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学位申請論文 マクロピノソームにおける Rab5 活性化は ALS2 を必要とし, それに引き続く ALS2 解離による Rab5 不活性化は活性型 Rab7 を必要とする 平成 31 年 3 月 東京理科大学生命科学研究科生命科学専攻 森下宗 1

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1

学位申請論文

マクロピノソームにおける Rab5 活性化は ALS2 を必要とし,

それに引き続く ALS2 解離による Rab5 不活性化は活性型 Rab7 を必要とする

平成 31 年 3 月

東京理科大学 生命科学研究科 生命科学専攻

森下 宗

(2)

2

1.表紙 1

2.目次 2~4

3.略語 5

4.要旨 6

5.研究の背景および目的 7~11

6.材料および方法 12~15

7.結果 16~20

マクロピノソームにおいて,Rab5 のリクルートメントと活性化はほぼ 同時に行われる

マクロピノソームにおいて,ALS2がRab5を活性化する

ALS2のマクロピノソームからの解離は活性化型Rab7に依存している 活性化型 Rab7はマクロピノソームにおけるRab5の不活性化に必須で ある

活性化型Rab5の欠失はマクロピノソームの成熟を阻害する

9.考察 21~23

10 引用文献 24~27

11 図表 28~51

図1.クラスリン依存性エンドサイトーシスとマクロピノサイトーシス

図2.マクロピノソームの形成過程

図3.Rab5の細胞膜結合型 FRETセンサー

図 4.Raichu-Rab5/K-RasCT を発現している細胞の,細胞膜とエンド ソーム膜での蛍光強度

図5.Rab5-to-Rab7スイッチにおける SNX-5の動態

(3)

3

図6.マクロピノソーム膜に存在するEGFP-ALS2の蛍光強度を補正す

るための画像解析方法

図7.”継続評価指数”の求め方

図 8.マクロピノソームでの Rab5の活性化とリクルートメントは同時

におこる

図9.各siRNAのノックダウン効率の検討

図10.ALS2はマクロピノソームにおいてRab5を活性化する

図11.ノコダゾール添加はマクロピノソームにおけるRab5活性化に影

響を与えない

図 12.パルスチェイス実験によるマクロピノソームへの ALS2 局在の

解析

図13.ALS2のマクロピノソームからの乖離は,活性化型Rab7に依存

している

図 14.マクロピノソームにおいて,Rubicon のリクルートは ALS2 の

解離とほぼ同時に観察される

図15.ラフリングと,それに引き続くマクロピノサイトーシスにおける

Rac1活性

図16.マクロピノソームにおけるRab5の不活性化は,活性化型Rab7

に依存している

図17.Vps41のノックダウンは,マクロピノソームにおいてRab5不活 性化に影響を与えない

図18.Rab5GEFのノックダウンによるマクロピノサイトーシスの頻度

への影響

図19.マクロピノソーム成熟におけるRab5不活性化の影響

図20.Rab5活性に対するGAP活性の確認

図21.本研究で得られた知見による,マクロピノサイトーシスでのRab5 活性制御のスキーム

(4)

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12.謝辞 52

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5

略語

GTP: Guanosine TriPhosphate GDP: Guanosine DiPhosphate

GEF: Guanine-nucleotide Exchange Factor GAP: GTPase-Activating Protein

GDI: GDP Dissociation Inhibitor GDF:GDI Displacement Factor

HOPS: HOmotypic fusion and Protein Sorting

CORVET: class C CORe Vacuole/Endosome Tethering

ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis(筋萎縮性側索硬化症)

FRET: Förster Resonance Energy Transfer

Raichu:Ras and interacting protein chimeric unit NES: Nuclear Export Signal(核外移行配列)

IMD: Intensity Modulated Display PC: Phase Contrast(位相差像)

EGF: Epidermal Growth Factor(上皮成長因子)

CFP: Cyan Fluorescent Protein YFP: Yellow Fluorescent Protein

mRFP: monomeric Red Fluorescent Protein

SECFP: Super Enhanced Cyan Fluorescent Protein CME: Clathrin Mediated Endocytosis

CIE: Clathrin Independent Endocytosis

(6)

6

要旨

エンドサイトーシスとは,細胞膜が細胞の内側に陥入して,細胞膜上の蛋白質,

細菌,細胞外液などを取り込む機構であり,取り込まれた物質は初期エンドソ ームに集められる.初期エンドソームのうち,分解経路へと進むものは後期エ ンドソームへと成熟する.この過程で,Rab5からRab7への制御分子のスイッ チ(Rab5-to-Rab7スイッチ)が起きる.その後,成熟した後期エンドソームは リソソームと融合し,内容物が分解される.マクロピノサイトーシスはクラス リン非依存性エンドサイトーシスの一形態である.アクチン繊維が働いて細胞 膜が激しく波打つラフリングから環状の盛り上がりができあがり,続いて比較 的大きめ(0.5 µm以上)の小胞(マクロピノソーム)が形成され,これにより 細胞外液とその含有物が非特異的に取り込まれる.他のエンドサイトーシス経 路と同様に,マクロピノソームの成熟も高度に制御されており,Rab5とRab7 はその過程の主要な制御分子である.しかしながら,マクロピノソームの成熟

に伴うRab5-to-Rab7スイッチの実体はほとんど明らかになっていない.そこで

本研究では,FRETセンサーによるイメージングを用いて,COS-7細胞および HeLa細胞における,EGF刺激により誘導されたマクロピノソームでの

Rab5-to-Rab7スイッチのメカニズムを検討した.Rab5はラッフルクロージャ

ー形成のタイミングで,活性化と同時にマクロピノソームにリクルートされた.

マクロピノサイトーシスでのRab5 GEFは,先行研究ではRabex5,Rin1,ALS2 の3つが候補に挙げられているが,ALS2をノックダウンしたHeLa細胞での みマクロピノソームにおける一過性のRab5活性化が消失した.また,ALS2は Rab5活性化とほぼ同じタイミングでマクロピノソームにリクルートされた.こ れらの結果からALS2がマクロピノソームでのRab5活性化で中心的に働くと 結論づけた.Rab7またはCcz1(Rab7 GEFの構成因子)をノックダウンした 細胞では,マクロピノソームにALS2が存在し続けた.また一度上昇したRab5 の活性は高いまま保持された.このことは,マクロピノソームで一度上昇した Rab5活性を不活性化させるタイミングで,活性化型Rab7が働いてALS2のマ クロピノソームからの解離が起きると解釈できる.この結果は,マクロピノソ ームで活性型Rab7が増えると,それにつれてALS2の脱離を介して活性型 Rab5が減少するというメカニズムの存在を示唆しており,これがマクロピノソ

ームでのRab5-to-Rab7スイッチを構成する上で鍵となる役割を果たしている

と考えられる.

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研究の背景および目的

エンドサイトーシスと分解経路

エンドサイトーシスとは,細胞膜が細胞の内側に陥入して,細胞膜上のタンパ ク質,細菌,細胞外液などを取り込む機能である.エンドサイトーシスによっ て形成された小胞には,リガンド‐受容体の複合体,細菌やウイルス,細胞外 マトリックス,細胞が生存に必要とする栄養素及びそのキャリアなどが含まれ る.最も一般的なクラスリン依存性エンドサイトーシス(Clathrin Mediated Endocytosis (CME))では,この形成された小胞は,速やかに初期エンドソーム と融合する(図1).初期エンドソームは取り込んだ物質の選別を行う場であり,

ソーティングエンドソームとも呼ばれる.初期エンドソームは中央部から複数 の筒状構造が突き出た形状のオルガネラであり,膜組成や膜タンパク質などが 異なるサブドメインが存在する.エンドサイトーシスにより取り込まれた物質 の多くは,リサイクリングエンドソームへ輸送され,細胞膜上に再提示される

(リサイクリング経路).一方で,細胞に取り込まれた物質の一部(シグナルを 出し続けているリガンド-受容体の複合体,外部から取り込んだ栄養素,細菌な ど)は初期エンドソームから分解経路へと送られる.分解経路は,初期エンド ソームから後期エンドソームへの成熟,後期エンドソームとリソソームの融合 の二つのステップから成る(図1枠内).エンドソームの成熟と並行して,その エンドソームは微小管に沿って細胞辺縁部から核近傍へと輸送される.核近傍 にはリソソームが密に存在し,輸送された後期エンドソームはリソソームと融 合する.リソソームには,後期エンドソームと融合したばかりのもの(エンド リソソームと呼ばれ,ここが主な分解の場だと考えられている)と,分解が終 了して成分が再構成されたクラシカルなリソソームの二種類がある(Huotari and Helenius, 2011; Saftig and Klumperman, 2009).

マクロピノサイトーシス

エンドサイトーシスは,クラスリン依存性エンドサイトーシスとクラスリン非 依存性エンドサイトーシスに大別される.クラスリン非依存性エンドサイトー シスには,ファゴサイトーシス(食作用),マクロピノサイトーシス,ポトサイ トーシスなどがある(Mayor and Pagano, 2007).本研究の対象であるマクロピ ノサイトーシスでは,細胞膜が大きく波打つラフリングから環状の盛り上がり が形成され,その環が閉じ,細胞膜から切り離されることで,比較的大きめの 小胞(0.5 µm以上)を形成される(図1)(Buckley and King, 2017; Kerr and Teasdale, 2009).この,環が閉じた段階をラッフルクロージャーと呼ぶ.細胞 の内と外で屈折率が異なるので,位相差像ではラッフルクロージャーは急激な

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輝度の上昇として捉えられる.マクロピノサイトーシスによって形成される小 胞(マクロピノソーム)は比較的大型なので,位相差顕微鏡によるタイムラプ ス撮影で容易に観察できる(図2).マクロピノサイトーシスの生理的役割とし て,細胞の生存に必須な栄養成分の細胞外からの取り込み(White, 2013),細菌 などを取り込んだ後の抗原提示(Mercer and Helenius, 2012),受容体や接着分 子の取り込みを介した,細胞内シグナル伝達や細胞の接着と移動(Bryant et al., 2007; Gu et al., 2011)などがある.

細胞内輸送のダイナミズムを制御するRab分子群

低分子量Gタンパク質であるRab分子はRasスーパーファミリーに属し,GTP が結合した活性化型と,GDPが結合した不活性型の2つの状態を行き来するス イッチ分子である. GDP結合型のRabは活性化因子であるGEF

(guanine-nucleotide exchange factor)の働きにより,GTP結合型となる.活 性化型のRabはエフェクターと呼ばれる各種の分子と結合し,その分子を介し て小胞の移動や融合に関わる.またRab自体がGTPに対する弱い加水分解活 性を持っており,この活性がGAP(GTPase-activating proteins)によって高 められることでスイッチがオフになる.Rabファミリーは哺乳類では約60 種 類存在し,それぞれが細胞内において固有のオルガネラへの局在を示すことが 多い.よく知られている例として,Rab5は細胞膜と初期エンドソームに,Rab7 は後期エンドソームとリソソームに,Rab11はリサイクリングエンドソームに それぞれ局在する.また,Rab分子はその脂質修飾部位でRabGDIと結合して 細胞質に存在することができる.Rab分子群は,同じGタンパク質であるArf 分子群やイノシトールリン脂質群とともに,細胞内輸送のダイナミズムや個々 のオルガネラでの多様な分子機能を協調制御する中心的なシグナル分子群であ る(Stenmark, 2009).

Rab5の機能と活性制御分子

Rab5は初期エンドソームの振舞いのコントロールに深く関わるが,GTP結合 型のRab5と結合するRab5エフェクター分子は現在までに 10種類近く報告が あり,細胞膜と初期エンドソームで多様な機能を果たしている.代表的なRab5 エフェクターであるEEA1は初期エンドソームどうしを繋ぎとめることで初期 エンドソームの融合を促進する(Mills et al., 1998).また,Rab5の活性化分子 として,哺乳類では,Rabex5,Rinファミリー(Rin1,Rin2,Rin3),ALS2

(Alisin),Gapex-5の6つのRabGEFが報告されており,これらは,Rab5に 対するGEF活性を示すVPS9ドメインを共通して持っている(Carney et al., 2006; Fukuda, 2016).このことから,特性や役割の異なる複数のエンドサイト

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ーシスのタイプごとにこれら6つのRab5 GEFが使い分けられていることが予 想される.実際に,2001年に,Zerialのグループがクラスリン依存性エンドサ イトーシスではRabex5が主要なRab5GEFとして働くことを示した(Lippé et al., 2001).また所属研究室では,ファゴサイトーシスではGapex-5が主要な

Rab5GEFとして働くことをFRETイメージングなどにより報告している

(Kitano et al., 2008).本研究で扱うマクロピノサイトーシスについて,ここで 働くRab5に対するGEFの候補としてRin1,ALS2,Rabex-5の3つが挙げら れている(Balaji et al., 2012; Feliciano et al., 2011; Otomo et al., 2011).詳細は 考察で扱うが,この3つを候補に挙げた根拠となるそれぞれのデータはかなり 間接的なものであり,現時点ではまだ結論は得られていないと考えている.

Rab5 GEF以外に,エンドソームの成熟におけるRab5の活性制御分子とし

て,不活性化因子であるRab5 GAP が中心的に働いている可能性もある.酵母 のクラスリン依存性エンドサイトーシスの過程では,Rab5 GAP であるMsb3

がVps21(Rab5ホモログ)を適切なタイミングで不活性化することが成熟に必要

だと報告されている(Rana et al., 2015).また,線虫の組織では,成熟過程にあ る後期エンドソームで別のRab5 GAPであるTBC-2がRab5を不活性化する (Chotard et al., 2010).哺乳類細胞では.Rab5 GAPとしてRabGAP5やRN-tre といった分子が同定されているが(Fukuda, 2011; Lanzetti et al., 2000),初期エ ンドソームの成熟にどの程度Rab5 GAPが関わるかは明らかになっておらず,

マクロピノサイトーシスについても具体的な提案はされていない.

後期エンドソームおよびリソソームを制御するRab7

Rab7は後期エンドソームおよびリソソームに局在し,そこで複数のエフェクタ ー分子と結合して分解経路の進行を制御する.よく知られているエフェクター 分子は,逆行性モーター分子dyneinと結合するRILPや,HOPS (homotypic fusion and protein sorting) 複合体のサブユニットであるVps39とVps41であ る.Vps39とVps41はVps11,Vps16,Vsp18,Vps33と共に繋留複合体を構 成する(Balderhaar and Ungermann, 2013).Rab7は後期エンドソームとリソ ソームの両方に存在するため,後期エンドソームとリソソームとの融合は,両 者に存在するRab7がHOPS複合体の両端に存在するVps39,Vps41のそれぞ れと結合し,2つの小胞が繋ぎ止められることから始まるというモデルが提唱さ れている.哺乳類におけるRab7 GEFとして知られているのはMon1/Ccz1複合 体だけだが,最近私たちはMon1/Ccz1は後期エンドソームでのみRab7を活性 化することを明らかにした(Yasuda et al., 2016).

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Rab5-to-Rab7スイッチ

Rabスイッチとは,「細胞内輸送ネットワークの中で隣接して存在するオルガネ ラ(例えば初期エンドソームと後期エンドソーム)の間の移行を,それぞれの オルガネラに特異的に存在するRab分子が切り替わることで促進する」という アイデアで,不可逆性を持った細胞内輸送のネットワークを組み立てる上での 基本的なやり方として広く使われている可能性があり,多くの注目を集めてい る.このアイデアが提案された最初の例は,クラスリン依存性エンドサイトー シスにおける初期エンドソームから後期エンドソームへの移行と同時に,Rab5 からRab7へと切り替わる現象(Rab5-to-Rab7スイッチ)である(Rink et al., 2005).このRab5-to-Rab7スイッチについてはその後多くの研究が行われ,初 期エンドソームから後期エンドソームへの移行の不可逆性を保証する分子メカ ニズムについて,ひととおり説明できるモデルがまとまっている(Huotari and Helenius, 2011).基本的にはRab5とその関連分子(エフェクター,GEF,GAP)

及びRab7とその関連分子(エフェクター,GEF,GAP)が互いにかみ合って 働くという考え方で構成されているが,まだ重要な部分についての異論もある.

まして,マクロピノサイトーシスを含むクラスリン非依存性エンドサイトーシ スに上述の分子メカニズムがそのまま適用できるかどうかについてはほとんど 調べられていない.

Rab5のFRETバイオセンサー

生細胞でのGタンパク質の活性の時空間変化を可視化するために,Förster共 鳴エネルギー移動(FRET)を利用したバイオセンサーによるタイムラプス観察 が広く用いられている.所属研究室では,以前に分子内FRET 型のRab5セン サーを作製してファゴサイトーシスでのRab5活性化機構の解析を行った(図3)

(Kitano et al., 2008).マクロピノソームでのRab5活性の時空間変化について は,Swansonのグループから,分子間FRET型のRab5センサーでの解析が報 告されている(Feliciano et al., 2011).動作原理から考えて,分子間FRET型で は,分子内FRET型センサーほど大きなダイナミックレンジで活性を計測する ことは一般的には困難であり(Nakamura et al., 2006),Swansonのグループか らの報告では,マクロピノサイトーシスにおいて中心的役割を果たすRab5 GEF は確定できていない.分子内FRET 型のRab5センサーは特に大きなダイナミ ックレンジを持っており,マクロピノソームにおける複数のRab5GEF候補の 関与を詳細に調べるためには,高性能なRab5センサーによる解析が不可欠と考 えられる.

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本研究の目的

本研究の目的は,マクロピノサイトーシスでの初期エンドソームから後期エン ドソームへの移行におけるRab5-to-Rab7スイッチの実体を明らかにすること である.具体的には,(1)マクロピノソームではたらくRab5 GEFを確定する.

以前に作製したRab5に対する分子内FRETセンサーによるタイムラプス FRETイメージングを用いて,これまで候補にあがっている3つのRab5 GEF のそれぞれをノックダウンした細胞でマクロピノソームでのRab5活性の変化 を可視化することを試みる.さらに,(2) マクロピノソームにおける

Rab5-to-Rab7スイッチでの,Rab5のエンドソーム膜からの解離に寄与する分

子と,その機構を明らかにする.Rab5のエンドソーム膜からの解離は,Rab5 に対するGAPがはたらいてRab5を不活性化して起きる可能性と,Rab5GEF がエンドソーム膜から解離して,Rab5の活性化が停止することで起きる可能性 とがある.酵母のエンドサイトーシスでは,酵母Rab5ホモログであるVps21 の不活性化には,活性化型Ypt7(Rab7ホモログ)が必要であることが報告さ れているが,明瞭に異なる機構を持った哺乳類の分解系,特にマクロピノソー ムでも同様のしくみがはたらいているかは不明である.そこで,酵母や線虫で

のRab5-to-Rab7スイッチの報告をもとに,いくつかの制御候補分子をノックダ

ウンした細胞での,Rab5GEFの振る舞いやRab5活性を可視化し,マクロピノ サイトーシスでのRab5-to-Rab7スイッチの実体を解き明かす.

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材料および方法

FRETバイオセンサー

Rab5のFRETセンサー,Raichu-Rab5/K-RasCT (2517kx)及びRac1のFRET センサー,Raichu-Rac1/K-RasCT (1011x)はすでに報告されているものを使用 した(Itoh et al., 2002; Kitano et al., 2008).これらのセンサーはK-Rasのカル ボキシ末端領域が付加されており,細胞膜に局在する.細胞質に過剰にセンサ ーが局在すると,細胞膜や小胞に存在するセンサーのシグナル/ノイズ比が低下 するが,K-RasのC末ドメインを含んだセンサーを使うことでこの問題を回避 できる.落射蛍光観察下では,エンドソーム膜上の Raichu-Rab5/K-RasCT の 蛍光強度は細胞膜上のそれに比べて低く見えるが,コンフォーカル顕微鏡での X-Z ス ラ イ ス 断 面 を 見 る と , マ ク ロ ピ ノ ソ ー ム 膜 上 と 細 胞 膜 上 で Raichu-Rab5/K-RasCTの蛍光強度は同等であることがわかる(図4).従って,

細胞膜に局在する Raichu-Rab5/K-RasCT は,膜が取り込まれてマクロピノソ ームに取り込まれても(少なくともある程度は)局在し続け,そこでの Rab5 活性の情報を得ることができる.

プラスミド

マウスALS2の野生型(Mori et al., 2013)および D1593A変異体の cDNAは,

東北大学・福田光則教授より供与された.DsRed(Clontech)の cDNA は pCAGGS-NES ベ ク タ ー に サ ブ ク ロ ー ニ ン グ し た(Aoki et al., 2005).

pCXN2-mRFP-SNX5 の cDNA は京都大学・松田道行教授より供与された.

RubiconのcDNA(大阪大学・吉森保教授より供与)は pCAGGS-mCherry へ サブクローニングした.

細胞培養,試薬,抗体

COS-7細胞とHeLa細胞はダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)に,10%

ウシ胎児血清(Cell Culture Bioscience)を加えた培地で37℃,5%CO₂ インキュ ベーター内で培養した.EGF(Calbiochem Merck Millipore)刺激したCOS-7 細胞は,HeLa細胞に比べて,撮影に適した比較的大きなマクロピノソームを頻 繁に形成する.そこで,ノックダウン実験が可能な場合はCOS-7細胞を用いて 検討した. HeLa 細胞でのみ高いノックダウン効率が得られる実験では HeLa 細胞を使用した.Texas Red 標識されたウシ血清アルブミン(BSA-TR)は Thermo Fisher Scientificより購入した.一次抗体は,anti-Rin1ヤギポリクロ ーナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, sc-1971, 1000倍希釈),anti-ALS2ウサ ギ ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 (Sigma-Aldrich, SAB4200350, 1000 倍 希 釈 ),

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anti-Vps41ウサギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, sc-292331, 1000倍希釈),anti-Rab7 ウサギポリクローナル抗体(Sigma-Aldrich, R4779, 2000倍希釈),anti-Ccz1ウサギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, sc-242240, 1000倍希釈),anti-GAPDHウサギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, sc-25778, 3000倍希釈)を使用した.anti-Rabex-5ウサギポリク ローナル抗体(1000倍希釈)は東北大学・福田光則教授より供与された.(Mori et al., 2013).二次抗体はHRP 標識抗ウサギIgGロバF(ab’)2フラグメント(GE Healthcare Life Sciences, NA9340V, 1000倍希釈),HRP 標識抗ヤギIgGロバ ポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, sc-2020, 1000倍希釈),Alexa Fluor 488 標 識 抗 ウ サ ギ IgG ヤ ギ F(ab’)2 フ ラ グ メ ン ト(Thermo Fisher Scientific, A11070, 300倍希釈)を使用した.

RNA干渉法実験

Rin1,ALS2,Rabex-5,Vps41,Rab7に対するStealth siRNAおよびCcz1 Silencer Select siRNAはThermo Fisher Scientificより購入した.ヒトおよび サルmRNAを標的とした配列はそれぞれ,Rin1,5’- GGACGUUCCUCGUGCG GAAAUCUAA-3’; ALS2,5’- CAUCUGGAGGCAGGUGGUUACCAUU-3’;

Rabex-5,5’-GGUGAAGGCGAUCACAGAUAUCAUU-3’; Vps41,5’-GGAAU AUGAAGUUUAUAAA-3’ ; Rab7,5’-CAUUCAUGAACCAGUAUGUGAAU AA -3’ ; Ccz1,5’-GCUCAUCUGGAGUGGAUUAGAACAA -3’である.ネガ ティブコントロールとして,Stealth RNAi siRNA Negative Control Med GC (Thermo Fisher Scientific )を用いた.20 nM の siRNA を Lipofectamine RNAiMAX(Life Technologies)を用いて細胞に導入し,72時間培養した.

タイムラプスイメージング

Raichu-Rab5/K-RasCT を発現させた COS-7 細胞もしくは HeLa 細胞を,

0.1% ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン(Sigma-Aldrich) と 4 mM L-グ ル タ ミ ン (Sigma-Aldrich)を添加したFluoroBrite DMEM(Life Technolofies)で1時間血 清飢餓状態に置き,その後50 ng/mLのEGFで刺激した.培地はミネラルオイ ル(Sigma-Aldrich)で覆い蒸発を防いだ.イメージングは倒立型蛍光顕微鏡 (IX81; Olympus)を使用した.この顕微鏡には CCD カメラ(Cool SNAP-HQ;

Roper Scientific),フォーカスドリフト補正機構(IX2-ZDC; Olympus),自動XY ステージ(MD-XY30100T-Meta; SIGMA KOKI)が装着されており,一度の実験 で多点撮影が可能となっている.FRET イメージングを行う際には,励起フィ ルターはFF01-438/24-25(Semrock)を,CFPとFRETの蛍光フィルターとして それぞれ FF01-483/32-25(Semrock)と FF01-542/27-25 を用いた.ダイクロイ

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ックミラーとしてXF2034(455DRLP)ダイクロイックミラー(Omega)を用いた.

X−Cite 120LED (Lumen Dynamics)を光源として用い,励起光を細胞に照射し た.対物レンズはPlan Apochromat 60倍オイル対物レンズ(NA 1.4;Olympus) を用いた.露光時間はFRET画像とCFP画像については 300 ミリ秒,位相差 画像は 50 ミリ秒とした(ビニングは 4 x 4).取得した画像は MetaMorph software (Universal Imaging)によって背景光を差し引き,FRET/CFP比画像 を作成した.画像からの定量法は既報に従って行った(Yasuda et al., 2016).

パルスチェイス実験および免疫染色

COS-7 細胞を 0.1%ウシ血清アルブミンと 4 mM L-グルタミンを添加した

FluoroBrite DMEMで血清飢餓状態に置いた(37℃,60分).パルスチェイス 実験では,終濃度50 ng/mLのEGFおよび終濃度100 µg/mLのBSA-TRを添 加後インキュベート(37℃,10 分)して洗浄の後,血清フリーの FluoroBrite DMEMでさらにインキュベート(37℃,10分)した.その後,細胞を3.7%ホ ルムアルデヒドで固定(室温,15分)し,0.2% Triton X-100により浸透化処 理(室温,15分)した.3%BSAを含んだリン酸緩衝液に浸した(室温,60分)

後,一次抗体(4℃,一晩),二次抗体(37℃,60分)で免疫染色を行った.サ ンプルは,FV1000 共焦点イメージングシステムを搭載した IX81 倒立顕微鏡 (Olympus)で観察した.

画像解析

この研究では,観察された小胞のうち,2つの基準:(1)半径が0.5 µm以上,

及び(2)ラフリングに続いて生じるかを満たすものをマクロピノソームとして 選択して,それらについて解析した.その基準を裏付けるために,一部試料に ついてマクロピノソームを標識する一般的な方法である BSA-TR の取り込み実 験(Commisso et al., 2013)を行い,それらの判断基準が妥当であることを確かめ た(図4).さらに,細胞内輸送に関与するsorting nexinファミリータンパク質 である SNX5 は,初期エンドソームに対応する段階でマクロピノソーム上にリ クルートされることが知られているが, Rab5-to-Rab7 スイッチを起こすマク ロピノソームでもSNX5のリクルートが起こることを確認した(図5).

EGFP-ALS2のマクロピノソーム膜における蛍光輝度の定量は,既報(Kawase

et al., 2006)に以下のような変更を施して行った(図6).まず,マクロピノソー ムに近接する細胞質でのEGFPおよびERedの蛍光シグナルを,マクロピノソ ームを中心とする 2 つの同心円からなるリング状の領域から計測した.リング の内縁は,位相差画像から判断したマクロピノソームの縁に沿っており,リン グの外縁は内縁から450 nmの距離とした.次に,このEGFPとERedのシグ

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ナルの比を計算した.マクロピノソーム上下の細胞質に存在する EGFP-ALS2 の蛍光強度は,先に計算した細胞質でのEGFP/ERed比で補正した ERed-NES のシグナルから見積もることができる.この補正したERed-NESの蛍光シグナ ルを,EGFP-ALS2 のシグナルから差し引くことによって,細胞質以外に存在 するEGFP-ALS2の蛍光強度を求め,補正済みのEGFP-ALS2蛍光強度を得た.

“継続評価指数”は次のように求めた(図 7).(1)(規格化)それぞれのマクロ

ピノソームイベントのサンプルにおいて,ラッフルクロージャーのタイミング をタイムゼロとし,それから 3 フレーム前 までの マクロピノソームでの

EGFP-ALS2の平均輝度を 0とし,ピークの輝度を 1とした.サンプルには補

正済みEGFP-ALS2画像を用いた.(2)(継続時間基準の推定)それぞれのコン

トロールのサンプルにおいて,タイムゼロからピークまでの時間を算出した.

これらの時間の平均値を“継続時間基準“とした.(3)それぞれのサンプルにおい て,(2)で求めた“継続時間基準“の 3 倍の時間までの蛍光強度の積分値を“継続 評価指数“とした.

統計検定

一元配置分散分析およびボンフェローニの事後検定は GraphPad PRISM (version5.04,GraphPad Software, La Jolla, CA, USA)を用いて行った.

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16

結果

マクロピノソームにおいて,Rab5 のリクルートメントと活性化はほぼ同時に行 われる

マクロピノソーム形成過程での Rab5 の活性及び局在の変化を可視化するた めに,Raichu-Rab5/K-RasCT(Kitano et al., 2008)とmRFP-Rab5を発現させた

COS-7 細胞を EGF で刺激し,タイムラプス FRET イメージングを行った.

FRET/CFP 比で示された Rab5 の活性は,ラッフルクロージャー直後(0 分)

から上昇し続け4分間かけてプラトーに達し,そこから徐々に減衰した(図8A,

3行目;図8B,緑線).mRFP-Rab5はラッフルクロージャーの段階でマクロピ ノソームに局在し始め,10分間蓄積し続けた後に,すみやかにそこから消失し

た(図8A,B).Rab5の活性化はRab5のマクロピノソーム上へのリクルート

メントとほぼ同時に生じている.

正確に言うと,ここでK-RasCTが付加されたRab5センサーを用いることで,

活性化したRab5の絶対量ではなく,それぞれの場所での局所的なGEFと GAP のバランスを知ることができる.図8Cにおいて,緑の棒グラフで示されたマク ロピノソームにおけるRab5の活性化,つまりGEF優位へのバランスの変化は,

赤の棒グラフで示された RFP-Rab5のマクロピノソームへの局在化より,わず かに早く起きる傾向があることがわかる.この結果から,マクロピノソーム近

傍でのRab5 GEFのリクルートとRab5の活性化が先行して生じて,それによ

りRab5-GDI複合体からGDIが乖離してRab5がマクロピノソームにリクルー トされるという可能性が考えられる(図21).同様の機構は,DrrAのRab1に 対するGEF活性(Schoebel et al., 2009)の例が報告されている.

マクロピノソームにおいて,ALS2がRab5を活性化する

マクロピノサイトーシスでの Rab5-to-Rab7 スイッチを解明する手掛かりを 得るために,Rab5GEFの候補となる分子をRNA干渉によってノックダウンし,

Rab5活性への効果を調べた.これまでに,3つのRab5GEFがマクロピノソー ムにおける Rab5 活性化を担う GEF であると提案されている(Balaji et al., 2012; Feliciano et al., 2011; Otomo et al., 2011).しかしながらマクロピノソー ムでのRab5活性化に中心的役割を果たすGEFを直接同定することは,技術的 な限界からできていない.本研究で用いたRaichu-Rab5kxは,幅広いダイナミ ックレンジで局所的な Rab5 活性を見ることができる信頼性の高いツールであ る(Kitano et al., 2008). マクロピノソームにおけるRab5GEFの候補分子であ るRin1,ALS2,Rabex5のタンパク質発現量は,それぞれに対する siRNA の 導入によって著しく減少した(図9).それぞれのRab5GEFをノックダウンさ

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17

せた細胞を用いて,マクロピノソームでのRab5の活性変化を検討した.Rin1,

Rabex5のノックダウンは,マクロピノソームでのRab5の活性化に影響を与え

なかったのに対し(図10),ALS2のノックダウンはマクロピノソームでのRab5 の活性化を劇的に阻害した(図10C下段;図 10G).一方,siRNA に抵抗性を 持つ野生型 ALS2 の発現によって,マクロピノソームでの Rab5 活性化は有意 にレスキューされた(図10E, G).さらに,GEF活性を失ったALS2-D1593A 変異体ではレスキュー効果が見られなかった(図10F, G).このことはマクロピノ ソームでのRab5活性化にはALS2のVps9ドメインが必須であることを示して いる.Gapex-5 に依存した Rab5 の活性化は,微小管重合阻害剤であるノコダ ゾール処理によって阻害される (Kitano et al., 2008).ノコダゾール処理をした 細胞でも,コントロールと同様にマクロピノソームでのRab5活性化が見られた ため(図 11),マクロピノソームでの Gapex-5 依存的な Rab5活性化の可能性 は除外できる.また神経栄養活性,神経保護活性および血管新生活性を持つ

RNaseスーパーファミリータンパク質であるangiogeninの取り込みは,マクロ

ピノソームの阻害によって抑制されることが知られているが,angiogenin 取り 込みに対するノコダゾール処理の影響はほとんど無いことが報告されており (Ferguson and Subramanian, 2018),このことも上記の推測を裏付けている.

これらの結果は,マクロピノソームでのRab5活性化に中心的役割を果たすGEF がALS2であることを強く示唆している.

ALS2のマクロピノソームからの解離は活性化型Rab7に依存している

マクロピノソームでのRab5活性化にALS2が関わることを裏付けるために,

マクロピノソーム膜への ALS2 の局在を検討した.EGFP-ALS2 を発現させた

COS-7 細胞を,マクロピノソームを識別するために BSA-TR で標識した後に

ALS2の局在を解析した(図12A, B).その結果,ALS2陽性のマクロピノソーム

の割合は 61.3±3.5%であり,2/3程度のマクロピノソームには ALS が局在して

いた(図12C).この系では形成されてから10分後~20分後のマクロピノソー

ムを BSA-TRを標識しているため,残りの 1/3程度のマクロピノソームには,

すでにALSがそこから解離しているものも含まれると考えられる.次に,タイ ムラプスイメージングでマクロピノソームにおける ALS2 の動態を観察した.

細胞質マーカーのERed-NES(核外移行配列(nuclear export signal)を付加し た赤色蛍光タンパク質DsRed)を共発現させて,ボリュームコントロールとして 用い,このコントロールを用いた画像補正により,細胞の厚み等の変化による,

細胞質由来のアーティフィシャルな蛍光シグナルを,可能な限り除去した(材料 および方法;図6).コントロールsiRNAでは,ALS2はラッフルクロージャー とほぼ同じタイミングでマクロピノソームにリクルートされる(図13A下段, D

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18

黒線).マクロピノソーム上の ALS2はラッフルクロージャーから 15 分程度で 減少し始め,30分後にはほぼ消失する(図13A下段, D黒線).マクロピノソー ムでの ALS2 の局在量の増減は,そこでの Rab5 活性変化のタイムコースとお およそ一致する.一方で,Rab7ノックダウン細胞では,ALS2はラッフルクロ ージャーから45分以上マクロピノソームに留まり続ける(図13B下段).

活性型の Rab7 が ALS2 のマクロピノソームからの解離に必要かどうかを検 討するために,Rab7自体,またはRab7GEFの構成因子であるCcz1のノック ダウンがALS2の動態にどのような影響を与えるかを検討した.Ccz1ノックダ ウン細胞では,ALS2はマクロピノソーム上にラッフルクロージャーから1時間 以上留まり続けた(図13C下段, D赤線).ALS2陽性のマクロピノソームでの 継続評価指数(定義は材料および方法の「画像解析」に示した,図7)を解析し たところ,Rab7およびCcz1ノックダウン細胞では,マクロピノソームからの ALS2 の解離がコントロール siRNA に対して有意に遅くなった(図 13E).次 に,Rab7がマクロピノソームにリクルートされ活性化されるイベントが,ALS2 の動態と時空間的にリンクするかどうかについて,3カラーイメージングを用い て検討した.所属研究室では,以前に,Rab7は最初に GDP結合型の不活性状 態でマクロピノソームにリクルートされ,その後エンドソーム成熟に従って 徐々に活性化されることを報告した(Kanamitsu et al., 2018; Yasuda et al.,

2016).従って,ここではRab7の局在ではなく活性を観察している.使用でき

る蛍光色に制約があるので,Rab7 の活性のマーカーとして Raichu-Rab7 では なくRab7エフェクターのmCherry-Rubicon(Rubiconはオートファジーに関 連するアダプター分子)を使用し(Yasuda et al., 2016),m1Venus-ALS2と細胞 質のボリュームコントロール(SECFP-NES)を図 13C-Eと同様に用いた.マ クロピノソームでの,Rubicon のリクルート(Rab7 の活性化を意味する)は ALS2の解離とほぼ同時に観察された(図14).この結果は,マクロピノソーム での,ALS2の解離がRab5-to-Rab7スイッチと時空間的に一致することを支持 している.Rab7及び Ccz1ノックダウンによるALS2の停留,及びRab7の活 性化とALS2の解離のタイミングの一致という結果から,ALS2のマクロピノソ ームからの解離は活性化型Rab7に依存すると結論付けた.

既報(Kunita et al., 2007; Otomo et al., 2011)では,ALS2のRac1-GTPへの 結合によって,ALS2がマクロピノソームにリクルートされるとしている.この 結果を検証するため,ラフリングの形成と,それに引き続くマクロピノソーム での Rac1 の活性が時空間的にどのように変化しているかを観察した(図 15). 過去の研究と同様に(Kurokawa et al., 2004),細胞膜のラフリングでRac1は顕 著に活性化している(矢頭).しかしながら,ラッフルクロージャーの段階では,

Rac1 の活性は確認できないまで低下した(矢印).従って,本実験で用いた系

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19

では,Rac1は細胞膜のラフリングを生じるマクロピノサイトーシスのきわめて 早い段階でのみALS2をリクルートする可能性があるものの,ALS2がRab5-to- Rab7スイッチの時点までそこに留まり続けるにはRac1の働きとは独立な機構 がはたらいている可能性が高いと考えられる.

活性化型Rab7はマクロピノソームにおけるRab5の不活性化に必須である 最近になって,酵母のエンドサイトーシス経路での酵母Rab5ホモログである

Vps21 の不活性化には,活性化型 Ypt7(Rab7 ホモログ)が必要であることが

報告された(Rana et al., 2015).ただし,酵母の分解系のシステムは哺乳類のそ れとは一部が明瞭に異なっており,Rana達の結果が哺乳類細胞のマクロピノサ イトーシスでの Rab5-to-Rab7 スイッチにそのまま適用できるかどうかは疑問 である.この点を直接検討するために,Rab7もしくはCcz1をノックダウンし

たCOS-7細胞において,マクロピノソームでのRab5活性の変化がどうなるか

を検討した.コントロールではRab5の活性化の後に速やかに活性の低下が見ら れたのに対し,Rab5もしくはCcz1をノックダウンした細胞の両者において,

Rab5 の不活性化はラッフルクロージャーから 1 時間以上見られなかった(図 16).Solinger と Spang は,以前に,線虫での卵黄成分を取り込んだエンドソ ームから Rab5 が解離することに HOPS 複合体が関わることを示している (Solinger and Spang, 2014).そこで,今回用いた系でも同様の機構が働いてい るかどうかを検討するために,HOPS 複合体の Rab7 へ結合する特異的サブユ ニットであるVps41 (Balderhaar and Ungermann, 2013)が,マクロピノソー ムでのRab5活性にどのような影響を与えるかを調べた.その結果,図18で示 したように,コントロール細胞と Vps41 ノックダウン細胞で,Rab5 活性の変 化に差異は見られなかった.これらの結果は,SolingerとSpangの報告とは異 なり,本実験系におけるマクロピノサイトーシスではVps41ではなく(そして おそらくHOPS複合体ではなく)活性化型 Rab7が Rab5不活性化に必要であ ることを示している.

活性化型Rab5の欠失はマクロピノソームの成熟を阻害する

活性化型 Rab5 はマクロピノソームの形成自体にも大きく関わると考えられ ている(Buckley and King, 2017).マクロピノソームでのRab5活性化を主とし て担うGEFはALS2であるにもかかわらず,ALS2を欠損させてもマクロピノ サイトーシスを起こす細胞が 21%しか減少しなかったことも,この仮説を支持 している.マクロピノソームでのRab5の活性化に寄与しないRin1とRabex-5 の両者を欠損させても,マクロピノサイトーシスを起こす細胞は 25%程度減少

した(図18).マクロピノサイトーシス形成過程でRab5がどう働いているかに

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20

ついて手がかりを得るために,ALS2をノックダウンした細胞でマクロピノソー ムの成熟の度合いを調べた.コントロール細胞では,後期エンドソームおよび リソソームのマーカーである LAMP1 は活性化型 Rab5 存在下でリクルートさ れ,撮影終了までそこに留まり続けた(図19A, D).対照的に,ALS2ノックダ ウン細胞ではマクロピノソームにおいてLAMP1は観察できなかった(図19B, E).同様に,強力なRab5GAPであるRNtreの過剰発現は,LAMP1陽性であ る後期エンドソームへの成熟を阻害した(図19C, F).なお, Rab5に働くGAP としてはRabGAP-5も報告されているが,今回の検討では,RabGAP-5はRab5

に対してRNtreより弱いGAP活性しか持たないという結果が得られた(図20).

以上の結果は,マクロピノソームにおける活性化型Rab5は,マクロピノソーム の成熟に必要であることを示している.この結果は,過去の研究における他の タイプのエンドサイトーシスでの知見と一致している(Haas et al., 2005).

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考察

本論文では,EGF 刺激によって誘導した COS-7 細胞または HeLa 細胞のマ クロピノサイトーシスにおけるRab5-to-Rab7スイッチについて,以下の2つの 結果を得た:(1)マクロピノソームでは ALS2 が Rab5 を活性化する,(2)そ れに引き続く「初期エンドソームから後期エンドソームへの転換」では ALS2 のマクロピノソームからの解離とRab5の不活性化が生じるが,その両者で活性 化型Rab7が必要である(図21).酵母の系を用いた最近の研究で,Rab5から Rab7への転換で起きるRab5の不活性化には活性型Rab7が必要であることが 示されたが(Rana et al., 2015),酵母の分解系は哺乳類のそれとは一部が明瞭に 異なっており,酵母での結果が哺乳類細胞のRab5-to-Rab7スイッチにそのまま 適用できるかどうかは不明であった.本研究の結果の意義の1つは,哺乳類細 胞でも,マクロピノサイトーシスの系では,Rab5-to-Rab7スイッチの過程で起 きるRab5の不活性化には活性型Rab7が必要であることを示したことにある.

ただし,酵母でのRab5不活性化ではRab5 GAPの活性化がキーになるのに対 して,哺乳類細胞のマクロピノサイトーシスでの Rab5 不活性化は Rab5 GEF

(つまりALS2)の脱離が鍵となるというメカニズムの違いがある.もう一つの

意 義 は , 本 研 究 で 得 ら れ た 哺 乳 類 細 胞 の マ ク ロ ピ ノ サ イ ト ー シ ス で の

Rab5-to-Rab7スイッチの機構についての知見が,クラスリン依存性サイトーシ

スで働くRab5-to-Rab7スイッチのモデル(このモデルでは,Rab5の不活性化

はRab7とは独立に起きるとされている, Huotari and Helenius, 2014)と一部 が異なっているという点である.

Rin1,ALS2,Rabex-5がマクロピノソームでのRab5を活性化させる候補分 子として挙げられてきたが,どれがマクロピノソームでのRab5活性化を主に担 うかどうかは明らかでなかった.Balagi らは,EGF 刺激した HeLa 細胞での Rin1の過剰発現が活性化型 Rab5の総量とデキストランの取り込み量を上昇さ せることを示し,Rin1-Rab5シグナル経路がEGF受容体分解とマクロピノサイ トーシスに寄与すると提案した(Balaji et al., 2012).池田らは,野生型 ALS2 の過剰発現が HRP 取り込みを促進させ初期エンドソームを巨大化させるが,

GEF活性欠失型のALS2はその能力がないことを示し,マクロピノサイトーシ スでの主要なGEFはALS2であると主張している(Otomo et al., 2008, 2011).

Felicianoらは,Rabex-5もしくは Rin1 の過剰発現が,マクロピノソームでの Rab5活性化を長引かせることを示している(Feliciano et al., 2011).これらの先 行研究に対する本研究のアプローチの強みは,マクロピノソームにおけるRab5 活性の変化を信頼性の高いセンサーを用いて直接計測していることである.本 研究で用いた Raichu-Rab5kx は分子内 FRET を用いたセンサーであり,

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22

Feliciano らの研究で Rab5 活性の可視化に用いられた分子間 FRET センサー (Feliciano et al., 2011)に比べて信頼性が高い(Nakamura et al., 2006).また,

細胞内輸送に関わる分子を長期に渡って欠失させたり過剰発現させたりするこ とは,細胞に広範囲で非特異的な影響を与える. Rin1やRabex-5をGEFの候 補分子として挙げた先行研究の結果は,そのような非特異的な影響を受けた可 能性がある.本研究においても,Rin1やRabex-5をノックダウンした細胞でも ALS2 をノックダウンした細胞と同程度である 25%のマクロピノソームの減少 が確認されたが,一方で,ALS2 のノックダウンだけがマクロピノソームでの Rab5 の活性を減少させた(図 10).ALS2 は,Ⅱ型筋委縮性側索硬化症

(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の原因遺伝子だが,その病態へとつな がる具体的な分子メカニズムは明らかになっていない.近年,他のALS原因遺 伝子であるSOD1(superoxide dismutase 1)の細胞間伝播が,マクロピノサイ トーシスを介するという報告がされた(Munch et al., 2011).本研究では,活性 型 Rab5 の欠失はマクロピノサイトーシスの成熟が阻害することを明らかにし たが(図19),ALS2遺伝子が変異した患者では,神経疾患の原因となる異常な タンパク質がマクロピノサイトーシスに取り込まれた後分解されないことで,

ALSの発症へとつながっている可能性も考えられる.

マ ク ロ ピ ノ サ イ ト ー シ ス と ク ラ ス リ ン 依 存 性 エ ン ド サ イ ト ー シ ス

(clathrin-mediated endocytosis; CME)の両者での,Rab5-to-Rab7スイッチ の制御機構に違いがあるのかについてはほとんど明らかになっていなかった.

エンドソーム膜から Rab5 を解離させる機構は,Rab スイッチに不可欠な過程 と考えられる.一般的に,Rab5を解離させるには以下の2つの方法がある.(1)

Rab5に対する GAP が働く方法,もしくは(2)Rab5 GEFがエンドソーム膜 から解離することによって,Rab5 の活性化が停止して,Rab5の解離を誘導す る方法である(Huotari and Helenius, 2011).前者の例は酵母のCMEで報告さ れている.Msb3のVps21(Rab5ホモログ)へのGAP活性は,活性化型Rab7に よってコントロールされている(Rana et al., 2015).Chotardらは,線虫の組織 で,成熟中の後期エンドソームでTBC-2がRab5を不活性化することを報告し ている(Chotard et al., 2010).一方で,Poteryaevらは,線虫のマクロピノソー ムでは,Rab7GEFのサブユニットである Mon1が,Rabex-5をエンドソーム膜 から引き離すことで Rab5 の活性を制御していると主張している(Poteryaev et

al., 2010).線虫のマクロピノサイトーシスの系で主張されているMon1の直接

の結合によるRabex-5の解離は,Rab5-to-Rab7スイッチの流れを推し進める効 率的な機構の1つの典型例と考えられる.本研究で示した ALS2 の解離は,

Mon1-Ccz1およびRab7に依存している.このことから,活性化型Rab7とALS2 の間においても,線虫における Rab7と Rabex-5同様の物理的なつながりが存

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在する可能性が考えられる.その点は今後の課題である.

本研究により,マクロピノサイトーシスの初期段階に ALS2 がリクルートさ れ,初期エンドソームから後期エンドソームへの転換でそこから離れるメカニ ズムを明らかにするための重要な手がかりが得られた.活性化型Rac1はALS2 と相互作用し,ALS2のマクロピノソームへの局在化を進める可能性が指摘され ていた(Kunita et al., 2007).本研究では,Rac1の活性は細胞膜のラフリングで は明らかに上昇するが,マクロピノソームのラッフルクロージャーの段階では 標準レベルまで下がることが確認された.Rac1の不活性化は,カップクロージ ャーに必要なアクチン骨格の分解で役割を果たす可能性があるとされている (Swanson, 2008).このことを考えると,ALS2のマクロピノソーム上への完全 な移動は活性化型 Rac1 がなくなった状況で起こるのかもしれない.ALS2 は,

初期エンドソームに対応する段階のマクロピノソーム膜上に豊富に存在する PI(3)P,PI(3,5)P2などホスファチジルイノシトールリン酸(PIPs)の一部に強 く結合することがin vitroで示されている(Marat and Haucke, 2016).しかし な が ら PI(3,5)P2 は 後 期 エ ン ド ソ ー ム に も 存 在 す る こと が 知 ら れ て い る (Mayinger, 2012).従って,ALS2がある種のPIPsのレベルの変化によってマ クロピノソームから離れるということが,ALS 脱離の主要なメカニズムである とは考えづらい.それ以外には,Mon1 によって Rabex-5の脱離が引き起こさ れたように,物理的な脱離因子が存在するという可能性がある(Swanson, 2008).

図 16 の結果からして,EGF 誘導によるマクロピノソームでは,この仮想上の 脱離因子は,活性化型のRab7によって制御されると考えられる.

この研究では,EGF 刺激によって誘導した COS-7 細胞および HeLa 細胞の マクロピノソームにおいて ALS2 が Rab5 を活性化し,それに引き続く Rab7 依存的なマクロピノソームからの ALS2 の脱離が Rab5 の不活性化をもたらす ことを直接的に示した.本研究の成果を重要な手がかりとして,マクロピノソ

ームでのRab5-to-Rab7スイッチの機構の全貌の理解が進むこと,及び他のタイ

プのエンドサイトーシスでも同様の機構が明らかにされることにより,細胞内 輸送経路に共通する一般的なルールの理解が進むことが期待される.

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28

図表

図1.クラスリン依存性エンドサイトーシスとマクロピノサイトーシス

細胞の外部から取り込まれた物質は,初期エンドソームに集められる.初期エ ンドソームのうち,分解経路へと進むものは,後期エンドソームに成熟する.

この過程でRab5からRab7への制御分子のスイッチが起こる.後期エンドソー ムはリソソームと融合し,内容物は分解される.

マクロピノサイトーシスも,クラスリン依存性エンドサイトーシスと同様に,

Rab5に制御される初期エンドソームに対応する段階と,Rab7に制御される後 期エンドソームに対応する段階が存在する.

(29)

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図2.マクロピノソームの形成過程

マクロピノソームは細胞膜付近でのアクチンの重合や細胞膜のラフリングにつ づいて形成される.(A)マクロピノソームの形成過程における3つのステージを 示した.上段は横から見た様子を,下段は上から見た様子を示している.ラフ

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リングは細胞膜がシート状に広がり波打つ動きをする状態を指す.ラッフルク ロージャーは細胞膜上で輪が形成された状態を指す.カップクロージャーは輪 の上方でも膜が閉じ,小胞が細胞膜から切り離された状態を指す.(B)COS7 細 胞において EGF(上皮細胞成長因子)で誘導したマクロピノソームを観察した位 相差像.マクロピノソームの形成過程において細胞膜のラフリングを緑色の枠,

ラッフルクロージャーを黄色の枠,カップクロージャーをピンクの枠で示した.

(31)

31

図3.Rab5の細胞膜結合型FRETセンサー

このセンサーはN末端から,黄色蛍光タンパク質(YFP),EEA1のRab結合 ドメイン(Rab Binding Domain; RBD),シアン色蛍光タンパク質(CFP),Rab5,

そしてK-Rasの脂質就職部位(K-RasCT)が連なった構造をしている(図).

低分子量Gタンパク質であるRab5は,GTP結合型の活性化型と,GDP結合 型の不活性型の二状態をとる.Rab5が不活性型の状態では,センサーにCFP の励起光を照射すると,そのままCFPから蛍光が放射される.Rab5が活性型 の状態では,センサー内のRab5とRBD(Rab5エフェクタータンパク質であ るEEA1のRab結合ドメイン)が結合し,センサーはCFPとYFPが隣接した 閉じた構造をとる.この状態センサーにCFP励起光を照射すると,励起した CFPからYFPへとFRETが起こり,YFPから蛍光が放射される.センサーの カルボキシル末端にはK-RasCTが付加されているため,センサーは細胞膜に局 在する.このことにより,このセンサーは感度よくRab5の活性を可視化するこ とができる(Kitano et al., 2008から一部改編)

(32)

32

図4.Raichu-Rab5/K-RasCTを発現している細胞の,細胞膜とエンドソーム膜 での蛍光強度

Raichu-Rab5/K-RasCTを発現した COS-7細胞を EGFで刺激し,BSA-TR を 含む培地で15分インキュベートした.固定後,細胞をコンフォーカル顕微鏡で 観察した.CFP像およびBSA-TR像のX-Y像を上に示した.CFP像,BSA-TR 像およびマージ像のX-Z切断像(0.33 µm 間隔,12枚)をその下に示した.X-Y 像の”a”から”b”の白線は,X-Z像で表示した切断面に対応している.橙色の矢印 は,マクロピノソームに存在するRab5センサーを示している.スケールバーは 5 µm.

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図5.Rab5-to-Rab7スイッチにおけるSNX-5の動態

mTFP-Rab5,m1Venus-Rubiconおよび mRFP-SNX5を発現したCOS-7 細胞 を血清飢餓状態におき,EGFで刺激した.この実験では,技術的な理由から,

Rab7の活性を見るためにm1Venus-RubiconをRab7センサー(Yasuda et al.,

2016)の代わりに用いている.画像は2分間隔で2時間撮影した.(A,B)各タイ

ムポイントにおけるmRFP-SNX5の局在を,コントロールとなるエンドソーム

(A),マクロピノソームの候補となるエンドソーム(B)において,mTFP画像,

m1Venus画像および位相差像(PC)と共に示した.この実験により,マクロピ

ノソーム上に局所的にmRFP-SNX5が集積したことを確認した.ここで見られ た局所的なSNX5の局在は,既報にあるマクロピノソームでのSNX5の局在に 近い(Kerr et al., 2006).スケールバーは3 µmである.(C)Rab5陽性のコント ロールとなるエンドソーム(左),およびマクロピノソームの候補となるエンド ソーム(右)において,SNX5 が陽性を示す割合を棒グラフで示した.エラー バーは標準誤差である.1回の実験で最低3つの細胞を解析し,実験は3回繰 り返した.星印はt検定の結果を表している(**p < 0.01)

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図6.マクロピノソーム膜に存在するEGFP-ALS2の蛍光強度を補正するため

の画像解析方法

マクロピノソーム近傍の細胞質に存在する,EGFP-ALS2(c)および

ERed-NES(d)のシグナルは2つの同心円からなるリング状の領域の蛍光強度の 平均値とした.内側の円は位相差像から判断したマクロピノソームの縁を示す.

外側の円は,経験則から,そこから450 nm半径を広げたものとした.その後,

マクロピノソーム近傍の細胞質におけるEGFPとERedの比を計算した.マク ロピノソーム近傍領域における細胞質のEGFP-ALS2の相当のシグナル(e)を

ERed-NESのシグナルを細胞質のEGFP/ERedで補正することで算出した.補

正したマクロピノソーム膜上のEGFP-ALS2のシグナルは,推測したマクロピ ノソーム領域の細胞質EGFP-ALS2シグナル(e)をEGFP-ALS2の生画像(b)から 差し引くことで求めた.

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図7.”継続評価指数”の求め方

(1)(規格化)それぞれのマクロピノソームイベントのサンプルにおいて,ラ ッフルクロージャーのタイミングをタイムゼロとし,それから3フレーム前ま でのマクロピノソームでのEFP-ALS2の平均輝度(左の図の灰色で示した領域)

を0とし,ピークの輝度を1とした.サンプルには補正済みEGFP-ALS2画像 を用いた.(2)(継続時間基準の推定)それぞれのコントロールのサンプルに おいて,タイムゼロからピークまでの時間を算出した(左の図に赤い線で示し た).これらの時間の平均値を”継続評価基準”とした.(3)それぞれのサンプル において,(2)で求めた”継続評価基準”の3倍の時間(右の図に青い線で示し た)までの蛍光強度の積分値(右の図のピンク色の領域)を”継続評価指数”とし た.

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図8.マクロピノソームでのRab5の活性化とリクルートメントは同時におこる

Raichu-Rab5kxおよび mRFP-Rab5 を発現した COS-7細胞を1時間の血清飢 餓状態に置き,EGFで刺激した.画像は2分ごとに2時間取得した.(A)あるマ クロピノソームについて4つのタイムラプス画像(上から順に,位相差像,

Raichu-Rab5kxのCFP蛍光強度画像,Intensity-modulated display(IMD)で表 示した Raich-Rab5kx の FRET/CFP 比の画像,mRFP-Rab5 の蛍光強度画像) を並べた.IMD 画像では,赤から青の 8 段階の FRET/CFP比と,各色の輝度 でFRET画像と CFP画像の蛍光強度の平均値を示している.FRET/CFP 比の 上限値と下限値を右側に記した.マクロピノソームのカップクロージャーの時 点を0分とした.スケールバーは 3 µm.(B) FRET/CFP比(緑色)と mRFP-Rab5 の蛍光強度(赤色)との時間変化をについて2例(実線と破線で1例ずつ)を示し た. (C)マクロピノソームでのRab5活性(緑)とRab5局在(赤)の立ち上が り時間の分布を示した.

参照

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