特定機能病院であり、エイ ズ診療拠点病院、がん診療連携拠点病院、肝疾患診療連携 拠点病院などの指定、骨髄移植センターの設置により感染 症やがん、心臓・循環器疾患、肝疾患、骨髄移植などの高度 医療を担うとともに、離島医療を含む地域医療の充実にも 寄与しています。また、卒後臨床研修病院としてRyuMICプ ログラムを推進しており、他の病院群では出来ない臨床研 修プログラムを提供しています。特に県や医師会などと協 力して、オール沖縄の観点から「おきなわクリニカルシ ミュレーションセンター」を平成24年3月に開設しました。 同センターは、県内全ての医療系学生及び医療関係者が利 用可能であり、多彩なシミュレーターや医療機器を保有し ているため、基礎から生涯教育まで、レベルに応じた教育・ 研修ができます。また、平成24年度にFIMACC(機能画像診 断センター)を開設し、平成26年度には災害医療と救急医 療の機能を兼ね備えた救急災害医療棟を新設しました。さ らに、平成26年度に沖縄県の施策として、医師の地域偏在 を解消することを目的に「沖縄県地域医療支援センター」 が開設されました。今後、医学生や医師のキャリア形成支 援や、医師不足病院等への支援を行っていきます。  社会貢献として、地域住民の健康維持・福祉の充実に多 大な貢献をしていることはもちろん、沖縄の生物資源を健 康に応用する研究などを通じて地域産業の育成にも積極 的に関わっています。国際貢献としては、長年、ラオスでの 国際医療協力活動を続けており、口唇口蓋裂患者の巡回無 料診療(手術)の活動などが高い評価を受けているほか、他 地域での国際医療協力などに積極的に参加しています。

(12)

教育・研究・診療の特色

3

 日本と東・東南アジアとの接点に位置する島嶼県沖縄は、 国内有数の長寿地域として知られていました。しかし2013 年の都道府県別平均寿命は女性が1位から後退して3位、男 性は30位であり、「330ショック」として沖縄の医療関係者 に大きな衝撃を与えました。要因として食生活の変化によ る生活習慣病の増加が挙げられます。一方で沖縄県の島嶼 部は高齢化が進んでおり、高齢者医療の充実が大きな課題 となっています。  保健学科は看護師、保健師、助産師、養護教諭を養成する 看護コースと臨床検査技師、健康食品管理士を養成する検 査技術コースからなり、沖縄県の健康長寿の復活を目指し、 また沖縄県民が安心して医療を受けられるよう、地域医療、 保健医療に貢献する人材を育成しています。学生は経験豊 かな教員陣から広範囲な知識を得る一方、早い時期から地 域医療機関での実習を行うことで、高い実践力を養い、地域 に根付いた医療が出来るよう実力を蓄えていきます。その ほか東南アジアの国々との交流を経て、グローバルな視点 から地域問題を考えていく力を養います。  保健学科は沖縄県の地域医療を牽引するリーダー、教育・ 研究に携わる教員、国際社会で活躍するグローバル人材の 育成に努めています。  医学教育企画室は、質の高い医療人の育成および沖縄県の医療 水準向上のために、学生指導や臨床実習プログラムの企画・実施 など医学教育全般に係る業務を遂行しています。室長(併任)の 他、専任教員2名と事務職員4名に加えて、10名程度の企画室員 (併任)によって構成されています。臨床実習以外にも、医療現場 におけるコミュニケーション能力や初歩的診察スキルの取得を 目的としたシミュレーション演習、将来のキャリア・パスについ て考える医学概論、チーム基盤型学習(TBL)形式でのチュートリ アル学習、患者・家族と直接に接触する各種実習[外来患者付添い 実習、体験学習(療養型施設・沖縄愛楽園訪問見学実習)、離島地域 病院実習、離島診療所及び海外の大学病院での参加型臨床実習] も担当しています。また学務課と協力して、医学科4年次対象の共 用試験(CBT・OSCE)、医学科6年次対象の臨床実習終了時OSCE (Post-CC OSCE)の実施にも深く関わっています。さらに、医学科5 年次・6年次の総合試験の取りまと めも行っています。多忙な毎日で すが、常に医学部生と向き合い、学 習支援・修学相談等も行い、本学が 国際基準に適合した医学教育を提 供できるように努めています。  保健学研究科は、人間健康開発学と国際島嶼保健学の2領域 で構成されており、沖縄県の社会文化的環境および亜熱帯性 自然環境を基盤とした健康・長寿の維持増進および再生に資 する研究や健康資源の解明に関する研究、アジア・太平洋地域 の島嶼・僻地・地域保健の課題とその対策に関する研究などの ユニークなテーマに取り組んでいます。この2つの領域は互い に融合し、亜熱帯性自然環境を基盤とした研究から得られた 成果は、アジア・太平洋・アフリカ諸国での保健医療の増進に 寄与し、さらに僻地での教育活動を通してそれらを支える人 材の育成にも貢献しています。  南に開かれた研究科として、現在アジア・太平洋諸国の研究 機関と積極的な人材交流と共同研究を推進しています。フィ リピン大学、タイ・チェンマイ大学、ラオス健康科学大学、イン ドネシア・アイルランガ大学とは交流協定を締結し、学生交流、 共同研究が活発に行われています。またOkinawa Global Health Science Program の下、これらの大学出身者を大学院生として 迎え、グローバルヘルスに関する研究を推し進めています。  保健学研究科修了生が世界に羽ばたき、各国の保健医療 機関さらに はWHOで施 策に携わる など、グロー バルに活躍 する人材の 育成を目指 します。 シミュレーション演習風景 (一次救命処置)

教育における特色

医学教育

(医学教育企画室)

医学教育

(医学教育企画室)

長寿県沖縄の島嶼地域医療人材養成

(保健学科)

長寿県沖縄の島嶼地域医療人材養成

(保健学科)

アジア ・ 太平洋地域との学術交流

(保健学研究科)

アジア ・ 太平洋地域との学術交流

(保健学研究科)

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 医学研究科は、近年の医学・医療のダイナミックな変化 や社会的なニーズに対応できる自己改新力と生涯持続力 を持った優れた人材を育成することを目的としていま す。博士課程では、健康長寿や新興感染症問題等の沖縄の 地域に根ざした問題やES細胞・iPS細胞の確立により近年 著しく進歩している再生・発生分野の研究等、研究プロ ジェクトに対応したコースワーク・リサーチワークを編 成しました。修士課程では、この新しい教育課程を取り入 れ、博士課程と連携した体系的な教育プログラムを提供 しています。  保健学研究科は、1986年に国立大学2番目の保健学専攻の 大学院として設置された伝統ある研究科で、数多くの優れ た人材を輩出して沖縄県の公衆衛生の向上、保健医療の発 展のために多大な貢献をしてきました。2007年に博士課程 を設置し、現在の保健学研究科保健学専攻博士前期課程・博 士後期課程となりました。本研究科は、心身ともに豊かな健 康・長寿に資する高度な研究能力を有する保健学分野の研 究者および指導者を養成することを目指しています。修了 生からは保健医療機関、行政のリーダーだけでなく、研究や 教育に携わる大学教員も数多く輩出しています。  琉球大学医学部附属病院では「病める人の立場に立っ た、質の高い医療を提供するとともに、国際性豊かな医 療人を育成する」という理念に基づき、高い人間性 を持 ち患者本位の質の高い医療を提供できる医療人の養成、 高い専門性 や 豊富な知識 に基づく総合力を発揮し先 進医療の開発・推進を担う人材の養成に努めています。  沖縄県の医療者育成は全国で非常に高い評価を受け ており、附属病院はその中で中心的な役割を果たしてい ます。医師では、医学部学生、初期研修医、専門医をめざ す専門専攻医などに対して、地域医療に配慮した多彩な 研修プログラムに加えて、熱意のある指導者のもと屋根 瓦式の教育体制が取られています。また、大学内に設置さ れた全国有数のシミュレーションセンターを用いた研修 も教育の質の向上に寄与しています。同時に、看護師、薬 剤師、検査技師、放射線技師、リハビリセラピスト、ME技 師など、多くの医療職種の教育・研修も計画的に実施し、 より質の高い医療をチーム医療で実践していけるように 努めています。これらの、教育は、人材育成だけに留まら ず、地域医療の充実、臨床研究の推進、さらに、「医療の安 全のさらなる向上」に大きく寄与しています。  おきなわクリニカルシミュレーションセンターは、沖縄 県全域での医学・医療教育環境を整備することによって医 療安全、医療従事者の技術を維持・向上させることを目的 として、平成24年3月に開設されました。以降、県内の臨床 研修指定病院を中心とした多くの医療機関、教育機関に利 用が広がっています。  開設から6年間に実施した指導者養成セミナー・ワーク ショップで多くのシミュレーション指導者が育ち、医学・ 医療教育に関与しています。医師、看護師他すべての医療 職および医療職を目指す学生の教育に活用されています。 利用実績としては年間のべ16,000∼18,000人が利用して おり、県外・海外からの利用者も多くいます。  基本的手技のトレーニングからシチュエーショント レーニング、シナリオトレーニングにいたるまで、多様な 水準に対応できるよう多くのシミュレーターが えられ ています。シミュレーション教育は技能の獲得のみなら ず、チーム医療や医療安全を理解するためにも特に重要で す。医療安全を保つことは病院のもっとも重要な役割であ り、今後さらに多くの方々に利用 していただけるよう改善を進めた いと思います。  各種情報については http://okinawa-clinical-sim.org/ をご参照ください。

医学研究科・保健学研究科

医学研究科・保健学研究科

臨床教育

(附属病院)

臨床教育

(附属病院)

シミュレーション教育

おきなわクリニカルシミュレーションセンター

シミュレーション教育

おきなわクリニカルシミュレーションセンター

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教育・研究・診療の特色

3

琉球諸島の公衆衛生学的課題を背景とした、アルコール多飲に伴うペラグラとカポジ肉腫

琉球諸島の公衆衛生学的課題を背景とした、アルコール多飲に伴うペラグラとカポジ肉腫

 ペラグラなど栄養障害による皮膚病とは:  現在の日本では、壊血病、ペラグラ、亜鉛欠乏症などが、貧 困による栄養不良として発症することはありませんが、ア ルコール依存症等で十分な食事がとれずに発症する患者が 散見されます。ペラグラはナイアシン酸やトリプトファン の欠乏によって遷延化する露光部の皮膚炎、下痢、認知症の 3徴候を発症し、重症例では死にいたります。特定の栄養素 の欠損により、なぜ、慢性に経過する特徴的な皮膚症状を呈 するのかは、今だ不明でした。  沖縄県内外のペラグラの7症例を軽症、中等症、重症の3 群に分け、各群におけるランゲルハンス細胞を含む樹状細 胞の変動を評価しました。ペラグラの病変部の表皮ランゲ ルハンス細胞は著明に低下し、重症のペラグラの症例では、 表皮ランゲルハンス細胞が完全に消失していました。一方、 真皮樹状細胞や肥満細胞は正常皮膚との差異はみられませ んでした。正常皮膚では、紫外線照射などの刺激後、活性化 された表皮ランゲルハンス細胞が、表皮直下のリンパ管を 通り近傍の所属リンパ節へ遊走します。その際、新たなラン ゲルハンス細胞が、真皮樹状細胞などから直ちに、毛包上皮 を介して表皮へ供給される手筈になっています。ペラグラ では、各種の樹状細胞の中でランゲルハンス細胞の供給の みが著しく傷害され、結果的に表皮のランゲルハンス細胞 が消失していました。このため、ランゲルハンス細胞の炎症 後期の機能でもある消炎作用が働かず、一度生じた日光皮 膚炎など刺激性皮膚炎が遷延化し、表皮の壊死などの激し い皮膚症状が生じると理解できました。  ペラグラに類似した栄養障害性の皮膚疾患である、亜鉛 欠乏やビオチン欠乏でも、病変部位において表皮細胞の空 胞変性や壊死を主体とした変化が共通して生じ、近年、これ らでもランゲルハンス細胞が消失していることが明らかに なっており、我々の結果と合致しました。 カポジ肉腫:  日本を含め先進国で発症するカポジ肉腫の大部分は、治 療の遅れたエイズ患者に生じ、エイズには関連しない古典 型カポジ肉腫の発症は極めて稀です。沖縄県、中でも宮古諸 島では古典型カポジ肉腫患者が多いことが知られていま す。そこで、沖縄県および宮古諸島における古典型カポジ肉 腫の高発症の原因を探求しました。  カポジ肉腫の発症にはヒトヘルペスウイルス8型(HHV8) の感染が必須ですが、その感染率は20%程のイタリアから 東京や那覇市の1.4%と非常に低い地域まで世界各地でも 大きな地域差があります。過去31年間に60例の沖縄県出身 の古典型カポジ肉腫症例が確認され、うち30症例は宮古諸 島出身者でありました。一方、同じ期間内に日本本土からは 79例のみが報告されていました。宮古諸島の年齢調整発症 率は10万人当たり年間0.87で、HHV8の感染率は15.4%であ ります。この発症率は世界的好発地域である地中海沿岸地 域に匹敵し、HHV8感染率は日本本土および那覇市に比べ約 11倍高い結果でした。HHV8キャリアでの発症率は、宮古諸 島や沖縄諸島は、日本本土に比べ男性で約100倍、女性では 60倍高い事になります。HHV8全塩基配列をもとにした系統 樹によると、沖縄に流布するHHV8ゲノムは、欧米やアフリ カ由来HHV8とは異なるクラスターを形成しています。宮 古・沖縄地方に流布するHHV8には、日本本土由来のHHV8に はない変異が存在し、その中には世界的にも未同定の9つの 変異が含まれています。HHV8感染者のうちカポジ肉腫を発 症する患者はごく一部であり、発症には患者の免疫能や遺 伝的な疾患感受性などが影響すると考えられます。宮古島 出身のカポジ肉腫患者の全エクソン解析からは、疾患感受 性遺伝子は特定できませんでしたが、沖縄・琉球諸島の人々 の民俗学的背景もこの高発症に影響している可能性を考え ます。

研究における特色①

図1:長年のアルコール多飲の女性に生じたペラグラの皮疹 図2:高齢男性の手掌のカポジ肉腫

(15)

麻酔科的視点の神経科学の新たな展開

麻酔科的視点の神経科学の新たな展開

 麻酔科学講座(麻酔科)では、1996年から虚血性脊髄障害 の基礎研究ならびに臨床研究(臨床経験も含む)を推し進め ています。特に基礎研究では、ラット脊髄虚血モデル(Taira Y and Marsala M. Stroke 1996)を開発し、数多くの論文を 発表してきました。さらに2011年には、マウス脊髄虚血モ デル(Kakinohana M, et al. Stroke 2011)をハーバード大学 麻酔科との共同研究で開発し、虚血性脊髄障害の研究領域 に遺伝子改変マウスを用いる新たな研究の発展に貢献して います。

 また、琉球大学大学院医学研究科の分子細胞生理学講座 と薬理学講座とともに生体内ガス分子である一酸化窒素 (Nitric Oxide : NO)と硫化水素(Hydrogen sulfide : H2S)の 生理学的役割、病態生理との関わりさらに治療薬の可能性 (創薬)についても研究を進めています。特に麻酔科学講座 では、本邦唯一のH2Sガス吸入装置を用いマウス脊髄虚血 性障害モデルでH2Sの脊髄運動神経細胞保護効果を検討し ています。その結果、H2Sガス吸入により虚血後の脊髄運動 神経細胞保護効果を示し(図2)、その機序としてNFκBの Sulfhydrationが関与している可能性も明らかになってきま した。今後、H2Sによる様々な臓器保護効果について検討し、 創薬も含めた研究につなげていきたいと考えています。  麻酔科学講座は、1995年からカリフォルニア大学サン ディエゴ校麻酔科と共同研究を行っており、虚血性脊髄障 害の病態生理解明研究(1995年∼1998年)、対麻痺に対する 細胞移植療法(1999年∼現在)、痙性麻痺に対する除痙性療 法(2003年∼2012年)、神経変性疾患に対する遺伝子治療 (2008年∼現在)など数多くのプロジェクトに関わっていま す。また、世界初の脊髄軟膜下薬物投与法を開発し、従来よ りも効率よく遺伝子導入が出来ることを明らかにし(図3)、 今後の遺伝子療法の発展に貢献できると考えています。

研究における特色②

図2.H2Sガス吸入による虚血後の脊髄運動神経細胞保護効果 図1.マウス脊髄虚血モデル 図3.脊髄軟膜下投与による脊髄神経細胞への遺伝子導入

(16)

教育・研究・診療の特色

3

沖縄県HTLV-1キャリアの実態解明とATL/HTLV-1バイオバンク試料を用いた研究

沖縄県HTLV-1キャリアの実態解明とATL/HTLV-1バイオバンク試料を用いた研究

 ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)は、成人T細胞白血 病・リンパ腫(ATL)およびHTLV-1関連脊髄症の病因ウイルス です。九州・沖縄を中心とする西南日本は世界最大のHTLV-1 キャリア分布地域であり、HTLV-1関連疾患の多発地域です。 いずれの疾患も治療難反応性で予後不良の疾患であり、疾 患の発症予防としてHTLV-1キャリアの実態解明と感染予防 対策の確立は重要な課題となっています。しかし、これまで 沖縄県のHTLV-1感染の現状は十分に解明されていませんで した。  保健学科血液免疫検査学分野は、医学研究科内分泌代 謝・血液・膠原病内科学講座(第二内科)、免疫学講座により 設立された沖縄ATL/HTLV-1研究ネットワークに参加し、 ATL/HTLV-1バイオバンクの構築に参画するとともに、沖縄 県HTLV-1キャリアの実態解明とバイオバンク試料を用いた 分子生物学的研究を行ってきました。  HTLV-1は大きくコスモポリタン、中央アフリカ、メラニシア の3タイプに分けられ、さらにコスモポリタンタイプはA∼D の4サブタイプに分類されます。本土ではコスモポリタンBが 90%を占めることが報告されていますが、沖縄本島では南米 タイプであるコスモポリタンAが44%、コスモポリタンBは 56%と、分布のパターンが異なっていました。そしてATL患者 についてサブタイプ別に治療成績を比較したところ、コスモ ポリタンAの患者の予後が不良でした(Sakihama et al. Leuk Res 2017)。沖縄県のATL患者の治療成績は、本土と比べて不 良であることが明らかとなっており(Nishi et al. Int J Hematol 2016)、サブタイプの相違が要因の一つである可能 性を示しました。  沖縄県内でも島嶼部の実態解明が遅れていたため、石垣 島においてHTLV-1キャリアのスクリーニング調査を行い、抗 HTLV-1抗体陽性割合が約5.5%であることを明らかにしまし た。そしてHTLV-1サブタイプ解析を行ったところ、コスモポリ タンAが64%を占めており、本土だけでなく沖縄本島とも分 布パターンが異なっている事が判明しました。  沖縄のHTLV-1サブタイプの分布パターンが本土と異なり、 さらに島嶼間においても相違が見られることは、明らかに なっていないHTLV-1の伝播経路の解明に繋がる可能性があ ります。沖縄県のHTLV-1感染予防対策の確立に向けて、キャ リアの実態解明とフォローアップを行うとともに、HTLV-1伝 播の の解明に向けてアジア・太平洋地域にフィールドを拡 大して研究を行っています。

研究における特色③

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図2:半人工合成アルパカVHH抗体ライブラリーの作製

分子生物学的手法を用いた迅速かつ安価な医療用抗体の作製技術開発

分子生物学的手法を用いた迅速かつ安価な医療用抗体の作製技術開発

 抗体は特定の異物(抗原)に「特異的」に「結合」して、その 異物を体内から除去する糖タンパク質です。この性質を利 用して医療用検査やがん治療などに使用されています。一 般的に抗体は、抗原をマウスなどの動物に複数回投与して、 抗原に結合する抗体を産生する細胞(B細胞)を骨髄腫細胞 と細胞融合させ、自律増殖能を持つ抗体産生細胞(ハイブリ ドーマ)を樹立して作製します。この方法は、数か月と言う 長い期間と高いコストが掛かりますし、動物愛護の観点か らもこのハイブリドーマ法に代わる抗体作製技術の開発が 進められてきました。遺伝子操作をはじめとする分子生物 学的な手法が確立され、細菌にのみ感染するウィルスであ るバクテリオファージの表面に、任意のタンパク質を提示 する方法が開発され、このファージ提示法を応用した抗体 作製技術が広く使用されるようになっています。現在使用 されている治療用抗体もこのファージ提示法で作製された 抗体が多くあります。しかし、その抗体を生産する際にも多 額の費用が掛かり、今後改善すべき抗体医薬の大きな課題 は、極めて高額な薬剤費の低減と、新しい標的抗原を探索し て確実に抗体を作製する技術の開発であり、私たちはこの 課題を解決する研究に取り組んでいます。  抗体はそれぞれ複数のドメインで構成される2本の重鎖 と2本の軽鎖が結合したY字型をしており、重鎖と軽鎖の先 端のドメインが協調して抗原と結合します(図1-A)。一方、 ラクダ科動物は、2本の重鎖のみで構成される抗体を有して おり、この重鎖の先端にある単ドメインで抗原と結合する ことができ、この抗原結合部位をVHH抗体と呼びます(図 1-B)。VHH抗体は比較的低分子(≦15KDa)の単ドメインで あることから、大腸菌や酵母を使用して安価に大量生産す ることが可能です。そこで私たちは、このVHH抗体を迅速か つ安価に作製する方法を開発しました。11頭のアルパカの 血液からVHH遺伝子を増幅し、これを元にして独自に考案 した分子生物学的な方法で、200億以上もの多様性を持つ VHH抗体提示ファージライブラリーを作りました(図2)。こ のライブラリーから任意の抗原に特異的に結合するVHH抗 体提示ファージを分離・単離することができ、約10日間で VHH抗体を作製することが出来ます。また、VHH抗体を大腸 菌発現・精製系で安価かつ大量に生産する方法も開発しま した。  現在、検査薬や治療薬に使用する目的で、インフルエンザ ウィルス(図3)、エボラウィルス、ノロウィルスなどの感染 症原因ウィルスに対する抗体や、がん抗原に対する抗体な ど、多種多様な抗原に対するVHH抗体の開発を進めていま す。 図1:    A.一般的な抗体        B.ラクダ科重鎖抗体 図3:ライブラリーから単離したインフルエンザHAに対するVHH抗体

研究における特色④

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教育・研究・診療の特色

3

より優しい眼科医療を目指して

より優しい眼科医療を目指して

図1:OCT-A画像の一例。 網膜無灌流領域の存在が 一目瞭然である。 1. はじめに  人間の生活に必要な情報の80%以上は眼を通して入る とされており、生涯にわたりQOLを保つためにも眼は極め て重要です。琉球大学医学部附属病院は沖縄県唯一の大学 附属病院かつ最終医療機関であり、我々に与えられた責務 は非常に大きいと考えています。外来診療は一日200名以 上の患者さんが来院されますが、診断に苦慮する症例や、 他施設では対応が困難な重症例が多いのが特徴であり、当 科では眼疾患のほぼ全ての領域に対応できる体制を整え ています。2017年10月に私、古泉が教授として着任し、従来 までの各領域の伝統に加え、ライフワークである網膜硝子 体疾患の分野でエビデンスに基づいた安全かつ最新の治 療を提供できるように心掛けています。 2. 外来診療に関して  眼科医療の進歩は目覚ましく、私が眼科医となった20年 前と比較するとまさに隔世の感があります。眼球は内部が 非侵襲的に観察できる組織であり、様々な先端診断技術が 他科に先駆けて導入されやすいのも特徴です。最近のホッ トトピックといえば、私自身も開発段階に携わった光干渉 断 層 血 管 撮 影( o p t i c a l c o h e r e n c e t o m o g r a p h y angiography: OCT-A)があげられます(図1)。従来、網脈絡 膜の血流評価には造影剤を静脈注射して施行する蛍光眼底 造影が長く用いられてきました。現在でも非常に有用な検 査ですが、検査時間がかかる上にアナフィラキシーショッ クなどのリスクも無視できません。OCT-Aは造影剤を用い ずに、血管内を流れる赤血球などの動きを超高速で検出す ることで非侵襲的に網脈絡膜の血管構造を画像化するもの であり、今春より正式に保険収載がされました。まだ撮像画 角が狭く、様々なアーチファクトの問題などをクリアーし ていく必要がありますが、将来的には蛍光眼底造影に取っ て代わることが期待されています。 3. 手術に関して  手術においても、広角眼底観察システムを駆使した小切 開硝子体手術(図2)を初め、緑内障インプラント手術、合併 症を有する難治白内障手術など、多岐にわたる領域をカ バーしており、年間2000件を超える手術を迅速かつ安全に 行っております。手術件数は同規模の大学病院では全国 トップクラスです。 4. おわりに  当科では世界の趨勢を冷静に見極めた上で、様々な最先 端技術を積極的に導入し、患者さんが苦痛なく安心して治 療を受けて頂ける体制を、今後も益々発展させていく所存 です。また臨床と研究は常に表裏一体のものであり、多くの 臨床経験を通じた独創的な研究を行い、沖縄から眼科学の 未来を切り開いていきたいと考えています。

診療における特色①

図2:小切開硝子体手術術中写真。網膜上の厚さわずか数マイクロンの膜を 摂氏にて除去している。 図3:眼科メンバー集合写真

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広がる活躍の場

(救急部)

広がる活躍の場

(救急部)

 救急部は琉球大学医学部附属病院の中でも比較的新し く、また最近大きく変わりつつある部門の一つです。  平成27年に新設された救急災害診療棟での診療開始にと もない、重症患者さんにも対応可能な初療室や救急病床 (HCU:ハイケアユニット)6床が新設されました。また診療 体制も、救急部スタッフ7名と各科よりのローテーション医 師による24時間体制の救急診療を行えるようになり、一次、 二次救急患者さんのみならず三次救急患者さんの受け入れ 体制も整いつつあります。  近年、救急医が活躍する分野は、ショック、心肺機能停止、 多発外傷などの絶命の危機にある患者さんに対する診療 や、急性薬物中毒、熱中症など各診療科の領域に当てはまり にくい重症患者さんの治療にあたる、いわゆる救命救急以 外にも多岐に渡るようになってきています。  そのような背景のもと、たとえ生命の危機が迫っている とはいえない救急患者さんにおいても、横断的な視点で患 者を診ることがでる医師、部署の存在が、多くの慢性疾患を 持つご高齢の患者さんの増加に伴い、ますます重要となっ てきています。  一例として、転倒し骨折したご高齢の患者さんは、その背 景に不整脈などによる失神発作や心不全の増悪、肺炎など の感染症など、転倒を引き起こした原因が潜んでいる場合 があります。そしてこれら転倒の原因となった問題こそが、 後々の患者さんの生死に関わることも稀ではありません。  このように複数の問題を抱える救急患者さんに対し、 個々の問題を同定し、それぞれの緊急性や重要性を考えな がら、いずれを優先して診療を進めていくか判断をする役 割も救急医の重要な仕事となりつつあります。  もちろんすべての救急患者さん対し、専門科と同等の知 識、技術を待ち合わせて診療を行うことは不可能ですが、専 門分野間の溝を埋め、また各診療科間の連携、橋渡し役を救 急部が担う必要性はまますます増していくと考え、当部で は診療各科との連携のもと、一次、二次救急患者さんの診療 も行っております。  そしてもう一つの救急部門の重要な役割は学生、研修医 への医学教育です。救急医療は医学部教育、初期臨床医研修 において、医師の一般的素養として身に着けるべき分野に 位置づけられております。当部では、医学部学生や研修医の 方々に、座学のみならず実際の救急診療の一翼を担ってい ただきながら臨床トレーニングを行っていただくよう教育 体制の整備を行っております。  さらに救急部門は災害医療のエキスパートとしての役割 を担う必要があり、発災への備えとしての災害時の診療体 制の構築、災害訓練、発災時の災害支援(DMAT隊の派遣)な どに関しても力点をおいて取り組んでおります。  以上のように、今後ますます増加するであろう救急部の 活躍の場に対応できますよう、診療内容の向上やマンパ ワーの充実をに向けて、医局員一同力を合わせ頑張って参 ります。

診療における特色②

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教育・研究・診療の特色

3

脳神経外科領域におけるサイバニックスーツHAL®を用いた先進リハビリテーションによる効果的な機能回復

脳神経外科領域におけるサイバニックスーツHAL®を用いた先進リハビリテーションによる効果的な機能回復

緩和ケアについて

緩和ケアについて

 ヒト脳機能の中で運動系と感覚系は高次レベルではそ れぞれが直列では無く並列に機能しています。つまり運動 系ネットワークそのものが高度な認知能力を備えている 事が最近判明してきました。たとえば細かい動作をスムー ズに行うために必要な手続き記憶(一輪車をうまく操作す る)は小脳の後葉外側に形成されますが、似て非なるもの の識別−パターン分離と専門的に呼ぶ見逃しやすい細か な差異を識別する能力にも関与していることを私たちは 報告しています(Cerebellum 2015)。  運動系の機能回復を効率よく回復支援する装置の一つ にロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)®がありま す。HALは人の意思に従う随意制御とロボットの自律制御 を組み合わせたサイバニックシステムで、筑波大学の山海 嘉之先生により開発されました。装着者の動作意思情報を 反映した微弱な生体電位信号を末梢より検出して動作を 実現できるため、脳からの情報を処理し外部機器へと出力 するBMI(Brain Machine Interface)の一つにも位置づけら れます。医療用HAL®は世界初の「ロボット治療機器」として 注目されており、現在、日本国内では筋萎縮性側索硬化症 などの8つの神経・筋難病疾患に保険適用されて従来の福 祉用の旧型に比較して格段の治療効果を上げています。特 に下肢の機能回復にすぐれますが、脳卒中については医師 主導治験中で保険適応がないため、脳外科では臨床研究と して使用しています。仕組みは以下の通りです。①下肢の 皮膚表面に貼り付けた電極から動作意思を反映した生体 電位信号を取得します。②得られた情報を解析し、大 部 と膝部のパワーユニットに指令をだします。③生体電位信 号に応じてパワーユニットが 働き装着者の意思に従った 動きを実現します。④このような随意運動を繰り返すこと で、脳神経系の繋がりが強化・調整され、機能改善・機能再生 が促進されます。医療用HAL®では重い麻痺の患者さんで あっても、意思を反映した微弱な生体電位信号が検出でき れば随意運動を実現できます。装着した患者さんからする と、動かしたくとも自力では動かない足を動かそうすると、 自 然 な タ イ ミ ン グ で HAL®が足を動かしてく れるということになり ます。われわれの脳機能 イメージングから動か そうとする意思に従っ てHAL®により助けられ て動きだす感覚情報が ヒ ト の 脳 に フ ィ ー ド バックして機能的回路 網の再構築を促し神経 回路の再生が促進する こ と が 判 明 し ま し た 。 HAL®による先進リハビ リの有効性の基盤には 並列し補完し合う運動 系、感覚系ネットワーク の統合を我々の脳に促 すためと考えられてい ます。

診療における特色③

診療における特色④

 当院の緩和ケアの中核を担う緩和ケアセンターの主な 活動は緩和ケアチームならびに緩和ケア外来です。前者に ついては、身体症状担当医師(日本緩和医療学会専門医2名 を含む)、精神症状担当医師、看護師(がん看護専門看護師2 名、緩和ケア認定看護師1名)、薬剤師(緩和ケア認定薬剤師 1名を含む)を始めとした多職種からなるチームで、がん治 療中∼治療後の患者さんに対して様々な苦痛を緩和し安 心して療養できるように支援しています。本年度診療報酬 改定において「緩和ケアチーム診療加算」に「個別栄養食事 管理加算」が追加されたこともあり、専任の管理栄養士が 緩和ケアチームに加わり、栄養サポートチームとの連携の もとに「食・栄養」の視点からの介入も行っていきます。  当院に緩和ケア病棟はありませんが、県内5か所の緩和 ケア病棟を含む地域の病院や在宅療養支援診療所などと連 携しながら、患者さんやご家族が望む環境で安心して療養 できるように、「いつでもどこでも切れ目のない緩和ケア」 を提供する体制の充実を図っています。  緩和ケアのさらなる質の向上を目指して、教育面におい て基本的緩和ケア教育の普及のほか、緩和医療専門医の育 成や大学院教育(がんプロフェッショナル養成プラン)など にも尽力しています。 I could walk!

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機能画像診断センター(FIMACC)による癌診断について

機能画像診断センター(FIMACC)による癌診断について

 FIMACC(Functional Imaging and Communication

Center)は琉球大学医学部附属病院に隣接する機能画像診 断センターです。機能画像検査とは、従来のX線単純写真や CT、あるいはMRIといった 形態 画像検査とは異なり、生体 内での分子あるいは細胞レベルの 機能 を可視化したり定 量化したりする事ができる検査です。  当施設ではFDG-PETと呼ばれる機能検査を行っていま す。FDG-PETでは生体内のブドウ糖代謝活性を観察するこ とができ、特に悪性腫瘍の診療において大きな役割を担っ ています。悪性腫瘍は現代医療において非常に重要視され ており、治療前の病期診断、治療中の治療効果判定、治療後 の再発診断といった診療の段階で様々な検査が実施されま すが、各段階においてFDG-PETは重要な情報を提供するこ とができます。全ての悪性腫瘍に対応出来る万能な検査で はありませんが、頻度の高い殆どの悪性腫瘍に対して有用 であり、また副作用も非常に少なく侵襲性の低い検査と なっています。  その他にも保険適応疾患として心サルコイドーシスの FDG-PET検査も当施設では行っており、悪性腫瘍だけでは なく循環器疾患においても重要な役割を担っています。  県内では当施設以外でも他に2ヶ所の施設でPET検査を 行っていますが、 当施設は後発であるにも関わらず順調に 検査件数を伸ばしており、平成29年度の総検査件数は2,536 件に達しています。1日あたりの件数は10.66件で、1台の PET装置で行うことか出来る検査件数の12-13件に迫って おり、2台目のPET装置導入も視野に入れ業務に励んでいま す。  当施設の特徴の一つとして、近隣病院からの紹介患者さ んの件数が多いことが挙げられます。平成29年度の院外か らの検査依頼件数は871件で、院内と院外の検査比率は2:1 となっています。専門医による速やかなレポート記載、院外 紹介検査においては速やかなレポートおよび画像データ送 付を心がけており、依頼いただいた主治医の先生方や検査 を受けていだたいた患者さんの診療に役立てていただける よう尽力しています。  また附属病院とは異なり、保険外診療として PETがん検 診 を行なっていることも特徴の一つです。やはり全ての悪 性腫瘍を発見できる訳ではありませんが、通常のがん検診 で行われる画像検査では発見出来ない病変を指摘出来る場 合もあり、有用性が期待されています。検診中は専用スタッ フによるコンシェルジュサービスを行っており、きめ細や かな対応もご好評いただいています。インターネット上に てウェブサイトも公開しておりますので、ご興味のある方 は FIMACC 検診 にて検索していただければ幸いです。

診療における特色⑤

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社会貢献・国際交流

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社会貢献

社会貢献

 琉球大学(沖縄)サブユニットセンターでは、衛生学・公 衆衛生学講座、育成医学(小児科)講座、医学部附属病院周 産母子センターが中心となり、環境省が実施している「子 どもの健康と環境に関する全国調査」(エコチル調査)を実 施しています。本調査は、全国で10万組の子どもたちとそ のご両親を対象に実施されており、3年間の調査協力者の リクルート期間を経て、ご協力いただいたお母さんから生 まれたお子さんが13歳の誕生日を迎えるまで、6か月ごと に継続的に調査を行っています。さらに、データの分析・解 析を行い、研究成果を発表する計画になっており、調査開 始から調査終了まで20年以上を要する長期の調査となり ます。平成22年度にスタートしたエコチル調査では、その 第一段階として平成23年1月下旬から調査協力者のリク ルート(参加者登録)が全国で順次開始されました。琉球大 学(沖縄)サブユニットセンターの調査対象地域である宮 古島市(宮古島は沖縄本島から南西に約300 Km離れたとこ ろに位置しています)においては、平成23年2月からリク ルートを開始し、平成25年度末に予定数である913人のお 母さんのご協力を得て、無事にリクルートが終了しまし た。平成26年10月には、宮古島市でのエコチル参加者すべ ての出産が終了し、現在、宮古島市のエコチル調査参加者 (お母さん)から出生した最初のお子さん(エコチルベ ビー)は、6歳11か月になっています。(平成30年6月現在)  エコチル調査の長い道のりの第一段階のリクルートと 出産を終え、平成26年度後期から第二段階に入りました。 第二段階では、継続して6か月に1回のフォローアップを継 続するとともに、全エコチル調査協力者の5%(宮古島市で は44名)の方々を対象に、さらに詳しい調査をさせていた だく詳細調査(居住環境や生活環境についての訪問調査、医 学的検査、精神神経発達検査)が開始されました。琉球大学 (沖縄)サブユニットセンターにおいても、平成26年10月よ り詳細調査を開始しており現在、4歳の医学的検査・精神神 経発達検査(平成29年4月∼)を実施しています。さらに、来 年度は小学校2年生を対象に8歳学童期検査の実施が予定 されています。  また、長期にわたるエコチル調査の課題のひとつである フォローアップ率の向上に向けて種々の取り組みをしてお り、これまでベビーマッサージ教室、市民公開講座、リト ミック教室、親子フィットネス、市民参加型イベント(まい ふかこどもまつり)等を実施してきました。さらに平成26 年8月に広報誌「ちゅらちるだより第1号」を発行し、10月に は「ちゅらちるブログ」を立ち上げました。現在、ちゅらちる だよりは第9号まで発行されています。今後もイベントな どを継続的に開催し、エコチル調査参加者との交流を深め フォローアップ率の向上に努めたいと思います。  このような国家プロジェクトである大規模出生コホート 調査(10万人)に本学が積極的に関わり、ヒトへの化学物質 の曝露と子どもへの健康影響(身体発育、先天異常、性分化 の異常、精神神経発達障害、免疫系の異常、代謝・内分泌系へ の障害)の関連を明らかにし、未来の子どもたちの健康保 持・増進と良質な成育環境の醸成のために調査を推進し社 会に貢献できればと考えています。 親子フィットネス まいふかこどもまつり

参照

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