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   (遷移金属触媒による位置および立体選択的アリルカップリング反応)

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(1)

博 士 ( 理 学 )    槙 田 祐 輔

学 位 論 文 題 名

Transition IN/Ietal Catalyzed Regio ― and Stereocontrolled      ,Allylic Coupling Reactions

   (遷移金属触媒による位置および立体選択的アリルカップリング反応)

学位論文内容の要旨

有機 台 成 化 学 は 、 多様 な 分 子 変 換 手 法の 開 発 を 通 し て 周 辺化 学 領 域 の 進 展 に寄 与 し て き た 。今 後の更 なる 発展の ため に は 、 柔 軟 な 分子 設 計 を 強 カ に 後押 し す る 自 在 な骨格 構築 法の開 発が 求めら れる 。また 、高 度な選 択性 や直哉 的な 反 応 を 実 現 す る触 媒 開 発 は こ れ カゝ ら の 彳 囃 な 誘麺野 ある 。申請 者は 、遷移 金属 触媒に よる アリル 位置 換反応 が持 つ 有 機 合 成 化 学的 な 潜 在 能 カ に 着目 し た 。 新 た な触媒 系を 構築し て、 これま でに ない選 択性 や反応 性を 付与し たア リ ル カ ッ プ リ ング 反 応 を 開 発 す る研 究 を 行 っ た 。本論 文は 、遷移 金属 触媒に よる アリル 位置 換反応 に関 する背 景に つ い て 述 べ た 緒言 と 、 本 研 究 の 成果 を 記 し た 以 下 の4つ の 章か ら 構 成 さ れ る 。

  第 一 章 で は 、パ ラ ジ ウ ム 触 媒 によ るy位選 択 的 お よ び 立 体特 異 的 な ア リル ーアリ ール カップ リン グ反応 の開 発と その反 応機 構の解 明に ついて 述べ ている 。辻 ―トロ スト反応に代表されるだ―アリル金属中間体を経由するアリ´レイ匕 反応 は 重 要 な 炭 素 骨格 構 築 法 で あ るbxヲ 馼 擱 く な ア リル 基 質 を 用 い た 場合 の 位 置 遡 雛 の iYは 究極 的なi諾 欝で あ る(式la)。 そこで 、問 題の原 因と なる7匸‐ア リ´ レ金属 中間 体を経 由させない新たな反応概念を着想した。っまり、

有機 金 属 種 の 付 加 (挿 入 ) と 脱 離 を 連続 的 に 起 こ す こ と で、 基 質 の 構 造に 依存 しない 完全 なy位 選択陸 を獲 得でき ると ぃ う 反 応系 を設 計した (式lb)。金 属交 換によ り得 られる アリ ー´レ パラ ジウム 種を 利用す るこ とで、 パラ ジウ ム 触 媒 に よ る 酉F酸 ア リ ル 類 と ア リ ー ル ホ ウ酸 の 位 置 遥 黼 な アリ ル ― ア リ ー ル カ ップ リ ン グ 反 応 を 見出 し た 。

( 1a )    ヘ \ 人 ″ oX 豐 1 ・ 樹 { ; 農

R | / \ 、b/LR  ̄    ヱ ― 生 成物

  触媒 量の 酢巒レくラジウム、2,2 ‐ビピリジン(または1,10‑フェナントロリン)、銀塩の存在下、光岸活性脅織アリ ル 誘 導体 に 対 し て ア リ ール ホ ウ 酸 を 作 用 させ る と 、 基 質 の 構 造と は 無 関係 にy位 選択 的かつ 冒体 選択的 に反 応は進 行 し た( 式2) 。 ま た 反 応 は1,3‑synの立 体化 学で特 異的 に進行 し、 光学濳 陸ア リルペ ンゼ ン誘導 体の 構築を 可能 と し た 。反 応 機 構 を 明 ら かに す る た め に 種 々の パ ラ ジ ウム錯 体を 用いた 量論 反応を 行い 、推定 され る中間 体な らびに その モデル イ匕 合物の 合戒 に成功 した 。脱離 基で あるアセトキシ基のパラジウム中JLへの酉己位カ挿入反応を手助けし、

ロ ― アセ ト キシ 脱離 により 位置 および 立体 潤渺ミ 的な アリル ―ア リール カッ プリン グ反 応が進 行す ること を示 した。

           ‑)   P        z (10 mal%)   +  Me謐 '10mol%)

   OAc ‑  ― −| う一  MeOCH2CH20Me

TIPSO    ‑  r ' 60'C,12h      TI

      97% ee       71%   97%ee syn./an打冫99:1

− 1379 ‑

I要な中同体のモテル錯体

Ph

ロ ニ 驚

《 →

… や 鍬

。 ペ

(2)

  第 二 章 で は 、 ス ル ホ ン ア ミ ド キ ノ リ ン 誘 導 体 こ の 配 位 し た パ ラ ジ ウ ム 二 核 錯 体1が ア リ ル ー ア リ ー ル カ ッ プ リ ン グ 反 応 の 優 れ , ナ こ 触 媒 前 駆 体 と な る こ と を 述 べ て い る 。 市 販 の 原 巻 物 ゝ ら 高 収 率 か つ容 易 に 合 戚 司 能 な パ ラ ジ ウム 錯 体1 は 、 フ ェ ニ ル ホ ウ 酸 と 酢 酸 ア リ ル 類 の カ ッ プ リ ン グ 反 応 に お い て 有 効 な 触 媒 前 駆 体 と し て 作 用 し 、 完 全 なy位 獣 性 を 伴 っ て 反 応 は 進 行 し た ( 式3)。 本 触 媒 系 は 銀 塩 の 添 加 を 必 要 と し な い と ぃ う 利 点 を 有 す る 。 ア ニ オ ン 性 で あ る ス ル ホ ン ア ミ ド 部 を 支 持 配 位 子 中 に 持 っ ニ 核 錯 体1は 反 応 系 中 で 中 性 の 単 穆 シ く ラ ジ ウ ム 種 と な っ て 作 用 す る こ と を 明 ら か に し 、 ア リ ル ― ア リ ー ル カ ッ プ リ ン グ 反 応 に カ チ オ ン 性 の パ ラ ジ ウ ム 中 心 カ 泌 須 で は な い こ と を 示 し た 。

《 冫B(OHJ2

       +      Pd dimerl       iol% Pd) t‑Bu)?LO.今    ― ―― ―― ―一 _

                     60 'C, 10 h       80%

    O トB‥ 人o

y/a >20:1, El2>20:1

  第 三 章 で は 、 銅 触 媒 に よ る 位 置 お よ び 立 体 化 学 を 制 御 し た 電 子 不 足 ア レ ー ン 類 の2級 ア ル キ ´Wび 誌 に つ い て 述 べ て い る 。 遷 移 金 属 触 媒 に よ るC―H結 合 の 直 接 的 変 換 反 応 は 、 原 子 効 率 に1匿 れ た 有 用 な 合 成 手 法 と な り 得 る 。 芳 香 族 化 合 物 のC(spz)‑H結 合 を 切 断 し 、C(sp )‑C(spz)結 合 を 形 成 す る 反 応 が 数 多 く 報 告 さ れ て い る の に 対 し 、 C(sp )‑C(sp3)結 合 を 形 成 す る 反 応 の 報 告 は 限 ら れ る 。 銅 触 媒 を 用 い 塩基 陸 条 件 下 で 、 ア ゾ ー ´ 爛、 ピ リ ジ ン | 〃 ‐ オ キ シ ド 言 秀 導 体 、 フ ル オ ロ ア レ ー ン 類 の 様 な 電 子 不 足 ア レ ー ン 類 と 第 二 級 リ ン 酸 ア リ ル の カ ッ プ リ ン グ 反 応 がy働IR 的 に 進 行 す る こ と を 見 出 し た 。 光 学 活 性 体 を 基 質 に 用 い る 反 応 で は 脱 離 基 と 導 入 さ れ る ア リ ー ル 基 が1,3‑antiの 関 係 で 立 体 特 異 的 に 進 行 し た ( 式4) 。 本 手 法 は 、 こ れ ま で 困 難 と さ れ て き た 芳 香 族 化 合 物 のC(spl―H結 合 に 対 す る 立 体 遡 黼 な 二 級 ア ル キ ル 基 の 導 入 を 可 能 に し た 。 触 媒 活 性 種 と し て 、 リ チ ウ ム ア ル コ キ シ ド 塩 基 存 在 下 で 電 子 不 足 ア レ ― ン 類 か ら 直 接 的 に 生 成 す る モ ノ ア リ ー ル ヘ テ ロ ク プ ラ ー ト(Li゛[Ar‑Cu‑OiBul‑)カ 縦 さ れ る 。

F

H

F CuCl(lOmol%)F

        no'r"(OEt)2THF' 40 'C, 10 h F       87%  .

       99% ee

  F

     99% ee anti/syn >99:1

(4)

代表 的な生 成物

  第 四 章 で は 、 末 端 ア ル キ ン を 直 接 用 い た 銅 触 媒 に よ るy位 選 択 的 お よ び 立 体 特 異 的 ア リ ル 位 ア ル キ ル イI岱 む 蓋 に つ い て 述 べ て い る 。 有 機 銅 ミ 式 薬 を 用 い る ア リ ル 位 ア ル キ ル 化 は 強 カ な 炭 素 ― 炭 素 結 合 形 成 反 応 の ー つ で あ る が 、 ア ル キ ニ ル 基 の 導 入 に は 事 前 の 活 性 化 を 必 要 と す る な ど の 制 限 が あ っ た 。 触 媒 量 の 塩 化 銅 陦 在 下 、 光 学 活 性 な 第 二 級 リ ン 酸 ア リ ル に 対 し 末 端 ア ル キ ン を 作 用 さ せ る と 、 反 応 は 位 置 選 択 的 お よ ぴ1,3‑antiの 立 体 選 択 性 を 伴 っ て 進 行 し 、 対 応 す る 光 学 活 性1,4. エ ン イ ン 誘 導 体 が 高 収 率 で 得 ら れ た ( 式5) 。 本 反 応 は 種 々 の 官 能 基 化 され た 脂 肪 族 ア ル キ ン 、 芳 香 族 ア ル キ ン 、 シ リ ル ア セ チ レ ン 類 を 直 接 利 用 で き る 。 生 成 物 は 有 用 な 合 成 中 間 体 で あ り 、 光 学 純 度 を 損 な う こ と な く 様 々 な 変 換 反 応 が 可 能 で あ る 。

H

CuCI(10 moI%) ̲̲̲

phen (12 moloioj TBD   nptn丶rOEt)。LiOBu (1.0 eq)ー     Ph  88%

    95% ee antilsyn 98:2,y/a 92:8

― 1380 ―

88%  94%

Ph   (5)   牽

 u ニ   F

 o

:→ oo

(3)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    鈴 木 孝紀 副 査    教 授    澤 村 正也 副 査    教 授    大 熊    毅 副査   准教授   大宮寛久

学 位 論 文 題 名

Transition IVIetal Catalyzed Regio‑ and Stereocontrolled     Allylic Coupling Reactions

   (遷移金属触媒による位置および立体選択的アリルカップリング反応)

   著者は、遷移金属触媒によるアリル位置換反応が持つ有機合成化学的顔潜在能カに着目し、

新た橡触媒系を構築することで、これまでにをい選択性や反応性を付与したアリルカップリ ング反応を開発する研究を行った。本論文は、遷移金属触媒によるアリル位置換反応に関す る 背 景 につ い て 述 べた 緒 言と 、本研究 の成果 を記した 以下の 4 つの 章から構 成され る。

   第 一章では、パラジウム触媒による y 位選択的および立体特異的をアリル―アリールカッ プリング反応の開発とその反応機構の解明について述べている。辻一トロスト反応に代表さ れる兀―アリル金属中間体を経由するアリル化反応は重要を炭素骨格構築法であるが、非対称 をアリル基質を用いた場合の位置選択性の制御は究極的橡課題である。そこで著者は、問題 の原因とをる兀‑ アリル金属中間体を経由させ橡い新たを反応概念を着想した。っまり、有機 金属種の付加(挿入)と脱離を連続的に起こすことで、.基質の構造に依存しをい完全をy 位 選択性を獲得できるという反応系を設計した。その結果、金属交換により得られるアリール パラジウム種を利用することで、パラジウム触媒による酢酸アリル類とアリールホウ酸の位 置選択的をアリルーアリールカップリング反応を見出している。

   第 二章では、スルホンアミドキノリン誘導体の配位したパラジウム二核錯体1 がアリルー アリールカップリング反応の優れた触媒前駆体とをることを述べている。アニオン性である ス ルホン アミド部 を支持 配位子中 に持つ二核錯体が反応系中で中性の単核パラジウム種と をって作用することを明らかにし、アリルーアリールカヅプリング反応にカチオン性のパラ ジウム中心が必須ではをいてとを示している。

   第 三章では、銅触媒による位置および立体化学を制御した電子不足アレーン類の 2 級アル キル化反応について述べている。銅触媒を用い塩基性条件下で、アゾール類、ピリジン―N‑ オ キシド誘導体、フルオロアレーン類の様を電子不足アレーン類と第二級リン酸アリルのカッ プ リング 反応がy 位選択的に進行する。光学活性体を基質に用いる反応では脱離基と導入さ れるアリール基が1 、3 ーanti の関係で立体特異的に進行する。本手法は、これまで困難とされ て きた芳 香族化合 物のC(sp2) ― H 結合 に対す る立体選 択的を 二級アルキル基の導入を可能 にしたものである。

   第 四章では、末端アルキンを直接用いた銅触媒によるy 位選択的および立体特異的アリル 位アルキル化反応について述べている。有機銅試薬を用いるアリル位アルキル化は強カを炭 素―炭素結合形成反応のーつであるが、アルキニル基の導入には事前の活性化を必要とする

― 1381 ―

(4)

を ど の 制 限 が あ っ た 。 触 媒 量 の 塩 化 鋼 存 在 下 、 光 学 活 性 を 第 二 級 リ ン 酸 ア リ ル に 対 し 末 端 ア ル キ ン を 作 用 さ せ る と 、 反 応 は 位 置 選 択 的 お よ び 1 . 3 ‐ anti の 立 体 選 択 性 を 伴 っ て 進 行 し 、 対 応 す る 光 学 活 性 1 、 4 ・ エ ン イ ン 誘 導 体 が 高 収 率 で 得 ら れ る こ と を 述 べ て い る 。 こ の 反 応 は 種 々 の 官 能 基 化 さ れ た 脂 肪 族 ア ル キ ン 、 芳 香 族 ア ル キ ン 、 シ リ ル ア セ チ レ ン 類 を 直 接 利 用 で き る 。 生 成 物 は 有 用 を 合 成 中 間 体 で あ り 、 光 学 純 度 を 損 を う こ と を く 様 々 を 変 換 反 応 が 可 能 で あ る 。    こ れ を 要 す る に 、 著 者 は 遷 移 金 属 触 媒 反 応 の 新 し い 設 計 指 針 を 示 す と と も に 有 機 合 成 に お け る 新 た を 概 念 を 提 供 す る 画 期 的 春 成 果 を あ げ た も の で あ り 、 有 機 合 成 化 学 、 有 機 金 属 化 学 の み を ら ず 錯 体 化 学 を 含 む 広 い 分 野 に 対 し 貢 献 す る と こ ろ 大 を る も の が あ る 。    よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

― 1382 ―

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