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WC − Ni 超硬合金の溶接残留応カに関する研究

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 落 合 学 位 論 文 題 名

WC ー Ni 超硬合金の溶接残留応カに関する研究 学位論文内容の要旨

  炭 化 タ ン グ ス テ ン(WC)は 代 表 的 な 超 硬 合 金 で あ る ,WC粉 末 の 結 合金 属 と し てコ バ ル ト Coや ニッ ケ ル Ni粉 末 を 添Jロし焼 結する と,硬度 ととも に強度 にも優 れたWC超 硬合金 が得ら れ る .焼結 した超硬 合金チ ップの 応用例 として 最初は 切削工 具であ った.焼 結方法 の改良 とと もに,形状も′Jヽ型ではあるが種々の形状の超硬合金ぬミできるようになり,ダイスやロ・ールなど の 耐 磨耗工 具に応用 きれる ように なった .広い 摺動面 に採用 する場 合には, 多数の 超硬合 金チ ッ プ を摺動 面に接合 する必 要があ る.接 合には ,ろう 付けが 一般的 であるが ,強度 の面で は溶 接 の ほうが 当然優れ ている .しか し,結 合金属 割合の 低い超 硬合金 チップを 鋼の部 材に直 接溶 接 すると, 溶接割 れが生 じてし まう. 超硬合 金の溶接性を向上させるには,適切な害叮合の結合 金 属 を選定 しなけれ ばなら ない‐ しかし ,この 方法で は超硬 合金の 硬度を低 下させ る恐れ があ る,そこで,Y勧表面は高硬度カゝつ高強度,接合部旧麓趨を性が優れた性能を有するf溌燦B局諦才 料を開発することが期待される.

  この ような 場合で も,超 硬合金を 溶接す ると熱 物性の 違いに よる熱 応カが 発生し ,溶接剖 れ の 生 じる危 険陸があ る,溶 接後完 全に冷 却され たとき に存在 する応 力分布が 残留応 カであ り,

残 留 応カを 測定する と,溶 接熱応 カを推 定する ことが できる .溶接 残留応力 測定憾 ,溶接 割れ の 対 策に結 びっく重 要な測 定方法 である .結合 金属割 合と残 留応カ の関係を 明らか にする こと が , 傾 斜組 成 超 硬 合金 開 発 の ため に 不 可 欠で あ る . また, 超硬合 金の結合 金属と しては ,Co が 代 表 的に 用 い ら れて き た が ,特 に 非 磁 性体 や 耐 食 性が要 求され る場合に はNiを 使うこと も 多 い . 近 年 経 済 的 理 由 か らCoよ り 安 価 なNiが 注目 さ れ て いる . し か し,WC‑Ni超硬 合 金 に 関する報告は非常に少ない.

  以 上の こ と か ら本 論 文 で は, 溶 接 割 れを 残 留 応 カの 観 愾 か ら捉 え ,WC‑Ni超 硬合金 の結合 金 属 害 恰を 種 々 に 増加 さ せ て 溶接 実 験 お よ乙 留 応 力 測定を 行い, 併せてそ の実験 のシミ ュレ ー シ ョン解 析手法を 検討す る.こ の結果 から結 合金属 割合と 残留応 カの大き さとの 関係を 把握 し , 超 硬合 金 の 溶 接陸 を 論 ず ると と も に ,今 後 の 傾 斜細成 超硬合 金の設計 指針を 整理す る.

  溶 接残 留 応 カ の測 定 に は 非破壊 測定方 法とし て最も 一般的 なX線を 用いる .しか し,超硬 合 金 のX線 溶 接残 留 応 力 測定 に は解 決され ていな い問題 がある .溶接 部は溶接 熱の影 響を受 け,

材 料 が 非均 質 と な って い る ので ,X線応 力測定 が困難 または 測定精 度の低下 が考え られる .最 も 溶接割れ に重要 なのが 溶接部 の残留 応力値 であり,この領域の応力値の精度が低いままでは,

測 定 そのも のの意義 が問わ れるこ ととな る.そ のため ,従来 の測定 法に対し て,二 つの改 良案

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を提唱し,残留応力測定に対する有効陸を論ずる.最初に,固有ひずみ法を用いてX線残留応 力分布を求める,固有ひずみとは溶接時によって生じた溶接部の塑性ひずみである.溶接部の 固有ひずみの大きさが決定できると系全体の残留応力分布が求められる,X線測定と組合わせ た固有ひずみ法を用いると,溶接部の残留応力分布の信頼性が向上する.改良点のもうひとつ は,測定点の応力値を,その点に関するすべてのX線回折角ピーク値を用いて応力値を決定す る,多軸ひずみ測定法を新たに開発したことである.従来の方法では測定不可能と判断される ような場合 にも,有効な残留応力値が決定できる方法である,X線残留応力測定の改良とと もに,残留応力解析にも新たに工夫を加えた.ほとんど報告されたデ・ータがないWC‑Niの材 料定数を100%WCおよび100%Niの材料定数から補間するモデルおよび計算式を示した.以 上の実験お よび解析結果からWC‑Niの溶接残留応カに関するデータが得られ,溶接可能な条 件を得ることができた,

  本 論 文 は 7章 で 構 成 さ れ て い る . 以 下 に そ れ ぞ れ の 章 の 概 要 を 述 べ る .   第1章は序論で,超硬合金の溶接に関するこれまでの研究の調査結果を示し,論文の目的を 明確にする.

  第2章では,固有ひずみを用いた溶接残留応力測定法について述べる,X線で測定されたひ ずみから溶接残留応力分布を求める方法を明らかにした.固有ひずみ法を用いると,不連続な 測 定応 力点 に加 え, 連 続し た有 意義 な残 留応 力分 布が 得ら れることが確かめられた.

  第3章では, 結合金属Ni質量割合を10%から60%まで10%毎に変化さ せたWC‑Ni超硬合 金円板を焼結し,焼結時の試験片の残留応カを測定する.多軸ひずみ測定法を用いると,従来 では測定不可能であった溶接部や低Ni結合相でも,応力測定が可能であることを示した.さ らに,焼鈍した後の試験片の残留応力測定を行い,応カが十分解放されたことを確認した.

  第4章は,前章で製作した超硬合金を2分割し,半円板の鋼と突合 せ溶接した試験片のX 線 残 留 応 力 測 定 を 行 っ た . さ ら に 固 有 ひ ず み 法 を 用 い て 残 留 応 力 分 布 を 求 め た .   第5章では,第4章で行った溶接実験のシミュレーションとして,熱弾塑性を用いた溶接残 留応力解析を行った.実際の超硬合金を用いて行った縦弾陸係数およびポアソン比の測定結果 から,従来 の100%WCおよび100%Niの直線補問で材料定数計算をすることは適切ではない ことがわかった,そこで,並列ばねと直列ばねを複合させたモデルおよぴ計算式を示し,本論 文 の 解 析 に 用 い る こ と に し た . 解 析 結 果 は , 前 章 の 測 定 結 果 と 良 い 一 致 を 見 た .   第6章では,より一般的な超硬合金の溶接である突合せ溶接の場合を想定し,溶接残留応力 解析を行った.傾斜組成超硬合金のもっとも単純な例として2層超硬合金円板を解析対象とし,

表面が従来 の低Ni超硬合金のとき,第2層にはどのようなNi割合が最適か残留応カの大きさ か ら 検 討 し た . 以 上 の 結 果 は 今 後 の 傾 斜 組 成 超 硬 合 金 の 設 計 指 針 と な る .   第7章は結論であり,本論文をまとめて論じている.

  最後に,本論文の解析手法を用いると,超硬合金の溶接残留応力解析が可能となり,今後の 超硬合金設計の指針を得た.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

WC − Ni 超硬合金の溶接残留応カに関する研究

  炭化タング ステン(WC)粉末の結合金属としてコバルトCoやニッケルNi粉末を添 加し焼結すると,硬度とともに強度にも優れたWC超硬合金が得られる.焼結した超硬 合金チップの代表的応用例としては切削工具であった.焼結方法の改良とともに,形状 も小型ではあるが種々の形状の超硬合金ができるようになり,ダイスやロールなどの耐 磨耗工具に応用されるようになった,広い摺動面に採用する場合には,多数の超硬合金 チップを摺動面に接合する必要がある.接合には,ろう付けが一般的であるが,強度の 面では溶接のほうが当然優れている.しかし,結合金属割合の低い超硬合金チップを鋼 の部材に直接溶接すると,溶接割れが生じてしまう,超硬合金の溶接性を向上させるに は,適切な割合の結合金属を選定しなければならず、この方法では超硬合金の硬度を低 下させる恐れがある.そこで,作動表面は高硬度かつ高強度,接合部は溶接性が優れた 性能を有する傾斜組成材料を開発することが期待される.超硬合金を溶接すると熱物性 の違いによる熱応カが発生し,溶接割れの生じる危険性がある.溶接後完全に冷却され たときに存在する応力分布が残留応カであり,残留応カを測定すると,溶接熱応カを推 定することができる.溶接残留応力測定は,溶接割れの対策に結ぴっく重要な測定方法 である.結合金属割合と残留応カの関係を明らかにすることが,傾斜組成超硬合金開発 のために不可欠である.また,超硬合金の結合金属としては,Coが代表的に用いられ てきたが,特に非磁性体や耐食性が要求される場合にはNiを使うことも多い,近年経 済的理由からCoより安価なNiが注目されている.しかし,WC‑Ni超硬合金に関する 報告は非常に少ない.

  本論文は,以上のことから溶接割れを残留応カの観点から捉え,WC・Ni超硬合金の 結合金属割合を種々に増加させた溶接実験および残留応力測定手法,その実験のシミュ レーション解析手法を研究し、超硬合金の溶接性を明らかにすることを目的としたもの である。

  本 論 文 は7章 で 構 成 さ れ て い る . 以 下 に そ れ ぞ れ の 章 の 概 要 を 述 べ る .   第1章は序論で,超硬合金の溶接に関するこれまでの研究の調査結果を示し,論文 の目的を明確にする.

  第2章では,固有ひずみを用いた溶接残留応力測定法について述べる.X線で測定 されたひずみから溶接残留応力分布を求める方法を明らかにした.固有ひずみ法を用い ると,不連続な測定応力点に加え,連続した有意義な残留応力分布が得られることが確 かめられた.

  第3章では,結合金属Ni質量割合を10%から60%まで10%毎に変化させたWC‐Ni

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茂 徹

弘 行

   

   

昌 昌

野 口

川 藤

但 野

池 工

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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超硬合金円板を焼結し,焼結時の試験片の残留応カを測定する,多軸ひずみ測定法を用 いると,従来では測定不可能であった溶接部や低Ni結合相でも,応力測定が可能であ ることを示した,さらに,焼鈍した後の試験片の残留応力測定を行い,応カが十分解放 されたことを確認した.

  第4章は,前章で製作した超硬合金を2分割し,半円板の鋼と突合せ溶接した試験 片のX線残留応力測定を行った.さらに固有ひずみ法を用いて残留応力分布を求めた,

  第5章では,第4章で行った溶接実験のシミュレーションとして,熱弾塑性を用い た溶接残留応力解析を行った,実際の超硬合金を用いて行った縦弾性係数およびポアソ ン比の測定結果から,従来の100%WCおよぴ100%Niの直線補問で材料定数計算をす ることは適切ではないことがわかった.そこで,並列ぱねと直列ぱねを複合させたモデ ルおよび計算式を示し,本論文の解析に用いることにした.解析結果は,前章の測定結 果と良い一致を見た.

  第6章では,より一般的な超硬合金の溶接であるすみ肉溶接の場合を想定し,溶接 残留応力解析を行った.傾斜組成超硬合金のもっとも単純な例として2層超硬合金円板 を解析対象とし,表面が従来の低Ni超硬合金のとき,第2層にはどのようなNi割合が 最適か残留応カの大きさから検討した.以上の結果は今後の傾斜組成超硬合金の設計指 針となる,

  第7章は結論であり,本論文をまとめて論じている.

  最後に,本論文の解析手法を用いると,超硬合金の溶接残留応力解析が可能となり,

今後の超硬合金設計の指針を得た.

  これを要するに、著者は、WC‑Ni超硬合金の溶接性評価に不可欠な溶接残留応カの 測定法および解析法に関し新知見を得たものであり、溶接工学、機械要素設計学の分野 に貢献するところ大である。よって著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される 資格あるものと認める。

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参照

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