濃の書き潜を読窓せる
一第 1 学年 「 文 をつけたそ う 」 の実践‑
細 川 太輔
Ⅰ.課題意識
平 成
16年
12月 に
P ISAの結 果 が公 表 され た。 そ こで読 解 力 の点数 が
OECD平 均程 度 まで低 下 して い る
1こ とが 明 らか にな り、 大 きな 問題 とな った。 そ こで課 題 とな った 点 を文 部 科 学省 は 次 の 5 つ を課題 として い る。
ア テ キ ス トの表 現 の仕 方 に着 目す る問題
イ テ キ ス トを評 価 しな が ら読 む こ とを必 要 とす る問題
ウテ キ ス トに基 づ い て 自分 の考 えや理 由 を述 べ る問題 エ テ キ ス トか ら読 み取 った こ とを再構 成 す る問題
. オ 科 学 的 な文章 を読 んだ り、 図や グラフ をみ て答 え る問題
2そ して 、 この
5つ の 中で文部 科 学省 は
どの よ うな表 現 を用 い、 どの よ うな構 成 や 展 開 で 文章 が書 かれ て い るの か な ど とい う、 筆 者 の考 えの進 み方 や表 現 意 図 を とらえ るカ、 文章 の主題 を踏 ま えて 自分 の考 え を深 めた り、
ま とめ た りす るカ は十分 身 に付 い てい る とは言 えな い
3と述 べ て い る。 つ ま り、文 章 の書 き方 を評 価 す る、筆 者 の意 見 に対 して 自分 の考 えを深 め る と い う2点 を文部 科学省 は課題 として挙 げて い るので あ る。 そ の 中で本 稿 で は文章 の書 き方 を評 価 す る方 をテ ーマ として研 究 を行 う。 そ れ は文 章 の書 き方 を評 価 す る力 が身 につ い て いな い と考 え てい るか らで あ る。 次 の
P ISAの問題 と正 答 率 、無答 率 を検 討 して み る。
間 3
( 正答 率
71.1%、 無 答 率
15.2%)あ な た は、 この
2通 の手 紙 の どち らに賛成 します か。 片方 あ るい は両方 の手 紙 の 内容 にふ れ な が ら、 自分 な りの言 葉 を使 って あ な た の答 え を説 明 して くだ さい。
間4 ( 正答 率
54.7%、 無 答 率
27.1%)手 紙 に何 が書 かれ て い るか、 内容 につ い て考 えて み ま し ょ う。 手紙 が どの よ うな書 き方 で 書 かれ てい るか、 ス タイル につ いて考 えてみ ま し ょ う。 どち らの手紙 に賛 成 す るか は別 と し て、 あ なた の意 見 で は、 どち らの手紙 が よい手紙 だ と思 い ます か。 片方 あ るい は両 方 の手 紙 の書 き方 にふ れ な が ら、 あ な た の答 え を説 明 して くだ さい
4。間 3 が文 章 の結 論 に対 して 自分 の意 見 を もつ 問題 、 間 4 が文 章 の結 論 とい うよ りは、 文章 の書 き方 を評 価 す る問題 で あ る と言 え よ う。 明 らか に 間4 で は 間3 よ り正 答 率 が下 が り、無 答率 が上 が って い る。 つ ま り文 章 の結 論 を理 解 し、 それ につ いて 自分 の意 見 を持 つ こ とは で きるが、文 章 の書 き方 を読 み取 り、 それ を評 価 す る よ うな読 み方 が身 につ い て い な い子 どもが半 数 近 くい る と い うこ とが言 え よ う。
従 って 1年 間文章 の書 き方 をテ ー マ として研 究 に取 り組 んで きた。 具体 的 には 自分 の考 えを深 めた り、 ま とめ た りす る前 に、 文 章 の 内容 、構 造 を しっか りと読 み取 る こ とが重 要 で あ る、 とい う考 え方 か ら、文 章 に書 かれ て い る こ とを しっか りと読 み取 る 「 受 容 」 を キ ー ワー ドとす るO つ ま り文 章 の 内容 を読 み取 るだ けで は な く、 そ の書 き方 に も注 目 させ て い く実践 を考 えて い る。
Ⅱ. 研 究の視点
低 学 年 で は文章 の 内容 に重 点 が行 きやす く、 文章 の書 き方 にまで注 目 させ るの は困難 で あ る。
ー1 9‑
例 えば次 の よ うな研 究 がある。船津 はあめんばについて書 かれ た 2 つ の説 明文 を読 み比べ、発達 による違 い を見 よ うとす る。その中で次 の よ うな こ とを論 じてい る。
「 終 わ り方 が違 う
」「 あめんばの成長 の仕方 が似 てい る」 な どと文章 の展 開 ・構造 に着 目して いるのは少 な く、 ほ とん どが第 4 学年以上で ある。前 回の 「 文学 テ クス トを対象 とした調査」 で も、第
4学年 か ら文章 の展 開 ・構造 に着 目してい る子 どもが相 当増加 していた。
2年生 に
1人 だ け、 「 ① はあめんばが先 に出て くる」 と冒頭部 で の対象 の現れ方 の違 い に気づいて い る。 その子 どもは読書好 きで、週 に 3 日、 9 0 分読書 をしてい るそ うだ
5。つ掌 り 4 年生以上で ない と文章 の書 き方 ( 船津 は文章 の展 開 ・構造 と呼 んでい る) に着 目す る ことは困難 である とこの研究で言 ってい る と考 え られ る。 しか しこの研究では
2年生 に
1人 だ け 文 の書 き方 に着 目した児童 がいた ことも指摘 してい る。 そ の子 どもが なぜ読 めたのか、 それ を解 明す ることが重要 だ と思 えるのだが、 この研 究 はそ こで終 わ って しま ってい る。そ の子 どもが読 めたのは発達 が早 か ったか らなのか、 それ とも読書 をす る ことに よ り、学習 を積 み重 ねてい るか らなのか、 それが解 明 されなけれ ば発達調査 として適切 とは言 えない。 なぜ な ら学習で解決 で き るな らばそれ は発達 の問題 ではな く、 カ リキ ュラムの問題 となるか らで ある。
そ こで筆者 は 1年生 に文章の書 き方 に着 目させ る ことを主眼 とし、研究 ・実践 を行 った。船津 が言 うよ うに児童 の実態 として、文章 の書 き方 に着 目す る児童 が少 ない ことは事実 であろ う。 問 題 はそれが学習で解決 で きることなのか、解 決で きるな らば どの よ うな手 だて を取 るべ きなのか、
とい うことである。具体的 には
3つ の手 だて を考 えた。
( 1) 文同士の関係 を読 む
低学年 では、学習指導要領で 「 事柄 の順序や場面 の様子 な どに気付 きなが ら読む ことがで きる よ うにす る」 とあ り、低学年で文章 の書 き方 に着 目して読 む こ とは求 め られ ていない。 しか し中 学年 ・高学年 で論 の立 て方 を突然議論 す るのではな く、 そ の前 に低学年 でで きるこ とを学習 して 積み重ねてい けば、 よ り学習がスムーズ とな り、文章 の書 き方 を評価 で きない児童 を減 らす こ と がで きるのではないか、 と考 えた。具体的 には中学年で段落相互 の関係 を とらえる前 に、文 の関 係 を低学年 で学習 してい くことが必要 ではないか、 とい うことである。文章 の関係 を分析 で きる 児童 は、その考 え方 を応用 して段落相互、文章全体 において論 の立 て方 を考 える ことがで きる よ うになってい くと考 えてい る。例 えば 「 はた ら くじど う車」 ( 教育 出版 1年 下) で はつか いみ ち の文、 「 つ くり」 の文、 「はた らき」 の文 の
3つ があるが、 それ ぞれ の文 を拡大 して書 くこ とで 自 動車 について構造的 な文章 を書 くことがで きる。 また逆 に文章 を読 む ときにも活 かせ る。段落 ご とに小見出 しの よ うな 1文 にま とめた ときに、その小見 出 しの よ うな文 の関係 はそのまま段落相 互 の関係 につ なが ってい る。
この よ うに文 同士 の関係 について低学年で学習 してい る児童 は、 中学年 で段落相互 の関係 につ いて も理解 できるので はないか と考 える。確 か に低学年 で は文章 を読 む楽 しさを味わい、好 きに させ ることも とて も重要 である。 したがって文章 の内容 を しっか りと味わい、楽 しんだ後 に文章 の書 き方 について も読 む ことによ り、 内容 も論 の立 て方 も両方 とも読 める児童 に育 てて生 きたい と考 えてい る。
( 2 ) 文の書 き手にな って読 む 比べ読み をす る
児童が文章 を読む際 には、 ど うして も内容 の読 み にひ きず られ、文 の書 き方 に注 目させ る こ と は難 しい。 児童 が 日常生活 で文章 を読 む とき には、 その内容 を知 る、 味わ うことが 中心 であるか
らそれ は当然である。文章 の書 き方 を読む とい う行為 は本来特殊 な読 み方 で ある と考 える。 で は どの よ うに して文 の読 み方 を読 ませ るのか、 それ には 2 つ の方法 があ る と考 える。
1つ 目は文 の書 き手 になってみ るとい うこ とであ る。 児童 は文 を書 くときに、 どの よ うに書 け
ば よいのか、相手 に どの よ うに伝 えた らよい のか を考 えるであろ う。 そ こで教科書 の文 に付 け足
Lをす ることを考 えた。教科書 の文 に付 け足 しをす る。 そ こで 自分 の文章 と比べ て筆者 の文章 の 足 りない ところ、 よい ところを考 えさせる とい う方法 を とった。付 け足 しをす る には、筆者が ど の よ うな書 き方 をしているかを とらえなけれ ば、次 に何 が くるのか を予測で きない。従 って付 け 足 しをす る とい うことは、文章 の書 き方 に着 冒させ る有効 な手段である と考 える。低学年では文 章 に付 け足 しをす る際、 よ くしよ うと思 って付 け足すので、筆者の書 き方 の よい ところ、足 りな い ところの両方 に注 目す るのは困難である。 そのため文 が どうよくな ったのか、前 の文章では ど
うい うところが足 りなかったのか とい う展開で実践 を行 った。
2 つ 目は文 を比べ る とい うことである。 内容 に大 きな違 いがなけれ ば、 2 つ の文章 を比較 した ときに、・ 比べ るのは 自然 と書 き方 になって くる. 1つの文章 を読 んで書 き方 に注 目させ るのは児 童の実態か らして困難 なので、複数 のテクス トを比べ読 む ことは、書 き方 に意識 をさせ るための 有効 な手立 て となるであろ う。低学年 では 2つのテ クス トを同時 に渡 して読 ませ る と、 内容 を理 解す るの も困難 になることが予想 され る。そ こで内容 を十分 に理解 した文章 を用 い、 しかもその 文章 の中の 1つ の文 に着 目し、 その文が変わ るとどのよ うな効果があるのかを考 えさせ たい。
( 3) 子 どもの意見 をつなげる 求めあい 。つなげあ う子へ
授業 の構想 として、文章 の読 ませ方 に注 目す ることも大切 であるが、授業 を ど う組み立ててい くのか とい う点で、授業 のシステムを改善 してい くことも必要不可欠 である。子 ども一人ひ とり が しっか りと考 えた後 に、友達 の よい意見 を聞いて、 自分 の考 えを広 げた り、深 めた りす ること も重要 で ある
。友達 の意見 を聞いて考 えつ いた意見 を 「 つ けた しのい けん」、友達 の意 見 に反対 であれ ば 「はんたいのい けん」、 同 じ意見であるが言 い方 が違 う意見 を 「 いいか えのい けん」 と して発表 させている。 また板書 で も名前の磁石 を用 い、誰 の意見かわかるよ うに してい く。その 結果子 どもたちは 「 だれだれ のい けんにつ けた しなんです け ど
」と発言 し、意見 がつながるよ う になって きた。教師 も子 どもの言葉 を繰 り返 さず、子 どもの意見をそのまま板書 にま とめてい く 方法 を とる。
また子 ども自身が書いた文章 の良 い ところをお互いに探 しあい、友達 の良い ところを自分 の も のにしてい くこともで きる.その結果文章 の書 き方 を読 む とい う困難 な課題 につ いて も、一人 の 気付 きを全体 の気付 きにす ることで、文章 の書 き方 に注 目す る子 どもが育て られ る と考 えてい る。
また逆 に文章 の書 き方 に注 目す る子 どもを育 てる ことで、友達 の意見 の内容だ けでな く、友達 の 意見 の言 い方、論 の立 て方 にも注 目す ることができ、 よ り高い レベル の求 めあい ・つな げあいが できる よ うにしていきたい。
Ⅲ. 授業の実際
( 1 ) 学習材 の文章 について
実際 の授業では 「はた らくじ ど う車
」( 教育 出版
1年下) の第
2段落 を扱 った。入門期 の説 明 文は同 じ構造 の文章が続 いてい るのが特徴的である。
① バスは、大ぜいのおきや くをのせては こぶ じどう車 です。 ( つかいみち)
② です か ら、 た くさんの ざせ きがあ ります。 ( つ くり)
③つ りかわや手す りもついてい ます。 ( つ くり)
④ バスは、 きまった じこ くに、 きまったみちをは し ります。 ( はた らき)
この文章 の内容理解 については教育実習生 が以前 に行 っている。その際 には 「 つかいみち」 と
「 はた らき」 の区別 が難 しく、 「 つ かいみち」 を用途、 「 はた らき」 を具体的な動 きであると扱 っ た。 この構造 で文章 が 4 回続 き、その後 に他 の車で この構造 を用 いて文章 を書 いた。
ここで文章論 とい う考 え方 を用 いて文章 を分析 してみ る。永野 は文章論 を理論 化 した研究者で ある。永野 は、格助詞 「 は」 が付 く文 を述語重視 の判断文、格助詞 「 が」 が付 く文 を主語重視 の 現象文 と分類す る6 。 この観点か らこの文章 を分析す る と、第 1 文、第 4 文 で は述語 に重点が置 かれてい るのに対 し、第 2文、第 3文では主語 に重点が置 かれてい る
70
また文章 の冒頭 に判断文が置 かれているのは、最初 に主題 を提示す るためであ ろ う。バス とは どうい うものなのかを判断文で紹介 し、それ を主題 として議論 をしてい くとい う形 を取 る。それ か ら文 のつなが りにも注 目すべ きである。第 1 文か ら第 2 文‑ のつ なが りが、判断文‑現象文で
‑ 2 1 ‑
国 語 科
あ り、 この形 は新事実や新材料 を挟 み こむ場 合 が多 い呂 。つ ま り 「 大 ぜ いのおきゃ くをのせ では こぶ」 とい う主題 を定 め、 その根拠 を 「 です か ら」 でつ ないだ 「 つ くり」で論 じて いる と言 えよ う。 また第 3 文 か ら第 4 文‑ のつ なが りは、現象 文‑ 判 断 文 で あ る。 しか し第 2 文、第 3 文 が
「ざせ き」、 「 てす り」 、 「 つ りかわ」 に関す る文章 であるの に、第 4 文 で は一切 その内容 を展 開 し ていない。従 って第 3 文 と第 4 文 は連続 した文章 で はない と考 え られ、第 1 文 と第 4 文 の関係 を 考 えな くて はな らない.第 1 文 との関係 は判断文‑判断文 であ り、通 常 この場合一般的 な命題 を まず述べ て、 あ る特 定 の事態 を後続 させ る9 。 つ ま り 「 大 ぜ い のお きや くをのせ て は こぶ」 とい う一般的 な命題 を提示 し、その特定 の事例 を第
4文で続 けてい る と読 む ことができる.通常判断 文で文章 を終 える場合 は、最終 的 な結論 を言 う場合 が多 い
10 が、 この文章 で は根拠 、特 定 の事例 をあげて終 える形 で ある と言 うべ きであろ う。
以上、 この文章 をま とめると、第 1 文 の判断文 で命題 を論 じ、そ の命題 の根拠 を新 しい材料 で ある 「 つ く り」、特定 の事例で ある 「はた らき」 で説 明 してい る形 を読 む こ とがで きる。 バ ス と は ど うい う車か とい う命題 を冒頭 にもって きてい るため、筆者 の意 図がす ぐにわか る とい う効果 がある。 バスが どんな車 か を説 明 して議論 が始 ま るので、 バス を知 らない児童 にはわか りやすい 文 と言 え よ う。 しか しま とめがないので、読 者 に気持 ちが伝 わ りに くい とい うこ とも言 え る。
従 ってま とめがない こ とを児童 に気づ かせ、付 け足 しを させ るの に適 した教材であ る と言 え よ う。
( 2) 学習の流れ
Ⅰ
「 はた らく じ ど う車」 を読 む。
‑ 2学期 に学習
・各段落 で言葉 を具体的 に読 む。
・それぞれ の じど う車 の 「 つ かいみち」、 「 つ くり」 、 「はた らき」 を読 む
。・文章全体 を通 して、 同 じ順番 で文章が構成 され てい ることに気 がつ く。
Ⅱ 「 はた らく じど う車」で書 く。‑ 2学期 に学習
・班 ごとに 「 はた ら く じど う車」 の構造 を用 いて文章 を書 く
。・堆 ご とに書いた ものを読み あい、批評 をす る
。・個人で好 きな車 で 「 はた らく じどう車」 の構造 で文章 を書 く
。・発表会 をす る。
Ⅲ 「 はた らく じど う車」 につ けたす‑今 回の学習
・ライオ ンバスの文 ( 筆者が用意 した) を読 み、新 1 年生 が喜 びそ うな第 5 文 を付 け足 す
。・「 はた らく じど う車」 の文 を読み、新 1 年生 が喜ぶ よ うに第 5 文 を付 け足す。一本時
Ⅳ 「 たの しい こがねい し ょう」‑学年末 に行 う
・ 新 1 年生 を迎 えるポスター作 りをす る。 (この文 の書 き方 を活 かす。 )
( 3 ) 本 時の流れ
① 文 をつ けたそ う
「はた らくじど う車」 で、新 1 年生 がバスの ことをもっ と知 りたい、 バス に乗 ってみたい とい う気持 ちになるよ うに、文 を付 け足 しま し ょ うとい う発 間 を し、第 5 文 を考 えさせ た。 この とき 児童 が書 いた第 5 文 は次 の 3 つ に分類 できる。
・よびか け型
S. K バ スにはてす りやつ りかわがついています。バ ス にはい ろい ろな しゅるいがあるので、
ぜ ひのってみて くだ さい。
・ま とめ型
F.T バ スはバスていまで人 をのせ ていって くれてべ ん りです。
S.U この よ うにバ スは、 とて もべ ん りなのです。
Ⅰ.0 この よ うにお きや くがい っぱいのれ る よ うな くふ うがついています
。・つ けた し型
T. K バスは、 ライオ ンがい る ところにはい って くれ ませ ん。
S.K お きゃ くさんがボ タンをお した ら、 そのバ スてい に とまって くれ ます。
今 までの事例 をふ ま えて、読者 で あ る新 1年生 に よびか けをす る型 の文、今 までの事例 を も と に結論 を言 うま とめ型、新
1年生 が喜 びそ うな事例 を付 け加 える付 け足 し型 の
3つ があった。 こ の
3つ の型 を評価 させ た ところ、児童 か らは以下 の よ うな発言 があった。
・よびか け型 につ いて
い ろい ろな しゅるいが あ る ことがわか ってお も しろい。
ぜひ のってみて くだ さい、 とかいて あるのがいい。
・ま とめ型 につ いて
くふ うがある とか、べ ん りだ とか、 いいたい こ とがかいて あ る
。・付 け足 し型 につ いて
ボ タンをおす こ とをお しえて あ げてい る。
ライオ ンバ スはか んけいがない。
つ ま り、友達 の書 いた文 の良 い ところ、足 りない ところを文 とのつ なが り、読 者 との関連 で評 価 で きてい る こ とがわか る。
② だい 5文 パー ト2をか こ う。 ( 第 5文 の書 き換 え)
この よ うな意 見 を聞 き、第
5文 を書 き直 した。 そ の結 果 児童 は次 の よ うに文 を書 き直 した。
T. K バ スは、 ライオ ンがい る ところにはい って くれ ませ ん。
‑ バ スは、 つ りかわや てす りがつ いて い るので、 ころばな くてべ ん りです。
K. F
バ スは、大 き くてガ ソ リンが、 はい って るので、 はや く は しれ ます。
‑ この よ うな、手す りやつ りかわがつ いてい るのが、 お きゃ くさんが、 ら くにい ける くふ うを しています。
この よ うに、児童 は友達 の よい ところを取 り入れ、主張 のあ る文 に変 える ことがで きた。 これ は友達 の文章 の よい ところを評価 したか らこそで きた こ とであ る。書 き手 にな り、相手意識、意 図 をそ ろえれ ば、書 き方 を意識 して読 む ことがで きる とい う1つ の根拠 と言 えるのではなか ろ う か。
③ き ょうか し ょの文 とくらべ て どこが よ くな ったかかんが え よ う。
T. K ① 〜④ の文 は、
第
5文 を付 け足 した こ とで、 教 科 書 の文 章 と比 較 して どこが よ く な った のか を考 え させ た。 「 前 の文 は〜 だ ったが、 〜 とい うところが良
くな った。」 と書 けれ ば評価 で きてい る と考 え られ る。 しか し低 学年 で、
自分 の思 い を全 て表 現 で き るので はない ので 「〜 とい うところが良 く な った
。」と書 けれ ば、 そ の裏 に前 の文 が 「 〜 だ った」 とい うこ とが令 意 されてい る と見 なす ことにす る。
お しえてい るだ けだ った け ど⑤ と⑤ パ ー ト2をつ け くわ える との りたい きもちが して きま した。
S. M ① 〜④ の文 は、 じこし ょうかい を して、つ くり、 はたた き とい うじゅんぽんだ った け ど、
⑤ パー ト
2をた した ら、
1年生 よろ こぶ とお もいます。
Y. Y ( ∋〜④ の文 で は 「 で ?それ が ど うしたの ?」 とい うか ん じだ った けれ ど、⑤ パ‑ ト2を くわ えた こ とで、 とて もいい文 にな った とお もいます。
この よ うに、 はた ら くじど う車 にま とめが ない こ とを気づ けた児童 もいたが、 ただ良 くなった とい うだ けで具体 的 に ど うよ くな ったのか説 明で きない児童 もいた。
Y.M
( ∋〜④ の文 はな にかがす くな くて‑ んだ った け ど、⑤ と⑤ パ ー ト
2を くわ えておか し く な くな りま した。
A.K
① 〜④ の文 は くらいか ん じが した け ど、パ ー ト
2をいれ る と、 あか るいかん じが しま し た。
ただ この児童 も文章 に足 りない感 じを もつ よ うにな った こ とは窺 え、文章 の書 き方 に注 目して い る ことは確 かで あろ う。
‑
23 ‑Ⅳ. 考察
( 1 ) 成果
この実践 の成果 は 2 つ考 え られ る。 1 つ 目は この研究 を通 して 1 年 生 で も書 く立場 になれ ば、
文単位 であれ ば書 き方 を評価す る ことができ る可能性 を示 す ことがで きた ことである。文 を読 む ときに内容 を読 む行為 は とて も自然な行為で あ り、書 き方 に注 目させ るには書 く立場 にな って読 む とい う手 だてが必要 であることは当然 か も しれない。 2つ 目は クラス全体 で読み あ うこ との重 要性 である。相手意識 を明確 に し、共通 の 目的 の文章 を書 くことで、 目的 は同 じだが表現 が異 な る とい う文 が多数 で きることにな る。 それ を 1 つ にま とめ るので はな く、多様性 を残 しつつ、 そ の良 さを認 める ところか ら様々な文章観 が生 まれ、文章 の評価観 が生 まれて くるのであろ う。 こ の授業 で も奉連 の文 を評価 し、良 い ところを 自分 に取 り入れ られ るのは クラスで読 みあってい る か らである
。クラスで の求 めあい、つ なげあいが多面的 な文章評価観 を生み、文章 を書 き方 を も 読 める児童 を育 ててい くことがで きるのではないか、 と考 えてい る。
( 2) 課題
この実践 の大 きな課題 は、文章 を評価す るのに明確 な言葉 を持 たない児童 がい る とい うことで ある。先 ほ ど紹介 した よ うに、 「 す くな くて‑ んだ った」 「くらいか ん じが した」 とイ メー ジで は 語 ることがで きるが、 明確 な言葉 を持 ってい ない。 しか しそ こで 「ま とめ
」「 れい
」「よびか け
」と言 った文 を抽象的 に とらえる言葉 を教 師が与 えた ら良 い とい う問題 ではない。文 の書 き方 につ いて様 々なイ メージを持 たせ、 その経験 を積 み重 ねて子 どもたちか ら自然 と抽象的 な言葉 が出て くるよ うにす る ことが其 の言葉 のカの育成 で ある と考 えてい る。今後 も文 の書 き方 に注 目して読 む経験 を させ、抽象 的 な言葉 を 自分 の言葉 として使 い こなす こ とがで きる礎 を築 いてい きたい と 考 えてい る。
1
文部科学省 『読解 力向上 に関す る指導資料』 (束洋館 2006)は じめに2
文部科学省 『読解 力 向上 に関す る指導資料』 (東洋館 2006)p.53 文部科学省 『読解 力 向上 に関す る指導資料』 (東洋館 2006)p.5
4
文部科学省 『読解 力向上 に関す る指導資料』 (東洋館 2006)p.45
船津 啓 治 「説明的文章 における比べ読 みの発達調査研 究」『国語科教育研 究 第113回岡山大会発表要 旨集』(全 国大学国語教育学会 2007)p.58