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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

気相化学析出法による炭化水素からのダイヤモンド 合成に関する研究

松本, 精一郎

https://doi.org/10.11501/3070082

出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

ラ気木目イ七竺学丘三千斤丘三主去による左建イ七ヱfく妻黛ヌう、らCT:J

ダイヤモンド壬き「反主とLニ厚司す一る石汗チE

私ミ オ又 米青 一一良広

(4)

自 そ欠

第l章 序論 ー一ー ー ーーーー -ー , ーー一ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー --ーーーー

1. 1 ダイヤモンドの特性および合成の意義

1.

2

ダイヤモンド合成に関する従来の研究 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ー ーーーーーーーー -

2

1.

3

本研究の目的 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ー ーーーーーー ーーーーーーーーー一ー ーーーーー--

3

1.

4

本研究の概要 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 一 ・ ーーーーーーー ー ー ーーーーーーーー ー ーー ーーー --

3

第2章 昇温脱離法によるダイヤモンドへの化学吸着の研究 ーーーーーーーーーーーー ー ー ー ー ーーー - 5

2.

1

緒言

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ー ーーーーー - - -

5

2. 2

昇温脱離法の原理と方法

2. 3

酸素の吸着 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ー一ーーーーーーー一ーーーーーーーーーーーーーーーーー一一 ーー ーーーーー

7 2. 4

水素および水の吸着 ーーーーーーーーー一ーーーーーーーーーーーーーーー 一 ーーーーー ー ーーーーーーーーー一 一 ー

11 2. 5

炭化水素の吸着 ーーー一ーー 句 ーーーーーーーー一ーーーーーーーーーー 『ーーーーーーーーーーーーーーーーー ー ー ーー

16 2. 6

要約 ーーーーー一ーーーーーーーーーーーーーーー一ーーーーーーーーーーー一ーーーー 『 ーーー ー ーーーーーーーーーーーー一ーー

18

第3章 熱フィラメント法による炭化水素からのダイヤモンド合成 ーーーーーーーー ・ ーー一 20

3.

1

緒言

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーー ー ーーーーーーーーー ーーーーーーー

20 3. 2

合成法 ーーー一ーーー一ーーーーー 一 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ー ーーーーーーーーーーーー ー 一 ーーーーー

20 3. 3

合成条件と析出状況 ーーーーーーーーーーーーーーーーー一ーーーーーーーーーーーーーーー一ーーーーーーーーーー

21 3. 4

析出ダイヤモンドの形態 - ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・ ーーーー一ーーーーーーーーーーーーーー

27 3. 5

析出ダイヤモンドの性質 ーーーーーーーーーーーーーーーー ー ーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーー

32 3. 6

ダイヤモンドの析出過程の考察 ーーー一ーーーーーーーーーー 一 ーーーーーー 一 ーーーーーーーーーーーー

33 3. 7

要約 ーーーーーーーーーーーーーーーーー一ーーー一 - --ーーーー一ーーーーーーーーー一ーーーーーー 一 一ーーー一ーーーーーー

38

第4章 非平衡プラズマを用いるダイヤモンド合成 ーーーーーーーーーー ー 一 ーーーーーー ーーーーーーーー 39

4

4 2 4 4 4

緒言 合成法

2 . 2 2 2 . 3

39

39

高周波放電法 ーーーー ー 一 ーー ' ーーーー一ーーーーーーーーーーーー - - - - ー ーーーーーーーーーーーーー

39

マイクロ波放電法 ーーーーー一ーーーー ー ーーーーーーーー一ーーーーー一ーーーーーーー一ーー ーーーー

40

化学輸送法

(C V T)

ーーーーーーーーーーーー 'ーーーーーーーーー ‘ ーーーー一ーーーーーーー -

43

4. 3

合成条件と析出状況 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 一ーーーーーーー一ーーー一ーー

45

4. 3.

1 高周波放電法 -ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーー一ー一ーーーーーーー - - - -ーーーーー

45

4. 3. 2

マイクロ波放電法 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー一ーーーー

48

4. 3. 3

化学輸送法 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

53

4. 4

ダイヤモンドの析出過程に関する考察 ーーーーーーーーーーーーーーーーー - - - -- - -ー ーーー

54

4. 5

要約 ー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ー ーーーー一ー ー ーーーーーーーー ーー 『 ーーーーーーーーーー一 ーーーーーーーー

57

(5)

第5章 熱プラズマ (平衡プラズマ)を用いるダイヤモンド合成 ーー ー ーーーーー ー ーーーー ー 58

5.

1 緒言 ー ー ーー ー ー ー ーー ーー ー ー ーー ー ーーーー ー ー ーー ー ーー ー'ー ー ー一ーーーー也 ー ーー 58

5.

2 合成法 ー ーーーー ーー ー ー ー ー ー ー ー ーー ー ー ーー ー ーー ーー ー ー ー ーー ー ー ー ーー ー ー ーーーーーーー

58 5.

2. 1 高周波誘導フラズマ

(

r f熱プラズマ) 法 ー ー ーーーーーーーーーーーー

58 5.

2. 2 直流フラズマジェット ( d cジェット) 法 ーーー ーー ーー ー ーーーー ー ー ー ー ー

60

5. 3

合成条件と析出ダイヤモンドの性状 ーーー - -- ーーーーー ー ー ー ー ー ーー ー ー ー ーー ーーーーーーー

62 5. 3.

1 高周波誘導フラズマ法 ー ーーーー ー ー ー ー ー ー ーーー ー ー ーーー ーー ー ーーーー ー 一 ー ー ー ーーーーー

62 5. 3.

2 直流フラズマジェット法 ー ーー ー ーーーーーー ー ーー ーーー ー巴 ーーーー ー ー ー ーーー 『 ー ー ー ー 一

64

5. 3. 3

直流フラズマジェットCVDを用いる基板駆動下での成膜 ーーー ー 69

5. 3.

4 直流フラズマジェットCVDにおける基板バイアス効果 ー ーー 一ーー

73

5.

4 ダイヤモンドの析出過程に関する考察 ーー ーーーーー ーー ー ー' ーーーー ーーー ー ー ーーーー

80 5. 5 要約

ーーーー ー ー ーーーーーー ー ー ー 一ーー ー ー - ー ー ーー ー ー ー ー ー ー ーーーーー ー ー ー ー ー ー ー ー ーーー ーーーー ー ーーーーー

8 2

第6章 総括 ーーーーーーー ー ー ーー ー ー ーー ー ー ー ーー ー ー ー ー ー ー ー ーー ー ー ーー ーー ー ー ー ー ー ーー ー ー帯 ー ー ー ーー ー ー ーーーーー ー ー ー 83

参考文献 ーー ー ーー ーーーーー ー ー ーーーー ー ー ー ーー ー ー ーー ー ー ー ーーー ー ー ーーーーー ーーーー ーーー ー ーー ー ー ー ーーーー ー ーー ーー ー

86

11

(6)

第l章 序 論

1. 1 ダイヤモンドの特性および合成の意義

ダイヤモンドは固体炭素の高圧安定相であり、 常圧では黒鉛が安定相である。 黒鉛は炭 素原子がSp2 結合でつながった縮合多環の重なった層状化合物であるのに対し、 ダイヤモ ンドはSp3 混成軌道により三次元的に結合してできた巨大分子である。 c-c問の結合は 共有結合で強固であり、 また四面体結合で三次元的に対称的であるため、 次のような特異 な性質を持っている1 - 1 )。

ダイヤモンドは地球上の物質で最も硬い。 ヌープ硬度は9000kg/mm2 であり、 これは窒化 ホウ素の4500kg/mm2 、 炭化珪素の2190kg/mm2 をはるかに引き離している。 強固な共有結 合は弾性率、 圧縮率についてもそれぞれ物質中で最大値、 最小値を与えている。 すなわち、

体積弾性率はK=5.42xl012dyns/cm2 、 圧縮率は1. 7xlO-7cm/kgで、 二位のタングステンは

それぞれK=2.99xl012dyns/cm2、 3.3xlO-7cm2/kgである。 強い共有結合は、 高い熱伝導率、

小さな熱膨張係数にも反映されている。 室温での熱伝導率は最も純粋なI I a型結晶で26wat­

ts/deg'cmで物質中最大であり、 銅の約6倍である。 また熱膨張係数は200CでO.8xlO-6で溶 融シリカのO.4xlO-6、 メートル原器の材料である不変鍋のO.9xlO-6と同程度である。

ダイヤモンドは光学的には広い波長範囲に渡って透明である。 すなわちIIa型の場合、 赤 外域の一部(5'"'-' 6μm)を除き、 250nm"-'25μmで吸収を示さない。 電気的には良い絶縁体で、

純粋な場合には比抵抗はl016ohm.cmのオーダーであるが、 ホウ素のドーピングによって半 導体にもなりうる。 常温では化学的にも安定で全ての酸、 アルカリに侵されない。

ダイヤモンドは以上のような優れた諸特性を持つ物質であるが、 宝石以外の材料として の応用は、 その硬さ等の機械的性質を利用した研磨剤、 切削工具等にほとんど限られてい る。 これはダイヤモンドの加工の難しさ、 および従来までの合成法が高圧法に限られてい たため、 任意の形状のものを作ることが難しかったためである。

従ってもしダイヤモンドが常圧程度の低圧で合成できることになれば、 研磨剤、 切削工 具のみならず、 上記の諸特性を利用した用途が拓かれると思われる。 特に薄膜状で作成で きることになれば、 耐摩耗コーティング、 光学材料、 電子材料および半導体材料等の機能 材料としての応用が飛躍的に増大するものと思われる。

さらにダイヤモンドの低圧合成は、 熱力学的にはより安定な相がある条件での準安定相 の合成の一つの代表例として、 その合成法の確立、 反応機構の追求は学問的にも重要な課

題である。

(7)

1.

2

ダイヤモンドの合成に関する従来までの研究

従来までのダイヤモンド合成は、 1954年G. E.社で初めて成功して以来1 - 2)、 ほとんどそ の安定領域である高圧下で行われてきた。 すなわち、 高圧フレスを用いる静的方法と爆薬 による衝撃圧縮を用いる動的方法である1

-

3 )。 前者は約5万気圧、 16000Cの高温 ・ 高圧に おいて溶融金属中に炭素をとかし、 析出させる金属溶媒(触媒)法であり、 現在研磨剤と して用いられているダイヤモンドの大部分はこの方法で作られている。 この方法によるダ イヤモンドの粒径は20"-'30μmから数mmであるが、 試験的には数mmの大きさの宝石用に使え る良質のものまで作られている。

衝撃圧法では得られるダイヤモンドはlμm以下の微粒の凝集した粉末であり、 研磨剤に 使われている。 結晶の完全性は静圧法によるものよりかなり悪い。 以上のように高圧合成 によるダイヤモンドは実用的に広く用いられているため、 発表された研究報文も、 合成法、

反応機構その他に関し多数に上っている。

一方、 ダイヤモンドを常圧以下の準安定領域で合成しようという試みも、 既に1950年代 半ばから始まっていた1 - 4.5.6)。 その方法は大きく分けて二つあり、 一つは気相化学析出 法(CV 0)であり、 他はイオンビームを用いる方法に代表される物理的気相析出法(

p

V 0)である。 CVD法は炭化水素ガス等の気相熱分解により固体炭素を析出させるもの であるが、 常圧下の通常の熱分解では黒鉛状ないし無定形炭素と呼ばれる主としてSp2 結 合による炭素が析出するので、 ダイヤモンドを種結品としてその上に炭素を析出させるこ とによりダイヤモンドを成長させようというものであった。 これは黒鉛状炭素の結品核の 発生よりは、 既に存在するダイヤモンド結晶上へのダイヤモンドの成長の方が活性化エネ ルギーが少ないであろうという結品成長の理論でよく知られている考えによっていた。 具 体的な方法としては"-'1 Torrの圧力下、 粉末ダイヤモンド上でメタン等の炭化水素を約 10000Cで熱分解し、 結晶成長させるものであるい5)。 粉末ダイヤモンドを用いるのは、 こ の方法では、 析出速度が遅く

(

,,-, 1 μm/day)、 表面積を増加させるためである。 この方法 の問題点は、 ①析出時間が長くなるにつれ黒鉛質炭素の成長が優勢となるため、 析出途中 で酸素や水素によるクリーニングが必要であり、 ②また、 粉末ダイヤモンド上への析出で あるため生成物の評価が難しく、 X線や電子線回折法による決定的な証拠が示せないこと である。

一方、 イオンビームを用いる方法は、 1972年AisenbergとChabotにより始められた。 彼ら は炭素電極聞のアーク放電による炭素イオンを数10eVに加速し、 "-'10-6Torrの真空下でシ リコンやガラス等の下地に衝突させ、 これらの異種物質上に透明で硬い炭素膜を得ること に成功したい7 )。 この膜はその色調、 硬さ、 電気絶縁性から黒鉛質でなく、 ダイヤモンド

円ノ臼

(8)

状とされるが、 電子線回折法等によるダイヤモンド構造の証拠は示されなかった。 またイ オンビーム法と関連して、 電場により加速されたイオンを用いる方法として、 炭化水素の グロー放電分解による炭素膜の作成が1970年代後半より活発化したト8,9,10)。 この方法で も硬くて平滑な炭素膜が得られるが、 やはり回折法による構造解析では非品質であったり、

ダイヤモンド構造以外の反射を与える回折像を示すなど、 ダイヤモンドが得られたという 確証を示すまでには至っていなかった。

ところが最近になって(1981年) 、 炭化水素からのCVDにおいて過剰の水素原子を用 いることにより、 自形を示すダイヤモンド微結晶を得ることが可能であることが、 ソ連の グループにより発表されたが1 -1 I )、 具体的な合成方法は示されなかった。

1. 3 本研究の目的

本研究は、 炭化水素からの気相化学析出法(C V D)による結品性のダイヤモンドの合 成法を開発し、 その特徴を明らかにすることを目的とする。

著者は、 l気庄以下の熱力学的に安定でない条件下でも、 動力学的(速度論的)コント ロールによりダイヤモンド合成が可能であろうという考えのもとに、 異種元素の化学吸着 によるダイヤモンド表面の安定性、 反応性のコントロールの可能性、 炭化水素ガスの熱分 解によるダイヤモンド上へのダイヤモンド生成の可能性を検討してきたが、 上記ソ連のグ ループの報告を勘案し、 合成条件に非平衡性を積極的に導入する方法による、 結晶性の良 いダイヤモンドの気相合成法の開発を試みた。 ここで、 非平衡性の導入とは、 具体的には、

ダイヤモンドの成長の行われる場所(基板上)での熱力学条件(温度、 圧力)できまる平 衡組成以上に気相中の活性種の濃度を上げることであり、 本研究の目的はその方法を確立 することである。 また、 合成されたダイヤモンドの評価を行い、 これからも、 この合成法 の特徴を明らかにする。

1. 4 本研究の概要

第l章において、 ダイヤモンドの特性と合成の意義、 合成法に関する従来の研究の概要、

本研究の目的と概要を述べた。

第2章においては、 ダイヤモンド粉末表面上への酸素および水素の化学吸着およびその 熱安定性について調べ、 CVDによるダイヤモンド合成の析出に必要な条件についての基 礎的知見を得た。

第3章においては、 加熱フィラメントを用いる気相活性化CVD法を開発し、 種々の基 板上でダイヤモンド合成を行い、 合成条件と生成状態の関連性を明らかにした。 第4章で

円《U

(9)

は、 非平衡プラズマ、 すなわち高周波放電およびマイクロ波放電を用いて気相成分の活性 化を行い、 ダイヤモンド合成を行う方法を開発した。 第5章では、 熱プラズマの高プラズ マ密度、 高活性種密度に注目し、 直流プラズマジェットおよび高周波誘導熱プラズマを用 いるダイヤモンドの高速合成法を開発した。 またこれらの種々の気相法により合成された

ダイヤモンドの形態、 構造、 物性を天然ダイヤモンドや高圧合成ダイヤモンドと比較し、

その特徴を明らかにした。

第6章において、 本研究の成果とこれらの気相活性化CVD法によるダイヤモンド合成 法の特徴を総括し、 その問題点および今後の研究すべき方向についてまとめた。

-4-

(10)

第 2章 昇温脱離法によるダイヤモンドの化学吸着の研究

2. 1 緒言

ダイヤモンドは炭素原子がSp3結合で三次元的につながった巨大分子である。 従って内部 に欠陥の無い完全結晶であっても、 その表面ではダングリングボンドが残ることになる。

このダングリングボンドによる高いエネルギー状態を緩和するには、 表面層の原子配列が 変形するか(reconstruction)、 異種原子が表面に結合する必要がある。 例えば、

{ 1 1 1 }

表面では、 reconstructionでは黒鉛になりやすい構造に変形すると考えられるのに対し

2 -1 )、 水素原子が結合すれば、 表面炭素原子はその位置を変えることなく、 またSp3結合

を保ったまま安定化することが出来ると考えられる。 このように異種原子との表面での結 合(表面化合物)の存在はダイヤモンドの表面安定性と密接に関係している。 また、 ダイ ヤモンドの成長のためには、 これらの表面異種原子との結合が切れて新しいc-c結合が できる必要があることからわかるように、 異種原子の存在は表面反応性にも直接関係して いる。 一方、 ダイヤモンドのCVDでは、 原料ガスは炭素の水素や酸素との化合物であり (炭化水素、 含酸素有機化合物、 一酸化炭素等)、 反応の行われる場では必然的にこれら の異種原子が存在することになり、 原料ガスの反応性を通じてのみならず、 ダイヤモンド 表面にも結合し、 上記のように安定性と反応性を通じて重要な役割をすると考えられる。

従ってこれら異種原子のダイヤモンド上での吸着状態、 熱安定性を調べることは、 気相合 成の基礎資料として重要である。

ダイヤモンドの表面化合物の研究は、 気体の吸着を気相の圧力変化, 試料の重量変化に より測定する方法、 化学反応を用いる方法あるいはIR, ESR, 電子分光等の方法によ り研究されてきているが、 昇温脱離法は表面化合物の吸着量、 熱安定性(脱離エネルギー) について、 比較的簡便でしかも重要な情報を提供する。 ここではこの方法で、 粉末ダイヤ モンド上の酸素および水素の表面吸着について調べた。 種々の面方位の単結晶表面につい てフラッシュ脱離法により吸着状態を調べる方がより理想的であるが、 ここでは装置、 実

験の容易さにより粉末試料を用いた。

2. 2

昇温脱離法の原理と方法

( 1

)原理

昇温脱離法は試料を真空装置内に置き、 昇温加熱などの方法により、 清浄表面を作った 後、 ガスを導入して一定時間吸着させた後、 再び高真空にして、 試料を一定速度で昇温し、

脱離したガスによる圧力上昇を真空計あるいは質量分析計で検出し、 試料温度の関数とし

Fhu

(11)

て記録し、 昇温脱離スペクトル(T

0

S)を得るものである。 このスペクトルの解析から、

吸着状態の種類、 それぞれの状態の吸着量、 脱離エネルギー、 脱離の次数等を得るもので ある。 すなわち、 脱離を吸着分子間のX L次反応とすれば、 脱離速度は

-dNj/dT=νjNjXje xp (-Ej/RT)

と表せる。 ここで、 Njは吸着している分子の数、 νiは速度定数、 Xjは反応次数、 Eiは 脱離の活性化エネルギー(吸着の活性化エネルギー+吸着熱)、 Tは試料温度である。 ま た、 iはi番目の吸着状態であることを示す。 Tの昇温速度(T(t) =Tø +Ct)を 変化させスペクトルの変化を見るここと等により、 上記の解析がなされる2-2)。

( 2

)方法2-4)

本実験で用いた装置の模式図をFig.2-1に 示す。 図において、 石英管(C )中の試料皿

(A)中におかれたダイヤモンド粉末(10-20 mg)は、 G, Kを通して油拡散ポンプおよび 油回転ポンプにより高真空(4-5xlO・7 Tor r)に 排気後、 電気炉(

0

)にて一定温度まで昇温 加熱し、 もともと吸着していたガスを脱離後、

メインバルブ(M)を閉じ、 ガス溜め(

I

) ニ一ドルバルブ(J )から吸着させるガスを 流し、 またしからポンプで排気しながら、 こ のガスと一定圧、 一定温度で一定時間接触さ せる。 室温まで急冷後、 バルブJを閉じ残留 ガスを排気後、 バルブNを閉じ、 Mを開けて

Fig. 2-1. Schemat ic diagram of the thermal desorption a pparatus. A:sample holder. B:thermo­

cou ple. C:silica mantle, O:furna ce, E,F:ion gauge, G:ma ss analyzer head, H:Pirani gauge,

I:ga s reservo ir, J:needle valve. K,L:to pump,

H,N:valve.

から再び電気炉で昇温加熱し、 脱離するガスを質量分析計(G, 日本真空間SQ-500 )にて 分析した。 本実験では吸着させるガスとして、 酸素、 水素、 水を用いた。 昇温は、 試料が 粉末 で熱伝導が悪いこと等を考慮し、 180C/minの低速で行った。 用いた電気炉は、 以下の

酸素の吸着実験では小型のカンタル炉で、 水素および炭化水素の吸着実験では赤外線集中 炉である。 また、 質量分析計はスキャンモードで使用し、 m/eが0"-'50を約30秒で反復し た。

次に脱離ガスの定量法について記す。 本実験では脱離ガスとしてCO, CO2, H2,

H20 が主として観測されたが、 後三者についてはそれぞれm/e

=44,

2, 18のピーク高 さを用いた。 COについては、 CO2 のフラグメン卜分を差し引し\たm/e = 28のピーク 高さを用いた。 脱離量は、 各ガスの脱離スペクトルの面積にS/sを掛けることにより求

nhu

(12)

めた。 ここに、 S、 sはそれぞれ各ガスに対する排気速度および質量分析計の感度である。

質量分析計の感度は測定日毎にいくらか異なるので、 各実験の後に分析したガスと同じ種 類の標準ガスを用いて、 電離真空計(日本真空GI-TL2)に対して補正した。 さらに各ガス に対する、 電離真空計の感度s'および排気速度SはS/ s'のかたちで、 メスピペットで 測った一定量の標準ガスを昇温脱離時と同じ圧力になるように導入することにより求めた。

標準ガスには混合ガスは用いていないので、 数種のガスが同時に脱離する時には加成性が 仮定されている。 定量後の精度は、 CO, CO2, H2に対してそれぞれ、 10, 15, 15%以 下と評価された。 しかし、 H20 に対しては器壁への吸着が大きいので15%以上である。

用いた試料は市販の 0-0.5μmサイズの天然ダイヤモンド粉末である。 不純物を除くため フッ化水素酸、 続いて塩酸で洗い、 水洗後乾燥したものを用いた。 DCアークによる発光 分光分析により検知された不純物は、 0.2%S i, 0.01-0.02%B, 0.001-0.01%A 1, 0.3-0

.6ppmMg, 1-5ppmCr, 1-3ppmFe, 0.005-0.01%Snおよび痕跡量のT iとP tであっ

た。 真空中10000C、 l時間加熱後のBET表面積は 30ヰ2m2/gであった。

2.

3

酸素の吸着2-3)

( 1 )吸着および昇温脱離実験

酸素の吸着実験は上述のように真空中10000C、 1 時間脱ガス後、 一定温度まで冷却後、

1 0 -2Torrの酸素気流中に1時間保つことにより行った。 1 0 -2Torrの低圧を選んだ理由

は、 高い圧力では酸素との反応、 気化によりダイヤモンドの重量減があるからである。 処 理は室温から5500Cまでの問で温度を変えて行った。 6000C以上での処理は試料の表面黒鉛 化が起こるので行っていない。 酸素処理後室温まで急冷後、 180C/minの速度で昇温脱離の 実験を行った。

Fig.2-2, 2-3は種々の温度で酸素処理した試料の脱離スペクトル(T D S)である。 吸 着酸素はCOおよびCO2 として脱離し、

O2

としての脱離は見られなかった。 この実験 では脱離速度より排気速度Sが大、 すなわち d p/d t<< (S/v) pであるから2- 2 )、 これらのスペクトルは微分形とみなすことができる。 ここで、 pは脱離室の圧力、 v

はその容積である。 Fig.2-4はFig.2-2, 2-3より計算したCO+C 02の量すなわち酸素 の全脱離量のスペクトルである。 この図から酸素の脱離スペクトルは大きく分けて二つの ピーク(約5000Cと8000C)をもつことがわかる。 これに相当する吸着状態をそれぞれ、 α,

F状態と呼ぶことにする。 2 5 oC処理の試料のスペクトルは低温からのブロードなスペク トルであるが、 処理温度が高くなるにつれ ピークの形が変化していく。 α状態は大きく 四つに、 すなわち4000C以下、 約4750C、 5300C、 6000Cにピークを持つと考えられる。 これ

一7-

(13)

24

6

8 LO\山一oE?O一.20」COニEogo

1

1

\2 、、、、、

(d) 4020 C

(c) 3020C

16

12

ハ〉

A『

z・0\20Ero--UFO』co--eorvo

:1

8

4

9

F i 9 . 2 -3. TDS of d i aroond powders oxygen-trea ted at h i gher tempera tures. Curve 1: CO, 2: CO 2・

Oxygen-treating temperatures are in the figure.

6 5 4

(b) 2030 C

4

,Jーヘ、 2

4 6 8

Temp, x 1000 C 包止

Fig. 2-2. Thermal desorption spectra

(

TDS

)

of diamond powders oxygen-treated at different temperatures under 1.3Pa O2・ Curve 1: CO, 2: C07 Oxygen-treating temperatures are shown in t店e figure.

2

48

pb

4

内4

3

2

1 z・0\E20070一.uE」COニ己」O凶山口

Fig. 2-4. Desorption spectra of total oxygen

(

CO+C02

)

calculated from the curves in Figs. 2- 2,3. The symbols of the curves corresponds to those shown in Figs. 2-2,3.

no

(14)

らをそれぞれα1、 α2、 α3、 α4と区別することにする。 酸素処理温度4000Cまではα2、

α3状態が増加するが、 5000Cではα4 が増加し、 5540Cではαが減少し、 Pがわずかに増加 している。 またこれらの脱離スペクトルは、 脱離が始まる温度が処理温度近くまで上がっ ているのが特徴的である。

これらのスペクトルより脱離したCO, CO2 の量および全酸素量を計算し、 Table 2- l にまとめた。 表より、 処理温度4200Cで酸素の吸着量は最高となり、 それ以上の温度では 減少するが、 5000C処理後徐冷( 50C/分)すれば4200Cと同じ最高量が得られること(

Run H)がわかる。 但し、 4500C以下の処理温度のものは徐冷によっても吸着量は増えない。

これらのことは4500C以上では吸着処理中も脱離が頻繁に起ってきていることを示唆してい る。 この吸着量の酸素処理温度依存性は、 SappokとBoehmが酸素処理後9000Cまでの脱ガス を容量法により求めた場合の温度依存性2-4)と一致している。 また4200Cでの吸着量608

μgatom/gはBETの表面積を用いれば、 1.22xl015atom/cm2に相当し、 彼らの実験値1. 08 xl015atom/cm2とも、 またBansalらが結品面の現れかたの頻度とダングリングポンドの数を 仮定して計算した完全被覆の値1.03xlOl5atom/cm2とも2-5)ほぽ一致している。

��ble 2-1. Amount of desorbed CO and CO2 from oxygen-treated diamond powders

Oxidation conditiona) CO CO2 Total oxygen Run

Atmosphere Temperature(OC) (μm01/g) (μm01/g) ()..1gatom/g)

A - 2

25 120 35 189

10 -Torr O2

B 110 165 48 261

C 203 205 63 331

D 302 250 87 424

E 402 286 159 604

F 420 323 143 608

G 500 399 51 501

H 505 462 74 609

554 326 26 377

J 760 Torr O2 23 200 63 326

(a) The oxidation duration was 1 hr. For H, the treatment was followed by gradual decrease of temperature down to 2300C at a rate of 50C/min.

QU

(15)

( 2

)考察

次に各吸着状態の構造について考察するが、

その前に一定温度で吸着量を変化させたとき の脱離スペクトルの変化を示す。 Fig.2-5は 室温で酸素吸着後の脱離の全圧のスペクトル (電離真空計の読み)であるが、 吸着量は全 ての吸着状態でほぼ一様に増加しており、 吸 着量の増加により新しい吸着状態が現れるこ とは無いと言える。 従って各吸着状態は各々 に好都合なサイトを持っている可能性が大き いと言えるであろう。

うι」0ト岨to--ω』コ同凶由也

-O n

5rn川

2 4 6

Temp I X 1000 C 8

Fig. 2-5. TDS of diamond powders subjected to different内oxygen exposure at room temperature.

a:1.3xlO-l.pa,8min, b:1.3xIO-Lpa,lhr, c:1.3Pa.

lhr, d:latm,lhr.

α1 状態は低温から広い温度範囲で脱離す ること、 高い温度での酸素処理では無くなる こと、 しかじそれらの600QCまでの脱ガス後の

室温での酸素吸着で再び現れることから、 この状態は脱ガスにより表面上に無秩序にでき たバルクと少ないボンド数で結合したいわゆる"isolated"2-4lもしくは"labile"2-6lな炭

素原子によるものと推定される。 このような炭素原子はより高温の酸素処理によって簡単 に取れ易いと考えられるが、 SappokとBoehm は、 脱ガスしたダイヤモンドを酸素と接触さ せれば2 5 ocでもC O2ができることを観察している2-4)0 230C酸素処理での吸着量が少 ない理由については二つのことが考えられる。 一つは次の水素吸着実験の項で記すように、

10 OOoC

1時間の脱ガス処理では表面の一部がダイヤモンドから別の構造へ変化している 可能性があるためであり、 もう一つは上記のようなlabileな炭素原子が無秩序にある可能 性のためか, あるいは低温のため、 規則的な配列の酸素吸着が起こらず、 表面白由原子価 を全て覆うほど充分な量が付きにくいと考えられるからである。

α2"-'α4状態はより高温の酸素処理で増加し、 特に400"-'4 200Cの処理では表面白白原子 価が完全に飽和する程吸着していると考えられる。 この場合、 α1 状態の酸素は無くなっ ており、 酸素処理によってガス化されたかα2'"'-'α4状態へ変化したと考えられる。 すなわ ちα2'-"_'α4状態は高温酸素処理により、 効率よく安定位置に酸素が並べられることにより 得られると考えられる。 α2'-"_'α4状態に充分に酸素を吸着したダイヤモンドは、

1

R吸収 スペクトルで1800と1280cm-1にはっきりとした吸収を示し、 カーボニルとエーテル構造を

れらの吸収は見られなかった。

含むものといえる。 これに対し、 室温酸素吸着の試料は通常の波長分散型の分光器ではこ

-10-

(16)

α2"""__α4のうち、 α2はCO2を脱離しやすい構造になっていると考えられる。 黒鉛の場 合はこのような多量のCO2の脱離は見られなし\2-6・7)0 CO2がダイヤモンド表面より脱 離したCO同志の、 あるいはCOと表面吸着酸素の反応により生成した可能性も考えられ るが、 4020Cや4200Cで酸素処理した試料では大きなCO2の脱離が見られ、 また4200C以下 の処理ではCOとCO2の量比の大きな変化にもかかわらず、 CO2脱離ののピーク位置が 変化していないことから、 CO2は直接ダイヤモンド表面から脱離したと考えられる。

3状態は量は少ないが全ての酸素処理温度の試料に表れており、 酸素吸着に非常に好都 合なサイトによるものと思われるが、 現在はその詳細は不明である。

2.

4

水素および水の吸着2-8,9)

ダイヤモンド上の水素吸着の研究は、 水素原子の大きさが小さくまた原子価がlと最小 であることから、 ダイヤモンドの表面状惣についての重要な情報を与えるものと思われる。

ダイヤモンドの水素吸着実験は、 酸素の場合と同じ粉末試料を用い、 同様に真空中で一 定温度まで加熱脱ガス後、 水素ガスと接触させることにより行った。 酸素と異なり、 水素 ガスの吸着には4000C以上の温度が必要であった。 また吸着水素は水素分子として脱離し、

炭化水素の脱離は検出限界以下であった。

( 1 )脱ガス混度の影響

水素吸着処理に先立つ脱ガスの温度により、 水素吸着量の変化が見られた。 Fig.2-6 は

180C/分で図中の一定温度まで昇温脱ガス後、 1 P aの水素ガスと7000Cにて1時間接触さ せた後のTDSであるが、 11750C以上の脱ガスでは水素吸着量の減少が見られる。 またそ の後の実験により、 990,..._. 1175

oCまでの脱ガス或は約9900C、 0.5時間以上の脱ガスでも水素

吸着量が減少していることが判明した2-9)。 従って以下の実験では11500Cまでと10000Cま での2種類の脱ガス試料についての実験が混ざっている。 脱ガス温度の影響は酸素吸着に も現れるが、 この場合はFig.2-7に示すように約12000C以上の脱ガスで吸着量の減少が見ら れた。

( 2 )水素処理

Fig.2-8 は11500C脱ガスの試料を3種の温度で水素処理した場合のTDSであるが、 水 素の吸着状態は2種(ピーク温度が約9000C(A)および10 50,..._. 1 1 0 0 oC (B) )あることが わかる。 また、 5100Cの処理では吸着量が少なく、 7100CではA, B共に存在し、 10000C処 理ではBがやや増加し、 Aは少なくなっていることがわかる。 これらの脱離した水素の量

( H

2)は、 比較のために行った酸素処理と次に述べる水の吸着の場合と共にTable2-2にま

とめたが、 最大で酸素(

0

)の最大吸着量600μgatom/gの約1/3、 215 μmol/gとなってい

-11-

(17)

Time /min

20 30 50

a 970・C

b 1100"

c 1 200 "

d 12 2 7 "

e 1255 "

10 40

4

今rL

」」O』岨'O一\む』コ帥品川aU」丘一o-。ト a 990・C

b 1150 "

c 1175 ・・

d 1265 11

c コ 4 4コ、回

、、N

、­o -C1I o ....

2 c o

-a.

」。 ν、

0' 800

Fig. 2-7. Effect of preceding outgassing temper­

ature on TDS of diamond powders oxidized at room temperature for 1hr in 1atm O2

600 400

ア;oC 200

120 0

Fig. 2-6. Effect o f preceding outgassing temper­

ature on TDS of d i aroond powders hydrogenated at 7000C in 1Pa H2. Outgassing was performed up to a temperature given in the figure.

1000 800

600 ア/OC

Timejmin 60

QO 40

b

‘. ・' 一 」u 40

8

4

J::

01

_ 0 O E 7012

\

、-

E 0

・ニ 8 Q.

0

・u

4 60

Time /min 40 20

1 Pa H2• I h 5100C 一ーア10"

_.-1000 11

8

6

4

2

z-TO--oETO一\TE

COニα」O凶むQ

Fig. 2-9. Thermal desorption of hydrogen from hydrogenated diaroond powders. (a)Outgassed up to 11500C then treated with 130Pa H" at 7000C for lhr. (b)Outgassed up to 11500C then treated with 440Pa H2 from 9800C to 7000C with temperature decreasing at a rate of 5 C/min. (c)Outgassed up to 7000C then treated with 220Pa H" at 7000C for lhr. (b)Outgassed up to 9800C theñ treated with 22Pa H2 from 9800C to 7000C with temperature decT‘easing at a rate of 5 C/min.

1000 700

T /oc 1000

olo.! 700 1000

Fig. 2-8. TDS of diaroond powders hydrogenated in 1Pa H2 for lhr. Desorption of CO is given only for the sample treated at 7100C.

500 TjOC

円ノL-1,ム

(18)

Table 2-2. Arnount of desorbed gases from diamond powders treated with O2, HZ and HZO (ドmol/g)

Desorbed gases(RT*-12000C) Run Treating conditions H2 CO CO2 H_O Tota1

2-(H2+CÔ�2CÔ2+2H20)

A bl k (ou tqa s sed u p)

13 5 ー合* 1.5 21

an K\t o í1500C

B 1 atm O2, RT*, 50 h 11 248 97 454

C 1 Pa O2, 430oC, 1 h 14 360 113 601

D 1 Pa H2' 510oC, 1 h 150 31 181

E 710oC, 1 h 202 13 215

F 1000oc, 1 h 153 10 163

G 2300 Pa H20, RT, 1 h 77 90 14 14*** 223 H 1 Pa H20, 4080C, 1 h 58 67 8 12 165

700oC, 1 h 87 57 13 170

*Room temperature; **negligible; ***after subtraction of the amount obtained without a sample.

る (Hは一価、 Oは二価として計算)。 一方、

Fig.2-9は11500C脱ガス, 7000C処理(a)、

11500C脱ガス, 980-700oC処理(b)、 7000C脱 ガス, 7000C水素処理(c)および9800C脱ガス,

980-700oC処理(d)のTDSであるが、 脱ガス 温度の低い方が水素吸着量は増加しているこ とがわかる。 a , b , c , dにおいて、 脱離し た水素の量はそれぞれ、 230, 265, 410,

355 μrnol/gで、あり、 低温脱ガスでは水素吸 着量が約2倍に増加している。

( 3 )水蒸気処理

Fig.2-10は11500C脱ガス後、 3種の温度で 水蒸気と接触させた試料のTDSである。 こ の図より、 水蒸気処理では主にH2とCOが、

少量のH20とC O2と共に脱離することがわ かる。 また水素処理と異なって室温でも水の 化学吸着があること、 その場合、 酸素はα4

C

H Z 、,・

I Pa

7000C 2

斗乙νク

O Z二

b I Pa 408・c

_'、 H Z

CO • _ ��:

._ :・ごー.

0' O E 2

-O一\

』O』

c

。2300Pa α4 内 A '. .J.・ ・ H2

正� � . .

CO B

... .

句ー品、-

-

-1 .._.

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Hヲo ;:.- .CO、 .�

y

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.._‘、、_-v 、,‘崎、ノ ・�‘--- ....-・、戸..."_.,,...- -_.. ノ~南... "þ"_�

A. "'.0 _I"-_";'

今,』

Fa」O同曲。

r. t.

問。 包.n

500 ア/・c

Fig. 2-10. TDS of diarrond powders treated with water vapor for 1hr.

-13-

(19)

とF状態に現れ、 水素はB状態に現れ、 酸素と水素の比はおよそ1: 2であることが理解され る。 しかし、 7000Cの高温処理では酸素が処理中に脱ガスすると思われ、 水素の比が増加し、

その増加分はA状態にあることがわかる。

( 4

)水素および酸素の混合処理

水素処理後吸着サイトが残っているかどうかを調べるため、 水素処理した試料をさらに 酸素処理してそのTDSをとった結果がFig.2-11である。 また水素と酸素の混合ガスで処 理した試料のTDSをFig.2-12に示す。 脱ガスはいずれも11500Cまで行っている。 Fig.2- 10において、 7000Cの水素処理後は室温では酸素の吸着はないが、 10000C処理のものはいく らか酸素吸着すること、 酸素処理温度を4100Cと高くすれば、 吸着水素が酸素と入れ替わっ ていくことがわかる。 Fig.2-12からは、 水素と酸素の1: 1の混合ガス処理では酸素の方が吸

着量ば多いが、 水素もB状簡に吸着すること、 100:1の混合ガス処理では酸素の吸着量が減 り、 水素はA状態にも吸着することがわかる。 両図から水素のA状態の吸着量の減少と共 に酸素の吸着が増えており、 それは高い温度で脱離する状態から先に吸着していることが 理解される。

8 A 8

五二 '0' 6

E

\ J主4

、ー c o a.

2

1000 5m,n

Fig. 2-11. TDS of hy drogen-treated and then oxygen-treated diamond powders. Dotted curves:

l Pa H2' 7000 c, l hr t he n l atfT10フ, r.t., 1hr;

solid curves: 1Pa H2, 10000C, 1hr �

then 1atm O2,

2 '

r.t., 1hr; chain curves: 1Pa Hっ, 7060C, 1hr then 1Pa O2, 4100C, 1hr. -

-14- 8

£こ

0'6

E

、、4

‘J

‘。 o c

2E、-

L 2 Q -u

500 ア/・c

Fig. 2-12. TDS of diamond powders treated with ixture of H') and 0') at 4100C for 1hr. Solid 2 u,'u v2 curves: O. 5Pa H勺+0.5Pa 02.v...' U v2 ' ・ dotted curves: 1Pa H2+0.01Pa O2

(20)

脱ガス処理によるラマンスペクトルの

( 5 )

変化

トルは黒鉛状炭素の生成に敏 ラマンスペク

脱ガス温度を変えた場合のダ 感であるので、

イヤモンド粉末試料の変化をラマンスペクト

h--A胴Eω』E一

Fig.2-13はその結果で 、

ルにより調べた。

7500Cから既に1600'-"" 1570cm-1の黒鉛状炭素に ダイヤモンドによる よる散乱が現れており、

ピーク('-""1333cm-1)に対する比が脱ガス温度 な の上昇と共に増加していることがわかる。

1300

Fig. 2-13. Raman spectra of diamond powders heated in vacuum up to various temperatures.

1500

Romon shift/cm-I 1700

9800Cまで脱ガス後水素処理した試料につ 図の トルを測定したが、

いてもラマンスペク お、

トルとの差は認められなかった。

スペク

( 6

)酸素と水素の吸着挙動の比較

1150

酸素および水素の吸着実験より明らかになったことをまとめると次のようになる。

( bの脱ガス条件とする) 後のダイ 0.5 時間以上の加熱脱ガス

℃まであるいは約1 OOOoC,

μmol/g

量約600

表面白由原子価を完全に覆うと考えられる水素(

H

2) ヤモンド粉末は、

は室温で50時

(0 :二価)

同じ表面に酸素

μmol/gしか吸着しないが、

の約1/3の水素200

μgatom/gを吸着する。

表面白由原子価を完全に覆うと考えられる量の約2/3の450 間後、

では水素の吸着量はその倍の約400 ( aの脱ガス条件とする)

9800Cまでの低温での脱ガス

では水素、

( cの脱ガス条件とする) さらに約12000C以上の脱ガス

μmol/gまで増加する。

B二つの状態があり、 それぞれ また水素の吸着状態にはA,

酸素共に吸着量が減少する。

トの数が減少する。

cの脱ガス条件ではBサイ 上記b,

トがあるようであるが、

独立のサイ

(約10000Cでの水素中加熱ではAサイトの これは700 ocまでの水素中加熱では回復しない

卜の減少はあるかもしれない Aサイ

bの脱ガス条件では、

一部がB状態に変化するが)

A状態に水素吸着量が少ない場合は水素に加えて酸素の吸着が可能である。

が、

これらの脱ガス後の吸着量の減少の理由として次の原因が考えられる。 ①表面reconstr

②表面黒鉛化、 であ uctlon 或はrearrangementにより表面原子の表面白白原子価が減少、

750 ocまでの脱ガスでも既に黒鉛化の兆候が Fig.2-13のラマンスペクトルによれば、

る。

脱離温度もダイヤモンドのそれとは異 水素吸着は量も少なく、

黒鉛の酸素,

みられるが、

bの脱ガス条件までは黒鉛化は表面の一部の領域で起こっているのみで、

吸着量の減 脱離スペクトルはダイヤモンド表面からのものであると考えられる。 しかし、

なっているので、

RU 16『企

(21)

少の原因としては、

①、 ②両方であると考えられる。

水素中加熱或は室温の酸素との接触 ではこれらの原因を除くことが出来ず吸着量は少ない。 この場合、 酸素の吸着量が水素よ り多い理由としては、 水素は一価のため炭素と結合しなければ化学吸着出来ないが、 酸素 は例えばc-o-o-cのように一価で結合することも可能であることが挙げられよう。 実際、

室温で酸素吸着した試料では1 Rスペクトルでカーボニルおよびエーテル結合は検出限界 以下であった。 表面reconstructionについては単結晶ダイヤモンドの( 100)及び( 1 1 1 ) 表面を使った実験でも認められているが2-1 ø . I 1 )、 水素分子中加熱でなく、 水素原子のあ る中での加熱では元の表面炭素が reconstructしていない表面に戻すことが可能であると 考えられている2-12)。 cの脱ガス条件での吸着量の減少には黒鉛化の影響が大きいようで ある。

酸素と水素の差について繰り返して述べると、 上記のように酸素は室温でも吸着可能で あるのに対し、 水素の吸着には加熱が必要で活性化エネルギーが大であり、 また水素に比 べて酸素は表面炭素を簡単にガス化できるので、 高温酸素処理では脱ガス温度の影響はな くなり、 表面白由原子価を飽和すると考えられるまで吸着させることができるものと恩わ れる。

2. 5 炭化水素の吸着

メタン、 エタン等の低分子の炭化水素は40 0 "-' 7 0 0 OC以上の加熱によってダイヤモンド表 面上に化学吸着が起こりうる。 このような高い温度ではさらに分解して炭素の析出へと進 むので、 炭化水素の化学吸着と炭素の析出反応は一体のものである。 実際、 ダイヤモンド CVDの研究は、 ダイヤモンド粉末上でメタン、 エタン等を、

0.1"-'数lOOTorr、

約lOOOOC に加熱分解することから始まった2-13)

本項では、 ダイヤモンドと炭化水素ガスと反応の起こる泡度、 反応によるダイヤモンド 表面の状態の変化等を理解する一助として、 昇混脱離の実験装置中でダイヤモンド粉末を メタン、 エタンガス中で加熱後、 重量増の測定と昇温脱離の実験を行った。 また炭素の析 出により粒子聞の接合が見られたので、 圧粉体に析出させることにより、 積極的に接合さ せる実験も行った。

Fig.2-14はO.04Torrのメタン中で7 mgのダイヤモンド粉末を1時間加熱した場合の重量

増を測った結果である2-1 4 ) 0 5 0 OoCでは最初に吸着していたガスの脱ガスがあるため重量

減となっており、 約9000C以上で純増となっている。 最高温側で重量増の飽和傾向がある のは、 粉末試料のため反応ガスの供給律速となっているためと思われる。 さらに後述する ように反応に関与する表面の減少も加わっているかもしれない。 反応後の粉末の電子顕微

円。噌'BA

(22)

0.8

〆ケ

/ 〆

0.6

rn 0.4

E EO.2

\ 4

1300 1100

Fig. 2-14. Weight gains of dialOClnd powders(7r珂) after heating in 5.4 Pa CH 4 at various tempera­

tures for 1hr.

900

T /oC

700 500

60 Time/mi円

1.5 40

Õ 1 て3トー

Cコ

\

"

"

ω _0.5 a 0

トー0

" r.、

f、! 1',

1" ./ .' i

〆I \ .1

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I """ I __,' '.'"

グ. ...i�三ダ

.....:/〆

/

/

1 :

I

〆 1 ,'

/

ムー..J.._._一./

Time /mi円 60 40 1.5 20

1

5

nv 』O」戸也10-\@』コ舗網@』色一口』O」F

F i g. 2 -16. T 0 S (t 0 t a 1 p r e s s u r e) 0 f d i a mo n d powders treated in 2.3Pa C2H6 for 1hr at various temperatures (1) and TDS of the same samp 1 es after exposing to 1atm O2 at r.m. for 1hr(2).

Dotted curves: 900 0 C; so 1 i d curves: 1000 oC;

chain curves: 11000C.

10 12

6 8

T /100'C 2 4

12

Fig. 2-15. TDS (t otal pressure) of dia mond powders treated in 2.3Pa C�Hc for 1hr at various 2 "6 temperatures. Dotted curve: 4000C; solid curve:

5000C; chain curve: 7000C; dashed curve: 10000C.

6 8 10 T /100・c 4

その構造ま 重量増の大きい試料では表面に薄い析出層が観察されたが、

鏡観察によれば、

では同定できなかった。

5 0 0

"-'

1 0 0 0 ocにて1時間加

Fig.2-15は7 mgのダイヤモンド粉末を0.03Torrのエタン中で

Fig.2-16は 反応室から取り出さずにそのまま 1 3000Cまで昇温脱離を行った場合の、

熱後、

(前述のように表面積減少

一旦昇温脱離した時と

同じくエタン中で900... 1 1 0 OoCに加熱後、

その脱離した試料をl気圧の酸素中に室温 グラフは全圧 で一時間放置後さらに昇温脱離を行った場合のTDSの結果である2- 1 5 ) 。

- 1 7-

を避けるため 1 1500Cまでしか行っていなし\ )、

(23)

電離真空計の読み)でしか表されていないが、 7000C以上の脱ガスはほとんどH2、 それ以 下の温度での脱ガスは CO及びC O2によるものである。 Fig.2-15中の試料の実験後の重 量増は50 0 ,

9

0 0, 1 0 0 0 oC反応のものそれぞれについてーO.8mg,+O.5mg,+1.8mgであった。 また エタン中40 0 "-' 7 0 0 oCに加熱した場合は、 昇温脱離の初期(4 0 0 "-' 7 0 0 oC )に微量のエチレン and/orアセチレンの脱離が見られた2-1 6)。 メタン処理の場合は炭化水素の脱離は検出さ れなかった。

これらの結果から次のことが考えられる。 炭化水素中での加熱により試料表面は水素で 覆われる。 しかし、 脱離量に換算していないので図からはわかりにくいが、 炭化水素処理 の場合は水素処理の場合と比べて水素の脱離量は減っている。 Fig.2-16中の酸素吸着後の 脱離量もFig.2-7 と比べるとわかるように減っているので、 この減少は吸着活性点の減少 によるものと推定される。 この原因としては、 ①黒鉛状炭素の析出、 ②炭素析出による酸 素、 水素の吸着に有効な表面積の減少、 ③同じく炭素析出による粉末粒子同志の接合によ る表面積の減少等が考えられる。 このうち②は、 粉末ダイヤモンドの粒径を電子顕微鏡に

よる観察値0.4μmで球として計算した場合、 表面積は4.3 m2/gにしかならず(三角錐と仮

定すれば2"-'3倍増える)、 実測値30m2/gよりはるかに少ないため、 表面により細かい凹

凸或はクラック等があると考えられ、 これらが炭素析出により埋められるという考えであ る。

③については炭化水素中で加熱後、 粉末の 硬い凝集体ができる場合が見られることより

推察された。 このことを確かめるために、 ダ イヤモンド圧粉体をメタン中で加熱し、 重量 増の時間変化をみた結果が Fig.2-17である2 ー17) 高い反応温度ほど初期の重量増加は速

いが、 少ない重量増で頭打ちとなっており、

圧粉体の表面層で析出炭素による粒子聞の細 孔の閉塞があることが推察され、 ③の粒子問 の接合があることを裏ずけている。

2. 6 要約

20

なマ

Z

ト・

w

Deposit ion Temp.

A 7500(

B 800.

( 850 "

o 900 ..

10

TIME/n

20 55 58

F ; g. 2 -1 7. R a t e 0 f i n f i 1 t r a t i 0 n 0 f d; a mo n d compacts with carbon deposit凶from latm CH4・

ダイヤモンド粉末を真空中加熱脱ガス後、 室温"-' 5 5 0 oCにおいて酸素ガスと接触させる ことにより酸素の表面化学吸着を行わせ、 昇温脱離法により吸着状態の種類、 吸着量、 熱 安定性について調べた。 その結果、 酸素は室温程度の低温から化学吸着することができ、

-1

8

-

(24)

室温"'-' 7000Cで脱離するα状態とおよそ8000Cで脱離する3状態を持つことを明らかになっ た。 同様な方法により、 水素の化学吸着については4000C以上の加熱が必要であり、 吸着状 態は約9500Cおよび10 5 0 - 1 1 0 OoCに脱離温度のピークを持つA、 Bの二つ状態があることが 明らかになった。 またダイヤモンドの表面は脱ガス温度によって、 約10000C、 12000Cを境 として3段階に変化し、 水素の吸着量はこの脱ガス温度に依存し、 最大吸着量と考えられ る量の2/3、 1/3、 それ以下と変化すること、 これに対し、 酸素の吸着では表面炭素原子を 容易にガス化することができるので、 吸着量は酸素処理温度に依存し、 400- 4200Cで最大 吸着量と考えられる量に達することが明らかになった。 メタン、 エタンの化学吸着にも 4000C以上の加熱が必要であり、 7000C以上では炭素の析出も起こり、 活性な表面の減少や

粒子間の接合が起こることが明らかになった。

ダイヤモンドのCVDは表面上での炭化水素等の熱化学反応によっており、 以上の実験 により、 反応に必要な温度、 その時の表面状態に関する予備知識を得ることができたが、

次章以下の気相中の過剰活性種を用いる方法とさらに深く結び付けるためには、 原子状水 素や炭化水素ラジカル、 酸素を含むラジカル等のダイヤモンド表面上の吸着、 反応につい て研究することが望まれる。 その場合には単結晶表面を用いることがより必要となろう。

QU -BEE-

(25)

第3章 熱フィラメント法による炭化水素からのダイヤモンド合成

3.

1

緒言

第l章で述べたようにCVDによるダイヤモンド合成には、 気中目をなんらかの方法で活 性化することが、 特に原子状水素のできる状態を作り出す必要がある。 原子状水素の発生 法として水素分子の熱分解法はよく知られた方法である3-1 )。 これは水素ー水素の結合エ ネルギーが 1 04kcal/molと他の二原子分子と比べて低く、 比較的低温(約20000C以上)で解 離可能のためである。 一方、 第2章で触れたように、 炭化水素の熱分解による炭素の析出 は 6000C以上で起こる。 また、 0.0 1- 1 気圧での炭化水素の熱分解では、 炭素の平衡析出率 は約1 1 0 0 - 1 6 0 OOCにおいて最大である。 一方、 ダイヤモンドの表面は真空中で12000C位まで 安定である。

これらの諸要素を考慮すれば、 炭化水素一水素の混合ガスからのCVDにおいてダイヤ モンドを合成しようとすれば、 成長温度は600-1200oCで、 水素の熱解離を起こす場所は

20000C以上という条件を作ればよいと考えられる。 この温度差をつけるという条件を満た す方法として、 著者はダイヤモンドの成長する基板の上方にタングステンのフィラメン卜 を配置し、 これを20000C以上に加熱する方法を考案した。 この方法を熱フィラメント法と よぶことにする。 フィラメント状の発熱体を用いた理由は、 フィラメント表面での気体の 熱分解は充分に起こり、 しかも基板や基板表面付近の気体を過熱することはないという、

基板温度と気相組成の問の非平衡性をっくり出せると考えられたからである。

本章では、 熱フィラメント法によるダイヤモンドの合成法、 合成条件と生成状態、 析出 ダイヤモンドの形状、 性質、 さらに本合成法の反応過程に関する考察のl頓に述べる。

3. 2 合成法3-2.3)

実験装置の概略図をFig.3-1に示す。 反応室は30ゅの石英管でその中の石英ホルダー上に 基板を置き、 基板上方約10rnmのところにタングステンフィラメントを配置した。 フィラメ ン卜はO. 15ゅのW線を内径O. 1 5ゆに20回巻きして用いた。 石英管は外側から電気炉によっ て補助加熱を行うことができる。 基板にはシリコン単結晶ウエハ一、 モリブデン板、 シリ

カガラス板等を用いた。

操作の手順はまず油回転ポンプで真空排気し、 炭化水素一水素の混合ガスを流し、 排気 側のバルブを調節することにより、 反応室内ガス圧を一定に保つ。 次に一定温度に保った 電気炉を基板位置まで下げ、 続いてフィラメント温度を通電により上昇させる。 この電源 には定電圧電源を用いた。 フィラメント点灯後、 発熱により電気炉への入力は減少する。

一20-

(26)

基板温度は基板ホルダー下の熱電対(Pt-PtRh 13児)によりモニターしたが、 基板表面の温度 はフィラメントからの熱放射により、 熱電対 温度(これを" 雰囲気温度" と称することに する)より高いと恩われるが、 表面温度の測 定は行っていない。 フィラメント温度はあら かじめ電気炉無しの時に所定のガスを流し、

通電加熱しながら光温度計でチェックし、 こ の時の電圧電流を実際の析出実験に用いた。

Furnoce

e

nド U lili-­ 。 r、 o m v'

e

'hH γl

なお新しいフィラメントは、 炭化により徐々

に電気抵抗が増加するので注意が必要である。 To pump Feed gos

ガス流、 ガス圧その他の合成条件をTable 3- 1に示す。

To

vacuum gauge T� 10 power suppl y _"'::..__ _.._�I

Fig. 3-1. Schematic illustration of the appara­

tus for the hot-filament CVD.

Table 3- 1 Synthetic conditions for diamond growth by hot-filament

CVD

Methane/Hydrogen ratio

typical 0.05 - 5 Vol% 1%

5 - 200 ml/min 10ml/min 0.5 - 200 Torr 30 Torr 600 - 1 1000C 700 - 10 OOoC

10 - 30 mm 10 mm

1

- 100 h 3 h

Total flow rate Total pressure

Temp. below substrate Filament-substrate distance Duration

3. 3 合成条件と析出状況3-2.3)

生成物の形態観察は主として走査型電子顕微鏡(SEM)により、 構造解析は反射電子線回 折(RHEED)、 ラマン散乱分光、 電子線エネルギー損失スペクトル(EELS)、 ディフラクト

メーターによるX線回折、 赤外(I R)吸収分光等により行った。

生成ダイヤモンドはダイヤモンド以外の異種材質基板上では{ 100}および{ 1 1 1 }面に 固まれた微結品として得られる。 一般的には島状成長した微粒子として得られるが、 基板

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参照

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