1.はじめに
1-1. 糖類の水酸基選択的反応
複数個(種)の反応性官能基を同一分子内に持つ化 合物に対して,任意の官能基だけを位置選択的に化学 反応させることは,最新の精密有機反応を用いたとし ても容易ではない.一般的に,位置選択的な反応を達 成するためには,化学反応を起こしたい官能基以外の 反応性を “ 不活性化 ” させる保護基を利用する.とり わけ,糖化学の分野においては,糖類上に水酸基が高 密度に集積化され,さらには各水酸基の反応性の差が 小さいため,糖類を望む構造へと変換するためには保 護基の利用が必須となる.しかしながら,適切に保護 基が導入された状態に糖類を誘導化するためには,長 い合成過程を要するため,合成期間の冗長や合成コ ストの増大を招く.これらの点は,糖類を主骨格とし た天然物合成や糖鎖の化学合成を妨げる最大の要因と なっている.このような背景から,水酸基の保護を行 わない,直接的な糖類の水酸基選択的反応の開発が強 く望まれている.そのような反応の代表例として,ジ アルキルスズ(IV)試薬1-3を用いた反応が挙げられ るが,ジアルキルスズ(IV)試薬を用いた位置選択 的反応については,本総説では概略について触れるに 留める.ジアルキルスズ(IV)試薬以外にも,金属
触媒-不斉配位子4-6や不斉有機触媒7-10を用いた例も あるが,それらの詳細は他の論文や総説を参照された い.本総説では,近年発展が著しいボロン酸およびボ リン酸を触媒として用いた糖類に対する水酸基選択的 反応について,反応例・反応メカニズム・応用例を交 えながら概説したい.
1-2. Dibutylstannylene 基による水酸基活性化
保護基を必要としない糖類の水酸基選択的反応は,
1974年Moffatら に よ る ヌ ク レ オ シ ド 類 の2ʼ,3ʼ-O- dibutylstannylene 1の合成に端を発するだろう(Fig 1).11 Dibutylstannylene基は,類似構造のアセトナイ ド基のような2ʼ,3ʼ-水酸基の保護というよりも,むし ろ水酸基の活性化に寄与していることがMoffatらに より見出された.すなわち,1に対して酸クロライド または酸無水物を作用させると,3ʼ-水酸基がアシル 化された生成物が良好な収率で得られたのである.こ の結果は,糖類の水酸基の求核性を選択的に “ 活性化 ” できれば,保護基を必要とせずに糖類の化学変換が行 える可能性を示した.この方法は,官能基の反応性を
“ 不活性化 ” する保護基を用いる方法とは全く逆のア プローチである.ジアルキルスズ(IV)試薬による 活性化の反応メカニズムについては本総説の主旨とは 異なるため詳細は述べないが,Sn-O結合形成により,
Abstract
Stereoselective modification in organic chemistry, particularly in carbohydrate chemistry, is a prominent challenge, since carbohydrates posses multi-hydroxyl groups with similar reactivity. Thus, developing site-selective reactions or catalyst for saccharide offers potential approach, synthesizing natural products including polysaccharide in quite short synthetic steps. In this review, we summarize recent advances of the development of site-selective reactions with boronic acid and borinic acid catalyst.
1)福岡大学理学部化学科,〒814-0180 福岡市城南区七隈8-19-1
Department of Chemistry, Faculty of Science, Fukuoka University, 8-19-1, Nanakuma, Jonan-ku, Fukuoka 814-0180, Japan
草野 修平
Site-selective reactions for hydroxyl groups of carbohydrates utilizing boronic acids and borinic acids
ボロン酸およびボリン酸触媒による糖類の水酸基選択的反応
(平成28年11月30日受理)
(Received November 30, 2016)
Shuhei K
usano2.ボロン酸−ルイス塩基共触媒系
青山らによるフェニルボロン酸を用いた水酸基の選 択的活性化には,化学量論量のボロン酸誘導体を用い ていたが,2013年Taylorらは,触媒量のボロン酸誘 導体とルイス塩基を用いたシリル化を報告している
(Scheme 2).20ボロン酸誘導体上の電子密度のチュー ニングとルイス塩基のスクリーニングを行った結果,
触媒としてボロン酸2a (20 mol %),ルイス塩基とし
てn-Bu3PO (20mol %)を用いた際,高収率・高選択
的に3位がシリル化されたピラノシドを得ることに 成功している.この触媒系によるシリル化は,ガラク ト型やマンノ型など様々なピラノシドを基質とした 場合にも有効であることが示されている.Methylβ -arabinopyranosideが基質の場合,ボロン酸2bおよび ルイス塩基pyridine-N-oxideを用いた方が高収率で生 成物を与えた.
3.ボリン酸触媒による
糖類の水酸基選択的化学変換 3-1 ボリン酸触媒の特徴
ボリン酸の最大の特徴は,ボロン酸と比較して高 いルイス酸性を示す点,および,cis-1,2-ジオールと の四配位ボリネート構造(反応活性種)を形成する ためにルイス塩基を必要としない点である.ボロン 酸よりも高いルイス酸性を示す点は,cis-1,2-ジオー ルであるボリネート構造を形成しやすいことを意味 している.つまり,ボリン酸は,ボロン酸よりも高 い触媒活性が期待できるのである.触媒活性の比較 と し て,trans体 ジ ア ス テ レ オ マ ー 存 在 下,cis-1,2-
cyclohexanediolに対するベンゾイル化を行うと,ジ
フェニルボリン酸3を触媒とした際に,最も高い選択 性でcis-1,2-cyclohexanediolがベンゾイル化された生 酸素原子上がδ-性を帯びることが鍵となっている.
Moffatらの発見を契機として,ジアルキルスズ(IV)
試薬を用いたピラノシドおよびフラノシドに対する位 置選択的なアシル化12・スルホニル化13・アルキル化
14・シリル化15・グリコシル化16などが報告されている.
当初は,これらの反応を行うために化学量論量のジア ルキルスズ(IV)試薬を必要としていたが,最近では,
触媒量でも反応が進行することが報告されている.17 しかしながら,ジアルキルスズ(IV)試薬は高い毒 性を持つため,実用性という点においては,さらに優 れた反応系の開発が求められる.
1-3. ボロン酸誘導体を用いた水酸基活性化
ジアルキルスズ(IV)試薬による水酸基活性化の 発見から20年余して,1997年青山らは,フェニルボ
ロン酸・cis-1,2-ジオール・ルイス塩基から形成され
る四配位ボロネート複合体において,水酸基の求核性 が向上することを明らかにした(Scheme 1).18,19ジア ルキルスズ(IV)試薬とボロン酸による水酸基の活 性化では,反応活性種の構造は大きく異なるが,活性 化の原理は類似しており,ホウ素原子上に配位してい る酸素原子のδ-性が向上することに由来する.この 水酸基活性化は,化学量論量のボロン酸誘導体を必要 とするものの,無保護もしくは部分的に保護がなされ たピラノシドに対する,3位選択的なアルキル化やグ リコシル化が達成された.これらの結果は,三配位の ボロン酸エステルが,cis-1,2-ジオールの保護基とし て用いられるのとは対照的な反応性である.すなわち,
ホウ素原子上の配位を3→4へと変えるだけで,糖類 の反応性を “ 不活性化 ” から “ 活性化 ” へと変更でき ることが示された.これら青山らによる報告以降しば らくの間,ボロン酸誘導体を用いた水酸基活性化の反 応系が,大きく進展することは無かったが,近年にな り,反応系の触媒化や高活性触媒の開発などが相次い で報告された.これらに関して,ボロン酸およびボリ ン酸による触媒系にそれぞれ分けて説明する.
Base HO O
OSnO
nBu nBu
1) PhB(OH)2, CaSO4 2) n-BuI, Ag2O, Et3N O
OMe OH OH OH
Me O
OMe O OH O
Me O
OMe OH OH OH Me
Et3NBPh
O OMe OH OH OH Me
F3C
CF3 B(OH)2
2a
n-Bu3PO TBSCl DIPEA CH3CN, 60 ºC
> 99%
O OMe OTBS OH OH Me
O OMe OH OH OH
2b TBSCl
DIPEA CH3CN, 60 ºC
84%
O OMe OTBS OH OH B(OH)2
Me2N
Pyridine-N-oxide
Fig.1.2’,3’-O-dibutylstannylene 基を持つヌクレオシド1
Scheme 2. ボロン酸-ルイス塩基共触媒系による 水酸基活性化
Scheme 1. ボロン酸-ルイス塩基による水酸基活性化
れている.
3-3. ボリン酸触媒を用いたグリコシル化反応
糖類の水酸基選択的反応の応用展開として最も期待 される反応系は,グリコシル化反応である.水酸基が 保護されていない糖受容体を用いて,水酸基選択的に 直接グリコシル化を行うことができれば,非常に短い 工程数による糖鎖の化学合成が実現される.Taylorら は,彼らが開発した第一世代ボリン酸触媒を用いて,
Koenigs-Knorr typeの反応条件を用いたグリコシル化
を報告している.24ボリン酸触媒(3, 10mol%)存在下,
グリコシルブロマイドを糖供与体とし,cis-1,2-ジオー ル構造を持つ様々な糖受容体として反応を行うと,エ クアトリアル水酸基選択的に反応が進行し,70~90%
という良好な収率で対応する二糖を与えた(Scheme 6).ボロン酸-ルイス塩基共触媒系で同様の反応を行 うと,生成物の収率は50%程度だった.この結果は,
糖受容体の水酸基活性化の程度が,ボリン酸およびボ 成物が得られている(Scheme 3).21ボロン酸触媒が
ほとんど選択性を誘起できていない結果と比較する と,ボリン酸の高いルイス酸性が,cis-1,2-ジオール の活性化に大きく寄与していることが分かる.
3-2. 第一世代ボリン酸触媒
2011年Taylorらは,ボリン酸を触媒としたcis-ジ オール活性化の最初の例として,ジフェニルボリン酸 3を触媒としたピラノシドの水酸基選択的反応を報告 している(Scheme 4).21-23 cis-1,2-ジオール構造を持 つ様々なピラノシドに対して,ボリン酸3存在下,ア シルクロライドやハロゲン化アルキルなどの求電子試 薬を作用させると,cis-1,2-ジオール部位のエクアト リアルに位置する水酸基が選択的に反応し,高収率で 生成物が得られている.また,グルコ型もしくはキシ ロ型ピラノシドなどcis-1,2-ジオール構造を持たない 基質の場合,反応がほとんど進行しないことを見出し ている.
ボリン酸による触媒反応のメカニズムは,NMRを 用いた反応解析から,Scheme 5に示すメカニズムが 提唱されている.3のリガンドであるエタノールアミ ンのN,O-ビススルホニル化により遊離したジフェニ ルボリン酸と,cis-1,2-ジオールが結合することで活 性種であるボリネート体を形成する.このスルホニル
化は, DIPEAに対して零次,ジオール誘導体の基質に
対しては飽和,3とTsClの濃度に対して1次の速度 式に従うことから,活性種であるボリネート体とスル ホニルクロライドの反応が律速段階になっていると示 されている.cis-1,2-ジオールのエクアトリアルに位 置する水酸基が選択的に反応するメカニズムは,完 全に明らかとなっていないが,反応活性種であるボリ ネート体に対するDFT計算結果から,反応の選択性 は立体的および電子的要因によるものであると推測さ
OH OH
OH OH +
1 equiv 1 equiv
cat. (5 mol %) BzCl (1 eq.)
DIPEA (1 eq.) OBz OH
OBz OH +
cis-mono trans-mono
cat. Conversion (%) cis-mono:trans-mono DMAP
Me2SnCl2 F3C
CF3 B(OH)2
2a
BPh Ph O NH2 3
30 96
90
70
1:1 1:1
2:1
11:1 CH3CN, r.t.
OH R2
R1 HO
R3-X BPh
Ph O
NH2 3 (5-10 mol %) DIPEA or Ag2O
CH3CN, r.t. or 40 ºC
OH R2
R1 R3O
O
O HO
OH OTBS
Bz
O
O OH OMe
OH
OMe Fmoc
O OMe O OH OH Me
Ts
O OMe HOMe
O OH BOM
O O OMe
Nap HO HO TBSO O
O O OH
OH Bn
95% 73% 97%
73% 89% 83%
BPh Ph O NH2 3
OH OH +
2 TsCl DIPEA
TsO
NHTs
OB- O Ph
Ph
OTs OB Ph
Ph
TsCl
OH OH OH OTs DIPEA-H+
Rate-limitting step Cl-
Scheme 3. ボリン酸触媒による
cis-1,2-ジオール選択的アシル化
Scheme 4. 第一世代ボリン酸触媒による糖類 の水酸基選択的反応
Scheme 5. ボリン酸触媒を用いた反応系の予想反応機構
で,mezzettiaside-familyの合成を達成している.ボリ ン酸触媒3を用いた他の応用例として,Taylorらは,
digitoxinの4”-水酸基に対する選択的なグリコシル化
に成功している.26 Digitoxinは分子内に5つの水酸基 を有しているが,ボリン酸触媒を用いると3”,4” -ジ オール部位の4”-水酸基が選択的にグリコシル化され,
僅か1工程でdigitoxinをpurpurea glycoside A (脱アセ
チル化 lanatoside A)へ変換することに成功している
(Scheme 8).
3-4. 第二世代ボリン酸触媒
有機ホウ素触媒の利点の一つとして,触媒構造の ファインチューニングの簡便さが挙げられる.Taylor らは,第一世代ボリン酸触媒3の活性を向上させるた め,第二世代ボリン酸触媒として,3のジフェニル部 位がヘテロ原子で架橋されたheteroboraanthracene 4a および4bを開発した(Scheme 9).27,28第一世代ボリ ン酸触媒系における律速段階は,ボリネートと求電子 試薬の反応過程であった.したがって,ボリン酸触媒 の活性を向上させるためには,ホウ素原子上の電子密 度を向上させ,ボリネート形成している酸素原子上の δ-性を向上させればよいと考えられる.ボリン酸触 媒4は,ヘテロ原子の電子供与性により,ホウ素原子 上の電子密度が向上すると期待され設計された.実際 に,ボリン酸触媒4は,3よりも遥かに高い触媒活性 を示した.3と比較して僅か1/100の触媒量でも,4 は3よりも高い反応性を示した.また興味深いこと に,電子豊富な4は,ルイス酸性が低下しているため,
cis-1,2-ジオールに対する結合定数が3よりも二桁以
上も低いことが明らかとなっている.これらの結果か ら,ボリネート中間体の求核性の向上による反応活性 化は,基質に対する触媒の親和性の低下を補って余る ほど,触媒のターンオーバーに寄与していることが示 された.
4.おわりに
ボロン酸およびボリン酸触媒を中心として,水酸基 の “ 活性化 ” を利用した保護基を必要としない糖類の ロン酸の触媒系によって異なることを示している.
ボリン酸触媒を用いたグリコシル化の応用例とし
て,OʼDohertyらは,ボリン酸触媒3とパラジウム触
媒を組み合わせたグリコシル化を報告している.25こ の手法では,ボリン酸触媒が糖受容体を活性化し,
Pd(0)が糖供与体である6-hydroxypyranone誘導体を 活性化することでグリコシル化が進行する(Scheme
7).OʼDohertyらは,この反応を逐次的に行うこと
OH R2
R1 HO
BPh Ph O
NH2 3 (5-10 mol %) Ag2O CH3CN, r.t.
OH R2
R1 O O
R4 X R3
PGO
O R4
R3 PGO
O O HO OH OTBS
OMe AcO O
AcO OAc OAc
O OH O AcO O
AcO OAc OAc
OH O
74% 73%
O OMe HOMe
OH O OAc OAcOAc
AcO O
71%
O
O OMe
HO HO TBSO
71%
AcO O AcO OAc AcO
HO Me O
OH OMe O
OH
O O O
Me
OH
Me Me O
O OH
AcO O AcO AcO
OAc Br BPh
Ph O NH2 3 (25 mol %)
Ag2O (2 eq) CH2Cl2, r.t.
OMe O
OH OMe O
OH
O O O
Me
OH
Me Me O
O O OH
AcOAcO AcO
OAc
OH
OH TsCl, DIPEA 4a or 4b (0.1 mol %)
CH3CN, r.t.
OH OTs
90%
B X
OH
OH OH
B X
O O B
X
O OR R-X
Reduced diol affinity Enhanced nucleophilicity
B X
OH
4a: X = O 4b: X = NMe O
OMe
OH AcOMe
OH
O O
OBoc Me
BPh Ph O
NH2 3 (15 mol %)
+
Pd2(dba)3•CHCl3 (5 mol %) PPh3 (10 mol %)
CH3CN/THF, 0 ºC
O OMe
O AcOMe
OH O O
~80%
O O
Ph3PPdPPh3 O
OMe
O AcOMe
BO Ph Ph
-
O OMe MeO
OH O
O AcOMe
O OAc O AcOMe
O OH O
OAc HOMe
OH O C5H13
Mezzettiaside-5
Scheme 6. ボリン酸触媒を用いたグリコシル化反応
Scheme 7. ボリン酸触媒-Pd触媒を組み合わせた グリコシル化反応
Scheme 8. ボリン酸触媒を用いたDigtioxin に 対するグリコシル化反応
Scheme 9. 第二世代ボリン酸触媒による水酸基活性化
4391
10.X. Sun, H. Lee, S. Lee, K. L. Tan, Nature Chem. 2013, 5, 790-795
11.D. Wagner, J. P. H. Verheyden, J. G. Moffat, J. Org.
Chem. 1974, 39, 24
12.F. Peri, L. Cipolla, F. Nicotra, Tetrahedron Lett. 2000, 41, 8587- 8590.
13.M. J. Martinelli, R. Vaidyanathan, V. Van Khau, Tetrahedron Lett. 2000, 41, 3773-3776.
14.S. Roelens, J. Org. Chem. 1996, 61, 5257-5263.
15.D. A. Leigh, R. P. Martin, J. S. Smart, A. M. J.
Truscello, Chem. Commun. 1994, 1373-1374.
16.G. Hodosi, P. Kovac, J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 2335-2336.
17.Y. Demizu, Y. Kubo, H. Miyoshi, T. Maki, Y.
Matusumura, N. Moriyama, O. Onomura, Org. Lett.
2008, 10, 5075-5077.
18.K. Oshima, E.-i. Kitazono, Y. Aoyama, Tetrahedron Lett. 1997, 38, 5001-5004.
19.K. Oshima, Y. Aoyama, J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 2315-2316.
20.D. Lee, M. S. Taylor, Org. Biomol. Chem. 2013, 11, 5409-5412.
21.D. Lee, M. S. Taylor, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 3724-3727.
22.D. Lee, C. L. Williamson, L. Chan, M. S. Taylor, J.
Am. Chem. Soc. 2012, 134, 8260- 8267.
23.L. Chan, M. S. Taylor, Org. Lett. 2011, 13, 3090 - 3093.
24.C. Gouliaras, D. Lee, L. Chan, M. S. Taylor, J. Am.
Chem. Soc. 2011, 133, 13926-13929.
25.S. O. Bajaj, E. U. Sharif, N. G. Akhmedov, G. A. Oʼ Doherty, Chem. Sci. 2014, 5, 2230-2234.
26.T. M. Beale, M. S. Taylor, Org. Lett. 2013, 15, 1358
-1361.
27.E. Dimitrijevi , M. S. Taylor, Chem. Sci. 2013, 4, 3298-3303.
28.K. A. DʼAngelo, M. S. Taylor, J. Am. Chem. Soc.
2016, 138, 11058-11066.
水酸基選択的反応について概説した.この触媒は,ま さに酵素のように,糖類の任意の水酸基に対して選択 的に,官能基導入やグリコシル化を行うことができる.
さらに,シンプルな触媒構造であるため,置換基の導 入による触媒構造の最適化も容易に行うことができ る.このように,ボロン酸およびボリン酸は,糖類に 対する直接的な化学変換触媒として非常に優れている が,触媒の開発から日が浅く,まだ改良の余地が多く 残っており,さらなるポテンシャルの発揮が期待され る.例えば,以下に列挙する内容が解決されれば,ボ ロン酸およびボリン酸触媒の実践的使用が現実となる だろう.①活性化できる水酸基の制限②グリコシル 化に用いることができる糖供与体の基質制限③糖鎖 や天然物など,複雑な構造を持つ基質に対する適用性.
これら課題に対するアプローチとして,触媒構造に不 斉点を導入したキラルボロン酸およびボリン酸触媒の 開発は興味がもたれるところである.新たなコンセプ トに基づく,ボロン酸およびボリン酸触媒系のさらな る発展を期待したい.
5.Reference
1.S. David, S. Hanessian, Tetrahedron 1985, 41, 643- 663.
2.D. Lee, M. S. Taylor, Synthesis 2012, 44, 3421-3431 3.H. Dong, Y., Zhou, X. Pan, F. Cui, W. Liu, J. Liu, O.
Ramström, J. Org. Chem. 2012, 77, 1457-1467 4.C. L. Allen, S. J. Miller, Org. Lett. 2013, 15, 6178-
6181
5.I.-H. Chen, K. G. M. Kou, D. N. Le, C. M. Rathbun, V.
M. Dong, Chem. Eur. J. 2014, 20, 5013-5018
6.M. Jäger, A. J. Minnaard, Chem. Commun. 2016, 52, 656-664
7.T. Kawabata, W. Muramatsu, T. Nishio, T. Shibata, H. Schedel, J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 12890 - 12895.
8.B. R. Sculimbrene, S. J. Miller, J. Am. Chem. Soc.
2001, 123, 10125-10126.
9.G. Hu, A. Vasella, Helv. Chim. Acta. 2003, 86, 4369-