放射線生物研究
Radiation Biology Research Communications 48(3), 280-296, 2013
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<総 説> Review
温熱ストレスに応答する遺伝子と遺伝子ネットワーク
富山大学・生命科学先端研究センター・遺伝子実験施設
1、 大学院医薬学研究部・放射線基礎医学
2田渕圭章
1*(2013年
4
月8
日掲載決定)、苅谷文子
2、近藤 隆
2Genes and gene networks responsive to heat stress
1
Division of Molecular Genetics Research, Life Science Research Center,
2
Department of Radiological Sciences, Graduate School of Medicine and Pharmaceutical Sciences, University of Toyama
Yoshiaki Tabuchi
1*, Ayako Kariya
2, Takashi Kondo
2(Accepted for publication 8 April 2013)
がん温熱療法(ハイパーサーミア:HT)は有効ながん治療法であり、放射線療法や化学療法との併 用によってより高い治療効果が得られる。がん細胞に
42.5˚C 以上の HT
を負荷すると温度の上昇に 従って細胞死が誘導される。一方、42.5˚C 以下のマイルドHT(MHT)では細胞死は誘導されないか、
されてもごく僅かである。この
42.5
˚C の境界温度は、がん細胞死におけるアレニウスプロット上 のHT
の変曲点と呼ばれている。予想通り、ヒトリンパ腫細胞株U937
やヒト口腔扁平上皮細胞がん 細胞株 HSC-3に44˚C の HT
を暴露した時、有意な細胞死の誘導が観察された。しかしながら、この 様な細胞死はMHT
の負荷では認められなかった。温熱ストレスのシグナル伝達系は複雑なので、細 胞の温熱ストレス応答の詳細な分子メカニズムの解明はHT
研究の大きな課題となっている。我々 は、温熱ストレス応答を解明する最も強力な手法は網羅的なマイクロアレイとバイオインフォマテ ィクス解析であると考えた。本総説では、U937 と HSC-3 細胞の細胞死が誘導または誘導されない 条件下において、これらの手法を用いて得られた細胞の温熱ストレス応答の遺伝子発現プロファイ ルおよび生物学的な機能や遺伝子ネットワークについて考察する。*