刊行の言葉
著者 宇治郷 毅
雑誌名 同志社大学図書館学年報
号 38
ページ 1‑2
発行年 2013‑03‑09
権利 同志社大学図書館司書課程
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000014165
- 1 -
本学図書館司書課程(以下、司書課程とする)開設60周年の年に、念願であった記念 特集号をここに刊行できることは、大いなる喜びである。本誌第30号(2004)の「司書 課程創立50周年記念号」に続くものである。まずは、多忙の中をいち早く祝辞をお寄せ いただいた大谷實総長、八田英二学長、土田道夫副学長・教務部長、尾嶋史章社会学部 長、金子邦秀免許資格センター長に厚くお礼を申し上げるしだいである。これら祝辞の 中で述べられた本学司書課程に対する期待と励ましの言葉に接し、身の引き締まる思い がするとともに、今後ともその期待に応え、さらに発展のために努力し、全国的にも存 在感のある課程にしていきたいと強く思うしだいである。
また本特集号の計画を呼びかけたところ、長年嘱託講師として、また本誌への寄稿の 面で本司書課程をご支援いただいた岩猿敏生先生からは特別記事を、また多くの卒業生 からはあたたかい賛同の言葉をいただき、その上示唆に富む数多くのエッセイをお寄せ いただいたことは、この上ない喜びであった。
ところで司書課程開設50周年は本来2002(平成14)年にあたるが、諸般の事情により 2004(平成16)年10月10日に「創立50周年記念シンポジウム」が行われ、翌11日に「パ ネルディスカッション」と記念講演が開催された。それらの記録は、本誌第30号(2004)
と第31号(2005)に収載されている。その時のテーマは、「図書館学教育・司書養成」
と「図書館員の専門性」であった。この時の成果と反省を踏まえ、60周年記念諸行事にお いては、本学司書課程の過去と現在を総括し、未来を展望し、かつ本学が生み出した図 書館人にも光をあてたものにしたいという思いが長年我々にあった。本誌はそのような 意図から編集されたものである。編集委員は、私と2011(平成23)年4月着任の原田隆史 准教授、それに30年間にわたり本学司書課程を支えてこられた渡辺信一元教授であった。
ところで2011(平成23)年秋から編集委員会は活動を開始したが、記念特集号に具体 的にどのような内容を盛り込むべきか、これが最大の問題であった。まず何より重要な ことは、本学司書課程の歴史を現時点で回顧し、再評価する必要がある。ただこの点に ついては、すでに小野則秋先生と青木次彦先生による「同志社大学図書館学研究会」、「同 志社大学図書館学講習所」、「同志社夏期大学図書館学」をへて、「同志社大学図書館司 書課程」の設置から昭和30年代に至るまでの精緻な研究がある。それら先行研究に示さ
巻頭言
刊行の言葉
宇治郷 毅
図書館学年報 第38号
- 2 -
れた内容を再検証し、新たにその後の歴史的変遷を、図書館法施行規則との関係におけ る本学設置科目、担当教員(嘱託講師を含む)、単位、受講生、図書館実習、授業内容 および授業方法、教材、授業環境、司書課程資料室などについて図書館学教育と司書養 成(司書資格取得)に関わる運営という観点から適切であったかどうか再点検・再評価 する必要がある。また国内外講師を招いての特別講演会、外部の図書館見学、図書館現 場で活躍中の卒業生と学生との交流会(図書館ガイダンス・ホームカミングデー)など の諸行事なども時代状況と図書館界の要望を反映したものであるかどうか常に検証が必 要であろう。歴史的記述は、以上を押さえた上で、将来を展望しながら記述する必要が ある。これは本特集の第1部で扱ったが、十分にいき届いたものになったかどうか、こ の点については外部からの忌憚なき評価とご意見をいただきたいと思っている。
しかし編集委員会は歴史的変遷の記述だけでは不十分と考え、この際、1875(明治8)
年本学創立以来の図書館学発展の歩みを、卒業生及び本学関係者という人物誌の側面か らの記述も試みた。いわば「同志社が生んだ図書館人」の歴史であり、これは本誌の第 2部「同志社図書館人物誌」で扱っている。本学はかつて多くの逸材を日本の図書館界 に送り出したが、それらの人物研究としては、今まで個々の人物研究としての蓄積がか なりある。しかし今回のように包括的にとりあげるのははじめての試みであり、まった く自らの力量を顧みない企画ではあったが、どうしても今の時点で纏めておきたかった ところである。これら人物誌は、第2部で扱っている。第1章で今は亡き我が先輩図書 館人達の中から歴史に大きな足跡を残された方々をとりあげ、第2章で図書館司書課程 設置以来の担当専任教員をとりあげている。第3章として、現役図書館人を対象に記述 する予定であったが、準備不足のため果たせなかった。他日を期したいと思う。
第3部には、特別寄稿と随筆を収録した。
最後に資料編をおさめたが、従来既刊の資料を踏まえ、新たな調査と多大な時間を要 してまとめたものである。現時点でのデータ集としては、べストを尽くしたつもりであ る。ひとえに原田准教授の努力のたまものである。この膨大なデータを通じて多くの成 果を確認し、また将来の教訓をも汲み取っていきたいと思っている。
以上が、本記念特集号編集の経緯と編集方針であるが、多忙な日常業務の中での編集 であり、多くの不備や誤りがあることと思う。また根本的ところで編集方針へのご意見 も多々あろうかと思う。忌憚のないご意見、ご批判をいただければ幸いである。
最後になったが、本学図書館司書課程及び学校図書館司書教諭課程を支えてくださっ た歴代の教員、嘱託講師の先生方、また現在ご担当の嘱託講師の先生方にお礼を申し述 べたい。また事務の面で日常的にお世話になり、本号刊行においてもご協力いただいた 免許資格係にも感謝申し上げて、刊行の言葉とする。
(うじごう つよし。図書館司書課程担当主任、社会学部教授)