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Part 1 概 説 1 ICT 活 用 の 背 景 変 わる 高 校 教 育 第 2 回 ICTの 導 入 で 変 わる 学 び ~タブレット 端 末 電 子 黒 板 デジタル 教 材 を 中 心 に~ 社 会 や 教 育 の 在 り 方 の 変 化 から 活 用 が 求 められる ICT 目 的

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タブレット端末  全県導入  このコーナーでは、高校教育の変化を、高等学校の取り 組みや先生方の工夫、さらにそれらの背景にある社会の変 化、国や都道府県教育委員会の施策などから見ていく。  近年、学校教育における ICT の活用が政策的に進められ ている。2001 年の「e-Japan 戦略」や 2006 年の「IT 新改 革戦略」などの情報化推進事業が行われ、2011 年には文部 科学省が「教育の情報化ビジョン」を発表。デジタル教科書・ 教材の整備、1クラスに1台の電子黒板の整備、児童生徒1 人1台の情報端末の導入などによる「21 世紀にふさわしい 学びの環境」の実現がめざされている。そうした状況もあり、 高校での ICT の活用が広がりつつある。  個別の高校の取り組みや、一人ひとりの先生の工夫に留 まらず、政策としても推進されることで、今後、さまざまな 高校で ICT の導入・活用が進められるだろう。  導入に当たっては、運用コスト、授業デザインや教材作成、 さらに生徒へのモラル指導など、課題も多いが、ICT を活用 することで、これまでできなかったような授業が可能になる とともに、生徒の学び方も変わっていく可能性がある。  そこで、今回は「ICT の導入で変わる学び」をテーマとし、 その中でも近年導入が増えているタブレット端末、電子黒 板、デジタル教材に特に注目し、高等学校の授業における 活用の状況と、指導の変化についてお伝えする。

第2回

Part 1

 ICT活用の背景と現状 概説1:ICT活用の背景 東北学院大学 稲垣 忠 准教授 概説2:高等学校の現状 羽衣学園高等学校 米田 謙三 先生

Part 2

 都道府県の取り組み         佐賀県教育委員会

Part 3

 高校の取り組み 佐賀県立武雄高等学校 千葉県立袖ヶ浦高等学校 福岡県立戸畑高等学校 東北学院高等学校 ………p25 ………p28 ………p30 …………p33 ………p36 …………p39 ………p42

ICT…Information and Communication Technology の略で、コン ピュータやインターネット等の情報通信技術のこと タブレット端末…板型の携帯できる通信機器のこと。スマート フォンのように画面を直接触って操作する機種が多いが、タッチ ペンやキーボードが付いたものもある。文部科学省は「情報端末」、 佐賀県は「学習用端末」と呼んでいるが、このコーナーでは特別 な断りがない限り、「タブレット端末」としている。 電子黒板…電子技術を導入した黒板やホワイトボードの総称。パ ソコンの文字や画像をディスプレイに映し、文字や図を書き込ん だり、文字や画像を移動したり、拡大・縮小、保存等ができる。「ユ ニット型」「ボード型」「一体型」などのタイプがある。 デジタル教材…教科書などの教材の内容をデジタル化したもの。 電子黒板やスクリーンに表示して授業をしたり、生徒のパソコン やタブレット端末に表示して学習することができる。

用語説明

タブレット端末  電子黒板  授業改善 タブレット端末  協働学習  探究活動 電子黒板  自作教材  教材の共有 授業動画  個別学習  学び合い

ICTの導入で変わる学び

~タブレット端末・電子黒板・デジタル教材を中心に~

変わる高校教育

事例1 事例2 事例3 事例4 事例

(2)

変わる高校教育 第2回 ICTの導入で変わる学び ~タブレット端末・電子黒板・デジタル教材を中心に~

社会や教育の在り方の変化から活用が求められる ICT

目的や機器の特性に応じた活用を

東北学院大学教養学部 

稲垣 忠 准教授

概説1 ICT 活用の 背景 ——授業では、どのように ICT 機器を利活用していけばよいの でしょうか。  ICT とひとくくりにされがち ですが、ICT 機器にも、電子黒板、プロジェクター、実 物投影機(書画カメラ)など教員が使う道具と、タブレ ット端末など生徒が使う道具があり、両者では活用方法 や効果が異なることを整理して考える必要があります。  教員が使う道具は、より良い授業を展開する助けにな り、生徒の学力の向上につながります。ですから私は、 電子黒板などはなるべく早く全ての教室に配備され、当 たり前に使われるようになるべきだと考えています。 ——電子黒板には、どのような利点がありますか。  まず、教材を大きく映し、教員が見せたいものを生徒 にしっかり見せることができます。これまでは「教科書 の何行目」など口頭で説明していましたが、生徒に本当 に伝わっているとは限りません。しかし教員が大きな画 面に映して示せば、生徒はその画面を見て、どこの話を しているのか、より明確に把握することができます。  第二に、「焦点化」と言いますが、画面に映した中でも 特に見せたい箇所を拡大したり線を引いたりすることで、 ポイントを共有することができます。特に、言葉だけの 説明で伝えることが難しい小学校低学年の児童に有効で す。小学生ほどではないと思いますが、高校生に対して も効果があるでしょう。  第三に、動画や立体図形など、紙の媒体では見せられ ないものを見せることができます。すなわち教材の幅が 拡がります。デジタル教科書が現在力を入れて開発して いるのもこの部分です。  第四に、授業の双方向性を高めることができます。例 えば板書している時間は、教員は生徒の様子を見ること ができません。しかし、板書の代わりにスライドを用意 しておいて電子黒板に映せば、ノートに写すべきなら生  近年、教育への ICT の活用にはさまざまな利点がある ことが明らかになり、学校への導入が政策的にも進めら れている。ここでは、フューチャースクール推進事業(総 務省)の研究委員を務め、仙台を中心とした授業研究グ ループ「情報活用型授業を深める会」の主宰者でもある 東北学院大学教養学部の稲垣忠准教授に、学校に ICT の 導入が求められる背景と、利点や課題について伺った。 ——まず、教育分野で ICT 利活用の推進が望まれている 理由をお教えください。  近年、総務省の「フューチャースクール推進事業」(2010 ~ 2012 年度)や文部科学省の「学びのイノベーション事 業」(2011 ~ 2013 年度)といった実証研究を通じて、学 校教育での ICT の利活用が政策的にも進められています が、いくつか理由があります。  第一に、まず教員にとっては、生徒の学力向上につな がる、わかりやすい授業を展開できる、生徒の興味・関 心を高めることができるなどの利点があるからです。  第二に、情報化社会への対応です。パソコンやインタ ーネットの普及で仕事の進め方は大きく変わりましたが、 学校は明治時代以来のチョークと黒板での授業を続けて きました。社会で ICT が普及したのは、便利な道具だか らです。そこで、学校でも活用して教育の質を高めよう としているのです。  第三に、情報セキュリティや情報モラルという社会問 題に対応するためです。本来は家庭で教育すべきことだ と思いますが、学校でも情報科で扱ったり ICT 機器を使 う中で身につけさせることが求められています。  第四に、知識基盤社会となった 21 世紀を生きる子ども たちにとって、ICT の利活用を含む情報活用能力は必要 不可欠な力だということです。そして ICT 機器は、生徒 が調べたり発表したり交流したりしながら、思考力・判 断力・表現力といった、「生きる力」を育むのに有用な道 具でもあります。

教員が使う道具と生徒が使う道具を分けて整理し

活用することが大切

電子黒板が可能にする

教材の拡大と焦点化、多様化、双方向性の向上

Part

1

(3)

徒に写すように言った上で、机間巡視をして、理解が不 十分と思われる生徒に補足説明ができますし、短縮した 時間を別の学習時間に当てることもできます。 ——1人1台の導入が注目されているタブレット端末は、 どのような使い方がありますか。  タブレット端末については、2通りの使い方がありま す。1つはデジタル教科書をはじめとするデジタル教材 をインストールして、従来の授業をより良くするための 道具として使う方法です。もう1つは生徒が自由に使う 道具と捉えて、探究的な学習の場面などで活用する方法 です。教員にとってイメージしやすいのは、前者です。 そこで、現在、教科書会社等を中心に多くのデジタル教 材が開発されています。  タブレット端末を効果的に活用するためには、インタ ーネット環境の整備が不可欠です。特に公立学校では、 大量通信に対応できる環境を整えているところはほとん どなく、生徒が一斉に利用するとインターネットにつな がらなかったり、通信速度が遅くなったりします。そも そも無線 LAN は、40 台もの端末を一斉に使うことは想 定していないシステムであるため、学校で使う仕組みと して向いていないのかもしれません。そうした技術的な 問題が改善されない限り、従来の授業をより良くするた めの活用を快適に進めることは難しいでしょう。 ——生徒はどのように活用できますか。  タブレット端末は、もともとユーザーがそれぞれ違う 使い方をするための道具ですから、調べ学習や協働学習 といった、生徒が主体的に活動をするような場面で活用 すると、力を発揮します。  生徒が試行錯誤するのにも向いています。例えば数学 では、グラフを動かすと数式が変わったり、数式を変え ればグラフが変わったりというように、手元でシミュレ ーションしながら考えられます。教員が電子黒板で動か しても、教員が動かしている限りは「動くんだな」とわ かる程度です。しかし自分で操作すれば実感が伴います。 ただし、生徒が試行錯誤した結果をクラスで共有するな ど、授業展開の工夫が伴ってこそ効果を発揮します。  また、タブレット端末で生徒の理解度に応じた問題が 出る、わからない箇所の授業ビデオを繰り返し見るなど、

タブレット端末は、デジタル教材の活用デバイスと

生徒が主体的に学習するツールとして有望

個別の反復学習にも大いに活用できます。ただ、個別の 反復学習を授業中に行うのは時間がもったいないですね。 ある中学校では、朝の自習時間を活用して、タブレット 端末を使ったドリル学習を行っていました。 ——タブレット端末に関する現在の課題を教えてくださ い。  すでに述べたように、タブレット端末は、探究的な学 習や協働学習など、新しいスタイルの授業に適した道具 です。しかし、フューチャースクール推進事業の実証校 の様子を見ると、ICT と新しい授業スタイルという、2 つを同時に導入することは、先生にとって大きな負担で あり、まずは従来型の授業での活用からスタートした学 校が多かったようです。  また、通信環境の問題から、授業中に教材を電子黒板 や生徒の端末に転送するのに時間がかかる、生徒の端末 が動かなくなるなどのトラブルも起こります。そうする と、教員にも生徒にもストレスになってしまいます。  そのため、学校にタブレット端末が配備された場合も、 無理に授業で使おうとせず、まずは授業時間外に活用で きる環境を整えるというのも一案です。例えば、学習に 役立つリンクを用意したタブレット端末を何台か職員室 に備えておき、希望する生徒に貸し出し、放課後の自習 などに使用させてはどうでしょう。そして、生徒が活用 する様子を知った上で、授業中にも導入することなども 考えられます。 ——タブレット端末が導入されると、学校内のパソコン 教室などはいらなくなりますか。  1人1台のタブレット端末を導入する際にパソコン教 室の廃止を検討する自治体もあるようですが、大学でレ ポートを書いたり、企業で仕事をしたりする際、タイピ ング能力も求められるので、当面はパソコンも必要でし ょう。今の子どもたちは、スマートフォンは使いますが、 パソコンを使うのは情報の授業でだけの場合もあり、意 外とキーボードを使いこなせません。タイピング能力を つけるには使うことが一番ですから、生徒が自由に調べ 学習をしたり進路情報を調べたりできるパソコンが校内 に豊富にあると良いですね。

タブレット端末は、授業での活用にこだわらず

放課後での活用や個別学習のツールと考えるのも一案

(4)

変わる高校教育 第2回 ICTの導入で変わる学び ~タブレット端末・電子黒板・デジタル教材を中心に~ ——2013 年に閣議決定された「世界最先端 IT 国家創造 宣言」などでは、2020 年までにすべての学校で1人1台 の情報端末を配備するなど IT 環境を整備するとされて います。今後、生徒用のタブレット端末を導入する自治 体や学校が増えていくと予想されますが、それによって 学校教育は変わっていくのでしょうか。  タブレット端末の研究は、現在は授業における教員の 活用法が中心です。しかし、生徒たちが学校外を含めて どのような使い方をするか見るうちに、タブレット端末 の多様な可能性が明らかになってくると思います。  タブレット端末の導入を本気で考えるなら、日本の教 育の姿を変える覚悟が必要だと思います。それも学校だ けでなく、塾や通信教育、家庭学習など教育を取り巻く さまざまな要素を含めて、教育や学びの在り方をデザイ ンし直す必要があるでしょう。例えば現在、manavee(注) など学習ビデオを配信するウェブサイトで勉強する高校 生も増えています。自分のペースで勉強できることから、 こちらの方が合っていると考える生徒もいるはずです。 だからこそ、対面で授業を行う学校はどうあるべきなの か、根本から議論しなければなりません。  オランダでは、2013 年、4歳から 12 歳の子どもたち が通う「Steve Jobs School」10 校が開校しました。この 学校には学年も、クラスも、時間割もなく、子どもたち は1人1台の iPad を使って、自分のペースで学習してい ます。以前から既存の学校教育とは異なる教育を模索す る「オルタナティブ教育」を実践する教育団体は日本を 含め、いろいろな国にあります。そうした教育システムと、 タブレット端末の活用が結びついたところに、未来の学 校の姿を考えるヒントがあるのかもしれません。 ——最後に、ICT の利活用について、高校の先生にメッ セージをお願いします。  ICT の導入を、情報セキュリティや情報モラルの問題 から心配される先生も多いかと思います。しかし、テク ノロジーそのものが悪いわけではありません。ICT を禁 止するのではなく、より良い使い方を指導していくべき でしょう。そして ICT は、活用価値のある道具だからこ そ社会に広まったのですから、教育現場でも、無理をし て使う道具ではなく、歓迎される道具であってほしいと 願います。これまでできなかった授業を実現するための 道具の1つとして、ぜひ効果的な場面で使っていただき たいと思います。

教育や学びの在り方に変革をもたらす

1人1台のタブレット端末の可能性

(「世界最先端 IT 国家創造宣言」(2013 年)より抜粋) <図表>教育環境の ICT 化への工程表

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概説 2 高等学校の 現状

授業をより良くするためのツールとして

できるところから ICT の導入を

羽衣学園高等学校 

米田 謙三 先生

目されるようになったのです。 ——ICT を活用することで、授業はどのように変わるの でしょうか。  ICT 機器を使ったからといって、現在行われている、 一斉授業、協働学習、個別学習という3つの授業スタイ ルは変わりません。ICT によって授業が全く変わってし まうのではなく、これまでの授業をより良くするための ツールであると考えると良いでしょう。例えば、動画や 音声は生徒に興味をもたせるのに効果的ですし、「紙のプ リントで勉強するのは苦痛だけど、ICT 機器でなら勉強 しようかな」と考える生徒もいます。また、理科であれ ば学校では実験や観察できないものを映像で見せること ができる、体育であればフォームを撮影して自分でチェ ックできる、学習の成果を保存できるなど、ICT ならで はの活用法があります。  しかし、特に高校では、ICT が生徒の興味・関心をひ くだけでは不十分です。動画や音声が出る教材が最初は 物珍しくても、やがてそれは当たり前になってしまいま す。高校では、生徒の学力向上に結び付けるような ICT の活用を行うことが重要なのです。 ——授業での活用が特に注目されている ICT 機器には、 どのようなものがありますか。  まずは、教員が使うものから導入が進んでいるようで す。近年、電子黒板は全国の小中高校で配備が進んでい ます。本校でも電子黒板に直接、画像や動画を映してい る先生もいますし、画像の上にペンで線を引いたり説明 を書いたりする先生もいます。基本的には授業中に教員 が使うものですから、これまでの授業の進め方から大き く変える必要がなく、導入しやすい機器です。  近年特に話題になっているタブレット端末は、とても 便利で有効な教育・学習ツールです。本校でも 60 台ほ ど導入しました。(1)情報の検索と収集・編集・保存、 (2)情報の作成・提示・データ処理、(3)活動の記録・  現在、授業で ICT を活用する利点を感じつつも、校内 の ICT 環境が充分に整っていなかったり、授業でどのよ うに導入したらよいか、とまどっている先生も多いので はないだろうか。そこで、早くから教育の情報化に関す る実践と研究を行い、教育の情報化に関するセミナーや 研修会講師を務める羽衣学園高等学校の米田謙三先生 (英語科、情報科)に、高校の教育現場での ICT 導入の 現状や、授業での導入のポイントを伺った。 ——まず、授業での ICT とは何を指しますか。

 ICTとはInformation and Communication Technology のことで、情報通信技術と訳されています。そして教育 現場では、パソコンなどのハードウエアやデジタル教科 書などのソフトウエア、インターネットなどを使った教 育を「ICT 活用教育」と呼んでいます。ハードウエアで はパソコンや電子黒板、特に最近はタブレット端末の活 用に対する関心が高まっていますが、プロジェクター、 スキャナー、デジタル・ビデオカメラ、電子辞書なども ICT 機器です。 ——なぜ、ICT の授業での活用が注目されるようになっ たのでしょうか。  情報活用力の育成や、生徒の主体的な学びの促進、学 力向上に有効に活用できるツールといったことに加え、 生徒自体が変化していることが挙げられます。現在の若 者は C 世代、すなわち「Computer を傍らにして育ちネ ットで Connected し、Community を重視する。Change を厭わず、自己流を Create(編み出)し、開かれた知と つながる力を持つ世代」と呼ばれるそうです。現在の生 徒の世代は、生まれたときからインターネットや“ケー タイ”があった“デジタルネイティブ”と呼ばれます。 彼らにとって ICT はあって当然なのです。  また、現在の子どもたちはますます多様になっており、 一人ひとりに合った学びの実現が求められています。そ のような子どもたちの変化に合わせて、ICT の活用が注

デジタルネイティブ世代の生徒にとって

ICT はあって当然の学びのスタイル

電子黒板やデジタル教科書に加え

デジカメなど身近な機器利用が ICT 活用の第一歩

(6)

変わる高校教育 第2回 ICTの導入で変わる学び ~タブレット端末・電子黒板・デジタル教材を中心に~ 発表(プレゼン)などに使っており、デジタル教科書な ども活用を始めました。  ソフト面で言うと、上記のデジタル教科書をはじめと するデジタル教材が、教員用のものを中心に出揃ってき ました。勤務校に電子黒板が配備された場合は、まずは どの教員も共通して効率的に使える教材を用意しておき、 それを使って、ある程度同じスタイルで授業ができるよ うにしておくとよいでしょう。 ——ICT 環境は学校によって異なりますが、ICT を活用 した取り組みは、どこから始めるとよいでしょうか。  先進的な事例は参考にはなるものの、勤務校の ICT 環 境や支援体制の違いなどの問題もあり、今すぐ同じよう に取り組むのは難しいと感じていらっしゃる先生も多い のではないでしょうか。ただし、学校に今ある ICT 機器 でもできることはあるはずです。  例えば、学校にプロジェクターとスクリーンがあれば、 デジタルカメラで撮った写真や動画をクラス全員で見る ことができますし、また書画カメラ(実物投影機)があ れば、プリントを拡大し、強調したい部分を見せるなど、 タブレット端末と同じような効果のある授業ができます。  私が勤務する羽衣学園高校では、今年から全ての新入 生に電子辞書を購入してもらいました。電子辞書は、単 語やセンテンスをネイティブの発音で読み上げてくれま すし、検索した単語を記憶する機能などもあります。電 子黒板とつなげられるので、教師の電子辞書の画面を映 しながら、朝の単語テストなどに活用しています。  本校は私立学校ということもありますが、現在のとこ ろ保護者から電子辞書の購入に大きな反対はありません。 全ての生徒に購入させられない場合は、教員の電子辞書 の画面を電子黒板に映して一緒に使うという方法もあり ます。電子辞書はインターネットにつながらないため、 セキュリティ面や生徒の情報モラル面の大きな問題もな く、ハードウエアにトラブルが起こることも滅多にあり ません。英英辞典や国語辞典や百科辞典などが搭載され ている機種も多く、幅広く活用できます。 ——活用を促進するためには、何が重要でしょうか。  やはり ICT の良さに気づいていただくことが一番です。 例えば、英語であれば、フラッシュカード(イラスト等

ICT の良い点に目を向け、伝えていくことが

授業での活用を広げるポイント

を見ながら英単語の発音などを行う)の実践も、パソコ ン等を使って読み上げる時間を設定することで難易度を 調節できますし、教員が読み上げるのとは異なりネイテ ィブの発音を聞くことができます。また、タッチパネル のディスプレイ上で指を動かすことで単語の並べ替えが 感覚的にできる、タブレット端末に対応したアプリなど もあります。「これは使える!」と思えるものがあれば、 活用は広がっていくのではないでしょうか。  ただし、教員がハードウエアやインターネット回線な ど、授業以外のトラブルで煩わされることが多いとやる 気を失ってしまいますから、なるべく新たな負担の少な い、すでに学校にあり導入の容易な ICT 機器やソフトウ エアを活用していくことから始めるとよいと思います。 ——ICT の活用にあたって注意すべきことはありますか。  ICT には便利な機能がたくさんあるため、その ICT に よって生徒たちに身につく力もあれば失われる力もある ということです。例えば電子辞書の場合、例文にわから ない単語があれば、そこを押せばその単語にジャンプし てくれます。しかし、スペースが限られているため紙の 辞書のように調べた単語の前後を一緒に見ることができ なくなります。ここでのポイントは、デジタルネイティ ブの生徒たちは、その違いがわからないということです。 それを補うためにも教員が例えば教室に何冊か紙の辞書 を置いておいて、たまにはそれを使って調べてみるとい ったことをさせることもよいと思います。  何か新しいものが登場すれば、良い面と悪い面の両方 があるのは当然です。光と影をうまく伝えうまく活用で きるように指導することが大切だと思います。また、ICT を使っても使わなくても教師の指導力が問われるのは同 じです。ICT に依存するのではなく、教師の弱点を補い、 生徒の活動を活溌にするための補助として、ICT を活用 していっていただきたいと思います。 <写真>デジタル教科書、タブレット端末を使った授業 (羽衣学園高等学校、 高校1年英語の授業の様子)

(7)

Part

2

都道府県の取り組み

全国に先駆けて全県立学校に電子黒板を整備し

生徒1人1台の学習用端末を導入

佐賀県教育委員会

 県立学校での生徒1人1台の学習用端末(タブレット 型端末)の導入は、2011 年改定の学習指導要領で、全て の教科指導に ICT を活用することの重要性に言及された ことが大きなきっかけとなった。  「全ての教科で ICT を活用するには、情報教室のコン ピュータだけでなく、1人1台のパソコンが必要である と考えました。また、社会に氾濫する膨大な情報から必 要な情報を集め、分析して発信するという、ICT 利活用 力を含めた情報処理能力は、普通科、専門学科などを問 わず全ての生徒にとって将来必要となります。特別支援 学校の生徒にとっても、ICT は障がいを乗り越えて社会 に参画する有効なツールです。そのため、県が主導して 全ての県立学校で利活用できるようにすべきだと考えま した」  学習用端末の導入は新学習指導要領実施の進行に合わ せて計画され、端末の選定や課題の抽出、活用方法の研 究を「先進的 ICT 利活用教育推進事業」として、段階的  佐賀県では 2011 年度から全県規模で「先進的 ICT 利 活用教育推進事業」に取り組み、今年4月からは、電子 黒板に加え、全国に先駆けて、全県立高校でも1人1台 の学習用端末を導入して注目されている。その目的や導 入までの経緯、今後の課題と展望について、佐賀県教育 委員会副教育長の福田孝義先生に話を伺った。  高校でも現在、授業での ICT 利活用が進みつつあるが、 佐賀県が全校で一斉に先進的な ICT 利活用の推進を決め た背景には、高校をとりまくさまざまな状況の変化がある。  「佐賀県では、2004 年頃から校務用パソコンの整備など、 ICT 利活用教育推進のための施策を進めてきました。事 業推進のきっかけの一つは、高度情報化・グローバル社 会に対応した教育の実現が求められたことです。また、 佐賀県独自の状況としては、2007 年度から実施されてい る全国学力・学習状況調査の分析から、学力向上の取り 組み強化が喫緊の課題となっていました。さらに、新型 インフルエンザの発生や、東日本大震災等の災害被害を 受け、生徒が学校に来ることができな い状況が続いても質の高い教育ができ るような体制を作る必要性が高まって いましたし、長期間の入院や不登校の 生徒への、学校復帰への支援も課題で した。こうした変化に対応し、教育の 質を向上させるための施策の一つとし て、佐賀県は学校での ICT 利活用推進 を決めたのです」  そして、電子黒板や学習者用の情報 端末の整備などを進めるとともに、韓 国やシンガポールなど ICT 利活用の先 進国を視察したり、文部科学省の「ス クール・ニューディール事業」や総務 省の「フューチャースクール推進事業」 に県内の小中学校が指定を受けたりす るなど、教育の情報化に取り組んできた。

教育の質向上を実現する施策の1つとして

全県規模で ICT の利活用を決定

3年間の実証研究を通じて

導入する学習用端末を選定

<図表1>佐賀県立学校での ICT 環境の整備状況

(8)

変わる高校教育 第2回 ICTの導入で変わる学び ~タブレット端末・電子黒板・デジタル教材を中心に~ に行った<図表1>。まず、2011 年から新学習指導要領 が全面実施された中学校から実証研究を始め、県立の中 高一貫校の佐賀県立致遠館中学校と、佐賀県立武雄青陵 中学校に Windows 7 のタブレット端末を導入、佐賀県立 金立特別支援学校と佐賀県立中原特別支援学校に iPad を導入した。2012 年には高校1年生を対象とし、普通科 の致遠館高校と武雄高校に Windows 8、農業科・家庭 科併設の唐津南高校、有田工業高校、鳥栖商業高校に iPad を配布して機種選定の作業を行い、2013 年には、県 立高校での導入機種を Windows 8 Pro を搭載したタブ レット型端末に決定した。  実証研究の結果、高校に導入する学習用端末について は Windows 8 Pro 搭載のタブレット型端末にキーボー ドを付けたものを採用した。理由は、Windows 7 に比べ 操作性が大幅に改善されたことと、現在高校に導入され ているパソコンの多くが Windows であるため、教員が 教材を作成したり加工したりするのに便利であること、 社会における Windows のシェアが高く、高校時代から Windows に慣れておくことが有用であるとの判断による。  なお、特別支援学校については、iPad や Android OS 搭載のものも含め、障がいの種類や程度に応じて使いや すい機種を選ぶこととした。  実証研究の段階で明らかになった課題としては、第1 に、アクセスが集中してインターネットにつながらない、 通信速度が遅いといった通信環境の不備があった。そこ で全県導入を前に校内 LAN を全て更新し、さらに校内 どこでもインターネットに接続できるように、Wi-Fi 環境 を整えた。学習用端末や電子黒板、インターネット回線 などの技術的なトラブルについては、「ヘルプデスク」を 設けて、遠隔操作を含めたサポート体制を導入した。た だし、通信環境の一層の向上は、今後の課題でもある。  第2には、授業での ICT 機器の活用頻度が当初の想定 を下回ったことが挙げられる。理由の一つとして ICT 教 材や指導例の不足が考えられたため、教材の企画・編集・ 出版・販売を行う企業に委託して、教材開発を開始した。 また、教育関連企業に委託して各校に1名ずつ ICT サポ ータを配置し、教員の ICT を活用した授業設計や、教材 選択、教材作成を支援することとした。

県が主導しての ICT 教材の開発や

サポート制度の充実により ICT 活用促進を支援

 教員に対しては、ICT 機器の一斉導入を前に、電子黒 板や学習用端末の操作体験会を複数回・複数会場で開催。 興味のある教員は体験会に参加して、ICT 機器に触れた。 さらに、ICT 利活用教育を担当する ICT 推進リーダーの 教員を各校の校長に指名してもらい、リーダーに対して 県が集合研修を実施。内容は、半年を1クールとし、そ の間にのべ5日の研修を実施し、その後、リーダーが自 校の教職員に半年程度かけて、内容を伝えることにして いる。1期目(2011 ~ 2012 年度)は、まず ICT 機器に ついて知ることを目的とした研修、2期目(2012 ~ 2013 年度)は、授業で使えるレベルの知識やスキルを修得す るための研修を行った。使えるレベルとは、文部科学省 が毎年3月に実施している「学校における教育の情報化 に関する調査結果」の「教員の ICT 活用指導力の状況」 で「わりにできる」「ややできる」と答えられるレベルと した。  「2010 年は約6割の教員しか活用できると答えません でしたが、2013 年には9割以上の教員が活用できると答 えるまでになりました。3期目(2014 年度~)は、授業 に応じて工夫できる力をつけるための研修を行うつもり です。また、大学にも、教職をめざす学生に ICT 活用力 をつけるよう、依頼しています。さらに佐賀県では、 2013 年の教員採用試験から、電子黒板を使った模擬授業 を試験項目に導入しています」  学習用端末に搭載するソフトウエアについては、教材 としては、購入時に、全高校共通してワープロソフト、 プレゼンテーションソフト、表計算ソフト等からなる 「Microsoft Office Professional Plus 2013」と国語、古語、

英和辞書を含む「電子辞書ソフト」等を標準装備してい る。また、教科書や参考書、問題集等の内容をデジタル 化した「デジタル教材」の中で、教師が授業で使うものは、 県から各校に提供している。ただし、例えば、問題集の 場合、問題を一度に生徒に配布する、授業の都度必要な 箇所を配布するといった使い方は、各教員に任せている。  この他のソフトウエアについては、各校からの申請に 基づき、教育委員会が許可すればインストールが可能で ある。  「日常的に授業で使うものは県が購入して高校に提供

共通教材以外のソフトウエアは許可制を採用

教員独自の教材活用は著作権が課題

(9)

します。特定の時間だけ使う、主に家庭学習で使うとい ったものは、教育委員会に申請していただければ生徒が 独自に購入できます」  教員が独自に作成するデジタル教材については、現在、 最も大きな障壁となっているのが、著作権だという。著 作権法第 35 条によって、学校等の教育機関で授業中に 著作物を使用する場合は、特例的に、一般に比べると複 製等の制限は緩やかになっている。しかしデジタル教材 の多くは、「教員がディスプレイで表示する場合は良いが、 生徒の端末に配布したりインターネットにアップしたり して共有するのは不可」「インターネット上のコンテンツ をダウンロードして生徒に配布してはいけないが、URL を表示し、生徒にそのウェブサイトにアクセスさせるこ とは可能」等、紙媒体とは異なるさまざまな規定がある ためだ。  「教員は自作の教材だと思っていても、一部の練習問題 や写真が転載という場合があります。また、具体的な判 例等がなく、法律家によって解釈がまちまちであるのも 学校での活用を難しくしている要因です」  2014 年度には、「教材管理」「校務管理」の3つの機能 を一元化した佐賀県独自の教育情報システム SEI-Net (Saga Education Information-Network)を構築した<図

<図表2> SEI-Net の画面イメージ 表2>。運用は始まったばかりだが、このシステムを使 って、生徒は学校からの連絡の確認、デジタル教材をダ ウンロードしたりテストを受けたりすることができる。 また、教員は、出欠の処理やテスト結果の分析に加え、 生徒の日々の学習の進捗などが把握しやすくなり、生徒 一人ひとりの理解度や弱点に応じたきめ細やかな指導が できるようになるという。  教員からの ICT 導入の評価としては、電子黒板は、こ れまで黒板で図示したり口頭で説明したりしていたもの を動画などで示せるため「すぐにでも活用したい」と好 評だった。一方、学習用端末については、教材の不足や 生徒の期待値が不明であることなどから、導入に躊躇す る声もあったという。また、進学校からは大学入試を控 えていることもあり、ICT 導入による学習進度の変化が 不安材料として挙がった。  ICT 導入は始まったばかりであるためまだ解決しなけ ればならない課題も多いが、「例えば数学の場合、これま では空間図形の提示や三次元の数式を図に変換するなど、 越えられない壁がありました。これはどの教科でも同じ です。それが ICT を使うことで1つでも越えられるよう になり、徐々にその数が増えていけば良いと考えていま す」と福田先生は期待している。

Copyright Saga Prefecture All Rights Reserved.

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(10)

変わる高校教育 第2回 ICTの導入で変わる学び ~タブレット端末・電子黒板・デジタル教材を中心に~

佐賀県の研究実証校として1人1台の学習用端末を導入

教育現場での活用の課題と可能性を社会に提示

佐賀県立武雄高等学校

 理科では、科学技術振興機構 の『理科ねっとわーく』(注1) と いうウェブサイトにアップされ た教材を、電子黒板に表示して活用しています。  私が担当する国語の授業では、教師用指導書に付属し ているデジタルテキストを電子黒板に表示して活用しま した。授業をしている箇所を生徒に示したり、ポイント となる箇所に線を引きながら、解説したりできる点が良 いと感じています」  さまざまな教科で活用する中で、課題も見つかった。 例えば、電子黒板を使うと、資料を次々と切り替えて進 めることができるため、板書に比べて授業のスピードが 上がる。そのため、生徒からはノートに書き取りきれな いという声も上がった。一時は、黒板を眺めるだけでノ ートをとらず、受身の姿勢で授業を受ける生徒も出てし まったという。  「こうしたマイナス面もありましたが、電子黒板が悪い のではありません。生徒がノートに書き写すべきことは 従来通り板書し、電子黒板は、写真、動画、立体図形と いった、黒板では表現できないコンテンツを表示するた めに使用するなど、教員が使い方のポイントを押さえる ことが大切なのです。うまく活用できれば、黒板とノー トによる授業に比べて、豊富なコンテンツを使った授業 が可能になります。そのため、当初は苦手意識を持って いても、使っていくうちに魅力に気がつき、現在は電子 黒板なしの授業は考えられない感覚になっている教員も 本校には多いようです」  2013 年度には佐賀県教育委員会から支給された学習用 端末(Windows 8 Pro)を1年生に配布するとともに、 校内に無線 LAN を敷設し、1人1台の学習用端末を使 った教育の実証研究を行った。  例えば、教材制作会社と連携し、問題演習の解答・解 説をデジタル化し、端末で学習をする研究を行った。  「これは『自分のペースで勉強できる』と、生徒の評判  今年4月、佐賀県は全国に先駆けて、全県立高校への 電子黒板と、生徒1人1台の学習用端末導入を行った。 これに先立ち、佐賀県立武雄高等学校は実証研究校に指 定され、2012 年度から電子黒板が、2013 年度から学習 用端末(タブレット端末)が配備され、ICT を使った授 業に取り組んできた。実証研究から感じた教育の可能性 や、明らかになった課題について、ICT 利活用教育推進 部主任・教育情報化推進リーダーを務める馬場信禎先生 (国語)に伺った。  佐賀県立武雄高等学校は 2011 年から「先進的 ICT 利 活用教育推進事業」の実証研究校に指定され、電子黒板 や学習用端末<写真>を用いた授業の研究を行ってきた。  電子黒板については、2012 年 11 月には2つの特別教室、 2013 年2月には1、2年生の全ての普通教室、2013 年の 8月には3年生の普通教室に配備された。教科の特性や 授業を行う教室によっても異なるが、デジタル指導書(教 師用デジタル教科書)や教員が作成したプレゼンテーシ ョン資料などを投影し、授業に活用している。  「例えば英語科では、電子黒板に本文の一部を指定し てネイティブスピーカーの発音で音声を聴かせたり、フ ラッシュカードを用いて英単語の学習に活用したりして います。生徒に興味のある外国の場所をグーグルマップ で探させ、ストリートビューで見える景色を英語で表現 させる授業を行った教員もいました。 高校の取り組み

事例1

各教室への電子黒板の導入で

授業で活用できるコンテンツが豊かに

生徒の主体的な学びを促す

1人1台の学習用端末

馬場信禎 先生 Part

3

<写真>学習用端末を使った授業の様子

(11)

る本校では、大学入試に対応できる学力向 上に資するという目的を守りながら、活用 を進めました。ICT 機器を使用することが 目的になってはならず、その高校に合った、 効果的な場面で使うことが大切なのです」  2014 年度には、県内の他の公立高校と同 様に、全ての1年生が学習用端末(Windows 8 Pro、キーボード付き)を購入した。学校 の備品であった 2013 年度とは異なり、生 徒の私物であるため、家庭に持ち帰り学習 内容の保存(ノートとしての役割)や学習 管理(連絡・課題提出)に活用することが できるようになった。多くの科目で生徒用 デジタル教科書が導入されたこともあり、 活用の幅が広がっているという。  学習用端末の活用にあたり、最も大きな課題となった のは、無線 LAN 環境の構築である。  「今年4月に生徒の端末にデジタル教科書のダウンロ ードがうまくできないことが大きな問題となりましたが、 これはアクセスが集中し無線 LAN の通信容量を超えた ことが原因です。デジタル教科書は容量の大きいものだ と、1章分でも 100MB を超える場合があります。こうし たデータを1学年の生徒が一斉に、しかも授業中にダウ ンロードすることになっていたのですが、無線 LAN の システムはそうした利用を想定していません。学校は、 企業や家庭、街中などと異なり、大勢の生徒が同じこと を一斉に行うという特徴がありますが、それに対応した 設計になっていなかったのです」  授業中の教員と生徒の端末の情報のやりとりにも課題 があった。アクセスポイント(注2) 1つにつき接続できる 端末は 20 台程度であるため、武雄高校では1つの教室 につき2つのアクセスポイントを設置している。そのた め、端末の位置によっては通信中にアクセスポイントが 変わり、教員から生徒に教材が送れなくなったり、生徒 から教員への提出物の送信が途切れたりすることもあっ た。そこで、アクセスポイントのメーカーに連絡し、快 適な動作をするよう改善したという。  ここで馬場先生が強調するのは、「パソコンや通信シス

不具合が起こることは当たり前と考え

無理のないところから活用することが大切

も良好でした。また、生徒は解答とともに理解度も入力 するため、教員は、多くの生徒が間違えた問題や箇所だ けでなく、答えは合っていたけれど理解は不十分である 問題もわかり、どの問題を解説すればいいかを即座に把 握することができました」  実際の授業の中で活用することで、他にもさまざまな 利点があることがわかった。授業中に教員が問いを発し たとき、以前は指名した生徒の考えしか聞けなかったが、 学習用端末から送信してもらえば、教員は全ての生徒の 意見に目を通すことができる。そして、その上で発表す る生徒を選んだり、電子黒板に表示させてクラス全体で 共有したりすることもできるようになった。  総合的な学習の時間では、全ての生徒が同時にインタ ーネットで調べ学習をしてプレゼンテーション資料を作 成することが可能になった。以前はコンピュータ教室で 行っていたため利用できる人数が限られていたが、1人 1台の学習用端末を持つことで、全員がそうした活動を 経験できるようになったのだ。  多くの利点があるものの、全ての授業を学習用端末で 行えば良いというわけではない。  「学習用端末は、全ての生徒の主体的な学びを促す機 能があるという点で優れていますが、生徒の主体的な活 動を多く取り入れると授業の進度が遅くなりがちですか ら、大量の内容を限られた時間で教えなければならない 高校にとっては辛いところです。ですから、進学校であ <図表> ICT を活用した授業で使用するプリント例(抜粋)

(12)

変わる高校教育 第2回 ICTの導入で変わる学び ~タブレット端末・電子黒板・デジタル教材を中心に~ ◇所在地:佐賀県武雄市武雄町大字武雄 5540-2 ◇沿革:1908 年 佐賀県立武雄高等女学校開校 1927 年 佐賀県立武雄中学校開校 1948 年 武雄高等女学校と武雄中学校を統合し、佐賀県 立武雄高等学校開設 2007 年 武雄高等学校と武雄青陵高等学校を統合 ◇学級編成:[全日制]普通科 1学年7クラス ◇生徒数:826 名(男子 426 名、女子 400 名) 2014 年6月1日現在 ◇特色:校是に「質実剛健」「報恩感謝」を、教育目標に「高志 博学」を掲げ、高い志と未来を切り拓く力を持ち、地域や国際 社会の発展に貢献できる、人間性豊かな生徒を育成することを めざす。佐賀県屈指の進学校であり、1校時 50 分(短縮授業 時は 45 分)、7時間制を採用するなどして生徒の学力向上に努 め、毎年旧帝国大学を含む国公立大学に多くの合格者を出すな ど、進学実績を上げている。 ◇卒業生の進路:2014年3月卒業生 271名  ・進学先:4年制大学 183 名、短期大学 11 名、専門学校 37 名、 就職 10 名、その他 30 名 ・合格者の内訳(現役生、延数):国公立大学(大学校含)139 名 私立大学 197 名 佐賀県立武雄高等学校 テムは、他の製品のように購入したらすぐに快適に動く わけではなく、地道な調整をしながら最適な環境にして いくものである」ということである。  「学習用端末、無線 LAN、デジタル教材と、それぞれ 別の企業が作ったものを組み合わせて、これまでにない 使い方で使うのですから、不具合が起こることは当然で す。しかし、システムの不具合であっても教員にとって は生徒の前で失敗することになり、状況によっては ICT の活用が嫌になってしまいますから、最初から無理をせ ず、まずは安定して活用できるところから導入すること が大切です。ただ、いたずらに怖がって使わないという のも賛成できません。学習用端末が魅力的な教育ツール であることは明らかで、近い将来、生徒が1人1台の端 末を使うのが当たり前の時代がやってくるかもしれない のです。今、こうした教育の転換期に立ち会えることは 教員としてまたとない機会であると前向きにとらえて、 挑戦していきたいと考えています」  学習用端末の活用にあたってのもう1つの課題は、デ ジタル教科書をはじめとする教材のライセンスの問題で ある。現在の契約では、学校は生徒数分のライセンスし か持てない。そのため、入学辞退者が出る可能性を考え ると、事前に教材を入れて学習用端末を配布することが できず、授業中に一斉にダウンロードすることになる。 また、生徒の学習用端末が故障したときには、修理に出 している間、校内の予備端末を貸し出すことにしている が、予備端末にインストールすることも契約違反になる 可能性があるという。  「現在、県がライセンス契約の在り方を交渉中ですが、 今後も思いがけない契約上の課題が出ないとも限りませ ん。また現在、授業中に電子黒板に表示することはでき ても、学習用端末に入れて家に持ち帰ることができない デジタル教材もあります。法改正なども必要ですが、さ らに活用しやすい環境が整うことを期待しています」  電子黒板や学習用端末を活用するのに大きな助けとな っているのが、県教育委員会による ICT サポートだ。  2013 年度に武雄高校などの実証研究校が無線 LAN 環 境などの課題に直面したことから、今年度からは県教育 委員会の中にヘルプデスクが設けられた。ハード面やネ ットワークに関する不具合が生じたときには遠隔操作で 対応してもらえるようになった。  また、今年度は各校に1人ずつ、提携した企業から ICT サポーターが配置され、授業のサポートを行っている。  「各校には私のような教育情報化推進リーダーがいま すが、私を含め教員は自分の授業をもっていますから、 他の教員の支援に費やせる時間は限られています。そう した中、支援に専念できるスタッフがいることは、ICT 活用を推進する大きな力となります。ICT サポーターに 何を依頼するかは各校で異なりますが、本校では、教員 に対する個別支援のほか、空いた時間に教員に面談して 困っていることや要望を聴いたり、ニーズに応じた研修 を設定して、必要に応じて教員が参加できるようにした りしています。しかし、ICT サポーターも万能ではあり ません。教員には、ICT サポーターとともに、より有効 な ICT 活用法を考えていく姿勢が大切だと思います」  最後に、他県の先生方へのメッセージを聞いた。  「佐賀県の高校教員が感じている困難は、近い将来、 他県でも直面する可能性があるものです。ICT の教育へ の導入は、当初は確かに大変ですが、現場は決して『混 乱して大変』というわけではありません。ぜひ冷静に注 目していただきたいと考えています」

ICT 活用推進の大きな力となる

専任の ICT サポーターの存在

(13)

社会とほぼ同じ環境で ICT を活用し

これからの高校生に求められる力を育成

千葉県立袖ヶ浦高等学校

ことにした。さらに、これまでより多様で、広く、深い、 生徒の主体的学習を ICT により実現し、PISA 型の学力 である「他者と協働して問題を解決する力」や「論理的 思考力」の育成をめざすことにした。  iPad を生徒に購入してもらった理由は主に3つあった。 1つ目は、新機種発売のサイクルが短い中、学校の備品 として購入すると一定年数使用しなければならないが、生 徒が購入したものであれば常に最新のモデルを使用でき ること。2つ目は、家に持ち帰り、生活の中での使い方を 学んでもらいたいため。3つ目は、ものを大切にし、管理 する力も育成したい、といった理由からである。  タブレット端末にしたのは、パソコンに比べて起動が速 いことや、携帯性に優れているためである。また、iPad を選択したのは、操作性の良さと、有害なアプリケーショ ンをインストールするリスクの低さ(注1) による。  なお、学校や生徒が準備したものは<図表1>の通り である。図表1の中で「インターネット回線」とあるが、 この点について永野先生は、次のように説明する。「全県 立高校に整備されているインターネット回線では制限が厳 しく、利用できないネットサービスやアプリがあるため、 独自に回線を引きました。独自に回線を引いたことによっ て、生徒は授業中以外も、いつでも、どこでもインターネ ットに接続することができます。有害サイトはプロバイダ がブロックしてくれます。アプリケーションは、生徒も教  千葉県立袖ヶ浦高等学校は、千葉県の東京湾沿いに位 置する袖ケ浦市の人口増加を受け、1976 年に普通科高校 として設立された。2011 年に新たに情報コミュニケーシ ョン科を設置し、公立高校で初めて、タブレット端末を使 った教育に取り組んでいる。情報コミュニケーション科が めざす教育や取り組みについて、校長の日髙学先生と、情 報コミュニケーション科長の永野直先生に話を伺った。  千葉県立袖ヶ浦高校の情報コミュニケーション科設置 は、千葉県が 2002 年に「魅力ある高等学校の設置」をめ ざして策定した県立高等学校再編成計画の一環として、 情報科の設置を決めたことによる。情報科の教育内容に ついての具体的な検討は 2009 年頃から始まった。  現在、SNS の浸透などにより、中高生の間でも、情報 モラルやセキュリティが問題となっている。こうした中、 学校は携帯電話の持ち込みを禁止する、インターネットの 危険性を児童・生徒に教えることによって問題に対処しよ うとしているが、永野先生は「単に禁止し、恐怖心を煽 るのではなく、学校は現状を直視し、情報ツールをどのよ うに使えばより良い生活や学びに活用できるかという視点 から、情報教育を行うべきだと考えます」と話す。また、 日髙校長も「高校生として保護されている間に、学校の 中で失敗を経験することが大切です。現在、情報活用能 力が社会人に必要とされていることは言うまでもありませ ん。この力を高校で育むことは、学校教育法が掲げる高 等学校の教育の目標の1つである『国家及び社会の形成 者として必要な資質を養うこと』の1つとなっているので す」と指摘する。  そこで設置予定の情報科の名称を「情報 コミュニケーション科」とし、公立高校とし て全国で初めて生徒に1人1台の iPad を購 入させ、情報関係の教科を充実させるとと もに、普通科の日常の授業の中で「情報活 用能力」「コミュニケーション力」「情報モ ラル、セキュリティ対応能力」を育成する 高校の取り組み

事例2

情報活用能力を育むための

新たな教育ツールとしての ICT

学校内にとどまらず

生活の中で ICT 活用力を育むための環境整備

日髙学 校長 永野直 先生 <図表1>情報コミュニケーション科の設備・使用アプリケーション  学校が用意したもの ・インターネット回線(下り200Mbps) ・プロバイダ契約 ・校内 LAN 配線 ・ルータ、PoEスイッチ、AP(22 台) ・個人用鍵付きロッカー ・デジタル TV、電子黒板(4 台) ・HDMI 端子付プロジェクタ

・AppleTV(6 台)(iOSデバイスにあるコンテンツや iTunesなどの コンテンツをデジタル TVなど大画面に映し出すデバイス) ・Dropbox(クラウドコンピューティングのファイル共有サービス) ・Twitter(ソーシャルネットワークサービスの一種) ・WebDAV Server(サーバー上の一部の ディレクトリを複数で共有できるサービス)  生徒が入学時に購入するもの ・iPad(9.7inch)入学時最新のモデル  ・容量、カラーは自由 ・本体を保護できるカバー ・アプリ(iTunesカードで購入)  ・Pages(文章作成ソフト)  ・Keynote(プレゼンテーションソフト)  ・iMovie(動画編集ソフト)  ・Good Reader(1期生のみ)(PDFファイル閲覧ソフト)  ・Numbers(2 期生まで)(表計算ソフト)  ・Garage Band(3 期生から)(音楽制作ソフト)  ・その他選択科目等の必要に応じて クラスごと アカウント (日髙校長より提供)

(14)

変わる高校教育 第2回 ICTの導入で変わる学び ~タブレット端末・電子黒板・デジタル教材を中心に~ 員も、指定したもの以外についても自由にインストールす ることができます。アプリケーションは辞書など有料のも のもありますが、授業で使うものの多くは無料のものを活 用しています」  ここで心配なのが、授業中に生徒が iPad で遊んでしま うことだが、永野先生は「多様な用途のあるデバイスで すから、時間はかかっても、けじめをつけて使い分けるこ とを学ぶことのほうが重要です」と説明する。また、クラ スごとに、生徒自身に iPad の使用ルールを決めさせてい る。「授業中にメールしない、学校で充電をしない、著作 権に気をつける、誹謗中傷は書かない、といった一般的 なことですが、自分たちで決めたことを自分たちで守ると いう意識を持つことが大切です」(永野先生)  ICT 環境を整えることで可能となる授業について、日 髙校長は「現在、ペアで意見を交換する、グループで話 し合うといった協働学習や、調べ学習の成果の発表とい った授業改革が進んでいます。こうした場面で ICT を使 えば、より手軽で有効になります」と話す<図表2>。  例えば、iPad と教室内のテレビをつなげれば教員や生 徒が撮影した写真や動画を教室内で共有できるし、これ までは授業中に全員に意見を述べさせる時間はなかった が、Twitter(クラス内のみ公開設定)を使えば全員が答 えや考えを書き込み、その場で全員で共有することがで きる。授業の双方向性が実現できるのだ。  また、教員の解説が理解できたかについて生徒に答え てもらい、その場で統計のアプリケーションを用いて集計 すれば、生徒の理解度を確認しながら授業を進めること る際にも活用している。「ICT を活用することで短縮でき た時間は、新聞を読んで一般常識や語彙力、論理的思考 力など、他の能力を育成する時間に活用しています」(日 髙校長)  教科の授業での ICT 活用事例をいくつか紹介する。  家庭科の教員は、「裁縫実習」のためにまつり縫いや返 し縫いの仕方を動画で撮影し、生徒が自宅で見られるよ うにした。生徒があらかじめ動画を見て授業に臨むことで、 授業中の説明の時間が節約できるほか、生徒は自分にと ってわかりづらい箇所を繰り返し視聴することができる。  その効果について、動画を視聴しなかった普通科の生 徒と成績を比較したところ、情報コミュニケーション科の 生徒の方の評価が高く、特に「再提出」の生徒が普通科 は5%に対して情報コミュニケーション科は0%、実習に かかる時間も短かった。  化学では、実験手順を説明する動画を撮影した。「試験 管の液体に試薬を落とし、激しく振る、静かに振るという ことについて、“激しい”“静か”がどの程度なのか、動画 だと具体的に理解することができます。ただし、液体の色 が変わる様子など、結果まで見せて実験の代わりにして はいけません。化学反応は、生徒が自ら手を動かして実 験し、確かめることが大切です」(永野先生)  数学では、三角比の単元で、iPad などで撮影した写真 の上に線を引くと角度を自動的に計算するアプリケーショ ンを活用し、生徒自身に校舎や校庭の木の高さを計算さ せる教材写真を準備させた。「iPad 導入以前にも、距離や 角度を実際に測って教材を準備していましたが、アプリケ ーションを利用すれば、より簡単に距離や角度を測ること ができます。実はアプリケーションで三角比の計算もでき るのですが、この単元では生徒自身の計算によって答え を求めることが重要です。このように、生徒に何を学ばせ るかによって、ICT を使う場面と使うべきでない場面を考 える必要があります」(永野先生)   また、バスケットボール部の生徒たちは、シュートの様 子を撮影し、このアプリケーションを使ってシュートが成 功したときと失敗したときの腕の角度を比較して、技術の 向上に役立てているという。「タブレット端末やパソコン などのデバイスありきではなく、何かしたいことがあって、

ICT 活用で可能性が広がる

思考力、判断力、表現力を育む授業

ICT を使うポイントやアプリケーションは

生徒に何を学ばせたいかで選択することが重要

<図表2> ICT 活用のイメージ図 (日髙校長より提供)

(15)

を踏む先生もいるだろう。その点について永野先生は「つ きつめれば、教員が必ずしも生徒より ICT の活用に秀で ている必要もありません」と話す。永野先生も時には生徒 から、ICT の活用法を提案されることもあるそうだ。  「生物の時間に、生徒から顕微鏡の画像を iPad で撮影 したいと提案がありました。試してみたら、細胞が活動し ている様子を鮮明な動画で記録することができました」  他にも、情報機器の操作が得意でない世界史の教員は、 生徒に「この国のこの地域を見せて」「このスポットを拡 大して」などと指示し、生徒が自分の iPad で地図を表示し、 それをプロジェクタに表示し授業を行っている。  さらに、情報コミュニケーション科では学校設定科目と して1年次に「情報コミュニケーション」、2年次に「情 報コミュニケーション実習」を設置し、3年次の「課題研 究」に学習内容を接続させるようにしている。  1年次は、映像や音楽の作成や編集技術、著作権など 情報モラルやセキュリティなどを学び、作品を YouTube にアップする。  2年次はテーマ学習を行う。iPad を持って博物館など を取材し、その成果をポスターで発表する。「各グループ が工夫したポスターを作ります。例えば、千葉県の地学 を調査したグループは、紙だけでは紹介できる写真の数 が限られるため、ポスターの一部としてその中に iPad を 埋め込み、iPad を使って複数の写真を数十秒ごとに切り 替えて表示していました。千葉県の文化を扱ったグルー プは『AR』(注2)という技術を活用し、iPad に映る写真を 見学者が自分の iPad やスマートフォンで写すと、その料 理の作り方の動画が流れるようにしました」(永野先生)   3年次の「課題研究」では、生徒は課題を設定し、ICT を活用してその解決案を提案する。保育園児に折り紙や ぶんぶんゴマなど昔の遊びを教える映像を作成したり、数 学の苦手な生徒が集まったグループは、自分たちがつま ずいた問題をシェアできる Wiki(注3) の Web ページを作成 した。また、学校のデジタルパンフレットを作成したグル ープは、QR コードを写すと、校長先生や生徒の紹介映像 や、地元の裏道や店の紹介がスマートフォンに表示され たりする仕組みを組み込んだ。さらに、生徒はポスター3 枚にまとめた発表を行い、最後に、一人ひとりが学術論 ◇所在地:千葉県袖ケ浦市神納 530 ◇沿 革:1976年 全日制普通科高校として開校 2011年 情報コミュニケーション科設置 ◇学級編成:[全日制]普通科 1学年6〜7クラス 情報コミュニケーション科 各学年1クラス ◇生徒数:895 名(男子 423 名、女子 472 名)2014 年 5月1日現在 ◇特色:清純にして若々しい地域青少年の憧れの学園」づくりを 使命とし、地域の中堅校として設立以来地域の人材育成を担っ ている。部活動加入率は 85%以上、文化部・運動部ともに優 秀な成績を収めている。情報コミュニケーション科は全国的に 注目され、他府県の教育委員会や高校などからの視察が後を絶 たない。 ◇卒業生の進路:2014年3月卒業生 282名  ・進学先:4年制大学 101 名、短期大学 19 名、専門学校 87 名、 就職 57 名、その他 18 名 千葉県立袖ヶ浦高等学校

生徒の ICT 活用力、発想の豊かさが光る

情報系の授業で制作する作品

文の形式で A4 用紙2枚のレポートをまとめる。作品を作 るだけでないのは、取り組みを文章として残すことも大切 という考えを反映しているからである。  こうした ICT の導入は、教員にも変化をもたらした。 ICT の活用は強制ではなく、使用頻度も教員によってま ちまちだ。しかし、ICT の導入によって生徒の発想の豊 かさや創造力の高さに気づき、生徒同士で活動させたり 何かを制作させたりする時間を増やす教員が増えたとい う。また、ICT を活用することで、協働学習の時間を設 定したり、生徒の言語活動を促すなどしなくても、生徒が 協力したり、話し合うようになったことも、効果の1つで ある。  「導入の結果見えてきたのは、やりたい授業がある教員、 授業デザイン力のある教員にとって、ICT は間違いなく 魅力的なツールであるということです。世界史であれば、 十字軍が通った道を Google Earth で 3D で見るなど、や りたくてもできなかった授業が実現できるツールを、我々 教員は手に入れたのです。さらに ICT の導入は、これま での閉じた教室で授業を行うという学校教育の在り方を 変え、授業計画の共有、外部や生徒の評価の導入、自分 はどんな教育をしたいのかを省察する契機になるなど、大 きな教育改革につながっていくのではないでしょうか」(日 髙校長)

やりたい授業、授業デザイン力のある

教員にこそ魅力的な ICT

参照

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