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学位論文題名Career Development Practices in Japanese Companies

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Academic year: 2021

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博 士 ( 経営 学)  フ イル コラ ・ピ ータ ー

     学位論文題名

Career Development Practices in Japanese Companies

(日 本企 業にお ける キャ リア・デベロップメン卜

学位論文内容の要旨

第1章  序論

  この 論文 の目 的は 日本 の代 表的 な大 企業の 人事 政策 の動 向を 検討 する ことにある。人 事 制度 の中 の特 にキ ャリ ア・ ディ ベロ ップメ ント を中 心に 検討 を行 なう 。この論文の特 徴 のー っは(1)従 来研 究が 少な かっ た日 本企 業における従業員のキャリア・ディベロップ メ ント に関 する 研究 であ るこ と。(2)方 法論 が従来の量的または統計的方法ではなく,質 的なアプローチっまり深層面接法を採用したことである。

  この結果によって、キャリア・プランニング選択モデ丿レ(career planning choice model)と 新 キャ リア ・デ ィベ ロッ プメ ント ・モ デルを 作成 し、 日本 企業 のキ ャリ ア・ディベロツ プ メン トの 最近 の傾 向に つい ても 研究 をした 。ま た人 事政 策の 方向 性、 特に1990年代後 半のキャリア・ディベロップメントに関しても述べた。

第2章文献調査

  日本における従来のキャリア・ディペロップメントに関する文献研究を行い、

キ ャ リ ア ・ デ ィ ベ ロ ッ プ メ ン ト に 関 す る 新 し い 概 念 の 定 義 を 行 っ た 。

第3章方 法論

  この 研究 では 質的な 方法 を採 用し たが、その理由は従来の研究を越えた新しいモデルの 構 築 の た め に は 企 業 経 営 の 質 的 側 面 を 明 ら か に す る 必 要 が あ る か ら で あ る 。   1991年 に 鉄 鋼 産 業 の 企 業 を 対 象 と し た 実 態 調 査 を 行 っ た 。 1992年 に 全 国 の 大 企 業15社 の 実 態 調 査 を 行 っ た 。1993年 に カ ナ ダ の 大 手 企 業8社 の 実 態 調 査 を 行 っ た 。 具 体的 な調 査方 法は、 従業 員と 人事 部門管理者への深層面接法を採用した。従業員個人へ の イ ン タ ピ ュ ー は21の 質 問 項 目 で 、人 事部門 への イン タピ ュー は8つの部 分に 分け られ て い る 。 そ れ は 人 事 政 策 、 研 修 、 キャ リア・ ディ ペロ ップ メン ト,CDP、 キャ リア ・パ ス 、 昇 進制 度、自 己申 告制 度等 であ る。 この 面接 はフ リー ・ア ンサ 方式で 、面 接内 容を テ ープ に録 音し 、面接 の際 には メモ を作成した。もうーつのデー夕・ソースは、業界の報     ―45―

(2)

告書や社内の文書等の検証である。

第4章  現 代日 本企 業の人 事制 度

  鉄鋼 会社 の人 事と 従業 員の イン タビ ュー から キャリ ア・ ディ ベロ ップメント全体を説 明 する ため の枠 組み を作 成し た。 これ はキ ャリ ア・マ ネジ メン 卜と キヤリア・プランニ ン グの 内容 を表している。また従業員に与えられているキャリア選択の程度を説明するた め に 、 調 査 デ ー タ に よ っ て 、 キ ャ リ ア ・プ ラン ニン グ選 択モ デル を新 しく 作成 した 。   この キャ リア ・プ ラン ニン グ選 択モ デ´ レは 主要な 五つ の部 分か ら構成されている。

(1)  キ ャリ ア選 択の奨 励

(2)  個 人と グル ープの 目標 のバ ラン ス

(3)  キ ャリ ア選 択の自 覚

(4)  キ ャリ ア選 択のイ ンプ ット

(5)  フ イー ドバ ック

第5章  新し い経 営環境 と人 事制 度の 革新

  日 本の 大企 業の 人事 がど のよ うに変化してきたか、そしてどのように変化して行くかを 検討 する 。各 産業 の先 進的 な大 企業の人事面におけるキャリア・デベロップメントの実践 状況 を解 明し た。 検討 の結 果と して日本の新キャリア・デベロップメント・モデ少を作成 し た 。 新 キ ャ リ ア ・ デ イ ベ ロ ッ プ メ ン ト ・ モ デ ル は 次 の 四 つ の特 徴 を も っ て い る 。   (1)  キ ヤリ ア・プ ラン ニン グ

  従業 員の キャ リアに 関し て、 誰が 責任 を持 って いる のか 。新 しい モデ ルでは 、従 業員 は 自 分 の キ ャ リ ア に つ いて 責 任 を 持 ち 、 人 事 の 担 当 者 と 上 司 はそ れを バック アッ プす る。

(2)昇 進

  従 来か らキ ャリ ア・ パス は、 社員が数年毎に次の段階へと昇進するものとみなされてき た 。高 度成 長期 には、 企業 組織 の拡 大に 伴い 上位 の職 位が 増加 して 、昇 進の可 能性 が高 か った 。低 成長 期の現 在で は従 業員 の割 に職 位が 少な く、 昇進 の可 能性 もそれ だけ 少な くな って いる 。

(3)転 勤

  古い モデ ルで は現在 の仕 事、 また は短 期的 な視 野に 限定 され てい たが 、新し いモ デル では 長期 計画 にし たが って 能カ を開発する。新しいモデ´レでは、従業員のニーズと能カ をよ り詳 しく 把握 して 、そ れを 長期 的に 発展 させる 。

(4)研 修

  従 来 は 職 務 知 識 を 高 め る た め にOJTが 中 心 で あ っ た 。 今 後 もOJTは 重 要 で あ る が 、 Off JTが基 本的 知識の 向上 のた めに 、さ らに 必要 にな るで あろ う。 また 、研修 方法 とし     ―46―

(3)

て、自己啓発は、あまり高く評価されていなかったが、これからはもっと重要になろう。

第6章  カナダ企業の人事制度とキャリア・ディベロップメント

  カナダの企業におけるキャリア・デイベロップメント実践の最近の傾向を検討した。カ ナダの企業においてはキャリア・ディベロップメントに関するパラダイム転換が行われて いる事を解明した。新キャリア・デイベロップメント・パラダイムの枠組みを作成し た 。 新 キ ャ リ ア ・ デ ィ ベ ロ ッ プメ ン ト・ モ デ´ レ は三 つ の特 徴 をも っ てい る 。

(1)  キヤリア・プランニング

(2)  キャリア・バス

(3)研修

  キャリア・ディベロップメントを実践した企業は3つのタイプに分けられる。キャリ ア・デイベロップメント・プログラム開発を先導しているのは、ハイテク企業である。こ の業界では専門的な能カを備えた優秀な人材を保持し、育成する事が必要とされているか らである。銀行と自動車メーカはやっと実施の段階だが、電カと建設の企業はプログラム をようやく開発し始めたところである。

第7章  結論

  日本企業の人事政策とキャリア・ディベロップメントの1990年代後半の方向性につい て、また本研究の限界と将来の研究の方向に関しても述べた。本研究では日本の企業にお けるキャリア・ディベロップメントに関するパラダイムの変化を解明した。高度成長期の 日本の経営システムは企業と従業員との両方にとって有益であった。しかし、現在の国 際、国内的な環境は従来の日本的経営システムの変革を企業にせまっている。キャッチ・

アップ型モデルで高度成長を遂げてきた日本の企業も大きな転換点にきて、組織と個人 の関係をもう一度組み立て直さなければならない。被雇用者は、キャリアに関する自己責 任の原則に 基づき自ら のキャリア 開発に積極 的な役割を 果たさなけ ればならない。

  実際、多くの企業がこのような経営環境の変化に適応するために、これまでの経営制度 を変革に着手している。しかし、企業が形式的に新しい人事政策だけを導入しても、それ を着実に機能させなければ経営革新を実現することはできない。もし企業が本当の経営革 新を目指すならば、キャリア・プランニング選択モデルはーつの有効な方策になる。ま た新しいキャリア・ディベロップメントのモデルを構築することが、現状を打破するため の最善策のーつである。

‑ 47

(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教 授 教 授 助 教 授 教 授 教 授

米山喜久治 寺本義也 柴田裕通

加来祥男(九州大学)

コージ・夕イラ(アメリカ・イリノイ大学)

学 位 論 文 題 名

Career Development PracticesinJapanese Companies      ( 日本 企業 に おけ るキ ャリ ア・ デベ ロッ プメン卜

  本論文は新しい経営の統合理論、従業員の経営参加理論として位置付けられ る 。 本文 ( 英語 ) は、7章 、87ベー ジ、付 論(Appendices)4部、文 献目録 を加えて154ページから構成されている。

その要旨は次の通りである。

第1章序論

  研究目的は、激変する国際、国内の経営環境に適応すべく日本企業が積極的 に展開している新しい人的資源管理のダイナミズムを明らかにすることである。

従来の日本的経営においては、キャリアは、 昇進 と同一の意味が与えられ ており、従業員のニーズを組み込む、キャリア・ディベロップメントの具体的 展開は、未解明である。本論文は、代表的な日本企業のインテンシブな調査研 究によルキャリア・ディベロップメントの新しいモデルを構想することである。

第2章文献研究

従来の代表的な先行研究を踏まえキャリア・プランニングは、個人が自らのキ ヤリアに責任を持ち、自らの長期的な目標を主体的に決定できることを措定し、

新しいキャリアの概念を 生涯にわたって個人が占める職位の連続体 と規定 している。次にキャリア・マネジメントは、配置、人事考課、カウンセリング、

教育訓練などを含み、従業員にはキャリア・バスの選択に関する適切な情報が 与えられることが重要な要素としている。企業のキャ1jア・マネジメントと従 業員個人のキャリア・プランニングは組織において統合されてキャリア・ディ ベロップメント・プログラム(CDP)を構成している。

第3章研究の方法論

  代表的企業の人事政策の目的、訓練、キャリア・ディベ口ップメント・プ口

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グラム(CDP), キャリア ・パス、 昇進制度 、スペシ ャリスト育成計画、ラインと スタ ッ フ の区 別 、従 業 員 自己 申 告 制度 等 の21項 目自 由 回答 方 式 の深 層面接 調 査が 実 施 された。 このよう な管理部門 と個人へ のインテ ンシブな 質的研究 法は 新し い キ ャルア・ ディベロ ップメント のモデル の構築と 今後の傾 向を予測 する 仮説を発想するために採用された。

第4章製鉄会社の事例研究

  N製 鉄N製 鉄 所に お ける 人 事 管理 部 スタ ッ フ と従 業 員 個人 へ の深 層 面接調査 が行 わ れ た。N社 の キャ リ ア ・デ ィ ベ口 ップメ ントは、 従業員サ イドのキ ャリ ア・ プ ラ ニング活 動(自己 申告制度、 自己評価 と短期目 標の設定 )と企業 サイ ドのキャリア・マネジメント活動(訓練<<OJT,OFF‑JT,自己啓発))、移動((定 期的移動 、配転、 独立、昇 進《年功ベース、能カベース、他の要素、キャリア・

パ ス ( ( ゼ ネ ラ リ ス ト 、 不 明 確 な も の 、 転 籍 ) か ら 構 成 さ れ て い る 。   N社 の 調 査か ら キ ャ リ ア選 択 モ デル が構想 された。 すなわち 従業員個 人 の キ ャ リ ア ・ プ ラ ニ ン グ と そ の 選 択 に 影 響 を 与 え る 要 因 と し て は 、 1)人的資 源管理シ ステムが 個人のキ ャリア・ プラニング 活動を奨励する程度。

2)個人の目標とグループの目標のバランス 3)従業員による情報へのアクセス

4)従業員がキャリア・プランニングを立案する機会

5) 従 業 員 が 会 社 か ら 受 け 取 る ( フ イ ー ド バ ッ ク さ れ る ) 情 報 の 量 が、明らかにされた。

第5章日本企業の比較研究

  製 鉄 会社 の研究で 得られた キャリア・ ディベロ ップメン ト・モデ ルとキャ リ ア・プラ ニング選 択モデル を基礎にして同一の質問項目による調査が行われた。

15社 、 製鉄 、 銀 行(A,B)小 売、 自 動 車、 石 油、 商 社 、電 力 、化 学 、工 レクト ロニ ク ス(A,B)食 品 、製 紙 、 コン ピ ュ一 夕 ゛ サー ピ ス )の 横 断分 析 により、

(1) 訓 練   ( 2) 昇 進   ( 3) 移 動  ( 4) キ ャ リ ア ・ プ ラ ニ ン グ に関 し て 新しいキ ャリア・ ディベロッ プメント ・パラダ イムが、 生起しつ っあ るこ と が 、解 明 され た 。15社 は 、伝 統 (重 工 業 型) と ハイ テ ク 産業 との産 業 別の 軸 と 生起しつ っあるキ ャリア・デ ィベロッ プメント ・パラダ イムの適 用の 程 度 に よ っ て 3つ の 類 型 が 存 在 す る こ と が 、 明 ら か に さ れ た 。 第1クラ ス タ ー: 電 力、 製 鉄 、石 油 、製 紙、伝 統的家父 長権型、 人事が従 業員 の将来に関して全権限を有している。

第2クラ ス タ ー: 銀 行、 化 学 、食 品 、商 社、小 売、自動 車、コン ピュー夕 ・サ ーピ ス 。 伝統的、 家父長権 的でありな がらも、 変化の中 にあって 、従業員 のよ り 多 く の 参 加 、 選 択 、 キ ャ リ ア ・ 情 報 へ の ア ク セ ス が 行 わ れ つ っ あ る 。 第3クラスター:エレクトロニクス

    能カ の 高 い特 別 の熟 練 を 持っ た 人を 確 保 して お く ため に 、新 し いキャリ ア ・ デ ィ ベ ロ ッ プ メ ン ト ・ パ ラ ダ イ ム を 全 面 的 に 採 用 し て い る 。

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日本企業15社の傾向が把握されたが、今後の国際的、国内的経営環境の変化、

労働市場の変化、若者を中心とする職業観、社会観等の価値意識の変化に対応 するためには、従業員の不満がより少ない人的資源管理すなわち、現在のハイ テ ク 企 業 型 へ の ゆ っ く り と し た 移 行 が 、 予 測 さ れ て い る 。 第6章カナダ企業におけるキャリア・ディベロップメント

  日本企業の研究を基礎にカナダ企業8社(銀行、建設、電力、自動車部品、

石 油(A,B), エ レ ク ト 口 ニ ク ス(A,B)の6業 種 の 企 業 が 調 査 さ れ た。

キャリアにおける、(1)キャリア,・プランニング、(2)昇進とキャリア・

パ ス  (3) 訓練の3つの主要な 領域である 。カナダ企業において新しいキ ヤリア・ディベロップメント・バラダイムを実行するために障害となるものは、

(i)上級経営者のピジョンの欠落(ii)従業員の抵抗(iii)中間管理職の支持が 得 られない等 の3点で ある。さら にカナダ企 業も次のような3つの類型、す なわち

第1クラスター:電力、建設、石油:組織が官僚的、伝統的であり未だキャリ ア・ディベ口ップメントの実施の幼稚段階。

第2クラスター:銀行、自動車部品:伝統的であるが、従業員の選択を増加さ せるため模索中。

第3クラスター:工レクトロニクス:キャリア・ディベロップメントの本格的 展開。こうした企業はより知識の比重が高く、特殊な熟練を持った高い能カの 従業員を、確保することに細心の注意を払っている。

  以上のようにカナダにおいても従業員がより自らのキャリア・ディベ口ップ メントに責任を持つ方向に変化しており、新しい環境が、従業員に複数の熟練 の 修 得と 、 キャ リ アの 自 己責 任 を 求め ているこ とが、明ら かにされた 。 7章結論

日本とカナダの企業と個人の研究により、個人が自己の職業生活、キャリア・

デ ィベロップ メントによ り責任を持 っようにな ることが明らかにされた。

将来企業内での昇進の機会の減少が予測されるが、企業は従業員の能カをフル に引き出すためにより高度な人的資源管理を模索しなければならない。その核 となるものが、キャリア・マネジメントである。

キャリアの自己責任を訴える企業からの情報提供、また従業員個人のキャリア の自己責任の自覚がなければ、企業内に混乱と不満がもたらされるだけである。

本論文が構想したキャリア・プラニング選択モデルは、現代企業が直面する問 題 解 決 に 、 具 体 的 な 代 替 案 を 提 示し 、 大き な 貢献 を なす も ので あ る。

  以上のように本論文は、残された課題もあるが、前述したように企業の人 的資源管理の新しい動向を探究する研究テーマの先進性、インテンシプな調査 に質的な方法を駆使したこと、新しいモデルの構築とその産業界における実施 可能性の高さは、社会科学研究において最も重要な研究の構想カとりア1」ティ

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を豊かに内包しているものである。

  審査委員は全員一致して本論文が、博士(経営学)の学位を授与するに値す るものであることを認めるものである。

参照

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雑誌名 博士論文要旨Abstractおよび要約Outline 学位授与番号 13301甲第4306号.