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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 理 学 ) 船 津 顕 之

     学位論文題名

Stucly onaSeries of NovelR1 】 tbemumPorph 皿 noHgomerS      (一連の新規ルテニウムポルフイリンオリゴマーに関する研究)

学位論文内容の要旨

  

分子内に複数のポルフィリン環を有するポルフィリンオリゴマーは、ポルフィリンモノマーでは見ら れなぃポルフィリン環同士の桂冱作用に基づく新たな性質(光化学、磁気化学、電気化学、触媒機能等)

に興味が持たれ、研究が進められている。これまでに、ポルフィリン環の末端同士をフェニル基などに より架橋した構造を有するポルフィリンオリゴマーが数多く合成され、特異な触媒反応の機溝や光合成 反応中´己の機能に関する多くの有用な知見が得られている。このことは、新規ボルフィリンオリゴマー の 倉 噛 ! お よ び そ れ ら の 性 質 の 解 明 が 極 め て 重 要 で あ る こ と を 示 し て い る 。

  

本研究では、ピリジン等と安定な錯体を形成するルテニウ越iDポ〉レフィリン錯体およて槽そ位可能な置 換基としてピリジル基を有するポルフィリン(図1、以下ピリジ´レポルフィリンと略す)に着目し、こ れらをサブユニットとした合計

26

種の新規ルテニウムポルフィリンオリゴマーを合成単離し、それら オリゴマーの反応性や分子内におけるポルフィリン環同士の相互作用を各種スペクトル法、特に紫外可 視部吸収スペクトル

(UV‑vis)

やサイクリックボルタンメトリー

(CV)

を用いて明らかにした。本研究で 得られた主なポルフィリンオリゴマーの構造を図2−

7

に示す。

  

ま ず、ピリ ジルボ ルフィリ ンを軸 配位子と した種 々のルテ ニウム(iDポル フィリン オリゴマー

(perpendicular type porphyrin oligomer

:図2ー4,錯体1一3)の合成単離を行った。次に、図1に示し た種々のピリジルポルフィリンに中´湖としてルテニウム

(iD

イオンを導入することにより図4―6に 示 した

se

‐assembled娜

epo

hyr

0hgoIner

(錯体4一9)の合成単離に成功した。

se

小asseInbled 嘸

p

h

mohgomer

に つ い て は , 構 造ヒ の 特 徴 から 錯 体

4

5

squ

cy

tetramer

, 錯 体

6

7

を五gzagヴ(此tetramer,錯体8,9をcofぬ甜dimerと分類した.

  

特 定図

2

に示し たように 錯体1につい て

X

線 結晶構 造解析に よりその 構造を 決定した .錯体2―9

( 図

3

7

)に ついて は

1HNMR

ス ペクト´レ

IESI

MS

,IRスペクトル,元素分析等により特定した.

  peIpendiCmar

pepoIpb

ぱ 血

0hgomer

1

3

CO

が 配 位 し た ル テ ニ ウ ム

OD

ポ ル フ イ リンオリゴマー錯体1,

2

のUv.v迅|あ本頃的に、そゎぞゎのオリゴマーを構成しているポルフィリンサ ブユニットの吸収スペクトルの重ね合わせであった。これに対し、錯体3では構成ポルフィリンサブユ ニ ッ ト に 帰 属さ れ る 嚠臠 仔 以 外に 、

450nm

付近 に

MLCT

metaltohgand

argetransfer

band mmI

り・ず 冊・) )を示し た。ま た丶cvの結 果から 、錯体

1

,2では

cO

の 配位によ り

Ru

のの槻効琲 常に安定化され、構成ボルフィリンサブユニットのポ冫レフィリン環の酸化過程および軸配位子ポルフイ リン環の還元過程カ湖測された。一方、

CO

を配位子として持たなぃ錯体3では、構成ポルフィリン環 の酸化および還元過程以外に、ルテニウムイオンの2十から3十への酸化が進行することが確認された。

  

舶 拵 鵠 舶

mbledtypep0

hyT

01igomers

讎 淋

4

9

) 錯 体

4

9

の ト ル エ ン 溶 液 に ピ リ ジ ンを導入すると、いサマ1もポ〉レフィリンオリゴマー機カ靴、Soretbandの尖婁尉匕と吸光度の増加を 伴ってピリジン配位ポルフィリンモノマーが生成した。すなわち、これらのポルフィリンオリゴマーは相 当するルテニウムポルフィリンモノマーに比ベ、ブロードなSoretbandを有している。これは構成ボル

(2)

フィ リン サ ブユ ニッ ト 間に 分子 内 相互 作澗(dipole‑dipole interachonカ 卑手左 してい・ることを 示してい・る。

soretbandの ブ ロ ー ド 化 はsquarecycHctetramerく 五gZagcychctetramerCofacimdimerの 順 に 大き くな る 。

  分 子 内 に お け る ポ ル フ ィ リ ン サ ブ ユ ニ ッ ト 間 の 相 互 作 用 の 存 在 は くNの 測 定 結 果 か ら も 明 ら か に な っ た 。 軸 配 位 子 と し てCOを 有 す る 錯 体46, ま た は8で は 、 ポ ル フ ィ リ ン 環 の 酸 化 過 程 の み が 観 測 さ れ た 。 一 方 、 錯 体57, ま た は9で は 、 中 ´ 湖 イ オ ン で あ る ル テ ニ ウ ム イ オ ン の2十 か ら3十 へ の 酸 化 が 進 行 し た 。 極 め て 興 味 深 い こ と は 、 こ れ ら の 電 気 的 酸 化 反 応 過 程 が 分 裂 し 、 い ず れ の ポ ル フ ィ リ ン オ リ ゴ マ ー に お い て も1電 子 づ っ 別 堵 的 に 進 行 す る こ と で あ る 。 こ れ ら の 酸 化 過 程 の 分 裂 幅 はsluare cycuctetramerl10130mめ く 五gZagcyclictetramer190260mり くc01fadmdimer270300 mめ の 順に 大き く なる 傾向 が 見ら れた 。

  上 記 のUvvbや (Nの 結 果 は 、 こ れ ら の ポ ル フ ィ リ ン オ リ ゴ マ ー で は 、 分 子 内 に お け る ポ ル フ ィ リ ン サ ブ ユ ニ ッ ト 間 の 相 互 作 用 が 缶 か に 存 在 す る こ と を 示 し た 。 さ ら に 、 相 互 作 用 の 大 き さ は ポ ル フ ィ リ ン サ ブ ユ ニ ッ ト 間 の 距 離 を 反 映 し 、SquarecyChctetramerく 五gZagCychctetramercofadddner 順に 大き く るこ とを 示 して いる 。

  錯 体91電 子 酸 化 し た 混 合 原 子価 錯体 (RuOI,IID)で は ,近 赤タ 怖 頁量 或く150m)に 血teNalence出arge transferbandQTbanみ を 示 し , 分 子 内 に お け る ポ ル フ ィ リ ン サ ブ ユ ニ ッ ト 間 の 電 子 移 動 が 確 認 さ れ た 。 ま た 、 混 合 原 子 価 錯 体 の 赤 外 吸 収 ス ペ ク ト ル はITbandと ポ ル フ ィ リ ン 環 の 振 動 吸 収 帯 (16001000 cm1)と のCouphngに よる 大変 興 床深 いantぬsonanceの 存在 を示 し た。

  本 研 究 で は 上 記 のsquarecyctetranlercofaddnerに さ ら に ピ リ ジ ル ポ ル フ ィ リ ン 軸 配 位 子 を 有 す る ( 斌amertetrerの 合 成 単 離 に も 成 功 し た 。 こ れ ら の よ り 発 展 し た ポ ル フ ィ リ ン オ リ ゴ マ ー squarecychctetramercofaci甜 出merと 軸 配 位 子 ポ ´ レ フ ィ リ ン の 性 質 を 併 せ 持 っ て い る と い う 点 、 ま た 、 軸 配 位 子 ポ ル フ ィ リ ン に 種 々 の 金 属 イ オ ン を 導 入 す る こ と に よ り 多 種 多 様 な 混 合 金 属 ポ ル フ ィ リ ン オ リ ゴ マ ー の 合 成 が 可 能 で あ る と ぃ う 点 か ら も 大 変 興 味 深 い 新 規 ポ ル フ ィ リ ン オ リ ゴ マ ー で あ る 。

¨T

  ピリジル

錯体1 図2

perpendicular type

錯体2 図3 錯体3 図4

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(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

佐々木 魚崎 山岸 今村

陽一 浩平 晧彦

    

     学位論文題名

Study onaSeries of Novel Ruthenium Porphyrin Oligomers      (一連の新規ルテニウムポルフイリンオ1J ゴマーに関する研究)

  

ポ ル フ ィ リ ン 錯 体 の 研 究 は 、 生 体 内 金 属 酵 素 の 作 用 機 構 との 関 連 、ま た 酸 化還 元 、 発光 挙 動 な ど の ポ ル フ ィ リ ン 自 体 の 持 つ 機 能 性 な ど と の 関 連 で 、 錯 体化 学 の 分野 で も 最も 活 発 に研 究 さ れ て い る 領 域 の ー つ で あ る 。 ポ リ フ ィ リ ン を 複 数 個 連 結 させ る こ とに よ り 、そ の 機 能を 増 幅 さ せ た り 、 そ の 相 互 作 用 に よ り 新 た な 機 能 を 付 与 し よ う とす る 研 究も 、 光 合成 中 心 の機 作 と の 関 連 な ど か ら 注 目 さ れ て い る 。 連 結 の 手 段 に 対 す る ア プ口 ー チ は、 ポ ル フィ リ ン 同士 を 共 有 結 合 で っ な げ よ う と す る も の が ほ と ん ど で あ る 。 ポ ル フィ リ ン の中 心 に 金属 イ オ ンを 導 入 し 、 配 位 結 合 を 介 し て ポ ル フ ィ リ ン オ リ ゴ マ ー を 作 ろ う とす る ア プ口 ー チ も重 要 な 戦略 の ー つ で あ る が 、 こ れ ま で の 研 究 は 生 成 す る オ リ ゴ マ ー の 不 安定 性 の ため 十 分 な成 果 に 結び 付 い て い な か っ た 。 新 た な 発 想 に よ る ア プ 口 ー チ が 待 望 さ れ る 状 況 に あ っ た 。

  

本 論 文 は 、 ポ ル フ ィ リ ン の メ ソ 位 に ピ リ ジ ル 基 を

1

2

個 導 入 し た ポ ル フ ィ リ ン と 、 金 属 イ オ ン と し て ル テ ニ ウ ム と を 用 い る こ と に よ り 得 ら れ る 、 配 位結 合 を 介し た ポ ルフ ィ リ ンオ リ ゴ マ ー の 合 成 に 関 す る も の で あ る 。 二 量 体 か ら 最 大 八 量 体 ま で

26

種 の オ リ ゴ マ ー が 合 成 さ れ 、 そ の 構 造 や 性 質 が 丹 念 に 調 べ ら れ て い る 。 本 研 究 の 最 大の 特 徴 は置 換 不 活性 な ル テニ ウ ム イ オ ン を 金 属 イ オ ン と し て 用 い た 点 で あ り 、 一 旦 生 成 し たオ リ ゴ マー は 容 易に は こ われ な し ゝ ので 、 よ り高 次 の オリ ゴ マ ーへ の 合 成設 計 が 可 能で あ る 。構 造 上 の最 大 の 特徴 は ポ ルフ ィ リ ン を 直 交 す る 形 で 並 べ た 点 に あ り 、 本 研 究 は こ の 種 の オ リゴ マ ー の研 究 の 分野 を 飛 躍的 に 発 展 さ せ た 点 で 、 極 め て 高 く 評 価 さ れ る も の で あ る 。

  

ピ リジ ル 置 換ポ ル フ ィリ ン と して は 、

4

・ ピ リ ジ ル置 換 体 を中 心 と して 、

3

―ピ リ ジ ルお よ び

2

・ ピ リジ ル 置 換体 も 用 いら れ て いる 。

4

―ピ リ ジ ル 置換 体 に つい て は 、4― ピ リジ ル 基 が1ケ お よ び

trans

位 に

2

ケ の 二 種 の も の が 用 い ら れ て お り 、 他 の ポ ル フ ィリ ン を 持つ ル テ ニウ ム 錯 体 の 軸 位 か ら 直 交 す る 形 で 配 位 し 、 ポ ル フ ィ リ ン 二 量 体 な い し は三 量 体 が生 成 す る。 配 位 結合

(5)

に よる オリ ゴマ ー化 をサ ポー トする構造上の直接的な証拠として、二量体の単結晶X 線構造 解 析も 報告 され てい る。 この 構造はNMR スペクトルの考察から、溶液中でも保たれているこ と が 示 さ れ て お り 、 提 示 さ れ た オ ル ゴ マ ー 構 造 に 対 す る 説 得 カ は 十 分 で あ る 。    モノピリジル置換ポルフィリンのルテニウム錯体が互いに軸位から配位する形の、ポルフ ィ リンオリゴマーは特に興味深い観測結果とっながっており、注目される。これらのオルゴ マーはいずれも閉じたサイクリックな構造を持っており、4 −ピリジル、3 ―ピリジル置換体で はサイクリック四量体が、2 ーピリジル誘導体では二量体が得られている。このような閉じた 構 造は、反応溶液中で優先的に生成しているようであり、合成反応の面からも興味深い。こ れ らサイクリックオリゴマーの性質では、ポルフィリン間の相互作用が、電子スベクトル、

酸 化還元挙動の面から詳細に調べられている。電子スペクトルからはいわゆるエキサイトン カ ップリングによるソーレ帯の幅広化が明瞭であり、また、酸化還元では四つのユニットの 酸化波が分裂して観測されており、相互作用に関する貴重な情報となっている。2 −ピリジル ポ ルフィリンはルテニウム複核錯体を形成するが、このユニット間の相互作用はさらに画期 的 な成果にっながっている。すなわち、この複核錯体では、ユニット間の相互作用が強く酸 化 反応中間体の混合原子価状態が安定にっかまえられる。これ自体興味深いが、さらにこの 混 合原子価錯体は、赤外領域で振動スペク卜ルと、原子価間の電子遷移とが共鳴して、いわ ゆ るFano 効果と呼ばれる特徴的なスペクトルを示すが、この現象は分子に対しては最初の観 測例と思われる。

   以上のように、本研究では、一連の直交配置のポルフィリンオリゴマーを合成、さらにそ の 性質を詳細に検討している。合成面での価値に加え、これまでに報告されていなかったい く つもの新しい現象が観測されている点も大きな成果として注目される。本研究で合成され た ポルフィリンオリゴマーは、光反応、触媒反応など、優れた機能を内在しており、これか ら の研究で一層大きな付加価値が期待されるばかりでなく、合成の指針としても高い価値が あ り、本研究の波及効果は、錯体化学、ポルフィリン化学の分野にとどまらず、広い分野に 及ぶものと考えられる。

   よっ て著 者は 、北 海道 大学 博士 (理学 )の 学位 を授 与さ れる資格があるものと認める。

参照

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図2に実験装置の概略を,表1に主な実験条件を示す.実