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誰が肥満になるか―小学1年生の6年後の調査成績

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Academic year: 2021

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「肥満研究」Vol. 8 No. 3 2002 <トピックス> 吉永正夫,ほか

トピックス

はじめに

小児期の肥満が増加しており,幼児 期,学童期の対策が急がれる.Popu-lation based studyではより肥満であ る人が肥満であり続けることが報告さ れている1)が,誰が肥満になっていく のか多人数の個人を追跡した調査成績 は小児では特に少ない2) .また,ある 年代の児童全員が全体として肥満に向 かっているのか検討した報告がない. 小児の肥満頻度を検討する場合,日 本では年齢別・性別・身長別標準体重 に基づいた肥満度が用いられている. 世界的にはbody mass index(BMI)パ ーセンタイル値を用いて検討している 報告も多い.そこで,本報告ではBMI パーセンタイル値を用いて小学生の肥 満に関する検討を行った.

対象と方法

対象は1989年から1994年に鹿児島市 内の小学校に入学した24,852名(男児 12,588名,女児12,264名)である.小 学1年時と同一児童の6年後の体格値 を調査した. 肥満の判定にはBMIパーセンタイル 値を用い,95パーセンタイル値以上を 肥満とした.BMIパーセンタイル値は 1977年の学校保健統計調査報告書をも とに算出した.肥満判定のための基準 値は表1の通りである.また,これら のBMI値を示す児童・生徒の肥満度の 平均値を表2に示した. 小学1年生各自の肥満になる危険率 をみるため,男女別に5パーセンタイ ル値毎のグループにわけた.中央値で ある45∼55パーセンタイル値群をref-erence groupとして,小学1年時のそ れぞれのパーセンタイル値群にあった 児童が中学1年時に肥満になるオッズ 比を計算した(図). 年毎に集団として肥満になっている のか検討するため,小学1年時のBMI パーセンタイル値を調節した上で男女 別に検討した.

結 果

小学1年時肥満であると,中学1年 時に肥満のままであるオッズ比はref-erence群に比し男児35倍,女児64倍と 極めて高い値であり,女児のオッズ比 は男児のオッズ比より有意に高い値で あった(p<0 . 001). 小学1年生のBMIパーセンタイル値 で補正した上で,男子のみがこの6年 間に有意に(p=0 . 009)集団として肥 満に向かっていた.女児ではこの傾向 を認めなかった.

考 察

個人のデータに基づき誰が肥満にな っていくのか検討した成績は,極めて

誰が肥満になるか

―小学1年生の6年後の調査成績

鹿児島大学医学部小児科

吉永 正夫,島子 敦史

鹿児島大学医学部公衆衛生学

郡山 千早

<15 15∼ 20∼ 25∼ 30∼ 35∼ 40∼ 45∼ 55∼ 60∼ 65∼ 70∼ 75∼ 80∼ 85∼ 90∼ 95∼ 0 20 40 60 80 オ ッ ズ 比 小学1年時のBMIパーセンタイル値 男児 女児 図 小学1年生の各群が中学1年時肥満であるオッズ比 小学1年生 中学1年生 男児 女児 男児 女児 95パーセンタイル値(肥満) 17.7 17.7 22.2 22.9 表1 肥満および肥満予備群判定のためのBMI値 肥満度 小学1年生 中学1年生 男児 女児 男児 女児 95パーセンタイル値 +16% +17% +24% +24% 表2 BMI 95パーセンタイル値と年齢別・性別・身長別標準体 重に基づく肥満度との関係

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小学生時に誰が肥満になるか 少ない2) . 今回の調査では小学1年時に肥満で ある児童が中学1年時にも肥満であり 続けるオッズ比は男女とも極めて高 く,特に女児は男児より有意に高い値 であった.これはreference groupと して用いた群が中学生時に肥満になる 率が極めて低いことも意味している. 一方,男児は全体として肥満傾向に向 かっていた. 小学入学前の生活習慣の是正が必要 であると同時に,小学生時代に性差を 考えた生活習慣病教育をいかに進める か検討していく必要がある.また小学 生に生じるこの性差が思春期,成人で どのように変化していくか検討してい く必要もあると思われる. 本トピックスは著者らが発表した内 容3)をトピックとして書き直したもの である. 文献

1) Flegal KM, Troiano RP:Changes in the distribution of body mass

index of adults and children in the US population. Int J Obes Relat Metab Disord 2000, 247:807―818. 2) Wang Y, Ge K, Popkin

BM:Track-ing of body mass index from child-hood to adolescence:A 6-y follow-up study in China. Am J Clin Nutr 2000, 724:1018―1024.

3) Yoshinaga M, Koriyama C, Shimago A, et al.:Who is becoming over-weight during the elementary school years ? Int J Obes 2002,

参照

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