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博 士 ( 理 学 ) 岡 本 崇 学位論文 題名 Theoretical Study on IvIorphological and Color Evolution of Cluster Galaxies inACDM Universe

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 岡 本    崇      学位論文 題名

  Theoretical Study on IvIorphological and Color Evolution of Cluster Galaxies inACDM Universe

(A CDM 宇宙における銀河団銀河の形態・色進化に関する理論的研究)

学 位 論 文 内 容 の要 旨

  銀河は宇宙 を構成する最も基本的な構造であり、銀河形成は天文学における最も重要 な問題のーつ となっている。この銀河形成問題では初期密度揺らぎの重力成長、ガスの 放射冷却、星 形成、超新星爆発、銀河同士の合体等の複雑な過程が絡み合っており、個々 の物理過程が 如何に有機的に結びっいているのかを理解する必要がある。本研究では後 述 する よう に銀 河形 成を 理 解す る上での手がかりが豊富に ある銀河団銀河の性質と銀 河 形成 モデ ルの 関係 をN体 シミ ュレ ーシ ョン と解 析的 な 銀河 形成モデルを結合させる こ とに より 調べ た。 宇宙 モ デル は近年のIa型超新星爆発や 宇宙背景放射の観測から有 力 視さ れている、宇宙項,A,のある平坦なコールドダータ マターモデルを採用した。

  銀河団ふ観測的に一様な銀河のサンプルを集め易く 、現在まで楕円銀河の色・等級関 係(明るい楕円銀河ほど赤い)や、銀河の形態,密度 関係(銀河密度の高い領域ほど早 期型 銀河 の割 合が 多い )、Butcher‑Oemler効果(高赤方偏移の銀河ほど青い銀河の割 合が多い;などが発見されてきた。一方、理論的には 銀河団は均質な環境を銀河に与え てし`るため、前述の観測的特徴と合わせて銀河の進化を解明するための格好のプローブ

.アあろと言えるっ

  前述の形態・密度関係は、銀河の周囲の環境に依 存するメカニズムが最終的な銀河の 形状を決定していることを示唆している。そのようなメカ二、ズムとして、銀河団ガスに よる 星間 ガス のram pressure strippingや、銀河同士、もしくは銀河と銀河団の間 の 潮汐 相互 作用、銀河同士の合体等が提唱されて来た。N体計算により渦巻銀河同士の 合 体により楕円銀河と良く似た天体が形成されること が確認されているため、銀河の合体 は銀河の形態進化を引き起こすメカニズムとして最 も支持されてきた。また、銀河の合 体による形態進化のモデルは楕円銀河の色・等級関 係を再現できることも準解析的モデ ル(後述)を用いて示された。

  そこで、本研究では 宇宙論的な数値シミュレーションを行い、この銀河の合体による 形態進化モデルが銀河 団銀河の形態‐密度関係や楕円銀河の色・等級関係を再現できる かを調べる。そのため の方法としてガス冷却、星形成、超新星爆発、化学進化等を含む 重力十流体シミュレー ションを行うのは現状では事実上不可能である。なぜならばその ようなシミュレーショ ンは計算時間を非常に多く必要とし、不十分な空間解像度で限ら

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れたバラ メー夕 空間しか 調べら れないか らであ る。

  一方、 銀河形成 を調べる上で近年大きな成果を上げているのが準解析的手法と呼ばれ る方法で ある。 この方法 では個々のダークハローの形成史は宇宙モデルに基づぃてモン テカルロ 的手法 を用いて 計算する。そのダークハロー内部での星形成等の各過程は簡単 なモデル を導入 して取り 扱う。この手法では解析解をつないで結果を得るため計算時間 が短く、 銀河形 成問題の ように統計量を出し、かつ広大なパラメー夕空間を調べねばな らない場 合には 非常に有 効である。しかし、準解析的手法は線形理論を拡張した形式に 基づくも のであ り、基本 的に宇宙の空間構造を考慮できない。従って、銀河の空間分布 に関する 情報は 得られず 、形状・密度関係のような空間分布を必要とするような観測量 について 調べる ことはで きない 。

  そ こで 、 本 研 究で は 銀河団形 成の宇 宙論的な 高精度N体シ ミュレー ション を行い、

そ こから 直接個々 の銀河 に付随するダークハローの形成史を調べた。ダークハ口ー内で の ガス冷 却、星形 成、超 新星爆発によるガス加熱等の過程は準解析的手法で用いられて いる簡単なモデ´レを導入して計算する。この方法により、通常の準解析的手法で得られ る 、銀河 の色、等 級、形 状ばかりでをく空間・速度分布も得られる。銀河の形態は前述 し たよう に銀河同 士の合 体によっ て進化す るもの とする。 このよ うな仮説 をmerger仮 説 と呼び 、このシ ナリオ では、銀河はまず渦巻銀河として生まれ、近い質量の銀河同士 の 合体に より楕円 銀河が 形成される:その後のガス冷却と星形成は新たな銀河円盤を形 成 し、バ ルジ(楕 円成分 )とディスクを持つ銀河が形成される。このバルジとデイスク のB‑bandで の光 度 の 比に よ っ て、 銀 河 をS( 渦 巻)、SO(中間 型j、E( 楕円銀河jに 分類する。

  この ようにして得られた形態・密度関係と色・等級関係を観測と比較するここにより 以下の結果を明らかにした。(1) .merger仮説は銀河団内での楕円銀河の分布を再現し、

(2)同時に楕円銀河の色・等級関係も再現する。一方 、(3)このモデルの下では十分にSO 銀 河 を 形 成 す る こ と が で き ず 、(3)そ の 分 布 の 傾 向 も 観 測 と 一 致 し な い 。   以上 の 結 果か ら、楕円 銀河は 主に銀河 同士の合 体によ って形成 されて いるが、SO銀 河 の 形成 に は 合体以外 の物理過 程が重 要な役割 を果た している と考え られる。SO銀河 の形成に関わるメカニズムの有カな候補として、質量比の大きく違う銀河同士の合体や、

銀河団ガスによる星間ガスのram pressure stripping、銀河・銀河、銀河・銀河団間の潮 汐相互作用が考えられる。

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(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授 助教授

藤本 河本 加藤 羽部 兼古

正行     昇 幾芳 朝男     昇

     学位論文題名

  Theoretical Study on IvIorphological and Color Evolution of Cluster GalaXieSinACDMUniVerSe

(A CDM 宇宙における銀河団銀河の形態・色進化に関する理論的研究)

   銀河は宇宙を構成している基本的な天体であり、銀河の宇宙論的なスケール の分布は宇宙の構造形成の手がかりを与える。その意味で銀河形成は宇宙物理 学の最も重要な研究課題のーっとなっている。銀河形成は、まず宇宙初期の密 度揺らぎの成長し、その結果ダークハローが形成され、さらに、そこでのバル オンの冷却と星形成による小銀河の形成、その小銀河の合体でさらに大きな銀 河の形成という複雑な物理過程がからみ合っている。そのため、これらの過程 を全て考慮したモデルを取扱うことは、大規模な数値モデルを必要とし、非常 に困難であった。

   一方、銀河には、大きく分けて楕円銀河と渦巻銀河そしてその中間的な性質 をもつSO 銀河があり、これらは銀河の集団化の程度、すなわち、銀河の個数の 空間的な密度に依存していることが明らかになっている。最近のハッブル宇宙 望遠鏡によって、遠方の銀河団(銀河が数百個集団化した天体)に属する銀河 にも、これらの関係があり、定量的な関係は我々の近傍の銀河とは異なってい ることが示されている。このことから、この銀河の形態と銀河個数の空間的な 密度の関係の物理的理由を宇宙論的に明らかにすることが課題となっている。

   本学位論文の著者は、銀河団という環境効果が銀河形成と進化への影響に着

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目して 研究 した 。この 銀河 団環 境を 考慮するため、ダークハローの形成・合体 の過程 を詳細なN 体計算を行って求め、ダークハ口ーの形成によって集められた パリオ ンか らの 星形成 につ いて は準 解析的モデルを用いるという、従来にない 新しい モデ ルを 提案し て研 究を 行っ た。銀河の形態進化については合体仮説を 仮定し た。 宇宙 背景放 射の 研究 など から最 近有 力視 され ている A 宇宙モ デルを 仮定 し た 。 そ の 結 果 、 銀 河団 におけ る楕 円銀 河が占 める 割合 と銀 河環境 の関 係・ 色 進 化 は 合 体 仮 説 で 説明 するこ とが 可能 である こと を示 した 。この 結果 は、銀 河の 形態 と銀河 環境 の関 係を 具体的に明らかにした研究として評価され る。ま た、 全銀 河に占 める SO 銀 河の 割合については、合体仮説だけでは説明で き ず 、 新 た な 物 理 過 程 を 考 慮 し た研 究 が 必 要 で あ る こ と を 明ら か に し た 。      こ れを 要す るに、 著者 は宇 宙物 理学における基本的な問題である銀河形成 進化に おい て銀 河団の 形成 と進 化が 与える影響について新しい知見をえたもの であり 、宇 宙物 理学に おけ る銀 河形 成の研究に対して貢献するところ大なるも のがある。

     よって審査員一同は、著者が北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あ

るものと認める。

参照

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